JP2005314784A - 多結晶配向中間薄膜とその製造方法及び酸化物超電導導体とその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 本発明の多結晶配向中間薄膜の形成方法は、金属製の基材3上にイオンビームアシスト法により第一の多結晶薄膜4を形成し、該第一の多結晶薄膜上に、Arガス雰囲気又はArガス+酸素ガス雰囲気中、パルスレーザ蒸着法により第一の多結晶薄膜と同じ材料からなる第二の多結晶薄膜5を形成して多結晶配向中間薄膜1Aを形成することを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
一般に金属テープ基材は多結晶質であり、その結晶構造が酸化物超電導体と大きく異なっている。そのため、金属テープ基材上に、結晶配向性の良好な酸化物超電導薄膜を直に形成することは難しい。
そこで、ハステロイテープなどの金属テープ基材上に、中間層として結晶配向性に優れたGd2Zr2O7などの多結晶薄膜を形成した後、この多結晶薄膜上にY1Ba2Cu3Ox系の酸化物超電導薄膜を形成した酸化物超電導導体が開発されている(例えば、特許文献1参照。)。
Y1Ba2Cu3Ox系の酸化物超電導薄膜を形成するには、多結晶薄膜上に均質に薄膜を形成することができるパルスレーザ蒸着(Pulsed Laser Deposition:略称PLD。)法などが用いられる。
そして、この多結晶薄膜上にY1Ba2Cu3Ox系の酸化物超電導薄膜を形成すると、その結晶のc軸,a軸およびb軸が多結晶薄膜の結晶に整合するようにエピタキシャル成長して結晶化し、これにより結晶配向性の良好なY1Ba2Cu3Ox系の酸化物超電導薄膜が得られる。
本発明の多結晶配向中間薄膜の形成方法において、前記第二の多結晶薄膜上に、反応抑止膜として第三の多結晶薄膜を形成して多結晶配向中間薄膜を形成することが好ましい。
本発明の多結晶配向中間薄膜の形成方法において、前記第一の多結晶薄膜上に、パルスレーザ蒸着法により前記第二の多結晶薄膜と第三の多結晶薄膜を交互に、それぞれ2層以上積層して多結晶配向中間薄膜を形成することもできる。
前記第二の多結晶薄膜をArガス+酸素ガス雰囲気中、パルスレーザ蒸着法により形成し、前記第三の多結晶薄膜を酸素ガス雰囲気中、パルスレーザ蒸着法により形成することが好ましい。
雰囲気圧力が高くなることにより、ウィンドウに到達する蒸着粒子が低減され、長時間蒸着におけるウィンドウの汚れによる成膜速度の低下を抑えることが可能となる。
また、第二の多結晶薄膜上に、反応抑止膜として第三の多結晶薄膜を形成して多結晶配向中間薄膜を形成することによって、多結晶配向中間薄膜上に形成される酸化物超電導薄膜の臨界電流密度などの超電導特性を向上させることができる。
また、第一の多結晶薄膜上に、パルスレーザ蒸着法により前記第二の多結晶薄膜と第三の多結晶薄膜を交互に、それぞれ2層以上積層して多結晶配向中間薄膜を形成することによって結晶配向性の良好な多結晶配向中間薄膜を形成することができ、さらにこの多結晶配向中間薄膜上に酸化物超電導薄膜を形成すると、各結晶軸が結晶配向性の良好な多結晶配向中間薄膜の結晶に整合するようにエピタキシャル成長して結晶化し、結晶配向性が良好で超電導特性の高い酸化物超電導導体を得ることができる。
図1は、本発明の酸化物超電導導体の第1実施形態を示す模式図である。図1中、符号1Aは多結晶配向中間薄膜、2Aは酸化物超電導導体、3は基材、4は第一の多結晶薄膜、5は第二の多結晶薄膜、6は酸化物超電導薄膜をそれぞれ示している。
本実施形態の酸化物超電導導体2Aは、金属製の基材3上に設けられた多結晶配向中間薄膜1Aと、この多結晶配向中間薄膜1A上に設けられた酸化物超電導薄膜6とから構成されている。
まず、多結晶配向中間薄膜1Aについて、以下に説明する。
前記基材3としては、例えば、銀、白金、ステンレス鋼、銅、ハステロイなどのニッケル合金などの金属材料からなる板材、線材、テープ材などの種々の形状のものを用いることができる。
なお、前記組成(AZrOあるいはAHfO)の希土類元素どうしの相対比が1:1のものに限らず、0.1:0.9〜0.9:0.1の範囲で任意の相対比のものも採用することができる。
酸化物超電導薄膜6は、その結晶粒のc軸が、前記多結晶配向中間薄膜1の最上層の上面に対して直角に配向され、その結晶粒のa軸およびb軸は、前述した第一、第二の多結晶薄膜4,5と同様に、基材3の上面と平行な面に沿って面内配向されている。
図2は、前記第一の多結晶薄膜4を形成するために用いられるIBAD装置の一例を示す構成図である。
このIBAD装置は、テープ状の基材3を支持するとともに所望の温度に加熱することができる基材ホルダ10と、基材ホルダ10の斜め上方に所定間隔をおいて対向配置された板状のターゲット20と、ターゲット20の斜め上方においてターゲット20の下面に対向して配置されたスパッタビーム照射装置22と、基材ホルダ10の側方に所定間隔をおいて対向され、かつ、ターゲット20と離間して配置されたイオンソース23とが真空排気可能な成膜処理容器25内に収容された概略構成となっている。
次いで、図2に示すIBAD装置を用い、IBAD法によりテープ状の基材3上に第一の多結晶薄膜4を形成する。
基材3上に第一の多結晶薄膜4を形成するには、ターゲット20を用い、基材3を収納している成膜処理容器25内部を真空引きして減圧雰囲気とするとともに、基材送出ボビン11から基材ホルダ10に基材3を所定の速度で送り出し、さらにイオンソース23とスパッタビーム照射装置22を作動させる。
図3は、本発明の製造方法において使用されるパルスレーザ蒸着装置の一例を示す構成図である。このパルスレーザ蒸着装置は、パルスレーザ光を入射するためのウィンドウ36を備えた処理容器30と、この処理容器30の内部の蒸着処理室31に設置されたターゲット支持部32と、第一の多結晶薄膜4を形成済みの基材3を水平状態に設置できる基台33と、真空排気装置34と、レーザ発光装置35とから概略構成されている。さらに、このパルスレーザ蒸着装置には、図示しないArガスと酸素ガスの供給手段(Arガスボンベや酸素ガスボンベ等)が接続されており、処理容器30内を所定圧力のArガス雰囲気、Arガス+酸素ガス雰囲気又は酸素ガス雰囲気とし、Arガス雰囲気又はArガス+酸素ガス雰囲気中で第二の多結晶薄膜5を成膜し、その後ターゲットを変更し酸素ガス雰囲気中で酸化物超電導薄膜6又は第三の多結晶薄膜7を成膜できるようになっている。
前記ターゲット支持部32としては、2種以上のターゲットを固定でき、かつ回転機構が設けられ、レーザ発光装置35からのレーザビームの照射位置に、目的とするターゲットがくるように位置調節できるものが適用できる。
具体的には、第二の多結晶薄膜5形成用のターゲットとしては、前述の第二の多結晶薄膜5を構成する複合酸化物と同一組成あるいは近似組成の複合酸化物が用いられる。また酸化物超電導薄膜6形成用のターゲットとしては、酸化物超電導薄膜6を構成する酸化物超電導体と同一組成あるいは近似組成の複合酸化物が用いられる。また第三の多結晶薄膜7形成用のターゲットとしてはY2O3、CeO2などからなる第三の多結晶薄膜7と同一組成あるいは近似組成の酸化物が用いられる。
次いで、蒸着処理室31内を真空ポンプで減圧する。蒸着処理室31内を真空ポンプで減圧し、室内のガス(空気)を排出した後、図示しないArガスと酸素ガスの供給手段から、蒸着処理室31内にArガス又はArガスと酸素ガスの混合ガスを所定圧力となるように供給する。蒸着処理室31内のArガス雰囲気又はArガス+酸素ガス雰囲気の圧力は、10〜30mTorrの範囲とすることが好ましい。この圧力が10mTorr未満であると、これらのガスによって、PLD法による成膜時にターゲットから生じた微粒子がウィンドウ36に付着するのを防ぐ効果が十分に得られなくなる。一方、この圧力が30mTorrを超えると、第二の多結晶薄膜5の構成元素の組成比が変化したり、望ましい結晶配向性が得られなくなる可能性がある。蒸着処理室31内のガス雰囲気及び圧力を維持するために、蒸着処理室31内を真空ポンプで減圧しつつ、蒸着処理室31内にArガス又はArガスと酸素ガスの混合ガスを所定圧力となるように連続的に供給してもよい。
また、蒸着を開始するまでに、基台33に設けられた加熱ヒータを作動させ、基材3を所定の温度に加熱しておく。
この際、レーザビームの射出強度は100mJ〜400mJ、パルス周波数は10Hz〜250Hzの範囲とすることが好ましい。また、基材3の温度は、500〜1000℃程度とするのが好ましく、基材3の線速を1m/h〜10m/hとして、基材3を移動させながら数回堆積し、所望の膜厚の第二の多結晶薄膜5を形成することが好ましい。
通常、IBAD法により多結晶薄膜を形成する場合、その成膜速度は数nm/min程度である。これに対して、PLD法により多結晶薄膜を形成する場合、その成膜速度は数100nm/min程度と格段に大きい。このため、本実施形態の多結晶配向中間薄膜1Aの製造方法によると、PLD法により第二の多結晶薄膜5を形成することによって、従来のIBAD法のみにより多結晶薄膜を形成する場合に比べて、成膜時間を大幅に短縮でき、生産効率に優れ、かつ優れた結晶配向性を有する多結晶配向中間薄膜1Aを製造できる。
そして、PLD法により第二の多結晶薄膜5を形成する際、雰囲気圧力が高くなることにより、ウィンドウ36に到達する蒸着粒子が低減され、長時間蒸着におけるウィンドウ36の汚れによる成膜速度の低下を抑えることができ、安定して効率よく多結晶配向中間薄膜1Aを形成することができる。
図3に示すパルスレーザ蒸着装置を用い、ターゲットを変更し、PLD法によって前記多結晶配向中間薄膜1A上に酸化物超電導薄膜6を形成する。
酸化物超電導薄膜6の形成においては、ターゲットとして、酸化物超電導薄膜6を構成する酸化物超電導体と同一組成あるいは近似組成の酸化物超電導体が用いられる。
次いで、蒸着処理室31を一旦減圧排気した後、酸素ガス又は酸素ガスとArガスの混合ガスを導入し、蒸着処理室31を適当な圧力の酸素ガス雰囲気とする。また、基台33に設けられた加熱ヒータを作動させて基材3を所定の温度に加熱する。
前記反応抑止膜、すなわち第三の多結晶薄膜7を構成する酸化物としては、Y2O3、CeO2などが挙げられる。
第三の多結晶薄膜7は、第二の多結晶薄膜5上にエピタキシャル成長されて形成されるため、第二の多結晶薄膜5の結晶配向性と同等の結晶配向性を有することになる。
前記第三の多結晶薄膜7の膜厚は、具体的には0.1μm〜0.3μmが好ましく、これにより第二の多結晶薄膜5の結晶配向性と同等の結晶配向性を有する第三の多結晶薄膜7が実現できる。
第三の多結晶薄膜7の膜厚が0.1μm未満の場合、結晶がほとんど成長せず、良好な結晶配向性が得られず、好ましくない。第三の多結晶薄膜7の膜厚が0.3μmよりも厚い場合、成膜に長時間を要するため非効率的であり、結果として製造コストが嵩むため、好ましくない。
酸化物超電導薄膜6の形成においては、ターゲットとして、酸化物超電導薄膜6を構成する酸化物超電導体と同一組成あるいは近似組成の酸化物超電導体が用いられる。
次いで、蒸着処理室31を一旦減圧排気した後、酸素ガス又は酸素ガスとArガスの混合ガスを導入し、蒸着処理室31を適当な圧力の酸素ガス雰囲気とする。また、基台33に設けられた加熱ヒータを作動させて基材3を所定の温度に加熱する。
また、第三の多結晶薄膜7が反応抑止膜として作用し、多結晶配向中間薄膜1B上に形成される酸化物超電導薄膜6の臨界電流密度などの超電導特性を向上させることができる。
(1)ハステロイテープなどの金属テープからなる基材3上に、図2に示す装置を用い、IBAD法によって結晶配向性に優れたGd2Zr2O7などからなるターゲットから蒸発する粒子を成膜速度数nm/minで堆積させ、基材3上に第一の多結晶薄膜4を成膜する。
ハステロイテープ基材上にIBAD法により膜厚約1μm、面内配向性10度のGd2Zr2O7からなる第一の多結晶薄膜を形成し、この第一の多結晶薄膜上に、低酸素雰囲気中、PLD法により膜厚約1μmのGd2Zr2O7からなる第二の多結晶薄膜を形成した。第二の多結晶薄膜の成膜に用いたPLD法の蒸着条件は、エキシマレーザパルス光の射出強度100〜300mJ、パルス周波数10〜250Hz、酸素雰囲気圧力2mTorr、基材加熱温度600〜1000℃、テープ基材の線速4m/hとした。
この条件で蒸着を行った場合、蒸着処理室のウィンドウに多結晶薄膜の材料が次第に付着し、ウィンドウが曇ったために、30時間後に成膜速度が2%低下した。膜厚を約1.0μmとするために、積層を8回行った。この時の第二の多結晶薄膜の面内配向性は約5度であった。
第二の多結晶薄膜の形成後、蒸着処理室内のターゲットを変更し、第二の多結晶薄膜上に、PLD法によってY1Ba2Cu3Oxからなる酸化物超電導薄膜を形成した。その結果、酸化物超電導薄膜の膜厚が約0.4μmで臨界電流密度(Jc)値が1.7MA/cm2の酸化物超電導導体が得られた。
なお、前記「面内配向性」とは、X線回折法により各多結晶薄膜の極点計測により極図形を測定し、その半値幅[単位:度]である。
ハステロイテープ基材上にIBAD法により膜厚約1μm、面内配向性10度のGd2Zr2O7からなる第一の多結晶薄膜を形成し、この第一の多結晶薄膜上に、Arガス雰囲気中、PLD法により膜厚約1μmのGd2Zr2O7からなる第二の多結晶薄膜を形成した。第二の多結晶薄膜の成膜に用いたPLD法の蒸着条件は、エキシマレーザパルス光の射出強度100〜300mJ、パルス周波数10〜250Hz、Arガス雰囲気圧力20mTorr、基材加熱温度600〜1000℃、テープ基材の線速4m/hとした。
この条件で蒸着を行った場合、蒸着処理室のウィンドウに付着する汚れが、前記比較例1よりも大幅に減少し、30時間後に成膜速度が0.5%低下しただけであった。膜厚を約1.0μmとするために、積層を5回行った。この時の第二の多結晶薄膜の面内配向性は約5度であった。
第二の多結晶薄膜の形成後、蒸着処理室内のターゲットを変更し、第二の多結晶薄膜上に、PLD法によってY1Ba2Cu3Oxからなる酸化物超電導薄膜を形成した。その結果、酸化物超電導薄膜の膜厚が約0.4μmで臨界電流密度(Jc)値が1.7MA/cm2の酸化物超電導導体が得られた。
ハステロイテープ基材上にIBAD法により膜厚約1μm、面内配向性10度のGd2Zr2O7からなる第一の多結晶薄膜を形成し、この第一の多結晶薄膜上に、Arガス+酸素ガス雰囲気中(Ar流量3cc/min、酸素流量1cc/min)、PLD法により膜厚約1μmのGd2Zr2O7からなる第二の多結晶薄膜を形成した。第二の多結晶薄膜の成膜に用いたPLD法の蒸着条件は、エキシマレーザパルス光の射出強度100〜300mJ、パルス周波数10〜250Hz、ガス雰囲気圧力10mTorr、基材加熱温度600〜1000℃、テープ基材の線速4m/hとした。
この条件で蒸着を行った場合、蒸着処理室のウィンドウに付着する汚れが、前記比較例1よりも減少し、30時間後に成膜速度が1.0%低下した程度であった。第二の多結晶薄膜の膜厚を約1.0μmとするために、積層を6回行った。この時の第二の多結晶薄膜の面内配向性は約5度であった。
第二の多結晶薄膜の形成後、蒸着処理室内のターゲットを変更し、第二の多結晶薄膜上に、PLD法によってY1Ba2Cu3Oxからなる酸化物超電導薄膜を形成した。その結果、酸化物超電導薄膜の膜厚が約0.4μmで臨界電流密度(Jc)値が1.7MA/cm2の酸化物超電導導体が得られた。
実施例1と同様の条件下、ハステロイテープ基材上にIBAD法により膜厚約1μm、面内配向性10度のGd2Zr2O7からなる第一の多結晶薄膜を形成し、この第一の多結晶薄膜上にPLD法により膜厚約1μmのGd2Zr2O7からなる第二の多結晶薄膜を形成した後、蒸着処理室内のターゲットを変更し、第二の多結晶薄膜上に、PLD法により膜厚約0.3μmのY2O3からなる第三の多結晶薄膜を形成した。
第三の多結晶薄膜の形成後、蒸着処理室内のターゲットを変更し、第三の多結晶薄膜上に、PLD法によってY1Ba2Cu3Oxからなる酸化物超電導薄膜を実施例1の場合よりも厚く形成した。その結果、酸化物超電導薄膜の膜厚が約1μmで臨界電流密度(Jc)値が1.5MA/cm2の酸化物超電導導体が得られた。
一方、前記第二の多結晶薄膜の形成後、第三の多結晶薄膜を形成せず、第二の多結晶薄膜上に直接Y1Ba2Cu3Oxからなる膜厚約1μmの酸化物超電導薄膜を形成した。得られた酸化物超電導導体の臨界電流密度(Jc)値は1.2MA/cm2であり、第二の多結晶薄膜上にY2O3からなる第三の多結晶薄膜を設けることで、得られる酸化物超電導導体のJc値を向上できることが分かった。
実施例1と同様の条件下、ハステロイテープ基材上にIBAD法により膜厚約1μm、面内配向性10度のGd2Zr2O7からなる第一の多結晶薄膜を形成した。この第一の多結晶薄膜上に、PLD法により膜厚0.3μmのGd2Zr2O7からなる第二の多結晶薄膜を、エキシマレーザパルス光の射出強度300mJ、パルス周波数250Hz、Arガス+酸素ガス雰囲気圧力10mTorr、Arと酸素ガスの流量比3:2、温度800℃、線速4.5m/hの成膜条件で一回成膜し、さらにPLD法により膜厚0.3μmのY2O3からなる第三の多結晶薄膜を、エキシマレーザパルス光の射出強度300mJ、パルス周波数250Hz、酸素雰囲気圧力26mTorr、温度800℃、線速4.5m/hの成膜条件で一回成膜した。さらに第二の多結晶薄膜と第三の多結晶薄膜を交互に積層し、全体の膜厚の和が2.2μmの多結晶配向中間薄膜を形成した。次に、この多結晶配向中間薄膜上にPLD法によってY1Ba2Cu3Oxからなる酸化物超電導薄膜を形成した場合、膜厚0.5μmの短尺試料でJc値が1.2MA/cm2であった。
一方、基材上にIBAD法により膜厚2.2μmのGd2Zr2O7からなる多結晶配向中間薄膜を形成し、その中間薄膜上にPLD法によって膜厚0.5μmのY1Ba2Cu3Oxからなる酸化物超電導薄膜を形成した場合、短尺試料でJc値が1.0MA/cm2であった。
これらの酸化物超電導薄膜は、ほぼ同程度のJc値が得られるものの、多結晶配向中間薄膜の形成時間は、PLD法の成膜時間がIBAD法に比べ数十倍速いため、IBDA法のみで多結晶配向中間薄膜を形成するよりも、IBAD法とPLD法とを組み合わせた方が多結晶配向中間薄膜の形成時間が短く効率的であった。
一方、第二の多結晶薄膜をArガス+酸素ガス雰囲気圧力20mTorr下で形成した場合、30時間後の成膜速度の低下は0.5%程度に抑えることができた。
Claims (9)
- 金属製の基材上にイオンビームアシスト法により第一の多結晶薄膜を形成し、該第一の多結晶薄膜上に、Arガス雰囲気又はArガス+酸素ガス雰囲気中、パルスレーザ蒸着法により第一の多結晶薄膜と同じ材料からなる第二の多結晶薄膜を形成して多結晶配向中間薄膜を形成することを特徴とする多結晶配向中間薄膜の形成方法。
- 前記Arガス雰囲気又はArガス+酸素ガス雰囲気の圧力を10〜30mTorrの範囲とすることを特徴とする請求項1に記載の多結晶配向中間薄膜の形成方法。
- 前記第二の多結晶薄膜上に、反応抑止膜として第三の多結晶薄膜を形成して多結晶配向中間薄膜を形成することを特徴とする請求項1又は2に記載の多結晶配向中間薄膜の形成方法。
- 前記第一の多結晶薄膜上に、パルスレーザ蒸着法により前記第二の多結晶薄膜と第三の多結晶薄膜を交互に、それぞれ2層以上積層して多結晶配向中間薄膜を形成することを特徴とする請求項1又は2に記載の多結晶配向中間薄膜の形成方法。
- 前記第二の多結晶薄膜をArガス+酸素ガス雰囲気中、パルスレーザ蒸着法により形成し、前記第三の多結晶薄膜を酸素ガス雰囲気中、パルスレーザ蒸着法により形成することを特徴とする請求項3又は4に記載の多結晶配向中間薄膜の形成方法。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の多結晶配向中間薄膜の形成方法により形成された多結晶配向中間薄膜。
- 金属製の基材上にイオンビームアシスト法により第一の多結晶薄膜を形成し、該第一の多結晶薄膜上に、Arガス雰囲気又はArガス+酸素ガス雰囲気中、パルスレーザ蒸着法により第一の多結晶薄膜と同じ材料からなる第二の多結晶薄膜を形成して多結晶配向中間薄膜を形成し、次いで該多結晶配向中間薄膜上に酸化物超電導薄膜を形成して酸化物超電導導体を製造することを特徴とする酸化物超電導導体の製造方法。
- 請求項2〜5のいずれかに記載の多結晶配向中間薄膜の形成方法により多結晶配向中間薄膜を形成し、次いで多結晶配向中間薄膜上に酸化物超電導薄膜を形成することを特徴とする請求項7に記載の酸化物超電導導体の製造方法。
- 請求項7又は8に記載の酸化物超電導導体の製造方法により製造された酸化物超電導導体。
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