JP2005319959A - ラジエータ支持構造 - Google Patents

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Shinji Yamamoto
伸次 山本
Susumu Miyagawa
進 宮川
Takashi Hasegawa
長谷川  隆
Teru Terasaki
輝 寺崎
Kimitaka Tsukagoshi
公孝 塚越
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Abstract

【課題】 小荷重の入力時にはラジエータを柔らかく支持してダイナミックダンパーとしての機能を充分に発揮させるとともに、大荷重の入力時にはラジエータを硬く支持して変位の増加を抑制することで、その耐久性の向上を図る。
【解決手段】 ラジエータRの左右両下部を下部弾性マウント17でラジエータサポート13に弾性支持し、ラジエータRをダイナミックダンパーとして機能させて車体振動を低減する。ラジエータサポート13の上面に、ラジエータRの上下方向の変位が所定量を超えたときにラジエータRの下面に弾性的に当接するストッパ部材18を設けることで、入力される荷重が小さいときに、ラジエータRを下部弾性マウント17のばねレートに応じた周波数で振動させてダイナミックダンパーの機能を発揮させ、前記荷重が増加してラジエータRの上下方向の変位が所定量を超えると、ストッパ部材18でラジエータRの過剰な変位を抑制して耐久性の低下を防止する。
【選択図】 図2

Description

本発明は、エンジンの前方に配置したラジエータの少なくとも左右両下部を弾性マウントで車体フレームに上下動自在に弾性支持し、ラジエータをダイナミックダンパーとして機能させて車体振動を低減するラジエータ支持構造に関する。
ラジエータの下面の左右両端部を弾性体からなるマウント部材を介して車体フレームの前端部に支持し、エンジンのアイドリング時にラジエータをダイナミックダンパーとして機能させて車体振動を低減するものにおいて、左右のマウント部材のうち、ラジエータの重心位置に近い側のマウント部材のばねレートを遠い側のマウント部材のばねレートよりも低く設定することにより、車体の上下曲げ振動および捩じり振動の両方を効果的に低減できるようにしたものが、下記特許文献1により公知である。
特開平5−24446号公報
ところで、上記特許文献1に記載されたものは、ダイナミックダンパーとしての機能を高めるべくマウント部材のばねレートを低く設定すると、大荷重の入力時にラジエータの上下変位が大きくなってしまい、ラジエータが受ける上下加速度が増加して耐久性に悪影響が及ぶ可能性があった。これを回避するためにマウント部材のばねレートを高く設定すると、ラジエータの共振周波数が目標の値からずれてダイナミックダンパーとしての機能が充分に発揮されなくなる問題がある。
本発明は前述の事情に鑑みてなされたもので、小荷重の入力時にはラジエータを柔らかく支持してダイナミックダンパーとしての機能を充分に発揮させるとともに、大荷重の入力時にはラジエータを硬く支持して変位の増加を抑制することで、その耐久性の向上を図ることを目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1に記載された発明によれば、エンジンの前方に配置したラジエータの少なくとも左右両下部を弾性マウントで車体フレームに上下動自在に弾性支持し、ラジエータをダイナミックダンパーとして機能させて車体振動を低減するラジエータ支持構造において、ラジエータの下面および車体フレームの上面の一方に、ラジエータの上下方向の変位が所定量を超えたときに他方に弾性的に当接するストッパ部材を設けたことを特徴とするラジエータ支持構造が提案される。
また請求項2に記載された発明によれば、請求項1の構成に加えて、1個のストッパ部材を左右一対の弾性マウントの略中央位置に配置したことを特徴とするラジエータ支持構造が提案される。
尚、実施例の下部弾性マウント17は本発明の弾性マウントに対応する。
請求項1の構成によれば、ラジエータの少なくとも左右両下部を弾性マウントで車体フレームに上下動自在に弾性支持したので、ラジエータをダイナミックダンパーとして機能させてエンジンの所定回転数領域における車体振動を低減することができる。ラジエータに入力される荷重が小さく、ラジエータの上下方向の変位が所定量以下のときにはストッパ部材は圧縮されることはなく、従ってラジエータは弾性マウントのばねレートに応じた周波数で振動してダイナミックダンパーの機能を有効に発揮することができる。前記荷重が増加してラジエータの上下方向の変位が所定量を超えるとストッパ部材が圧縮されるため、弾性マウントおよびストッパ部材のトータルのばねレートが高まってラジエータの変位の過剰な増加が抑制され、大振幅の振動によるラジエータの耐久性低下を防止することができる。
請求項2の構成によれば、1個のストッパ部材を左右一対の弾性マウントの略中央位置に配置したので、ストッパ部材の数および弾性マウントの数を最小限に抑えて部品点数を削減しながら、ラジエータと車体フレームとがストッパ部材を介して相互に当接したときも、当接しないときもラジエータの左右方向の傾きを防止することができる。
以下、本発明の実施の形態を、添付の図面に示した本発明の実施例に基づいて説明する。
図1〜図6は本発明の一実施例を示すもので、図1は車体フレームに支持されたラジエータの斜視図、図2は図1の2方向矢視図、図3は図1の3−3線拡大断面図、図4は図1の4−4線拡大断面図、図5は図1の5−5線拡大断面図、図6は下部弾性マウントおよびストッパ部材の変位・荷重特性を示すグラフである。
図1に示すように、自動車の図示せぬエンジンのウオータジャケットを通過して温度上昇した冷却水を冷却するためのラジエータRを支持する車体フレーム11は、左右のフロントサイドフレーム12,12と、フロントサイドフレーム12,12の前端間を接続するラジエータサポート13と、同じくフロントサイドフレーム12,12の前端間を接続するフロントバンパービーム14と、ラジエータサポート13の上端間を接続するフロントアッパークロスメンバ15とで構成される。
水平部分13aおよび一対の鉛直部分13b,13bを有してU字状に形成されたラジエータサポート13と、ラジエータサポート13の前記鉛直部分13b,13bの上端間を接続するフロントアッパークロスメンバ15とによって囲まれた空間に、エンジンの前方に近接して位置するように配置された概略四角形のラジエータRは、その上面の左右両端部が一対の上部弾性マウント16,16によってフロントアッパークロスメンバ15に支持され、その下面の左右両端部が一対の下部弾性マウント17,17によってラジエータサポート13の水平部分13aに支持される。更に、ラジエータサポート13の水平部分13aには、ラジエータRの左右方向中央部の下面に当接可能なストッパ部材18が設けられる。
図1および図2から明らかなように、ラジエータRは板状のラジエータコア21の上下端にそれぞれ車体左右方向に延びるアッパータンク22およびロアタンク23を接続したもので、ラジエータコア21は上下方向に延びてアッパータンク22およびロアタンク23を連通させる多数の冷却水チューブと、水平方向に延びて冷却水チューブを相互に接続する多数の冷却フィンとで構成される。アッパータンク22には冷却水入口24およびラジエータキャップ25が設けられ、ロアタンク23には冷却水出口26およびドレンコック27が設けられる。
ラジエータコア21の背面は右シュラウド28および左シュラウド29で覆われており、右シュラウド28に形成した円形の開口28aの中央部にファン30を有するモータ31が支持されるとともに、左シュラウド29に形成した円形の開口29aに中央部にファン32を有するモータ33が支持される。
図1および図3から明らかなように、フロントアッパークロスメンバ15の上面に一対のステー34,34がボルト35,35で固定されており、ラバーで円筒状に形成された上部弾性マウント16の外周の環状溝16aが、各ステー34の前端の支持孔34aに嵌合して支持される。そしてラジエータRのアッパータンク22の上面に突設した支持ピン36を、上部弾性マウント16の中央を貫通する支持孔16bに嵌合させることで、ラジエータRの左右上部がフロントアッパークロスメンバ15に弾性的に支持される。
図4から明らかなように、ラジエータサポート13の水平部分13aはアッパーメンバ13cおよびロアメンバ13dで構成されており、アッパーメンバ13cに円形の支持孔13eが形成される。ラバー製の下部弾性マウント17は、円板状のロアタンク支持部17aと、ロアタンク支持部17aの下面から下方に延びる有底円筒状の支持ピン受け部17bと、支持ピン受け部17bの外周から拡径しながら下方に延びるスカート部17cと、ロアタンク支持部17aの下面に焼き付けにより固定された金属製の補強リング37とで構成される。
下部弾性マウント17は、そのスカート部17cがアッパーメンバ13cの支持孔13eに嵌合してロアメンバ13dの上面に当接することで、ラジエータサポート13の水平部分13aに支持される。そしてロアタンク23の下面に突設した支持ピン38を支持ピン受け部17bに嵌合させ、かつロアタンク23の下面をロアタンク支持部17aに当接させることで、ラジエータRの左右下部がラジエータサポート13の水平部分13aに弾性的に支持される。
図5から明らかなように、ラバー製のストッパ部材18は円柱状の荷重受け部18aと、その下面に連設された環状溝18bとを備えており、アッパーメンバ13cに形成した円形の支持孔13fに環状溝18bを嵌合させることでラジエータサポート13に固定される。ラジエータRに上下方向の荷重が作用しない通常時に、ストッパ部材18の荷重受け部18aの上面とロアタンク23の下面との間に所定の隙間aが形成される。
次に、上記構成を備えた実施例の作用を説明する。
図6はラジエータRの上下方向の変位と、下部弾性マウント17,17あるいはストッパ部材18が受ける荷重との関係を示すものである。鎖線の特性は左右両方の下部弾性マウント17,17の荷重の加算値であって、変位の発生と同時に発生した荷重が、変位の増加に伴ってほぼリニアに増加している。
一方、破線の特性はストッパ部材18の荷重であって、ストッパ部材18がラジエータRのロアタンク23の下面に当接するまでの間、つまり変位がaに達するまでの間は荷重は発生しない。そして変位がaを超えてストッパ部材18がロアタンク23の下面に当接した後は、変位の増加に応じて荷重がリニアに増加している。
そして実線の特性は左右の下部弾性マウント17,17の荷重とストッパ部材18の荷重とを加算したトータルの荷重を示しており、その値は変位がaに達したときにbであり、そこから変位の増加に対する荷重の増加率が高まっている。
従って、エンジンのアイドリング中の回転変動に伴って発生するアイドリング振動のような低周波振動が車体フレーム11を経てラジエータRに入力されたとき、その低周波振動の周波数に共振するように下部弾性マウント17,17のばねレートを設定しておくことにより、ラジエータRの質量をダンパー質量として利用してダイナミックダンパーの機能を発揮させ、前記低周波振動を低減することができる。このとき、ラジエータRの変位は図6のa以下であってストッパ部材18は圧縮されないため、ストッパ部材18のばねレートによってラジエータRの共振周波数がずれることはなく、ストッパ部材18によってダイナミックダンパーの機能が損なわれることはない。このようにラジエータRをアイドリング時の低周波振動に共振させても、その振幅が小さいためにラジエータRが受ける上下加速度も小さくなり、ラジエータRの耐久性が損なわれる虞はない。
さて、ラジエータRに図6のaを超える大きな変位が発生すると、ストッパ部材18がロアタンク23の下面に当接して圧縮されるため、下部弾性マウント17,17およびストッパ部材18のトータルのばねレートが急激に増加する。その結果、大きな荷重が入力してもラジエータRが大きく変位するのを防止することができ、ラジエータRに大きな上下加速度が作用しないようにして耐久性の低下を防止することができる。
このように、既存の下部弾性マウント17,17にストッパ部材18を追加するだけの簡単な構造により、下部弾性マウント17,17のばねレートを任意に設定してラジエータRの小変位時のダイナミックダンパー機能を効果的に発生させながら、ストッパ部材18のばねレートによってラジエータRの大変位を抑制して耐久性の低下を防止することができる。
また左右一対の下部弾性マウント17,17の略中央位置に1個のストッパ部材18を配置したので、下部弾性マウント17,17およびストッパ部材18の数を最小限に抑えて部品点数を削減しながら、ストッパ部材18が車体フレーム11に当接したときも、当接しないときも、ラジエータRの左右方向の傾きを防止することができる。しかもストッパ部材18はラジエータRの下面に対向しているだけなので、ストッパ部材18によってラジエータRの着脱に要する工数が増加することがない。
以上、本発明の実施例を説明したが、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更を行うことが可能である。
例えば、実施例ではストッパ部材18を車体フレーム11側に設けているが、それをラジエータR側に設けても良い。
車体フレームに支持されたラジエータの斜視図 図1の2方向矢視図 図1の3−3線拡大断面図 図1の4−4線拡大断面図 図1の5−5線拡大断面図 下部弾性マウントおよびストッパ部材の変位・荷重特性を示すグラフ
符号の説明
11 車体フレーム
17 下部弾性マウント(弾性マウント)
18 ストッパ部材
R ラジエータ

Claims (2)

  1. エンジンの前方に配置したラジエータ(R)の少なくとも左右両下部を弾性マウント(17)で車体フレーム(11)に上下動自在に弾性支持し、ラジエータ(R)をダイナミックダンパーとして機能させて車体振動を低減するラジエータ支持構造において、
    ラジエータ(R)の下面および車体フレーム(11)の上面の一方に、ラジエータ(R)の上下方向の変位が所定量を超えたときに他方に弾性的に当接するストッパ部材(18)を設けたことを特徴とするラジエータ支持構造。
  2. 1個のストッパ部材(18)を左右一対の弾性マウント(17)の略中央位置に配置したことを特徴とする、請求項1に記載のラジエータ支持構造。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2007230311A (ja) * 2006-02-28 2007-09-13 Mazda Motor Corp 自動車の前部構造
JP2012224152A (ja) * 2011-04-18 2012-11-15 Toyota Motor Corp 車体構造

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