JP2005320309A - 癌抗原非特異的な標的化t細胞の製造方法及び医薬 - Google Patents

癌抗原非特異的な標的化t細胞の製造方法及び医薬 Download PDF

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Abstract

【課題】 癌抗原特異的ワクチン療法のための癌抗原の情報が得られない癌やヒト白血球抗原(HLA)のタイプがワクチン療法に適合しない癌患者の治療に有用な癌治療剤を提供すること。
【解決手段】 癌患者より得られた少量の末梢血を癌抗原以外のT細胞を活性化しうる抗原の存在下に、タイプ1サイトカインを加えて培養することにより、抗原特異的Th1細胞を製造する。特異的Th1細胞の誘導に用いた抗原とその抗原特異的Th1細胞を組み合わせて投与することにより、担癌ホストの生体内で腫瘍特異的CTLが誘導される。
【選択図】図5

Description

本発明は、癌以外の抗原に特異的なT細胞からなる、癌の治療に用いるための標的化T細胞の製造方法と応用に関する。
本明細書において癌とは悪性新生物をいい、また癌と腫瘍は同義として扱うものとする。
癌の主な治療法としては外科療法、化学療法、放射線療法があるが、それだけで癌細胞を根絶することはできない。これらの治療効果やその後の非再発期間の長さは、宿主の免疫能に依存すると考えられるが、化学療法、放射線療法の副作用により宿主の免疫能は影響を受け、これらの治療によるマイナスの影響は無視できない。
そこで宿主の生体防御機構を増強して癌を克服しようという考えから、免疫能を非特異的に増強させる菌体成分、植物由来成分などの生体外物質を用いた癌治療も試みられている。また免疫を調節する生体内物質であるサイトカイン類を使用した治療も進められている。これらの物質は生物応答修飾剤(BRM)と呼ばれ、単独で癌治療に用いられることもあるが、外科療法、化学療法、放射線療法と組み合わせて用いられることもある。
BRMとして臨床応用されている菌体成分としては、BCG、OK432(Picibanil)、Ancer,Bestatinなどがあり、植物由来成分としてはLentinan、Sonifilan、Kurestinなどがある。
BCGは結核予防のための弱毒性生ワクチンとして知られているが、ワクチンの副作用を取り除くためにBCG株の細胞壁骨格成分(BCG−CWS)や結核菌の培養上清などから有効成分の分離が試みられた。結核の感染、既往や予防接種の検査に用いられるツベルクリンは、結核菌培養上清を過熱処理後に濾過したものであるが、最近ではこれを精製したPPD(tuberculin purified protein derivative)が使われている。
BCGは遅延型過敏症(DTH)をひき起こし、ヘルパーT細胞タイプ1(Th1細胞)を誘導することが知られている。BCG−CWS、PPDもまたBCGと同様にDTHをひき起こし、BCG−CWSによる免疫治療が多くの癌で有効であることが示された(例えば、非特許文献1参照)。
BRM以外に宿主の免疫を増強する方法として、血液細胞をいったん生体外へ取り出し、サイトカイン類を加えて抗腫瘍効果を高めた免疫細胞を誘導した後、再び生体内に移入する治療法も行われている。末梢血より分離した単核球をインターロイキン−2(IL−2)存在下で培養することにより、ナチュラルキラー(NK)細胞抵抗性の腫瘍に対して幅広く抗腫瘍活性をもつリンフォカイン活性化キラ−(Lymphokine Activated Killer、LAK)細胞を誘導することができる(例えば、非特許文献2参照)。その後、遺伝子組み換え技術により大量のIL−2が入手可能となり(例えば、非特許文献3参照)、腫瘍に対するLAK細胞を用いた養子免疫療法の臨床応用がなされ、その有用性が示された(例えば、非特許文献4参照)。
さらにIL−2に抗CD3モノクローナル抗体(MoAb)を加えて培養することにより、少量の末梢血から得られた単核球よりLAK活性をもつ細胞を大量に培養することが可能となった(例えば、非特許文献5参照)。
末梢のTリンパ球は細胞表面にT細胞レセプター(TCR)と共にCD3分子を発現しており、CD4またはCD8分子の発現の違いにより、ヘルパーT(Th)細胞または細胞傷害性T細胞(CTL)に分類される。
細胞表面に発現した分子(たとえばCD4分子、CD8分子)に対するMoAbと磁気ビーズを用いることにより、目的の細胞表面抗原を有する細胞を濃縮または除去することができる(例えば、特許文献1参照)。
Th細胞はインターフェロン−γ(IFN−γ)、IL−2などのタイプ1サイトカインを産生するTh1細胞と、IL−4、IL−10などのタイプ2サイトカインを産生するTh2細胞に分けられ(例えば、非特許文献6参照)、Th1細胞は細胞性免疫のエフェクターとして働き、Th2細胞は体液性免疫の調節を担っている。またTh1細胞が産生するIFN−γはTh2細胞を抑制し、Th2細胞が産生するIL−4はTh1細胞を抑制する(例えば、非特許文献7参照)。
初期のTh細胞活性化の際にIL−12の存在によりTh1細胞の分化が起こり(例えば、非特許文献8参照)、IL−4の存在によりTh2細胞の分化が起こる(例えば、非特許文献9参照)。
腫瘍局所ではTh2細胞由来サイトカインが優位になっており(例えば、非特許文献10参照)、癌免疫療法ではTh1/Th2バランスを是正しTh1主導の細胞性免疫を活性化することも重要であり、BCG由来の成分以外にもTh1型のタイプ1サイトカインの産生を誘導するBRMが知られている(例えば、非特許文献11参照)。
特許番号 第2530966号 Hayashiら,1998,Porc.Japan Acad.,74(B):50−55 Grimmら,1982,J.Exp.Med.,155:1823−1841 Taniguchiら,1983,Nature,302:305−310 Rosenbergら,1985,New Engl.J.Med.,313:1485−1492 Ochoaら,1987,J.Immunol.,138:2728−2733 Mosmsnnら,1986,J.Immunol.,136:2348−2357 Maggiら,1992,J.Immunol.,148:2142−2147 Sederら,1993,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,90:10188−10192 Hsiehら,1992,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,89:6065−6069 Huang,1995,Cancer Res.,55:3847−3853 Fujimotoら,1997,J.Immunol.,158:5619−5626
担癌状態ではTh1/Th2バランスがくずれTh2細胞由来サイトカインが優位になっているため、Th1主導の細胞性免疫の活性化が必要である。
生体外で腫瘍特異的T細胞を誘導するためには、手術によって患者本人の腫瘍組織を得る必要がある。また最近では腫瘍抗原ペプチドを用いた腫瘍特異的T細胞の誘導が可能となっているが、限られた既知の腫瘍抗原ペプチドと限られたタイプの主要組織適合性複合体(ヒト白血球抗原ともいう)を有する患者しか適応できない。
さらに腫瘍特異的T細胞を誘導するためには、多くの手間と時間さらには誘導に使用するAPC(抗原提示細胞)を得るために大量の血液を必要とし、生体外で細胞治療に必要な量の腫瘍特異的T細胞を得るのは困難である。
したがって、本発明は、癌患者において細胞性免疫を活性化して腫瘍特異的T細胞を誘導することができる癌治療剤ならびに癌治療方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、癌抗原以外の抗原と、この抗原により活性化されたT細胞とを組み合わせて投与することにより、癌の有効な治療が可能であることを見いだした。すなわち、本発明は、癌抗原以外の抗原と組み合わせて患者に投与するための、その抗原により活性化されたT細胞を含む癌治療剤を提供する。本発明はまた、癌抗原以外の抗原により活性化されたT細胞と組み合わせて患者に投与するための、前記抗原を含む癌治療剤を提供する。好ましくは、T細胞は本発明の癌治療剤を投与すべき患者に由来するものである。また好ましい態様においては、癌抗原以外の抗原は、癌組織内、癌組織近傍、所属リンパ組織近傍などに投与される。抗原により活性化されたT細胞は、癌組織内、癌組織近傍、所属リンパ組織近傍、静脈内などに投与される。
好ましくは、抗原により活性化されたT細胞を含む本発明の癌治療剤において、T細胞はこの抗原に特異的なTh1細胞である。
本発明の癌治療剤において、好ましくは、抗原は菌体成分であり、例えば、PPD、BCG−CWS、BCG、OK432、Ancer,Bestatin、Corynebacterium parvum、LC9018、WPG、およびNocardia rubra細胞壁骨格からなる群より選択される。
また好ましくは、抗原は植物由来成分であり、例えば、レンチナン、ソニフィランおよびクレスチンからなる群より選択される。
また好ましくは、抗原は、化学合成物質であり、例えば、MDP、MDP−Lys、レバミゾールおよびシメチジンからなる群より選択される。
別の態様においては、本発明は、抗原により活性化されたT細胞を含む本発明の癌治療剤を製造する方法を提供する。この方法は、T細胞を前記抗原により活性化することを含む。好ましくはT細胞は本発明の癌治療剤を投与される患者に由来するものである。本発明の方法においては、好ましくは、前記抗原およびIL−2の存在下でT細胞を培養することによりT細胞を活性化する。
別の態様においては、本発明の方法は、抗原により活性化されたTh1細胞とTc1細胞とを分離する工程をさらに含む。好ましくは、抗原特異性を付与されたTh1細胞とTc1細胞とを分離する工程は、抗体磁気ビーズまたはセルソーターを使用することにより行われる。別の態様においては、本発明の方法は、分離されたTh1細胞とTc1細胞を任意の割合で混合する工程をさらに含む。
さらに別の態様においては、本発明は、癌抗原以外の抗原と、その抗原により活性化された本発明のT細胞とを含む、癌治療用組成物ならびに癌治療用キットを提供する。
本発明にしたがって、癌抗原以外の抗原と、その抗原により活性化されたT細胞とを担癌ホストに投与することにより、その生体内で腫瘍特異的CTLを誘導し、腫瘍を拒絶することができる。特に、本発明は、癌抗原特異的ワクチン療法のための癌抗原の情報が得られない癌、および/またはヒト白血球抗原(HLA)のタイプがワクチン療法に適合しない癌患者において用いるのに有用である。
本発明は、癌抗原以外の抗原と、この抗原により活性化されたT細胞とを組み合わせて患者に投与することからなる、新規な癌の治療方法を提供する。これらを組み合わせて投与することにより、生体内で腫瘍特異的CTLが誘導され、腫瘍を拒絶することができる。
癌抗原以外の抗原としては、菌体成分、植物由来成分、および化学合成物質等を用いることができる。菌体成分の例としては、限定されないが、PPD、BCG−CWS、BCG、OK432、Ancer,Bestatin、Corynebacterium parvum、LC9018、WPG、およびNocardia rubra細胞壁骨格等が挙げられる。植物由来成分の例としては、限定されないが、レンチナン、ソニフィランおよびクレスチンが挙げられる。化学合成物質の例としては、限定されないが、MDP、MDP−Lys、レバミゾールおよびシメチジンが挙げられる。
抗原により活性化されたT細胞は、好ましくはこの抗原に特異的なTh1細胞である。抗原により活性化されたT細胞は、以下の方法により製造することができる。
ヒトの末梢血から比重遠心法等の方法により回収した単核球を、抗原を加えた培地(例えば、AIM−V:インビトロジェン社、血清を加えないか、またはヒトAB型血清または培養細胞と同一血液型血清、好ましくは自己血清を0.1〜30%、好ましくは5〜10%加える。なおここでいう血清は、血漿または血漿を処理したもの、あるいはヒト以外の血清、血漿も含まれる)で培養する。抗原の濃度は、0.1〜100μg/ml、好ましくは1.0〜10μg/mlである。さらに培養中の適当な時期(例えば1〜7日後、好ましくは3〜5日後)に、培地に終濃度で0.5〜500IU/ml、好ましくは5〜100IU/mlのIL−2を加えてT細胞を活性化する。さらに、培養中の適当な時期に、同じ抗原を反応させた同一人の単核球をマイトマイシンC(MMC)処理して不活性化した細胞で再刺激を行うことが好ましい。このようにして、抗原に特異的なT細胞を誘導することができる。
特に好ましくは、Th1細胞が優先的に増殖する条件で単核球を培養することにより、抗原に特異的なTh1細胞を誘導する。Th1細胞を誘導する工程は、単核球を、抗CD3抗体、IL−2、およびIL−12の存在下、好ましくは抗CD3抗体、IL−2、IL−12および抗IL−4抗体の存在下、さらに好ましくは抗CD3抗体、IL−2、IL−12、抗IL−4抗体およびIFN−γの存在下で培養することにより行われる。
Th細胞の誘導は、得られた細胞を蛍光標識した抗CD4抗体と抗CD8抗体を用いてデュアルカラー染色を行い、フローサイトメーターにてCD4陽性細胞とCD8陽性細胞の割合を測定することにより確認することができる。さらにTh1細胞の誘導は、得られた細胞をブルフェルジンA存在下に抗CD3抗体で刺激した後にIFN−γの産生を測定することにより確認することができる。
Th1細胞の抗原に対する特異性は、このTh1細胞を、同じ抗原を反応させた同一人の単核球またはリンフォブラスト(LCL)細胞をマイトマイシンC処理して不活性化したものと共培養した後、培養上清中のIFN−γ量を測定することにより評価することができる。比較対照としては、Th1細胞を、抗原を反応させない同一人の単核球またはLCL細胞をマイトマイシンC処理して不活性化した細胞と共培養したものを用いる。
また、上述のようにして得られた活性化T細胞の集団において、抗原特異性を付与されたTh1細胞とTc1細胞とを分離してもよい。この工程は、CD4またはCD8抗体を結合した磁気ビーズまたはセルソーターを使用して、抗原特異性を有するCD4陽性細胞またはCD8陽性細胞を単離することにより行うことができる。このようにして分離されたTh1細胞とTc1細胞とは、癌の治療において、最適な効果が得られるように任意の割合で混合することができる。
以上のようにして本発明にしたがって得られた抗原特異的T細胞は、抗原と組み合わせて癌の治療に用いることができる。本発明の抗原特異的T細胞を用いて治療しうる癌としては、例えば、扁平上皮癌,肺癌,膀胱癌,頭頚部癌,黒色腫,卵巣癌,子宮頚部、前立腺癌,乳癌,尿生殖器癌および消化器癌等が挙げられる。特に、本発明の抗原特異的Th1細胞は、癌抗原特異的ワクチン療法のための癌抗原の情報が得られない癌、および/またはヒト白血球抗原(HLA)のタイプが癌抗原ペプチドを用いたワクチン療法に適合しない癌患者の治療に有用である。
抗原を癌患者の癌組織内、癌組織近傍、所属リンパ組織近傍などに投与するとともに、抗原特異的T細胞を癌組織内、癌組織近傍、所属リンパ組織近傍、静脈内などに投与することにより、腫瘍内に浸潤した抗原特異的T細胞が抗原により活性化する。このことにより、腫瘍局所において癌抗原非特異的なTh1主導の細胞性免疫が活性化され、非特異的に腫瘍の破壊がひき起こされる。非特異的な腫瘍の破壊にともない、その処理過程に生体内で腫瘍特異的CTL(細胞障害性T細胞)が誘導される。
以下に本発明の実施例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されない。
ヒトの末梢血から比重遠心法により回収した単核球に、2.5μg/mlになるようにPPD(日本ビーシージー製造株式会社)を加えて培養し、4日目に20U/mlになるようにIL−2を加えて培養を続けた。
7日目と14日目に、PPDを反応させた同一人の単核球をマイトマイシンC(MMC)処理して不活性化した細胞で再刺激を行い、IL−2の存在下にさらに培養を行ってPPD特異的なT細胞を誘導した。30mlの末梢血より1×1010個以上の細胞を得た(図1)。
培養中の細胞を適宜回収し、蛍光標識した抗CD4抗体と抗CD8抗体を用いてデュアルカラー染色を行い、フローサイトメーターにてCD4陽性細胞とCD8陽性細胞の割合を測定した。
その結果、CD4陽性細胞の割合は増加し、CD8陽性細胞の割合は減少しており、本方法によりCD4陽性ヘルパーT細胞が優位に増殖することが示された(図2)。
さらに回収した細胞の一部はブルフェルジンA存在下に抗CD3抗体で4時間の刺激を行い、細胞表面のCD4と細胞内に蓄積したIFN−γおよびIL−4を、それぞれに対する蛍光標識抗体を用いて3カラー染色を行った。
その結果、CD4陽性細胞、CD8陽性細胞の大部分がIFN−γを産生しており、ほとんどのCD4陽性細胞がTh1細胞であり、ほとんどのCD8陽性細胞がTc1細胞であった(図3)。
PPDを反応させた同一人の単核球またはリンフォブラスト(LCL)細胞をマイトマイシンC処理して不活性化し、上で得られたPPD特異的T細胞と24時間の共培養した後、培養上清中のIFN−γ量を測定した。比較対照としてPPDを反応させない同一人の単核球またはLCL細胞をマイトマイシンC処理して不活性化した細胞と、上で得られたPPD特異的T細胞との共培養を行った。
その結果、PPDを反応させた同一人の単核球またはLCL細胞との共培養ではIFN−γの強い産生を示し、PPDを反応させない同一人の単核球またはLCL細胞との共培養ではIFN−γの産生がほとんど見られなかった(図4)。
以上の結果より、本方法によりヒトにおいて容易にPPD特異的なT細胞が誘導されることが示された。
C57BL/6マウスにE.G7癌細胞株(EL−4癌細胞株に遺伝子導入により仮想癌抗原として卵白アルブミンOVAを発現させた細胞)を皮内接種して担癌マウスモデルを作成し、腫瘍径が8〜10mmに達した後(2×10のE.G7癌細胞株を側腹部の皮内接種した場合約10日)に治療を開始した。
治療にはE.G7癌細胞株の抗原とは無関係な抗原としてPPDを用いた。また同時に投与するPPD特異的Th1細胞は、あらかじめC57BL/6マウスにFreundの完全アジュバントを用いてエマルジョンにしたPPDを1匹あたり100μgになるように免疫し、さらに2週間間隔で数回Freundの不完全アジュバントを用いてエマルジョンにしたPPDを1匹あたり100μgになるように過免疫しておき、最終免疫から7〜10日後に回収したリンパ節細胞より誘導した。
PPD免疫マウスのリンパ節細胞より磁気ビーズ標識抗マウスCD4抗体を用いてCD4陽性T細胞を集め、2.5μg/mlのPPD存在下に抗原提示細胞(APC)と共培養した。本実験では、MMC処理したC57BL/6マウス脾臓細胞をAPCとして用いた。さらに培養4日目より100IU/mlのIL−2、20IU/mlのIL−12、1ng/mlのIFN−γ、50μg/mlの抗IL−4抗体を加えて培養した(タイプ1培養条件)。
培養7日目に、これとは別に2.5μg/mlのPPD存在下に一晩培養したAPCをMMC処理したものと1:1になるよう混合し、タイプ1培養条件でさらに培養した。培養14日目にも同様の操作を行い、その後、細胞内サイトカイン染色法にてIFN−γ産生細胞であることを確認し、PPD特異的Th1細胞を得た。
治療は次の3群に分けて行った(各群5匹ずつ)。1.PPD特異的Th1細胞(2×10/匹)を尾静脈単独投与、2.PPD(10μg/匹)を腫瘍内単独投与、3.PPD特異的Th1細胞(2×10/匹)尾静脈投与とPPD(10μg/匹)腫瘍内投与とを併用。この治療を2日おきに計3回行った。
その結果、PPD特異的Th1細胞とPPDとの併用群では腫瘍局所において激しい壊死が起こり腫瘍の完全な退縮がみられた。一方、PPD特異的Th1細胞単独投与群では顕著な抗腫瘍効果は認められず、PPD単独投与群においては炎症による壊死はみられたものの顕著な抗腫瘍効果は認められなかった(図5)。
また各治療群の生存率をE.G7癌細胞株接種後60日目まで追跡したところ、PPD特異的Th1細胞単独投与群およびPPD単独投与群においては34〜36日目に全例死亡したのに対し、PPD特異的Th1細胞とPPDとの併用群では40日目に1例死亡したものの、残り4例は60日目まで生存していた(図6)。
本方法による細胞の増殖 培養中のCD4陽性細胞とCD8陽性細胞の割合 CD4陽性細胞の細胞内サイトカイン染色 PPDを反応させた刺激用細胞またはPPDを反応させない刺激用細胞との共培養によるIFN−γ産生能の比較 各治療群における担癌マウスの腫瘍サイズの変化 各治療群における担癌マウスの生存率

Claims (18)

  1. 癌抗原以外の抗原と組み合わせて患者に投与するための、前記抗原により活性化されたT細胞を含む癌治療剤。
  2. 癌抗原以外の抗原により活性化されたT細胞と組み合わせて患者に投与するための、前記抗原を含む癌治療剤。
  3. 前記T細胞が前記抗原に特異的なTh1細胞である、請求項1または2に記載の癌治療剤。
  4. 前記抗原が菌体成分である、請求項1−3のいずれかに記載の癌治療剤。
  5. 菌体成分が、PPD、BCG−CWS、BCG、OK432、Ancer,Bestatin、Corynebacterium parvum、LC9018、WPG、およびNocardia rubra細胞壁骨格からなる群より選択される、請求項4記載の癌治療剤。
  6. 前記抗原が植物由来成分である、請求項1−3のいずれかに記載の癌治療剤。
  7. 植物由来成分が、レンチナン、ソニフィランおよびクレスチンからなる群より選択される、請求項6記載の癌治療剤。
  8. 前記抗原が化学合成物質である、請求項1−3のいずれかに記載の癌治療剤。
  9. 化学合成物質が、MDP、MDP−Lys、レバミゾールおよびシメチジンからなる群より選択される、請求項8記載の癌治療剤。
  10. 請求項1記載の癌治療剤を製造する方法であって、T細胞を前記抗原により活性化することを含む方法。
  11. T細胞が前記患者に由来するものである、請求項10記載の方法。
  12. T細胞を活性化する工程が、前記抗原およびIL−2の存在下でT細胞を培養することを含む、請求項10または11記載の方法。
  13. 前記抗原により活性化されたTh1細胞とTc1細胞とを分離する工程をさらに含む、請求項10−12のいずれかに記載の方法。
  14. 前記抗原により活性化されたTh1細胞とTc1細胞とを分離する工程が、抗体磁気ビーズを使用することにより行われる、請求項13記載の方法。
  15. 前記抗原により活性化されたTh1細胞とTc1細胞とを分離する工程が、セルソーターを使用することにより行われる、請求項13記載の方法。
  16. 分離されたTh1細胞とTc1細胞を任意の割合で混合する工程をさらに含む、請求項13−15のいずれかに記載の方法。
  17. 癌抗原以外の抗原と、前記抗原により活性化されたT細胞とを含む、癌治療用組成物。
  18. 癌抗原以外の抗原と、前記抗原により活性化されたT細胞とを含む、癌治療用キット。
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