JP3810515B2 - 剥離可能な熱伝導性感圧接着剤とその接着シ―ト類 - Google Patents

剥離可能な熱伝導性感圧接着剤とその接着シ―ト類 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子部品と放熱部材との固定や、建材、車輛、航空機、船舶などの各種分野での部材の固定目的などの用に供される剥離可能な熱伝導性感圧接着剤と、そのテ―プ状やシ―ト状などの接着シ―ト類に関する。
【0002】
【従来の技術】
ハイブリツトパツケ―ジ、マルチモジユ―ル、あるいはプラスチツクや金属による密封型集積回路などの電子部品では、IC回路の高集積化などにともない、発熱量が増大し、温度上昇のために電子部品に機能障害を生じるおそれがあり、これを防ぐために、通常、適宜の接着材料を用いて、電子部品に対してヒ―トシンクなどの放熱部材を付設するようにしている。
【0003】
上記の接着材料としては、アクリル系単量体にアルミニウム粉や重合開始剤を含ませた接着剤(米国特許第4,722,960号明細書)、接着剤層の厚さより大きい粒径の銀粒子を含ませた導電性接着テ―プ(米国特許第4,606,962号明細書)、極性基を持つアクリル系重合体に熱伝導性充填剤をランダムに分散させた熱伝導電気絶縁感圧接着剤(特開平6−88061号公報:欧州特許EP−566093−A1)などが、数多く知られている。
【0004】
ところが、最近になり、電子部品の廃棄時やモジユ―ル交換時に、接着固定したヒ―トシンクなどの放熱部材を電子部品から剥離分離して、再利用することがよく行われている。この場合、接着材料は、使用時に高い密着性が得られて良好な固定目的を果たすとともに、電子部品の廃棄時やモジユ―ル交換時には容易に剥離できる易剥離性を有していることが望まれる。
【0005】
しかし、上記公知の接着材料は、いずれも、熱伝導性に好結果を得るために、高圧で密着力を向上させており、そのために、初期接着力がかなり大きく、そのうえ、長期間の高温放置後に、電子部品などの高極性表面に対して接着材料の濡れ性が増加して、上記接着力が増大し、これらのことから、電子部品の廃棄時やモジユ―ル交換時に容易に剥離することはできなかつた。
【0006】
そこで、特開昭56−61468号公報、特公平1−53989号公報、特公平2−42393号公報などにおいて、初期には高接着力の軟質状態とし、剥離時には光や熱で硬化処理して架橋密度の増大や発泡化により接着力を低減できるようにした硬化型感圧接着剤が提案されている。しかし、このような感圧接着剤は、光や熱による処理工程を必要とし、工程上や設備上などの面で煩雑になり、許容条件の制約から適用範囲が狭いなどの難点があつた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
したがつて、本発明は、上記提案のものとは異なる非硬化型接着材料として、使用時の高い密着性と使用後の易剥離性とを両立しうる剥離可能な熱伝導性感圧接着剤と、その接着シ―ト類を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的に対する鋭意検討の過程において、アクリル系重合体に熱伝導性充填剤を配合した非硬化型接着材料では、上記重合体に極性基を導入することにより、電子部品などに対する接着性に好結果を得ることはできるが、初期接着力を剥離可能な程度に調整するのが容易でなく、そのうえ、長期間の高温放置後に、上記極性基が電子部品などの高極性表面に対して濡れ性増加の原因となり、接着力を著しく増大させてしまうという知見を得た。
【0009】
本発明者らは、この知見を踏まえ、アクリル系重合体の分子内に初期接着力の調整を困難にし、また高温放置下で濡れ性を増大させる原因となる極性基を導入するのをやめ、極性基を持たないアクリル系重合体に熱伝導性充填剤を配合してなる非硬化型接着材料について、種々検討した結果、上記重合体を紫外線などによる光重合で得るとともに、交叉結合剤の使用などにより上記光重合物の引張弾性率を特定範囲に規制したときに、被着体に対し低圧着で高い密着性を示して、熱伝導性および耐熱性にすぐれ、しかも初期接着力を適度な大きさに調整でき、かつ高温放置後の極端の濡れ性の増加、これに伴う接着力の増大がみられない、使用後の剥離性にすぐれた熱伝導性感圧接着剤が得られ、これを電子部品と放熱部材の接着固定に適用すると、放熱性にすぐれ、かつ廃棄時やモジユ―ル交換時には容易に剥離できることを知り、本発明を完成するに至つた。
【0010】
すなわち、本発明は、a)アルキル基の炭素数が平均2〜14個である(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分とし、かつ極性基含有単量体を含まない単量体(またはその部分重合物)100重量部、b)光重合開始剤0.01〜5重量部、c)交叉結合剤としての多官能(メタ)アクリレ―ト0.05〜5重量部、d)熱伝導性充填剤10〜300重量部を含む組成物の光重合物からなり、かつ引張弾性率が0.3〜7.0Kg/cm2 の範囲にあることを特徴とする剥離可能な熱伝導性感圧接着剤(請求項1)と、基材の片面または両面に上記構成の剥離可能な熱伝導性感圧接着剤の層が設けられてなるシ―ト状やテ―プ状などの形態とされた接着シ―ト類(請求項2,3)とに係るものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の組成物において、a成分の単量体(またはその部分重合物)は、アルキル基の炭素数が平均2〜14個である(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分とし、かつ(メタ)アクリル酸、マレイン酸などのカルボキシル基含有単量体、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレ―ト、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレ―トなどの水酸基含有単量体、(メタ)アクリルアミド、N−ビニルピロリドン、(メタ)アクリロイルモルフオリンなどの窒素含有単量体などの極性基含有単量体を含まないことを特徴としたものである。
【0012】
上記のアルキル基の炭素数が平均2〜14個である(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、(メタ)アクリル酸と非タ―シヤリ―アルキルアルコ―ルとのエステルで、たとえば、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルなどが用いられる。これらを主成分とするとは、これらエステルのほかに、通常30重量%以下の割合で、かつ重合反応に影響を与えない範囲内で、スチレン、塩化ビニル、酢酸ビニルなどの分子内に極性基を含まない他の単量体を含んでいてもよいことを意味する。
【0013】
本発明の組成物において、b成分の光重合開始剤としては、ベンゾインメチルエ―テル、ベンゾインイソプロピルエ―テルなどのベンゾインエ―テル類、アニゾインメチルエ―テルなどの置換ベンゾインエ―テル類、2,2−ジエトキシアセトフエノン、2,2−ジメトキシ−2−フエニルアセトフエノンなどの置換アセトフエノン類、2−メチル−2−ヒドロキシプロピオフエノンなどの置換−α−ケト―ル類、2−ナフタレンスルホニルクロリドなどの芳香族スルホニルクロリド類、1−フエノン−1,1−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシムなどの光活性オキシム類が挙げられる。
【0014】
これらの光重合開始剤は、a成分の単量体(またはその部分重合物)100重量部に対して、0.01〜5重量部、好ましくは0.05〜1重量部の割合で用いられる。0.01重量部より少ないと、光重合物中に単量体が多く残存し、また5重量部より多いと、光重合物の分子量が低下して感圧接着剤の凝集力が不足し、いずれも、接着特性に好ましい結果が得られにくい。
【0015】
本発明の組成物において、c成分の交叉結合剤としては、トリメチロ―ルプロパントリ(メタ)アクリレ―ト、ペンタエリスリト―ルテトラ(メタ)アクリレ―ト、1,2−エチレングリコ―ルジ(メタ)アクリレ―ト、1,6−ヘキサンジオ―ルジ(メタ)アクリレ―トなどの多官能(メタ)アクリレ―トが挙げられる。これらの交叉結合剤は、光重合物からなる感圧接着剤の凝集力を調整するうえで、とくに重要な成分となるものである。
【0016】
このような交叉結合剤は、a成分の単量体(またはその部分重合物)100重量部に対して、0.05〜5重量部、好ましくは0.1〜1重量部の割合で用いられる。0.05重量部より少ないと、感圧接着剤の凝集力の低下をきたし、高温下で長期間放置したのちの接着力が増大し、使用後容易に剥離できなくなる。また、5重量部より多いと、光重合物が硬くなつて、被着体表面への接着面積が十分に取れず、密着性が低下し、熱伝導性が悪くなる。
【0017】
本発明の組成物において、d成分の熱伝導性充填剤には、SiO2 、TiB2 、BN、Si3 4 、TiO2 、MgO、NiO、CuO、Al2 3 、Fe2 3 などがある。これらの熱伝導性充填剤の粒子径は、とくに限定されないが、一般には、0.5〜250μm、好ましくは1〜100μm、より好ましくは5〜30μmの平均粒子径を有しているのがよい。粒子形状は、球状、針状、フレ―ク状、スタ―状などのいかなる形状でもよい。形状の選択は、a成分の単量体のレオロジ―および組成物のレオロジカルな性質により決められる。また、このような熱伝導性充填剤としては、光重合処理を施す前の組成物の調製中または調製後の極端な粘度上昇を避けるために、その純度が95重量%以上、好ましくは98重量%以上であるものを使用するのがよい。
【0018】
このようなd成分の熱伝導性充填剤は、a成分の単量体(またはその部分重合物)100重量部に対して、10〜300重量部、好ましくは10〜120重量部の割合で用いられる。10重量部未満となると、熱伝導性の良好な感圧接着剤が得られにくく、また300重量部より多くなると、被着体表面への密着性が低下したり、接着力が阻害されるなどの問題が起こりやすい。
【0019】
本発明の組成物の調製においては、まず、上記したa成分の単量体とb成分の光重合開始剤とを一緒に混合し、通常はこのプレミツクスを部分的に重合して、粘度が約5〜500ポイズの部分重合物からなる塗布可能なシロツプ状にする。あるいは、上記したa成分の単量体とb成分の光重合開始剤とのプレミツクスに対して、ヒユ―ムドシリカのようなチキソトロ―プ剤を混合することにより、塗布可能なシロツプ状にすることもできる。
【0020】
つぎに、このシロツプ状物に、c成分の交叉結合剤と、d成分の熱伝導性充填剤と、必要により追加の光重合開始剤を混合し、光重合用の組成物を調製する。この組成物には、さらに必要により顔料、充填剤、老化防止剤、粘着付与剤などの公知の各種添加剤を、紫外線などの照射による光重合を妨げない範囲内で添加してもよく、これにより各種特性の改善を図つてもよい。
【0021】
本発明においては、上記のような組成物に紫外線や放射線などを照射して、光重合物とする。ここで、紫外線を照射する場合、窒素ガスなどの不活性ガスで置換した酸素のない雰囲気中で行うか、紫外線透過性フイルムによる被覆で空気を遮断した状態で行うのがよい。紫外線は、波長範囲が180〜460nmの電磁放射線であるが、これより長波長または短波長の電磁放射線を用いてもよい。紫外線源には、水銀ア―ク、炭素ア―ク、低圧水銀ランプ、中・高圧水銀ランプ、メタルハライドランプなどの通常の照射装置が用いられる。紫外線の強度は、被照射体までの距離や電圧の調整により適宜設定できるが、通常は、0.1〜10mW/cm2 の光を用いるのが望ましい。
【0022】
また、放射線を照射する場合、放射線として、活性エネルギ―線で、α線、β線、γ線、中性子線、加速電子線のような電離性放射線が用いられる。この放射線の照射量は、1〜10Mrad程度とするのが望ましい。なお、この放射線と前記の紫外線とを併用することもできる。
【0023】
本発明においては、このように形成される光重合物を、常態で感圧接着性を有するアクリル系の熱伝導性感圧接着剤としたものであり、その際、引張弾性率を0.3〜7.0Kg/cm2 の範囲、好ましくは1.0〜5.0Kg/cm2 の範囲に設定することにより、この熱伝導性感圧接着剤は、電子部品などの被着体に対して低圧着で高い密着性を示して、熱伝導性および耐熱性にすぐれたものとなり、しかも初期接着力を適度な大きさに調整でき、かつ高温下に長期間放置したのちでも極端の濡れ性の増加、これに伴う接着力の増大がみられない、使用後の剥離性にすぐれたものとなるという、格別の性能を発揮する。
【0024】
引張弾性率の上記設定は、光重合前の組成物における各成分の種類および量、とくにc成分の交叉結合剤の種類および量を適宜選択したり、紫外線や放射線の照射量などを適宜選択することにより、容易に行うことができる。ここで、引張弾性率が0.3Kg/cm2 未満となると、感圧接着剤の凝集力が低くなりすぎて、高温下に長期間放置したのちに接着力が増大しやすく、使用後に容易に剥離できなくなる。また、7.0Kg/cm2 を超えると、接着剤が硬くなりすぎて、接着面積が十分に取れず、密着性が低下し、熱伝導性が悪化する。
【0025】
本発明の接着シ―ト類は、上記構成の熱伝導性感圧性接着剤を基材の片面または両面に設けて、シ―ト状やテ―プ状の形態としたものである。その製造には、剥離ライナ上に前記の組成物を塗布しこれを光重合して上記構成の熱伝導性感圧接着剤の層を形成し、これを基材の片面または両面に転写する方法、あるいは、剥離ライナを使用せず基材上に前記の組成物を直接塗布しこれを光重合して上記構成の熱伝導性感圧性接着剤の層を形成する方法などが挙げられる。
【0026】
ここで、基材には、ポリエステル、ポリイミドなどのプラスチツクフイルム、難燃性のフイルムや不織布があり、また耐熱性や熱伝導性の良好な基材として、熱伝導性シリコ―ンゴムなどの熱伝導性の良好なポリマ―からなるシ―ト状物、銅箔、アルミ箔、ステンレス箔、ベリリウム銅などの金属箔が用いられる。基材の厚さは、通常12μm〜4mmである。また、この基材上に設けられる熱伝導性感圧接着剤の層の厚さは、通常10〜150μmであるのがよい。
【0027】
このようにして作製される本発明の接着シ―ト類は、JIS−Z−1522に準拠した、ヒ―トシンクの材料として主に用いられるアルミニウムに対する接着力が、80℃で60分放置後において、200g/20mm幅以下の値を示し、初期接着力はもちろん、高温放置後でも上記小さな接着力を示すために、使用後に容易に剥離することが可能である。なお、使用時の接着固定力を維持するため、上記接着力が5g/20mm幅以上、好ましくは50g/20mm幅以上であるのがよく、このような接着力の調節は、単量体組成、c成分の交叉結合剤による架橋密度の調節、接着剤層の厚さなどにより、容易に行える。
【0028】
本発明の接着シ―ト類を、電子部品と放熱部材との接着固定に適用するには、両被着体間に本発明の接着シ―ト類を介在させて軽く圧着すればよく、これにより高い密着性が得られて所期の接着固定目的を達成でき、上記接着シ―ト類の良好な熱伝導性および耐熱性によつてすぐれた放熱効果を発揮する。また、電子部品の廃棄時やモジユ―ル交換時には、一方の被着体を弱い力で引き剥がすことにより簡単に剥離分離できるので、その取り扱いが容易である。
【0029】
接着固定対象の電子部品としては、ICチツプ、ハイブリツドパツケ―ジ、マルチチツプモジユ―ル、パワ―トランジスタ、あるいはプラスチツクや金属による密封型の集積回路などが挙げられる。本発明では、IC回路を高度に集積したもののような発熱量の大きい電子部品の接着固定に有利に適用できるとともに、剥離を必要とする場合に、簡単に剥離することができる。
【0030】
また、他方の放熱部材としては、熱伝導性基材の形成材として例示した前記の金属からなる板やシ―ト状物などよりなるヒ―トシンクや、その他の放熱器などが挙げられる。上記のヒ―トシンクの厚さとしては、10μm〜10mm、好ましくは50μm〜50mm、さらに好ましくは100μm〜3mmが一般的であるが、これに限定されない。また、放熱器としては、冷却フインを有する形態などの適宜な構造物であつてもよい。
【0031】
本発明の剥離可能な熱伝導性感圧接着剤とその接着シ―ト類は、電子部品と放熱材材との接着固定に限られず、建材、車両、航空機、船舶などの各種分野での部材の固定目的などの用に供することができ、これらの用途目的に用いたときでも上記と同様の効果を奏することはいうまでもない。
【0032】
【実施例】
以下、本発明の実施例を記載して、より具体的に説明する。なお、以下において部とあるのはすべて重量部を意味するものである。
【0033】
実施例1
アクリル酸イソオクチル80部、アクリル酸ブチル20部、2,2−ジメトキシ−2−フエニルアセトン(光重合開始剤)0.1部からなるプレミツクスを、窒素雰囲気中で紫外線に暴露して部分重合させ、粘度が40ポイズの塗布可能なシロツプを得た。このシロツプに、上記の単量体100部あたり、交叉結合剤としてのトリメチロ―ルプロパントリアクリレ―ト0.2部、熱伝導性充填剤としての窒化ホウ素(BN)(純度99.7重量%、平均粒径8μm)70部を添加し、よく混合して、組成物を調製した。
【0034】
つぎに、この組成物を、剥離剤で表面処理したポリエステルフイルム上に塗布し、窒素ガス雰囲気下、光強度5mW/cm2 の高圧水銀ランプにより900mj/cm2 の紫外線を照射して、光重合処理したのち、熱風循環乾燥機中、130℃で5分間乾燥処理して、厚さが50μmの剥離可能な熱伝導性感圧接着剤の層を形成した。この層を、基材としての厚さが30μmのアルミニウム箔の両面に転写して、全厚が130μmの接着シ―トを作製した。
【0035】
実施例2
アクリル酸2−エチルヘキシル90部、アクリル酸ブチル10部、2,2−ジメトキシ−2−フエニルアセトン(光重合開始剤)0.1部からなるプレミツクスを、窒素雰囲気中で紫外線に暴露して部分重合させ、粘度が60ポイズの塗布可能なシロツプを得た。このシロツプに、上記の単量体100部あたり、交叉結合剤としてのトリメチロ―ルプロパントリアクリレ―ト0.2部、熱伝導性充填剤としてのアルミナ(Al2 3 )(純度99.7重量%、平均粒径3.7μm)170部を添加し、よく混合して、組成物を調製した。
【0036】
つぎに、この組成物を、剥離剤で表面処理したポリエステルフイルム上に塗工し、窒素ガス雰囲気下、光強度5mW/cm2 の高圧水銀ランプにより900mj/cm2 の紫外線を照射して、光重合処理したのち、熱風循環乾燥機中、130℃で5分間乾燥処理して、厚さが50μmの剥離可能な熱伝導性感圧接着剤の層を形成した。この層を、基材としての厚さが30μmのアルミニウム箔の両面に転写して、全厚が130μmの接着シ―トを作製した。
【0037】
比較例1
アクリル酸イソオクチル80部およびアクリル酸ブチル20部を、アクリル酸イソオクチル65部、アクリル酸ブチル20部およびアクリル酸15部に変更した以外は、実施例1と同様にして、接着シ―トを作製した。
【0038】
比較例2
交叉結合剤であるトリメチロ―ルプロパントリアクリレ―トの使用量を10部に変更した以外は、実施例1と同様にして、接着シ―トを作製した。
【0039】
比較例3
熱伝導性充填剤である窒化ホウ素(BN)70部を配合しなかつた以外は、実施例1と同様にして、接着シ―トを作製した。
【0040】
比較例4
アクリル酸2−エチルヘキシル95部、アクリル酸5部を、210部の酢酸エチル中で、2,2−アゾビスイソブチロニトリル0.4部の共存下、窒素置換下に60〜80℃で撹拌しながら溶液重合処理して、粘度が120ポイズ、重合率が99.2重量%、固形分が30重量%の共重合体溶液を得た。この溶液に、共重合体100部に対して、多官能イソシアネ―ト系架橋剤3部、熱伝導性充填剤としてのシリカ(SiO2 )(純度99.7重量%、平均粒子径1.8μm)120部を添加し、よく混合して、熱伝導性感圧接着剤を調製した。
【0041】
つぎに、この熱伝導性感圧接着剤を、剥離剤で表面処理したポリエステルフイルムからなる剥離ライナ上に塗布し、熱風乾燥機中40℃で5分間乾燥後、さらに130℃で5分間乾燥処理して、厚さが50μmの熱伝導性感圧接着剤の層を形成した。この層を、基材としての厚さが30μmの銅箔の両面に転写して、全厚が130μmの接着シ―トを得た。
【0042】
以上の実施例1,2および比較例1〜4の各接着シ―トについて、熱伝導性感圧接着剤の引張弾性率を、下記の方法により測定した。また、下記の要領にて、接着力試験、耐熱剪断保持力試験、熱抵抗試験および剥離性試験を行つた。これらの結果は、表1に示されるとおりであつた。
【0043】
<引張弾性率の測定>
接着シ―トの熱伝導性感圧接着剤の層を4枚重ねて、長さ5cm、幅1cmの短冊状にし、これをサンプルとして、引張試験機で50mm/分の速度で引張強度を測定した。引張弾性率を、下記の式にしたがつて、算出した。
引張弾性率=B/(A×1.0)
A:熱伝導性感圧接着剤の層を4枚重ねたものの厚さ(cm)
B:伸び率100%時の引張強度(Kg)
【0044】
<接着力試験>
JIS−Z−1522に準拠し、アルミニウム板に対して接着シ―トを2Kgのロ―ラで1往復させる圧着条件で貼り付けて試験片を作製した。この試験片を、80℃の雰囲気中に60分間放置したのち、取り出し、23℃の雰囲気中30分経過後に、180°引き剥がし接着力を測定した。
【0045】
<耐熱剪断保持力試験>
アルミニウム板(125mm×25mm×0.4mm)の長尺方向の一端に、接着面積が20mm×10mmとなるように、接着シ―ト(幅10mm)を貼り合わせ、80℃で30分間放置したのち、80℃で200gの荷重をかけ、60分以上落下せずに保持するかどうかを試験した。60分以上保持するものを○、60分以内に落下するものを×、と評価した。
【0046】
<熱抵抗試験>
TO−220パツケ―ジ中のトランジスタを、接着シ―トを用いて、水に浸し一定温度になつたヒ―トシンクに、圧着圧力2Kg/cm2 で接着固定したのち、トランジスタに一定量の出力を供給し、トランジスタの温度(T2)と接着シ―ト下側の表面温度(T1)の温度差(T2−T1)を測定した。この温度差より、下記のしたがつて、熱抵抗を測定した。
熱抵抗(℃・cm2 /W)=(T2−T1)×A/P
A:トランジスタの面積(cm2
P:トランジスタの消費電力(W)
【0047】
なお、トランジスタの温度(T2)は、トランジスタパツケ―ジの金属ベ―ス部分にスポツト溶接された熱電対により測定した。また、接着シ―ト下側の表面温度(T1)は、ヒ―トシンクに微小の穴をあけ、熱電対を押し込むことにより測定した。その際、熱電対を接着シ―トの接着面積に影響がないように極力近接して保持するようにした。なおまた、上記方法にて測定される熱抵抗は、その値が小さいほど熱伝導性にすぐれていることを意味している。
【0048】
<剥離性試験>
20mm×20mmの大きさのアルミニウム(黒アルマイト処理)製ヒ―トシンクとIC(樹脂バツケ―ジ)とを、接着シ―トを介在させて接着固定したのち、手で剥離したときの剥がし易さを判定した。容易に剥離可能なものを○、剥離困難であるものを×、と評価した。
【0049】
Figure 0003810515
【0050】
上記表1の結果から明らかなように、本発明の実施例1,2の接着シ―トは、熱抵抗が小さくて熱伝導性にすぐれ、かつアルミニウム板に対し高温放置後でも200g/20mm幅の弱接着力を示して、使用後に容易に剥離可能であり、しかも、上記接着力でもその良好な密着性とさらに耐熱性とにより、耐熱剪断保持力を満足し、接着固定目的を十分に果たせることがわかつた。
【0051】
これに対して、アクリル系重合体中に極性基を含む比較例1の接着シ―トは、高温放置後の接着力が大きすぎて、使用後に剥離困難となり、また極性基を含まないアクリル系重合体を用いても、引張弾性率が大きすぎる比較例2の接着シ―トは、耐熱剪断保持力が低下し、熱伝導性が悪くなる。また、熱伝導性充填剤を含まない比較例3の接着シ―トは、熱伝導性が悪化し、さらに、溶液重合により得た極性基を含むアクリル系重合体に外部架橋剤や熱伝導性充填剤を加えた比較例4の接着シ―トは、高温放置後の接着力が大きすぎて、使用後に剥離困難となり、また耐熱剪断保持力の面でも好結果が得られていない。
【0052】
【発明の効果】
以上のように、本発明は、アクリル系重合体に極性基を導入せず、熱伝導性充填剤を含ませた上記重合体を紫外線などによる光重合で得、かつ交叉結合剤の使用などにより上記光重合物の引張弾性率を特定範囲に規制したことにより、被着体に対し低圧着で高い密着性を示して、熱伝導性および耐熱性にすぐれ、しかも初期接着力を適度な大きさに調整でき、かつ高温放置後の極端の濡れ性の増加、これに伴う接着力の増大がみられない、使用後の剥離性に非常にすぐれた剥離可能な熱伝導性感圧接着剤とその接着シ―ト類を提供できる。

Claims (3)

  1. a)アルキル基の炭素数が平均2〜14個である(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分とし、かつ極性基含有単量体を含まない単量体(またはその部分重合物)100重量部、b)光重合開始剤0.01〜5重量部、c)交叉結合剤としての多官能(メタ)アクリレ―ト0.05〜5重量部、d)熱伝導性充填剤10〜300重量部を含む組成物の光重合物からなり、かつ引張弾性率が0.3〜7.0Kg/cm2 の範囲にあることを特徴とする剥離可能な熱伝導性感圧接着剤。
  2. 基材の片面または両面に請求項1に記載の剥離可能な熱伝導性感圧接着剤の層が設けられてなる接着シ―ト類。
  3. アルミニウムに対する接着力が80℃で60分放置後において200g/20mm幅以下である請求項2に記載の接着シ―ト類。
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