JP4829482B2 - 熱伝導性組成物および熱伝導性シート - Google Patents
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すなわち、本発明の熱伝導性組成物は、粘着性を有するポリマー50〜95重量部と、前記粘着性を有するポリマーと非相溶でありかつ発熱体の発熱温度で流動性を示す側鎖結晶化可能ポリマー5〜50重量部とを含み、さらにこれらのポリマー総量100重量部に対して、熱伝導性充填剤10〜300重量部を含有することを特徴とする。
また、本発明における熱伝導性シートの他の形態は、離型処理したフィルム間に粘着性を有するポリマー50〜95重量部と、前記粘着性を有するポリマーと非相溶でありかつ発熱体の発熱温度で流動性を示す側鎖結晶化可能ポリマー5〜50重量部とを含み、さらにこれらのポリマー総量100重量部に対して、熱伝導性充填剤10〜300重量部を含有する粘着剤層を、熱伝導性を有する基材フィルムの両面に設けたことを特徴とする。
炭素数1〜12のアルキル基を有する(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、エチルへキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート等があげられる。
極性モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸などのカルボキシル基含有エチレン不飽和単量体や;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート等のヒドロキシル基を有するエチレン不飽和単量体等が用いられるが、このうち特に好適なものはアクリル酸である。
また、他の共重合成分として、ヒドロキシアルキル基を有する(メタ)アクリレートを用いてもよい。このような(メタ)アクリレートとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
2−エチルへキシルアクリレートを92部、2−ヒドロキシエチルアクリレート8部および重合開始剤(日本油脂社製の商品名「パーブチルND」)を1部の割合で、それぞれ酢酸エチル/n−ヘプタン(=7/3)の230部に加え、60℃で5時間撹拌して、これらのモノマーを重合させ、粘着性を有するポリマー(共重合体)を得た。得られたポリマーは、重量平均分子量が15万であった。
ステアリルアクリレートを95部、アクリル酸を5部、ドデシルメルカプタンを5部および重合開始剤(日本油脂社製の商品名「パーブチルPV」)を1部の割合で、それぞれトルエン100部に加え、80℃で5時間撹拌して、これらのモノマーを重合させ、側鎖結晶化可能ポリマー(共重合体)を得た。得られたポリマーは、重量平均分子量が7000、融点が50℃であった。
ステアリルアクリレート95部に代えてベヘニルアクリレート95部を用いた以外は、合成例2と同様にしてモノマーを重合させ、側鎖結晶化可能ポリマー(共重合体)を得た。得られたポリマーは、重量平均分子量が8000、融点が70℃であった。
ステアリルアクリレートを75部、メチルアクリレートを20部、アクリル酸を5部の割合にした以外は、合成例2と同様にしてモノマーを重合させ、側鎖結晶化可能ポリマー(共重合体)を得た。得られたポリマーは、重量平均分子量が10000、融点が40℃であった。
ドデシルメルカプタンを2部の割合にした以外は、合成例2と同様にしてモノマーを重合させ、側鎖結晶化可能ポリマー(共重合体)を得た。得られたポリマーは、重量平均分子量が30000、融点が50℃であった。
2−エチルへキシルアクリレートを99.5部、2−ヒドロキシエチルアクリレート0.5部および重合開始剤(日本油脂社製の商品名「パーブチルND」)を0.5部の割合で、それぞれ酢酸エチル/n−ヘプタン(=7/3)の230部に加え、55℃で5時間撹拌して、これらのモノマーを重合させ、粘着性を有するポリマー(共重合体)を得た。得られたポリマーは、重量平均分子量が22万であった。
合成例1〜6の共重合体を表1に示す。
それぞれ反応液から固形分を単離することなく、固形分換算で、合成例1のポリマー100部に対して合成例2のポリマー10部となるように、合成例1で得られたポリマー溶液と合成例2で得られたポリマー溶液とを混合して、混合ポリマー溶液を調整した。ついで、この混合ポリマー溶液の固形分100部に対して、窒化ホウ素粉末(平均粒径18μm、電気化学工業社製の商品名「SGP」)を50部の割合で添加し、均一に分散させて熱伝導性溶液を得た。この熱伝導性溶液を、厚さ50μmの離型処理をしたポリエチレンテレフタレートフィルム上に厚さ50μmで塗布し、乾燥させて熱伝導性シートを作製した。得られたシートの粘着力の比(80℃の粘着力/23℃の粘着力)は0.05であった。
ヒーター部と冷却部(放熱体)との間に前記熱伝導性シートを挟み、ヒーター部に5Wの電力を1分間印加した後の、ヒーター部と冷却部の温度差(△T)を測定した。なお、熱抵抗(℃/W)は式:△T/5Wから求められる。また、熱伝導率(W/m・K)は式:5W×T×S×△Tから求められる。ここで、Tは前記熱伝導性シートの厚さ50μmを50×10-6mに換算した値を示し、Sは前記熱伝導性シートの面積(m2)を示している。
前記熱伝導性シートの80℃と23℃における粘着力の比(80℃の粘着力/23℃の粘着力)から再剥離性を評価した。なお、評価基準は以下のように設定した。
〇:0.2以下
△:0.2より大きく、0.5以下
×:0.5より大きい
23℃の雰囲気温度で前記熱伝導性シートをヒーター部と冷却部とで挟み、80℃まで加熱する。ついで該雰囲気温度でシートをヒーター部または冷却部から手で剥がす際の糊残りの有無を目視評価した。なお、評価基準は以下のように設定した。
〇:外観上、糊残りが無い
×:外観上、糊残りが明らかに有る
上記の結果を表2に示す。
ポリマー溶液を、合成例1で得られた粘着性を有するポリマーのみにした以外は、実施例1と同様にして熱伝導性シートを作製した。得られたシートの粘着力の比(80℃の粘着力/23℃の粘着力)は0.70であった。ついで、得られた熱伝導性シートについて、実施例1と同様にして熱抵抗、熱伝導率、再剥離性および糊残りを評価した。その結果を表2に示す。
合成例1で得られたポリマーの固形分100部に対して、合成例2で得られたポリマーの固形分が1部の割合となるように混合した以外は、実施例1と同様にして熱伝導性シートを作製した。得られたシートの粘着力の比(80℃の粘着力/23℃の粘着力)は0.40であった。ついで、得られた熱伝導性シートについて、実施例1と同様にして熱抵抗、熱伝導率、再剥離性および糊残りを評価した。その結果を表2に示す。
合成例1で得られたポリマーの固形分100部に対して、合成例2で得られたポリマーの固形分が60部の割合となるように混合した以外は、実施例1と同様にして熱伝導性シートを作製した。得られたシートの粘着力の比(80℃の粘着力/23℃の粘着力)は0.30であった。ついで、得られた熱伝導性シートについて、実施例1と同様にして熱抵抗、熱伝導率、再剥離性および糊残りを評価した。その結果を表2に示す。
合成例2で得られたポリマーに代えて、合成例5で得られたポリマーを用いた以外は、実施例1と同様にして熱伝導性シートを作製した。得られたシートの粘着力の比(80℃の粘着力/23℃の粘着力)は0.60であった。ついで、得られた熱伝導性シートについて、実施例1と同様にして熱抵抗、熱伝導率、再剥離性および糊残りを評価した。その結果を表2に示す。
合成例6のポリマー100部に対してn−オクタデシルアルコール10部となるように、混合した以外は、実施例1と同様にして熱伝導性シートを作製した。得られたシートの粘着力の比(80℃の粘着力/23℃の粘着力)は0.50であった。ついで、得られた熱伝導性シートについて、実施例1と同様にして熱抵抗、熱伝導率、再剥離性および糊残りを評価した。その結果を表2に示す。
Claims (6)
- 粘着性を有するポリマーと、前記粘着性を有するポリマーと非相溶である側鎖結晶化可能ポリマーとを含み、
前記粘着性を有するポリマーは、
炭素数1〜12のアルキル基を有するアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルを主成分とする、重量平均分子量が5万〜50万の共重合体であり、
前記側鎖結晶化可能ポリマーは、
炭素数16以上の直鎖状アルキル基を有するアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステル30〜100重量部と、炭素数1〜12のアルキル基を有するアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステル0〜70重量部と、極性モノマー0〜10重量部とを重合させて得られる、重量平均分子量が1000〜20000の重合体であり、
融点が30℃以上であり且つ融点未満の温度で結晶化し、
含有量が、前記粘着性を有するポリマー100重量部に対して、10〜30重量部であり、
さらにこれらのポリマー総量100重量部に対して、熱伝導性充填剤10〜300重量部を含有することを特徴とする熱伝導性組成物。 - 80℃と23℃における粘着力の比(80℃の粘着力/23℃の粘着力)が0.2以下である請求項1記載の熱伝導性組成物。
- 粘着性を有するポリマーと、前記粘着性を有するポリマーと非相溶である側鎖結晶化可能ポリマーとを含み、
前記粘着性を有するポリマーは、
炭素数1〜12のアルキル基を有するアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルを主成分とする、重量平均分子量が5万〜50万の共重合体であり、
前記側鎖結晶化可能ポリマーは、
炭素数16以上の直鎖状アルキル基を有するアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステル30〜100重量部と、炭素数1〜12のアルキル基を有するアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステル0〜70重量部と、極性モノマー0〜10重量部とを重合させて得られる、重量平均分子量が1000〜20000の重合体であり、
融点が30℃以上であり且つ融点未満の温度で結晶化し、
含有量が、前記粘着性を有するポリマー100重量部に対して、10〜30重量部であり、
さらにこれらのポリマー総量100重量部に対して、熱伝導性充填剤10〜300重量部を含有することを特徴とする熱伝導性シート。 - 前記熱伝導性シートが、厚さ20〜200μmである請求項3記載の熱伝導性シート。
- 両面に離型処理したフィルムを設けた請求項3または4記載の熱伝導性シート。
- 粘着性を有するポリマーと、前記粘着性を有するポリマーと非相溶である側鎖結晶化可能ポリマーとを含み、
前記粘着性を有するポリマーは、
炭素数1〜12のアルキル基を有するアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルを主成分とする、重量平均分子量が5万〜50万の共重合体であり、
前記側鎖結晶化可能ポリマーは、
炭素数16以上の直鎖状アルキル基を有するアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステル30〜100重量部と、炭素数1〜12のアルキル基を有するアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステル0〜70重量部と、極性モノマー0〜10重量部とを重合させて得られる、重量平均分子量が1000〜20000の重合体であり、
融点が30℃以上であり且つ融点未満の温度で結晶化し、
含有量が、前記粘着性を有するポリマー100重量部に対して、10〜30重量部であり、
さらにこれらのポリマー総量100重量部に対して、熱伝導性充填剤10〜300重量部を含有する粘着剤層を、熱伝導性を有する基材フィルムの両面に設け、さらにこの粘着剤層の表面に離型処理したフィルムを設けたことを特徴とする熱伝導性シート。
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