JP2008058745A - 反射防止フィルム用積層ポリエステルフィルム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 少なくとも3層からなる積層ポリエステルフィルムであって、内層に光線吸収剤を含有し、光線波長440〜460nm、480〜500nm、520〜540nm、560〜580nm、および610〜630nmにおける光線透過率の各平均値が、下記式(1)〜(6)を同時に満足することを特徴とする反射防止フィルム用積層ポリエステルフィルム。
T440−460−T480−500≧3% …(1)
T440−460−T560−580≧3% …(2)
T520−540−T480−500≧3% …(3)
T520−540−T560−580≧3% …(4)
T610−630−T480−500≧3% …(5)
T610−630−T560−580≧3% …(6)
【選択図】 なし
Description
T440−460−T480−500≧3% …(1)
T440−460−T560−580≧3% …(2)
T520−540−T480−500≧3% …(3)
T520−540−T560−580≧3% …(4)
T610−630−T480−500≧3% …(5)
T610−630−T560−580≧3% …(6)
本発明でいう積層ポリエステルフィルムとは、全ての層が口金から共溶融押出される共押出法により押し出されたものを延伸後、必要に応じて熱固定したものを指す。以下、積層ポリエステルフィルムとして3層構造のフィルムについて説明するが、本発明の積層ポリエステルフィルムはその目的を満たす限り、3層ポリエステルフィルムに限定されるものではなく、3層以上の多層であってもよい。
T440−460−T480−500≧3% …(1)
T440−460−T560−580≧3% …(2)
T520−540−T480−500≧3% …(3)
T520−540−T560−580≧3% …(4)
T610−630−T480−500≧3% …(5)
T610−630−T560−580≧3% …(6)
|T440−460−T520−540|≦10% …(7)
|T440−460−T610−630|≦10% …(8)
|T520−540−T610−630|≦10% …(9)
ポリマー1gをフェノール/テトラクロロエタン=1/1(重量比)の混合溶媒100mlに溶解させ、30℃で測定した。
フィルム小片をエポキシ樹脂にて固定成形した後、ミクロトームで切断し、フィルムの断面を光学顕微鏡写真にて観察した。その断面のうちフィルム表面とほぼ平行に2本の界面が観察される。その2本の界面とフィルム表面までの距離を10枚の写真から測定し、平均値の積層厚さとした。
島津製作所社製遠心沈降式粒度分布測定装置SA−CP3型を用いてストークスの抵抗則に基づく沈降法によって粒子の大きさを測定した。測定により得られた粒子の等価球形分布における積算(体積基準)50%の値を用いて平均粒径とした。
分光光度計((島津製作所社製UV3100PC)により、ハロゲンランプ光源を用いてスキャン速度を低速、サンプリングピッチを1nm、光線波長350〜800nm領域で連続的に光線透過率を測定し、その測定結果より光線波長380nmにおける光線透過率(Tuv)を読み取った。また、光線波長440nm〜460nm、480nm〜500nm、520nm〜540nm、560nm〜580nm、610nm〜630nmにおける光線透過率の各平均値(それぞれT440−460、T480−500、T520−540、T560−580、T610−630)については算術平均にて上述の測定結果より算出した。
JIS−K−7105に準じて日本電色工業社製積分球式濁度計「NDH−300A」により、フィルムヘーズを測定した。
フィルムを100mm×100mmの小片10枚に切り出し、塗布量を測定する面をメチルエチルケトン/トルエン=1/1の混合有機溶剤を染み込ませた布で拭き取り、拭き取り前後の重量差から平方メートル当たりに換算し、塗布量(g/m2)を算出した。
アクリル系ハードコード剤「紫光(日本合成化学工業社製)」をトルエンとメチルエチルケトンの混合溶媒で希釈し、これを硬化後の厚みで3μmとなるようにリバースグラビア方式で塗工した。次に110℃1分間乾燥して溶剤を除去した後、高圧水銀灯により出力120W/cm、照射距離15cm、ライン速度10m/分の条件で紫外線硬化させ、活性エネルギー線硬化樹脂層を形成した。硬化直後、当該層に1インチ幅に碁盤目が100個になるようクロスカットをいれ、直ちに、同一箇所について、セロテープ(登録商標)による急速剥離テストを3回実施し、剥離面積により評価した。判定基準は以下のとおりである。
◎:碁盤目剥離個数=0
○:1≦碁盤目剥離個数≦20
×:21≦碁盤目剥離個数
活性エネルギー線硬化樹脂層の上に、パーフルオロブテニルビニルエーテルの重合体のパーフルオロ(2−ブチルテトラハイドロフラン)溶液を使用し、乾燥後の塗布厚さが100nmとなるようにマイクログラビア方式で塗工し、120℃で10分間乾燥し、反射防止層を積層した。得られた反射防止フィルムを3波長域発光形蛍光灯下で目視にて観察し、局所的な着色があるかどうかを評価した。判定基準は以下のとおりである。
○:反射色の局所的に着色がない
×:反射色の局所的な着色が確認できる
トルエンとメチルエチルケトンの混合溶媒で近赤外吸収色素「CIR−1085(日本カーリット社製)」と樹脂バインダー「オプトレッツOZ1100(日立化成工業社製)」を色素重量(対固形分濃度)6.2重量部となるように配合し、これを反射防止層を設置した反対面に乾燥後の厚みで6μmとなるようにマイクログラビア方式で塗工、乾燥させ近赤外線吸収層を形成した。このフィルムを、スガ試験機製紫外線ロングライフフェードメーター(FAL−3型)を使用し、63±3℃で500時間反射防止層側から紫外線を照射した。紫外線照射前後で、サンプルの光線波長1100nmの光線透過率の差(ΔT1100)を用いて行った。該ΔT1100の値が小さいほど近赤外吸収色素の劣化が少なく、耐光性が良好であることを示す。光線波長1100nmの光線透過率の測定には、島津製作所社製UV3100PCを使用した。耐光性の判断基準は以下のとおりである。
○:ΔT1100≦1.0
×:1.0<ΔT1100
フィルムの片面に反射防止層を塗設し、その反対面に近赤外吸収層を塗設し、反射防止/近赤外吸収複合フィルムを作成した。このフィルムの近赤外吸収層側に電磁波シールドメッシュ(線幅10μm、線ピッチ250μm)、半強化ガラスをこの順で貼り合わせ光学フィルターとした。この光学フィルターを市販の光学フィルターを取り外したプラズマディスプレイパネル(日立製作所社製 W42−P5000)の前面に設置し、ディスプレイの半分は黒色を表示し、残りの半分は白色を表示して、その界面のコントラスト差をハロゲンランプ照射下で視感評価した。明所コントラストの判断基準は以下のとおりである。
A:白色表示部と黒色表示部のコントラストが高く、視認性に優れる
B:白色表示部と黒色表示部のコントラストが十分にあり、画像を視認するのに問題のないレベルである
C:白色表示部と黒色表示部のコントラストが十分でなく、視認性悪い
反射防止層と近赤外吸収層を形成した複合フィルムに電磁波シールドメッシュ、半強化ガラスを貼り合わせ作成した光学フィルターを市販の光学フィルターを取り外したプラズマディスプレイパネル(日立製作所製 W42−P5000)の前面に設置し、環境光を完全に遮断した暗室内にて、ディスプレイ全面に白色を表示して、その白の色目が特定の色に着色がかっているか否か(色バランス)を視感評価した。明所コントラストの判断基準は以下のとおりである。
W:白色表示部分は無彩色であり、着色がかっていない
R:白色表示部分は赤色がかっている
G:白色表示部分は緑色がかっている
B:白色表示部分は青色がかっている
〈ポリエステルの製造〉
<ポリエステル(A)の製造方法>
テレフタル酸ジメチル100重量部とエチレングリコール60重量部とを出発原料とし、触媒としてテトラブチルチタネート0.011重量部を反応器にとり、反応開始温度を150℃とし、メタノールの留去とともに徐々に反応温度を上昇させ、3時間後に230℃とした。4時間後、実質的にエステル交換反応を終了させた後、4時間重縮合反応を行った。すなわち、温度を230℃から徐々に昇温し280℃とした。一方、圧力は常圧より徐々に減じ、最終的には0.3mmHgとした。反応開始後、反応槽の攪拌動力の変化により、極限粘度0.63に相当する時点で反応を停止し、窒素加圧下ポリマーを吐出させた。得られたポリエステル(A)の極限粘度は0.63であった。
ポリエステル(A)を、予め160℃で予備結晶化させた後、温度220℃の窒素雰囲気下で固相重合し、極限粘度0.75のポリエステル(B)を得た。
ポリエステル(A)の製造方法において、エチレングリコールに分散させた平均粒子径1.6μmのシリカ粒子を0.2部加えて、極限粘度0.65に相当する時点で重縮合反応を停止した以外は、ポリエステル(A)の製造方法と同様の方法を用いてポリエステル(C)を得た。得られたポリエステル(C)は、極限粘度0.65であった。
ポリエステル(A)をベント付き二軸押出機に供して、紫外線吸収剤として2,2−(1,4−フェニレン)ビス[4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン]を10重量%濃度となるように供給して溶融混練りしてチップ化を行い、紫外線吸収剤マスターバッチポリエステル(D)を作成した。得られたポリエステル(D)の極限粘度は、0.59であった。
ポリエステル(A)をベント付き二軸押出機に供して、チバ・スペシャリティケミカルズ社製 ORASOL Blue GN 4.0重量%、同Red G 2.1重量%、三菱化学社製ダイアレジン レッドA 2.5重量%、同レッドS 1.4重量%の各濃度となるように供給して溶融混練りしてチップ化を行い、染料マスターバッチポリエステル(E)を作成した。得られたポリエステル(E)の極限粘度は、0.60であった。
ポリエステル(A)をベント付き二軸押出機に供して、チバ・スペシャリティケミカルズ社製 ORASOL Blue GN 4.2重量%、同Red G 2.1重量%、三菱化学社製ダイアレジン レッドA 1.4重量%、同レッドS 2.4重量%の各濃度となるように供給して溶融混練りしてチップ化を行い、染料マスターバッチポリエステル(E)を作成した。得られたポリエステル(E)の極限粘度は、0.60であった。
ポリエステル(A)をベント付き二軸押出機に供して、チバ・スペシャリティケミカルズ社製 ORASOL Blue GN 3.2重量%、同Red G 2.9重量%、三菱化学社製ダイアレジン レッドA 1.4重量%、同レッドS 2.5重量%の各濃度となるように供給して溶融混練りしてチップ化を行い、染料マスターバッチポリエステル(E)を作成した。得られたポリエステル(E)の極限粘度は、0.60であった。
ポリエステル(A)をベント付き二軸押出機に供して、三菱化学社製ダイアレジンレッドS 2.0重量%、同ヴァイオレッドD 1.3重量%、同ブルーH3G 4.4重量%、および同イエローF 2.3重量%の各濃度となるように供給して溶融混練りしてチップ化を行い、染料マスターバッチポリエステル(E)を作成した。得られたポリエステル(E)の極限粘度は、0.60であった。
<塗布液中の各水性塗料の固形分比>
水性塗料a/水性塗料b/水性塗料c/水性塗料d=47/20/30/3
下記組成で共重合したポリエステル樹脂の水分散体
モノマー組成:(酸成分)テレフタル酸/イソフタル酸/5−ソジウムスルホイソフタル酸//(ジオール成分)エチレングリコール/1,4−ブタンジオール/ジエチレングリコール=56/40/4//70/20/10(mol%)
メチルメタクリレート/エチルアクリレート/アクリロニトリル/N−メチロールメタアクリルアミド=45/45/5/5(モル比)の乳化重合体(乳化剤:アニオン系界面活性剤)
ヘキサメトキシメチルメラミン
平均粒径65nmのシリカゾル
前述のポリエステル(B)、(C)をそれぞれ92.0%、8.0%の割合で混合した混合原料をA層の原料とし、ポリエステル(A)、(D)、(E)をそれぞれ90.5%、8.0%、1.5%の割合で混合した混合原料をB層の原料として、2台のベント式二軸押出機に各々を供給し、それぞれ285℃で溶融し、A層を最外層(表層)、B層を中間層とする2種3層(A/B/A)の層構成で共押出して口金から押出し静電印加密着法を用いて表面温度を40℃に設定した冷却ロール上で冷却固化して未延伸シートを得た。次いで、ロール周速差を利用してフィルム温度81℃で縦方向に3.4倍延伸した後、塗布液を塗布し、テンターに導き、横方向に120℃で4.0倍延伸し、225℃で熱処理を行った後、140℃での冷却ゾーンを経て、横方向に2%弛緩し、厚さ100μmの積層ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの各層の厚みは、5/90/5μmであった。塗布層の塗布量は0.0077g/m2であった。
実施例1において、B層の原料を、ポリエステル(A)、(D)、(E)をそれぞれ89.0%、8.0%、3.0%で混合した混合原料とした以外は、実施例1と同様にして厚み100μmのポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの各層の厚みは、5/90/5μmであった。塗布層の塗布量は0.0081g/m2であった。
実施例1において、B層の原料を、ポリエステル(A)、(D)、(F)をそれぞれ90.5%、8.0%、1.5%で混合した混合原料とした以外は、実施例1と同様にして厚み100μmのポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの各層の厚みは、5/90/5μmであった。塗布層の塗布量は0.0082g/m2であった。
実施例1において、B層の原料を、ポリエステル(A)、(D)、(G)をそれぞれ90.5%、8.0%、1.5%で混合した混合原料とした以外は、実施例1と同様にして厚み100μmのポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの各層の厚みは、5/90/5μmであった。塗布層の塗布量は0.0080g/m2であった。
実施例1において、塗布液の塗布量を乾燥後の塗布量で0.0004g/m2となるよう塗布した以外は、実施例1と同様にして厚み100μmのポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの各層の厚みは、5/90/5μmであった。塗布層の塗布量は0.0003g/m2であった。
実施例1において、塗布液の塗布量を乾燥後の塗布量で0.08g/m2となるよう塗布した以外は、実施例1と同様にして厚み100μmのポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの各層の厚みは、5/90/5μmであった。塗布層の塗布量は0.0821g/m2であった。
実施例1において、B層の原料を、ポリエステル(A)、(D)、(E)をそれぞれ95.7%、2.8%、1.5%で混合した混合原料とした以外は、実施例1と同様にして厚み100μmのポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの各層の厚みは、5/90/5μmであった。塗布層の塗布量は0.0078g/m2であった。
実施例1において、B層の原料を、ポリエステル(A)、(D)、(H)をそれぞれ89.4%、8.0%、2.6%で混合した混合原料とした以外は、実施例1と同様にして厚み100μmのポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの各層の厚みは、5/90/5μmであった。塗布層の塗布量は0.0081g/m2であった。
実施例1において、B層の原料を、ポリエステル(A)、(D)、(H)をそれぞれ86.8%、8.0%、5.2%で混合した混合原料とした以外は、実施例1と同様にして厚み100μmのポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの各層の厚みは、5/90/5μmであった。塗布層の塗布量は0.0083g/m2であった。
ポリエステル(A)、(C)、(E)をそれぞれ91.0%、8.0%、1.0%の割合で混合した混合原料を用いて、1台のベント式二軸押出機に供給して溶融押出しし、延伸および熱処理の条件は実施例1と同様にして厚み100μmの単層のフィルムを得た。得られたフィルムは厚みが100μmであり、フィルム表面に光線吸収剤が析出したフィルムであった。このため塗布層の塗布量および特性は正確に測定することができなかった。また本フィルム生産後に生産ラインの光線吸収剤による汚染が確認された。
Claims (4)
- 少なくとも3層からなる積層ポリエステルフィルムであって、内層に光線吸収剤を含有し、光線波長440〜460nm、480〜500nm、520〜540nm、560〜580nm、および610〜630nmにおける光線透過率の各平均値(それぞれT440−460、T480−500、T520−540、T560−580、T610−630)が、下記式(1)〜(6)を同時に満足することを特徴とする反射防止フィルム用積層ポリエステルフィルム。
T440−460−T480−500≧3% …(1)
T440−460−T560−580≧3% …(2)
T520−540−T480−500≧3% …(3)
T520−540−T560−580≧3% …(4)
T610−630−T480−500≧3% …(5)
T610−630−T560−580≧3% …(6) - 下記式(7)〜(9)を同時に満足することを特徴とする請求項1に記載の反射防止フィルム用積層ポリエステルフィルム。
|T440−460−T520−540|≦10% …(7)
|T440−460−T610−630|≦10% …(8)
|T520−540−T610−630|≦10% …(9) - 少なくとも片面に当該フィルムの製造工程内で設けられた、塗布量が0.001〜0.05g/m2の塗布層を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の反射防止フィルム用積層ポリエステルフィルム。
- 内層に紫外線吸収剤を含有し、380nmにおける光線透過率(Tuv)が5.0%以下であることを特徴とする請求項1または請求項2または請求項3に記載の反射防止フィルム用積層ポリエステルフィルム。
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