JP2005320216A - 合成ケイ素酸化物粒子とその製造方法 - Google Patents

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昌二 高梨
Yuji Takatsuka
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Abstract

【課題】高屈折率膜の原料粉末として用いられ、焼結に際しては、焼結体及びカーボン製ダイス型を破損することなく安定した焼結を行うことができるとともに、このターゲット材を用いた成膜に際しては、熱軟化性に優れた膜特性により剥離及び膜割れの防止に有効である合成ケイ素酸化物粒子、及びその効率的な製造方法を提供する。
【解決手段】主成分としてケイ素酸化物を含み、かつ副成分としてIn、Zn、Al、Mg、Ba又はSrから選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物を含む、真球状の合成ケイ素酸化物粒子を製造する方法であって、加熱した純水中にSiO粒子を投入し、その中に副成分を形成し得る金属塩の水溶液を滴下して、加水分解する工程(A)、SiO粒子表面に加水分解生成物を沈着させた後、熟成する工程(B)、洗浄ろ過し乾燥する工程(C)、及び仮焼する工程(D)を含むことを特徴とする合成ケイ素酸化物粒子の製造方法など。
【選択図】なし

Description

本発明は、合成ケイ素酸化物粒子とその製造方法に関し、さらに詳しくは、高屈折率膜、例えば、相変化型光記録媒体の誘電体膜の形成に使用される複合焼結ターゲット材の酸化ケイ素相用の原料粉末として用いられる合成ケイ素酸化物粒子、及びその効率的な製造方法に関する。ここで得られる合成ケイ素酸化物粒子は、焼結に際しては、焼結体及びカーボン製ダイス型を破損することなく安定した焼結を行うために貢献するとともに、このターゲット材を用いた成膜に際しては、熱軟化性に優れた膜特性により剥離及び膜割れの防止のために有効である
従来、高屈折率を有する酸化物膜の光学的な応用としては、単層の熱線反射膜及び反射防止膜等があり、さらに、特定の波長の光が選択的に反射又は透過するように設計される多層の反射防止膜、反射増加膜、干渉膜、偏光膜などの多分野にわたっている。
多層膜の分光特性は、各層の屈折率と膜厚とをパラメータとして光学的設計される。一般的に、高屈折率膜と低屈折率膜とを組み合わせて用いることによって、より優れた光学特性を実現することができる。例えば、高屈折率(n=2.0以上)膜としては酸化チタン又は酸化ニオブ、低屈折率膜としては酸化ケイ素が主流であり、これらのスパッタリングターゲットを用いて成膜されていた。
また、高屈折率膜の他の応用として、書き換え可能な相変化型光記録媒体の誘電体膜がある。例えば、一般的な相変化型光記録媒体は、プラスチック基板上に第一誘電体膜、記録膜、第二誘電体膜及び金属反射膜をスパッタリング法で順次積層した構造からなる。ここで、光記録媒体の記録と再生は、基板側から照射するレーザ光の熱により記録膜を結晶相と非晶質相の間で相変化させ、その際の反射率の差を読みとることによって行われる。そして読みとりを容易にするため、記録膜における屈折率の相変化に伴う変化率を大きくする必要があり、誘電体膜には高屈折率材が用いられる。
前記誘電体膜用の高屈折率膜としては、例えば、ZnS−SiO(ZnSとSiOの混合物)膜(例えば、特許文献1参照。)が知られているが、レーザ光照射の際の加熱によってZnSのS成分が前記金属反射膜と反応して腐食が起こり、光記録媒体の信頼性が損なわれてしまうという問題がある。
近年、この問題を回避するために、酸化チタン、酸化ニオブ、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム又は酸化ケイ素、さらに、これらに炭化物や窒化物を混合したターゲット材が提案されている(例えば、特許文献2又は特許文献3参照。)。
しかしながら、相変化型光記録媒体に用いられる誘電体膜としては、高屈折率の特性だけでは不十分であり、光記録媒体の記録・再生時に生じるレーザ光の熱により、誘電体膜の記録膜からの剥離や、誘電体膜の割れが起きるという問題が指摘されている。この原因は、酸化チタン、酸化ニオブ等の誘電体膜の膜質が硬いこと、及び該誘電体膜と記録膜とに熱膨脹差があることが一因であると考えられている。
このため、前述したように優れた光学特性が得られる、酸化ケイ素を含有する誘電体膜が注目されている。すなわち、酸化ケイ素を誘電体膜中に含有すると、記録加熱された際に酸化ケイ素膜自体が柔軟性を示し、熱膨張により加わる引張り応力に対しても剥離及び膜割れが緩和される効果があるといわれている。
そのため、酸化ケイ素を含有する誘電体膜のスパッタリング用の焼結ターゲット材が開発されているが、最近の相変化型光記録媒体は益々高速度化され、膜の熱応答性もより高いものが要求されている。つまり、膜の柔軟化が瞬時に行なわれるように、膜の熱軟化温度を低下することが望まれている。また、酸化ケイ素を多く含むターゲット材を高密度化するために焼結法として熱間加圧成形を用いると、冷却時にターゲット外周がひび割れてしまうという問題が起る。また、特に、酸化ニオブに酸化ケイ素を加えた系では、カーボン製ダイス型が割れる問題が発生する。これはカーボンに比べて、酸化ニオブ、特に酸化ケイ素の熱膨脹係数が非常に小さいため、焼結後の冷却時に生じるダイス型の収縮を押さえつけ、これにより割れが起こるものと思われる。
ところで、従来、ケイ素酸化物粒子の改質手段として、例えば、紫外線遮蔽能を有し、かつ透明性が高い粒子の表面状態を改良する目的で、5〜400nmの厚さの酸化チタン層でケイ素酸化物表面を被覆した粒子(例えば、特許文献4参照。)が提案されている。また、導電性を付与させることを目的で、平均粒径 0.5〜10μmの球状ケイ素酸化物粒子表面に酸化インジウム、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化亜鉛の1種以上からなる酸化物を被覆形成した粉末(例えば、特許文献5参照。)が提案されている。これらケイ素酸化物粒子は、それぞれの目的とする効果が得られる。しかしながら、これらは単に表面被覆しているのみであるので、誘電体膜用の焼結ターゲット材として使用した場合、得られた高屈折率膜の熱軟化性、密着性等の改善には効果が現われなかった。さらに、膜形成時に酸化物が分離した状態で積層されるため、これを用いて作製した膜を備えた相変化型光記録媒体では、加熱書き込み時に記録膜と反応を起こして劣化する問題が生じた。
最近の相変化記録媒体は、記録再生を速やかに行なうためにより高速化されている。そのため、誘電体膜においても瞬時にかかる熱に鋭敏に反応することが要求される。特に、熱軟化性が記録膜との密着性に関係する誘電体膜中の酸化ケイ素相は、より低温で熱軟化性を示すことが求められる。酸化ケイ素相としてケイ素酸化物、例えば、SiOを用いた場合の問題点として、熱間加圧焼結に際してSiOは硬いため変形せず、熱膨張係数が小さいこと、及び相変化型記録媒体の誘電体膜としては熱軟化性が不十分であることが挙げられた。
なお、本明細書中では、酸化物換算は、用いる金属についてそれぞれNb、Ta、CeO、SiO、In、ZnO、Al、MgO、BaO、SrOの形態であることを意味する。
特開平11−278936号公報(第1頁、第2頁) 特開2003−13201号公報(第1頁、第2頁) 特開2003−67974号公報(第1〜3頁) 特開平9−71417号公報(第1頁、第2頁) 特開平5−116930号公報(第1頁、第2頁)
本発明の目的は、上記の従来技術の問題点に鑑み、高屈折率膜、例えば、相変化型光記録媒体の誘電体膜の形成に使用される複合焼結ターゲット材の酸化ケイ素相用の原料粉末として用いられ、焼結に際しては、焼結体及びカーボン製ダイス型を破損することなく安定した焼結を行うことができるとともに、このターゲット材を用いた成膜に際しては、熱軟化性に優れた膜特性により剥離及び膜割れの防止に有効である合成ケイ素酸化物粒子、及びその効率的な製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するために、上記複合焼結ターゲット材に用いるケイ素酸化物粒子について、鋭意研究を重ねた結果、特定成分から構成される真球状の合成ケイ素酸化物粒子を特定の工程を組合せて製造したところ、これを用いたターゲット材の製造において、熱膨張係数がカーボンに近くなり、焼結体及びカーボン製ダイス型を破損することなく安定した焼結を行うことができ、他方、このターゲット材を用いた成膜に際しては、熱軟化性に優れた膜特性により剥離及び膜割れの防止に有効であることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、主成分としてケイ素酸化物を含み、かつ副成分としてIn、Zn、Al、Mg、Ba又はSrから選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物を含む、真球状の合成ケイ素酸化物粒子を製造する方法であって、
(1)80℃以上に加熱した純水中にSiO粒子を投入し撹拌しながら、その中に前記副成分を形成し得る金属塩の水溶液を所定速度で滴下して、該金属塩を加水分解する工程(A)、
(2)滴下終了後、撹拌しながら液温を保持してSiO粒子表面に加水分解生成物を沈着させた後、撹拌を停止して静止した状態で熟成する工程(B)、
(3)熟成後、加水分解生成物が沈着されたSiO粒子を洗浄ろ過し乾燥する工程(C)、及び
(4)得られた乾燥物を酸化性雰囲気下800〜1100℃の温度で仮焼する工程(D)、を含むことを特徴とする合成ケイ素酸化物粒子の製造方法が提供される。
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、工程(A)において、前記金属塩の水溶液中の金属塩の濃度は、50〜300g/Lに調整されることを特徴とする請求項1に記載の合成ケイ素酸化物粒子の製造方法が提供される。
また、本発明の第3の発明によれば、第1の発明において、前記金属がIn又はZnであるとき、工程(A)において、アンモニア水及び/又は無機酸アンモニウム塩を添加してpHを3〜6に制御することを特徴とする請求項1に記載の合成ケイ素酸化物粒子の製造方法が提供される。
また、本発明の第4の発明によれば、第1の発明において、前記金属がBa又はSrであるとき、工程(A)において、アンモニア水及び/又は無機酸アンモニウム塩を添加してpHを7〜10に制御することを特徴とする請求項1に記載の合成ケイ素酸化物粒子の製造方法が提供される。
また、本発明の第5の発明によれば、第1の発明において、工程(B)において、撹拌しながら保持する時間は、1〜3時間であることを特徴とする合成ケイ素酸化物粒子の製造方法が提供される。
また、本発明の第6の発明によれば、第1の発明において、工程(B)において、静止した状態で熟成する時間は、1〜3日間であることを特徴とする合成ケイ素酸化物粒子の製造方法が提供される。
また、本発明の第7の発明によれば、第1〜6いずれかの発明の製造方法により得られる、主成分としてケイ素酸化物を含み、かつ副成分としてIn、Zn、Al、Mg、Ba又はSrから選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物を含む、真球状の合成ケイ素酸化物粒子が提供される。
また、本発明の第8の発明によれば、第7の発明において、X線回折結果によれば、非晶質であるか、又は副成分を含むケイ酸塩であることを特徴とする合成ケイ素酸化物粒子が提供される。
また、本発明の第9の発明によれば、第7の発明において、前記副成分の含有量が、主成分のケイ素酸化物に対して酸化物換算で4〜31重量%であることを特徴とする合成ケイ素酸化物粒子合成ケイ素酸化物粒子が提供される。
また、本発明の第10の発明によれば、第7の発明において、平均粒径が3〜30μmであることを特徴とする合成ケイ素酸化物粒子が提供される。
また、本発明の第11の発明によれば、第7の発明において、Na、K、B、Pb及びPの含有濃度が各々10ppm以下であること特徴とする合成ケイ素酸化物粒子が提供される。
本発明の合成ケイ素酸化物粒子は、高屈折率膜、例えば、相変化型光記録媒体の誘電体膜の形成に使用される複合焼結ターゲット材の酸化ケイ素相用の原料粉末として用いられる。前記合成ケイ素酸化物粒子は、焼結に際しては、焼結体及びカーボン製ダイス型を破損することなく安定した焼結を行うために貢献するとともに、成膜に際しては、熱軟化性に優れた膜特性により剥離及び膜割れの防止のために有効である。また、本発明の製造方法は、上記合成ケイ素酸化物粒子を効率的に製造することができる方法である。したがって、その工業的価値は極めて大きい。
以下、本発明の合成ケイ素酸化物粒子とその製造方法を詳細に説明する。
1.合成ケイ素酸化物粒子の製造方法
本発明の合成ケイ素酸化物粒子の製造方法は、主成分としてケイ素酸化物を含み、かつ副成分としてIn、Zn、Al、Mg、Ba又はSrから選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物を含む、真球状の合成ケイ素酸化物粒子を製造する方法であって、
(1)80℃以上に加熱した純水中にSiO粒子を投入し撹拌しながら、その中に前記副成分を形成し得る金属塩の水溶液を所定速度で滴下して、該金属塩を加水分解する工程(A)、
(2)滴下終了後、撹拌しながら液温を保持してSiO粒子表面に加水分解生成物を沈着させた後、撹拌を停止して静止した状態で熟成する工程(B)、
(3)熟成後、加水分解生成物が沈着されたSiO粒子を洗浄ろ過し乾燥する工程(C)、及び
(4)得られた乾燥物を酸化性雰囲気下800〜1100℃の温度で仮焼する工程(D)、を含むことを特徴とする。
本発明の製造方法において、合成ケイ素酸化物粒子の副成分となるIn、Zn、Al、Mg、Ba又はSrから選ばれる少なくとも1種の金属の金属塩を用いるとともに、所定の一連の工程で処理することに重要な意義がある。これによって、合成ケイ素酸化物粒子は、熱軟化性に優れる酸化物を形成する。そして、この合成ケイ素酸化物粒子を用いて、熱膨張係数が高く、焼結体及びカーボン製ダイス型を破損することなく安定して焼結させることができる複合焼結ターゲット材が得られる。
(1)工程(A)
上記工程(A)は、80℃以上に加熱した純水中にSiO粒子を投入し撹拌しながら、その中に前記副成分を形成し得る金属塩の水溶液を所定速度で滴下して、該金属塩を加水分解する工程である。これによって、前記金属塩を加水分解して水酸化物等の加水分解生成物を得る。
工程(A)で用いるSiO粒子としては、特に限定されるものではなく、化学量論組成から酸素の欠損したSiOxを用いることができるが、特に、純度が高く、また取り扱いやすい真球状の合成体からなるSiO粒子が好ましい。この中で、特に、その平均粒径が3〜30μmのものが好ましい。すなわち、この粒径のものを用いることによって、複合焼結ターゲット材用の原料として好適な平均粒径が3〜30μmの合成ケイ素酸化物粒子が得られる。
前記真球状SiO粒子としては、気相反応法か液相反応法で得られたものが主に用いられる。気相反応法は、酸水素混合ガスや炭化水素酸素ガスの燃焼反応により高温の火炎を作り、その中にを四塩化ケイ素入れて気相反応させる方法である。また、液相からの粉末合成は、核生成を短時間で行い生成した核をほぼ同一速度で成長させるコロイド法とアルコキシドと水を反応させ加水分解と重合を同時に進行させて化合物生成を行うアルコキシド法がある。市販品としては、サンスフェアH31、51、121、201(洞海化学製)が挙げられる。
工程(A)で用いる金属塩としては、特に限定されるものではなく、例えば、純水を溶媒に用いるため、硝酸塩、塩酸塩、硫酸塩等の水溶性のものが用いられる。
また、これらの金属塩の純度は、特に限定されるものではなく、99%以上、好ましくは99.9%以上のものが用いられる。
工程(A)において使用する純水の温度を80℃以上、好ましくは80〜100℃、より好ましくは80〜90℃に加熱することが重要である。すなわち、温度が80℃未満では、加水分解に時間がかかる。
工程(A)で用いる金属塩水溶液の金属塩の濃度は、特に限定されるものではないが、50〜300g/Lに調整されることが好ましい。すなわち、金属塩の濃度が50g/L未満では、任意の沈着量を得るのに時間がかかる。一方、金属塩の濃度が300g/Lを超えると、粒子表面に均一な沈着が得られず、局部的な沈着が生じやすいために、表面からの剥離や組成の不均一による熱軟化性の違いが起こる。
工程(A)において、金属塩の水溶液を所定速度で滴下する。金属塩の水溶液をSiO粒子を分散した液に、一度に一括投入することは避けることが必要である。ここで、所定の滴下速度は、反応設備、処理液量、金属塩溶液の濃度等の要因で変わるものであるが、予備的な実験により求めることができる。例えば、SiO粒子の分散液が2L程度の場合には、所定の滴下速度として、20〜50mL/hが選ばれる。すなわち、滴下速度が50mL/hを超えると、沈着が均一に行なわれず堆積が偏るので、粒子表面から剥離してしまう。一方、20mL/h未満では、作製時間が長時間になり作業性に劣る。例えば金属塩の濃度が100g/Lならば、30mL/hの速度で滴下するのが好ましい。
工程(A)において、上記金属塩の水溶液を滴下する際に、pH調製剤として、特に限定されるものではないが、アンモニア水及び/又は無機酸アンモニウム塩を用いることができる。無機酸アンモニウム塩としては、特に限定されるものではないが、硫酸アンモニウム又は炭酸アンモニウムが好ましい。これにより、沈着物が分散され均一性が高まる。
このとき、アンモニア水又は無機酸アンモニウム塩の望ましい添加量は、上記化合物の種類によって異なる。例えば、In又はZnを含む金属塩の水溶液を滴下する際には、pHを3〜6に制御する。また、Ba又はSrを含む金属塩の水溶液を滴下する際に、pHを7〜10に制御する。これによって、SiO粒子表面上に分散性の良好な沈着物が得られる。ただし、このpH範囲以上になるように、多量に加えると粒子表面に沈着されずに、沈殿が生じるので好ましくない。
(2)工程(B)
上記工程(B)は、滴下終了後、撹拌しながら保持してSiO粒子表面に加水分解生成物を沈着させた後、撹拌を停止して静止した状態で熟成する工程である。その他の沈着方法としては、有機溶媒中に金属アルコキシドを添加し、加水分解する方法を行うことができるが、金属アルコキシドの価格及び溶媒の処理の面から、コストと環境面で不利となる。
工程(B)において撹拌しながら保持する時間は、特に限定されるものではないが、1〜3時間が好ましい。すなわち、保持する時間が1時間未満では、分解・沈着が不十分であり、目的の組成物が得られない。一方、保持する時間が3時間を超えると、沈着物が粗大化されるため、沈着物が剥離しやすくなる。
工程(B)において静止した状態で熟成する時間は、特に限定されるものではないが、1〜3日間が好ましい。すなわち、熟成時間が1日未満では、沈着物は洗浄時に容易に剥離してしまう。一方、熟成時間が3日を超えると、それ以上の効果は得られない。
(3)工程(C)
上記工程(C)は、熟成後加水分解生成物が沈着されたSiO粒子を洗浄ろ過し乾燥する工程である。
工程(C)において乾燥条件は、特に限定されるものではないが、特に自然対流下120〜180℃で3〜6時間の処理が好ましい。
(4)工程(D)
上記工程(D)は、得られた乾燥物を酸化性雰囲気下800〜1100℃の温度で仮焼する工程である。ここで、沈着物は、酸化物に分解され、かつSiO粒子と反応して、X線回折結果において、非晶質、又は副成分を含むケイ酸塩である状態に焼成される。すなわち、仮焼温度が800℃未満では、沈着物は合成化されず、酸化物として存在する。一方、1100℃を超えると、粒子自体に焼結反応が生じ、単分散粒子が得られない。なお、上記条件で得られた合成ケイ素酸化物粒子は、粒子同士の接着がないので、解砕の必要はない。
また、誘電体膜中にNa、K、B、Pb及びPが含まれると、相変化型光記録媒体の記録膜を劣化させるため、原料及び工程での汚染に配慮を要する。上記製造方法では、B、Pb及びPは添加していないので含まれていないが、Na及びKは汚染物質として製造工程内から混入することがある。この対策として、原料と純水中の不純物管理を行い不純物濃度を1ppm以下とすることができる。また、不純物が混入しやすい仮焼時のトレイも純度は99.5%以上のものを用いるのが好ましい。
2.合成ケイ素酸化物粒子
合成ケイ素酸化物粒子は、主成分としてケイ素酸化物を含み、かつ副成分としてIn、Zn、Al、Mg、Ba又はSrから選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物を含む、真球状の合成ケイ素酸化物粒子である。
本発明の合成ケイ素酸化物粒子は、高屈折率膜、例えば、相変化型光記録媒体の誘電体膜の形成に使用される複合焼結ターゲット材の酸化ケイ素相用の原料粉末として好適に用いられる。これによって、熱膨張係数が高く、焼結体及びカーボン製ダイス型を破損することなく安定して焼結させることができる複合焼結ターゲット材が得られ、成膜に際しては、熱軟化性に優れた膜特性により剥離及び膜割れの防止に有効である。
以下に、本発明の合成ケイ素酸化物粒子が用いられる誘電体膜用の複合焼結ターゲット材の一例を説明する。
前記ターゲット材は、相変化型光記録媒体の誘電体膜の形成に使用されるもので、屈折性に優れた酸化物相(a)と熱軟化性に優れた酸化物相(b)からなる複合焼結ターゲット材であって、酸化物相(a)はNb、Ta又はCeから選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物であり、一方、酸化物相(b)は上記合成ケイ素酸化物粒子よりなる。
前記ターゲット材の組織は、酸化物相(a)中に酸化物相(b)が分散した状態が好ましい。しかも、各々の相が適度に分離して反応がない状態が望ましい。これは各々の相の高屈折率や熱軟化性の効力を発揮させるには、それぞれが独立した相を成すことが重要なためである。また、形成された膜においても高屈折率相と熱軟化相に分かれた組織であることが、各々の働きを十分に生かすために必要であり、こうした分離した膜を得るには、ターゲット材においても独立した相である方が効率よく形成しやすい。
酸化物相(a)のターゲット中での存在割合は、ターゲットを構成する成分の酸化物換算で、全体に対して75〜95重量%であることが好ましく、77〜91重量%であることがより好ましい。すなわち、前記存在割合が75〜95重量%の範囲を外れるとスパッタリング成膜で得られる膜の光学特性が低下し好ましくない。例えば、前記存在割合が95重量%を超えると、膜の屈折率は高いものが得られるが、酸化ケイ素が少ないために記録媒体の加熱時に剥離及び割れが生じてしまう。一方、前記存在割合が75重量%未満では、膜の屈折率が低くなり、光記録媒体用誘電体膜としての特性が満たされず使用できない。したがって、酸化物相(b)用の原料粉末として用いる上記合成ケイ素酸化物粒子の存在割合は、ターゲットを構成する成分の酸化物換算で、全体に対して5〜25重量%であることが好ましく、9〜23重量%であることがより好ましい。
前記スパッタリング成膜で得られる膜の屈折率は、Nb、Ta又はCe酸化物の組成、スパッタリング時に導入する酸素分圧等で制御される。例えば、Nb酸化物膜の膜厚は50〜150nmが最適とされ、酸素分圧が3×10―3〜1×10―2Paで、2.3以上の屈折率が得られる。酸素分圧が3×10―3Pa未満では膜に吸収が生じて透光性が悪化する。一方、1×10―2Paを超えると成膜速度が大きく低下するために好ましくない。
ところで、相変化記録媒体に使われる誘電体膜は、短波長側の透光性を必要とするため、比較的多くの酸化ケイ素を含む組成のものが選ばれる。このとき、上記副成分を含まないケイ素酸化物を用いる際には、屈折率2.0以上を確保するために、誘電体膜中のSiO濃度を20重量%以下にすることが不可欠である。これに対して、上記合成ケイ素酸化物粒子を用いれば、誘電体膜中のSiO濃度が20〜25重量%の範囲においても屈折率が2.0以下にならず誘電体膜として好適に使用することができる。
前記酸化物相(b)の大きさは、特に限定されるものではないが、ターゲット材のEPMA線分析で3〜30μmの凝集体として検出されることが好ましい。この大きさは、焼結原料として用いる上記合成ケイ素酸化物粒子の粒子径に相当する径であることを意味する。すなわち、合成ケイ素酸化物粒子は、焼結により変形は見られるが、酸化物相(a)との反応は起らないからである。
本発明の合成ケイ素酸化物粒子の副成分の存在割合は、特に限定されるものではなく、ケイ素酸化物に対して酸化物換算で4〜31重量%であることが好ましい。すなわち、前記存在割合が4重量%未満では、熱軟化性の効果が見られない。一方、前記存在割合が31重量%を超えると、熱膨脹係数や屈折率はより高まるが、上記複合焼結ターゲット材において、高屈折率である酸化物相(a)との焼結反応やスパッタリング成膜での膜質に問題が生じる。
上記合成ケイ素酸化物粒子の副成分の中で、熱軟化性の改善に対して、特に、In酸化物とZn酸化物が効果的であり少量の添加でも有効である。Al酸化物及びMg酸化物は、これら成分の補助成分として顕著に作用する。例えば、In酸化物は単独でも有効であり、Zn酸化物、Al酸化物、Mg酸化物及びBa酸化物が補助成分として有効である。また、Zn酸化物は、Al酸化物又はMg酸化物を補助成分として同時に含むとき特に有効である。また、Ba酸化物は、Zn酸化物、Al酸化物又はMg酸化物を補助成分として同時に含むとき特に有効である。また、Sr酸化物は、Al酸化物又はMg酸化物を補助成分として同時に含むとき特に有効である。
したがって、合成ケイ素酸化物粒子の副成分の配合としては、特に限定されるものではないが、以下の(イ)〜(ニ)示す四つの配合のものが特に好ましい。
(イ)ケイ素酸化物に対して4〜12重量%のIn酸化物と、ケイ素酸化物に対して0〜6重量%のZn、Al、Mg又はBaから選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物からなる配合。
(ロ)ケイ素酸化物に対して4〜12重量%のZn酸化物と、ケイ素酸化物に対して1〜6重量%のAl又はMgの酸化物からなる配合。
(ハ)ケイ素酸化物に対して17〜26重量%のBa酸化物と、ケイ素酸化物に対して1〜5重量%のZn、Al又はMgから選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物とからなる配合。
(ニ)ケイ素酸化物に対して17〜26重量%のSr酸化物と、ケイ素酸化物に対して1〜5重量%のAl又はMgの酸化物からなる配合。
上記合成ケイ素酸化物粒子の大きさは、特に限定されるものではないが、平均粒径が3〜30μmが好ましい。すなわち、平均粒径が3μm未満では、ろ紙の目詰まりやろ紙の目が細かいためにろ過に時間がかかるため、作業性が悪い。一方、平均粒径が30μmを超えると、焼結体内の分布が悪くなり、割れ等への効果が薄れる。
上記合成ケイ素酸化物粒子のNa、K、B、Pb及びPの含有濃度は、特に限定されるものではないが、各々10ppm以下が好ましい。すなわち、誘電体膜中にNa、K、B、Pb及びPが含まれると、相変化型光記録媒体の記録膜を劣化させるためである。
上記合成ケイ素酸化物粒子の結晶構造は、加熱時の軟化性を最大限発揮させるため、X線回折結果において、非晶質、又は副成分を含むケイ酸塩であることが好ましい。すなわち、ターゲット製造における焼結及び相変化型記録媒体の膜記録に際して、酸化物相(b)がケイ素酸化物相と添加物相とに分離された状態では軟化性が充分に発揮されない。X線回折結果において、非晶質となる場合は、副成分の添加量が比較的少ないときである。この組成範囲は、ケイ素酸化物に対して酸化物換算でおおよそ12重量%未満である。これは原料として用いているケイ素酸化物粒子が非晶質なため、この影響によるものと思われる。この組成範囲では、差熱分析によりガラス転移点を測定できる。この測定結果より、熱軟化性を判断することができ、ガラス転移点が800℃以下であれば熱軟化性は向上したといえる。
一方、副成分の添加量が12重量%を超えると、結晶質となり、X線回折結果において、微弱なピーク強度が観察される。検出されるピークは、金属塩とケイ素酸化物との反応により生成した副成分を含むケイ酸塩が検出される。この組成範囲では、ガラス転移点は明確には測定されず、後述する粒子の変形度から熱軟化性が判断される。これ以外の結晶形態である場合、例えば、ケイ素酸化物相と副成分酸化物相に分離された状態では、熱軟化性に効果がないばかりでなく、焼結した際に副成分酸化物相と酸化物相(a)と反応が生じるので、これから得た膜の特性は劣ってしまう。したがって、副成分が未反応物として残存したり、加熱後に析出することは好ましくない。
上記合成ケイ素酸化物粒子は、真球状粒子であるとともに、その熱軟化性評価は、特に限定されるものではないが、真空中、加熱温度1100℃、及び面圧35Mpaによる熱間加圧で得られる焼結体の粒子寸法から求めた変形度が縦/横比0.9以下であることが好ましい。
すなわち、通常、熱的な機械強度の測定は、剛体を試験片として高温下で引張り、もしくは圧縮して行なわれる。しかし、本発明のようなガラス質の粉末を用いて試験片を作製することは困難である。例えば、粉末を溶融し形状を整えれば、試験片は作製可能だが、融解することでの材質の特性変化、加工することによる歪等の問題があるので現実的な方法ではない。また、粉末自体を焼結することも可能だが、焼結体中の粒界の存在やこの加工の問題が生じる。
そのため、上記合成ケイ素酸化物粒子は、真球状であることに着目し、上下の2軸加圧からなる熱間加圧で評価することを試みた。ここで、加圧方向が制約されるために粒子は上下方向のみで変形される。変形した粒子をSEM等で観察して、粒子の縦横寸法から縦/横比を求めた。加熱温度を変えて、35MPaで加圧すると、上記合成ケイ素酸化物粒子では900℃から粒子の変形が認められ、950℃以上になると縦/横比が0.9以下になることがわかった。副成分を含有しないケイ素酸化物粒子は1100℃に達しても変形は観察されない。この評価方法は、ケイ素酸化物と高温中で反応しにくく、ケイ素酸化物が変形しない温度域で焼結及び緻密化が可能である、例えばNbやTi酸化物粉末中に埋没させて加圧しても同様な評価は行なえる。
ところで、ケイ素酸化物、例えばSiOの熱膨張係数は、温度500℃で0.6×10−6/℃程度であることが知られている。このような低膨張係数の材料を熱間加圧成形して焼結体を得ることは非常に難しい。すなわち、熱間加圧に用いられる型は、通常、カーボン質からなる。そのため、その熱膨張係数は密度及び材質によって2〜5×10−6/℃(温度500℃)であり、SiOの熱膨張係数と比較すると大きな値を示す。これらを用いて焼結すれば、冷却時において収縮量は型の方が大きいために焼結体は拘束され、焼結体は大きく割れてしまう。特に、直径150mmを越えるサイズになるとこの現象が顕著に現われる。この現象はケイ素酸化物以外にもNb(温度500℃での熱膨張係数1.2×10−6/℃)にも見られる。このため冷却時に割れない焼結体を作製するには、焼結体の熱膨張係数をカーボン型より大きいか、またはその差を少なくすることが望ましい。
以上より、上記合成ケイ素酸化物粒子は、主成分であるケイ素酸化物の熱軟化性を改善して、焼結に際して酸化物相(b)を軟化させることで焼結体強度を高めるとともに、ケイ素酸化物単独のときよりも高い熱膨張係数を有するターゲット材を得るため有用である。
以下に上記合成ケイ素酸化物粒子を用いた複合焼結ターゲット材の製造方法の一例について説明する。前記複合焼結ターゲット材の製造方法としては、原料粉末の混合/解砕工程及び熱間加圧成形工程を含む、通常の酸化物粉末の焼結法による焼結ターゲット材の製造方法を用いることができる。
例えば、酸化物相(a)用の原料粉末と、酸化物相(b)用の原料粉末として上記合成ケイ素酸化物粒子を、10−3トル以下の真空下又は500トル以下の不活性ガス雰囲気下、950〜1200℃の温度に加熱し、15MPa以上の圧力を加えて熱間加圧成形することが好ましい。
酸化物相(a)に用いる酸化物原料粉末の純度としては、特に限定されるものではなく、好ましくは99%以上、より好ましくは99.9%以上である。ニオブ酸化物粉末としては、特に限定されるものではなく、化学量論組成から酸素の欠損したNbOxを用いることもできるが、Nb粉末が取り扱いやすく、かつ安価であるために好ましい。タンタル酸化物粉末としては、特に限定されるものではなく、Ta粉末を用いることができる。また、セリウム酸化物粉末としては、特に限定されるものではなく、CeO粉末を用いることができる。また、これらの混合物やニオブ酸化物との複合粉末を用いることができる。また、これらの金属アルコキシドを精製した粉末、水酸化物等を熱分解により調製した粉末を用いることもできる。
前記ターゲット材の製造方法において混合/解砕工程は、酸化物相(a)用の酸化物原料粉末と合成ケイ素酸化物粒子を混合し、かつ解砕する工程である。
前記混合/解砕工程に用いる装置は、特に限定されるものではないが、Vブレンダ、ボールミル、媒体撹拌ミル、振動ミル等を用いることができるが、簡便な乾式ボールミルを用いることが好ましい。この際に、混合/解砕の条件は、特に限定されるものではないが、直径5〜10mmのZrOボールを用い、回転数100rpm程度で3〜36時間の解砕を行うことが好ましい。すなわち、解砕時間が短いと混合/解砕が不十分となる。また、ボールの充填率は60%程度が好ましい。
混合/解砕後の粉末を混合乾燥後、36mesh(425μm)の篩い通しを行い、混合粉末を得る。
前記ターゲット材の製造方法において熱間加圧成形工程は、上記混合粉末を用いて、熱間加圧成形法によって焼結体を得る工程である。例えば、混合粉末をカーボン製又は金属塩で覆われたカーボン製のダイスとパンチ内に充填し、10−3トル以下に保たれた真空下、または500トル以下まで不活性ガス導入した還元性雰囲気下で焼結を行う。
この際の加圧力は、特に限定されるものではないが、15MPa以上が好ましく、25〜35MPaがより好ましい。すなわち、焼結温度が950℃の場合、加圧力が15MPa未満では、SiO粒子が熱変形しにくく緻密化しない。
この際の焼結温度は、特に限定されるものではないが、950〜1200℃が好ましく、1000〜1100℃がより好ましい。すなわち、焼結温度が950℃未満では、SiO粒子が熱変形しにくく緻密化しない。一方、焼結温度が1200℃を超えると、高屈折率相と熱軟化相が反応するため、好ましくない。また、焼結温度までの昇温速度は、特に限定されるものではないが、5〜20℃/minが好ましい。すなわち、加圧下での焼結であるので、昇温速度は均熱性が低下しない範囲が選ばれる。これにより、焼結体が割れることなく焼結させることができるのでコスト的に有利である。また、焼結保持時間は、特に限定されるものではないが、0.5〜3時間が好ましい。
以下に、本発明の実施例及び比較例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例によってなんら限定されるものではない。なお、実施例及び比較例で用いた金属の分析、合成ケイ素酸化物粒子のX線回折及び差熱分析、焼結体のEPMA線分析、熱軟化性、熱膨張係数、焼結密度、及び抗折強度の評価方法は、以下の通りである。
(1)金属の分析:ICP発光分析法で行った。
(2)合成ケイ素酸化物粒子のX線回折(XRD):理学電機製Rotaflex RAD−rVB装置にて測定し、構成物質の同定を行なった。
(3)合成ケイ素酸化物粒子の差熱分析(DSC):マックサイエンス製DSC−3300装置にて空気中でガラス転移点(Tg)を測定した。
(4)焼結体のEPMA線分析:焼結体の表面を深さ方向に0.5mmGC系砥粒(#800)で研削して洗浄後、日本電子製EPMA−2300装置にてビーム径を1μmに絞り、場所を変えた3箇所の測定を行い、検出元素分布より前記酸化物相(b)の各元素の凝集部の大きさを求めた。
(5)焼結体の熱軟化性評価:平均粒径2μmからなるNb粉末に、粒径3〜30μmからなる真球状のSiO粒子を20重量%加えて混合し、上下の2軸加圧からなる熱間加圧でその変形度を評価した。真空中、1100℃に加熱し35MPaで加圧しながら1時間保持し、冷却後に得た焼結体の破断面を研磨(#800)して変形した粒子を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した。観察結果から求めた粒子の縦横寸法から縦/横比を算出した。場所を変えた10箇所の測定を行った。
(6)焼結体の熱膨張係数の測定:焼結体中央を切断、研磨して直径5mm長さ15mmの円柱状試料を作製し、リガク製CN8223A熱機械分析装置にてAr中で500℃での熱膨張係数を求めた。
(7)焼結体の焼結密度の測定:焼結体中央を切断して東洋精機製高精度比重計で焼結密度を求めた。
(8)焼結体の抗折強度の測定:焼結体の抗折強度の測定法は、JIS規格R1601に準じて行われ、得焼結体から幅10mm、厚さ5mm、長さ30mmの試験片を10個作製し、3点曲げ強さ試験から抗折強度を測定し、その平均値を求めた。
また、実施例及び比較例で副成分を形成しうる金属塩として、試薬1級の硝酸インジウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、塩化バリウム及び硝酸ストロンチウムを用いた。
(実施例1)
合成ケイ素酸化物粒子を調製し、それを用いて焼結体を得て、さらにこれをターゲットとしてスパッタリングを行い膜形成評価を行った。
(1)合成ケイ素酸化物粒子の調製と評価
まず、粒径5〜20μm(平均粒径10μm)の真球状SiO粒子(旭ガラス製)40gを、90℃に沸騰させた純水2Lをいれたフラスコ中に投入した。次に、スターラで1時間撹拌した後、超音波洗浄機で5分間洗浄した。次に、液を真空ろ過後、固形物を取り出して、さらに90℃に沸騰させた純水2Lをいれたフラスコ中に投入し、スターラで撹拌してSiO粒子の分散液を作製した。一方、硝酸インジウム4gを純水40mL中に入れて溶解させ、硝酸インジウム溶液(硝酸インジウム濃度100g/L)を作製した。
次に、上記沸騰させたSiO粒子の分散液に、上記硝酸インジウム溶液を50mL/hの速度で滴下した。この間、アンモニア水を加えて、分散液中のpHを4.8〜5.2に調整した。滴下終了後、液を90℃に保ちながら、1時間撹拌を続けた。その後、撹拌を停止して静止させたまま、室温で1日間の熟成を行なった。
熟成後、5Aのろ紙を用いて液を真空ろ過して固形物を取り出し、固形物を純水2Lを入れたフラスコ中に投入した。その後、スターラで1時間撹拌した後、再度、液を5Aのろ紙にて真空ろ過して固形物を取り出す。これを2度繰返した。終了後、固形物を120℃で6時間乾燥した。
得られた乾燥物を高純度アルミナ(純度99.7%)製の坩堝に入れ、大気中、1000℃で2時間の仮焼を行い合成ケイ素酸化物粒子を得た。得られた合成ケイ素酸化物粒子の化学組成、X線回折及び差熱分析を行った。前記合成ケイ素酸化物粒子は、さらさらしており、流動性が損なわれていることはなかった。
表1に合成ケイ素酸化物粒子の作製条件、表2に合成ケイ素酸化物粒子の化学組成、表3に合成ケイ素酸化物粒子のX線回折及び差熱分析を示す。
(2)焼結体の作製と評価
次いで、Nb粉末(平均粒径2μm、純度99.9%、三井金属製)に、上記合成ケイ素酸化物粒子10重量%を添加した。これを、直径10mmのZrOボールを用いてボールミル(回転数100rpm)で6時間の解砕を行って混合粉末を得た。この混合粉末をBN被覆したカーボン製のダイス及びパンチ内に充填し、10−3トル以下に保たれた真空中で焼結を行った。ここで、焼結条件としては、昇温速度10℃/min、圧力35MPa、焼結温度1000℃、及び焼結時間1時間とした。
以上の方法によって、直径150mm及び厚さ6mmの焼結体を2枚得た。1枚の焼結体中央を切断して焼結密度と、幅10mm、厚さ5mm、長さ30mmの試験片を10個作製し、3点曲げ強さ試験から抗折強度を求めた。また、焼結体の表面を研削し、一部をEPMA面分析で2相の反応状態を調べた。試料の残部はSEMで変形粒子を観察し熱軟化性を評価した。さらに、焼結体中央を切断し研磨して直径5mm、高さ15mmの試料を作製し、熱膨張係数を求めた。焼結体の焼結密度、EPMA平均凝集径、変形度、熱膨張係数、及び抗折強度の評価結果を表4に示す。
(3)スパッタリング方法と評価
最後に、上記焼結体に加工を施して5インチ径(直径128mm)のスパッタリングターゲットを作製し、ガラス上(MATUNAMI製S−1111)にRF300W、酸素分圧6×10―3Pa、及びArを含む全圧0.14Paの条件で、膜厚100nmになるよう成膜した。その後、エリプソメータ(溝尻光学製:波長633nm)を用いて、膜の屈折率を測定した。また、分光光度計(島津製作所製UV−4000)で、波長250〜1000nm間の透過率を測定した。さらに、Si基板上に記録層(50nm)/Ag4In7Sb60Te29合金膜/誘電体層(100nm)の順に積層後、Ar雰囲気中700℃で1分間の加熱投入し、冷却後にセロテープ(登録商標)で剥離試験を行なった。記録層と誘電体層との界面での剥離状態を判定した。膜の屈折率、透過率、及び剥離試験の評価結果を表5に示す。
(実施例2)
合成ケイ素酸化物粒子を調製し、それを用いて焼結体を得て、さらにこれをターゲットとしてスパッタリングを行い膜形成評価を行った。
(1)合成ケイ素酸化物粒子の調製と評価
実施例1と同様に調製したSiO粒子の分散液を用いた。一方、硝酸インジウム8gを純水50mL中に入れて溶解させ、硝酸インジウム溶液(硝酸インジウム濃度160g/L)を作製した。
次に、上記沸騰させたSiO粒子の分散液に、上記硝酸インジウム溶液を25mL/hの速度で滴下した。この間、アンモニア水を加えて、分散液中のpHを4.8〜5.2に調整した。滴下終了後、液を90℃に保ちながら、1時間撹拌を続けた。その後、撹拌を停止して静止させたまま、室温で1日間の熟成を行なった。
熟成後、実施例1と同様に洗浄/ろ過/乾燥/仮焼を行い、合成ケイ素酸化物粒子を得た。得られた合成ケイ素酸化物粒子の化学組成、X線回折及び差熱分析を行った。表1に合成ケイ素酸化物粒子の作製条件、表2に合成ケイ素酸化物粒子の化学組成、表3に合成ケイ素酸化物粒子のX線回折及び差熱分析を示す。
(2)焼結体の作製と評価
実施例1と同様に行い、焼結体の焼結密度、EPMA平均凝集径、変形度、熱膨張係数、及び抗折強度を評価した。結果を表4に示す。
(3)スパッタリング方法と評価
実施例1と同様に行い、得られた膜の屈折率、透過率、及び剥離試験の評価を行った。結果を表5に示す。
(実施例3)
合成ケイ素酸化物粒子を調製し、それを用いて焼結体を得て、さらにこれをターゲットとしてスパッタリングを行い膜形成評価を行った。
(1)合成ケイ素酸化物粒子の調製と評価
実施例1と同様に調製したSiO粒子の分散液を用いた。一方、硝酸インジウム8gと塩化亜鉛2gを純水50mL中に入れて溶解させ、硝酸インジウムと塩化亜鉛を含む溶液(硝酸インジウム濃度160g/L、塩化亜鉛濃度40g/L)を作製した。
次に、上記沸騰させたSiO粒子の分散液に、上記硝酸インジウム溶液を25mL/hの速度で滴下した。この間、アンモニア水を加えて、分散液中のpHを4.1〜4.4に調整した。滴下終了後、液を90℃に保ちながら、1時間撹拌を続けた。その後、撹拌を停止して静止させたまま、室温で1日間の熟成を行なった。
熟成後、実施例1と同様に洗浄/ろ過/乾燥/仮焼を行い、合成ケイ素酸化物粒子を得た。得られた合成ケイ素酸化物粒子の化学組成、X線回折及び差熱分析を行った。表1に合成ケイ素酸化物粒子の作製条件、表2に合成ケイ素酸化物粒子の化学組成、表3に合成ケイ素酸化物粒子のX線回折及び差熱分析を示す。
(2)焼結体の作製と評価
実施例1と同様に行い、焼結体の焼結密度、EPMA平均凝集径、変形度、熱膨張係数、及び抗折強度を評価した。結果を表4に示す。
(3)スパッタリング方法と評価
実施例1と同様に行い、得られた膜の屈折率、透過率、及び剥離試験の評価を行った。結果を表5に示す。
(実施例4)
合成ケイ素酸化物粒子を調製し、それを用いて焼結体を得て、さらにこれをターゲットとしてスパッタリングを行い膜形成評価を行った。
(1)合成ケイ素酸化物粒子の調製と評価
実施例1と同様に調製したSiO粒子の分散液を用いた。一方、硝酸インジウム8gと塩化アルミニウム2gを純水50mL中に入れて溶解させ、硝酸インジウムと塩化アルミニウムを含む溶液(硝酸インジウム濃度160g/L、塩化アルミニウム濃度40g/L)を作製した。
次に、上記沸騰させたSiO粒子の分散液に、上記硝酸インジウム溶液を25mL/hの速度で滴下した。この間、アンモニア水を加えて、分散液中のpHを5.2〜5.6に調整した。滴下終了後、液を90℃に保ちながら、1時間撹拌を続けた。その後、撹拌を停止して静止させたまま、室温で1日間の熟成を行なった。
熟成後、実施例1と同様に洗浄/ろ過/乾燥/仮焼を行い、合成ケイ素酸化物粒子を得た。得られた合成ケイ素酸化物粒子の化学組成、X線回折及び差熱分析を行った。表1に合成ケイ素酸化物粒子の作製条件、表2に合成ケイ素酸化物粒子の化学組成、表3に合成ケイ素酸化物粒子のX線回折及び差熱分析を示す。
(2)焼結体の作製と評価
実施例1と同様に行い、焼結体の焼結密度、EPMA平均凝集径、変形度、熱膨張係数、及び抗折強度を評価した。結果を表4に示す。
(3)スパッタリング方法と評価
実施例1と同様に行い、得られた膜の屈折率、透過率、及び剥離試験の評価を行った。結果を表5に示す。
(実施例5)
合成ケイ素酸化物粒子を調製し、それを用いて焼結体を得て、さらにこれをターゲットとしてスパッタリングを行い膜形成評価を行った。
(1)合成ケイ素酸化物粒子の調製と評価
実施例1と同様に調製したSiO粒子の分散液を用いた。一方、硝酸インジウム8gと塩化マグネシウム2gを純水50mL中に入れて溶解させ、硝酸インジウムと塩化マグネシウムを含む溶液(硝酸インジウム濃度160g/L、塩化マグネシウム濃度40g/L)を作製した。
次に、上記沸騰させたSiO粒子の分散液に、上記硝酸インジウム溶液を25mL/hの速度で滴下した。この間、アンモニア水を加えて、分散液中のpHを5.4〜5.8に調整した。滴下終了後、液を90℃に保ちながら、1時間撹拌を続けた。その後、撹拌を停止して静止させたまま、室温で1日間の熟成を行なった。
熟成後、実施例1と同様に洗浄/ろ過/乾燥/仮焼を行い、合成ケイ素酸化物粒子を得た。得られた合成ケイ素酸化物粒子の化学組成、X線回折及び差熱分析を行った。表1に合成ケイ素酸化物粒子の作製条件、表2に合成ケイ素酸化物粒子の化学組成、表3に合成ケイ素酸化物粒子のX線回折及び差熱分析を示す。
(2)焼結体の作製と評価
実施例1と同様に行い、焼結体の焼結密度、EPMA平均凝集径、変形度、熱膨張係数、及び抗折強度を評価した。結果を表4に示す。
(3)スパッタリング方法と評価
実施例1と同様に行い、得られた膜の屈折率、透過率、及び剥離試験の評価を行った。結果を表5に示す。
(実施例6)
合成ケイ素酸化物粒子を調製し、それを用いて焼結体を得て、さらにこれをターゲットとしてスパッタリングを行い膜形成評価を行った。
(1)合成ケイ素酸化物粒子の調製と評価
実施例1と同様に調製したSiO粒子の分散液を用いた。一方、硝酸インジウム8gを純水50mL中に入れて溶解させ、硝酸インジウム溶液(硝酸インジウム濃度160g/L)を作製した。
次に、上記沸騰させたSiO粒子の分散液に、上記硝酸インジウム溶液を25mL/hの速度で滴下した。この間、アンモニア水を加えて、分散液中のpHを3.8〜4.3に調整した。滴下終了後、液を90℃に保ちながら、1時間撹拌を続けた。その後、撹拌を停止して静止させたまま、室温で1日間の熟成を行なった。
熟成後、実施例1と同様に洗浄/ろ過/乾燥/仮焼を行い、合成ケイ素酸化物粒子を得た。得られた合成ケイ素酸化物粒子の化学組成、X線回折及び差熱分析を行った。表1に合成ケイ素酸化物粒子の作製条件、表2に合成ケイ素酸化物粒子の化学組成、表3に合成ケイ素酸化物粒子のX線回折及び差熱分析を示す。
(2)焼結体の作製と評価
実施例1と同様に行い、焼結体の焼結密度、EPMA平均凝集径、変形度、熱膨張係数、及び抗折強度を評価した。結果を表4に示す。
(3)スパッタリング方法と評価
実施例1と同様に行い、得られた膜の屈折率、透過率、及び剥離試験の評価を行った。結果を表5に示す。
(実施例7)
合成ケイ素酸化物粒子を調製し、それを用いて焼結体を得て、さらにこれをターゲットとしてスパッタリングを行い膜形成評価を行った。
(1)合成ケイ素酸化物粒子の調製と評価
実施例1と同様に調製したSiO粒子の分散液を用いた。一方、硝酸インジウム8gを純水30mL中に入れて溶解させ、硝酸インジウム溶液(硝酸インジウム濃度270g/L)を作製した。
次に、上記沸騰させたSiO粒子の分散液に、上記硝酸インジウム溶液を30mL/hの速度で滴下した。この間、アンモニア水と硫酸アンモニウムを加えて、分散液中のpHを4.0〜4.5に調整した。滴下終了後、液を90℃に保ちながら、3時間撹拌を続けた。その後、撹拌を停止して静止させたまま、室温で3日間の熟成を行なった。
熟成後、実施例1と同様に洗浄/ろ過/乾燥/仮焼を行い、合成ケイ素酸化物粒子を得た。得られた合成ケイ素酸化物粒子の化学組成、X線回折及び差熱分析を行った。表1に合成ケイ素酸化物粒子の作製条件、表2に合成ケイ素酸化物粒子の化学組成、表3に合成ケイ素酸化物粒子のX線回折及び差熱分析を示す。
(2)焼結体の作製と評価
実施例1と同様に行い、焼結体の焼結密度、EPMA平均凝集径、変形度、熱膨張係数、及び抗折強度を評価した。結果を表4に示す。
(3)スパッタリング方法と評価
実施例1と同様に行い、得られた膜の屈折率、透過率、及び剥離試験の評価を行った。結果を表5に示す。
(実施例8)
合成ケイ素酸化物粒子を調製し、それを用いて焼結体を得て、さらにこれをターゲットとしてスパッタリングを行い膜形成評価を行った。
(1)合成ケイ素酸化物粒子の調製と評価
実施例1と同様に調製したSiO粒子の分散液を用いた。一方、塩化亜鉛4gと塩化マグネシウム1gを純水50mL中に入れて溶解させ、塩化亜鉛と塩化マグネシウムを含む溶液(塩化亜鉛濃度80g/L、塩化マグネシウム濃度20g/L)を作製した。
次に、上記沸騰させたSiO粒子の分散液に、上記硝酸インジウム溶液を30mL/hの速度で滴下した。この間、アンモニア水を加えて、分散液中のpHを3.1〜3.5に調整した。滴下終了後、液を90℃に保ちながら、1時間撹拌を続けた。その後、撹拌を停止して静止させたまま、室温で1日間の熟成を行なった。
熟成後、実施例1と同様に洗浄/ろ過/乾燥/仮焼を行い、合成ケイ素酸化物粒子を得た。得られた合成ケイ素酸化物粒子の化学組成、X線回折及び差熱分析を行った。表1に合成ケイ素酸化物粒子の作製条件、表2に合成ケイ素酸化物粒子の化学組成、表3に合成ケイ素酸化物粒子のX線回折及び差熱分析を示す。
(2)焼結体の作製と評価
実施例1と同様に行い、焼結体の焼結密度、EPMA平均凝集径、変形度、熱膨張係数、及び抗折強度を評価した。結果を表4に示す。
(3)スパッタリング方法と評価
実施例1と同様に行い、得られた膜の屈折率、透過率、及び剥離試験の評価を行った。結果を表5に示す。
(実施例9)
合成ケイ素酸化物粒子を調製し、それを用いて焼結体を得て、さらにこれをターゲットとしてスパッタリングを行い膜形成評価を行った。
(1)合成ケイ素酸化物粒子の調製と評価
実施例1と同様に調製したSiO粒子の分散液を用いた。一方、硝酸ストロンチウム14gと塩化マグネシウム2gを純水70mL中に入れて溶解させ、硝酸インジウムと塩化マグネシウムを含む溶液(硝酸ストロンチウム濃度200g/L、塩化マグネシウム濃度30g/L)を作製した。
次に、上記沸騰させたSiO粒子の分散液に、上記硝酸インジウム溶液を50mL/hの速度で滴下した。この間、アンモニア水と炭酸アンモニウムを加えて、分散液中のpHを9.1〜9.6に調整した。滴下終了後、液を90℃に保ちながら、1時間撹拌を続けた。その後、撹拌を停止して静止させたまま、室温で1日間の熟成を行なった。
熟成後、実施例1と同様に洗浄/ろ過/乾燥/仮焼を行い、合成ケイ素酸化物粒子を得た。得られた合成ケイ素酸化物粒子の化学組成、X線回折及び差熱分析を行った。表1に合成ケイ素酸化物粒子の作製条件、表2に合成ケイ素酸化物粒子の化学組成、表3に合成ケイ素酸化物粒子のX線回折及び差熱分析を示す。
(2)焼結体の作製と評価
実施例1と同様に行い、焼結体の焼結密度、EPMA平均凝集径、変形度、熱膨張係数、及び抗折強度を評価した。結果を表4に示す。
(3)スパッタリング方法と評価
実施例1と同様に行い、得られた膜の屈折率、透過率、及び剥離試験の評価を行った。結果を表5に示す。
(実施例10)
合成ケイ素酸化物粒子を調製し、それを用いて焼結体を得て、さらにこれをターゲットとしてスパッタリングを行い膜形成評価を行った。
(1)合成ケイ素酸化物粒子の調製と評価
実施例1と同様に調製したSiO粒子の分散液を用いた。一方、塩化バリウム8gと塩化亜鉛2gを純水70mL中に入れて溶解させ、塩化バリウムと塩化亜鉛を含む溶液(塩化バリウム濃度115g/L、塩化亜鉛濃度30g/L)を作製した。
次に、上記沸騰させたSiO粒子の分散液に、上記硝酸インジウム溶液を50mL/hの速度で滴下した。この間、アンモニア水を加えて、分散液中のpHを7.3〜7.7に調整した。滴下終了後、液を90℃に保ちながら、1時間撹拌を続けた。その後、撹拌を停止して静止させたまま、室温で1日間の熟成を行なった。
熟成後、実施例1と同様に洗浄/ろ過/乾燥/仮焼を行い、合成ケイ素酸化物粒子を得た。得られた合成ケイ素酸化物粒子の化学組成、X線回折及び差熱分析を行った。表1に合成ケイ素酸化物粒子の作製条件、表2に合成ケイ素酸化物粒子の化学組成、表3に合成ケイ素酸化物粒子のX線回折及び差熱分析を示す。
(2)焼結体の作製と評価
実施例1と同様に行い、焼結体の焼結密度、EPMA平均凝集径、変形度、熱膨張係数、及び抗折強度を評価した。結果を表4に示す。
(3)スパッタリング方法と評価
実施例1と同様に行い、得られた膜の屈折率、透過率、及び剥離試験の評価を行った。結果を表5に示す。
(実施例11)
合成ケイ素酸化物粒子を調製し、それを用いて焼結体を得て、さらにこれをターゲットとしてスパッタリングを行い膜形成評価を行った。
(1)合成ケイ素酸化物粒子の調製と評価
実施例1と同様に調製したSiO粒子の分散液を用いた。一方、塩化バリウム12gと塩化マグネシウム2gを純水50mL中に入れて溶解させ、塩化バリウムと塩化マグネシウムを含む溶液(塩化バリウム濃度240g/L、塩化マグネシウム濃度40g/L)を作製した。
次に、上記沸騰させたSiO粒子の分散液に、上記硝酸インジウム溶液を20mL/hの速度で滴下した。この間、アンモニア水と炭酸アンモニウムを加えて、分散液中のpHを8.5〜8.9に調整した。滴下終了後、液を90℃に保ちながら、3時間撹拌を続けた。その後、撹拌を停止して静止させたまま、室温で1日間の熟成を行なった。
熟成後、実施例1と同様に洗浄/ろ過/乾燥/仮焼を行い、合成ケイ素酸化物粒子を得た。得られた合成ケイ素酸化物粒子の化学組成、X線回折及び差熱分析を行った。表1に合成ケイ素酸化物粒子の作製条件、表2に合成ケイ素酸化物粒子の化学組成、表3に合成ケイ素酸化物粒子のX線回折及び差熱分析を示す。
(2)焼結体の作製と評価
実施例1と同様に行い、焼結体の焼結密度、EPMA平均凝集径、変形度、熱膨張係数、及び抗折強度を評価した。結果を表4に示す。
(3)スパッタリング方法と評価
実施例1と同様に行い、得られた膜の屈折率、透過率、及び剥離試験の評価を行った。結果を表5に示す。
(比較例1)
(1)合成ケイ素酸化物粒子の調製と評価
合成ケイ素酸化物粒子の代わりに、粒径5〜20μm(平均粒径10μm)の真球状SiO粒子(旭ガラス製)40gを高純度アルミナ(純度99.7%)製の坩堝に入れ、大気中、700℃で2時間の仮焼を行った。得られた粒子の化学組成、X線回折及び差熱分析を行った。表1に使用した粒子の作製条件、表2にその化学組成、表3にそのX線回折及び差熱分析を示す。
(2)焼結体の作製と評価
実施例1と同様に行い、焼結体の焼結密度、EPMA平均凝集径、変形度、熱膨張係数、及び抗折強度を評価した。結果を表4に示す。
(3)スパッタリング方法と評価
実施例1と同様に行い、得られた膜の屈折率、透過率、及び剥離試験の評価を行った。結果を表5に示す。
(比較例2)
合成ケイ素酸化物粒子を調製し、それを用いて焼結体を得て、さらにこれをターゲットとしてスパッタリングを行い膜形成評価を行った。
(1)合成ケイ素酸化物粒子の調製と評価
まず、90℃に沸騰させた純水2Lを入れたフラスコ中に、硝酸インジウム2gを投入し溶解させた。この液中に、粒径5〜20μm(平均粒径10μm)の真球状SiO粒子(旭ガラス製)40gを投入し、スターラで撹拌して分散させた。その後、液を90℃に保ちながら0.5時間撹拌を続けた。この間、溶液のpHは1.8〜2.1であった。
その後、撹拌を停止し、液を5Aのろ紙にて真空ろ過した。得られた固形物を取り出し、純水2Lを入れたフラスコ中に投入した後、スターラで1時間撹拌し、再度、液を5Aのろ紙にて真空ろ過して固形物を取り出した。
次いで、この固形物を120℃で6時間乾燥した。得られた乾燥物を高純度アルミナ(純度99.7%)製の坩堝に入れ、大気中、700℃で2時間の仮焼を行い合成ケイ素酸化物粒子を得た。得られた合成ケイ素酸化物粒子の化学組成、X線回折及び差熱分析を行った。表1に合成ケイ素酸化物粒子の作製条件、表2に合成ケイ素酸化物粒子の化学組成、表3に合成ケイ素酸化物粒子のX線回折及び差熱分析を示す。
(2)焼結体の作製と評価
実施例1と同様に行い、焼結体の焼結密度、EPMA平均凝集径、変形度、熱膨張係数、及び抗折強度を評価した。結果を表4に示す。
(3)スパッタリング方法と評価
実施例1と同様に行い、得られた膜の屈折率、透過率、及び剥離試験の評価を行った。結果を表5に示す。
(比較例3)
合成ケイ素酸化物粒子を調製し、それを用いて焼結体を得て、さらにこれをターゲットとしてスパッタリングを行い膜形成評価を行った。
(1)合成ケイ素酸化物粒子の調製と評価
まず、90℃に沸騰させた純水2Lを入れたフラスコ中に、硝酸インジウム2gを投入し溶解させた。この液中に、粒径5〜20μm(平均粒径10μm)の真球状SiO粒子(旭ガラス製)40gを投入し、スターラで撹拌して分散させた。その後、液を90℃に保ちながら0.5時間撹拌を続けた。この間、アンモニア水を添加して溶液のpHを8.2〜8.5に制御した。
その後、撹拌を停止し、液を5Aのろ紙にて真空ろ過した。得られた固形物を取り出し、純水2Lを入れたフラスコ中に投入した後、スターラで1時間撹拌し、再度、液を5Aのろ紙にて真空ろ過して固形物を取り出した。
次いで、この固形物を120℃で6時間乾燥した。得られた乾燥物を高純度アルミナ(純度99.7%)製の坩堝に入れ、大気中、700℃で2時間の仮焼を行い合成ケイ素酸化物粒子を得た。得られた合成ケイ素酸化物粒子の化学組成、X線回折及び差熱分析を行った。表1に合成ケイ素酸化物粒子の作製条件、表2に合成ケイ素酸化物粒子の化学組成、表3に合成ケイ素酸化物粒子のX線回折及び差熱分析を示す。
(2)焼結体の作製と評価
実施例1と同様に行い、焼結体の焼結密度、EPMA平均凝集径、変形度、熱膨張係数、及び抗折強度を評価した。結果を表4に示す。
(3)スパッタリング方法と評価
実施例1と同様に行い、得られた膜の屈折率、透過率、及び剥離試験の評価を行った。結果を表5に示す。
(比較例4)
合成ケイ素酸化物粒子を調製し、それを用いて焼結体を得て、さらにこれをターゲットとしてスパッタリングを行い膜形成評価を行った。
(1)合成ケイ素酸化物粒子の調製と評価
まず、90℃に沸騰させた純水2Lを入れたフラスコ中に、粒径5〜20μm(平均粒径10μm)の真球状SiO粒子(旭ガラス製)40gを投入し、スターラで撹拌して分散液を得た。一方、硝酸インジウム2gを純水60ml中にいれて溶解させ、硝酸インジウム溶液(硝酸インジウム濃度33g/L)を作製し、この全量を一気に分散液中に投入した。その後、液を90℃に保ちながら0.5時間撹拌を続けた。この間、アンモニア水を添加して溶液のpHを8.2〜8.5に制御した。
その後、撹拌を停止し、液を5Aのろ紙にて真空ろ過した。得られた固形物を取り出し、純水2Lを入れたフラスコ中に投入した後、スターラで1時間撹拌し、再度、液を5Aのろ紙にて真空ろ過して固形物を取り出した。
次いで、この固形物を120℃で6時間乾燥した。得られた乾燥物を高純度アルミナ(純度99.7%)製の坩堝に入れ、大気中、700℃で2時間の仮焼を行い合成ケイ素酸化物粒子を得た。得られた合成ケイ素酸化物粒子の化学組成、X線回折及び差熱分析を行った。表1に合成ケイ素酸化物粒子の作製条件、表2に合成ケイ素酸化物粒子の化学組成、表3に合成ケイ素酸化物粒子のX線回折及び差熱分析を示す。
(2)焼結体の作製と評価
実施例1と同様に行い、焼結体の焼結密度、EPMA平均凝集径、変形度、熱膨張係数、及び抗折強度を評価した。結果を表4に示す。
(3)スパッタリング方法と評価
実施例1と同様に行い、得られた膜の屈折率、透過率、及び剥離試験の評価を行った。結果を表5に示す。
(比較例5)
合成ケイ素酸化物粒子を調製し、それを用いて焼結体を得て、さらにこれをターゲットとしてスパッタリングを行い膜形成評価を行った。
(1)合成ケイ素酸化物粒子の調製と評価
まず、90℃に沸騰させた純水2Lを入れたフラスコ中に、硝酸インジウム2gを投入し溶解させた。この液中に、粒径5〜20μm(平均粒径10μm)の真球状SiO粒子(旭ガラス製)40gを投入し、スターラで撹拌して分散させた。その後、液を90℃に保ちながら6時間撹拌を続けた。この間、溶液のpHは1.8〜2.1であった。
その後、撹拌を停止し、液を5Aのろ紙にて真空ろ過した。得られた固形物を取り出し、純水2Lを入れたフラスコ中に投入した後、スターラで1時間撹拌し、再度、液を5Aのろ紙にて真空ろ過して固形物を取り出した。
次いで、この固形物を120℃で6時間乾燥した。得られた乾燥物を高純度アルミナ(純度99.7%)製の坩堝に入れ、大気中、700℃で2時間の仮焼を行い合成ケイ素酸化物粒子を得た。得られた合成ケイ素酸化物粒子の化学組成、X線回折及び差熱分析を行った。表1に合成ケイ素酸化物粒子の作製条件、表2に合成ケイ素酸化物粒子の化学組成、表3に合成ケイ素酸化物粒子のX線回折及び差熱分析を示す。
(2)焼結体の作製と評価
実施例1と同様に行い、焼結体の焼結密度、EPMA平均凝集径、変形度、熱膨張係数、及び抗折強度を評価した。結果を表4に示す。
(3)スパッタリング方法と評価
実施例1と同様に行い、得られた膜の屈折率、透過率、及び剥離試験の評価を行った。結果を表5に示す。
(比較例6)
合成ケイ素酸化物粒子を調製し、それを用いて焼結体を得て、さらにこれをターゲットとしてスパッタリングを行い膜形成評価を行った。
(1)合成ケイ素酸化物粒子の調製と評価
まず、90℃に沸騰させた純水2Lを入れたフラスコ中に、硝酸インジウム16gを投入し溶解させた。この液中に、粒径5〜20μm(平均粒径10μm)の真球状SiO粒子(旭ガラス製)40gを投入し、スターラで撹拌して分散させた。その後、液を90℃に保ちながら0.5時間撹拌を続けた。この間、アンモニア水を添加して溶液のpHを8.2〜8.5に制御した。
その後、撹拌を停止し、液を5Aのろ紙にて真空ろ過した。得られた固形物を取り出し、純水2Lを入れたフラスコ中に投入した後、スターラで1時間撹拌し、再度、液を5Aのろ紙にて真空ろ過して固形物を取り出した。
次いで、この固形物を120℃で6時間乾燥した。得られた乾燥物を高純度アルミナ(純度99.7%)製の坩堝に入れ、大気中、700℃で2時間の仮焼を行い合成ケイ素酸化物粒子を得た。得られた合成ケイ素酸化物粒子の化学組成、X線回折及び差熱分析を行った。表1に合成ケイ素酸化物粒子の作製条件、表2に合成ケイ素酸化物粒子の化学組成、表3に合成ケイ素酸化物粒子のX線回折及び差熱分析を示す。
(2)焼結体の作製と評価
実施例1と同様に行い、焼結体の焼結密度、EPMA平均凝集径、変形度、熱膨張係数、及び抗折強度を評価した。結果を表4に示す。
(3)スパッタリング方法と評価
実施例1と同様に行い、得られた膜の屈折率、透過率、及び剥離試験の評価を行った。結果を表5に示す。
(比較例7)
合成ケイ素酸化物粒子を調製し、それを用いて焼結体を得て、さらにこれをターゲットとしてスパッタリングを行い膜形成評価を行った。
(1)合成ケイ素酸化物粒子の調製と評価
まず、90℃に沸騰させた純水2Lを入れたフラスコ中に、硝酸インジウム16gを投入し溶解させた。この液中に、粒径5〜20μm(平均粒径10μm)の真球状SiO粒子(旭ガラス製)40gを投入し、スターラで撹拌して分散させた。その後、液を90℃に保ちながら0.5時間撹拌を続けた。この間、苛性ソーダ水溶液を添加して溶液のpHを9.2〜9.7に制御した。
その後、撹拌を停止し、液を5Aのろ紙にて真空ろ過した。得られた固形物を取り出し、純水2Lを入れたフラスコ中に投入した後、スターラで1時間撹拌し、再度、液を5Aのろ紙にて真空ろ過して固形物を取り出した。
次いで、この固形物を120℃で6時間乾燥した。得られた乾燥物を高純度アルミナ(純度99.7%)製の坩堝に入れ、大気中、700℃で2時間の仮焼を行い合成ケイ素酸化物粒子を得た。得られた合成ケイ素酸化物粒子の化学組成、X線回折及び差熱分析を行った。表1に合成ケイ素酸化物粒子の作製条件、表2に合成ケイ素酸化物粒子の化学組成、表3に合成ケイ素酸化物粒子のX線回折及び差熱分析を示す。
(2)焼結体の作製と評価
実施例1と同様に行い、焼結体の焼結密度、EPMA平均凝集径、変形度、熱膨張係数、及び抗折強度を評価した。結果を表4に示す。
(3)スパッタリング方法と評価
実施例1と同様に行い、得られた膜の屈折率、透過率、及び剥離試験の評価を行った。結果を表5に示す。
(比較例8)
合成ケイ素酸化物粒子を調製し、それを用いて焼結体を得て、さらにこれをターゲットとしてスパッタリングを行い膜形成評価を行った。
(1)合成ケイ素酸化物粒子の調製と評価
まず、90℃に沸騰させた純水2Lを入れたフラスコ中に、硝酸インジウム16gと塩化亜鉛4gを投入し溶解させた。この液中に、粒径5〜20μm(平均粒径10μm)の真球状SiO粒子(旭ガラス製)40gを投入し、スターラで撹拌して分散させた。その後、液を90℃に保ちながら0.5時間撹拌を続けた。この間、アンモニア水を添加して溶液のpHを8.2〜8.5に制御した。
その後、撹拌を停止し、液を5Aのろ紙にて真空ろ過した。得られた固形物を取り出し、純水2Lを入れたフラスコ中に投入した後、スターラで1時間撹拌し、再度、液を5Aのろ紙にて真空ろ過して固形物を取り出した。
次いで、この固形物を120℃で6時間乾燥した。得られた乾燥物を高純度アルミナ(純度99.7%)製の坩堝に入れ、大気中、700℃で2時間の仮焼を行い合成ケイ素酸化物粒子を得た。得られた合成ケイ素酸化物粒子の化学組成、X線回折及び差熱分析を行った。表1に合成ケイ素酸化物粒子の作製条件、表2に合成ケイ素酸化物粒子の化学組成、表3に合成ケイ素酸化物粒子のX線回折及び差熱分析を示す。
(2)焼結体の作製と評価
実施例1と同様に行い、焼結体の焼結密度、EPMA平均凝集径、変形度、熱膨張係数、及び抗折強度を評価した。結果を表4に示す。
(3)スパッタリング方法と評価
実施例1と同様に行い、得られた膜の屈折率、透過率、及び剥離試験の評価を行った。結果を表5に示す。
(比較例9)
合成ケイ素酸化物粒子を調製し、それを用いて焼結体を得て、さらにこれをターゲットとしてスパッタリングを行い膜形成評価を行った。
(1)合成ケイ素酸化物粒子の調製と評価
まず、90℃に沸騰させた純水2Lを入れたフラスコ中に、硝酸インジウム16gと塩化亜鉛4gを投入し溶解させた。この液中に、粒径5〜20μm(平均粒径10μm)の真球状SiO粒子(旭ガラス製)40gを投入し、スターラで撹拌して分散させた。その後、液を90℃に保ちながら0.5時間撹拌を続けた。この間、アンモニア水を添加して溶液のpHを8.2〜8.5に制御した。その後、撹拌を停止し、一昼夜熟成させた。
次に、液を5Aのろ紙にて真空ろ過した。得られた固形物を取り出し、純水2Lを入れたフラスコ中に投入した後、スターラで1時間撹拌し、再度、液を5Aのろ紙にて真空ろ過して固形物を取り出した。
次いで、この固形物を120℃で6時間乾燥した。得られた乾燥物を高純度アルミナ(純度99.7%)製の坩堝に入れ、大気中、700℃で2時間の仮焼を行い合成ケイ素酸化物粒子を得た。得られた合成ケイ素酸化物粒子の化学組成、X線回折及び差熱分析を行った。表1に合成ケイ素酸化物粒子の作製条件、表2に合成ケイ素酸化物粒子の化学組成、表3に合成ケイ素酸化物粒子のX線回折及び差熱分析を示す。
(2)焼結体の作製と評価
実施例1と同様に行い、焼結体の焼結密度、EPMA平均凝集径、変形度、熱膨張係数、及び抗折強度を評価した。結果を表4に示す。
(3)スパッタリング方法と評価
実施例1と同様に行い、得られた膜の屈折率、透過率、及び剥離試験の評価を行った。結果を表5に示す。
(比較例10)
合成ケイ素酸化物粒子を調製し、それを用いて焼結体を得て、さらにこれをターゲットとしてスパッタリングを行い膜形成評価を行った。
(1)合成ケイ素酸化物粒子の調製と評価
まず、90℃に沸騰させた純水2Lを入れたフラスコ中に、硝酸ストロンチウム14gを投入し溶解させた。この液中に、粒径5〜20μm(平均粒径10μm)の真球状SiO粒子(旭ガラス製)40gを投入し、スターラで撹拌して分散させた。その後、液を90℃に保ちながら0.5時間撹拌を続けた。この間、アンモニア水を添加して溶液のpHを6.3〜6.6に制御した。
その後、撹拌を停止し、液を5Aのろ紙にて真空ろ過した。得られた固形物を取り出し、純水2Lを入れたフラスコ中に投入した後、スターラで1時間撹拌し、再度、液を5Aのろ紙にて真空ろ過して固形物を取り出した。
次いで、この固形物を120℃で6時間乾燥した。得られた乾燥物を高純度アルミナ(純度99.7%)製の坩堝に入れ、大気中、700℃で2時間の仮焼を行い合成ケイ素酸化物粒子を得た。得られた合成ケイ素酸化物粒子の化学組成、X線回折及び差熱分析を行った。表1に合成ケイ素酸化物粒子の作製条件、表2に合成ケイ素酸化物粒子の化学組成、表3に合成ケイ素酸化物粒子のX線回折及び差熱分析を示す。
(2)焼結体の作製と評価
実施例1と同様に行い、焼結体の焼結密度、EPMA平均凝集径、変形度、熱膨張係数、及び抗折強度を評価した。結果を表4に示す。
(3)スパッタリング方法と評価
実施例1と同様に行い、得られた膜の屈折率、透過率、及び剥離試験の評価を行った。結果を表5に示す。
Figure 2005320216
Figure 2005320216
Figure 2005320216
Figure 2005320216
Figure 2005320216
表1〜5より、実施例1〜11では、SiO粒子の分散液に、副成分としてIn、Zn、Al、Mg、Ba又はSrから選ばれる少なくとも1種の金属の金属塩の水溶液を滴下して加水分解する工程、SiO粒子表面に加水分解生成物を沈着させ、熟成する工程、
洗浄ろ過し乾燥する工程、及び仮焼する工程で、本発明の方法に従って行われたので、
得られた合成ケイ素酸化物粒子はX線回折結果において非晶質又は副成分を含むケイ酸塩であること、これを用いた焼結において、2×10−6/℃以上の熱膨張係数、3〜30μmのEPMA線分析平均凝集径、縦/横比0.9以下の熱軟化性評価での変形度等の優れた焼結体特性が得られ、焼結体及びカーボン製ダイス型を破損することなく安定した焼結を行うことができること、また膜形成評価では2.0以上の屈折率と光記録媒体用誘電体膜として良好な膜質が得られることが分かる。
これに対して、比較例1〜10では、合成ケイ素酸化物粒子の組成、加水分解の方法のいずれかがこれらの条件に合わないので、焼結体特性、屈折率、透過率、剥離試験のいずれかによって満足すべき結果が得られないことが分かる。
以上より明らかなように、本発明の合成ケイ素酸化物粒子は、高屈折率膜を形成するため用いられるターゲット材分野で利用されるケイ素酸化物として好適である。例えば、相変化型光記録媒体の誘電体膜の形成に使用される屈折性の酸化物相と酸化ケイ素相からなる複合焼結ターゲット材において、特に、熱軟化性に優れた酸化ケイ素相用として、ケイ素酸化物に代わって好適に用いられる。

Claims (11)

  1. 主成分としてケイ素酸化物を含み、かつ副成分としてIn、Zn、Al、Mg、Ba又はSrから選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物を含む、真球状の合成ケイ素酸化物粒子を製造する方法であって、
    (1)80℃以上に加熱した純水中にSiO粒子を投入し撹拌しながら、その中に前記副成分を形成し得る金属塩の水溶液を所定速度で滴下して、該金属塩を加水分解する工程(A)、
    (2)滴下終了後、撹拌しながら液温を保持してSiO粒子表面に加水分解生成物を沈着させた後、撹拌を停止して静止した状態で熟成する工程(B)、
    (3)熟成後、加水分解生成物が沈着されたSiO粒子を洗浄ろ過し乾燥する工程(C)、及び
    (4)得られた乾燥物を酸化性雰囲気下800〜1100℃の温度で仮焼する工程(D)、を含むことを特徴とする合成ケイ素酸化物粒子の製造方法。
  2. 工程(A)において、前記金属塩の水溶液中の金属塩の濃度は、50〜300g/Lに調整されることを特徴とする請求項1に記載の合成ケイ素酸化物粒子の製造方法。
  3. 前記金属がIn又はZnであるとき、工程(A)において、アンモニア水及び/又は無機酸アンモニウム塩を添加してpHを3〜6に制御することを特徴とする請求項1に記載の合成ケイ素酸化物粒子の製造方法。
  4. 前記金属がBa又はSrであるとき、工程(A)において、アンモニア水及び/又は無機酸アンモニウム塩を添加してpHを7〜10に制御することを特徴とする請求項1に記載の合成ケイ素酸化物粒子の製造方法。
  5. 工程(B)において、撹拌しながら保持する時間は、1〜3時間であることを特徴とする請求項1に記載の合成ケイ素酸化物粒子の製造方法。
  6. 工程(B)において、静止した状態で熟成する時間は、1〜3日間であることを特徴とする請求項1に記載の合成ケイ素酸化物粒子の製造方法。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の製造方法により得られる、主成分としてケイ素酸化物を含み、かつ副成分としてIn、Zn、Al、Mg、Ba又はSrから選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物を含む、真球状の合成ケイ素酸化物粒子。
  8. X線回折結果によれば、非晶質であるか、又は副成分を含むケイ酸塩であることを特徴とする請求項7に記載の合成ケイ素酸化物粒子。
  9. 前記副成分の含有量が、主成分のケイ素酸化物に対して酸化物換算で4〜31重量%であることを特徴とする請求項7に記載の合成ケイ素酸化物粒子。
  10. 平均粒径が3〜30μmであることを特徴とする請求項7に記載の合成ケイ素酸化物粒子。
  11. Na、K、B、Pb及びPの含有濃度が各々10ppm以下であること特徴とする請求項7に記載の合成ケイ素酸化物粒子。
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