JP2005320325A - ジニトロビフェニル誘導体及び該誘導体、ジニトロベンジジン、ジアミノベンジジンの製造方法 - Google Patents

ジニトロビフェニル誘導体及び該誘導体、ジニトロベンジジン、ジアミノベンジジンの製造方法 Download PDF

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Isao Yamagami
功 山上
Hiroshi Yasuda
浩 安田
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  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
  • Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)

Abstract

【課題】
毒性の高いベンジジンを経由しない、安全に製造できる3,3’−ジニトロベンジジンの新しい製造方法を提供すること、およびこの3,3’−ジニトロベンジジンを用いた3,3’−ジアミノベンジジンを提供すること。
【解決手段】
3,3’−ジニトロビフェノールあるいは3,3’−ジニトロビフェノールの水酸基を炭酸アルキルやエポキシ化合物でアルキル化した化合物を、アンモニアと反応させることにより3,3’−ジニトロベンジジンを製造する。
このようにして製造した3,3’−ジニトロベンジジンを還元することにより、3,3’−ジアミノベンジジンを製造する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、3,3’−ジニトロビフェニル誘導体に関する。更に、該誘導体の製造方法に関し、詳しくは、3,3’−ジニトロ−4,4’−ビフェノールと、酸化エチレン誘導体、環状炭酸エステル誘導体等の環状化合物とを反応させることによる、3,3’−ジニトロビフェニル誘導体の製造方法に関する。
また、3,3’−ジニトロビフェニル誘導体を用いた、3,3’−ジニトロベンジジン、3,3’−ジアミノベンジジンの製造方法に関する。すなわち、本発明で提供する3,3’−ジニトロビフェニル誘導体は、下記の様に工業的に有用な3,3’−ジニトロベンジジン、3,3’−ジアミノベンジジン製造用の原料として有用である。
3,3’−ジニトロベンジジン、3,3’−ジアミノベンジジンは、ポリマー原料として有用である。特に、ポリカルボン酸化合物との反応により得られるポリアミド、ポリイミド樹脂は、超耐熱性樹脂として、航空宇宙産業、自動車産業などの分野において有用である。また、3,3’−ジアミノベンジジンと1,2−ジケトン構造を有するポリケトン化合物との反応により得られるキノキサリン樹脂も、超耐熱性樹脂として有用である。
従来、3,3’−ジニトロベンジジンを製造する方法について多くの研究がなされている。
古典的な方法として、ベンジジン転移反応を用いて、ベンジジンを中間体とする方法が良く知られている。例えば、まず始めに、ベンジジンを無水酢酸でアセチル化してN,N’−ジアセチルベンジジンを製造し、次いで、得られたN,N’−ジアセチルベンジジンを硝酸により芳香族ニトロ化して3,3’−ジニトロ−N,N’−ジアセチルベンジジンを製造し、さらに、得られた3,3’−ジニトロ−N,N’−ジアセチルベンジジンの保護基を加水分解することにより3,3’−ジニトロベンジジンを製造する方法が知られている(例えば、非特許文献1参照。)。
また、上記方法の改良方法として、まず始めに、4,4’−ジアセチルビフェニルとヒドロキシルアミンとを反応させることにより得られるN−オキシム化合物を転移反応させることにより、N,N’−ジアセチルベンジジンを製造し、次いで、ニトロ化、加水分解を行うことにより、3,3’−ジニトロベンジジンを製造する方法が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
さらに、3,3’−ジニトロ−4,4’−ジエトキシビフェニルとアンモニアとを反応させることによる3,3’−ジニトロベンジジンの製造方法、また、3,3’−ジニトロ−4,4’−ジクロロビフェニルとアンモニアとを反応させることによる3,3’−ジニトロベンジジンの製造方法が知られている(例えば、非特許文献2および非特許文献3参照。)。
3,3’−ジアミノベンジジンを製造する方法としては、3,3’−ジニトロベンジジンを還元することにより、3,3’−ジアミノベンジジンを製造する方法が知られている(例えば、特許文献2参照。)。また、3,3’−ジクロロベンジジンとアンモニアを反応させることによっても、3,3’−ジアミノベンジジンを製造できることも知られている(例えば、特許文献3参照。)。
しかし、これら従来の技術は下記に示す問題点を有しており、工業的な実施を行う上で不利である。非許特許文献1に記載される方法に代表される、ベンジジン転移反応を用いてベンジジンを中間体としてジニトロベンジジンを製造する方法は、中間体のベンジジンの毒性が高く日本では製造禁止物質であるため、工業的に実施することが困難である。また、その改良法である特許文献1の方法も、ベンジジン誘導体であるN,N’−ジアセチルベンジジンを経由することから、中間体の取り扱いやベンジジンが副生するなどの課題があるため工業化が困難である。
3,3’−ジニトロ−4,4’−ジエトキシビフェニルを原料とする方法は、原料の3,3’−ジニトロ−4,4’−ジエトキシビフェニルを製造する方法に、工業的に適当な方法がなく、エチルクロライドを使うなど、煩雑な操作を必要とし、また、3,3’−ジニトロ−4,4’−ジクロロビフェニルを用いる方法は、原料となる3,3’−ジニトロ−4,4’−ジクロロビフェニルを製造する段階で、毒性の高いポリ塩化ビフェニルに類似した構造の副生物が生成することが予想されるため、作業者の衛生環境上好ましくない。
さらに、3,3’−ジクロロベンジジンとアンモニアを反応させる方法による3,3’−ジアミノベンジジンの製造方法は、高温高圧下で銅化合物などを触媒として用いるため、その触媒の分離や、耐圧がありなおかつ耐食性のある設備を必要するなど、工業的な実施が困難である。
米国特許第5041666号明細書 特公昭43−24655号公報 特公昭49−11213号公報 J.Poly.Sci.Part A,31,3167-3180,(1993) J.Chem.Soc.,123,(1923),2051 J.Chem.Soc.,(1934),1431
本発明は、工業的に有用な3,3’−ジニトロベンジジン及び3,3’−ジアミノベンジジンを製造するための安全性が高い中間体であるジニトロビフェニル誘導体を提供することを課題の一つとする。
更に、該ジニトロビフェニル誘導体の製造方法を提供することを課題の一つとし、それを用いた3,3’−ジニトロベンジジン及び3,3’−ジアミノベンジジンの製造方法を提供することを課題の一つとする。
本発明者らは、下記式(1)、(2)、(3)のいずれかで表される化合物またはこれら化合物の混合物であることを特徴とする新規なジニトロビフェニル誘導体が、3,3’−ジニトロベンジジンを製造する原料として有用であることを見出し、本発明を完成した。該ジニトロビフェニル誘導体は、アンモニアと反応させることにより3,3’−ジニトロベンジジンが生成する。
また、3,3’−ジニトロ−4,4’−ビフェノールと下記式(5)で表される酸化エチレン誘導体、環状炭酸エステル等の環状化合物とを反応させることにより、3,3’−ジニトロビフェニル化合物を製造できることを見出し、該ジニトロビフェニル誘導体の製造方法を完成した。
本発明による3,3’−ジニトロベンジジンおよび3,3’−ジアミノベンジジンの製
造方法は、ベンジジンを経由しない工業的に有利な製造方法である。
すなわち、本発明は例えば下記の項目からなる。
(I)下記式(1)、(2)、(3)のいずれかで表される化合物であることを特徴と
するジニトロビフェニル誘導体。
Figure 2005320325
(式中、R1〜R6は水素原子、炭素数1から8の置換基を含んでもよいアルキル基、炭素数6から12の置換基を含んでもよいアリール基からなる群より選ばれる置換基を示し、R1〜R6は互いに同一でも異なってもよい。)
(II)上記式(1)、(2)、(3)のいずれかで表される化合物より選ばれる2種以上の化合物からなる混合物であるジニトロビフェニル誘導体。
(III)上記R1〜R6が水素原子、メチル基、エチル基からなる群より選ばれる置換基
であることを特徴とする上記(I)または(II)に記載のジニトロビフェニル誘導体。
(IV)下記式(4)の3,3’−ジニトロ−4,4’−ビフェノールと下記式(5)で表される化合物または下記式(5)で表される化合物からなる混合物とを反応させることを特徴とする上記(I)〜(III)のいずれかに記載のジニトロビフェニル誘導体の製造方法。
Figure 2005320325
(式中、R7は、水素原子、炭素数1から8の置換基を含んでもよいアルキル基、炭素数
6から12の置換基を含んでもよいアリール基からなる群より選ばれる置換基を示し、Xは、−O−、−O(C=O)O−からなる群より選ばれる基を示す。)
(V)上記R7が水素原子、メチル基、エチル基からなる群より選ばれる置換基であることを特徴とする上記(IV)に記載のジニトロビフェニル誘導体の製造方法。
(VI)塩基性触媒の存在下に反応させることを特徴とする上記(IV)または(V)に記
載のジニトロビフェニル誘導体の製造方法。
(VII)塩基性触媒が炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素
カリウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウムからなる群より選ばれる1種の化合物または2種以上の化合物からなる混合物であることを特徴とする上記(IV)〜(VI)のいずれかに記載のジニトロビフェニル誘導体の製造方法。
(VIII)溶媒の存在下に反応させることを特徴とする上記(IV)〜(VII)のいずれか
に記載のジニトロビフェニル誘導体の製造方法。
(IX)溶媒が、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドンからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含む溶媒であることを特徴とする上記(IV)〜(VIII)のいずれかに記載のジニトロビフェニル誘導体の製造方法。
(X)上記式(5)で表される環状化合物と上記式(4)で表される3,3’−ジニト
ロ−4,4’−ビフェノールとのモル比が2:1から10:1の範囲であることを特徴とする上記(IV)〜(IX)のいずれかに記載のジニトロビフェニル誘導体の製造方法。
(XI)反応温度が60℃から200℃の範囲であることを特徴とする上記(IV)〜(X
)のいずれかに記載のジニトロビフェニル誘導体の製造方法。
(XII)上記(I)〜(III)のいずれかに記載のジニトロビフェニル誘導体とアンモニ
アとを反応させることを特徴とする3,3’−ジニトロベンジジンの製造方法。
(XIII)上記(IV)〜(XI)のいずれかに記載の製造方法で製造したジニトロビフェニル誘導体であることを特徴とする上記(XII)に記載の3,3’−ジニトロベンジジンの
製造方法。
(XIV)反応温度が100℃から200℃の範囲であることを特徴とする上記(XII)または(XIII)に記載の3,3’−ジニトロベンジジンの製造方法。
(XV)反応圧力が、常圧以上、反応温度におけるアンモニアの蒸気圧以下の範囲であることを特徴とする上記(XII)〜(XIV)のいずれかに記載の3,3’−ジニトロベンジジンの製造方法。
(XVI)上記(XII)〜(XV)のいずれかに記載の方法により製造された3,3’−ジニトロベンジジンを還元することを特徴とする3,3’−ジアミノベンジジンの製造方法。
(XVII)硫黄系還元剤、水素、塩化第一錫からなる群から選ばれる少なくとも1種の還元剤により、還元を行うことを特徴とする上記(XVI)に記載の3,3’−ジアミノベン
ジジンの製造方法。
本発明により、工業的に有用な3,3’−ジニトロベンジジンおよび3,3’−ジアミノベンジジンを安全に製造することができる。また、そのための新規中間体が提供された。
本発明に係るジニトロビフェニル誘導体は、下記式(1)、(2)、(3)のいずれかで表される化合物、またはこれら化合物からなる混合物である。
Figure 2005320325
(式中、R1〜R6は水素原子、炭素数1から8の置換基を含んでもよいアルキル基、炭素数6から12の置換基を含んでもよいアリール基からなる群から選ばれる置換基を示し、R1〜R6は互いに同一でも異なってもよい。。)
上記式(1)〜(3)で表される誘導体は、アンモニアと反応させることにより、マイルドな条件、高収率で3,3’−ジニトロベンジジンを製造することができる。
上記式(1)、(2)、(3)で表される誘導体の中では、原料の入手し易さ等の観点からは、Rが水素原子、メチル基、もしくはエチル基である誘導体が好ましく、Rが水素原子、もしくはメチル基である誘導体が特に好ましい。
Figure 2005320325
式(1)、(2)、(3)で表される誘導体は、上記式(4)で表される3,3’−ジニトロビフェノールと下記式(5)で表される環状化合物と反応させることにより得られる。
Figure 2005320325
(式中、R7は、水素原子、炭素数1から8の置換基を含んでもよいアルキル基、炭素数
6から12の置換基を含んでもよいアリール基からなる群から選ばれる置換基を示し、Xは、Xは、−O−、−O(C=O)O−からなる群から選ばれる基を示す。)
7は、水素原子、メチル基、もしくはエチル基が好ましいが、R7が水素原子以外の場合は、上記式(1)、(2)、(3)で表される化合物を上記反応で選択的に得ることは困難であり、一般的には、上記式(1)、(2)、(3)で表される化合物からなるある比率の混合物として得られる。これら混合物は、カラムクロマトグラフィー等により、上
記式(1)、(2)、(3)で表されるそれぞれの化合物に分離することは可能であるが、本発明の主な目的である、アンモニアと反応させジニトロベンジジンを製造するような場合には、混合物のまま使用しても何ら差し支えない。
原料である3,3’−ジニトロ−4,4’−ビフェノールは、一般に既知の方法を用いて製造することができる。例えば、欧州特許1277727に示されているように、工業的に入手可能な4,4’−ビフェノールと硝酸を反応させる方法により製造することができる。具体的には、4,4’−ビフェノールを塩化メチレンに懸濁させておき、0℃から5℃の温度範囲で、70%硝酸を滴下し生成した黄褐色の固体を濾過、洗浄、乾燥することにより、3,3’−ジニトロ−4,4’−ビフェノールを高収率、高純度で得ることができる。
式(5)で表される化合物は、末端エポキシ化合物または環状カーボネートであるが、工業的に入手しやすいこと等の観点から、R7が水素原子、メチル基、もしくはエチル基
である化合物を好ましく用いることができ、水素原子、メチル基が特に好ましく用いることができる。すなわち、酸化エチレン、酸化プロピレン、炭酸エチレン、炭酸プロピレンを特に好ましく用いることができる。
式(5)で表される環状化合物は、1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いても反応上は問題ない。
3,3’−ジニトロ−4,4’−ビフェノールと式(5)で表される環状化合物との反応では、反応性を高めるために、触媒、特に塩基性触媒を用いると効果的である。塩基性触媒としては、弱酸のアルカリ金属塩、もしくは弱酸のアルカリ土類金属塩を好適に使用することができる。これら塩基性触媒としては、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウムなどの化合物を例示することができる。これら化合物は一種単独で、または2種以上組み合わせて用いてもよい。
3,3’−ジニトロ−4,4’−ビフェノールと式(5)で表される環状化合物との反応では溶媒を使用することは必須ではないが、原料同士の接触をよくするために溶媒を使用してもよい。具体的には、溶媒として、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、エチレングリコール、プロピレングリコール、N−メチルピロリドン、水などが例示できる。これら溶媒は一種単独で、または2種以上組み合わせて用いてもよい。
3,3’−ジニトロ−4,4’−ビフェノールと式(5)で表される環状化合物との反応においては、3,3’−ジニトロ−4,4’−ビフェノール1モルの量に対する式(5)で表される環状化合物の使用量を、2倍モル以上20倍モル以下の範囲の量、好ましくは4倍モル以上10倍モル以下の範囲内の量とすると、好適な結果が得られる。式(5)で表される環状化合物、すなわちエポキシ化合物、環状カーボネート化合物の使用量が上記範囲内にあると、原料の残存量が少なく、反応成績も良好であり、さらに生産性にも優れる。尚、式(5)で表される環状化合物の混合物を使用して反応を行う場合には、3,3’−ジニトロ−4,4’−ビフェノール1モルの量に対して、式(5)で表される環状化合物の混合物の使用量が上記範囲内にあれば好適な結果が得られる。
3,3’−ジニトロ−4,4’−ビフェノールと式(5)で表される環状化合物とを反応させる反応温度は、60℃から200℃の範囲であることが好ましい。反応温度が上記範囲内にあると、反応時間が短く生産性に優れ、また、エポキシ化合物や環状カーボネート化合物の重合反応などの副反応を抑制することができる。
本発明に係る上記式(1)、(2)、(3)のいずれかで表される化合物、またはこれ
ら化合物からなる混合物である3,3’−ジニトロビフェノール誘導体は、アンモニアと反応させることにより、3,3’−ジニトロベンジジンとすることができる。この目的のためには、Rは特に限定されないが、水素原子、メチル基、エチル基であるものが、コスト的に有利であるので、工業的に有用である。
アンモニアは、ガス状態、液化ガス状態、アンモニア水溶液、アンモニアを有機溶媒に溶解した溶液など、さまざまな形態で使用することができる。また、アンモニアをアンモニア水溶液もしくはアンモニアを有機溶媒に溶解した溶液として使用したときは、水もしくは有機溶媒をそのまま反応溶媒として使用することができる。有機溶媒としては、アンモニアを溶解することができる溶媒であり、通常の条件でアンモニアあるいは原料と反応しない溶媒であれば良く、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、エチレングリコール、プロピレングリコール、N−メチルピロリドンなどを好適に使用することができる。
上記反応の反応温度が100℃から200℃の範囲であると、好適な結果が得られる。反応温度が上記範囲内にあると、原料転化率が高く、また副生成物が少ない。また、反応圧力は、常圧以上、反応温度におけるアンモニアの蒸気圧以下の範囲であることが望ましく、通常、1MPaから10MPaで反応することができる。
更に、3,3’−ジニトロベンジジンは、還元することにより、工業的に有用な3,3’−ジアミノベンジジンとすることができる。還元方法としては、硫化ナトリウム、亜ジチオン酸ナトリウムなどの硫黄系還元剤を使用する方法や、水素を用いた還元反応、および、塩化第一錫を用いる還元反応などのような方法を使用することができる。
〔実施例〕
以下に、本発明について代表的な例を示し具体的に説明する。尚これらは説明のための単なる例示であって、本発明はこれらになんら制限されるものではない。
〔調製例1〕
3,3’−ジニトロ−4,4’−ビフェノールの製造
攪拌機、ジムロート冷却管、温度計を備えた1リットルの四つ口フラスコに、4,4’−ビフェノール(東京化成製試薬 111.73g)と塩化メチレン(純正化学試薬特級
960g)とを仕込み攪拌しながら氷水で冷却した。反応混合物が1℃となったときに、70%硝酸(純正化学試薬 129.62g)を、反応温度が0ないし5℃となるように滴下した。滴下終了後、反応混合物を室温に戻し、30分攪拌した。反応混合物を濾過、ジメチルホルムアミド洗浄(200ml)、メタノール洗浄(100ml×2回)し、得られた湿潤固体を真空乾燥することにより、褐色の粉末として3,3’−ジニトロ−4,4’−ビフェノールが144g得られた。収率87%。このようにして得られた褐色粉末の高速液体クロマトグラフ分析(以下LC分析)を行ったところ、そのLC純度は96area%であった。(LC分析条件:カラム=shodex ODSpak F−411。分析温度=40℃。溶離液=燐酸二水素ナトリウム(2.72g)と水(1000ml)とアセトニトリル(1000ml)の混合溶液。送液速度=1ml/min。検出器=UV(265nm)以下同じ)
3,3’−ジニトロ−4,4’−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ビフェニルの製造
攪拌機、ジムロート冷却管、温度計を備えた500ミリリットルの四つ口フラスコに、調整例1で製造した3,3’−ジニトロ−4,4’−ビフェノール(27.68g)と炭酸エチレン(44.02g)と炭酸カリウム(5.00g)とエチレングリコール(200g)とを仕込んだ。反応混合物を攪拌しながら130℃に加熱し、8時間反応させた。
放冷後、析出した結晶性固体を、濾過、水洗(30ml×3回)、真空乾燥することにより、橙色の針状結晶が32.64g得られた。得られた橙色針状結晶のH-NMR測定
(日本電子製AL−400 以下同じ)を行ったところ、下記結果が得られたことから、生成物は3,3’−ジニトロ−4,4’−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ビフェニルと同定した。収率82%。LC純度98%。
H-NMR:7.4-8.2ppm(6H,m,芳香族C-H)4.0ppm(8H,m,-CH2-)2.7ppm(s,-OH)
3,3’−ジニトロ−4,4’−ビス(2−ヒドロキシプロポキシ)ビフェニルの製造
攪拌機、ジムロート冷却管、温度計を備えた500ミリリットルの四つ口フラスコに、調整例1で製造した3,3’−ジニトロ−4,4’−ビフェノール(13.91g)と炭酸プロピレン(35.38g)と炭酸カリウム(1.41g)とプロピレングリコール(81g)とを仕込んだ。反応混合物を攪拌しながら130℃に加熱し、8時間反応させた。放冷後、析出した固体を、濾過、水洗(30ml×3回)、真空乾燥することにより、黄土色の粉末が14.04g得られた。得られた粉末のH-NMR測定を行ったところ
、下記結果が得られたことから、生成物は3,3’−ジニトロ−4,4’−ビス(2−ヒドロキシプロポキシ)ビフェニルと同定した。ヒドロキシプロピル基は2−ヒドロキシ−n−プロピル基と、2−ヒドロキシ(1−メチル)エチル基が6:4の割合で存在していることがわかった。収率72%。LC純度85%。
H-NMR:7.8-8.2ppm(4H,芳香族C-H)7.4ppm(2H,dd,芳香族C-H)5.0ppm(s,-OH)4.7ppm(0.8H,m,C-CH-OAr)4.1ppm(4H,m,-CH2-)3.7ppm(1.2H,m,C-CH-OH)1.3ppm(6H,m,-CH3)
3,3’−ジニトロ−4,4’−ビス(2−ヒドロキシブトキシ)ビフェニルの製造
攪拌子、ジムロート冷却管、温度計を備えた100ミリリットルの三つ口フラスコに、調整例1で製造した3,3’−ジニトロ−4,4’−ビフェノール(2.76g)と酸化エチルエチレン(3.61g)と炭酸水素カリウム0.25gとジメチルスルホキシド(21g)とを仕込んだ。反応混合物を攪拌しながら160℃に加熱し、8時間反応させた。放冷後、析出した固体を、濾過、水洗(30ml×3回)、真空乾燥することにより、灰黄色の粉末として、3,3’−ジニトロ−4,4’−ビス(2−ヒドロキシブトキシ)ビフェニルが1.50g得られた。収率36%。LC純度85%。
3,3’−ジニトロベンジジンの製造
圧力計を備えた100mlのステンレス製オートクレーブに、実施例1で製造した3,3’−ジニトロ−4,4’−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ビフェニル(7.29g)と28%アンモニア水(61.58g)とを入れ、160℃で10時間反応させた(反応圧力:1.6MPa)。放冷後、反応混合物は赤紫色のスラリーとなっていた。このスラリーを濾過、水洗(20ml×2回)乾燥することにより、赤紫色の粉末が4.96g得られた。この粉末は、東京化成(株)から試薬として販売されている3,3’−ジニトロベンジジンとLC保持時間が一致した。収率91%。LC純度98area%。
3,3’−ジアミノベンジジンの製造
攪拌機、ジムロート冷却管、温度計を備えた300ミリリットルの三つ口フラスコに、実施例4で製造した3,3’−ジニトロベンジジン(10.96g)、硫化ナトリウム9水和物(57.79g)、水酸化ナトリウム(1.61g)、水(74.41g)、およびメタノール(18.52g)を投入し、80℃で5時間攪拌した。放冷後、析出した紫色の沈殿を濾過、水洗(120ml×2回)、乾燥することにより紫色の粉末が7.10g得られた。この粉末は、3,3’−ジアミノベンジジンであることが、LCより同定さ
れた。収率83%。LC純度96%。
3,3’−ジニトロベンジジンの製造
実施例2で製造した3,3’−ジニトロ−4,4’−ビス(2−ヒドロキシプロポキシ)ビフェニル(7.85g)を使用した以外は実施例4と同様の方法により3,3’−ジニトロベンジジンを製造した(反応圧力:1.7MPa)。収率90%。LC純度95%。
〔比較例1〕
3,3’−ジニトロベンジジンの製造
攪拌機、ジムロート冷却管、温度計を備えた200ミリリットルの四つ口フラスコに、調整例1で製造した3,3’−ジニトロ−4,4’−ビフェノール(13.87g)と炭酸カリウム(20.74g)とアセトン(100g)を投入し、60℃に加熱した。その後、硫酸ジメチル(15.80g)を入れ、60℃で13時間加熱した。得られたスラリーを濾過、アセトン洗浄(20ml×2回)、ジメチルホルムアミド洗浄(40ml×3回)、水洗浄(100ml×3回)、アセトン洗浄(20ml×1回)することにより、黄土色の結晶性粉末が9.60g得られた。この結晶性粉末のH-NMRを測定したと
ころ、3,3’−ジニトロ−4,4’−ジメトキシビフェニルであると同定された。収率63%。LC純度98%。
圧力計を備えた100mlのステンレス製オートクレーブに、上記のようにして得られた3,3’−ジニトロ−4,4’−ジメトキシビフェニル(1.52g)と28%アンモニア水(30.41g)を入れ、160℃で6時間反応させた(反応圧力:1.6MPa)。放冷後、反応混合物にジメチルホルムアミド90gを入れて溶液とし、その溶液のLC分析を行ったところ、3,3’−ジニトロベンジジンの反応収率は20%であった。

Claims (17)

  1. 下記式(1)、(2)、(3)のいずれかで表される化合物であることを特徴とするジニトロビフェニル誘導体。
    Figure 2005320325
    (式中、R1〜R6は水素原子、炭素数1から8の置換基を含んでもよいアルキル基、炭素数6から12の置換基を含んでもよいアリール基からなる群より選ばれる置換基を示し、R1〜R6は互いに同一でも異なってもよい。)
  2. 上記式(1)、(2)、(3)のいずれかで表される化合物より選ばれる2種以上の化合物からなる混合物であるジニトロビフェニル誘導体。
  3. 上記R1〜R6が水素原子、メチル基、エチル基からなる群より選ばれる置換基であることを特徴とする請求項1または2に記載のジニトロビフェニル誘導体。
  4. 下記式(4)の3,3’−ジニトロ−4,4’−ビフェノールと、下記式(5)で表される化合物または下記式(5)で表される化合物からなる混合物とを反応させることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のジニトロビフェニル誘導体の製造方法。
    Figure 2005320325
    (式中、R7は、水素原子、炭素数1から8の置換基を含んでもよいアルキル基、炭素数
    6から12の置換基を含んでもよいアリール基からなる群より選ばれる置換基を示し、Xは、−O−、−O(C=O)O−からなる群より選ばれる基を示す。)
  5. 上記R7が水素原子、メチル基、エチル基からなる群より選ばれる置換基であることを
    特徴とする請求項4に記載のジニトロビフェニル誘導体の製造方法。
  6. 塩基性触媒の存在下に反応させることを特徴とする請求項4または5に記載のジニトロ
    ビフェニル誘導体の製造方法。
  7. 塩基性触媒が炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウムからなる群より選ばれる1種の化合物または2種以上の化合物からなる混合物であることを特徴とする請求項4〜6のいずれかに記載のジニトロビフェニル誘導体の製造方法。
  8. 溶媒の存在下に反応させることを特徴とする請求項4〜7のいずれかに記載のジニトロビフェニル誘導体の製造方法。
  9. 溶媒が、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドンからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含む溶媒であることを特徴とする請求項4〜8のいずれかに記載のジニトロビフェニル誘導体の製造方法。
  10. 上記式(5)で表される環状化合物と上記式(4)で表される3,3’−ジニトロ−4,4’−ビフェノールとのモル比が2:1から10:1の範囲であることを特徴とする請求項4〜9のいずれかに記載のジニトロビフェニル誘導体の製造方法。
  11. 反応温度が60℃から200℃の範囲であることを特徴とする請求項4〜10のいずれかに記載のジニトロビフェニル誘導体の製造方法。
  12. 請求項1〜3のいずれかに記載のジニトロビフェニル誘導体とアンモニアとを反応させることを特徴とする3,3’−ジニトロベンジジンの製造方法。
  13. 請求項4〜11のいずれかに記載の製造方法で製造したジニトロビフェニル誘導体であることを特徴とする請求項12に記載の3,3’−ジニトロベンジジンの製造方法。
  14. 反応温度が100℃から200℃の範囲であることを特徴とする請求項12または13に記載の3,3’−ジニトロベンジジンの製造方法。
  15. 反応圧力が、常圧以上、反応温度におけるアンモニアの蒸気圧以下の範囲であることを特徴とする請求項12〜14のいずれかに記載の3,3’−ジニトロベンジジンの製造方法。
  16. 請求項12〜15のいずれかに記載の方法により製造された3,3’−ジニトロベンジジンを還元することを特徴とする3,3’−ジアミノベンジジンの製造方法。
  17. 硫黄系還元剤、水素、塩化第一錫からなる群から選ばれる少なくとも1種の還元剤により、還元を行うことを特徴とする請求項16に記載の3,3’−ジアミノベンジジンの製造方法。

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016008218A (ja) * 2014-06-20 2016-01-18 旭化成イーマテリアルズ株式会社 エポキシ樹脂及びその組成物、並びに化合物

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