JP4119287B2 - 放熱用部材及び接続構造体 - Google Patents
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【発明の属する技術分野】
本発明は、常温においては優れた取り扱い性を有し、発熱体と放熱体との間に介在し、高い柔軟性を有することにより発熱体及び放熱体に密着して効率よく発熱体から発生した熱を放熱体に伝導することができ、かつ、温度が上昇しても密着した状態を保つことができる放熱用部材、及び、該放熱用部材により発熱体と放熱体とを接続してなる接続構造体に関する。
【0002】
【従来の技術】
電気・電子部品等の発熱体と放熱体の間に介在させ、発熱体から発生する熱を放散させる目的で、放熱シート等の放熱用部材が利用されている。しかし、電気・電子部品に限らず、多くの発熱体や放熱体の表面は平滑でないため放熱用部材が発熱体及び放熱体に密着できず、発熱体や放熱体と放熱用部材との間の接触面積が減少すると、発熱体から放熱体への熱伝達効率が低下し、放熱用部材が有する放熱性能が充分に発揮できない。
【0003】
発熱体と放熱体の間の熱的な抵抗は熱抵抗と呼ばれ、熱抵抗が小さいほど、発熱体から放熱体への熱伝達が優れ、高い放熱効果が得られる。そのため熱抵抗を小さくするためには、放熱用部材に対して優れた柔軟性が要求されている。そこで、従来は、放熱用部材として熱伝導性徴粒子を含有した放熱グリース;シリコンゴムやアクリル酸エステル系樹脂等の柔軟かつ復元力のある樹脂に熱伝導性徴粒子を分散させた放熱シート等が用いられていた。
【0004】
放熱グリースとしては、例えば、下記の特許文献1にシリコンオイルをベースとし、亜鉛華、アルミナ、窒化アルミニウム等の熱伝導性徴粒子を含有させたものが開示されている。このような放熱グリースは流動性のある粘稠な物質であるため、発熱体と放熱体の間に介在させた際に大きな接触面積が得られることから優れた熱抵抗性能を発現可能である。しかしながら、発熱体や放熱体に塗布させる際に、周辺部位の汚れなどが生じて作業性が低いことや、作業のばらつきが生じて熱抵抗性能が変化する可能性が高い等の問題があった。
【0005】
放熱シートとしては、例えば、下記の特許文献2にアクリル酸エステル系樹脂に熱伝導性徴粒子をランダムに分散させた熱伝導テープが開示されている。このような放熱シートは定形のシートであるため、発熱体や放熱体に容易に貼り付けることができ、発熱体と放熱体の間に介在させる際に一定の間隙にすることができるため、安定した熱抵抗性能を発現することができる。しかしながら、流動性がないため、放熱グリースほどの高い柔軟性が得られず、高い熱抵抗性能を発現することが困難であった。
【0006】
これに対し、下記の特許文献3にはアクリル系感圧性粘着成分に対し、約50〜60℃に融解温度を有するαオレフィン系熱可塑性成分や約60〜70℃の融解温度を有するパラフィン系ロウ成分等の化合物を混合した放熱用部材が開示されている。これらの放熱用部材は、電圧を印加することで発熱体の温度が上がり、混合しているαオレフィン系熱可塑性成分やパラフィン系ロウ成分の融解温度に達すると急激に軟化し、柔軟性が向上して熱抵抗性能が向上するというものである。
【0007】
しかしながら、このような融解温度を持つ化合物は、発熱体や放熱体への貼付作業を行う23℃付近の温度では接着性のない固体であるため、これを含有するアクリル系感圧性粘着成分の粘着性が損なわれ、貼付作業性か低下する。また、発熱体の温度が上がって融解温度を超える際に、化合物がすべて融解するまでに若干の時間がかかることから、発熱体の温度がいったんは急上昇する。そして、融解温度を有する化合物が溶けて放熱用部材の柔軟性が向上し、発熱体と放熱体の間が密着して熱伝達率が向上すると発熱体の温度は急降下する。そのため短時間ではあるが、発熱体に温度負荷がかかるという問題があった。
【0008】
また、発熱体の温度が上がり化合物が溶けて放熱用部材の柔軟性が向上し、発熱体と放熱体の間が密着して熱伝達率が向上したとしても、更に温度がかかり続けた場合には、溶融粘度の低い溶融した化合物が放熱用部材から流れ出してしまい、その結果、密着性が損なわれ熱伝達率も悪化して、発熱体の温度が上昇してしまうことがあるという問題もあった。
【0009】
【特許文献1】
特公平6−39591号公報
【特許文献2】
特開平6−88061号公報
【特許文献3】
特表2000−509209号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記現状に鑑み、常温においては優れた取り扱い性を有し、発熱体と放熱体との間に介在し、高い柔軟性を有することにより発熱体及び放熱体に密着して効率よく発熱体から発生した熱を放熱体に伝導することができ、かつ、温度が上昇しても密着した状態を保つことができる放熱用部材、及び、該放熱用部材により発熱体と放熱体とを接続してなる接続構造体を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本願発明は、熱可塑性樹脂と熱伝導性微粒子とを含有し、40〜80℃に融解温度を有する化合物を含有しない熱可塑性樹脂組成物からなる放熱用部材であって、23℃においては、0.1Hz時の貯蔵弾性率が5万Pa以上であり、かつ、定形を保持しており、50〜80℃における0.1Hz時の貯蔵弾性率が400〜10000Pa、100℃においては、0.1Hz時の貯蔵弾性率が5000Pa以下であり、かつ、不定形であることを特徴とする放熱用部材である。
【0012】
以下に本発明を詳述する。
本発明の放熱部材は、23℃においては、0.1Hz時の貯蔵弾性率が5万Pa以上であり、かつ、定形を保持している。従って、発熱体や放熱体への貼付作業を行う23℃付近の温度では定形のシート状にして用いることができ優れた貼付作業性を示す。
【0013】
本発明では、50〜80℃における0.1Hz時の貯蔵弾性率が400〜10000Pa、100℃においては、0.1Hz時の貯蔵弾性率が5000Pa以下であり、かつ、不定形である。従って、本発明では、電圧を印加することにより発熱体の温度が上がると放熱用部材は急速に軟化し、50℃〜80℃の温度に達すると柔軟性が向上するため発熱体と放熱体に対する接触面積が向上し、優れた熱抵抗性能を発現するが、50〜80℃の温度になっても貯蔵弾性率が400Pa以上あるため、放熱用部材が流れ出して発熱体及び放熱体から離れてしまうことはない。さらに、100℃においては貯蔵弾性率が5000Pa以下であるため、シート加工が優れている。
【0014】
なお、貯蔵弾性率は、例えばレオメトリックス社製のダイナミック・アナライザーRDAII等の動的粘弾性測定装置で測定することができる。
23℃の温度における0.1Hz時の貯蔵弾性率が5万Pa未満であると、柔らかすぎて取り扱いにくくなり、貼付作業も行いにくくなる。また、50〜80℃の温度における0.1Hz時の貯蔵弾性率が1万Paを超えると、放熱用部材の柔軟性が低く発熱体や放熱体に密着できず、充分な熱抵抗性能が得られない。更に、50〜80℃の温度における0.1Hz時の貯蔵弾性率が400Pa未満であると、放熱用部材は柔らかくなりすぎて流れ出し発熱体及び放熱体から離れてしまう。また、100℃の温度における0.1Hz時の貯蔵弾性率が5000Paを超えると、放熱用部材が硬くなり、シート加工が困難となる。
【0015】
本発明では40℃と60℃との間に、相転移現象を伴わずにかかる急速な貯蔵弾性率の変化が起こることから、発熱体の温度の上昇にあわせて放熱用部材がしだいに密着していき、発熱体の温度の上昇と、放熱用部材が軟化して発熱体と放熱体に対する接触面積が向上し優れた熱抵抗性能を発現するまでの間に時間の遅れが生じないため、発熱体の温度が急上昇してしまうことがなく、発熱体に温度負荷がかかることがない。
【0016】
また、相転移現象を伴わない熱可塑性樹脂組成物では、室温や室温よりわずかに加熱しただけで柔らかくなったり、樹脂表面に粘着性が現れたりすることがあり放熱用部材として取り扱いにくいことが多いが、低温において定形を保持することができ取扱い性にも優れる。
【0017】
本発明に係る熱可塑性樹脂組成物では、温度が、60℃を超えると、貯蔵弾性率の減少は緩やかになり、柔らかくなりすぎて発熱体及び放熱体から離れて流れ出てしまうことがなく、発熱体及び放熱体に密着し続け、発熱体から発生する熱を放熱体に効率よく伝え続けることができる。
【0018】
本発明の放熱用部材は、23℃における対アルミニウム接着力が0.5N/cm2以上であることが好ましい。これにより、発熱体及び放熱体に対して高い接着性を有することとなり、発熱体及び放熱体に放熱用部材を貼り付ける際の貼付作業性が向上する。
【0019】
本発明の放熱用部材は、特に限定されないが、シート状に加工して用いることが好ましい。シート状にすることにより、貼付作業性が著しく向上する。
シート状にして用いる場合、シートが薄くなりすぎると取り扱い性が低下するとともに、発熱体と放熱体との間に介在させた際に、隙間を充分に埋めることが難しくなり、また、シートが厚すぎると熱抵抗性能が低下する傾向にある。したがって、本発明の放熱用部材の厚さは下限が20μm、上限が400μmであることが好ましい。
【0020】
本発明の放熱用部材は、熱可塑性樹脂と熱伝導性微粒子とを含有する熱可塑性樹脂組成物からなる。
上記熱可塑性樹脂としては、(メタ)アクリル酸エステル系共重合体;スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体等のスチレン系ブロック共重合体;エチレン−酢酸ビニル樹脂、ブタジエン系樹脂、イソブチレン系樹脂、オレフィン系樹脂、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、スチレン系樹脂、ブチラ−ル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、シリコン系樹脂;これらの変性樹脂等が挙げられる。これらは単独で用いられてもよいし、2種類以上を併用してもよい。なかでも、上述の貯蔵弾性率を実現できる設計が比較的容易であることから、アクリル酸エステル系共重合体、スチレン系ブロック共重合体、ブチルゴム系樹脂が好適である。例えば、アクリル酸エステル系共重合体であれば、共重合体の重量平均分子量を20万以下にすれば、上述の貯蔵弾性率を発現することができる。
【0021】
また、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体の場合は、スチレン−イソプレンのジブロック比率が50重量%以上、スチレン含有量が25重量%以下であれば、上述の貯蔵弾性率を発現することができる。SISであれば、これらのジブロック比率とスチレン含有量により23℃から50℃に至る弾性率の急激な変化の制御を行いやすい。
【0022】
なお、上記熱可塑性樹脂はIC等の電子部品等の発熱体における高温側の動作限界温度付近に融点を有する樹脂ではないことが好ましい。また、ガラス転移温度を有する樹脂の場合においても、示差熱量計を用いて測定されるガラス転移温度がIC等の電子部品等の発熱体における高温側の最大適正動作温度付近にないことが好ましい。これらの樹脂の融解やガラス転移現象における潜熱吸収もまた、発熱体や放熱体と放熱用部材との間が密着するまでに時間の遅れを生じさせる原因となることがある。
【0023】
また、上記熱可塑性樹脂として、スチレン系ブロック共重合体等の23℃において固形状の芳香族熱可塑性樹脂を用いる場合には、更に23℃において粘稠体であるキシレン樹脂を含有することが好ましい。このようなキシレン樹脂を添加することによって、23℃と50℃との間の貯蔵弾性率の挙動においてより急激な変化が生じ、更に、50℃以上では緩やかな貯蔵弾性率の変化を実現することができる。これは、23℃において固形状の芳香族熱可塑性樹脂と23℃において粘稠体であるキシレン樹脂とを混合して使用すると、それぞれの芳香環同士の相互作用によって23℃では固形状態を保つが、温度を上昇させるとしだいに相互作用が弱まり、ある温度領域で相転移現象を伴うことなく相互作用が急激に弱まり軟化し、一方、一定の温度に達しても芳香環同士の擬似架橋的な相互作用が残存していることによりそれ以上の流動化が抑えられるためであると考えられる。ただし、熱伝導性微粒子の配合量が増えると、種類によっては高温での弾性率が低下する傾向にあるので、本発明の放熱用部材の弾性率挙動は、熱可塑性樹脂、キシレン樹脂の種類及び配合量により適当に調整する必要がある。
【0024】
また、上記キシレン樹脂は、粘着性付与剤としても働くものであることから、上記キシレン樹脂を配合することにより本発明の放熱用部材を発熱体及び放熱体に貼り付ける際の作業性が向上する。
【0025】
上記熱可塑性樹脂組成物における上記キシレン樹脂の配合量の好ましい下限は10体積%、上限は90体積%である。10体積%未満であると、放熱用部材の柔軟性が低く発熱体や放熱体に密着できず、充分な熱抵抗性能が得られない。90体積%を超えると、23℃で定形のシートを得ることが困難となることがある。
【0026】
上記熱伝導性微粒子としては、例えば、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、アルミナ、アルミニウム、炭化珪素、酸化亜鉛、銅、金属水酸化物、黒鉛、酸化マグネシウム、シリカから選ばれる少なくとも1種類以上の熱伝導性微粒子が挙げられる。上記金属水酸化物としては、例えば、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等が挙げられる。また、これらの熱伝導性微粒子は、高い配合割合で均一に混合できるように表面処理されていることが好ましい。
【0027】
上記熱可塑性樹脂組成物における上記熱伝導性微粒子の配合量の好ましい下限は10体積%、上限は90体積%である。10体積%未満であると、充分な熱伝導率が得られないことがあり、90体積%を超えると、得られる放熱用部材の対アルミニウム接着力が低下して貼付作業性が低下することがある。
【0028】
上記熱可塑性樹脂組成物は、所望の弾性率と対アルミニウム接着力を損なわない鞄囲であれば、必要に応じて、ハロゲン系化合物、リン酸エステル系化合物、金属水酸化物、酸化チタン等の難燃材;カーボンブラック、ホワイトカーボン等の着色剤;シラン系、チタネート系カップリング剤等の粉体表面改質剤;グリセリン脂肪酸系の分散剤;ビスフェノール系、ヒンダード・フェノール系等の酸化防止剤;クロマン樹脂、テルペンフェノール樹脂、フェノール樹脂、ロジン、テルペン樹脂、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素等の粘着付与剤等を含有してもよい。
【0029】
本発明の放熱用部材の製造方法としては特に限定されず、例えば、所定量の熱可塑性樹脂と熱伝導性徴粒子とを、2本ロール、3本ロール、プラストミル、ニーダー、プラネタリーミキサー、バンバリーミキサー等を用いて混合し、それをコーティング成形、押し出し成形、プレス成形等によって所望の厚さのシート状に成形する方法等が挙げられる。
【0030】
本発明の放熱用部材は、23℃付近の常温においては定形であり極めて取り扱い性に優れ、効率よく発熱体と放熱体とを接続した接続構造体を作製することができる。この接続構造体の発熱体の温度を上昇させると、一定温度以上になった時点で、ガラス転移現象や融解等の潜熱吸収を伴う相転移現象を伴うことなく急速に本発明の放熱用部材が軟化して発熱体及び放熱体との接触面積が大きくなり、更にそれに伴って放熱用部材の厚みが減少して、優れた熱抵抗性能を発現することができる。しかも、かかる放熱用部材の変化は急速であり、発熱体の温度が発熱体にとって負荷となる温度に達するまで上昇してしまう前に起こることから、発熱体に温度負荷がかかることがない。更に、温度が上昇した場合であっても、本発明の放熱用部材はそれ以上流動化することなく、発熱体及び放熱体に密着し続け、発熱体に温度負荷がかかることがない。
【0031】
このような、本発明の放熱用部材により発熱体と放熱体とを接続してなる接続構造体であって、上記放熱用部材は、発熱体の発熱により、上記発熱前よりも厚みが減少することが可能である接続構造体もまた、本発明の1つである。
【0032】
また、本発明の放熱用部材により発熱体と放熱体とを接続してなる接続構造体であって、上記放熱用部材は、発熱体が発熱したことにより、上記発熱前よりも既に厚みが減少しているものである接続構造体もまた、本発明の1つである。
【0033】
【実施例】
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
【0034】
(実施例1)
スチレン含量22重量%、ジブロック比率66重量%のスチレン−イソプレンブロック共重合体20重量部、キシレン樹脂(三菱ガス化学社製、商品名「ニカノールKL−05」)80重量部、及び、窒化アルミニウム(トクヤマ社製、商品名「グレードF」)140重量部をプラストミルで混合しスラリー状物を得た。このスラリー状物において窒化アルミニウムの体積比率は30%であった。
【0035】
次いで、プレス板の上に離型PETフィルムを敷き、その上に厚みが100μmの金属枠を載せ、金属枠内に得られたスラリー状物を流し込んだ。次いで、離型PETフィルムをその上に載せ上下からプレス板で挟み込み、室温下でプレス成形を行った。これにより、両面に離型PETフィルムが付いた厚さ100μmのシート状の放熱用部材を得た。
【0036】
(実施例2)
スチレン含量22重量%、ジブロック比率66重量%のスチレン−イソプレンブロック共重合体20重量部、キシレン樹脂(三菱ガス化学社製、商品名「ニカノールKL−05」)80重量部、及び、窒化アルミニウム(トクヤマ社製、商品名「グレードF」)330重量部をプラストミルで混合しスラリー状物を得た。このスラリー状物において窒化アルミニウムの体積比率は50%であった。
このスラリー状物を用いて、実施例1と同様にして両面に離型PETフィルムが付いた厚さ100μmのシート状の放熱用部材を得た。
【0037】
(実施例3)
スチレン含量22重量%、ジブロック比率66重量%のスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体20重量部、キシレン樹脂(三菱ガス化学社製、商品名「ニカノールKL−05」)40重量部、キシレン樹脂(三菱ガス化学社製、商品名「ニカノールLL」)25重量部、液状ポリイソプレン(クラレ社製、商品名「LIR30」)15重量部及び、アルミナ(昭和電工社製、商品名「CB−A20S」)400重量部、アルミナ(昭和電工社製、商品名「CB−A05S」)200重量部をプラストミルで混合し、スラリー状物を得た。このスラリー状物において窒化アルミニウムの体積比率は60%であった。このスラリー状物を用いて、実施例1と同様にして両面に離型PETフィルムが付いた厚さ100μmのシート状の放熱用部材を得た。
【0038】
(実施例4)
スチレン含量55重量%、ジブロック比率16重量%のスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体10重量部、スチレン含有量22重量%、ジブロック比率66重量%のスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体10重量部、キシレン樹脂(三菱ガス化学社製、商品名「ニカノールKL−05」)65重量部、液状ポリイソプレン(クラレ社製、商品名「LIR403」)15重量部及び、アルミナ(昭和電工社製、商品名「CB−A20S」)400重量部、アルミナ(昭和電工社製、商品名「CB−A05S」)200重量部をプラストミルで混合し、スラリー状物を得た。このスラリー状物において窒化アルミニウムの体積比率は60%であった。このスラリー状物を用いて、実施例1と同様にして両面に離型PETフィルムが付いた厚さ100μmのシート状の放熱用部材を得た。
【0039】
(比較例1)
スチレン含量22重量%、ジブロック比率66重量%のスチレン−イソプレンブロック共重合体30重量部、ドデシルベンゼン70重量部、及び、窒化アルミニウム(トクヤマ社製、商品名「グレードF」)760重量部をプラストミルで混合しスラリー状物を得た。このスラリー状物において窒化アルミニウムの体積比率は70%であった。
このスラリー状物を用いて、実施例1と同様にして両面に離型PETフィルムが付いた厚さ100μmのシート状の放熱用部材を得た。
【0040】
(比較例2)
スチレン含量22重量%、ジブロック比率66重量%のスチレン−イソプレンブロック共重合体50重量部、ドデシルベンゼン50重量部、及び、窒化ホウ素(電気化学工業社製、商品名「グレードSGP」)226重量部をプラストミルで混合しスラリー状物を得た。このスラリー状物において窒化ホウ素の体積比率は50%であった。このスラリー状物を用いて、実施例1と同様にして両面に離型PETフィルムが付いた厚さ100μmのシート状の放熱用部材を得た。
【0041】
(比較例3)
スチレン含量22重量%、ジブロック比率66重量%のスチレン−イソプレンブロック共重合体20重量部の代わりにアクリル酸エステル系共重合体(根上工業社製、商品名「S−2022改2」:重量平均分子量27万)100重量部を、窒化アルミニウム(トクヤマ社製、商品名「グレードF」)140重量部の代わりに窒化ホウ素(電気化学工業社製、商品名「グレードSGP」)226重量部を用いたこと以外は実施例1と同様にして両面に離型PETフィルムが付いた厚さ100μmのシート状の放熱用部材を得た。
【0042】
(比較例4)
スチレン含量22重量%、ジブロック比率66重量%のスチレン−イソプレンブロック共重合体20重量部、ドデシルベンゼン80重量部、アルミナ(昭和電工社製、商品名「CB−A20S」)400重量部、アルミナ(昭和電工社製、商品名「CB−A05S」)200重量部、このスラリー状物において窒化アルミニウムの体積比率は60%であった。このスラリー状物を用いて、実施例1と同様にして両面に離型PETフィルムが付いた厚さ100μmのシート状の放熱用部材を得た。
【0043】
(比較例5)
スチレン含量22重量%、ジブロック比率66重量%のスチレン−イソプレンブロック共重合体22重量部、スチレン含有量30重量%、ジブロック比率30重量%のスチレン−イソプレンブロック共重合体8重量部、キシレン樹脂(三菱ガス化学社製、商品名「ニカノールKL−05」)45重量部、液状ポリイソプレン系ブロック共重合体(クラレ社製、商品名「KL230」)25重量部及び、アルミナ(昭和電工社製、商品名「CB−A20S」)400重量部、アルミナ(昭和電工社製、商品名「CB−A05S」)200重量部、このスラリー状物において窒化アルミニウムの体積比率は60%であった。このスラリー状物を用いて、実施例1と同様にして両面に離型PETフィルムが付いた厚さ100μmのシート状の放熱用部材を得た。
【0044】
(比較例6)
市販のシリコングリースであるDow Corning社製、商品名「#340」を用いた。熱抵抗の評価の際には、放熱体の上に、中央を35mm角にくり抜いた厚さ50μmのPETフィルムを置き、そのくり抜いた中央部にシリコングリースを流し込み、へらで余分なシリコングリースをかき落とすことにより、厚さ50μmのシリコングリースの層を形成した。
【0045】
<評 価>
実施例1〜4及び比較例1〜6で得られた放熱用部材について、以下の方法により、熱抵抗、貯蔵弾性率及び高温流動性を評価した。
【0046】
(熱抵抗の測定)
熱抵抗は、図1に示す測定装置により測定した。すなわち、アルミニウム製の冷却器1の上に離型PETフィルムを剥がした放熱用部材2を貼り付け、更にその上に熱源となるICを積層し、ボルト3により締め付けトルク1N・mで締め付けた。
【0047】
ICに電源を入れて80W/hの電力を供給し、60分後に、ICの温度T1と、冷却器1の放熱用部材の近傍温度T2を測定した。なお、冷却器1は、内部に恒温水槽4から23℃の水が供給循環されるようになっている。測定結果から熱抵抗を下記式で求めた。
【0048】
【数1】
【0049】
(貯蔵弾性率の測定)
ダイナミック・アナライザーRDAII(レオメトリックス社製)を用い、0.1Hzの条件で、23℃、60℃及び80℃における放熱用部材の貯蔵弾性率を測定した。
【0050】
(高温流動性の評価)
図2に示したように、アルミニウムからなる正立方体のブロックの側面に片面の離型PETフィルムを剥がした放熱用部材を貼り付けた。このアルミニウムブロックを80℃の恒温槽に保管し、1週間経過後に放熱用部材の流れ落ちの有無を目視にて観察した。
【0051】
【表1】
【0052】
【発明の効果】
本発明によれば、常温においては優れた取り扱い性を有し、発熱体と放熱体との間に介在し、高い柔軟性を有することにより発熱体及び放熱体に密着して効率よく発熱体から発生した熱を放熱体に伝導することができ、かつ、温度が上昇しても密着した状態を保つことができる放熱用部材、及び、該放熱用部材により発熱体と放熱体とを接続してなる接続構造体を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】放熱用部材の熱抵抗の測定に用いた測定装置を示す模式図である。
【図2】実施例における高温流動性の評価の方法を説明する模式図である。
【符号の説明】
1 冷却器
2 放熱用部材
3 ボルト
4 恒温水槽
5 アルミニウムブロック
Claims (6)
- 熱可塑性樹脂と熱伝導性微粒子とを含有し、40〜80℃に融解温度を有する化合物を含有しない熱可塑性樹脂組成物からなる放熱用部材であって、23℃においては、0.1Hz時の貯蔵弾性率が5万Pa以上であり、かつ、定形を保持しており、50〜80℃における0.1Hz時の貯蔵弾性率が400〜10000Pa、100℃においては、0.1Hz時の貯蔵弾性率が5000Pa以下であり、かつ、不定形であることを特徴とする放熱用部材。
- 熱可塑性樹脂は、アクリル酸エステル系共重合体、スチレン系ブロック共重合体、ブチルゴム系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種類以上の樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の放熱用部材。
- スチレン−イソプレンのジブロック比率が50重量%以上、スチレン含有量が25重量%以下のスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体を用いた請求項2記載の放熱用部材。
- 熱可塑性樹脂組成物は、23℃において固形状の芳香族熱可塑性樹脂を主成分とし、更に23℃において粘稠体であるキシレン樹脂を含有するとすることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の放熱用部材。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の放熱用部材により発熱体と放熱体とを接続してなる接続構造体であって、前記放熱用部材は、発熱体の発熱により、前記発熱前よりも厚みが減少することが可能であることを特徴とする接続構造体。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の放熱用部材により発熱体と放熱体とを接続してなる接続構造体であって、前記放熱用部材は、発熱体が発熱したことにより、前記発熱前よりも既に厚みが減少しているものであることを特徴とする接続構造体。
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