JP2005318827A - セリンの回収方法 - Google Patents

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根 恒 夫 山
Yugo Iwasaki
崎 雄 吾 岩
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橋 菜見子 高
Takanari Yamamoto
本 隆 也 山
Takahiro Okada
田 孝 宏 岡
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Abstract

【課題】 ホスホリパーゼDを用いたホスファチジル基転移反応によりホスファチジルセリンを合成した後、特に、未反応のセリンを回収して再利用するにあたり、合成阻害物質を効率的に除くことのできる簡便なセリン回収方法を提供する。
【解決手段】 ホスホリパーゼDを用いたホスファチジル基転移反応によるホスファチジルセリン合成を行った後に、反応系から未反応のセリンを回収する方法であって、反応液からホスファチジルセリンを除去した未反応セリンを含む水溶性画分に、極性有機溶媒または極性有機溶媒と水との混合液を添加し洗浄して、セリンを得ることを特徴とする、セリンの回収方法。
ホスホリパーゼDを用いたホスファチジル基転移反応によるホスファチジルセリン合成を、有機溶媒を使用しない水系で行うことを特徴とする上記の方法。
ホスホリパーゼDを用いたホスファチジル基転移反応によるホスファチジルセリン合成を、有機溶媒と水を使用した二相系で行うことを特徴とする上記の方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は、ホスホリパーゼDを用いたホスファチジル基転移反応によりホスファチジルセリンを合成することにおいて、反応後に反応系から未反応のセリンを回収する方法に関するものである。本発明により回収されたセリンは、特に、ホスファチジルセリン合成反応において再使用するのに使用される。
ホスファチジルセリンは、有用な物性や生理作用を有している天然に存在するリン脂質の一種である。
ホスファチジルセリンはリポソームの原料として、また最近では、痴呆の予防や治療など脳機能改善のための素材として使用されている。
ホスファチジルセリンの製造方法としては、近年ではホスホリパーゼDを使用した合成法が簡便であるとして一般的に用いられている。このホスホリパーゼDを用いるホスファチジルセリンの合成は、主には有機溶媒と水を使用する二相系で行う方法や、有機溶媒を使用せずに水系で反応を行う方法が知られている。
ホスファチジルセリンをこれらの方法で合成しようとした場合、受容体であるセリンは過剰量を反応系内に存在させることが必要であり、反応終了後は未反応のセリンが反応系内に残存する。セリンは非常に高価であり、工業的にホスファチジルセリンを合成しようとする際は、この未反応セリンを回収して再使用することは非常に重要なことである。
ただ単に未反応のセリンを回収して再使用するだけでは、後記実施例中の比較例でも明らかなように、ホスファチジルセリンの合成率は徐々に低下してしまう。またそればかりか、目的としない副反応が進行しやすくなるという問題点がある。繰返し反応において、ホスファチジルセリンの合成率が徐々に低下していくことについてはジュネジャらも報告している(Juneja,L.R.et.al.,Biochim.Biophys.Acta 1003,277-283 (1989))。この中では、ジエチルエーテルを用いた二相系で反応を行い、反応後に固定化酵素を回収、再使用して繰返し反応を行っている。しかし、回を追う毎にホスファチジルセリンの合成能は低下してしまう結果となっている。
また、反応後の固定化酵素を回収、再使用して繰返し反応を行った際に反応率が低下する原因としては、副生成物であるコリンが反応を阻害しているためとしている(Juneja,L.R.et.al.,J.Ferment.Bioeng.,73,357-361 (1992))。その報告の中では、コリンオキシダーゼおよびカタラーゼを添加し、コリンを分解することによりホスファチジルセリン合成率を回復させたことでその証明をしている。しかし、コリンオキシダーゼやカタラーゼ等の酵素は試薬レベルのものであり、この方法を工業レベルで実施することは現実的ではない。
未反応セリンを回収、再使用して繰返し反応を行う場合についても何らかの方法で阻害物質を除去しなければならないが、未反応セリンを再使用するための精製法がいくつか開示されている。
特開平9-173092号公報においては、1回目の反応後の反応液からコリン塩等を含まない水溶液の形でL−セリンを精製、回収する方法として、反応後の水層をデカライトで濾過し、活性炭処理、アルカリ添加を経て電気透析する方法を開示している。この方法で濃縮したL−セリンを用いて2回目の反応を行い、1回目と同様の結果を得ている。また別法として、イオン交換樹脂で処理する方法を開示している。この方法の問題点として、電気透析は装置が高価であり、溶液中のイオン濃度が高くなると、電力すなわちエネルギーの消費が大きくなる。また、イオン交換樹脂で処理する方法については酸、アルカリによるイオン交換樹脂の再生処理が必要であり、またそれに伴う排水処理の負担が必要となる。
特開2002-253288号公報では、反応後のL−セリンを含む水溶液を晶析操作により未反応のL−セリンを回収している。この方法を工業的に行うには、装置が大きくなること、水溶液の濃度調整、温度管理が必要であること、長時間を要する点等で負担が大きくなる。
特開平9-173092号公報 特開2002-253288号公報 Juneja,L.R.et.al.,Biochim.Biophys.Acta 1003,277-283 (1989) Juneja,L.R.et.al.,J.Ferment.Bioeng.,73,357-361 (1992)
本発明は、上述したような問題点の解決を図るものであり、特に、未反応のセリンを回収して再使用するにあたり、簡便で負担の少ない方法で反応もしくは合成阻害物質を効率的に除去してセリンを回収する方法を提供するものである。
本発明者等は、ホスホリパーゼDによるホスファチジル基転移反応を行った後、未反応のセリンを含む画分に、極性有機溶媒または極性有機溶媒と水との混合液を添加して反応阻害物質を溶解させ、セリンを沈殿として回収することにより、上記課題が解決されることを見出し、この知見を基に本発明を完成させるに至った。このような本発明は、阻害物質であるコリンは極性有機溶媒に溶解しやすく、他方、セリンは極性有機溶媒に溶解し難く沈殿するという性質の事実に着目し、これを利用することにより実現できたものと考えられる。
すなわち、本発明は、下記の構成を要旨とするセリンの回収方法に関するものである。
(1)ホスホリパーゼDを用いたホスファチジル基転移反応によるホスファチジルセリン合成を行った後に、反応系から未反応のセリンを回収する方法であって、反応液からホスファチジルセリンを除去した未反応セリンを含む水溶性画分に、極性有機溶媒または極性有機溶媒と水との混合液を添加し洗浄して、セリンを得ることを特徴とする、セリンの回収方法。
(2)ホスホリパーゼDを用いたホスファチジル基転移反応によるホスファチジルセリン合成を、有機溶媒を使用しない水系で行うことを特徴とする、上記(1)に記載のセリンの回収方法。
(3)ホスホリパーゼDを用いたホスファチジル基転移反応によるホスファチジルセリン合成を、有機溶媒と水を使用した二相系で行うことを特徴とする、上記(1)に記載のセリンの回収方法。
(4)洗浄に用いる極性有機溶媒がエタノール、アセトンまたはそれらの混合物である、上記(1)〜(3)のいずれかに記載のセリンの回収方法。
本発明の方法で洗浄して回収されたセリンは、反応阻害物質が除去されているため、単にセリンを含む画分を回収して再使用する場合と異なり、ホスファチジルセリン合成率を殆ど低下させることなく再使用できる。また、場合によっては(例えば有機溶媒と水の二相系による反応)、単にセリンを含む画分を回収して再使用した際は競合する加水分解反応(副反応としてのホスファチジン酸の生成)が進行しやすくなるが、本発明の方法によりそれを抑制することができる。
さらに、本発明の方法は、従来技術の電気透析、イオン交換処理、晶析等の方法に比べて簡便な方法で負担が少ない方法であり、また、阻害物質の洗浄・除去に使用した極性有機溶媒は回収して再使用することも可能である。
本願発明によるセリンの回収方法は、上記のように、ホスホリパーゼDを用いたホスファチジル基転移反応によるホスファチジルセリン合成を行った後に、反応系から未反応のセリンを回収する方法であって、反応液からホスファチジルセリンを除去した未反応セリンを含む水溶性画分に、極性有機溶媒または極性有機溶媒と水との混合液を添加し洗浄して、セリンを得ることを特徴とするものであることは前記したとことであり、基本的には、ホスファチジルセリン合成反応を、有機溶媒を使用しない水系で行う場合、有機溶媒と水を使用した二相系で行う場合、あるいは有機溶媒のみで行う場合がありうる。
本発明において、ホスファチジルセリン合成は、ホスホリパーゼDを用いた塩基交換によるホスファチジルセリン合成であればすべてのものが包含される。ホスファチジルセリン合成には、原料リン脂質、セリン(D体またはL体)、ホスホリパーゼDが主な原料であるが、それぞれ種々のグレードのものを使用することができ、必要に応じて乳化剤や緩衝液、無機塩等を使用することもある。
原料リン脂質としては動物、植物、海産物等の天然物から抽出したもの、合成品等、ホスホリパーゼDの基質となり得るものはすべて本発明に使用できる。また、未精製(リン脂質以外の成分を含む)のもの、部分精製したもの、精製したもの何れも使用することができる。求めるホスファチジルセリンの純度を考慮して、原料の精製度を適宜決定すればよい。他のリン脂質と比較してホスファチジルコリンとホスファチジルエタノールアミンが特に効果的な基質であり、例えば、大豆レシチンや卵黄レシチンが実用的なものとしてあげられ市販もされている。
本発明に使用する酵素としては、ホスファチジル基転移活性を有するものであれば何れのものも使用できる。微生物由来のホスホリパーゼDとしては公知のものすべてが使用できるが、ストレプトマイセス・プルニカラー(Streptomyces prunicolor)、ストレプトマイセス・アンチバイオティカス(Streptomyces antibioticus)等のストレプトマイセス(Streptomyces)属、ストレプトバーチシリウム・シナモメウム(Streptoverticillium cinnamomeum)、ストレプトバーチシリウム・グリゼオカルネウム(Streptoverticillium griseocarneum)等のストレプトバーチシリウム(Streptoverticillium)属、アクチノマデューラ属(Actinomadura sp. Strain No.362等)、キタサトスポリア・クロモゲナ(Kitasatosporia chromogema)等のキタサトスポリア(Kitasatosporia)属由来のものが代表的な例である。またニンジン、キャベツ、ほうれん草等植物由来のホスホリパーゼDも使用することができる。これらのホスホリパーゼDは活性の高いものほどよいが、市販品はもちろんのこと粗酵素、部分精製品、精製品の何れの状態もものも使用することができる。
ホスファチジルセリン合成反応における受容体であるセリンとしては、L−セリンおよびD−セリン、あるいはラセミ体のいずれも使用することができるが、食品用途にはL−セリンを使用することが望ましい。
本発明におけるホスファチジルセリン合成反応は、従来公知のあるいは合目的的な任意の方法により行うことができ、原料リン脂質およびホスホリパーゼDは通常の担体に吸着させた固定形態あるいは遊離形態のいずれの形態で使用してもよい。従来公知の上記合成反応としては、前記のように、基本的に有機溶媒を使用しない水系、有機溶媒と水を使用した二相系、有機溶媒のみを使用した系が知られており、例えば特開2002-272493号公報、特開2000-333689号公報、米国出願公開20020155558号公報(水系)、特開平9-173092、Yamnne T. et al., Biochim Biophys. Acta. 1003, 277-283 (1989)、特開平2-79990号公報(二相系)等を参照することができる。
ホスファチジルセリン合成反応において、上記の反応原料の他、必要に応じて、例えば合成率を向上させる等の場合には、乳化剤(例えばドデシル硫酸ナトリウム等)、緩衝液(例えば酢酸緩衝液等)無機塩(例えば塩化カルシウム、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム等)などを使用することもある。
ホスファチジルセリン合成反応は、過剰のセリンおよび本反応に十分量のホスホリパーゼDを含有する水溶液にリン脂質(担体吸着形態または有機溶媒溶解形態)を懸濁させ、穏やかな攪拌下に維持することにより行うことができる。あるいは、リン脂質を吸着した担体を用いる場合はこれをカラム等に充填し、セリンおよびホスホリパーゼDを含有する水溶液を循環させる等の態様により行うこともできる。上記の合成反応は一般に0.5〜48時間、好ましくは1〜24時間行う。反応温度については酵素の至適温度であれば良いが、20〜50℃の範囲で行うことが好ましい。また、反応中の系のpHは4〜9に維持することが好ましい。
本発明においては、ホスファチジルセリン合成反応終了後、反応液から未反応のセリンを回収する。すなわち、前述のように、本願発明によるセリンの回収方法は、ホスホリパーゼDを用いたホスファチジル基転移反応によるホスファチジルセリン合成を行った後に、反応系から未反応のセリンを回収する方法であって、反応液からホスファチジルセリンを除去した未反応セリンを含む水溶性画分に、極性有機溶媒または極性有機溶媒と水との混合液を添加し洗浄して、セリンを得ることを特徴とするものであり、基本的には、ホスファチジルセリン合成反応を、有機溶媒を使用しない水系で行う場合、有機溶媒と水を使用した二相系で行う場合、あるいは有機溶媒のみで行う場合がありうるが、前者の二つの方法(水系、二相系)が一般的である。
有機溶媒(通常酢酸エチル、ジエチルエーテル等の非極性溶媒、あるいはヘキサン/アセトン等の極性/非極性溶媒の混合物)と水を使用する二相系で合成を行う場合において効率的にセリンを回収するには、生成物としてのホスファチジルセリンを含む有機溶媒層と未反応のセリンを含む水層を分離してその水層をそのままあるいは濃縮または乾燥し、極性有機溶媒または極性有機溶媒と水との混合液を添加し、洗浄(阻害物質の溶解・除去)すればよい。セリンを含む水層の分離は、遠心分離(通常3000g程度)、静置分離等により行うことができる。分離した水層の濃縮は加熱、エバポレーターを用いた減圧等により行うことができ、また水層の乾燥は、加熱、凍結乾燥、真空乾燥等により行うことができる。
有機溶媒を使用せず水性の均一系で合成を行う場合は、吸着(例えばシリカゲル、硫酸カルシウム)、沈降(例えば遠心分離(通常500〜3000g程度))などにより生成物であるホスファチジルセリンを分離し、セリンを含む水溶液(液状水溶性画分)をそのままあるいは上記と同様にして濃縮または乾燥し、極性有機溶媒または極性有機溶媒と水との混合液を添加し洗浄すればよい。
また、水を添加しない有機溶媒中で合成を行う場合には、濾過等で未反応セリンを含む画分を集めてそのままもしくは乾燥し、極性有機溶媒または極性有機溶媒と水との混合液を添加し洗浄すればよい。
使用する極性有機溶媒はエタノール、メタノール、アセトン等の極性溶媒あるいはこれらの混合物等が使用できるが、食品用途としてホスファチジルセリンを使用する場合であれば、エタノール、アセトンが好ましい。
本発明においては、セリンを含む水溶性画分(ホスファチジルセリンを除いた反応液、その濃縮液または乾燥物)を極性有機溶媒または極性有機溶媒と水との混合液(洗浄液ともいう)で洗浄することは必須であるが、水分濃度を管理する必要がある場合などは、この水溶性画分の乾燥物に対して極性有機溶媒、あるいは極性有機溶媒と水との混合液を使用することが好ましい。また、いずれの場合にも、複数の極性有機溶媒と水との混合液を使用することも可能である。なお、上記の洗浄工程において、水があまり多すぎると、セリンが洗浄液に溶解してしまい回収率が低くなるのでその点についての考慮が必要である。回収率を考慮すれば、極性有機溶媒に対する水の混合量は、好ましくは30容量%程度以下である。
洗浄に使用する有機溶媒または有機溶媒と水との混合液(洗浄液)の量は必要に応じて変更すればよいが、例えば、反応乾燥物(例えば凍結乾燥形態)の容量に対して4~10倍程度が好ましい。
洗浄工程の温度については、常温でも洗浄は可能であるが、加熱したほうが洗浄効率は良く、使用する洗浄液の温度として40〜60℃程度が好ましい。
洗浄工程において、極性有機溶媒または極性有機溶媒と水との混合液を添加した後、通常、十分な攪拌操作あるいはカラム洗浄等を行って水溶性画分を洗浄し、これを遠心分離(通常3000g程度)あるいは濾過等により、セリンを結晶もしくは沈殿(固体)の形態で回収することができる。回収したセリンは必要に応じて乾燥してもよい。
回収したセリンを再使用するにあたって留意する点としては、極性有機溶媒は、次回の反応に影響しなければ除去する必要はないが、影響がありうる場合(例えばアルコールを使用する場合)は乾燥(例えば真空乾燥)等によりこれを除去しておくことが望ましい。
また、実際的な方法として回収セリンを繰返し使用する場合には、新しいセリンを補充して同じスケールとして繰返してホスファチジルセリン合成を行えばよい。
以上のようにして、本発明の方法で洗浄・回収されたセリンは、反応阻害物質が除去されているため、単にセリンを含む画分を洗浄なしで回収して再使用する場合と異なり、ホスファチジルセリン合成率を殆ど低下させることなく再使用できる。また、場合によっては(例えば有機溶媒と水の二相系による反応)、単にセリンを含む画分を回収して再使用した際は競合する加水分解反応(副反応としてのホスファチジン酸の生成)が進行しやすくなるが、本発明の方法によりそれを抑制することができる。
なお、本明細書において%表示は、特に断りのない限り重量%を意味する。
[実施例1]本発明により洗浄・回収したL−セリンを使用した繰返し反応
<反応>
大豆レシチン(ツルーレシチン工業(株)SLP-PC55、ホスファチジルコリン66%)
3gを水9mL中で硫酸カルシウム360mgを添加し混合した。そこにL−セリン3.2g、1M酢酸バッファー(pH5.6)0.5mL、PLD水溶液0.5mL(30U/mL、Streptomyces antibioticus由来)を加え、40℃、24時間、振とうして反応させた。反応後は反応液0.1mLをとり、1N塩酸0.05mLを加え混合し、これにクロロホルム/メタノール(2/1)0.2mLを加え混合した後、クロロホルム層を回収した。このクロロホルム層のリン脂質を、クロロホルム/メタノール/酢酸(40/15/6)の展開溶媒で展開し、イヤトロスキャンで分析した。
<L−セリン回収>
反応後、反応液は遠心分離することにより(8000rpm、15min)、上清と沈澱を分離した。さらに沈澱に水20mLを加え混合した後、遠心分離することにより上清と沈澱を分離した。これらの上清をあわせ、そこにエタノール100mLを加えて攪拌後氷中で冷却後遠心分離して上清を除き、沈澱を真空乾燥してL−セリンを回収した。また、コリン量を以下のとおり測定した。
トリトンX-100(TritonX-100)1g、4-アミノピリジン100mg、フェノール50mgを200mLの10mMトリス塩酸バッファー(pH8)に溶解し、コリンオキシダーゼ200Uおよびペルオキシダーゼ200Uを加えたものを発色試薬としてその125μLと回収したL-セリンを水溶液としたもの50μLとを37℃20分間のインキュベーションし、500nmの吸光度を測定した。尚、検量線は塩化コリンで作成した。
<繰返し反応>
回収したL-セリンの量にあわせて反応系をスケールダウンして4回の繰返し反応を行った。
<結果>
Figure 2005318827
Figure 2005318827
[実施例2]本発明により洗浄・回収したL−セリンを使用した繰返し反応
<反応>
実施例1と同様に行った。
<L−セリン回収>
実施例1と同様に行った。
<繰返し反応>
回収したL−セリンをを使用し、不足分の量を新しいL−セリンで補って1回目の反応と同条件で反応を3回繰り返した。
<結果>
Figure 2005318827
Figure 2005318827
[比較例1]洗浄しない回収セリンを使用した繰返し反応
<反応>
実施例1と同様に行った。
<セリン回収>
反応後、反応液は遠心分離することにより(8000rpm、15min)、上清と沈澱を分離した。さらに沈澱に水20mLを加え混合した後、遠心分離することにより上清と沈澱を分離した。これらの上清をあわせ、凍結乾燥してL−セリンを回収した。また、コリン量は実施例1と同様に測定した。
<繰返し反応>
実施例1と同様に行った。
<結果>
Figure 2005318827
Figure 2005318827
[実施例3]本発明により洗浄・回収したL−セリンを使用した繰返し反応
<反応>
水49mLにL−セリン17.85gとホスホリパーゼD(生化学工業(株)、Actinomadura sp由来、30U/mL水溶液に調整)水溶液1mLを添加した。そこに、50mLのジエチルエーテルに溶解させた大豆レシチン(ツルーレシチン工業(株)SLP-PC55、ホスファチジルコリン66%)0.7gを添加し、30℃、8時間、スターラー(500rpm)で攪拌しながら反応させた。
反応後は反応液0.1mLをとり、1N塩酸0.05mLを加え混合し、これにクロロホルム/メタノール(2/1)0.2mLを加え混合した後、クロロホルム層を回収した。このクロロホルム層のリン脂質は展開溶媒をクロロホルム/エタノール/メタノール/ギ酸/水(13/3/2/2/0.5)として薄層クロマトグラフィーで分離した後、ディットマー試薬で発色させた後、クロマトスキャナーで分析した。
<L−セリン回収>
反応液を遠心分離(3000rpm、20min)し、リン脂質を含む上層と未反応のL−セリンを含む下層とに分離した。下層はロータリーエバポレーターで大部分の水分を除いた後、真空乾燥してL-セリンを回収した。さらに、この回収したL−セリンに80%アセトン(V/V) 200mLを加えて攪拌して洗浄操作を行った。洗浄後はろ紙濾過を行い、真空乾燥して回収L-セリンとした。また、コリン量は実施例1と同様に測定した。
<繰返し反応>
回収したL−セリンを使用し、不足分の量を新しいL−セリンで補って1回目の反応と同条件で反応を2回繰り返した。
<結果>
Figure 2005318827
Figure 2005318827
[比較例2]洗浄しない回収L-セリンを使用した繰返し反応
<反応>
実施例3と同様に行った。
<L-セリン回収>
反応液を遠心分離(3000rpm、20min)し、リン脂質を含む上層と未反応のL−セリンを含む下層とに分離した。下層はロータリーエバポレーターで大部分の水分を除いた後、真空乾燥して回収L-セリンとした。また、コリン量は実施例1と同様に測定した。
<繰返し反応>
実施例3と同様に行った。
<結果>
Figure 2005318827
Figure 2005318827

Claims (4)

  1. ホスホリパーゼDを用いたホスファチジル基転移反応によるホスファチジルセリン合成を行った後に、反応系から未反応のセリンを回収する方法であって、反応液からホスファチジルセリンを除去した未反応セリンを含む水溶性画分に、極性有機溶媒または極性有機溶媒と水との混合液を添加し洗浄して、セリンを得ることを特徴とする、セリンの回収方法。
  2. ホスホリパーゼDを用いたホスファチジル基転移反応によるホスファチジルセリン合成を、有機溶媒を使用しない水系で行うことを特徴とする、請求項1に記載のセリンの回収方法。
  3. ホスホリパーゼDを用いたホスファチジル基転移反応によるホスファチジルセリン合成を、有機溶媒と水を使用した二相系で行うことを特徴とする、請求項1に記載のセリンの回収方法。
  4. 洗浄に用いる極性有機溶媒がエタノール、アセトンまたはそれらの混合物である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のセリンの回収方法。
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