JP2005320349A - β−アミロイド末端に特異的な組換え抗体、それをコードするDNA及びその使用法 - Google Patents

β−アミロイド末端に特異的な組換え抗体、それをコードするDNA及びその使用法 Download PDF

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Abstract

【課題】 本発明は、アミロイド−βペプチドに対して遊離末端特異的な組換え抗体の脳での安定な発現により、アルツハイマー病の発症を防止する又はアルツハイマー病の進行を抑制する新規な方法に有用な医薬組成物を提供する。
【解決手段】 本発明は、遺伝子送達手段と結合した、中枢神経系中で発現されるプロモーターに作動可能に連結された、アミロイド−βペプチドの遊離N末端または遊離C末端に遊離末端特異的な組換え抗体分子をコードする遺伝子を含有する組換えDNA分子および医薬的に許容し得る賦形剤を含有する、アミロイド−βペプチドの蓄積および脳内でアミロイド沈着を形成する該ペプチドの凝集を防止するのに有用なアルツハイマー病の進行を防止または抑制するための医薬組成物であって、ニューロンの細胞外環境でのアミロイド−βペプチドの蓄積を防止する、該医薬組成物に関する。
【選択図】なし

Description

本発明は、中枢神経系の細胞への遺伝子送達によりアルツハイマー病の進行を防止又は抑制する方法に関する。本発明はまた、中枢神経系の細胞中で組換え抗体を発現させる能力を持つプロモーターに作動可能に連結されたアミロイド−βペプチドに対して遊離末端特異的な組換え抗体分子をコードする遺伝子を含有する組換えDNA分子、およびその医薬組成物に関する。
本願は、関連出願のクロスリファレンスとして、米国特許法119条e項に基づき、1997年4月9日に出願された米国仮出願第60/041,850号を基礎とする優先権を主張し、その全内容は参照により本明細書に組み込まれる。
アルツハイマー病(AD)の主な組織病理学的特徴は、扁桃体、海馬及び新皮質の実質組織中の神経炎性斑(neuritic plaque)と広汎性斑(diffuse plaque)内にアミロイド沈着が存在することである(Glenner及びWong, 1984;Mastersら, 1985;Sisodia及びPrice, 1995)。アミロイドとは共通のβプリーツ構造を持つ繊維状凝集体を表す総称である。これらの凝集体はコンゴーレッドと偏光の存在下に複屈折性を示す(Glenner及びWong, 1984)。広汎性斑は、反応性変性過程と強く関連すると思われる神経炎性斑とは対照的に、比較的良性であると考えられる(Dicksonら, 1988;Tagliaviniら, 1988;Yamaguchiら, 1989;Yamaguchiら, 1992)。神経炎性斑の主要成分は42アミノ酸残基のアミロイド−β(Aβ)タンパク質であり(Millerら, 1993;Roherら, 1993)、これははるかに大きいβ−アミロイド前駆体タンパク質βAPP(又はAPP)から誘導される(Kangら, 1987)。Aβ1−42は1−40Aβペプチドほど豊富には産生されないが(Haassら, 1992;Seubertら, 1992)、Aβ1−42の選択的沈着は、このCOOH延長型が1−40Aβよりも不溶性であり、凝集して逆平行βプリーツ構造を形成しやすいという事実に由来する(Joachimら, 1989;Halversonら, 1990;Barrowら, 1992;Burdickら, 1992;Fabianら, 1994)。Aβ1−42はAβ1−40の凝集のシード(核)になりうる(Jarrett及びLansbury, 1993)。
APP遺伝子は配列決定され、21番染色体上にコードされていることが見出された(Kangら, 1987)。APP遺伝子の発現は695、751及び770アミノ酸の各Aβ含有イソ型を生成し、後者2つのβAPPはKunitz型セリンプロテアーゼインヒビターと構造的及び機能的相同性を持つドメインを含有する(Kangら, 1987;Kitaguchiら, 1988;Ponteら, 1988;Tanziら, 1988;Konigら, 1992)。βAPPがニューロンの接着と成長の媒介に(Schubertら, 1989;Saitohら, 1994;Saitoh及びRoch, 1995)、またおそらくはGタンパク質関連シグナル伝達経路に(Nishimotoら, 1993)ある役割を果たしているという証拠は増えつつあるが、神経系におけるβAPPの機能はまだ明確ではない。培養細胞では、βAPPは構成的分泌経路を通って成熟し(Weidemannら, 1989;Haassら, 1992;Sisodia, 1992)、一部の細胞表面結合型βAPPはα-セクレターゼと呼ばれる酵素によってAβドメイン内で切断される(Eschら, 1990)(これはAβアミロイド形成を排除する事象である)。いくつかの研究により、共にアミロイド形成性を持つさらに2つのβAPPプロセッシング経路が描写されている。すなわち第一に、エンドソーム/リソソーム経路が複雑な一組のβAPP関連膜結合型断片を生成し、その一部は全Aβ配列を含有する(Haassら, 1992;Goldeら, 1992)。第二に、詳細にはわかっていない機序により、Aβ1−40が馴化培養液中に分泌され、生体内ではそれが脳脊髄液中に存在する(Haassら, 1992;Seubertら, 1992;Shojiら, 1992;Busciglioら, 1993)。リソソーム分解がAβの産生にとって有意な寄与をするとはもやは考えられていない(Sisodia及びPrice, 1995)。それぞれβ及びγと呼ばれるAβのNH末端とCOOH末端における切断を担うタンパク質分解酵素は同定されていない。最近まで、Aβは前駆体の異常代謝によって生成すると広く信じられていた。しかし、広範な種々の培養細胞の馴化培養液とヒト脳脊髄液中にAβが存在することは、Aβが細胞の正常な機能として産生されることを示している。
もしアミロイド沈着がADを引き起こす律速因子であるなら、この疾患に関連する全ての因子はアミロイド沈着を促進するか、アミロイドによって誘発される病変を増強するだろう。APP遺伝子の余分なコピーが存在するトリソミー21(ダウン症候群)では、APP発現量の増加と家族性アルツハイマー病(FAD)関連突然変異により(Van Broeckhovenら, 1987;Chartier-Harlinら, 1991;Goateら, 1989;Goateら, 1991;Murrellら, 1991;Pericak-Vanceら, 1991;Schellenbergら, 1992;Tanziら, 1992;Hendricksら, 1992;Mullanら, 1992)、アミロイド沈着の可能性が高められる(Neveら, 1988;Rumbleら, 1989)。これらの突然変異の一部は、Aβの総産生量の増加(Caiら, 1993;Citronら, 1992)又はより原線維発生性の高いペプチドの特異的過剰産生(Wisniewskiら, 1991;Clementsら, 1993;Susukiら, 1994)若しくは原線維形成を誘導する因子の発現量の増加(Maら, 1994;Wisniewskiら, 1994)と相関する。総合すると、これらの知見はアミロイド沈着がADの発症に決定的な要素であるという仮説(Hardy,1992)に極めて有利であるが、もちろんそれらは、この疾患に関係する他の加齢性変化(例えばペアードヘリカルフィラメント)がアミロイド沈着の結果としてというよりむしろそれと並行して発生し、独立して痴呆に寄与するという可能性を排除するものではない。
研究者らの主な関心の的とAD用薬剤の開発に携わる人々の主な目標は、中枢神経系(CNS)中のAβ沈着量を減少させることである。これらの活動は2つの一般分野に分類される。すなわちAβの産生に影響を与える因子と、不溶性Aβ原線維の形成に影響を与える因子である。第三の治療目標は、Aβ神経毒性によって喚起される炎症反応を軽減することである。
第一の目標については、新たに合成されるβAPPがどのようにしてプロセッシングされて原形質膜に挿入されるかを詳細に理解することと、成熟タンパク質中の切断部位に基づいて割り当てられた推定アミロイド形成性セクレターゼを同定することに主な努力が払われている。薬理学的見地からすれば、Aβの産生量を低下させる最も直接的な方法は、β又はγセクレターゼの直接阻害による方法である。かなりの数の化合物がそれらの活性を間接的に阻害することが示されているが、現在のところ利用できる特異的阻害剤はない。例えばバフィロマイシンはAβ産生を約50nMのEC50で阻害し(Knopsら, 1995;Haassら, 1995)、それはおそらくAβセクレターゼと共に液胞中に局在する液胞HATPアーゼの阻害剤としてのその作用によるのだろう。もう一つの化合物MDL28170は、高濃度で使用されると、γセクレターゼの活性を遮断するようである(Higakiら, 1995)。β又はγセクレターゼの同定はアミロイド形成性ペプチドの形成を遮断するための特異的プロテアーゼ阻害剤の合成につながるかもしれない。しかしこれらの酵素がβAPPに特異的であるのか、あるいはそれらが他の重要な分泌機能を持つのかはわかっていない。同様に、βAPPのプロセッシングがアミロイド形成経路に向けられるか非アミロイド形成経路に向けられるかを決定するであろうシグナル伝達経路に干渉しようとする試みは、いずれも標的とターゲッティング特異性の問題に遭遇することになる。さらにこれらのシグナル伝達機序を今から同定する必要がある。結論として、Aβの過剰産生につながる複雑で変化に富んだ根本的分子機序に関する現在の理解では、薬理学的物質による選択的ターゲッティングにはほとんど希望を持てない。
神経毒性がAβのβプリーツ凝集体と関係するようであることから、治療的アプローチの一つはAβ凝集を阻害するか遅らせることである。このアプローチの利点は、Aβの過剰産生を誘発する細胞内機序又はAβによって細胞内で誘導される効果を詳細に理解する必要がないということである。Aβに結合する種々の物質は試験管内でAβ神経毒性を阻害でき、例えばAβ結合性色素であるコンゴーレッドは培養ニューロンにおけるAβ誘導毒性を完全に阻害する(Yanknerら, 1995)。同様に抗生物質リファンパシン(rifampacin)もAβ凝集とその結果として生じる神経毒性を防止する(Tomiyamaら, 1994)。Aβを直接的に結合するか(例えばヘキサデシル−N−メチルピペリジニウム(HMP)ブロミド(Woodら, 1996))、若しくはAβとAβ沈着の形成に寄与する他の分子との相互作用を防止することによるこの過程の阻害剤として、他の化合物も開発中である。そのような分子の一例はヘパラン硫酸、又はすべてのアミロイドで同定されていて炎症関連アミロイド誘導の最初期に関係するヘパラン硫酸プロテオグリカン、すなわちパーレカンである。
ヘパラン硫酸はAβペプチドと相互作用し、特有の二次及び三次アミロイド構造特徴を付与する。小分子陰イオン性サルフェートがCNSに侵入するかどうかは明らかでないが、最近、これらの化合物がこの反応を妨害してアミロイド形成を予防又は制止することが示された(Kisilevsky, 1995)。パーレカン結合ドメインの配列に基づくペプチドはAβとパーレカンの間の相互作用を阻害するようであり、Aβ由来ペプチドの自己重合阻害能力は、AD用治療薬の開発につながる可能性を持つものとして調査されている。しかし、これらの化合物の試験管内での有効性は、多くの理由(とりわけ血液脳関門を慢性的に貫通する必要性)から、あまり大きくはないだろう。
Aβ凝集を阻害する又は遅らせるもう一つの手段として、WO96/25435は、Aβ1−42ペプチドの遊離C末端に末端特異的であってAβ1−43ペプチドには特異的でないモノクローナル抗体を、Aβ1−42の凝集の防止に使用できる可能性を開示している。そのようなAβ末端特異モノクローナル抗体の投与はAβ1−42の遊離C末端残基と相互作用し、それによってADを発病させうる凝集を妨害し破壊することも開示されているが、それらAβのC末端特異モノクローナル抗体がどのようにして治療的に使用されるかについて具体的開示はない。Aβペプチド凝集に対する直接的又は間接的操作は魅力的な治療法に見えるが、この一般的アプローチの欠点として、この種の薬理学的化合物は、長期間にわたって投与する必要があり、それが脳組織に蓄積されて毒性が高くなることが考えられる。
ペプチドに基づくアプローチに代わる方法は、Aβ神経毒性の細胞機序を解明し、それらの細胞標的にねらいを定めた治療薬を開発することである。関心の的はフリーラジカルによるニューロン損傷のカルシウム機能障害を制御することにあった。Aβは細胞表面上のRAGE(終末糖化産物(AGE)のレセプター)に結合し、それによって細胞障害性の酸化刺激を生成しうる反応を誘発すると想像されている(Yanら, 1996)。細胞表面結合部位へのAβの接近を遮断すれば、ADにおけるニューロン損傷の進行が遅延するかもしれない。現在のところ、Aβが誘導する神経毒性を遮断するための特異的な薬理学的物質はない。
薬理学的に活性な物質の直接投与による治療的アプローチの他に、WO89/01975は、IgMクラスの組換えポリマー型抗アセチルコリンエステラーゼ抗体を発現し分泌するように形質転換されたグリア細胞(脳内で誘導される活発に分泌する細胞)を移植する方法を開示している。WO89/01975の明細書では、アルツハイマー病に冒された人間の脳に移植された形質転換細胞によって分泌される抗体は、その疾患の症状を緩和又は排除するだろうと予想されている。これは中枢神経系の細胞が極めて効率よく抗体を分泌するという観察から生じた遺伝子治療的アプローチである(Cattaneo及びNeuberger, 1987)。Piccioliら(1991及び1995)は、後に、組織特異的で発生的に調節されるニューロンvgf遺伝子のプロモーターからの組換え抗体の異所性ニューロン発現を実証した。このように非リンパ球様細胞、とりわけ神経細胞は、機能的免疫グロブリンを分泌できることが見出された。
本明細書における文書の引用はいずれも、それらの文書が関連先行技術であるとか、本願の各請求の範囲の特許性にとって重大であるとの容認を意図するものではない。どの文書の内容又は日付に関する記述も出願人がその出願時に入手できた情報に基づくものであって、そのような記述の正確さに関する容認を構成するものではない。
(発明の概要)
本発明は、アミロイド−βペプチドに対して末端特異的な組換え抗体の脳での安定な発現により、アルツハイマー病の発症を防止する又はアルツハイマー病の進行を抑制する新しい方法に関する。アミロイド−βペプチドのN末端又はC末端に末端特異的で異所的に発現されるこれらの組換え抗体分子は、細胞外腔、間質液及び脳脊髄液でのアミロイド−βペプチドの蓄積と脳におけるそれらペプチドのアミロイド沈着への凝集を防止する。アミロイド−βの産生に寄与しうる数多くの考えうる機序と、慢性神経毒性を引き起こすことのできる細胞表面及び細胞外Aβ結合性分子とAβとの相互作用のはなはだしい多様性とを考慮して、本方法は、この異種病的カスケードの焦点として、冒されたニューロンの細胞外環境でのAβペプチドの蓄積を防止することに向けられる。また本発明は、血液脳関門の慢性的貫通を必要とする薬理学的物質の反復投与に伴う問題を回避する。
したがって本発明の目的は、アルツハイマー病の進行を防止又は抑制する新しい方法を提供することにより、先行技術の不完全性を克服することである。
本発明のもう一つの目的は、細胞外腔、間質液及び脳脊髄液でのアミロイド−βペプチドの蓄積と脳におけるそれらペプチドのアミロイド沈着への凝集を防止するために、アミロイド−βペプチドのN末端又はC末端に末端特異的な組換え抗体分子を脳内で異所的に発現させる能力を神経系の細胞に付与する方法を提供することである。
本発明のさらなる目的は、アミロイド−β誘導神経毒性を媒介するアミロイド−βペプチドの相互作用を阻害し、アルツハイマー病に関係する炎症過程に関与するアミロイド−β誘導性の補体活性化とサイトカイン放出を抑制することにより、アルツハイマー病の進行をも防止又は抑制する方法を提供することである。
本発明のもう一つの目的は、アミロイド−βペプチドのN末端又はC末端に末端特異的な組換え抗体分子をコードし中枢神経系で発現されるプロモーターに作動可能に連結された遺伝子を含有する組換えDNA分子を提供することである。
本発明のさらにもう一つの目的は、中枢神経系の細胞に前記組換えDNA分子を導入するためのベクターを提供することである。
本発明のさらにもう一つの目的は、アルツハイマー病の進行を防止又は抑制するための医薬組成物を提供することである。
(発明の詳細な記載)
本発明の新規DNA分子は、AβペプチドのN末端又はC末端に末端特異的な組換え抗体分子をコードする遺伝子を含有する。そのような組換え抗体分子はAβペプチドと、それがタンパク質分解的に誘導される元となるβ−アミロイドタンパク質前駆体とを識別し、本明細書ではこれを「アンチセニリン(antisenilin)」ともいう。「アンチセニリン」とは、Aβペプチドの末端/先端に特異的に結合することにより、細胞外腔、間質液及び脳脊髄液におけるアミロイド−βペプチドの蓄積と老人性アミロイド沈着又は老人性アミロイド斑への凝集を減速又は防止し、またAβの神経毒性に寄与する他の分子とAβペプチドとの相互作用を遮断する分子を意味する。
本発明に従ってアルツハイマー病の進行を防止又は抑制する方法では、アンチセニリン分子をコードする遺伝子を脳細胞中に送達し、アンチセニリンはそこで安定に発現され、細胞外腔、間質液及び脳脊髄液中に分泌される。可溶性Aβペプチドが存在する細胞外腔、間質液及び脳脊髄液へのアンチセニリンの分泌は、可溶性アンチセニリン−Aβ複合体の形成を促進する。これら可溶性アンチセニリン−Aβ複合体は、上矢状静脈洞のクモ膜絨毛による細胞外腔、間質液及び脳脊髄液の大血液循環への排液により、中枢神経系から清掃される。このようにして可溶性Aβペプチドが細胞外腔、間質液及び脳脊髄液中に蓄積してアミロイド沈着を形成しかつ/または神経毒性を誘導することが防止される(図1)。さらに本発明による可溶性アミロイド−βペプチドの清掃は、例えばアミロイド−β誘導性の補体活性化とサイトカイン放出を阻害することによって、アルツハイマー病に見られる炎症過程を軽減し、またRAGEレセプターなどの細胞表面レセプターとAβとの相互作用を遮断すると予想される。
本発明の組成物は、遺伝子送達手段と結合したアンチセニリン遺伝子含有組換えDNA分子を含み、ここに本組成物はアルツハイマー病の進行を防止又は抑制するための薬物としての使用に供しうる。
図1に示し(Schehr, 1994参照)、また背景技術の項でも述べたように、β−アミロイドタンパク質前駆体(βAPP)は、成長促進機能と神経保護機能を持つと思われるタンパク質分解産物、すなわち可溶性β−アミロイドタンパク質前駆体(sβAPP)の前駆体として働くと考えられる。中枢神経系におけるアンチセニリンの安定発現がAβペプチドの形成とは関係しないβAPPの正常な生物学的機能を妨害しないことは当業者には容易に認識されるだろう。本発明の新規組換えDNA分子において、アンチセニリン分子をコードする遺伝子は、少なくとも、末端特異モノクローナル抗体分子の抗原結合ドメインをコードするヌクレオチド配列を含有する。したがって、モノクローナル抗体の抗原結合性部分を含有する組換え抗体分子であるアンチセニリン分子は、一本鎖抗体の他に、任意のイソ型のキメラ又はヒト化免疫グロブリン分子を包含するものとする。
キメラ抗体とは、例えばマウスモノクローナル抗体に由来する可変領域とヒト免疫グロブリン定常領域とを持つものなど、異なる動物種に由来する異なる部分を持つ分子であると理解される。キメラ抗体とその製造法は当技術分野でよく知られている。例えば抗体の可変領域をコードするDNAは、キメラ抗体を作成するために、他の抗体をコードするDNAに挿入するか結合することができる(米国特許第4,816,567号;Orlandiら, 1989)。
アンチセニリンとしての一本鎖抗体も本発明に従って製造できる。これらの一本鎖抗体は、末端特異的Aβペプチド結合能を持ち免疫グロブリン軽鎖及び重鎖の可変領域に相同な又は類似する一対のアミノ酸配列を含んでなる一本鎖複合ポリペプチド(連結されたV−V又は一本鎖Fv)でありうる。VとVは両方が天然モノクローナル抗体配列をまねたものであってもよいし、それらの鎖の一方又は両方が米国特許第5,091,513号に記載されているタイプのCDR−FRコンストラクトからなってもよい。軽鎖及び重鎖の可変領域に類似する分離したポリペプチドは、ペプチドリンカーによって互いに保持される。そのような一本鎖抗体(例えば一本鎖Fv(scFv)、とりわけV鎖とV鎖の各ポリペプチド構造をコードするDNAが、配列分析によって特徴づけられるもの又は容易に確かめられうるもの)の製造法は、例えば米国特許第4,946,778号、米国特許第5,091,513号、米国特許第5,096,815号、Bioccaら, 1993、Duanら, 1994、Mhashilkarら, 1995、Marascoら, 1993及びRichardsonら, 1995に記載の方法に従って行ないうる。図3のA〜D(Bioccaら, 1995から引用)は、完全な抗体(図A)、Fab断片(図B)、非共有結合的に連結された可変領域複合体からなるFv断片(V−V)(図C)及び一本鎖Fv抗体(図D)の略図である。
アンチセニリン分子をコードする組換え遺伝子を構築するには、まず、アミロイド−βペプチドのN末端又はC末端に末端特異的なモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマを得る。ここに末端特異抗体とは、あるペプチドの遊離N末端又は遊離C末端を一義的に認識し、さらにそのペプチドとそれがタンパク質加水分解的に誘導される元となる前駆体とを識別できる抗体と定義される。免疫化とモノクローナル抗体産生ハイブリドーマの作出に使用される免疫原ペプチドの設計は、Aβの遊離アミノ又はカルボキシ末端を一義的に認識するモノクローナル抗体を生成するためにいくつかの研究室で既に使用されている類似のペプチドに基づく(Harringtonら, 1993;Iwatsuboら, 1994;Konigら, 1996;Murphyら, 1994;Gravinaら, 1995)。より長いペプチドを用いてAβ末端特異抗体の生成に成功した例もいくつかあるが、Saidoとその共同研究者ら(1993;1994)は、与えられたどのペプチドについても、N末端にある特定の遊離アミノ基が新しい抗体によって認識されるエピトープの必須部分を構成することを保証する5アミノ酸の長さがあることを確立した。したがって免疫原ペプチドに対して生じるモノクローナル抗体を、Aβペプチドの遊離のN又はC末端の認識に関するその抗体の選択性について評価する。Aβの様々な領域及びβAPPの細胞外ドメイン中のβ−セクレターゼ切断部位の直前の領域に対応するペプチドを用いた酸素結合免疫吸着測定法(ELISA)又は免疫沈降による競争阻害測定法により、モノクローナル抗体の選択性を決定できる。アルツハイマー病の病因に関与するアミロイドペプチド、すなわちAβ1−40(配列番号1の残基5−44に相当)、Aβ1−42(配列番号1の残基5−46に相当)及びAβ1−43(配列番号1の残基5−47に相当)のクリアランスが主な目的である場合、本モノクローナル抗体はそれらAβペプチドに共通するN末端に末端特異的であることが好ましい。しかし他の場合、例えばアルツハイマー病発症後の患者を治療するために使用する場合などは、凝集のシードになるというAβペプチドの能力、若しくはAβ沈着のシーディングに寄与する又はAβ誘導細胞毒効果を媒介する他の分子と相互作用するというAβペプチドの能力をも妨害する抗体を選択することが好ましいだろう。末端特異抗Aβ抗体と、アルツハイマー病の進行を防止又は抑制するこのタイプの選択的応用に供する医薬組成物で使用される組換えAβ末端特異抗体(アンチセニリン)をコードするDNAとを生成させるために、遊離のN末端か遊離のC末端を組み込んだ様々な長さの免疫原ペプチドを合成する。
担体タンパク質へのカップリングを容易にするために、上記免疫原ペプチドの、Aβペプチドの遊離N末端又は遊離C末端に対応する末端とは反対の末端に、システイン残基を付加できることは、当業者には理解されるだろう。キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)、卵白アルブミン及びウシ血清アルブミン(BSA)は、免疫原の担体として使用できるタンパク質の非限定的な例である。合成免疫原ペプチド上のN末端又はC末端システイン残基の存在は、マレイミド活性化タンパク質に共有結合するための遊離スルフヒドリル基を提供する。合成免疫原ペプチドを担体タンパク質に共有結合するには、N−マレイミド−6−アミノカプロイルエステルやm−マレイミドベンゾイル−N−ヒドロキシスクシンイミドエステル(MBS)などのヘテロ二官能性試薬が使用される(例えばHartlow,Eら, Antibodies: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, ニューヨーク州コールドスプリングハーバー,1988を参照されたい)。マレイミドで活性化された大きな担体タンパク質へのペプチドのカップリングに使用される市販のキットも容易に入手できる。
モノクローナル抗体は当業者に知られている方法によって得ることができる。例えばKohler及びMilstein, 1975、米国特許第4,376,110号、Ausubelら編, Current Protocols in Molecular Biology, Greene Publishing Assoc. and Wiley Interscience刊, ニューヨーク(1987,1992)、Harlowら, 前掲、Colliganら編, Current Protocols in Immunology, Greene Publishing Assoc. and Wiley Interscience刊, ニューヨーク(1992-1997)を参照されたい(これらの文献の内容は参照によりそのまま本明細書に組み込まれる)。
モノクローナル抗体を生成させたら、その選択性と結合親和力(Kd)をELISAによって評価することができ、それらの抗体に対してインビトロ生物検定を行なって、それらAβ末端特異モノクローナル抗体がAβ凝集及びAβ誘導細胞毒性を遮断する効力を、下記実施例1に記述するように試験することができる。これらのモノクローナル抗体は特定のAβペプチドに末端特異的な選択性を持つばかりでなく、高い結合親和力をも持つことが好ましい。AβペプチドのN末端又はC末端に末端特異的であって実施例1に記述するようにAβ凝集とAβ誘導細胞毒性を遮断する効力を示す抗体をコードするDNAは、本発明に従って使用される組換えアンチセニリンコードDNA分子の作成に使用できると考えられる。例えば、WO96/25435に記載のC末端末端特異モノクローナル抗体は、本発明の組換えアンチセニリンコードDNA分子を得るために使用できる。
次に、Aβペプチドの遊離N末端又は遊離C末端に選択的であると決定されたAβ末端特異モノクローナル抗体を産生するハイブリドーマから、メッセンジャーRNA(mRNA)を単離できる。単離したハイブリドーマmRNAからcDNAを合成した後、免疫グロブリン重鎖のVドメイン(V)と免疫グロブリン軽鎖のVドメイン(V)をコードするヌクレオチド配列の各末端にある保存された配列に基づくプライマーを使ったポリメラーゼ連鎖反応(PCR)により、そのAβ末端特異モノクローナル抗体の可変ドメインをコードするヌクレオチド配列をクローニングすることができる。PCRプライマーの配列中に組み込まれた制限部位の存在は、適当な鎖の可変領域をコードするPCR増幅産物のクローニングを容易にする。
組換え一本鎖Fv抗体分子をコードする組換え遺伝子は、例えばVドメインとVドメインをコードするヌクレオチド配列をペプチド鎖間リンカーをコードするヌクレオチド配列でつなぐか(Bioccaら, 1993;Duanら, 1994;Mhashilkarら, 1995;Marascoら, 1993;Richardsonら, 1995;米国特許第4,946,778号;米国特許第5,091,513号;米国特許第5,096,815号)、ヒト免疫グロブリン遺伝子中の可変ドメインをコードする対応配列を置換して組換えキメラ抗体をコードするように可変ドメインコードヌクレオチド配列を挿入する(Orlandiら, 1989;米国特許第4,816,567号)ことによって構築される。
組換えDNA技術の一般的原理を述べた標準的な参考文献には、Ausubelら編, Current Protocols In Molecular Biology, Green Publishing Assoc. and Wiley Interscience刊, ニューヨーク(1987-1997)、Watsonら, Molecular Biology of the Gene, I巻及びII巻, The Benjamin/Cummings Publishing Company社刊, カリフォルニア州メンロパーク(1987)、Darnellら, Molecular Cell Biology, Scientific American Books社刊, ニューヨーク州ニューヨーク(1986)、Lewin, Genes II, John Wiley & Sons刊, ニューヨーク州ニューヨーク(1985)、Oldら, Principles of Gene Manipulation: An Introduction to Genetic Engineering, 第2版, University of California Press刊, カリフォルニア州バークレー(1981)、Maniatisら, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, コールドスプリングハーバー研究所, ニューヨーク州コールドスプリングハーバー(1989)、Bergerら, Guide to Molecular Cloning Techniques, Methods of Enzymology, 152巻, 1987, Academic Press社, カリフォルニア州サンディエゴがある。これらの文献は参照により本明細書に組み込まれる。
組換え抗体(アンチセニリン)遺伝子を含有する本発明の組換えDNA分子は、好ましくは、その組換えアンチセニリン遺伝子に作動可能に連結された、そのアンチセニリン分子を脳細胞中で発現させる能力を持つプロモーターをも含有する。また、アンチセニリンを発現させる形質転換細胞からのアンチセニリン分子の分泌を容易にするために、N末端にリーダー又はシグナルペプチドも与えられることは理解されるだろう。
DNA分子は、それが転写及び翻訳調節情報を含むヌクレオチド配列を含有し、それらの配列がアンチセニリン分子などのポリペプチドをコードするヌクレオチド配列に「作動可能に連結」されているのであれば、そのポリヌクレオチドを「発現させることができる」とされる。作動可能な連結とは、調節DNA配列と発現させようとするDNAが遺伝子発現を可能にするような形でつながっている連結をいう。遺伝子発現に必要な調節領域には一般にプロモーター領域と、RNAに転写されたときにタンパク質合成の開始シグナルになるDNA配列とが含まれる。そのような領域には通常、転写と翻訳の開始に関与する5非コード配列が含まれるだろう。
プロモーター領域は、そのプロモーターがDNA配列の転写を達成できるのであれば、そのDNA配列に作動可能に連結されているだろう。本明細書において「プロモーター配列」とは、DNA上に見出され、RNAポリメラーゼによって転写されるプロモーターの配列をいう。したがってアンチセニリンを発現させるには、宿主細胞によって認識される転写及び翻訳シグナルが必要である。
アルツハイマー病の進行を防止又は抑制する本方法では、その必要がある患者に、中枢神経系の細胞への遺伝子送達手段と結合した組換えDNA分子を含む組成物を投与する。その組換えDNA分子はプロモーターに作動可能に連結されたアンチセニリン分子をコードする遺伝子を保持し、その作動可能な連結は脳におけるアンチセニリン分子の発現を可能にする。プロモーターは、アルツハイマー病におけるアミロイド沈着が最も優勢な海馬と大脳皮質で最も高い発現レベルを持つβAPPの発現パターンにならうプロモーターであることが好ましい。アンチセニリン遺伝子に作動可能に連結される好ましいプロモーターの非限定的な例として、チミジンキナーゼ(Thy1)プロモーターは、脳におけるβAPPの自然な発現を模倣して領域特異的にβAPPの発現を推進することが示されている(Andraら, 1996)。シナプシンIプロモーターに基づくキメラ導入遺伝子は、トランスジェニックマウスの脳で、βAPP発現を海馬のCA亜領域及び梨状皮質に向かわせるために使用されている(Howlandら, 1995)。プリオンタンパク質プロモーターを用いて、トランスジェニックマウスの脳皮質における高レベルなβAPP発現が達成されている(Hsiaoら, 1996)。アンチセニリン遺伝子の発現にβAPP遺伝子プロモーターを使用することにより、数多くの利点が得られるだろう。具体的には、βAPPプロモーターの制御下にあるアンチセニリン遺伝子は、βAPP遺伝子と同じ解剖学的及び生理学的発現パターンを持つだろう。ヒトβAPPプロモーターについては多くのグループによって特徴づけられている(例えばSalbaumら, 1988;La Fauciら, 1989;Wirakら, 1991;Lahiri及びNall, 1995)。このプロモーターは、熱ショック配列と転写因子結合用の共通配列を含むいくつかの調節ドメインを持つ。したがって、βAPP遺伝子の制御下でのアンチセニリンの発現は、例えば増殖因子類、レチノイン酸、インターロイキン−1などといった多数の誘導物質のいずれかを適用することにより、脳の特定の領域で必要に応じて強化できる。プレプロエンケファリンプロモーターも、直接的生体内遺伝子導入後に、ラット成体脳における領域特異的な長期発現をもたらしたと報告されている(Kaplittら, 1994)。
プロモーターに作動可能に連結されたアンチセニリン遺伝子を運ぶ組換えDNA分子の中枢神経系細胞への導入を容易にするために、多くの様々な遺伝子送達手段を組換えDNA分子と結合して使用できる。「遺伝子送達手段」という用語は、血液脳関門を横切るDNA分子の送達及び/又は細胞膜を横切る経膜的送達に適した任意の技術を包含するものとする。遺伝子送達手段の非限定的な例はウイルスベクター(例えばアデノ随伴ウイルス系ベクター)、脂質/リポソーム、細胞表面レセプターのリガンドなどである。
アンチセニリン遺伝子を運ぶ組換えDNA分子は遺伝子送達手段と結合される。ここにその結合とは、例えばその遺伝子送達手段がウイルスベクターであって、アンチセニリン遺伝子がそのウイルスベクターのDNA中に組み込まれるか、そのウイルス粒子にパッケージングされる状態;遺伝子送達手段がリポソームであって、アンチセニリン遺伝子がそれと錯体を形成する状態;遺伝子送達手段が細胞表面レセプターのリガンドであって、アンチセニリン遺伝子がそれと接合又は他の方法で結合される状態などを包含するものとする。したがって「〜と結合した」という表現には、「〜への組み込み(又はパッケージング)」、「〜との錯化」、「〜への接合(又は結合)」及びアンチセリン遺伝子を遺伝子送達手段と結合させる他の任意の方法が含まれる。とりわけ組換えDNA分子が血液脳関門と脳細胞の細胞膜の両方を横切って送達されるべき場合は、組換えDNA分子を複数の遺伝子送達手段と結合させうることは理解されるだろう。
アデノ随伴ウイルス(AAV)は最初は組織培養汚染物質として分離され、後に小児のアデノウイルス集団発生時に非病原性の同時感染物質として見出された(Blacklowら, 1968)。これは4.7kbのゲノムを持つパルボウイルス群の一本鎖DNAウイルスである。最も小さいヒトDNAウイルスの一つとしてAAVがその生活環を完結するには効率のよい複製のためにヘルパーウイルスとの同時感染が必要である(Carter, 1990)。ヘルパーウイルス感染がない場合、AAVは潜伏性になり、しばしば19番染色体上の特定部位に、高い頻度で安定に組み込まれる(Kotinら, 1990;1991;1992;Samulskiら, 1991)。AAVゲノムは配列決定されていて、AAVベクターの組込みに必要な唯一の配列は末端の145ヌクレオチドの逆方向末端反復(ITR)にあり、したがってクローニング能力はほぼ4.7kbになることが見出された(Muzyczka, 1992)。このウイルスは非病原性であり、宿主細胞域が広く、天然の機序を利用した高頻度の組込みが可能なことから、AAVは細胞への遺伝子送達/導入用ベクターとしてとりわけ好適である。そのうえ、従来のレトロウイルスはゲノムDNA合成を必要とするが、AAVベクターは非分裂細胞又は休止細胞に外来遺伝子を導入できるという独特な能力を持っている。哺乳類の脳での遺伝子発現にこれらの特徴を利用する例はふえつつあり、アルツハイマー病に関係するいくつかの遺伝子がAAVベクターを用いて脳内で発現されている(Makimuraら, 1996)。Duら(1996)による最近の研究は、AAVベクターが外来遺伝子(例えば、lacZ)を有糸分裂後のヒトニューロンに効率よく形質導入し、そこで安定に発現させることを示している。神経細胞における外来遺伝子の発現はAAV系プラスミドのリポソームによるトランスフェクションでも報告されている(Meyerら, 1995;Wuら, 1994, 1995)。
Lowらの米国特許第5,108,921号には、レセプターが媒介するエンドサイトーシス活性の機構によるタンパク質や核酸などの分子の経膜的送達法が概説されている。これらのレセプター系にはガラクトース、マンノース、マンノース−6−ホスフェート、トランスフェリン、アシアロ糖タンパク質、トランスコバラミン(ビタミンB12)、α−2マクログロブリン、インシュリン及び上皮成長因子(EGF)などの他のペプチド成長因子類を認識するものが含まれる。またLowらは、ほとんどの細胞の膜表面にビオチン及び葉酸レセプターが多数存在し、レセプターが媒介する経膜的輸送過程を伴うことから、細胞膜を横切る輸送を強化するために、ビオチンや葉酸のレセプターなどといった栄養素レセプターを有利に使用できることを示している。すなわち、細胞質に送達しようとする化合物と、ビオチン又は葉酸などのリガンドとの間に形成された複合体を、ビオチン又は葉酸レセプターを保持する細胞膜と接触させて、レセプター媒介経膜的輸送機序を開始させ、それによってその細胞への所望の化合物の侵入を可能にする。
ビオチンリガンドは、例えば、末端デオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ(Karger, B. D., 1989)を使って市販のビオチニル化デオキシヌクレオチド三リン酸(例:Life Technologies社(メリーランド州ゲーサーズバーグ)のビオチン−14−dATP又はビオチン−14−dCTP)を組み込むことにより、DNA分子に結合できる。ビオチン−14−dATPはプリン塩基の6位に14−原子リンカーを介して結合したビオチンを持つdATP類似体であり、ビオチン−14−dCTPはピリミジン塩基のN位に14−原子リンカーを介して結合したビオチンを持つdCTP類似体である。
ウイルスへのパッケージング用のウイルス系ベクター又はプラスミドベクターに組み込むか、カチオン性脂質又はカチオン性リポソームと錯形成させるか、他の適当な遺伝子送達手段と結合させるかにかかわらず、プロモーターに作動可能に連結されたアンチセニリンをコードする組換えDNA分子は、注射によって対象に投与される。ウイルスパッケージ型又はリガンド結合型組換えDNA分子を脳細胞を取り囲む細胞外環境(例えば脳脊髄液)に直接送達し、それに続いて細胞内への経膜的送達を行なうには、確立された座標を使用した様々な脳領域への定位微量注射法を使用できる。
脳への直接注射は侵襲的処置であるので、ウイルスパッケージ型又はリガンド結合型組換えDNA分子は静脈内又は動脈内注射によって投与されることが好ましい。ウイルスパッケージ型又はリガンド結合型組換えDNA分子は、血液脳関門を横切って中枢神経系への遺伝子送達を達成するために、さらに他の遺伝子送達手段と結合させることができる。Zhuら(1993)は、カチオン性脂質−プラスミドDNA複合体が脳を含む全ての組織に全身的に送達されうることを示した。最近、動脈内投与されたチミジンキナーゼ遺伝子含有カチオン性リポソームが、脳腫瘍のラットモデルで好結果を示し、明白な毒性や組織学的損傷を伴わずに退縮が達成されることも示された(Laineら, 1995)。リポソームによる遺伝子送達は科学文献と特許公報で詳しく扱われており、またLasic, D. D.がLiposomes in Gene Delivery(CRC Press, フロリダ州ボカラトン, 1997;これは参照によりそのまま本明細書に組み込まれる)で詳細に論じている。
脳に送達されると、ウイルスパッケージ型組換えDNA分子は、リガンド結合型であれ他の適当な遺伝子送達手段と結合したものであれ、脳細胞を形質転換し、次いでその脳細胞はアンチセニリン分子(Aβペプチドに末端特異的な組換え抗体分子)を発現させ、発現したアンチセニリンを細胞外腔、間質液及び脳脊髄液中に分泌する。次いで、分泌されたアンチセニリンは、細胞外腔、間質液及び脳脊髄液中で、それらが末端特異性を示すAβペプチドと可溶性複合体を形成する。これらの可溶性アンチセニリン−Aβペプチド複合体は、細胞外腔、間質液及び脳脊髄液の大血液循環(そこではそれらがプロテアーゼ消化によって排除されるだろう)への排出を通じてAβペプチドを中枢神経系から清掃することにより、Aβペプチドのアミロイド沈着への凝集を防止し、Aβ誘導神経毒性を防止する。したがって、アミロイド沈着とAβ誘導神経毒性の原因である新たに分泌される可溶性Aβペプチドの蓄積が防止される。
アルツハイマー病の進行を防止又は抑制する本方法は、主として、遺伝的に明らかにアルツハイマー病を発生しやすい患者への使用が意図されているが、このような一般的で消耗性の疾患の発生に対抗するために、集団全体を「免疫する」ために予防的にも使用できる。好ましい投与経路は静脈内又は動脈内である。ただし、脳の領域への直接的な微量注射の侵襲性にもかかわらず、この投与経路は本発明の範囲に包含されるものとする。具体的には、その素因ゆえにアルツハイマー病を発症すると予期されるダウン症候群又は家族性アルツハイマー病関連突然変異を持つ患者又は既にアルツハイマー病にかかっている患者を、脳への直接微量注射によって処置できる。この処置の利益は、脳への注射などの侵襲的技術の危険性を上回ると予想される。
遺伝子送達手段と結合した、アンチセニリン遺伝子を含有する組換えDNA分子は、薬剤/医薬組成物の調製又は製造に使用できる。本医薬組成物は意図した目的を達成するのに有効な量の組換えDNA分子を含有する。例えば、遺伝子送達手段がAAVベクターなどのウイルスベクターである場合は、定位的に微量注射される医薬組成物中のウイルス粒子の好適な投与量は約5×10〜1×1011粒子の範囲にある。ビオチンなどのリガンドを脳への直接的投与による遺伝子送達手段として使用する場合は、約0.5〜100μgの範囲のリガンド結合型DNA分子を使用するとよい。このようなリガンド結合型DNA分子については、中枢神経系内の細胞の細胞外環境でそれらの分子を保護するために、そのDNA分子を予め濃縮しておくことが好ましい。カチオン性脂質又はカチオン性リポソームと錯形成したDNA分子の医薬組成物と投与量は上記の文献Lasic(1997)で議論されている。また本医薬組成物は、当技術分野でよく知られているような製薬上許容できる適当な賦形剤を含有しうる。
本発明を広く説明し終えたので、下記の預言的実施例を参照することにより、本発明がより容易に理解されるだろう。ただし、これらの実施例は例示のために記載するのであって、本発明の限定を意図するものではない。
アミロイド−βペプチドに末端特異的な組換えアンチセニリン抗体分子をコードする遺伝子を含有する組換えDNA分子の開発に使用する戦略とプロトコールを以下に説明する。
モノクローナルAβ末端−特異抗体の作成
免疫原ペプチドの合成
遊離のN末端又は遊離のC末端を組み込んだ様々な長さを持つ数種類のペプチドをApplied Biosystems製ペプチドシンセサイザー(430A)で調製する。その合成ペプチドをHPLCで精製し、アミノ酸組成分析とNH末端微量配列分析で特徴づける。
ペプチドN1/5 Aβ 1−40/42 (モノクローナル抗体「アンチセニリンN1/5」)
Aβ(1−40及び1−42)の最初の5アミノ酸に相当するペプチド(図2に該当する線分で図示)を合成する。このペプチドはC末端にシステイン残基を含み、配列番号2の配列を持つ(図1参照)。
ペプチドN1/7 Aβ 1-40/42 (モノクローナル抗体「アンチセニリンN1/7」)
Aβ(1−40及び1−42)の最初の7アミノ酸に相当するペプチド(図2に該当する線分で図示)を合成する。このペプチドはC末端にシステイン残基を含み、配列番号3の配列を持つ。
ペプチドC34/40 Aβ 1-40 (モノクローナル抗体「アンチセニリンC34/40」)
Aβ(1−40)の最後の7アミノ酸に相当するペプチド(図2に該当する線分で図示)を合成する。このペプチドはN末端にシステイン残基を含み、配列番号4の配列を持つ。
ペプチドC36/42 Aβ 1-42 (モノクローナル抗体「アンチセニリンC36/42」)
Aβ(1−42)の最後の7アミノ酸に相当するペプチド(図2に該当する線分で図示)を合成する。このペプチドはN末端にシステイン残基を含み、配列番号5の配列を持つ。
ペプチドの接合
精製したペプチドを、1−ヒドロキシル−2−ニトロ−4−ベンゼンスルホン酸のN−マレイミド−6−アミノカプロイルエステルを用いてウシ血清アルブミン(BSA)に接合する。
免疫化とハイブリドーマモノクローナル抗体生産
第一段階:各組10匹のBalb/cマウス4組を、標準的な免疫化プロトコール(Taggert及びSamloff,1983)を用いて上述の精製BSA接合ペプチドで免疫する。
第二段階:免疫化プロトコールの完了後に、過免疫されたマウスから得られる脾細胞と、適当な骨髄腫細胞株SP2/0−Ag14(ATCC CRL 1581)、NS−1(ATCC TIB18)又は同等の株とを用いて、融合処置を行なう。この処置はポリエチレングリコールを使って行なわれ、成功した融合産物の選択はHAT培地を使って達成される。生存可能なハイブリドーマコロニーを96ウェルプレート中で生じさせる。
第三段階:成功した融合産物を含有するすべてのウェルを、次の項に記載のELISAにより、ペプチド抗原でスクリーニングする。数ウェルから得た上清を後述するようにインビトロ生物検定法でもスクリーニングする。
第四段階:ELISAアッセイの結果と生物検定の結果による評価とに基づいて、選択したコロニーに対して限界希釈法によるサブクリーニングを行なう。
ELISA検出と親和力決定
Aβ1−42、Aβ1−40ならびにAβペプチドとそれらの派生源であるβAPP中に見出される残基1−52、1−11、−2[KM]−11、−1[M]−11、1−28、35−40、35−42及び35−44に対応する一組の合成ペプチドを使用して、モノクローナル抗体の特異性と結合親和力(Kd)をELISAアッセイ(Engvall及びPerlmann, 1971)で評価する。また、AβペプチドのN末端又はC末端に対応し、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)や卵白アルブミンなどの異なる担体タンパク質に接合した免疫原ペプチド配列を使用して、得られたモノクローナル抗体がAβペプチドに末端特異的でありかつ担体タンパク質又はシステイン架橋には非特異的であるかどうかを決定する。
モノクローナル抗体を生成するために次に使用するプロトコールを検証するため、Aβペプチドの遊離N末端に特異的な高親和性ポリクローナル抗体(これらの抗体は制限ペプチドHN−配列番号6−アミノヘキサン酸−C−アミドを用いて生じさせた)を作成した。各ペプチドを固相Fmoc法で合成した。次にそれらのペプチドを切断し、質量分析法と高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で分析した。HPLCによる精製は、A:HO/0.1%TFAとB:CHCN/0.08%TFAの緩衝液系で、C−18YMCカラム(充填剤10μ、ポアサイズ120A、10×250mm)を用いて行なった。適当なフラクションをプールし、凍結乾燥し、再び質量分析法とHPLC分析にかけた。そのペプチドを免疫化についてはKLH、ELISA検出についてはBSAに、架橋剤MBSで結合した。ウサギを三週間間隔で免疫化し、アセタール−配列番号7−Ahx−C−アミドを用いるELISAによって力価を評価した。このペプチドはAβペプチドの遊離N末端を与える0−1スプライス部位をまたぐアミノ酸残基の配列に相当する。この貫通型ペプチドをチオールカップリングゲルにそれらのシステイン残基を介して結合させ、遊離アミン−Aspの存在に依存しない全ての抗体を前もって吸収除去するために使用した。次にN末端ペプチドを用いて抗体を精製し、収集した。粗血清は貫通型ペプチドに対してかなりの活性を示すが、いったんアフィニティー精製すると、得られた抗体には全域ペプチドとの反応性がなく、N末端ペプチドとの反応性だけがあった。
AβペプチドのN末端に特異的なモノクローナル抗体を作成するために、BSAに接合したHN−配列番号6−アミノヘキサン酸−C−アミド(ポリクローナル抗体の調製について記述したように調製)を用いて、マウスを三週間間隔で免疫化する。各マウスにおける力価も上述のようにELISAで評価する。最も高い力価を含むマウスの脾細胞融合後に、いくつかのクローンを単離し、全域ペプチドELISA検出法でスクリーニングする。
Aβ末端−特異抗体のAβ凝集及びAβ誘導細胞毒性遮断能力を試験するためのインビトロ生物検定
A)Aβ原線維形成に対する効果:Jarrettら(1993)によって示されたように、Aβのカルボキシ末端は、アルツハイマー病でアミロイド斑形成速度が著しく加速される原因であろうアミロイド形成の「シーディング」にとって重要である(Yankner及びMesulam, 1991)。Aβ1−40などの速度論的に可溶なペプチドによるアミロイド形成は、重要なC末端残基41(Ile)と42(Ala)を含むAβ1−42などのペプチドを核又は「シード」とすることができる。本願が優先権の恩典を主張する米国仮出願の出願日である1997年4月9日より後で、Solomonら(1997)とFrenkelら(1997)はその抄録に、彼らの研究は、Aβペプチドの位置1−16のN末端領域に対する抗体が、形成された原線維に結合し脱凝集をもたらすことを示すと報告した。このような抗体の抗凝集性エピトープは、まさに残基位置3〜6の4つのアミノ酸Glu Phe Arg His(配列番号8)内にあると報告された。配列番号8のこれら4つのアミノ酸残基は、すべてAβのN末端用の免疫ペプチド中に存在する。C端又はN端末端特異Aβ抗体がAβ1−42によるシーディングを遮断する能力又はアミロイドペプチドの凝集を防止する能力は、標準的な凝集試験法(Woodら, 1996)を用いて試験される。Aβ1−40ペプチドを1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノールに5mg/mLになるように溶解する。そのペプチドを濃縮乾固し、pH7.4のリン酸緩衝食塩水(PBS)に最終濃度が230μMになるように再溶解する。Aβ1−42(20μM)の溶液を3日間撹拌し、30分間超音波処理して,アミロイド原線維を生成させる。Aβ1−40の凝集を誘起するために、前もって凝集させた2nM濃度のAβ1−42を過飽和状態のpH7.4保温液に加える。マイクロタイタープレートに調製した各試料の濁度をマイクロタイタープレート読取装置を使って405nmでモニターすることにより、各Aβ末端特異モノクローナル抗体の不在下及び存在下での凝集体形成を決定する。この反応は、Woodら(1996)に記述されているように、チオフラビン−T蛍光でもモニターされる。N末端特異抗体がアミロイドペプチド原線維の脱凝集を促進する能力は、96ウェルマイクロタイタープラスチック被覆プレート上にコーティングされた非凝集ペプチドを含有するコラーゲンマトリックスからの[125I]標識アミロイド凝集ペプチドの脱離を調べることによって試験される。加えて、N末端特異抗体がAβ誘導性損傷からニューロンを保護する能力が、トリパンブルー排除法、細胞内カルシウム濃度測定、走査型及び透過型電子顕微鏡法及び共焦点顕微鏡法によって評価される。
B)Aβ誘導神経毒性:終末糖化産物のレセプター(RAGE)はニューロンと小グリア細胞に対するAβの神経毒効果の一部を媒介する(Yanら, 1996)。末端特異抗体を、それらが競争阻害によってそのレセプター媒介性の神経毒性を阻害する能力について試験する。抗体は、精製RAGEレセプター調製物を使って試験されると共に、Aβ誘導性の細胞オキシダントストレスに対するそれらの効果を測定することによっても試験される。
RAGEレセプターはオクチル−β−グルコシド(1%)とフェニルメチルスルホニルフルオリド(2nm)を含むトリス緩衝食塩水に溶解したウシ肺抽出物から精製し、ヘパリン・ハイパーDカラム(Biosepra社)にかける。そのカラムをNaClの勾配で溶出し、125I−標識Aβの結合量が最大であるフラクションを同定する。それらのフラクションをプールし、ヒドロキシアパタイト・ウルトラゲル(Biosepra社)にのせ、リン酸濃度を増加させて溶出する。125I−標識Aβの結合量が最大であるフラクションを調製用非還元ポリアクリルアミドSDSゲル(10%)にかける。RAGEレセプタータンパク質M50,000をクーマシーブルー染色法で同定し、隣接するレーンのその領域を切断し、溶出する。RAGEレセプターへの125I−標識Aβ(1−40/1−42)の結合に対する末端特異抗体による競争的阻害は、いくつかの方法で決定される:(1)様々な量(0〜150μg)の精製タンパク質をマイクロタイターウェルに固定化し、100nM125I−標識Aβ(1−40/1−42)と共にインキュベートする;(2)様々な量(0〜250nM)の125I−標識Aβ(1−40/1−42)を5μgの精製RAGEレセプターで前もってコーティングしてあるマイクロタイターウェルでインキュベートする;(3)様々な量(0〜500μg/mL)のAβ(1−40/1−42)をマイクロタイターウェルに固定化し、50nMの125I−標識RAGEレセプターと共にインキュベートする。各アッセイでは、様々な量の抗体の存在下でウェルに結合するリガンドの量を、ガンマ−シンチレーションカウンターで各ウェルの放射活性量をカウントすることによって決定する。
様々な末端特異Aβモノクローナル抗体の、Aβ誘導性の細胞オキシダントストレスの阻害剤としての効力を評価するために、培養マウス脳微小血管内皮細胞(Breitnerら, 1994)を、様々な量の抗体の存在下で0.25μM Aβと共にインキュベートし、先に記述したようなTBARS測定法(Denneryら, 1990;Yanら, 1996)でチオバルビツール酸反応性物質の用量依存的生成を測定することにより、細胞のオキシダントストレスを評価する。並行アッセイ系(Khouryら, 1996が開発したもの)で、N9マウス小グリア細胞におけるAβ誘導酸素反応性種の生成に対する各抗体の阻害効果を試験する。N9細胞(5×10)を、Aβペプチドでコーティングした多スポットスライド上で、1μM HDCF(2,7−ジクロロフルオレセインジアセテート;酸化時に蛍光を発する色素(Wanら, 1993))を含有する50μLのPD−BSA(二価カチオンを欠き1mg/mLのBSAを含むリン酸緩衝食塩水)中、様々な量の抗体の存在下に37℃でインキュベートする。様々な時点で培養培地の一部を採取し、その蛍光を蛍光プレート読取装置(Cytofluor II)で測定する。
C)プロテオグリカンとの相互作用に対する効果:血管細胞由来のヘパラン硫酸プロテオグリカンであるパーレカンは全てのアミロイド沈着物中に同定されており、Aβとの高親和性結合相互作用による炎症関連アミロイド誘導の最初期段階に関係している(Snowら, 1989;1995)。Aβに対するパーレカンの結合は、その相互作用を妨害する分子がアミロイド形成を防止又は停止しうることを示唆する二次及び三次アミロイド構造特徴を付与する。
AβペプチドのN末端に対応する様々な長さのペプチドに対して作成された末端特異Aβモノクローナル抗体を、AβのN末端領域中のパーレカン結合部位に対するパーレカンの結合を遮断する能力について評価する(Snowら, 1995)。これらの評価は、Snowら(1995)に詳述されているように、子ウシ胸部大動脈から調製される培養内皮細胞から単離されたパーレカンを用いる固相結合試験法に基づく。ポリビニル製マイクロタイターウェルを100μLのニトロセルロース溶液でコーティングし、乾燥させる。次に、非標識パーレカンを用いて1ウェルあたり0.28μgのパーレカン結合量になるように室温で終夜コーティングし、200μLの5%脱脂粉乳を使って室温で終夜遮断する。100μLのTBS/0.05%Tween 20(TBST)に希釈した様々な量の125I−Aβ(7000cpm/pM)をそれぞれ3つのウェルに添加し、軌道式振盪機上室温にて2.5時間インキュベートする。そのインキュベーション時間の最後に、TBSTによる6回の洗浄で遊離の125I−Aβを除去する。結合した125Iを100μLの1N水酸化ナトリウムに抽出し、「結合型」と「遊離型」の放射活性を液体シンチレーション計数によって定量する。増加する量のモノクローナル抗体の存在下で125I−Aβをインキュベートした後、スキャッチャード解析を行う。
組換え遺伝子のクローニングと組み立て
ハイブリドーマからのmRNA単離とcDNA合成
GriffithsとMilstein(1985)が記述しているように5×10個のハイブリドーマ細胞からメッセンジャーRNA(mRNA)を調製する。標準的な方法(Maniatisら, 1989)に従って第一鎖cDNA合成を行なった。
PCR増幅、可変抗原結合領域のクローニング及び一本鎖抗体の構築
ポリメラーゼ連鎖反応を使ってゲノムDNAとcDNAから免疫グロブリン可変ドメインをクローニングする技術は既に開発されている(Orlandiら, 1989;Wardら, 1989;Richardsonら, 1995)。また、マウス免疫グロブリンの重鎖(V)とκ軽鎖(V)のVドメインをコードするヌクレオチド配列の各末端にある保存された配列に基づくプライマーは、各鎖の可変領域を含有する増幅産物の強制クローニングを可能にする制限部位も組み込む。これらのプライマーはマウスレパートリーの大部分の免疫グロブリンmRNAを増幅することができる。
図4に示すように、ハイブリドーマ細胞からのcDNAに対するPCRは、Richardsonら(1995)に記載のプライマーを用いて行なわれる。Richardsonら(1995)に記述されているように、scFvアンチセニリン遺伝子をV及びV領域に対応する増幅DNAと鎖間リンカーから組み立て、大腸菌で発現させ、Vの3末端に停止コドンを組み込むプライマーを使ったPCRにより再増幅する。組換えAAVベクターの構築に備えて、組換えscFv遺伝子を再増幅するためのフォワードプライマーとリバースプライマーには、下記AAVプラスミドベクターpSSVへのその挿入が容易になるように、XbaI制限部位が組み込まれる。
脳におけるscFvαAβ遺伝子の局所発現用の組換えアデノ随伴ウイルスベクターの構築
組み立てたScFvαAβ遺伝子を、AAVプラスミドpSSV9(psub201)中、ヒトβAPPプロモーター(huβAPPP)の制御下に連結する。プラスミドpSSV9は修飾全長2型AAVゲノムクローンである。また、huβAPPPが好ましいのではあるが、上述のように、Thy−1、シナプシンI、プリオンなどといった他の好適なプロモーターも使用できる。
図5に示すように、2つの隣接するXbaI部位の切断により、ウイルス逆方向末端反復(ITR)だけを残してAAVコード配列の全てを切除する。これらのITRは複製とAAVベクターへのパッケージングに必要な認識シグナルを含有する。AAVコード配列をhuβAPPPH/KAβコード配列で置換する。AAV/huβAPPPH/KAβの新しいコード配列には、SV40初期領域ポリアデニル化シグナルが続く。
パッケージングされたhuβAPPP H/K AβAAVベクターの調製
アデノウイルス形質転換ヒト胚腎臓細胞株293(ATCC CRL-1573)を用いて、huβAPPPH/KAβAAVベクターを、Samulskiら(1989)が(Samulskiら, 1987, 1989)。トランスフェクションには、標準的なリン酸カルシウム沈殿法(Wiglerら, 1979)を使用し、トランスフェクション効率を向上させるためにクロロキン二リン酸を添加して行なう(Luthmanら, 1983)。終夜インキュベートした後、トランスフェクション溶液を、15%ウシ胎仔血清を含む新しい培地で置換する。感染の三日後に細胞を収集し、1000×gで10分間の遠心分離によりペレット化し、それを凍結−融解サイクルにかけて細胞に付随したウイルス粒子を放出させる。混入しているAd5は溶解液を56℃に加熱することによって失活される。次にその溶解液を遠心分離によって浄化し、残存するプラスミドDNAを完全に除去するために、25単位/mlのRNアーゼ・フリー・DNアーゼを用いて37℃で30分間処理する。
AAV/huβAPPP H/K ベクターの発現を試験するためのヒトニューロンの形質導入
潜在的ベクターとしてのAAVの有用性はDuら(1996)によりヒトNTニューロンで明確に確立されている(Pleasureら, 1993)。これらのニューロンの前駆体は、レチノイン酸に被曝するとニューロンに最終分化するヒト奇形癌細胞NT2の亜系統である(Leeら, 1994;Pleasureら, 1993)。選択的播直しを行ないながら4週間のレチノイン酸処理で、ほぼ純粋な>95%のニューロン集団が得られる。これらの成熟ニューロンは培養中で何週間も生存可能でありつづける。明瞭な形態学的様相と数多くのニューロンマーカーの発現に加えて、ヒトNTニューロンは、天然CNSニューロンと類似するアミロイド前駆体タンパク質パターンを持ち、Aβペプチドを産生する(Wertkinら, 1993)。
未分化前駆体NT2細胞をStratagene社(カリフォルニア州ラホーヤ)から入手し、5%熱失活ウシ胎仔血清(FBS)と100単位/mLペニシリン及び100μg/mLストレプトマイシン(PS)を含むOpti−MEM(GIBCO BRL、メリーランド州ゲーサーズバーグ)中、5%CO下に37℃で培養する。T75フラスコ1つあたり2×10個のNT2細胞を10μMレチノイン酸で4週間処理した後、6つのT75フラスコに低密度で播直しする。分化した細胞を含む上層を機械的に取り除き、24ウェルプレートに1ウェルあたり1×10細胞の密度で播直しする。ウェルとガラス製カバーグラスを0.01%ポリ−D−リジンでコーティングした後、1:20 MATRIGEL(Collaborative Research, マサチューセッツ州ベッドフォード)で覆う。細胞を、10%FBS、PS及び有糸分裂抑制剤を含有するDMEM高グルコース/L−グルタミンで3週間培養する。濃縮されたニューロンをDMEM/10%FBS/PS中、37℃、5%COで維持する。
成長培地を除き、無血清培地で1回洗浄し、無血清DMEMで希釈したベクター保存液を添加することにより、NTニューロン(1ウェルあたり約10個)をAAV/huβAPPPH/KAβベクターで形質導入する。37℃で90分間インキュベートした後、10%FBSを含む1mLのDMEMを各ウェルに加える。各培養には2日後とそれ以降の毎週2回、培地交換を施す。
細胞生存度測定
細胞の生存度は、コントロールとhuβAPPPVH/KAβAAVベクター形質導入細胞のミトコンドリア機能に基づいて評価される。ミトコンドリアデヒドロゲナーゼ活性のレベルを3−(4,5−ジメチルチアゾール−3−イル)−2,5−ジフェニルテトラゾリウムブロミドを基質として比較した。デヒドロゲナーゼによる紫色のホルマザン生成物へのその切断を、分光測光的に570nmで定量する。
結合親和定数の検出と決定
分泌された組換え抗体(アンチセニリン)が、元のハイブリドーマ分泌抗体の結合特性を保っていることを確認するために、NT2形質導入細胞の培養培地を用いて、この実施例で前述したようにELISAアッセイを行なう。
Aβ機能の阻害を試験するための生物検定
分泌された抗体を、形質導入NT2細胞を培養した培養培地から単離する。生成した抗体と培養培地そのものを、Aβ凝集又はAβ誘導細胞毒性の阻害剤として、上記インビトロ生物検定の項に記述したように試験する。
一本鎖アンチセニリン抗体を脳内で発現させるトランスジェニックマウスの作出
ScFvアンチセニリン遺伝子を、PrPオープンリーディングフレーム(ORF)がアンチセニリン遺伝子ORFで置換されるように、ハムスタープリオンタンパク質(PrP)コスミドベクターに挿入する。Brinsterら(1981)、Harbersら(1981)、Wagnerら(1981)、Gordonら(1976)、Stewartら(1982)、Palmiterら(1983)及び米国特許第4,870,009号などの広く使用されている方法のいずれかに従い、C57B6SJLマウスの受精1細胞卵への微量注射によってトランスジェニックマウスを作出するために、上記導入遺伝子を使用する。得られた子孫(TGScFvA)を標準的なPCR増幅法を使った遺伝子型判別によって調べる。
αβ抗体のアンチセニリンとしての潜在的治療能力を確証するための動物モデル
インビボ抗Aβ抗体の発現について試験し、それらがアミロイド斑の蓄積を減速させる可能性を示して脳におけるAD様病変の発生を防止するかどうかを決定するには、動物モデルが必要である。ADはヒト独自の疾患であるが、ヒトβAPPを過剰発現させるいくつかのトランスジェニックマウスが有望である。
斑負荷量と関連AD病理トランスジェニックマウスに対する慢性Aβ枯渇の効果
Lys670からAsn及びMet671からLeuへの突然変異を含有するアルツハイマーβAPPの695アミノ酸イソ型(Hsiao, K., 1996,米国特許第08/664,872号)を過剰発現させるトランスジェニック動物マウスモデルで、組換えAβ末端特異抗体のアンチセニリン機能を試験する。これらのトランスジェニックマウス(TG2576)におけるアルツハイマー病の行動的、生化学的及び病理学的異常の相関的出現は、この疾患のAβ誘導性の病態生理を減速又は防止する薬剤の有用性を探索する機会を与える。
アンチセニリン遺伝子に関して同型接合の雌性トランスジェニックマウス(TGScFvA)を繁殖用TG2576雄性マウスと交配する。アンチセニリン遺伝子と変異型APP遺伝子の両方を発現させる子孫を、行動的、生化学的及び病理学的異常に関してTG2576マウスと比較する。
本発明を完全に説明し終えたので、本発明の思想と範囲から逸脱することなく、また必要以上の実験を行なうことなく、広範囲にわたる等価なパラメーター、濃度及び条件で本発明を実施できることは当業者には理解されるだろう。
本発明を特定の態様に関して説明したが、さらなる変更が可能なことは理解されるだろう。本願は全体として本発明の原理に従うあらゆる変形、使用又は適応を、本発明が属する技術分野で既知又は慣例の実施に含まれることになるような及び下記請求の範囲に記載する基本的特徴に当てはまりうるような本明細書からの逸脱を含めて、包含するものとする。
雑誌の記事又は抄録、公表済又は未公表の米国又は他国の特許出願、発行された米国又は他国の特許又は他の任意の文献など、本明細書で引用した全ての文献は、引用文献に記載の全てのデータ、表、図及び本文を含めて、参照によりそのままここに組み込まれる。また本明細書で引用した文献で引用されている文献の全内容も参照によりそのまま組み込まれる。以下、本明細書中に引用する文献を、表1〜8中にまとめて記載する。
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既知の工程、従来の工程、既知の方法又は従来の方法への言及は、決して、本発明の何らかの側面、説明及び態様が関連技術に開示、教示又は示唆されていることを容認するものではない。
上述した特定態様の説明は本発明の一般的性質を完全に明らかにするだろうから、当技術分野の知見(ここに引用した文献の内容を含む)を応用することにより、誰でも容易に、不必要な実験を行なうことなく、本発明の一般的概念から逸脱することなく、そのような特定態様を変更しかつ/または様々な応用に適応させることができる。したがってそのような適応や変更は、ここに記載した教示内容と指針に基づいて、開示した態様の均等物の意味と範囲内にあるものと解釈される。本明細書における表現や用語は説明のためであって限定のためではないと理解されるべきであり、したがって当業者は本明細書の用語や表現を、当業者の知識と共に、ここに記載した教示内容と指針に照らして解釈すべきである。
図1は、β−アミロイド前駆体タンパク質(βAPP)と、α−、β−及びγ−セクレターゼ切断の各産物を表す略図である。様々なドメインの一般的位置をセクレターゼ切断部位(α、β、γ)と共に示す。図1には、CNSにおける異所性Aβ末端特異抗体の安定な発現と分泌が、可溶性β−アミロイド前駆体タンパク質の生物学的機能に影響を与えることなく、(1)Aβペプチドの蓄積と(2)アミロイド沈着の神経毒性的結果を抑制することも図示されている。 図2は、βAPP中にあってそこからβ−アミロイドペプチド(Aβ)が派生する領域のアミノ酸配列(配列番号1)である。矢印はα−、β−又はγ−セクレターゼ切断部位を示し、免疫原として使用される合成ペプチドに対応するアミノ酸残基を配列の下に線分で示す。 図3は、重鎖可変ドメイン(V)、軽鎖可変ドメイン(V)、軽鎖定常領域(C)及び重鎖定常ドメイン(C1、C2、C3)を持つ抗体全体(A)、Fab断片(B)、Fv断片(C)及び一本鎖Fv断片(scFv)(D)の各構造を示す略図である。図Bに示すFab断片は、ジスルフィド架橋で連結された重鎖可変ドメインV、軽鎖可変ドメインV及び第一定常ドメイン(C1及びC)からなる。図Cに示すFv断片は、非共有結合的に連結された可変領域複合体(V−V)によって形成される抗体の抗原結合性部分を表し、図Dに示す一本鎖Fvでは可変重鎖Vがペプチドリンカーを介して可変軽鎖Vに結合していることを表す。 図4は、末端特異抗Aβモノクローナル抗体の可変領域をプライマーA、B、C及びDを使ったPCR増幅法でクローニングし、次に可変重鎖Vと可変軽鎖Vを鎖間ペプチドリンカー(ICL)で互いに連結することによるscFv抗体の構築を表す略図である。陰影をつけた領域は抗原結合部位の超可変領域を表し、LPは重鎖及び軽鎖のリーダーペプチドを意味する。 図5は、表示の、逆方向末端反復(ITR)、ヒトβAPPプロモーター(HuβAPPP)、SV40ポリアデニル化シグナル(SV40pA)を持つAAV ScFvαAβベクターの略図である。プラスミド主鎖はpSSV9である。

Claims (3)

  1. 遺伝子送達手段と結合した、中枢神経系中で発現されるプロモーターに作動可能に連結された、アミロイド−βペプチドの遊離N末端または遊離C末端に遊離末端特異的な組換え抗体分子をコードする遺伝子を含有する組換えDNA分子および医薬的に許容し得る賦形剤を含有する、アミロイド−βペプチドの蓄積および脳内でアミロイド沈着を形成する該ペプチドの凝集を防止するのに有用なアルツハイマー病の進行を防止または抑制するための医薬組成物であって、
    ニューロンの細胞外環境でのアミロイド−βペプチドの蓄積を防止する、
    該医薬組成物。
  2. 該抗体はアミロイド−βペプチドの遊離N末端に遊離末端特異的である、請求項1記載の医薬組成物。
  3. 該抗体はアミロイド−βペプチドの遊離C末端に遊離末端特異的である、請求項1記載の医薬組成物。
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