JP2005319722A - 光線吸収フィルム用ポリエステルフィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】 ポリエステルフィルムを基材とした光線吸収フィルムにおいて、紫外線によって機能が低下することのない設計に適したポリエステルフィルムを提供する。
【解決手段】 少なくとも片面に光線吸収層を設けることにより、光学フィルターの光線吸収フィルムとして使用されるポリエステルフィルムであり、当該ポリエステルフィルムのフィルムヘーズが5.0%以下であり、波長380nmの光線透過率が20.0%以下であることを特徴とする光線吸収フィルム用ポリエステルフィルム。
【選択図】 なし

Description

本発明は、紫外線による劣化が少なく、例えば光学フィルター用の光線吸収フィルムとして適したポリエステルフィルムに関する。
近年伸びているプラズマディスプイの前面フィルターに使われる光学フィルターの一部に、プラズマパネル部から発生する光線を吸収するフィルムが使われている。プラズマパネルからは、ネオンオレンジ光(600nm付近の光)を初め、その他の画質を損ねる光線が出ており、また近赤外線も出ることが知られており、これら光線を吸収するフィルム(以降、光線吸収フィルムという)が光学フィルターの一部に使われている。また、自動車の窓ガラスにも近赤外線吸収フィルムが使われている。その他、熱線吸収フィルターやビデオカメラ視感度補正用フィルター等にも近赤外線吸収フィルムが使われている。
このフィルターとしては、可視光線吸収剤や近赤外線吸収剤(以降、総称して、光線吸収剤という)を各種のプラスチックに配合する方法や、粘着剤や接着剤に配合して貼合する方法、高分子樹脂に配合しプラスチックフィルム表面に塗膜として設層する方法等が知られている。これらの中でも、塗膜として設層する方法は、プラスチックそのものに配合する方法や粘着剤や接着剤に配合する方法に比べ、プラスチックへの配合に必要な光線吸収剤の耐熱性や分散性が厳しくなく、広く採用されている。設層するプラスチックフィルムとしては、ポリエステルフィルムが、強い機械的な強度や高い耐熱性という利点およびフィルム表面が平坦であるという利点があり、広く使われている。
しかし、光線吸収剤を設層した光線吸収フィルムは、光線吸収剤が紫外線によって変化し、その吸収能が低下するという問題が知られており、この対策として、光線吸収剤と紫外線吸収剤とを同時に配合して設層するという方法が提案されている(参考文献1)。しかし、この方法では、光線吸収剤と紫外線吸収剤との相性から、光線吸収剤の選択に制約があり、所望の光線吸収フィルムの設計に限界がある。
また、光線吸収剤を設層したフィルムを、紫外線吸収剤を配合した粘着剤や接着剤で他のプラスチックフィルムに貼り合わせる方法が提案されている(参考文献2、3)。この方法では、薄い粘着剤層や接着剤層に高濃度の紫外線吸収剤を配合するため、時を経ると紫外線吸収剤が析出し、透明性が低下したり、外観が悪くなるという問題がある。
特開平07−178861号公報 特開平2002−138203号公報 特開平2002−189423号公報
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであって、その解決課題は、ポリエステルフィルムを基材とした光線吸収フィルムにおいて、紫外線によって機能が低下することのない設計に適したポリエステルフィルムを提供することにある。
本発明者らは、上記の課題に関して鋭意検討を重ねた結果、特定の構成を有するポリエステルフィルムを基材として使うことにより、紫外線による劣化の少ない光線吸収フィルムとして利用することができることを知見し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の要旨は、少なくとも片面に光線吸収層を設けることにより、光学フィルターの光線吸収フィルムとして使用されるポリエステルフィルムであり、当該ポリエステルフィルムのフィルムヘーズが5.0%以下であり、波長380nmの光線透過率が20.0%以下であることを特徴とする光線吸収フィルム用ポリエステルフィルムに存する。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のポリエステルフィルムは、単層あるいは2層以上の多層であってもよく、押出口金から溶融押し出される、いわゆる押出法により、押し出されたポリエステルフィルムであることが好ましく、通常、縦方向および横方向の二軸方向に延伸させたフィルムである。
本発明において、ポリエステルとは、芳香族ジカルボン酸と脂肪族グリコールとを重縮合させて得られる。芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などが挙げられ、脂肪族グリコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。代表的なポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレ−ト(PET)、ポリエチレン−2,6−ナフタレ−ト(PEN)等が例示される。
また、本発明で用いるポリエステルは、ホモポリエステルであっても共重合ポリエステルであってもよい。共重合ポリエステルの場合は、30モル%以下の第三成分を含有した共重合体である。共重合ポリエステルのジカルボン酸成分としては、イソフタル酸、フタル酸、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、および、オキシカルボン酸(例えば、P−オキシ安息香酸など)の一種または、二種以上が挙げられ、グリコール成分として、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール等の一種または二種以上が挙げられる。
本発明のポリエステルフィルムのフィルムヘーズは5.0%以下であり、好ましくは2.5%以下、さらに好ましくは1.0%以下である。フィルムヘーズが5.0%を超えると、例えば光学フィルターとして使用する際に不具合がある。
本発明のポリエステルフィルムは光学フィルターとして好適に使用できるものであり、使い方によっては、ポリエステルフィルムに着色が少ないことが必要な場合がある。特に、着色としては、黄味があるが、望まれる黄味の少ない範囲としては、透過法1枚で測定した色調b値が、通常1.5以下、好ましくは1.0以下、さらに好ましくは0.8以下である。bが1.5以上の場合は、黄色味が強く、光学フィルターとして使いづらくなる場合がある。
本発明のポリエステルフィルムは、紫外線吸収剤を通常0.01〜10重量%、好ましくは0.3〜1.8重量%の範囲で含有し、波長380nmの光線透過率は20.0%以下、好ましくは5.0%以下、最も好ましくは2.0%以下である。波長380nmの光線透過率が20.0%より大きくなると、ポリエステルフィルムを透過する紫外線によって、設層した光線吸収剤が劣化するのを防ぐのに十分とは言えない。紫外線吸収剤が0.01重量%未満の場合には、ポリエステルフィルムを透過する紫外線によって、設層した光線吸収剤が劣化したり、その効能が低下したりする傾向がある。一方、10.0重量%を超える量の紫外線吸収剤を含有させても、もはや光線吸収剤の劣化を防止する効果は飽和に達しており、逆に、表面に紫外線吸収剤がブリードアウトし、接着性低下や紫外線吸収剤の析出による外観不良等、表面特性の悪化を生ずることがある。
本発明で用いる紫外線吸収剤としてはポリエステルに含有させることができる紫外線吸収剤であればよく、例えば、トリアジン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリシレート系化合物、シアノアクリレート系化合物、ベンゾオキサジン系化合物等がある。これらの中でも、トリアジン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾオキサジン系化合物がポリエステルとの相溶性が良く好ましい。トリアジン系化合物の例としては、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノールを挙げることができる。ベンゾオキサジン系化合物は、配合量が比較的少ない量で380nmの光線透過率を20%以下とできるので、より好ましい。ベンゾオキサジン系化合物の例として、下記構造のものを挙げることができる。
Figure 2005319722
上記式中、Rは2価の芳香族炭化水素残基を表し、X1およびX2はそれぞれ独立して水素または以下の官能基群から選ばれるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
・官能基群:アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、ハロゲン基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、エステル基、ニトロ基
上記構造式代表的な化合物として、2,2−(1,4−フェニレン)ビス[4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン]が挙げられる。
本発明では、単層構成のポリエステルフィルムに紫外線吸収剤を配合したフィルムであってもよいが、紫外線吸収剤のブリードアウトが発生する可能性がある。また、単層フィルムに紫外線吸収剤を配合すると、押出工程や、テンター内で紫外線吸収剤が揮散し、汚染の原因となり、異物が少ないことが必要とされる光学フィルター用の光線吸収フィルムのベースフィルムとしては、最適とは言えない。本発明の効果をより活かすには、積層構造のフィルムとし、内層に紫外線吸収剤を配合することが好ましい。内層に紫外線吸収剤を配合する方法としては、紫外線吸収剤を含有するポリエステルと紫外線吸収剤を含まないかまたは少量の紫外線吸収剤を含むポリエステルとを共押出しする方法が良い。最外層には紫外線吸収剤が無いことが好ましいが、工程の汚れやフィルムの特性を損なわない範囲で含有していても構わない。また、最外層の厚みは片側の厚み分として、0.5μmからフィルム全体の厚みの2/5の範囲が好ましい。厚みが薄すぎると紫外線吸収剤のブリードアウトを防ぐことができないことがあり、厚すぎると紫外線吸収剤を含有させる層の紫外線吸収剤が多くなり、濁りが出たり、デラミネーションの原因となったりすることがある。
積層フィルムの製膜方法の例としては、2種(A、B)のポリエステルを2台の押出機から押し出し、口金内で2種3層(A/B/A)に積層させ、口金より溶融押し出し、冷却ロール上でシート状に成形する。本発明のポリエステルフィルムは、このシート状フィルムでもよいが、二軸延伸ポリエステルフィルムが好ましい。二軸延伸ポリエステルフィルムを製造する方法は、例えば、得られたシート状フィルムを、ロール延伸法により、60〜120℃で2〜7倍に延伸して、一軸延伸ポリエステルフィルムを得、次いで、テンター内で先の延伸方向とは直角方向に80〜150℃で2〜7倍に延伸し、さらに、150〜250℃で1〜600秒間熱処理を行う製膜方法でよい。必要に応じて、一軸延伸後のフィルムに高分子化合物を主体とする易接着層を塗布し、その後テンター内で延伸しても構わない。
本発明フィルムには、実質的に粒子を含有させなくてもよいし、フィルムの走行性を向上する等の目的で、粒子を含有させてもよい。粒子を含有させる場合には、単層の場合は全層に、積層の場合は、最外層に、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、シリカ、酸化アルミニウム、酸化チタン、アルミナ、硫酸バリウム、ゼオライト、硫化モリブデン酸等の無機粒子やアクリル樹脂、グアナミン樹脂、フッ素樹脂等の有機粒子や触媒残差を粒子化させた析出粒子を含有させることができる。使用する粒子の粒径や含有量は、本発明の要旨を超えない範囲で適宜決めることができる。例えば、平均粒径としては、0.02〜3μm、好ましくは0.02〜2.5μm、配合する量としては、0.001〜10.0重量%、好ましくは0.005〜5.0重量%の範囲である。また、適宜、各種安定剤、潤滑剤、帯電防止剤等を加えることもできる。
また、本発明のフィルムの厚みには制限はないが、50〜250μmの範囲が好ましい。
本発明のポリエステルフィルムは、光線吸収層を設けた光線吸収フィルムに適しているが、光線吸収剤としては、可視光範囲の画質を損ねる光線を調光する光線吸収剤や近赤外線吸収剤があり、例えば、以下のものを挙げることができる。アンチモンをドープした酸化スズや、スズをドープした酸化インジウム等のほか、特開平11−77909号公報に開示されているような、イモニウム系化合物、ジイモニウム系化合物、アミニウム塩系化合物、スクワリリウム系化合物、フタロシアニン系化合物、ナフタロシアニン系化合物、アントラキノン系化合物等の有機化合物そのものや、銅、亜鉛、コバルト等との金属錯体が例示できる。
光線吸収層を設層するに際しては、これらの化合物を単独でまたは複合させて、透明性の樹脂、例えば、アクリル系樹脂やメタクリル系樹脂の有機溶媒溶液に溶解または分散させ、この溶液をポリエステルフィルムの表面にコートし、その後溶媒を揮散させて設層する。本発明の紫外線吸収剤を含有したポリエステルフィルムの効果が十分に期待できるのは、有機化合物そのものやその金属錯体の光線吸収剤を使用する場合である。
光線吸収層を設けた光学フィルターは、本発明のポリエステルフィルムに上記のように光線吸収剤を含有した塗膜を設層して得るが、光線吸収剤を含有した塗膜がポリエステルフィルムと強く密着するように、本発明のポリエステルフィルムの表面にあらかじめ下引き層を設け、その上へ光線吸収剤を含有した塗膜層を設けることが好ましい。
かかる下引き層は、フィルムの製膜後に設けてもよいが、コストを勘案するとフィルム製膜時に設けることが好ましい。例えば、逐次二軸延伸法においては、縦一軸延伸後のフィルムに下引き層をコートした後、横に延伸しその後、熱処理する方法、または、二軸延伸フィルム後にコートし乾燥する方法がある。方法に制約はないが、一軸延伸フィルムにコートし、次いで横延伸し、熱処理する方法は、コート層を均一に薄くできる等の特徴があり好ましい。
かかる下引き層としては、有機溶媒に溶解させた高分子や、水に溶解、乳化または懸濁する水性高分子を挙げることができるが、一軸延伸した後にコートする方法では、水に溶解、乳化または懸濁する水性高分子が好ましい。例えば、ポリウレタン系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、エポキシ樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリビニルピロリドンおよびこれらの共重合体等を挙げることができるがこれらに限定されるものではない。また、これらの化合物は、単独でまたは2種以上を混合して使用できる。
下引き層の耐溶剤性、耐水性、耐ブロッキング性、耐擦傷性を改善するために、コート液の成分として架橋剤を使用しても構わない。架橋剤としては、メチロール化あるいはアルキロール化した尿素系、メラミン系、グアナミン系、アクリルアミド系、アミド系などの化合物、エポキシ化合物、アジリジン化合物、ポリイソシアヌレート、ブロックポリイソシアネート、オキサゾリン基含有水溶性ポリマー、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、ジルコ−アルミネートカップリング剤が挙げられる。また、コート液中には、コート性を向上するために、本発明の効果を損わない範囲で、無機や有機の粒子、潤滑剤、帯電防止剤、消泡剤、各種界面活性剤等を含有させてもよい。
光線吸収層を設けたポリエステルフィルムからなる光線吸収フィルムは、光線吸収層と反対の面に、粘着剤層を設けて、ガラスや他の機能を持つフィルムと貼合して使われることがある。この場合、ポリエステルフィルムと粘着剤層との密着性を強くする目的で、本発明のポリエステルフィルムに、上記の方法で下引き層を設けておくことが好ましい。
また、プラズマディスプレイの光学フィルター用に用いる場合、光線吸収層の他に、反射防止層を設けることがある。反射防止層を設けたフィルムや板を粘着剤で光線吸収フィルムと貼合する方法があるが、構成が複雑で、原価が高いという欠点がある。光線吸収層を設けたポリエステルフィルムからなる光線吸収フィルムの光線吸収層と反対の面に反射防止層を設けることで欠点を改善できる。この場合、ポリエステルフィルムと反射防止層との密着性を強くする目的で本発明のポリエステルフィルムに、上記の方法で下引き層を設けておくことが好ましい。反射防止層の第一層には、紫外線硬化型のハードコート剤が使われることが多く、このハードコート剤との密着性の良い下引き層のコートが好ましい。
光線吸収層を設けたポリエステルフィルムからなる光学フィルターは上記のような使われ方があり、本発明のポリエステルフィルムの両面に塗膜を設層することが多く、各面に設けられる機能性の塗膜に最適な、下引き層を設けることが好ましい。
かかる下引き層には、帯電防止性能があることがより好ましく、帯電防止剤を含有させることもできる。代表的な帯電防止剤としては、スルホン酸金属塩やカチオン系帯電防止剤がある。
スルホン酸金属塩としては、アルキルスルホン酸金属塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルスルホイソフタル酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩を挙げることができる。 金属塩の金属としては、リチウム、カリウム、ナトリウムが良い。
カチオン系帯電防止剤としては、例えば、4級アンモニウム塩基を有する化合物がある。これは、分子中の主鎖や側鎖に、4級アンモニウム塩基を含む構成要素を持つ化合物を指す。そのような構成要素としては例えば、ピロリジウム環、アルキルアミンの4級化物、さらにこれらをアクリル酸やメタクリル酸と共重合したもの、N−アルキルアミノアクリルアミドの4級化物、ビニルベンジルトリメチルアンモニウム塩、2−ヒドロキシ3−メタクリルオキシプロピルトリメチルアンモニウム塩等を挙げることができる。さらに、これらを組み合わせて、あるいは他の樹脂と共重合させても構わない。また、これらの4級アンモニウム塩の対イオンとなるアニオンとしては例えば、ハロゲン、アルキルサルフェート、アルキルスルホネート、硝酸等のイオンが挙げられる。
特に、4級アンモニウム塩基を有する化合物は高分子化合物が良く、数平均分子量が、通常は1000以上、さらには2000以上、特に5000以上、500000以下であることが望ましい。分子量が低すぎる場合は、帯電防止剤がブリードアウトし、接触する面に転移するトラブルを発生させる。分子量が高すぎる場合は、塗布液の粘度が高くなりすぎ、塗布性が悪くなるトラブルが発生する。
かかる下引き層の厚さは乾燥厚さで、通常0.003〜1.5μm、好ましくは0.005〜0.5μmの範囲である。厚さが薄いと接着性を発揮できないことがあり、厚いとポリエステルフィルム同士のブロキングが生じやすくなる傾向がある。
ポリエステルフィルムにコート液をコートする方法としては、例えば、原崎勇次著、槙書店、1979年発行、「コーティング方式」に示されるような塗布技術を用いることができる。具体的には、エアドクターコーター、ブレードコーター、ロッドコーター、ナイフコーター、スクイズコーター、含浸コーター、リバースロールコーター、トランスファロールコーター、グラビアコーター、キスロールコーター、キャストコーター、スプレイコーター、カーテンコーター、カレンダコーター、押出コーター、バーコーター等のような技術が挙げられる。
本発明によれば、プラズマディスプレイ等に使われる光学フィルター用に耐光性の高い光線吸収フィルムを提供することができ、その工業的価値は高い。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例および比較例における評価方法やサンプルの処理方法は下記のとおりである。また、実施例および比較例中の「部」は「重量部」を示す。
(1)ポリマーの極限粘度[η](dl/g)の測定方法
ポリマー1gをフェノール/テトラクロロエタン=50/50(重量比)の混合溶媒100ml中に溶解させ、ウベローデ型粘度計にて30℃で測定した。
(2)フィルム厚みの測定方法
フィルムを10枚重ねてマイクロメータ法にて厚さを測定し10で除して平均値を求めフィルム厚みとした。
(3)積層ポリエステル層の厚みの測定方法
フィルム小片をエポキシ樹脂にて固定成形した後、ミクロトームで切断し、フィルムの断面を透過型電子顕微鏡写真にて観察した。その断面のうちフィルム表面とほぼ平行に2本、明暗によって界面が観察される。その2本の界面とフィルム表面までの距離を10枚の写真から測定し、平均値を積層厚さとした。
(4)ヘーズの測定方法
JIS K7105に準じ、日本電色工業社製積分球式濁度計NDH−20Dによりフィルムのヘーズを測定した。
(5)380nmの光線透過率の測定方法
島津製作所社製 分光光度計UV3100により、スキャン速度を低速、サンプリングピッチを2nm、波長300〜700nm領域で連続的に光線透過率を測定し、380nm波長での光線透過率を検出した。
(6)色調b値の測定方法
分光式測色計SE−2000(日本電色株式会社製)にて、C光源、2度視野にて、透過法、1枚でのサンプルの色調(L,a,b)を測定し、b値にて黄味の程度を評価した。
(7)光線吸収層の接着性の評価方法
ジイモニウム系化合物(日本カーリット社製 CIR−1081)12部とアクリル樹脂(三菱レイヨン社製 ダイヤナールBR−80)200部とを、MEK500部とトルエン500部の混合溶媒へ溶解し、コート液を調整した。乾燥後の厚みが6μmとなる様に、ポリエステルフィルムの表面にバーコーターにてこの調整液をコートし、その後乾燥して、光線吸収フィルムを得た。このようにして得た光線吸収層にニチバン(株)製セロテープ(登録商標)(18mm巾)を気泡の入らぬように7cmの長さに貼り、この上を3kgの手動式荷重ロールで一定の荷重を与えた。フィルムを固定し、当該セロテープ(登録商標)の一端を500gの錘に接続し、錘が45cmの距離を自然落下後に、180°方向の剥離試験が開始する方法で評価した。
(8)光線吸収層の耐光性の評価方法
(7)項に記載の方法にて得た光線吸収フィルムのポリエステルフィルム側から、キセノンランプにて、0.35W/mの紫外線を400時間照射し、1000nmの光線吸収量の変化量(100X(400時間後の吸収量/照射前の吸収量)%)にて評価した。
実施例および比較例にて使うポリエステル原料は次の方法にて製造した。
なお、これら原料は、重合時に異物の発生や混入のないように、最適な触媒と重合手段を採用した。
<ポリエステル1>
通常の溶融宿重合法にて、実質的に粒子を含有しない、極限粘度0.66のポリエステル1を製造した。
<ポリエステル2>
通常の溶融宿重合法にて、粒径0.37μmの有機粒子を0.03部含有する、極限粘度0.66のポリエステル2を製造した。
<ポリエステル3>
通常の溶融宿重合法にて、平均粒径2.5μmの非晶質シリカを 0.12部含有する、極限粘度0.66のポリエステルチップを得た。
<ポリエステル4>
ポリエステル1をベント付き二軸押出機に供して、紫外線吸収剤として2,2−(1,4−フェニレン)ビス[4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン](CYTEC社製 CYASORB UV−3638 分子量 369 ベンゾオキサジン系)を10重量%濃度となるように供給して溶融混練りしてチップ化を行い、紫外線吸収剤マスターバッチポリエステルを製造した。得られたポリエステル4の極限粘度は、0.59であった。
<ポリエステル5>
ポリエステル1をベント付き二軸押出機に供して、紫外線吸収剤としてビス(5−ベンゾイル−4−ヒドロキシ−2−メトキシフェニル)メタン(旭電化工業(株)社製 アデカスタブLA−51 分子量469 ベンゾフェノン系)を20重量%濃度となるように供給して溶融混練りしてチップ化を行い、紫外線吸収剤マスターバッチポリエステル5を作成した。得られたポリエステル5の極限粘度は、0.59であった。
これらのポリエステルチップは、十分に乾燥し、水分を50ppm以下にしてから使用した。
実施例および比較例で使用した下引き層のコート液の調整は、以下のとおりである。
<コート液(1)>
ポリウレタン系樹脂(「ハイドランAP−40」)65部とポリエステル系樹脂(「ファインテックスES−670」)30部とコロイダルシリカ(日産化学工業(株)製「スノーテックスYL」)5部とからなる 8% の水分散液を調整した。
(比較例1)
ポリエステル1とポリエステル2とをそれぞれ別の押出機にて溶融させて、異物を除去すべく最精細なフィルムターで濾過した後、積層ダイへ導き、ポリエステル2(A層)/ポリエステル1(B層)/ポリエステル2(A層)の構成の2種3層積層ポリエステル樹脂を得、次いで、冷却したドラム上に溶融押し出して無定型シートを得た。次いでフィルム温度82℃にて縦に3.4倍延伸して縦一軸延伸フィルムを得た。このフィルムの片面にコート液(1)をグラビアコーターにてコートし、120℃の雰囲気で横に3.6倍延伸し、次いで225℃にて熱処理して厚み100μmの2軸延伸ポリエステルフィルムを得た。A層/B層/A層の厚み構成は、5μm/90μm/5μmであった。得られたポリエステルフィルムのフィルムヘーズは0.7%、380nmの光線透過率は78%、b値は0.6であった。また、光線吸収層の接着性を評価したところ、全く剥離が認められなかった。
ポリエステル1とポリエステル4をそれぞれ90%、10%の割合で混合した混合原料をポリエステル6とし、ポリエステル6とポリエステル2とをそれぞれ別の押出機にて溶融させて、異物を除去すべく最精細なフィルムターで濾過した後、積層ダイへ導き、ポリエステル2(A層)/ポリエステル6(B層)/ポリエステル2(A層)の構成の2種3層積層ポリエステル樹脂を得、次いで、冷却したドラム上に溶融押し出して無定型シートを得た。次いでフィルム温度82℃にて縦に3.4倍延伸して縦一軸延伸フィルムを得た。 このフィルムの片面にコート液(1)をグラビアコーターにてコートし、120℃の雰囲気で横に3.6倍延伸し、次いで225℃にて熱処理して厚み100μmの2軸延伸ポリエステルフィルムを得た。A層/B層/A層の厚み構成は、5μm/90μm/5μmであった。得られたポリエステルフィルムのフィルムヘーズは0.7%、380nmの光線透過率は0.5%、b値は0.6であった。また、光線吸収層の接着性を評価したところ、全く剥離が認められなかった。
ポリエステル1とポリエステル5をそれぞれ70%、30%の割合で混合した混合原料をポリエステル7とし、ポリエステル7とポリエステル3を用いて実施例1と同様な方法で厚さ100μmの2軸延伸ポリエステルフィルムを得た。ポリエステル3(A層)/ポリエステル7(B層)/ポリエステル3(A層)の厚み構成は、5μm/90μm/5μmであった。得られたポリエステルフィルムのフィルムヘーズは4.0%、380nmの光線透過率は0.5%、b値は2.0であった。また、光線吸収層の接着性を評価したところ、全く剥離が認められなかった。
実施例1、実施例2および比較例1の下引きコート面上に光線吸収層を設けた。光線吸収層の接着性の評価結果は、ともに、光線吸収層の剥離はなく、極めて良好だった。耐光性の評価結果では、実施例1、実施例2では98%だったが、比較例1は90%以下で、本発明の効果が十分に確認された。
(参考例1)
実施例1にて片面にコートしないで、紫外線吸収ポリエステルフィルムを得た。このものに直接、吸収層を設けたフィルムの耐光性は実施例1と同様良好であったが、接着性の評価では、光線吸収層が全て、ポリエステルフィルムから剥離した。
本発明のフィルムは、例えば、光学フィルター用の光線吸収フィルムとして好適に利用することができる。

Claims (1)

  1. 少なくとも片面に光線吸収層を設けることにより、光学フィルターの光線吸収フィルムとして使用されるポリエステルフィルムであり、当該ポリエステルフィルムのフィルムヘーズが5.0%以下であり、波長380nmの光線透過率が20.0%以下であることを特徴とする光線吸収フィルム用ポリエステルフィルム。
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