JP2004022634A - ウエハ支持体及び半導体ウエハの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ウエハの加工処理時にはウエハに強固に接着して支持することによりウエハを破損することなく加工することができ、処理後には容易にウエハから剥離することができるウエハ支持体及び該ウエハ支持体を用いる半導体ウエハの製造方法を提供する。
【解決手段】基体と、前記基体上に形成された粘着層とからなるウエハ支持体であって前記粘着層は、室温以下の温度では非粘着性であり、かつ、室温を超える温度では粘着性であるウエハ支持体。
【選択図】 なし
【解決手段】基体と、前記基体上に形成された粘着層とからなるウエハ支持体であって前記粘着層は、室温以下の温度では非粘着性であり、かつ、室温を超える温度では粘着性であるウエハ支持体。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ウエハの加工処理時にはウエハに強固に接着して支持することによりウエハを破損することなく加工することができ、処理後には容易にウエハから剥離することができるウエハ支持体及び該ウエハ支持体を用いる半導体ウエハの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体素子の製造プロセスにおいては、通常、ウエハをウエハ支持体に接着した状態で成膜、クリーニング、研削、エッチング、特性検査、ダイシング及びスクライビング等の加工処理を施している。これらの処理を終えた後には、ウエハをウエハ支持体から剥離してから後工程に送ったり、又は、ウエハ支持体に接着した状態のまま後工程に送り後工程の中でウエハとウエハ支持体との剥離を行ったりしている。
【0003】
しかし、ウエハのクリーニング、研削、エッチング、特性検査、ダイシング及びスクライビング等の加工処理を行うと、処理に伴う温度ストレスやその他の物理的ストレス、又は、経時変化によりウエハ支持体の粘着層とウエハとの接着力が非常に強くなってしまい、処理後にウエハとウエハ支持体とを剥離することが困難な場合がある。とりわけ、近年の集積回路の高積層化にともない、極めて薄いウエハが求められるようになっていることから、ウエハとウエハ支持体とを剥離する際にウエハが破損してしまうという問題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記現状に鑑み、ウエハの加工処理時にはウエハに強固に接着して支持することによりウエハを破損することなく加工することができ、処理後には容易にウエハから剥離することができるウエハ支持体及び該ウエハ支持体を用いる半導体ウエハの製造方法を提供する。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、基体と、前記基体上に形成された粘着層とからなるウエハ支持体であって前記粘着層は、室温未満の温度では非粘着性を有し、かつ、室温以上の温度では粘着性を有するウエハ支持体である。
以下に本発明を詳述する。
【0006】
本発明のウエハ支持体は、基体と粘着層とからなるものである。
上記基体としては特に限定されず、例えば、金属等からなるものが挙げられる。上記基体は通常、ウエハの形状により、板状又は円盤状に成形して用いられる。上記基体の厚さとしては特に限定されないが、通常、好ましい下限は0.3mm、上限は4mmである。
【0007】
上記粘着層は、室温以下の温度では非粘着性であり、かつ、室温を超える温度では粘着性であるという性質を有するものである。これにより、室温を超える温度に加熱して粘着性を発現させた状態でウエハとウエハ支持体とを接着し、この状態でウエハの加工処理を行い、ウエハの加工処理を終えた後には室温以下の温度に冷却することにより容易にウエハとウエハ支持体とを剥離することができる。なお、本発明において室温とは、ウエハとウエハ支持体が剥離する際の雰囲気温度のことであり、季節にもよるがその好ましい下限は5℃、好ましい上限は40℃であり、より好ましい下限は10℃、より好ましい上限は30℃である。
粘着層が粘着性を示す温度としては室温を超える温度であれば特に限定されないが、夏場など室温が高くなる場合においても室温で粘着性が発現しにくいように、好ましい下限は45℃である。
【0008】
かかる性質を有する粘着層としては特に限定されないが、例えば、炭素数10以上の長鎖アルキル基を有するアクリル酸エステルモノマーに由来する側鎖を有する結晶性のポリマーを含有するものが好適に用いられる。
かかるポリマーは、加熱して温度を上昇すると側鎖が融解して粘着性を示し、一方、冷却すると結晶化して粘着性を失う。
かかる結晶性のポリマーとしては、炭素数10以上の長鎖アルキル基を有するアクリル酸エステルモノマーのみを重合してなるホモポリマーであってもよいし、他のモノマーとの共重合体であってもよい。更に、これらのホモポリマー又は共重合体と、他の化合物との混合物でもあってもよい。
粘着層が粘着性を示す温度は、上記炭素数10以上の長鎖アルキル基を有するアクリル酸エステルモノマーに由来する成分の含有量により調整することができる。
【0009】
上記粘着層は、高温時におけるウエハとウエハ支持体との粘着力を向上させるため、又は、基体と粘着層との接着力を向上させるために、粘着付与樹脂を含有してもよい。
また、上記粘着層は、エッチング処理時の発熱をウエハ支持体の基体に伝えて熱を放熱させるために、熱伝導性フィラーを含有してもよい。
更に、上記粘着層は、粘着層構成時の粘度の調整のため、又は、粘着層自体のコストダウンのために、各種フィラーを含有してもよい。
【0010】
上記粘着層の厚さの好ましい下限は5μm、好ましい上限は1000μmである。5μm未満であると、粘着力が不足しウエハを固定できないことがあり、1000μmを超えると、粘着剤を形成するのに時間がかかりコストが高くなることがある。
【0011】
本発明のウエハ支持体を作製する方法としては特に限定されず、例えば、上記粘着層を構成する炭素数10以上の長鎖アルキル基を有するアクリル酸エステルモノマー等を重合した重合体を必要に応じて溶媒に希釈したものを上記基体上に塗工し乾燥させることにより粘着層を形成する方法、上記粘着層を構成する炭素数10以上の長鎖アルキル基を有するアクリル酸エステルモノマー等を上記基体上に塗工し、紫外線等のエネルギーを照射することにより重合して粘着層を形成する方法等が挙げられる。
上記塗工の方法としては特に限定されず、例えば、スプレーコート、グラビアコート、ロールコート、バーコート等の塗工法が挙げられる。
【0012】
本発明のウエハ支持体は、基体と上述の性質を有する粘着層とからなることから、加熱することによりウエハと接着することができ、ウエハの加工処理時にはウエハに強固に接着して支持することによりウエハを破損することなく加工することができるとともに、処理後には冷却することにより容易にウエハから剥離することができる。
【0013】
本発明のウエハ支持体を用いることにより、極めて効率よく半導体ウエハを製造することができる。
少なくとも、本発明のウエハ支持体とウエハとを接着する工程と、ウエハ支持体に接着したウエハを加工処理する工程と、ウエハをウエハ支持体から剥離する工程とを有する半導体ウエハの製造方法もまた、本発明の1つである。
【0014】
上記ウエハ支持体とウエハとを接着する工程においては、ウエハ支持体を室温を超える温度にまで加熱した状態で粘着層とウエハとを接着するか、又は、ウエハ支持体の粘着層上にウエハを設置した後に室温をこえる温度にまで加熱して粘着層とウエハとを接着することが好ましい。
ウエハ支持体を加熱する温度としては特に限定されないが、上限はエッチング処理時の反応熱に伴う温度上昇の上限により決められ、これにあわせて上記粘着層の性質を選択する。
【0015】
上記ウエハ支持体に接着したウエハを加工処理する工程においては、ウエハの成膜、ウエハのクリーニング、ウエハの研削、ウエハのエッチング、ウエハの特性検査、ウエハのダイシング、ウエハのスクライビングからなる群より選択される1種以上の加工処理が行われている。この際、ウエハはウエハ支持板に固定されているので、破損したりすることがない。
また、上記ウエハとウエハ支持体とは、処理前及び処理時は一度高温で貼り付けを行っているので、処理後に常温環境下に置かれても、外力を与えなければ接着したままの状態を保つことができ、処理されたウエハをウエハ支持体に固定したまま保存・搬送を行うことができる。
【0016】
上記ウエハをウエハ支持体から剥離する工程においては、ウエハを室温以下の温度にまで冷却した後に外力を与えることによりウエハとウエハ支持体とを剥離する。室温以下の温度にまで冷却することにより、粘着層は粘着性を失うので、外力をかけることで容易にウエハとウエハ支持体とを剥離することができる。
【0017】
【実施例】
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
【0018】
(実施例1)
2−エチルヘキシルアクリレートモノマー(以下、2EHAモノマーともいう)29.5重量部、ステアリルアクリレートモノマー(以下、S−Aモノマーともいう)70重量部、アクリル酸0.5重量部、及び、光重合開始剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製、IC−651)0.05重量部を混合し、更に酢酸エチルを加えモノマー濃度が55wt%の溶液を調製した。
【0019】
調製した溶液をセパラブルフラスコ入れ、攪拌しながら波長365nmの紫外線を照射強度が1mWとなるように照射し、4時間重合して重合体溶液を得た。なお、攪拌翼は回転速度を70回転/分に設定した。また、紫外線は紫外線ランプを用いて照射した。
得られた重合体溶液の固形分100重量部に対して、粘着付与樹脂(荒川化学社製「スーパーエステルA115」)10重量部とイソシアネート架橋剤0.5重量部とを加え、充分に混合して粘着剤溶液を得た。
【0020】
得られた粘着剤溶液を、直径300mm、厚み700μm鋼鈑(SUS430)の全面に厚さ0.3μmのニッケルメッキを施した基板上に塗工し、酢酸エチルを蒸発させることにより、基体の中心部に直径が200mmで厚みが100μmの粘着剤層を有するウエハ支持体を得た。
【0021】
得られたウエハ支持体の上に、直径200mmのエッチング処理前のウエハを設置した。次いで、60℃の環境下10分間に置いた後、ウエハと同一の直径で4kgの重さのおもりをウエハと重ね合わせるように乗せ、更に1分間置いた後、おもりを除去した。次いで、ウエハにエッチング処理を行った後、23℃の環境下に置き1時間後に以下の評価を行った。
結果を表1に示した。
【0022】
(1)ウエハが下になるようウエハ支持体を保持し、5分間の間にウエハが自重によりウエハ支持体から脱落したりや落下したりしないかを観察した。
(2)手でウエハとウエハ支持体とを剥離できるかを評価した。
【0023】
(3)また、同様の方法により、長さ100mm、幅30mmの金属板上に、厚みが100μmとなるように粘着層を形成した試験片を作製した。
次いで、粘着剤層の上に金属板と同じ大きさのポリエチレンテレフタレートフィルムを載せ、60℃の環境下に10分間置いた後、試験片と同じ大きさで4kgの重さのおもりを乗せ、加熱温度を100℃まで上げそのまま5分間保持した。おもりを取り除き試験片が23℃に冷えるまで1時間放置した。
この試験片を用いて、JIS Z 0237に準じた方法により、180°剥離試験を行い、180°剥離強度を測定した。
【0024】
(実施例2)
2EHAモノマー29.8重量部、S−Aモノマー70重量部、1.6−ヘキサンジオールジアクリレートモノマー0.2重量部、及び、光重合開始剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製、IC−651)0.1重量部を混合し、更に酢酸エチルを加えてモノマー濃度が55wt%の溶液を調製した。
【0025】
次いで、溶液を円形に塗布した後、塗布面を離型処理されたポリエチレンテレフタレートフィルムで覆い、その上から波長365nmの紫外線を照射強度が1mWとなるように15分間照射した。ポリエチレンテレフタレートフィルムを取り除き、基体の中心部に直径が200mmで厚みが100μmの粘着剤層が配設されたウエハ支持体を得た。
【0026】
得られたウエハ支持体を用いて、実施例1と同様のウエハ加工操作を行い、また、同様の評価を行った。
結果を表1に示した。
【0027】
(実施例3)
ブチルアクリレートモノマー(以下、BAモノマーともいう)49.5重量部、ベヘニルアクリレート(以下、BH−Aモノマーともいう)50重量部、アクリル酸0.5重量部、光重合開始剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製、IC−651)0.05重量部を混合し、酢酸エチルを加えモノマー濃度が55wt%の溶液を調製し、これを用いたこと以外は実施例1と同様にしてウエハ支持体を得た。
得られたウエハ支持体を用いて、実施例1と同様のウエハ加工操作を行い、また、同様の評価を行った。
結果を表1に示した。
【0028】
(比較例1)
2EHAモノマー99.5重量部、アクリル酸0.5重量部、光重合開始剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製、IC−651)0.05重量部を混合し、酢酸エチルを加えモノマー濃度が55wt%の溶液を調製したこと以外は実施例1と同様にしてウエハ支持体を得た。
得られたウエハ支持体を用いて、実施例1と同様のウエハ加工操作を行い、また、同様の評価を行った。
結果を表1に示した。
(比較例2)
実施例1で作製したウエハ支持体を用い、23℃でウエハとウエハ支持体とを貼り合わせたこと以外は、実施例1と同様のウエハ加工操作を行い、また、同様の評価を行った。
結果を表1に示した。
【0029】
【表1】
【0030】
【発明の効果】
本発明によれば、ウエハの加工処理時にはウエハに強固に接着して支持することによりウエハを破損することなく加工することができ、処理後には容易にウエハから剥離することができるウエハ支持体及び該ウエハ支持体を用いる半導体ウエハの製造方法を提供できる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、ウエハの加工処理時にはウエハに強固に接着して支持することによりウエハを破損することなく加工することができ、処理後には容易にウエハから剥離することができるウエハ支持体及び該ウエハ支持体を用いる半導体ウエハの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体素子の製造プロセスにおいては、通常、ウエハをウエハ支持体に接着した状態で成膜、クリーニング、研削、エッチング、特性検査、ダイシング及びスクライビング等の加工処理を施している。これらの処理を終えた後には、ウエハをウエハ支持体から剥離してから後工程に送ったり、又は、ウエハ支持体に接着した状態のまま後工程に送り後工程の中でウエハとウエハ支持体との剥離を行ったりしている。
【0003】
しかし、ウエハのクリーニング、研削、エッチング、特性検査、ダイシング及びスクライビング等の加工処理を行うと、処理に伴う温度ストレスやその他の物理的ストレス、又は、経時変化によりウエハ支持体の粘着層とウエハとの接着力が非常に強くなってしまい、処理後にウエハとウエハ支持体とを剥離することが困難な場合がある。とりわけ、近年の集積回路の高積層化にともない、極めて薄いウエハが求められるようになっていることから、ウエハとウエハ支持体とを剥離する際にウエハが破損してしまうという問題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記現状に鑑み、ウエハの加工処理時にはウエハに強固に接着して支持することによりウエハを破損することなく加工することができ、処理後には容易にウエハから剥離することができるウエハ支持体及び該ウエハ支持体を用いる半導体ウエハの製造方法を提供する。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、基体と、前記基体上に形成された粘着層とからなるウエハ支持体であって前記粘着層は、室温未満の温度では非粘着性を有し、かつ、室温以上の温度では粘着性を有するウエハ支持体である。
以下に本発明を詳述する。
【0006】
本発明のウエハ支持体は、基体と粘着層とからなるものである。
上記基体としては特に限定されず、例えば、金属等からなるものが挙げられる。上記基体は通常、ウエハの形状により、板状又は円盤状に成形して用いられる。上記基体の厚さとしては特に限定されないが、通常、好ましい下限は0.3mm、上限は4mmである。
【0007】
上記粘着層は、室温以下の温度では非粘着性であり、かつ、室温を超える温度では粘着性であるという性質を有するものである。これにより、室温を超える温度に加熱して粘着性を発現させた状態でウエハとウエハ支持体とを接着し、この状態でウエハの加工処理を行い、ウエハの加工処理を終えた後には室温以下の温度に冷却することにより容易にウエハとウエハ支持体とを剥離することができる。なお、本発明において室温とは、ウエハとウエハ支持体が剥離する際の雰囲気温度のことであり、季節にもよるがその好ましい下限は5℃、好ましい上限は40℃であり、より好ましい下限は10℃、より好ましい上限は30℃である。
粘着層が粘着性を示す温度としては室温を超える温度であれば特に限定されないが、夏場など室温が高くなる場合においても室温で粘着性が発現しにくいように、好ましい下限は45℃である。
【0008】
かかる性質を有する粘着層としては特に限定されないが、例えば、炭素数10以上の長鎖アルキル基を有するアクリル酸エステルモノマーに由来する側鎖を有する結晶性のポリマーを含有するものが好適に用いられる。
かかるポリマーは、加熱して温度を上昇すると側鎖が融解して粘着性を示し、一方、冷却すると結晶化して粘着性を失う。
かかる結晶性のポリマーとしては、炭素数10以上の長鎖アルキル基を有するアクリル酸エステルモノマーのみを重合してなるホモポリマーであってもよいし、他のモノマーとの共重合体であってもよい。更に、これらのホモポリマー又は共重合体と、他の化合物との混合物でもあってもよい。
粘着層が粘着性を示す温度は、上記炭素数10以上の長鎖アルキル基を有するアクリル酸エステルモノマーに由来する成分の含有量により調整することができる。
【0009】
上記粘着層は、高温時におけるウエハとウエハ支持体との粘着力を向上させるため、又は、基体と粘着層との接着力を向上させるために、粘着付与樹脂を含有してもよい。
また、上記粘着層は、エッチング処理時の発熱をウエハ支持体の基体に伝えて熱を放熱させるために、熱伝導性フィラーを含有してもよい。
更に、上記粘着層は、粘着層構成時の粘度の調整のため、又は、粘着層自体のコストダウンのために、各種フィラーを含有してもよい。
【0010】
上記粘着層の厚さの好ましい下限は5μm、好ましい上限は1000μmである。5μm未満であると、粘着力が不足しウエハを固定できないことがあり、1000μmを超えると、粘着剤を形成するのに時間がかかりコストが高くなることがある。
【0011】
本発明のウエハ支持体を作製する方法としては特に限定されず、例えば、上記粘着層を構成する炭素数10以上の長鎖アルキル基を有するアクリル酸エステルモノマー等を重合した重合体を必要に応じて溶媒に希釈したものを上記基体上に塗工し乾燥させることにより粘着層を形成する方法、上記粘着層を構成する炭素数10以上の長鎖アルキル基を有するアクリル酸エステルモノマー等を上記基体上に塗工し、紫外線等のエネルギーを照射することにより重合して粘着層を形成する方法等が挙げられる。
上記塗工の方法としては特に限定されず、例えば、スプレーコート、グラビアコート、ロールコート、バーコート等の塗工法が挙げられる。
【0012】
本発明のウエハ支持体は、基体と上述の性質を有する粘着層とからなることから、加熱することによりウエハと接着することができ、ウエハの加工処理時にはウエハに強固に接着して支持することによりウエハを破損することなく加工することができるとともに、処理後には冷却することにより容易にウエハから剥離することができる。
【0013】
本発明のウエハ支持体を用いることにより、極めて効率よく半導体ウエハを製造することができる。
少なくとも、本発明のウエハ支持体とウエハとを接着する工程と、ウエハ支持体に接着したウエハを加工処理する工程と、ウエハをウエハ支持体から剥離する工程とを有する半導体ウエハの製造方法もまた、本発明の1つである。
【0014】
上記ウエハ支持体とウエハとを接着する工程においては、ウエハ支持体を室温を超える温度にまで加熱した状態で粘着層とウエハとを接着するか、又は、ウエハ支持体の粘着層上にウエハを設置した後に室温をこえる温度にまで加熱して粘着層とウエハとを接着することが好ましい。
ウエハ支持体を加熱する温度としては特に限定されないが、上限はエッチング処理時の反応熱に伴う温度上昇の上限により決められ、これにあわせて上記粘着層の性質を選択する。
【0015】
上記ウエハ支持体に接着したウエハを加工処理する工程においては、ウエハの成膜、ウエハのクリーニング、ウエハの研削、ウエハのエッチング、ウエハの特性検査、ウエハのダイシング、ウエハのスクライビングからなる群より選択される1種以上の加工処理が行われている。この際、ウエハはウエハ支持板に固定されているので、破損したりすることがない。
また、上記ウエハとウエハ支持体とは、処理前及び処理時は一度高温で貼り付けを行っているので、処理後に常温環境下に置かれても、外力を与えなければ接着したままの状態を保つことができ、処理されたウエハをウエハ支持体に固定したまま保存・搬送を行うことができる。
【0016】
上記ウエハをウエハ支持体から剥離する工程においては、ウエハを室温以下の温度にまで冷却した後に外力を与えることによりウエハとウエハ支持体とを剥離する。室温以下の温度にまで冷却することにより、粘着層は粘着性を失うので、外力をかけることで容易にウエハとウエハ支持体とを剥離することができる。
【0017】
【実施例】
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
【0018】
(実施例1)
2−エチルヘキシルアクリレートモノマー(以下、2EHAモノマーともいう)29.5重量部、ステアリルアクリレートモノマー(以下、S−Aモノマーともいう)70重量部、アクリル酸0.5重量部、及び、光重合開始剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製、IC−651)0.05重量部を混合し、更に酢酸エチルを加えモノマー濃度が55wt%の溶液を調製した。
【0019】
調製した溶液をセパラブルフラスコ入れ、攪拌しながら波長365nmの紫外線を照射強度が1mWとなるように照射し、4時間重合して重合体溶液を得た。なお、攪拌翼は回転速度を70回転/分に設定した。また、紫外線は紫外線ランプを用いて照射した。
得られた重合体溶液の固形分100重量部に対して、粘着付与樹脂(荒川化学社製「スーパーエステルA115」)10重量部とイソシアネート架橋剤0.5重量部とを加え、充分に混合して粘着剤溶液を得た。
【0020】
得られた粘着剤溶液を、直径300mm、厚み700μm鋼鈑(SUS430)の全面に厚さ0.3μmのニッケルメッキを施した基板上に塗工し、酢酸エチルを蒸発させることにより、基体の中心部に直径が200mmで厚みが100μmの粘着剤層を有するウエハ支持体を得た。
【0021】
得られたウエハ支持体の上に、直径200mmのエッチング処理前のウエハを設置した。次いで、60℃の環境下10分間に置いた後、ウエハと同一の直径で4kgの重さのおもりをウエハと重ね合わせるように乗せ、更に1分間置いた後、おもりを除去した。次いで、ウエハにエッチング処理を行った後、23℃の環境下に置き1時間後に以下の評価を行った。
結果を表1に示した。
【0022】
(1)ウエハが下になるようウエハ支持体を保持し、5分間の間にウエハが自重によりウエハ支持体から脱落したりや落下したりしないかを観察した。
(2)手でウエハとウエハ支持体とを剥離できるかを評価した。
【0023】
(3)また、同様の方法により、長さ100mm、幅30mmの金属板上に、厚みが100μmとなるように粘着層を形成した試験片を作製した。
次いで、粘着剤層の上に金属板と同じ大きさのポリエチレンテレフタレートフィルムを載せ、60℃の環境下に10分間置いた後、試験片と同じ大きさで4kgの重さのおもりを乗せ、加熱温度を100℃まで上げそのまま5分間保持した。おもりを取り除き試験片が23℃に冷えるまで1時間放置した。
この試験片を用いて、JIS Z 0237に準じた方法により、180°剥離試験を行い、180°剥離強度を測定した。
【0024】
(実施例2)
2EHAモノマー29.8重量部、S−Aモノマー70重量部、1.6−ヘキサンジオールジアクリレートモノマー0.2重量部、及び、光重合開始剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製、IC−651)0.1重量部を混合し、更に酢酸エチルを加えてモノマー濃度が55wt%の溶液を調製した。
【0025】
次いで、溶液を円形に塗布した後、塗布面を離型処理されたポリエチレンテレフタレートフィルムで覆い、その上から波長365nmの紫外線を照射強度が1mWとなるように15分間照射した。ポリエチレンテレフタレートフィルムを取り除き、基体の中心部に直径が200mmで厚みが100μmの粘着剤層が配設されたウエハ支持体を得た。
【0026】
得られたウエハ支持体を用いて、実施例1と同様のウエハ加工操作を行い、また、同様の評価を行った。
結果を表1に示した。
【0027】
(実施例3)
ブチルアクリレートモノマー(以下、BAモノマーともいう)49.5重量部、ベヘニルアクリレート(以下、BH−Aモノマーともいう)50重量部、アクリル酸0.5重量部、光重合開始剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製、IC−651)0.05重量部を混合し、酢酸エチルを加えモノマー濃度が55wt%の溶液を調製し、これを用いたこと以外は実施例1と同様にしてウエハ支持体を得た。
得られたウエハ支持体を用いて、実施例1と同様のウエハ加工操作を行い、また、同様の評価を行った。
結果を表1に示した。
【0028】
(比較例1)
2EHAモノマー99.5重量部、アクリル酸0.5重量部、光重合開始剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製、IC−651)0.05重量部を混合し、酢酸エチルを加えモノマー濃度が55wt%の溶液を調製したこと以外は実施例1と同様にしてウエハ支持体を得た。
得られたウエハ支持体を用いて、実施例1と同様のウエハ加工操作を行い、また、同様の評価を行った。
結果を表1に示した。
(比較例2)
実施例1で作製したウエハ支持体を用い、23℃でウエハとウエハ支持体とを貼り合わせたこと以外は、実施例1と同様のウエハ加工操作を行い、また、同様の評価を行った。
結果を表1に示した。
【0029】
【表1】
【0030】
【発明の効果】
本発明によれば、ウエハの加工処理時にはウエハに強固に接着して支持することによりウエハを破損することなく加工することができ、処理後には容易にウエハから剥離することができるウエハ支持体及び該ウエハ支持体を用いる半導体ウエハの製造方法を提供できる。
Claims (4)
- 基体と、前記基体上に形成された粘着層とからなるウエハ支持体であって
前記粘着層は、室温以下の温度では非粘着性であり、かつ、室温を超える温度では粘着性である
ことを特徴とするウエハ支持体。 - 粘着層は、炭素数10以上の長鎖アルキル基を有するアクリル酸エステルモノマーに由来する側鎖を有する結晶性のポリマーを含有することを特徴とする請求項1記載のウエハ支持体。
- 少なくとも、
請求項1又は2記載のウエハ支持体とウエハとを接着する工程と、
前記ウエハ支持体に接着したウエハを加工処理する工程と、
前記ウエハを前記ウエハ支持体から剥離する工程とを有する半導体ウエハの製造方法であって、
前記ウエハ支持体とウエハとを接着する工程は、前記ウエハ支持体を室温を超える温度にまで加熱した状態で粘着層と前記ウエハとを接着する、又は、前記ウエハ支持体の粘着層上にウエハを設置した後に室温を超える温度にまで加熱して粘着層と前記ウエハとを接着することにより行い、
前記ウエハを前記ウエハ支持体から剥離する工程は、前記ウエハを室温以下の温度にまで冷却した後に外力を与えることにより前記ウエハと前記ウエハ支持体とを剥離することにより行う
ことを特徴とする半導体ウエハの製造方法。 - 加工処理は、ウエハの成膜、ウエハのクリーニング、ウエハの研削、ウエハのエッチング、ウエハの特性検査、ウエハのダイシング、ウエハのスクライビングからなる群より選択される1種以上の加工処理であることを特徴とする請求項3記載の半導体ウエハの製造方法。
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