JP2005317638A - 配線板 - Google Patents
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Abstract
【課題】 マイグレーションの防止を行うことができるとともに、配線回路のファインピッチ化に対応することができる配線板を提供する。
【解決手段】 絶縁性基板2上にマイグレーション防止回路3を印刷形成し、このマイグレーション防止回路3上に配線回路4を印刷形成する。
【選択図】 図1
【解決手段】 絶縁性基板2上にマイグレーション防止回路3を印刷形成し、このマイグレーション防止回路3上に配線回路4を印刷形成する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、配線回路のマイグレーションを防止するのに好適な配線板に関する。
従来から、電子部品間の電気的な接続や、電子部品間の電気的な接続に加えて電子部品の実装などを行うことのできるプリント配線板、実装回路基板などの各種の配線板が知られている。このような配線板は、絶縁性を有する絶縁性基板上に、金属を主成分とする導電材、例えば、銀ペーストなどの金属ペーストを印刷形成することにより得られる所定パターンの配線回路(導体回路)を設けることにより形成されている。なお、配線板としては、絶縁性基板に可撓性を持たせた可撓配線板も用いられている。
このような配線板においては、水分が介在した際の隣り合う一対の配線回路間の電位差により、配線回路に用いた金属成分がアノード(陽極)で溶解して金属イオンを生成し、この金属イオンが電子の流れに沿って非金属媒体である絶縁性基板上や基板中を横切ってカソード(陰極)に向かって移行するというマイグレーション、詳しくはイオンマイグレーションが発生することが知られている。このマイグレーションが発生すると、通電時間の増加にともなって、カソードにおいて析出した金属が成長し、アノードとカソードとの間の絶縁抵抗値が低下し、回路が短絡することになる。
そこで、配線回路の少なくとも一部を印刷によるカーボンで覆う(オーバーコートする)ことにより配線回路の金属成分の溶出を阻止することで、マイグレーションの発生を防止することのできる配線板が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、従来の配線板においては、配線回路上にカーボンを印刷する構成とされているので、配線回路のピッチが狭くなった場合には、印刷時の位置ずれによって、カーボンを配線回路に印刷すること自体が困難になるという問題点があった。特に、近年の小型化の要求にともなう配線回路のファインピッチ化(狭ピッチ化)にともなって、カーボンを配線回路の表面に印刷すること自体の困難性が顕著になるという問題点があった。
すなわち、従来の配線板においては、配線回路のファインピッチ化により、配線回路にカーボンを印刷することができないため、マイグレーションの発生を防止することができないという問題点があった。
なお、カーボンの印刷における位置精度を向上させるには、現状より高精度の生産設備を用いることが考えられるが、このような高精度の製造設備は、極めて高価なものとなるとともに、印刷工程に多大な時間を要し、コストアップ、生産性の低下を招くことになる。
本発明はこの点に鑑みてなされたものであり、マイグレーションの防止を行うことができるとともに、配線回路のファインピッチ化に対応することができる配線板を提供することを目的とする。
前述した目的を達成するため、本発明の配線板の特徴は、絶縁性基板と、この絶縁性基板上に印刷形成された金属を主成分とする導電材からなる配線回路とを有する配線板であって、前記絶縁性基板上に、前記配線回路の金属成分が前記絶縁性基板上あるいは基板中を移動するのを防止するマイグレーション防止回路を形成し、このマイグレーション防止回路上に、前記配線回路を印刷形成した点にある。
本発明の配線板においては、前記マイグレーション防止回路の回路幅が前記配線回路の回路幅より大きく形成されていることが好ましい。
また、本発明の配線板においては、前記マイグレーション防止回路がカーボン回路であることが好ましい。
さらに、本発明の配線板においては、前記絶縁性基板が可撓性を有しているものであってもよい。
本発明に係る配線板によれば、マイグレーションの防止を行うことができるとともに、配線回路のファインピッチ化に対応することができるなどの極めて優れた効果を奏する。
以下、本発明を図面に示す実施形態により説明する。
図1は本発明に係る配線板の実施形態の要部を誇張して示す拡大断面図である。
図1に示すように、本実施形態の配線板1は、絶縁性基板2と、この絶縁性基板2上に印刷形成されたマイグレーション防止回路としてのカーボン回路3と、このカーボン回路3上に印刷形成された配線回路4とを有している。
前記絶縁性基板2は、ポリエチレンテレフタレート(PET)により形成されたフィルム基板が用いられている。また、フィルム基板は、その厚さが例えば25μm程度の薄膜に形成されており、これにより可撓性が付与されている。このフィルム基板としては、設計コンセプトなどの必要に応じて、従来公知の各種の絶縁性を有する樹脂により形成されたものから選択使用することができる。 このようなフィルム基板としては、ルミラーS10(ポリエチレンテレフタレート:東レ株式会社製商品名)、ダイアミラーFR−02(ポリエチレンテレフタレート:三菱樹脂株式会社製商品名)、カプトン(ポリイミドフィルム:東レ・デュポン株式会社製商品名)などを挙げることができる。
なお、絶縁性基板2としては、ガラス繊維を基材としエポキシ樹脂を含浸した積層板などの従来公知の各種の可撓性を有しない積層板を用いてもよい。
前記カーボン回路3は、配線回路4の金属成分が絶縁性基板2上あるいは基板中を移動するのを防止するするためのマイグレーション防止回路となるものであり、本実施形態においては、カーボンを主成分とするカーボンインクを絶縁性基板2上にスクリーン印刷することにより、所定のパターンで形成されている。
前記カーボンインクとしては、カーボン系インクEQ−APX5(東北アルプス株式会社製商品名)などを挙げることができる。
また、マイグレーション防止回路の材料としては、配線回路4のマイグレーションの発生しにくい材料で、かつ印刷可能なものであればよい。
例えば、銅を主成分とする銅インク、ニッケルを主成分とするニッケルインクなどが挙げられる。
前記配線回路4は、部品間を電気的に接続するためのものであり、従来公知の如く、電源用、信号用、接地用などの各種のものが所定のパターンで設けられている。そして、図1に示す配線回路4は、例えば、直流電圧が印可される信号配線のうち、左方の配線回路4がカソード5とされ、右方の配線回路4がアノード6とされて対峙している部位を例示している。
本実施形態の各配線回路4は、金属を主成分とする導電材、例えば、銀を主成分とする銀ペーストからなる金属ペースト(導電ペースト)を、スクリーン印刷することにより形成されている。この配線回路4の図1左右方向に示す回路幅は、直下に形成されている対応するカーボン回路3の回路幅より小さくされている。言い換えると、カーボン回路3の回路幅は、配線回路4の回路幅より大きく形成されている。
前記銀ペーストとしては、SW−1100−1(株式会社アサヒ化学研究所製商品名)などを挙げることができる。
なお、各配線回路4を形成するための金属を主成分とする導電材としては、設計コンセプトなどの必要に応じて、従来公知の各種のもの、例えば、銅ペースト、ニッケルペースト、錫ペースト、これらの合金を用いたペーストなどから選択使用することができる。
その他の構成については、従来公知の配線板と同様とされているので、その詳しい説明は省略する。
ここで、本実施形態の配線板1の製造方法の実施形態について説明する。
本実施形態の配線板1の製造方法は、所定の形状の絶縁性基板2に所定の熱処理を行った後、スクリーン印刷により、カーボンインクを絶縁性基板2上に所定パターンで印刷する。ついで、乾燥処理を施すことにより、カーボンインクを乾燥させてカーボン回路3を形成する。ついで、スクリーン印刷により、銀ペーストをカーボン回路3の上から重ねて印刷する。ついで、乾燥処理を施すことにより、銀ペーストを乾燥させてカーボン回路3上に所定のパターンの配線回路4を形成することにより、完成品(配線板1)を得る。
その他の製造方法については、従来公知の配線板の製造方法と同様とされているので、その詳しい説明は省略する。
なお、完成品は、抵抗値、膜厚などが規定の値にあるか否かの測定が行われるようになっている。
つぎに、前述した構成からなる本実施形態の作用について説明する。
本実施形態の配線板1における配線回路4のマイグレーションの防止作用について説明する。
本実施形態の配線板1においては、隣り合う一対の配線回路間の電圧降下が1000:1となるように設定されている。例えば、カソード5に印可する電圧Vcを0V、アノード6に印加する電圧Vaを5V、カソード5とアノード6との相互間の回路幅方向の距離Lを2mm、カソード5の右端とその直下に位置するカーボン回路3の右端との距離Lcを0.2mm、アノード6の左端とその直下に位置するカーボン回路3の左端との距離Laを0.2mmとする。また、距離Lにおける抵抗値をRi、距離Lcにおける抵抗値をRc、距離Laにおける抵抗値をRaとし、抵抗値Rc、Raと抵抗値Riとの関係を(RcまたはRi)×1000=Riとしている。
この状態において、電圧降下が1000:1となるので、配線板1におけるアノード6の左端に加わる電界は、Δ0.001/0.2=0.005(V/mm)となり、アノード6に銀イオンが生じたとしても、銀イオンの移動が起こりにくい。
すなわち、カーボン回路3上に配線回路4を設けると、絶縁性基板2の絶縁抵抗に比べて、カーボン回路3の絶縁抵抗が極めて低いので、アノード6の左端とその直下のカーボン回路3の左端との間の電位差をほぼなくすことができるので、アノード6からカソード5に向かって電子が流れにくくなり、配線回路4の金属成分である銀イオンの移動をほぼ防止することができる。その結果、配線回路4として用いたアノード6の銀のイオンが絶縁性基板2上あるいは基板中を移動してカソード5で析出するというマイグレーションの発生を防止することができる。このマイグレーションの発生を防止することで、通電時間の増加にともないカソード5において析出した金属が成長し、カソード5とアノード6との間の絶縁抵抗値が低下し、回路が短絡するという不具合を防止することができる。
これに対して、従来のカソードの表面をカーボン回路で被覆した配線板においては、アノードの左端に加わる電界が、Δ5/2=2.5(V/mm)となるので、電位差が大きいものである。
すなわち、本実施形態のカーボン回路3上に配線回路4を設けた配線板1における電界は、従来の配線回路4上にカーボン回路3を設けた配線板1に比較して極めて少なく、金属イオンが極めて移動しにくいものである。
したがって、本実施形態の配線板1によれば、マイグレーションの防止を行うことができる。
また、本実施形態の配線板1によれば、従来の配線パターンの表面にカーボンを印刷するのとは異なり、絶縁性基板2上にマイグレーション防止回路としてのカーボン回路3を印刷形成し、このカーボン回路3上に配線回路4を印刷形成しているので、近年のファインピッチ化ともなう隣り合う配線回路4のピッチが狭くなっても、カーボン回路3および配線回路4を容易かつ確実に形成することができる。
したがって、本実施形態の配線板1によれば、マイグレーションの防止を行うことができるとともに、配線回路4のファインピッチ化に対応することが容易かつ確実にできる。
また、本実施形態の配線板1によれば、カーボン回路3の回路幅が配線回路4の回路幅より大きく形成されているので、隣り合う配線回路4のピッチが狭くなっても、カーボン回路3に対する配線回路4の印刷時の位置ずれに対する許容範囲を広くすることができる。すなわち、現状の製造設備を用いて、配線回路4のファインピッチ化に容易に対応することができる。
また、本実施形態の配線板1によれば、マイグレーション防止回路がカーボン回路3であるので、マイグレーション防止回路を印刷によってより容易かつ確実に設けることができる。
また、本実施形態の配線板1によれば、絶縁性基板2が、可撓性を有しているので、可撓配線板を容易に得ることができる。
本発明の配線板は、携帯電話、ノートパソコンなどの各種の電子機器に用いることができる。
なお、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、必要に応じて種々の変更が可能である。
1 配線板
2 絶縁性基板
3 カーボン回路
4 配線回路
5 カソード
6 アノード
2 絶縁性基板
3 カーボン回路
4 配線回路
5 カソード
6 アノード
Claims (4)
- 絶縁性基板と、この絶縁性基板上に印刷形成された金属を主成分とする導電材からなる配線回路とを有する配線板であって、
前記絶縁性基板上に、前記配線回路の金属成分が前記絶縁性基板上あるいは基板中を移動するのを防止するマイグレーション防止回路を形成し、このマイグレーション防止回路上に、前記配線回路を印刷形成したことを特徴とする配線板。 - 前記マイグレーション防止回路の回路幅が、前記配線回路の回路幅より大きく形成されていることを特徴とする請求項1に記載の配線板。
- 前記マイグレーション防止回路が、カーボン回路であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の配線板。
- 前記絶縁性基板が、可撓性を有していることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の配線板。
Priority Applications (1)
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JP2004131423A JP2005317638A (ja) | 2004-04-27 | 2004-04-27 | 配線板 |
Applications Claiming Priority (1)
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Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2004131423A Withdrawn JP2005317638A (ja) | 2004-04-27 | 2004-04-27 | 配線板 |
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Cited By (2)
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2004
- 2004-04-27 JP JP2004131423A patent/JP2005317638A/ja not_active Withdrawn
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Legal Events
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A761 | Written withdrawal of application |
Effective date: 20090527 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A761 |