JP2005320386A - ポリイミドフィルム積層体 - Google Patents

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Abstract

【課題】電子部品を実装するテープオートメーティッドボンディング(TAB)方式、あるいはチップオンフィルム(COF)方式に用いられるポリイミドフィルムと金属との接着に優れたポリイミドフィルム積層体を提供する。
【解決手段】ポリイミドフィルムとして、特定構造のトリシクロ環構造を有する脂環式テトラカルボン酸二無水物系化合物を含むテトラカルボン酸二無水物とジアミンとから得られるポリアミック酸を脱水イミド閉環して得られるポリイミドからなるポリイミドフィルムを使用する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、フレキシブル印刷回路基板(FPC)、テープオートメーティッド(TAB)方式に用いられるTAB用テープ、あるいは、チップオンフィルム(COF)方式に用いられる、ポリイミドフィルムを基材とした金属積層体に関するものである。
ポリイミドフィルムはその優れた絶縁性と耐熱性から銅箔などの金属箔と積層して、この金属箔を所定のパターンにエッチングすることにより金属配線板(フレキシブル回路基板、TABフィルム、COFフィルム等)として利用されている。当然ながら、当該ポリイミドフィルムと金属箔は十分な強度で接着していることが必要である。
ポリイミドと金属箔の積層方法としては、(1)ポリイミドフィルムの表面に、エポキシ系樹脂接着剤を塗布するか接着剤を含んでなるフィルムを設置して張り合わせる方法、(2)ポリイミドフィルム上に金属を蒸着やメッキにより金属箔を形成する方法、あるいは(3)金属箔上にポリイミドの前駆体であるポリアミック酸あるいはポリイミドを溶剤に溶かしたワニス状態で塗布し溶媒を除去する方法(ポリアミック酸を塗布した場合は、脱水イミド閉環反応を行う。)等が公知である。
しかしながら、当該分野で使用されてきたポリイミドフィルムは、化学的安定性に富んだ芳香族系化合物からなるポリイミドからなるため、接着層や金属箔に対する親和性が小さく、いずれの方法においても十分な接着強度が得られないことが問題となっていた。(例えば、非特許文献1を参照。)
この課題を解決するため、特定のラミネ−ション方法(例えば、特許文献1参照。)が提案されているが接着剤とポリイミドフィルムとの親和性に対する問題に新たな提案はなされていない。一方、特定のポリイミド樹脂組成物からなるポリイミドフィルムの使用(例えば、特許文献2参照。)はその製造方法が煩雑であり、特殊なジアミンモノマーを使用したポリイミド系樹脂を含む接着層の使用(例えば、特許文献3参照。)、多数の化合物から構成される接着層の使用(例えば、特許文献4参照。)、シロキサンポリイミド樹脂を含む接着層の使用(例えば、特許文献5参照。)特定のポリイミドフィルムの使用(例えば、特許文献6参照)は関連する化合物が極めて特殊であり、その製造および入手が容易でない。
新しいポリイミドの開発と高機能付与技術(p11−26,技術情報協会発行、2003年10月30日発刊) 特願2003−300250 特願2002−155140 特願平5−331445 特願平7−224259 特願2001−212904 特開2004−83875
本発明は、従来のポリイミドフィルムが有する絶縁性と耐熱性を損なうことなく、接着層や金属箔との接着性に富むポリイミドフィルムを基材とした金属配線板を提供することを目的とする。この問題を解決するためには、芳香族系テトラカルボン酸二無水物に代えて、高融点でかつ接着層等との親和性の高い脂環式テトラカルボン酸二無水物をポリイミドのモノマーとして使用することが必要である。
すなわち、本発明の第1は、ポリイミドフィルムと金属箔層とを含むポリイミドフィルム積層体において、ポリイミドフィルムが下記一般式(1)、(2)、(3)で表されるテトラカルボン酸二無水物の少なくとも一つと下記一般式(4)で表されるジアミンとを反応させて得られるポリアミック酸を脱水閉環して得られるポリイミドからなること、
を特徴とするポリイミドフィルム積層体に関するものである。
Figure 2005320386
Figure 2005320386
Figure 2005320386
一般式(1)、(2)、(3)において、R1は水素原子、または炭素数1〜10のアルキル基、R2は炭素数1〜10のアルキル基を表す。m、nは互いに独立の0〜5までの任意の整数であり、m+nが複数の場合、複数のR2は互いに同じでも、または、異なっても良い。
Figure 2005320386
一般式(4)において、R3は2価の有機基を表す。
本発明の第2は、本発明の第1において、ポリイミドフィルムと金属層が接着剤を介して接着されていることを特徴とするポリイミドフィルム積層体に関するものである。
本発明の第3は、本発明の第1において、ポリイミドフィルム上に金属層が直接形成されていることを特徴とするポリイミドフィルム積層体に関するものである。
本発明により、高純度で得られる特定の構造を有する新規な耐熱性と有機溶剤への溶解性に優れる脂環式テトラカルボン酸二無水物をモノマーとして用いて、エポキシ樹脂等の接着剤や金属やとの接着性に優れ、各種フレキシブル回路基板(TAB、COF等。)に使用できるポリイミドを得ることができる。
一般式(1)、(2)、(3)の少なくとも一つと一般式(4)で表されるジアミンを反応させて得られるポリアミック酸を脱水閉環して得られるポリイミドは、その構成材料として含有される一般式(1)、(2)、(3)で表される脂環式テトラカルボン酸二無水物の構造に由来して、以下の優れた特性を有する。
(1)トリシクロ環構造を有するために脂環式テトラカルボン酸二無水物中の融点が従来の脂環式テトラカルボン酸二無水物系化合物より高く、ポリイミドの耐熱性を大きく低下させることがない。また、ディールス・アルダー反応で生成した炭素・炭素不飽和結合を水素化還元反応すれば高温環境下での逆ディールス・アルダー反応による分解が抑制され、さらに耐熱性が向上する。
(2)脂環式テトラカルボン酸二無水物の構造が非対称であり、さらに、芳香族環またはシクロへキサン環を側鎖として含むため、ポリイミド分子に柔軟性が生じているため金属箔との接着性に優れる。
(3)脂環式テトラカルボン酸二無水物が非対称構造であり、さらに、芳香族環またはシクロへキサン環を側鎖として含むため、有機溶剤、接着剤に対する溶解性に優れるため、接着層との接着性に優れる。
(5)脂環式テトラカルボン酸二無水物系化合物のトリシクロ環構造部(ナフテン構造)がコロナ放電処理、プラズマ処理、紫外線照射処理等による物理的、化学的処理を受けやすく処理後の金属箔との接着性に優れる。
(6)脂環式テトラカルボン酸二無水物の構造が非対称であり、メッキ処理前のアルカリ処理効果を受けやすく処理後の金属箔との接着性に優れる。
(7)脂環式テトラカルボン酸二無水物が温和で副反応の無い経路で生成されるためポリイミド分子の不純物濃度が低い。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明のポリアミック酸およびポリイミドは、一般式(1)、(2)、(3)で表されるテトラカルボン酸二無水物の少なくとも一つと一般式(4)で表されるジアミンから得られる。一般式(1)、(2)、(3)で表されるテトラカルボン酸二無水物は、下記一般式(5)で表される化合物1モルと下記一般式(6)で表される化合物2モルとを反応させて得られる一般式(1)で表されるテトラカルボン酸二無水物((W.N.Emmerling et al 、European Polymer Journal, Vol.13, p179を参照。)を水素添加することによって得られる。
Figure 2005320386
Figure 2005320386
一般式(5)、(6)において、R1は水素原子または炭素数1〜10のアルキル基、R2は炭素数1〜10のアルキル基を表す。m、nは互いに独立の0〜5までの任意の整数であり、m+nが複数の場合、複数のR2は互いに同じでも、または、異なっても良い。
一般式(5)で表される化合物の具体例としては、1,1−ジフェニルエチレン、1,1−ジ(メチルフェニル)エチレン、1−フェニル−1−メチルフェニルエチレン、1,1−ジフェニルプロペン、1,1−ジ(メチルフェニル)プロペン、1−フェニル−1−メチルフェニルプロペン等が挙げられる。
一般式(6)で示される化合物の具体例としては、無水マレイン酸、無水シトラコン酸(3−メチル無水マレイン酸)、3−エチル無水マレイン酸、3,4−ジメチル無水マレイン酸、3−クロル無水マレイン酸、3,4−ジメチル無水マレイン酸、等が挙げられる。
一般式(5)の化合物1モルと、一般式(6)の化合物2モルとは、図1に示す経路で反応して、一般式(1)のテトラカルボン酸二無水物を生成するものと考えられる。反応の進行には、特に触媒を必要とせず、適宜、溶剤を使用して、両者を混合して加熱攪拌して得ることができる。反応温度は、溶媒を使用した場合は当該溶媒の沸点付近で行うのが一般的であるが、50〜200℃間で行うことができる。より好ましくは、60〜150℃である。反応時間は反応温度との関係から定まるが、通常0.1〜20時間の範囲が好ましい。
以下、反応経路を図1にしたがって説明する。
一般式(5)と一般式(6)の化合物とは、炭素・炭素二重結合の電子密度差を誘因として電荷移動錯体を形成する。
したがって、一般式(5)および一般式(6)それぞれの化合物に存在する置換基が、両者の炭素・炭素二重結合の電子密度差を減少させないようにすることが好ましい。すなわち、一般式(5)の化合物の芳香族環以外の炭素に電子吸引性の強い置換基を存在させすることは好ましくなく、一般式(6)の化合物の炭素に電子供与性の強い置換基を存在させることは好ましくない。さらに、立体障害効果を有する置換基の存在も好ましくない。
したがって、一般式(5)中のR1および一般式(6)中のR1の少なくとも1つが水素原子であることが好ましい。また、R1およびR2は、それぞれがアルキル基である場合、炭素数10以下であることが好ましく、炭素数5以下がさらに好ましく、特にメチル基、プロピル基が好ましい。
また、一般式(5)の化合物については、m+n≦4とすることが好ましく、特に、m+n≦2が好ましい。
したがって、最も好ましい一般式(5)で表される化合物は1,1−ジフェニルエチレンであり、最も好ましい一般式(6)で表される化合物は無水マレイン酸である。
一般式(5)と一般式(6)とから形成される電荷移動錯体は、分子内環化反応により六員環(シクロヘキサジエン環)となり、当該六員環化合物内のシクロヘキサジエン部と原料化合物一般式(6)の炭素・炭素二重結合部とが、ディールス・アルダー反応を経由して一般式(1)の化合物を生成するものと考えられる。当該ディールス・アルダー反応によって生成する炭素・炭素二重結合部は高温環境下で逆ディールス・アルダー反応で分解することがあるので、更なる耐熱性を付与したい場合は、公知の還元法等を用いて常法により水素添加して当該部分を飽和結合として一般式(2)で表されるテトラカルボン酸二無水物、更なる接着剤、有機溶剤への溶解性を付与したい場合は、側鎖の芳香族環を核水添して一般式(3)で表されるテトラカルボン酸二無水物とする。
接触還元方法は、金属触媒として、パラジウム、ルテニウム、ロジウム、白金、ニッケル、コバルト等を使用して、溶媒中で、水素圧を常圧から10MPa(100kg/cm2)の範囲、温度を0〜150℃の範囲で行うことができる。
さらに詳しく述べれば、一般式(2)で表されるテトラカルボン酸二無水物を高い収率で得る場合は、パラジウム系触媒存在下で水素圧を1MPa〜5MPaの範囲とし、温度を室温〜50℃の範囲で5〜20時間接触還元を行うとよく、一般式(3)で表されるテトラカルボン酸二無水物を高い収率で得る場合は、パラジウム系触媒存在下で水素圧を5MPa〜8MPaの範囲とし、温度を50〜100℃の範囲で5〜20時間接触還元を行うとよい。
一般式(1)、(2)、(3)で表されるテトラカルボン酸二無水物は、従前の脂環式ポリイミドに使用されているテトラカルボン酸二無水物に比べて、特段の反応条件変更を要さずに実質的にひとつの反応操作で、エン反応等と比較して温和な条件下による反応で、副生成物を生じることなく得られ、特に高い純度が要求される電気電子分野で使用されるポリイミドを製造するモノマーとして極めて優れた特性を発揮する。これらの中でも、一般式(2)、(3)で表されるテトラカルボン酸二無水物は、高温環境下でも逆ディールス・アルダー反応がないので、高い耐熱性、あるいは、長期の安定性が要求されるポリイミドの構成モノマーとして優れている。
本発明に係る一般式(1)、(2)、(3)で表されるテトラカルボン酸二無水物は、2つのカルボン酸二無水物基がトリシクロ環構造中に非対称に配置されていること、および、側鎖(例えば、n=0であればベンゼン環。)を有していることを特徴とする。本発明者らは、当該基本構造が本発明に係るポリイミドフィルムに耐熱性を維持したままでの靭性の付与、接着剤や有機溶剤への溶解性の付与に寄与して、その結果として、本発明に係るポリイミドフィルムと金属層、接着剤との接着性の向上に大きく関与しているものと考えている。これらは,単独で使用しても、併用しても良い。
また、本発明に係るポリアミック酸およびポリイミドを得るためには、一般式(1)、(2)、(3)で表されるテトラカルボン酸二無水物中に開環重付加反応や閉環反応の進行に関して立体障害となる置換基を含まないことが好ましく、一般式(1)、(2)、(3)の中でも、1,1−ジフェニルエチレンと無水マレイン酸から合成されるテトラカルボン酸二無水物が好ましい。なお、本発明の効果を損なわない範囲で、ポリイミドの構成成分として使用される公知の他のテトラカルボン酸無水物を併用することができることはもちろんである。
一般式(4)で表されるジアミン化合物としては、特に制限は無く、ポリイミド構成モノマーとして知られているジアミン化合物であればよい。R3の好ましい炭素数は6〜18であり、芳香族環を有するものがさらに好ましい。
好ましい例を挙げれば、p−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、1,5−ジアミノナフタレン、2,7−ジアミノフルオレン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−(p−フェニレンイソプロピリデン)ビスアニリン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2’−ビス[4−(4−アミノ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、4,4’−ジアミノ−2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル、4,4’−ビス[(4−アミノ−2−トリフルオロメチル)フェノキシ]−オクタフルオロビフェニルなどがあり、特に好ましくは、p−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタンおよび4,4’−ジアミノジフェニルエーテルが挙げられる。
本発明のポリアミック酸は、一般式(1)、(2)、(3)で表されるテトラカルボン酸二無水物と一般式(4)で表されるジアミン化合物とを、例えば、開環重付加反応させることにより合成することが出来る。
一般式(1)、(2)、(3)で表されるテトラカルボン酸二無水物と一般式(4)で表されるジアミン化合物とでポリアミック酸を合成するときの好ましい使用割合は、上記ジアミン化合物に含まれるアミノ基1当量に対する上記テトラカルボン酸二無水物の酸無水物基が0.2〜4当量となる範囲である。重合度の高いポリアミック酸を得たいときは、0.8〜1.2当量の範囲とする。
上記手法により、対数粘度が0.05〜10の範囲にあるポリアミック酸を得ることができる。なお、対数粘度の値は、N−メチル−2−ピロリドンを溶媒として用い、濃度が0.5g/100ミリリットルである溶液について30℃で、対数粘度=[ln(溶液粘度/溶媒粘度)]/[溶液濃度]によって求める。
ポリアミック酸の合成反応は、有機溶媒中において、通常0〜150℃、好ましくは0〜100℃の温度条件下で行われる。ここで、有機溶媒としては、合成されるポリアミック酸を溶解できるものであれば特に制限はない。なお、溶媒を例示すれば、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、テトラメチル尿素、ヘキサメチルホスホルトリアミドなどの非プロトン系極性溶媒、m−クレゾール、フェノール、ハロゲン化フェノールなどのフェノール系溶媒が挙げられる。
つづいて、この反応溶液とポリアミック酸の貧溶媒を混合して析出物を得、この析出物を減圧下乾燥することによりポリアミック酸を得ることができる。また、このポリアミック酸を再び有機溶媒に溶解させ、貧溶媒で析出させる工程を1回または数回行うことにより、ポリアミック酸を精製することができる。
なお、貧溶媒を例示すれば、水、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、シクロヘキサノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類、ジエチルエーテル、エチレングリコールメチルエーテル等のエーテル類が挙げられる。
本発明に係るポリイミドは、公知の方法に従って、上記ポリアミック酸をそのまま、あるいは、有機溶媒中で、イミド化反応時に生成する低分子化合物を系外に除去しながら、加熱して、脱水閉環(イミド化反応)して合成する。加熱における反応温度は50〜300℃、好ましくは、100〜200℃である。反応温度が50℃未満ではイミド化反応が十分に進行せず、反応温度が300℃を超えると得られるポリイミドの分子量が低下することがある。
また、上記ポリアミック酸の溶液中に脱水剤およびイミド化触媒を添加しても、本発明に係るポリイミドを合成することができる。脱水剤を例示すれば、無水酢酸、無水プロピオン酸等の酸無水物が挙げられる。イミド化触媒を例示すれば、トリエチルアミン、ピリジン、コリジン等の第3級アミンが挙げられる。また、このようにして得られる反応溶液に対し、ポリアミック酸の精製方法と同様の操作を行うことにより、本発明のポリイミドを精製することができる。
本発明に係るポリイミドは、その構成材料として含有される一般式(1)、(2)、(3)で表される脂環式テトラカルボン酸二無水物の構造に由来して、従来の脂環式テトラカルボン酸二無水物を含有するポリイミドと比較して、以下の優れた特性を併せ持っていることが特長であり、極めてバランスのとれたポリイミドである。
従来の脂環式テトラカルボン酸二無水物から得られたポリイミドの主鎖には、テトラカルボン酸二無水物中の自由回転可能な炭素・炭素結合が導入されるものがあり、そのために良好な耐熱性が得られなかったが、本発明に係るポリイミド中では、テトラカルボン酸二無水物が構成する主鎖部分はトリシクロ環構造であり、さらに、逆ディールス・アルダー反応が水素添加で抑制された場合は、特に、耐熱性が良好である。(後述のTGA分析を参照。)
本発明に係るポリイミドフィルムの製膜方法には特に制限はなく、例えば、その前駆体であるポリアミック酸(あるいは、ポリアミック酸を含むポリイミド)を含む溶液を、濾過・脱泡処理後、T−ダイから押出され、ドラムまたはベルトの上に流延し、加熱・溶媒除去され自己支持性のあるポリアミック酸フィルムとした後、熱イミド法、または、化学イミド法で製造される。なお、他の製造方法に関しては上記非特許文献1のp3−10等が参照できる。
本発明において、ポリイミドフィルムと積層される金属層を構成する金属の種類にも特に制約はなく、例えば、アルミニウム、金、銀、銅、ニッケル、クロム、マグネシウム、亜鉛等或いはこれら金属の2種以上からなる合金等を例示することができるが、銅が電気特性の面から好ましい。金属箔であれば、たとえば銅箔、アルミニウム箔、ニッケル箔等があげられるが、厚さ3〜70μmの銅箔が好ましく使用される。さらに電気伝導率、最近のファインピッチ化の進行から、厚さ3〜35μmの電解銅箔、あるいは圧延銅箔が好ましく使用される。
本発明に係るポリイミドフィルムと上記金属の金属箔とを積層するには、ポリイミドフィルムの表面に、公知の接着剤を塗布するか接着剤を含んでなるフィルムを設置して張り合わせる公知の方法を用いる。例えば、加温・加圧下でラミネートを行う。接着剤は、例えば、エポキシ化合物、ポリイミドシロキサン、エポキシ硬化剤を含む熱硬化性樹脂組成物等である。
また、本発明に係るポリイミドフィルム上に金属層を直接積層形成する場合は、ポリイミドフィルム上に金属を蒸着やメッキにより金属箔を形成する方法、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、電子ビーム法およびイオンプレーティング法等の公知の方法をによって0.1〜1μmの範囲の金属層を形成することができる。あるいは、金属箔上にポリイミドの前駆体であるポリアミック酸あるいはポリイミドを溶剤に溶かしたワニス状態で塗布し溶媒を除去する方法(ポリアミック酸を塗布した場合は、脱水イミド閉環反応を行う。)を用いる。
以下、実施例を挙げ本発明の内容を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定される
ものではない。
<テトラカルボン酸二無水物の合成例>
容量20mlのナス型フラスコに1,1−ジフェニルエチレン5.10gと無水マレイ
ン酸2.78g(モル比1:1)を入れ、10分間溶存酸素を脱気した後、油浴を140
℃に保ち5時間加熱攪拌した。反応系の温度は106℃であった。反応終了後、トルエン
をフラスコに加えて析出する沈殿物を濾過して集めた。濾過物の重量は3.65gであっ
た。
本合成例おいては、1,1−ジフェニルエチレンは反応原料として仕込まれたと同時に、過剰分は溶剤として機能している。本合成例の収率は、1,1−ジフェニルエチレン2.55gと無水マレイン酸2.78g(モル比1:2)を基準として、68%である。
(DSC分析による融点測定)
酢酸エチルから再結晶した当該化合物は、20℃/minでの昇温条件で290℃ に明
確な吸熱ピークを示した。
<テトラカルボン酸二無水物の構造決定>
(マススペクトル)
マススペクトルの結果、生成物の分子量は376であった。
(IRスペクトル測定)
700cm−1〜740cm−1:1置換芳香族帰属ピーク
760cm−1〜860cm−1:炭素・炭素二重結合帰属ピーク
1780cm−1〜1880cm−1 カルボン酸無水物帰属ピーク
(1HNMRスペクトル測定)
1H NMRスペクトル(DMSO−d6)
2.55(m、2H)、2.75(m、2H):カルボニル基隣接炭素上の水素
3.50〜3.60(m、2H)
3.70(t、1H):シクロへキセン環とシクロヘキサジエン環結合部炭素上の水素
3.80(m、2H):シクロヘキセン中のメチン水素
6.00(t、1H)、6.25(t、1H):炭素・炭素二重結合部の水素
7.20(d、2H)、7.35(t、1H)、7.45(t、2H):
一置換ベンゼン部の水素
以上の分析結果から、生成物の化学構造は一般式(1)の構造を満足するテトラカルボン酸二無水物のうち、下記の化学式(71)(3−フェニルトリシクロ[6,2,2,02,7]ドデカ−2,11−エン−5,6,9,10−テトラカルボン酸二無水物)で表されるテトラカルボン酸二無水物であることを確認した。なお、当該化合物の構造に関しては、(W.N.Emmerling et al 、European Polymer Journal, Vol.13, p179)も参照した。
Figure 2005320386
化学式(1)で表される上記テトラカルボン酸二無水物を1gを10mlのTHFに溶解し、10%パラジウム/カーボン触媒(小島薬品製)100mgを加えて、50℃、5〜4.50MPa(水素圧)で水素化還元を16時間行った。触媒を除去後、THFを減圧蒸留して白色の結晶を95%の収率で回収した。
当該結晶のHNMRスペクトル測定を上記と同様に行ったところ、δ=6.00〜6.25の領域に現れる炭素・炭素二重結合部分の2個の水素原子に帰属されるピーク面積が消滅し、11位の二重結合が水素化還元されたことを示した。一方、δ=1.00〜2.00にはシクロアルカン系メチン水素は新たに出現せず芳香族環の核水添が生じていないことを示した。なお、これ以外に大きな変化は見られなかった。また、IRスペクトル解析から無水カルボニル基が残存していることを確認し、また、マススペクトルの結果から分子量が化学式(1)の化合物より2多い378になっていることを確認した。
この結果から、当該水素化生成物が、一般式(2)の構造を満足する下記化学式(2)で表されるテトラカルボン酸二無水物であることが確認された。
Figure 2005320386
化学式(1)で表されるテトラカルボン酸二無水物1gを10mlのTHFに溶解し、10%パラジウム/カーボン触媒(小島薬品製)50mgを加えて、100℃、1〜0.95MPa(水素圧)で水素化還元を6時間行った。触媒を除去後、THFを減圧蒸留して白色の結晶を95%の収率で回収した。
当該結晶のHNMRスペクトル測定を上記と同様に行ったところ、δ=6.00〜6.25の領域に現れる炭素・炭素二重結合部分の2個の水素原子に帰属されるピーク面積とδ=7.20〜7.45の領域に現れる一置換ベンゼン環部分の5個の水素原子に帰属されるピーク面積との比が、還元処理前の2:5から、1.2:5に変化し、δ=6.00近傍にメチン系水素のピークが新たに出現し、化学式(1)中の11位の炭素・炭素二重結合(2置換オレフィン)一部が水素化還元されたことを示した。
一方、δ=1.00〜2.00にはシクロアルカン系メチン水素は新たに出現せず芳香族環族の核水添が生じていないことを示した。なお、これ以外に大きな変化は見られなかった。また、IRスペクトル解析から無水カルボニル基が残存していることを確認した。
この結果から、当該還元処理化合物が、一般式(1)の構造を満足する化学式(1)で表されるテトラカルボン酸二無水物約60モル%と一般式(2)の構造を満足する化学式(2)で表されるテトラカルボン酸二無水物約40モル%とから構成されることが確認された。
以下、当該方法で得られた混合物を「水添テトラカルボン酸二無水物混合物A」という。
化学式(1)で表される上記テトラカルボン酸二無水物1gを10mlのTHFに溶解し、10%パラジウム/カーボン触媒(小島薬品製)100mgを加えて、120℃、9.00〜8.50MPa(水素圧)で水素化還元を16時間行った。触媒を除去後、THFを減圧蒸留して白色の結晶を95%の収率で回収した。
当該結晶のHNMRスペクトル測定を上記と同様に行ったところ、δ=6.00〜6.25の領域に現れる炭素・炭素二重結合部分の2個の水素原子に帰属されるピーク、および、δ=7.20〜7.00の領域に現れる芳香族環の水素原子に帰属されるピークが消滅し、化学式(1)中の11位の炭素・炭素二重結合(2置換オレフィン)が水素化還元されたことを示した。および芳香族環が水素化還元(核水添)されたことを示した。一方、δ=1.00〜2.00にはシクロアルカン系メチン水素が出現した。また、IRスペクトル解析から無水カルボニル基が残存していることを確認し、また、マススペクトルの結果から分子量が化学式(1)の化合物より8多い386になっていることを確認した。
この結果から、当該還元処理化合物が、一般式(3)の構造を満足する下記化学式(93)で表されるテトラカルボン酸二無水物であることが確認された。
これらの脂環式テトラカルボン酸二無水物系化合物の合成経路を図2に示した。
Figure 2005320386
化学式(1)で表されるテトラカルボン酸二無水物1gを10mlのTHFに溶解し、10%パラジウム/カーボン触媒(小島薬品製)50mgを加えて、100℃、1〜0.95MPa(水素圧)で水素化還元を6時間行った。触媒を除去後、THFを減圧蒸留して白色の結晶を95%の収率で回収した。
当該結晶のHNMRスペクトル測定を上記と同様に行ったところ、δ=6.00〜6.25の領域に現れる炭素・炭素二重結合の2個の水素原子に帰属するピークが消滅し、化学式(1)中の11位の炭素・炭素二重結合(2置換オレフィン)が水素化還元されたことを示した。δ=7.20〜7.45の領域に現れる一置換ベンゼン環部分の5個の水素原子に帰属されるピーク面積とδ=1.00〜2.00にはシクロアルカン系メチン水素は新たに出現した。なお、これ以外に大きな変化は見られなかった。また、IRスペクトル解析から無水カルボニル基が残存していることを確認した。
それぞれのピーク面積の比から、当該還元処理化合物が、一般式(2)の構造を満足する化学式(8)で表されるテトラカルボン酸二無水物約50モル%と一般式(2)の構造を満足する化学式(3)で表されるテトラカルボン酸二無水物約50モル%とから構成されることが確認された。
以下、当該方法で得られた混合物を「水添テトラカルボン酸二無水物混合物B」という。
<ポリイミドフィルムの製造例>
(製造例1)
24時間、50℃で真空乾燥処理した化学式(1)で表されるテトラカルボン酸二無水物752mg(2mmol)、4,4´-ジアミノジフェニルエーテル400mg(2mmol)、溶媒としてのN,N−ジメチルアセトアミド1.5mlを30mlのナスフラスコに入れ室温で1昼夜攪拌反応させた。反応溶液は粘稠となった。得られたポリアミック酸の対数粘度は2.9であった。
つづいて、上記反応溶液を減圧下、脱泡を行った後、その一部をポリエステルフィルム上にあけて、スピンコーターを用いて均一な膜として、100℃で30分加熱して自己保持性のフィルム(ポリアミック酸フィルム)とした後、さらに、200℃で2時間加熱して厚さ約50μmのフィルム(ポリイミドフィルム)を得た。
<ポリアミック酸の構造決定;100℃30分間加熱後のフィルム>
(IRスペクトル測定)
1540cm−1、1680cm−1 アミド結合帰属ピーク
1780cm−1、1860cm−1 カルボン酸無水物帰属ピークの消失
以上の分析結果から、製造例1によるポリアミック酸フィルムは下記化学式(4)の繰り返し単位構造を有するものであることが確認された。(以下、「ポリアミック酸フィルム1」という。)
Figure 2005320386
<ポリイミドの構造決定;200℃2時間加熱後のフィルム>
(IRスペクトル測定)
1540cm−1、1680cm−1 アミド結合帰属ピークの消失
1710cm−1、1780cm−1 イミド結合帰属ピーク
1780cm−1、1860cm−1 カルボン酸無水物帰属ピークの消失
以上の分析結果から、製造例1によるポリイミドフィルムは下記化学式(5)の繰り返し単位構造を有するものであることが確認された。以下、「ポリイミドフィルム1」という。
Figure 2005320386
(製造例2〜5)
製造例1における化学式(1)で表されるテトラカルボン酸二無水物2mmolに代えて、24時間、50℃で真空乾燥処理した化学式(2)で表されるテトラカルボン酸二無水物(以下、「製造例2」という。)、24時間、50℃で真空乾燥処理した化学式(3)で表されるテトラカルボン酸二無水物(以下、「製造例3」という。)、24時間、50℃で真空乾燥処理した水添テトラカルボン酸二無水物混合物A(以下、「製造例4」という。)、24時間、50℃で真空乾燥処理した水添テトラカルボン酸二無水物混合物B(以下、「製造例5」という。)をそれぞれ約2mmolとした他は、製造例1に示した手法と同様にして、約50μm厚みのポリアミック酸フィルム、および、ポリイミドフィルムを製造し、IRスペクトルで構造決定を行った。各合成反応における収率はほぼ同一であり、IRスペクトルの帰属もほぼ同一であった。
製造例2(得られたポリアミック酸の対数粘度は2.7であった。)によるポリアミック酸フィルムは下記化学式(6)(以下、「ポリアミック酸フィルム2」という。)、ポリイミドフィルムは下記化学式(7)の繰り返し単位構造を有するもの(以下、「ポリイミドフィルム2」という。)であることが確認された。
Figure 2005320386
Figure 2005320386
製造例3(得られたポリアミック酸の対数粘度は2.5であった。)によるポリアミック酸フィルムは下記化学式(8)(以下、「ポリアミック酸フィルム3」という。)、ポリイミドフィルムは下記化学式(9)(以下、「ポリイミドフィルム3」という。)の繰り返し単位構造を有するものであることが確認された。
Figure 2005320386
Figure 2005320386
製造例4(得られたポリアミック酸の対数粘度は2.4であった。)によるポリアミック酸フィルムは化学式(4)と化学式(6)の繰り返し単位構造を有するもの(以下、「ポリアミック酸フィルム4」という。)、ポリイミドフィルムは化学式(5)と化学式(7)の繰り返し単位構造を有するもの(以下、「ポリイミドフィルム4」という。)であることが確認された。
製造例5(得られたポリアミック酸の対数粘度は2.5であった。)によるポリアミック酸フィルムは化学式(6)と化学式(8)の繰り返し単位構造を有するもの(以下、「ポリアミック酸フィルム5」という。)、ポリイミドフィルムは化学式(7)と化学式(9)の繰り返し単位構造を有するもの(以下、「ポリイミドフィルム5」という。)であることが確認された。
(ポリイミドフィルム/接着層/金属箔における接着性評価)
接着層の作成:
下記組成物を20質量%含むモノクロルベンゼン/ベンジルアルコール/イソプロピルアルコール混合溶液を、PETフィルム(保護フィルム1)上に乾燥膜厚が12μmとなるように塗布し、エアーオーブンを使用し120℃で1分、170℃で2分乾燥した後、ポリプロピレンフィルム(保護フィルム2)を張り合わせ、接着剤フィルムを作成した。
ポリアミド樹脂(ユニケマ社製、「PRIADIT2053」) 50重量部
エポキシ樹脂(油化シェルエポキシ(株)製、「エピコート828」) 30重量部
フェノール樹脂(群栄化学(株)製、「PS2780」) 20重量部。
[実施例1]
ポリイミドフィルム1から切り出した厚さ50μm×幅70mmのポリイミドフィルムに、上記接着剤フィルムから保護フィルム2を剥離し剥き出しになった接着剤面上に張り合わせた。その後、保護フィルム1を剥離し接着剤面上に電解銅箔(三井金属鉱業(株)製「FQ−VLP箔」(厚さ18μm))をロールラミネータで140℃で加熱圧着して張り合わせた。さらには得られた積層体を150℃オーブン中で15分間加熱処理を行い、フィルム積層体を作成した。
[実施例2〜5、比較例1]
実施例1のポリイミドフィルム1をポリイミドフィルム2(実施例2)、ポリイミドフィルム3(実施例3)、ポリイミドフィルム4(実施例4)、ポリイミドフィルム5(実施例5)に代えて、同様にして、フィルム積層体を製造した。また、実施例1のポリイミドフィルムを、全芳香族系ポリイミドフィルム(比較例1):宇部興産(株)製「ユーピレックスS」(厚さ50μm)に代えて、同様にして、フィルム積層体を製造した。
上記各積層体のポリイミドフィルムの端部を掴み剥離試験を行い剥離面の観察を目視および走査型電子顕微鏡(SEM)で行った。実施例1〜5のポリイミドフィルムの剥離面には多くの接着層が付着し、接着層が内部で凝集破壊を生じたことを示した。比較例1のポリイミドフィルムの剥離面には、接着層の付着が少なく、接着層がポリイミドフィルムとの界面剥離を生じたことを示した。この結果から、本発明に係るポリイミドフィルムが、金属箔に対する接着剤に対して優れた接着性を有していることがわかる。
[実施例6]
(ポリイミドフィルム/金属箔における接着性評価)
ポリアミック酸フィルム1から切り出した厚さ60μm×幅70mmのポリアミック酸フィルムに、上記接着剤フィルムから保護フィルム2を剥離し剥き出しになった接着剤面上に張り合わせた。その後、保護フィルム1を剥離し接着剤面上に電解銅箔(三井金属鉱業(株)製「FQ−VLP箔」(厚さ18μm))をロールラミネータで140℃で加熱圧着して張り合わせた。さらには得られた積層体をオーブン中で150℃×5分間、150℃×5分間、200℃×5分間、250℃×5分間加熱イミド化処理を行い、ポリイミドフィルム積層体を作成した。
[実施例7〜10、比較例2]
実施例6のポリアミック酸フィルム1をポリアミック酸フィルム2(実施例7)、ポリアミック酸フィルム3(実施例8)、ポリアミック酸フィルム4(実施例9)、ポリアミック酸フィルム5(実施例10)に代えて、同様にして、ポリイミドフィルム積層体を製造した。また、ポリアミック酸フィルム1の製造において、化学式(7)に代えてピロメリット酸二無水物を使用して製造したポリアミック酸無水物を使用して製造したポリアミック酸フィルム(比較例2)を得て、同様にして、ポリイミドフィルム積層体を製造した。
上記各積層体のポリイミドフィルムの端部を掴み剥離試験を行い剥離面の観察を目視および走査型電子顕微鏡(SEM)で行った。実施例6〜10の銅箔の剥離面には多くのポリイミドが付着し、ポリイミド層が内部で凝集破壊を生じたことを示した。比較例2のポリイミドフィルムの剥離面には、接着層の付着が少なく、接着層がポリイミドフィルムとの界面剥離を生じたことを示した。この結果から、本発明に係るポリイミドフィルムが、金属箔に対する優れた接着性を有していることがわかる。
[実施例11]
ポリイミドフィルム1の一面上に酸素のグロー放電を施した後、チタンをターゲットとしてアルゴンガスによるDCマグネトロンスパッタリング法により厚さ15nmのチタン薄膜層を形成させた。その後、直ちに銅をターゲットとして、アルゴンガスによるDCマグネトロンスパッタリング法により厚さ250nmの銅薄膜層を形成させ、ポリイミドフィルム積層体を製造した。次に、当該銅薄膜の上に銅の電解メッキを施すことにより回路用の銅膜の厚みを20μmとした。当該ポリイミドフィルム積層体を150℃のオーブンで10日間保持した後、直径10mmのステンレス製の丸棒に裏表5回ずつ計10回巻き付け、目視および光学顕微鏡による観察を行ったが、膨れ、剥離等の異状は観察されなかった。
[実施例12〜15]
ポリイミドフィルム1をポリイミドフィルム2(実施例12)、ポリイミドフィルム3(実施例13)、ポリイミドフィルム4(実施例14)、ポリイミドフィルム5(実施例15)に代えて、同様にして、ポリイミドフィルム積層体を製造した。これら積層体においても、150℃のオーブンで10日間保持した後、直径10mmのステンレス製の丸棒に裏表5回ずつ計10回巻き付け、目視および光学顕微鏡による観察を行ったが、膨れ、剥離等の異状は観察されなかった。
本発明によれば、ポリイミド基板と金属箔との接着性に優れた積層体を提供でき、本発明のフィルム積層体は、TAB用テープ、フレキシブル回路基板、TAB用テープ、COF用テープ、に使用できるものである。
テトラカルボン酸二無水物を生成する反応経路図 実施例に係るテトラカルボン酸二無水物を生成する反応経路図

Claims (3)

  1. ポリイミドフィルムと金属層とを含むポリイミドフィルム積層体において、
    ポリイミドフィルムが下記一般式(1)、(2)、(3)で表されるテトラカルボン酸二無水物の少なくとも一つと下記一般式(4)で表されるジアミンとを反応させて得られるポリアミック酸を脱水閉環して得られるポリイミドからなること、
    を特徴とするポリイミドフィルム積層体。
    Figure 2005320386
    Figure 2005320386
    Figure 2005320386
    一般式(1)、(2)、(3)において、R1は水素原子、または炭素数1〜10のアルキル基、R2は炭素数1〜10のアルキル基を表す。m、nは互いに独立の0〜5までの任意の整数であり、m+nが複数の場合、複数のR2は互いに同じでも、または、異なっても良い。
    Figure 2005320386
    一般式(4)において、R3は2価の有機基を表す。
  2. ポリイミドフィルムと金属層が接着剤を介して接着されていることを特徴とする請求項1に記載のポリイミドフィルム積層体。
  3. ポリイミドフィルム上に金属層が直接形成されていることを特徴とする請求項1に記載のポリイミドフィルム積層体。
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