JP2005113220A - 多結晶薄膜及びその製造方法、酸化物超電導導体 - Google Patents

多結晶薄膜及びその製造方法、酸化物超電導導体 Download PDF

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泰範 須藤
Kazutomi Kakimoto
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康裕 飯島
Takashi Saito
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Abstract

【課題】 優れた結晶配向性を有する多結晶薄膜、及びその多結晶薄膜を短時間で製造する方法、並びにその多結晶薄膜を用い優れた臨界電流密度を有する酸化物超電導体を提供する。
【解決手段】 本発明の多結晶薄膜1は、金属製の基材3上に設けられた第一の多結晶薄膜4、該第一の多結晶薄膜4と略同一組成の第二の多結晶薄膜5、及び第三の多結晶薄膜6から構成され、前記第一の多結晶薄膜4上に、前記第二の多結晶薄膜5と前記第三の多結晶薄膜6を交互に、それぞれ2層以上積層してなる構成とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、酸化物超電導導体に関し、特に、酸化物超電導薄膜の結晶配向性に優れた酸化物超電導導体に関するものである。
近年になって発見された酸化物超電導体は、液体窒素温度を超える臨界温度を示す優れた超電導体である。このような酸化物超電導体を超電導体として実用化するためには、金属製のテープ基材(以下、「金属テープ基材」とも言う。)上に、結晶配向性の良好な酸化物超電導薄膜を形成する必要がある。
一般には金属テープ基材は多結晶質であり、その結晶構造が酸化物超電導体と大きく異なっている。そのため、金属テープ基材上に、結晶配向性の良好な酸化物超電導薄膜を直に形成することは難しい。
そこで、ハステロイテープなどの金属テープ基材上に、中間層として結晶配向性に優れたGdZrなどの多結晶薄膜を形成した後、この多結晶薄膜上にYBaCu系の酸化物超電導薄膜を形成した酸化物超電導導体が開発されている(例えば、特許文献1御参照。)。
多結晶薄膜は、その結晶が予めc軸配向し、a軸およびb軸においても配向するように、イオンビームアシスト(Ion Beam Assisted Deposition:略称IBAD。)法により形成される。
BaCu系の酸化物超電導薄膜を形成するには、多結晶薄膜上に均質に薄膜を形成することができるパルスレーザ蒸着(Pulsed Laser Deposition:略称PLD。)法などが用いられる。
多結晶薄膜上にYBaCu系の酸化物超電導薄膜を形成すると、その結晶のc軸,a軸およびb軸が多結晶薄膜の結晶に整合するようにエピタキシャル成長して結晶化し、これにより結晶配向性の良好なYBaCu系の酸化物超電導薄膜が得られる。
このように、酸化物超電導導体の作製において、多結晶薄膜の結晶配向性を制御し、この上に結晶配向性の良好なYBaCu系の酸化物超電導薄膜を形成することで、超電導体の特性(臨界電流(Ic)、臨界電流密度(Jc)など)を改善することができる。
特開平11−86647号公報
IBAD法によって、結晶配向性の良好な多結晶薄膜を形成することができるが、その成膜速度は数nm/分であり、膜形成に長時間を要する。特に、長尺のテープ基材上に酸化物超電導薄膜を形成する場合、多結晶薄膜の形成に長時間を要し、生産効率が悪くなってしまう。
また、多結晶薄膜は、膜厚を厚くすることによって、結晶配向性を高めることができるが、膜厚が特定の値よりも厚くなると、面内の結晶配向性が悪くなり、多結晶薄膜の結晶配向性を所定の値よりも向上させることができなかった。
本発明は、前記事情に鑑みてなされたもので、優れた結晶配向性を有する多結晶薄膜、及びその多結晶薄膜を短時間で製造する方法、並びにその多結晶薄膜を用い優れた臨界電流密度を有する酸化物超電導体を提供することを目的とする。
すなわち、本発明に係る多結晶薄膜は、金属製の基材上に設けられた第一の多結晶薄膜、該第一の多結晶薄膜と略同一組成の第二の多結晶薄膜、及び第三の多結晶薄膜から構成され、前記第一の多結晶薄膜上に、前記第二の多結晶薄膜と前記第三の多結晶薄膜を交互に、それぞれ2層以上積層してなることを特徴としている。
かかる多結晶薄膜の構成において、前記第一の多結晶薄膜の表面上に前記第二の多結晶薄膜が設けられたことを特徴としている。
これにより、第一の多結晶薄膜の表面上に第三の多結晶薄膜が設けられた多結晶薄膜に比べて、より優れた結晶配向性が実現できる。
かかる多結晶薄膜の構成において、前記第一の多結晶薄膜の表面上に前記第三の多結晶薄膜が設けられたことを特徴としている。
かかる多結晶薄膜の構成において、前記第三の多結晶薄膜の膜厚は、前記第二の多結晶薄膜の膜厚と同等かそれ以下であることを特徴としている。
これにより効率良く結晶配向性を高めることができる。
かかる多結晶薄膜の構成において、前記第一の多結晶薄膜において、前記基材の表面と平行な面に沿う各結晶粒の同一結晶軸が構成する粒界傾角が、10度以下であることを特徴としている。
これにより、非常に結晶配向性の良好な第二の多結晶薄膜と第三の多結晶薄膜を得ることができる。
かかる多結晶薄膜の構成において、前記第三の多結晶薄膜が、反応抑止膜であることを特徴としている。
これにより、第三の多結晶薄膜を反応抑止膜として併用でき、反応抑止膜を新たに設ける必要が無く、必要となる薄膜の種類が少なくてよく、製造コストを低減できる。
本発明に係る多結晶薄膜の製造方法は、金属製の基材上にイオンビームアシスト法により第一の多結晶薄膜を形成する工程と、該第一の多結晶薄膜上に、前記第二の多結晶薄膜と前記第三の多結晶薄膜を交互に、それぞれ2層以上、パルスレーザ蒸着法により形成する工程とを少なくとも具備することを特徴としている。
本発明に係る酸化物超電導導体は、金属製の基材上に設けられた第一の多結晶薄膜、該第一の多結晶薄膜と略同一組成の第二の多結晶薄膜、及び第三の多結晶薄膜から構成され、前記第一の多結晶薄膜上に、前記第二の多結晶薄膜と前記第三の多結晶薄膜を交互に、それぞれ2層以上積層してなる多結晶薄膜上に、酸化物超電導薄膜を設けてなることを特徴としている。
本発明の多結晶薄膜によれば、第二の多結晶薄膜と第三の多結晶薄膜とが、第一の多結晶薄膜上に交互にそれぞれ2層以上積層された構成とすることによって、積層数が増える毎に結晶配向性が向上し、従来の方法では得られなかった優れた結晶配向性が実現できる。
本発明の多結晶薄膜の製造方法によると、PLD法により第二の多結晶薄膜と第三の多結晶薄膜とを形成することによって、従来のIBAD法により多結晶薄膜を形成する場合に比べて、成膜時間を大幅に短縮でき生産効率に優れ、かつ優れた結晶配向性を有する多結晶薄膜を製造できる。
本発明の酸化物超電導体によれば、本発明の多結晶薄膜上に、YBaCu系の酸化物超電導薄膜が設けられたことによって、優れた結晶配向性を有する酸化物超電導体が実現できる。
以下、本発明を実施した多結晶薄膜1とその製造方法、並びに酸化物超電導体2について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の酸化物超電導導体2の一実施形態を示す模式図である。図1中、符号3は基材、符号4は第一の多結晶薄膜、符号5は第二の多結晶薄膜、符号6は第三の多結晶薄膜、符号7は酸化物超電導薄膜をそれぞれ示している。
本発明の酸化物超電導体2は、金属製の基材3上に設けられた本発明の多結晶薄膜1と、この多結晶薄膜1上に設けられた酸化物超電導膜7とから構成されている。
まず、本発明の多結晶薄膜1について以下に説明する。
本発明の多結晶薄膜1は、金属製の基材3上に設けられた第一の多結晶薄膜4、第一の多結晶薄膜4と略同一組成の第二の多結晶薄膜5、第三の多結晶薄膜6を少なくとも備え、第一の多結晶薄膜4上に、第二の多結晶薄膜5と第三の多結晶薄膜6を交互に、それぞれ2層以上積層してなる。
前記基材3としては、例えば、銀、白金、ステンレス鋼、銅、ハステロイなどのニッケル合金などの金属材料からなる板材、線材、テープ材などの種々の形状のものを用いることができる。
第一の多結晶薄膜4は、GdZrなどの組成式で示される立方晶系の結晶構造を有する微細な結晶の集合体の結晶粒が、多数、相互に結晶粒界を介し接合一体化されてなり、各結晶粒の結晶軸のc軸は基材3の上面(被成膜面)に対して直角に向けられ、各結晶粒の結晶軸のa軸同士およびb軸同士は、互いに同一方向に向けられて面内配向されている。
第一の多結晶薄膜4を構成する複合酸化物としては、GdZrの他に、SmZr、LaZr、CeZr、PrZr、GdHf、SmHf、LaHf、YZr、YbZr、TmZr、ErZr、HoZr、DyZr、EuZr、NdZr、YZr、YHf、YbHf、TmHf、ErHf、HoHf、DyHf、EuHf、NdHf、PrHf、CeHfの組成のAZrOあるいはAHfOのいずれかの組成式(ただし、前記組成式においてAは、Y、Yb、Tm、Er、Ho、Dy、Eu、Gd、Sm、Nd、Pr、Ce、Laの中から選択される1種を示す。)で示される複合酸化物や、イットリア安定化ジルコニア(以下、YSZと略記。)などを適用することができる。
なお、前記組成(AZrOあるいはAHfO)の希土類元素どうしの相対比が1:1のものに限らず、0.1:0.9〜0.9:0.1の範囲で任意の相対比のものも採用することができる。
第一の多結晶薄膜4の各結晶粒のa軸(あるいはb軸)同士は、それらのなす角度(粒界斜角)を10度以内にして接合一体化されていることが好ましい。これにより、第一の多結晶薄膜4上に第二の多結晶薄膜5と第三の多結晶薄膜6を形成すると、非常に結晶配向性の良好な第二の多結晶薄膜5と第三の多結晶薄膜6を得ることができる。
第二の多結晶薄膜5は、第一の多結晶薄膜4の表面上に、第一の多結晶薄膜4とほぼ同種の物質をエピタキシャル成長させてなるものである。すなわち、第二の多結晶薄膜5は、第一の多結晶薄膜4上と同一の材質からなり、GdZrなどの組成式で示される立方晶系の結晶構造を有する微細な結晶の集合体の結晶粒が、多数、相互に結晶粒界を介し接合一体化されてなり、各結晶粒の結晶軸のc軸は第一の多結晶薄膜4の上面(被成膜面)に対してほぼ直角に向けられ、各結晶粒の結晶軸のa軸同士およびb軸同士は、互いに同一方向に向けられて面内配向されている。
第三の多結晶薄膜6は、特開平11−86647号公報にて開示された拡散防止層(反応抑止膜)であり、第二の多結晶薄膜5上に、第二の多結晶薄膜5と同様にエピタキシャル成長されてなるものである。
前記反応抑止膜、すなわち第三の多結晶薄膜6を構成する複合酸化物としては、Yなどが挙げられる。
第三の多結晶薄膜6として反応抑止膜を用いることによって、第三の多結晶薄膜6を反応抑止膜として併用でき、反応抑止膜を新たに設ける必要が無く、必要となる薄膜の種類が少なくてよく、製造コストを低減できる。
第三の多結晶薄膜6は、第二の多結晶薄膜5上にエピタキシャル成長されて形成されるため、第二の多結晶薄膜5の結晶配向性と同等の結晶配向性を有することになる。
前記した第二の多結晶薄膜5と第三の多結晶薄膜6とは、第一の多結晶薄膜4上に交互にそれぞれ2層積層されており、1層目の第三の多結晶薄膜6上には、2層目の第二の多結晶薄膜5が、1層目の第二の多結晶薄膜5と同様にエピタキシャル成長されて設けられている。
この2層目の第二の多結晶薄膜5は、1層目の第三の多結晶薄膜6上にエピタキシャル成長されて形成されるため、1層目の第二の多結晶薄膜5や第三の多結晶薄膜6に比べて、より優れた結晶配向性を有することになる。
この2層目の第二の多結晶薄膜5上に、2層目の第三の多結晶薄膜6がエピタキシャル成長されて設けられ、この2層目の第三の多結晶薄膜6が、多結晶膜の最上層となり反応抑止膜として機能するようになっている。
なお、第二の多結晶薄膜5と第三の多結晶薄膜6とは、交互にそれぞれ3層以上積層されても構わない。第二の多結晶薄膜5と第三の多結晶薄膜6との積層回数を増やすことによって、結晶配向性を高めることができる。
前記第二の多結晶薄膜5の膜厚は、0.3μm〜1μmが好ましく、c軸に垂直な結晶面を選択的にエピタキシャル成長でき、結晶配向性の良好な第二の多結晶薄膜とすることができる。
第二の多結晶薄膜5の膜厚が0.3μm未満の場合、第二の多結晶薄膜5の結晶配向性が第一の多結晶薄膜4の結晶配向性と同等であり、良好な結晶配向性が得られず、好ましくない。また第二の多結晶薄膜5の膜厚が1μmよりも厚い場合、結晶配向性が悪化するため、好ましくない。
前記第三の多結晶薄膜6の膜厚は、第二の多結晶薄膜5の膜厚と同等かそれ以下であることが好ましい。第二の多結晶薄膜5の結晶配向性は、第三の多結晶薄膜6の結晶配向性に比べて、膜厚依存性が大きいため、多結晶薄膜の全体の膜厚に対して、第二の多結晶薄膜5の膜厚の比率を第三の多結晶薄膜6の膜厚の比率と同等かそれ以上とすることによって、効率良く結晶配向性を高めることができる。
前記第三の多結晶薄膜6の膜厚は、具体的には0.1μm〜0.3μmが好ましく、これにより第二の多結晶薄膜5の結晶配向性と同等の結晶配向性を有する第三の多結晶薄膜6が実現できる。
第三の多結晶薄膜6の膜厚が0.1μm未満の場合、結晶がほとんど成長せず、良好な結晶配向性が得られず、好ましくない。第三の多結晶薄膜6の膜厚が0.3μmよりも厚い場合、成膜に長時間を要するため非効率的であり、結果として製造コストが嵩むため、好ましくない。
特に、多結晶薄膜1の最上層となる2層目の第三の多結晶薄膜6では、その膜厚を0.1μm以上とすることによって、反応抑止層として機能させることができる。これにより、多結晶薄膜1上に、酸化物超電導薄膜7(後述。)を設けて酸化物超電導体2とした際、酸化物超伝統薄膜7の構成原子が多結晶薄膜1中へ拡散し、酸化物超電導薄膜7と多結晶薄膜1との界面に反応層が形成されることを抑止することができる。これにより、酸化物超電導導体3全体としての超電導特性の劣化を抑止することができる。
この第一の多結晶薄膜4、第二の多結晶薄膜5、第三の多結晶薄膜6から構成された多結晶薄膜1の全体の膜厚は、2μm〜5μmが好ましく、これにより優れた結晶配向性が実現できる。
多結晶薄膜1の膜厚が2μm未満の場合、第一の多結晶薄膜4、第二の多結晶薄膜5、第三の多結晶薄膜6の各薄膜の膜厚を十分に設けることができず、これにより優れた結晶配向性が得られず好ましくない。また、多結晶薄膜1の膜厚が5μmよりも厚い場合、成膜に長時間を要するため非効率的であり、結果として製造コストが嵩むため好ましくない。
本発明の多結晶薄膜1によれば、第一の多結晶薄膜4と第二の多結晶薄膜5とが、上述したAZrO、あるいはAHfOのいずれかの組成式(ただし、前記組成式においてAは、Y、Yb、Tm、Er、Ho、Dy、Eu、Gd、Sm、Nd、Pr、Ce、Laの中から選択される1種を示す。)で示される複合酸化物、又はYSZなどから構成されており、複合酸化物の最近接原子間距離は、例えばGdZrでは3.72Å、LaZrでは3.81Å、CeZrでは3.78Å、PrZrでは3.78Å、GdHfでは3.72Å、SmHfでは3.74Å、LaHfでは3.81Åであり、YBaCuなる組成の酸化物超電導体の最近接原子間距離の3.81Åに近い値である。
このため、前記複合酸化物とYBaCu系の酸化物超電導体とは結晶の整合性に優れ、多結晶薄膜1上にYBaCu系の酸化物超電導薄膜7を形成すると、その結晶のc軸,a軸およびb軸が多結晶薄膜1の結晶に整合するようにエピタキシャル成長して結晶化し、これにより結晶配向性の良好なYBaCu系の酸化物超電導薄膜7が得られる。
一般に、多結晶薄膜1は、その膜厚を厚くすることによって、結晶配向性を高めることができる。このため、従来では、第二の多結晶薄膜5の膜厚を厚く設けていたが、膜厚が特定の値よりも厚くなると、多結晶薄膜1の結晶配向性を所定の値よりも向上させることができなかった。
これに対して、本発明によれば、第二の多結晶薄膜5と第三の多結晶薄膜6とが、第一の多結晶薄膜4上に交互にそれぞれ2層以上積層された構成とすることによって、積層数が増える毎に結晶配向性が向上し、優れた結晶配向性が実現できる。
特に、各第二の多結晶薄膜5の膜厚を、0.3μm〜1μmであり、結晶配向性が悪化しない厚さとすることによって、従来の方法では得られなかった優れた結晶配向性が実現できる。
このように従来の方法では得られなかった優れた結晶配向性が実現できるため、この多結晶薄膜1上にYBaCu系の酸化物超電導薄膜7をエピタキシャル成長すると、優れた結晶配向性を有する酸化物超電導体2が得られる。
なお、第一の多結晶薄膜4の表面上には、第三の多結晶薄膜6を設け、この第三の多結晶薄膜6上に第二の多結晶薄膜5を設けても構わない。この場合、最上層に反応抑止膜が設けられた構成とする。第三の多結晶薄膜6が反応抑止膜である場合は、最上層に第三の多結晶薄膜6が設けられた構成とする。
また、第三の多結晶薄膜6としては、反応抑止膜の他に、結晶構造が、第二の多結晶薄膜,酸化物超電導膜と同一の結晶構造を有し、かつ最近接原子間距離が、第二の多結晶薄膜,酸化物超電導膜の最近接原子間距離と近い値である複合酸化物であっても構わない。この場合も、多結晶薄膜1としては、最上層に反応抑止膜が設けられた構成とする。
次に、酸化物超電導薄膜7について説明する。
酸化物超電導薄膜7は、その結晶粒のc軸は、上述した多結晶薄膜1の最上層の第三の多結晶薄膜6の上面に対して直角に配向され、その結晶粒のa軸およびb軸は、上述した多結晶薄膜と同様に、基材3の上面と平行な面に沿って面内配向されている。
酸化物超電導薄膜7を構成する酸化物超電導体としては、YBaCu、YBaCu、YBaCuなる組成、あるいは(Bi,Pb)CaSrCu、(Bi,Pb)CaSrCuなる組成、あるいは、TlBaCaCu、TlBaCaCu、TlBaCaCuなる組成などに代表される臨界温度の高い酸化物超電導体が挙げられるが、これら以外の酸化物系の超電導体を用いてもよい。
本発明の酸化物超電導体2によると、上述した本発明の多結晶薄膜1上に、YBaCu系の酸化物超電導薄膜7が設けられたことによって、優れた結晶配向性を有する酸化物超電導体2が実現できる。これにより、この酸化物超電導体2では、優れた臨界電流密度が得られ、強磁場発生用のコイルなど種々の用途に適用できる。
次に、図2および図3を用いて、この実施形態の多結晶薄膜1と酸化物超電導導体2の製造方法について説明する。
図2は、上記第一の多結晶薄膜4を形成する装置の一例を示す模式図である。
この例の装置は、テープ状の基材3を支持するとともに所望の温度に加熱することができる基材ホルダ10と、基材ホルダ10の斜め上方に所定間隔をおいて対向配置された板状のターゲット20と、ターゲット20の斜め上方においてターゲット20の下面に対向して配置されたスパッタビーム照射装置22と、基材ホルダ10の側方に所定間隔をおいて対向され、かつ、ターゲット20と離間して配置されたイオンソース23とが真空排気可能な成膜処理容器25内に収容された概略構成となっている。
ターゲット20としては、目的とする組成の第一の多結晶薄膜4と同一組成あるいは近似組成のものなどを用いる。具体的には、上述の第一の多結晶薄膜4を構成する複合酸化物と同一組成あるいは近似組成の複合酸化物が用いられる。
まず、基材3として、ハステロイなどからなるテープ状基材を用意する。
次いで、図2に示すような装置を用いて、IBAD法により、テープ状の基材3上に、第一の多結晶薄膜4を形成する。
基材3上に第一の多結晶薄膜4を形成するには、ターゲット20を用い、基材3を収納している成膜処理容器25内部を真空引きして減圧雰囲気とするとともに、基材送出ボビン11から基材ホルダ10に基材3を所定の速度で送り出し、さらにイオンソース23とスパッタビーム照射装置22を作動させる。
スパッタビーム照射装置22からターゲット20に、所定の照射角度でイオンのビームを照射すると、ターゲット20の構成粒子が叩き出されて基材3上に飛来する。そして、基材ホルダ10上に送り出された基材3上にターゲット20から叩き出した構成粒子を成膜速度数nm/minで堆積させると同時にイオンソース23からアシストイオンビームとして、例えば、Arイオンのイオンビーム、Krイオンのイオンビーム、Xeイオンのイオンビーム、あるいは、KrイオンとXeイオンの混合イオンビームを照射して、所望の厚みの第一の多結晶薄膜2を成膜し、成膜後の基材3を基材巻取ボビン12に巻き取る。
また、第一の多結晶薄膜4の成膜の際、基材3を適切な温度に加熱し、イオンソース23から照射されるアシストイオンビームのエネルギーを適切な範囲内に設定することが望ましい。このように、基材3の温度およびアシストイオンビームのエネルギーを適切な範囲に設定することにより、第一の多結晶薄膜4を良好な配向性をもって成膜することができる。
次いで、図3に示すようなレーザ蒸着装置を用いて、PLD法により、第一の多結晶薄膜4上に第二の多結晶薄膜5と第三の多結晶薄膜6を形成する。
図3は、第二の多結晶薄膜5と第三の多結晶薄膜6を形成するレーザ蒸着装置の一例を示す模式図である。
この例のレーザ蒸着装置は、処理容器30と、この処理容器30の内部の蒸着処理室31に設置されたターゲット支持部32と、基材3を水平状態に設置できる基台33と、真空排気装置34と、レーザ発光装置35とから概略構成されている。
前記レーザ発光装置35は、ターゲット支持部32から構成粒子を叩き出すことができるものであれば、YAGレーザ、COレーザ、エキシマレーザなどのいずれのものを用いてもよい。
前記ターゲット支持部32としては、2種以上のターゲットを固定でき、かつ回転機構が設けられ、レーザ発光装置35からのレーザビームの照射位置に、目的とするターゲットがくるように位置調節できるものが適用できる。
ターゲット支持部32に設置するターゲットとしては、第二の多結晶薄膜形成用のターゲットと、第三の多結晶薄膜形成用のターゲットとを少なくとも用いる。
具体的には、第二の多結晶薄膜形成用のターゲットとしては、上述の第二の多結晶薄膜5を構成する複合酸化物と同一組成あるいは近似組成の複合酸化物が用いられる。
同様に、第三の多結晶薄膜形成用のターゲットしては、上述の第三の多結晶薄膜6を構成する複合酸化物と同一組成あるいは近似組成の複合酸化物が用いられる。
まず、第二の多結晶薄膜5を以下のようにして形成する。
第一の多結晶薄膜4が形成された基材3を、このレーザ蒸着装置の基台33上に設置する。
次いで、蒸着処理室31内を真空ポンプで減圧する。ここで必要に応じて蒸着処理室31に酸素ガスを導入して蒸着処理室31を酸素雰囲気としてもよい。また、基台33に設けられた加熱ヒータを作動させて基材3を所定の温度に加熱する。
次いで、ターゲット支持部32を回転させ、レーザ発光装置35からのレーザビームの照射位置に、第二の多結晶薄膜形成用のターゲットがくるように、ターゲットの位置を調整する。
レーザ発光装置35から発生させたレーザビームを、蒸着処理室31の第二の多結晶薄膜形成用のターゲットに集光照射する。これにより、ターゲットの構成粒子がえぐり出されるか蒸発されて、その粒子が第一の多結晶薄膜4上に堆積し、第二の多結晶薄膜5が形成される。
この際、レーザビームの射出強度を100mJ〜400mJ、パルス周波数を10Hz〜250Hz、蒸着雰囲気圧力を0.1mTorr〜100mTorr程度、基材3の温度を500〜1000℃程度とし、基材3の線速1m/h〜10m/hとして、基材3を移動させながら数回堆積し、所望の膜厚の第二の多結晶薄膜5を形成する。
ここで、構成粒子の堆積の際に、GdZrの第一の多結晶薄膜4が予めc軸配向し、a軸とb軸でも配向しているので、第一の多結晶薄膜4上に形成される第二の多結晶薄膜5の結晶のc軸とa軸とb軸も、第一の多結晶薄膜4に整合するようにエピタキシャル成長して結晶化する。
次いで、第三の多結晶薄膜6を以下のようにして形成する。
ターゲット支持部32を回転させ、レーザ発光装置35からのレーザビームの照射位置に、第三の多結晶薄膜形成用のターゲットがくるように、ターゲットの位置を調整する。
第一の多結晶薄膜4および第二の多結晶薄膜5が形成された基材3を、このレーザ蒸着装置の基台33上に設置する。
次いで、真空ポンプを調整し、蒸着処理室31内の圧力を所望の値とする。ここで必要に応じて蒸着処理室31に酸素ガスを導入して蒸着処理室31を酸素雰囲気としてもよい。また、基台33に設けられた加熱ヒータを調整し、基材3を所定の温度とする。
次いで、レーザ発光装置35から発生させたレーザビームを、蒸着処理室31の第三の多結晶薄膜形成用のターゲットに集光照射する。これにより、ターゲットの構成粒子がえぐり出されるか蒸発されて、その粒子が第二の多結晶薄膜5上に堆積し、第三の多結晶薄膜6が形成される。この第三の多結晶薄膜6の成膜条件は、第二の多結晶薄膜5と同様である。
ここで、構成粒子の堆積の際に、GdZrの第二の多結晶薄膜5が予めc軸配向し、a軸とb軸でも配向しているので、第二の多結晶薄膜5上に形成される第三の多結晶薄膜6の結晶のc軸とa軸とb軸も、第二の多結晶薄膜5に整合するようにエピタキシャル成長して結晶化する。
以上の操作を2回繰り返し、第一の多結晶薄膜4上に、第二の多結晶薄膜5と第三の多結晶薄膜6を交互に、それぞれ2層ずつPLD法により形成する。
以上により、上述した本実施形態の多結晶薄膜1を製造できる。
通常、IBAD法により多結晶薄膜を形成する場合、その成膜速度は数nm/min程度である。これに対して、PLD法により多結晶薄膜を形成する場合、その成膜速度は数100nm/min程度である。
このため、本発明の多結晶薄膜1の製造方法によると、PLD法により第二の多結晶薄膜5と第三の多結晶薄膜6とを形成することによって、従来のIBAD法により多結晶薄膜を形成する場合に比べて、成膜時間を大幅に短縮でき生産効率に優れ、かつ優れた結晶配向性を有する多結晶薄膜1を製造できる。
なお、上述した操作を3回以上繰り返し、第二の多結晶薄膜5と第三の多結晶薄膜6を交互に、それぞれ3層以上PLD法により形成しても構わない。この場合も、本実施形態と同一の作用効果が得られることは言うまでもない。
次に、酸化物超電導薄膜2を形成する方法について、以下に説明する。
図3に示すようなレーザ蒸着装置を用いて、PLD法により、多結晶薄膜1上に酸化物超電導薄膜7を形成する。
酸化物超電導薄膜7の形成においては、ターゲットとして、目的とする組成の酸化物超電導薄膜7と同一組成あるいは近似組成のものなどを用いる。具体的には、上述の酸化物超電導薄膜7を構成する酸化物超電導体と同一組成あるいは近似組成の酸化物超電導体が用いられる。
酸化物超電導薄膜7を形成するには、まず、上述した本発明の多結晶薄膜1が形成された基材3を、このレーザ蒸着装置の基台33上に設置する。
次いで、蒸着処理室31内を真空ポンプで減圧する。ここで必要に応じて蒸着処理室31に酸素ガスを導入して蒸着処理室31を酸素雰囲気としてもよい。また、基台33に設けられた加熱ヒータを作動させて基材3を所定の温度に加熱する。
次いで、レーザ発光装置35から発生させたレーザビームを、蒸着処理室31のターゲットに集光照射する。これにより、ターゲットの構成粒子がえぐり出されるか蒸発されて、その粒子が第三の多結晶薄膜6上に堆積し、酸化物超電導薄膜7が形成されて、酸化物超電導導体2を得る。
ここで、構成粒子の堆積の際に、GdZrの第三の多結晶薄膜6が予めc軸配向し、a軸とb軸でも配向しているので、第三の多結晶薄膜6上に形成される酸化物超電導薄膜7の結晶のc軸とa軸とb軸も、第三の多結晶薄膜6に整合するようにエピタキシャル成長して結晶化する。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[具体例1]
ハステロイテープ基材3上にIBAD法により膜厚1μmのGdZrの第一の多結晶薄膜4を形成した。
そして、この第一の多結晶薄膜4上に、PLD法により膜厚0.3μmのGdZrの第二の多結晶薄膜5を形成した。
このPLD法による第二の多結晶薄膜5の成膜条件は、レーザビームの射出強度が300mJ、パルス周波数が250Hz、真空チャンバー内の圧力が2mTorr、酸素流量2sccm、基材3の温度が800℃、基材3の線速4.5m/hであり、基材3を移動させて成膜した。
次に、第二の多結晶薄膜5上に、膜厚0.3μmのYの第三の多結晶薄膜6を形成した。このPLD法による第三の多結晶薄膜6の成膜条件は、レーザビームの射出強度が300mJ、パルス周波数が250Hz、酸素圧力が26mTorr、基材3の温度が800℃、基材3の線速4.5m/hであり、基材3を移動させて成膜した。
この第二の多結晶薄膜5と第三の多結晶薄膜6を交互にそれぞれ2層積層し、全膜厚が2.2μmの多結晶薄膜1を製造した。
この多結晶薄膜1上に、PLD法により膜厚0.5μmのYBaCuの酸化物超電導薄膜7を形成し、酸化物超電導体2を製造した。
得られた酸化物超電導体2の臨界電流密度(Jc)を測定した結果、1.1MA/cmであり、高い臨界電流密度が得られた。
[具体例2]
ハステロイテープ基材上にIBAD法により膜厚2.2μmのGdZrの多結晶薄膜を形成した。
この多結晶薄膜上に、PLD法により膜厚0.5μmのYBaCuの酸化物超電導薄膜を形成し、酸化物超電導体を製造した。
得られた酸化物超電導体の臨界電流密度(Jc)を測定した結果、1.0MA/cmであった。
具体例2では、多結晶膜をIBAD法でのみ成膜するため、成膜時間が具体例1の数10倍かかってしまった。
具体例1では、PLD法により第二の多結晶薄膜5と第三の多結晶薄膜6を形成することによって、成膜時間を大幅に短縮でき生産効率に優れ、かつ具体例2とほぼ同等の優れた臨界電流密度が実現できた。
[具体例3]
ハステロイテープ基材3上にIBAD法により膜厚1μmのGdZrの第一の多結晶薄膜4を形成した。
そして、この第一の多結晶薄膜4上に、具体例1と同様にしてPLD法により膜厚0.8μmのGdZrの第二の多結晶薄膜5を形成し、更にこの第二の多結晶薄膜5上に、膜厚0.3μmのYの第三の多結晶薄膜6を形成した。
この第二の多結晶薄膜5と第三の多結晶薄膜6を交互にそれぞれ2層積層し、全膜厚が3.2μmの多結晶薄膜1を製造した。
[具体例4]
ハステロイテープ基材上にIBAD法により膜厚1μmのGdZrの第一の多結晶薄膜を形成した。
そして、この第一の多結晶薄膜上に、具体例1と同様にしてPLD法により膜厚1.6μmのGdZrの第二の多結晶薄膜を形成し、更にこの第二の多結晶薄膜上に、膜厚0.6μmのYの第三の多結晶薄膜を形成し、全膜厚が3.2μmの多結晶薄膜を製造した。
具体例3と具体例4において、各薄膜層を形成した後に、その薄膜層表面の面内配向性を測定した。ここで、X線回折法により各薄膜層の極点計測により極図形を測定し、その半価幅を各薄膜層の面内配向性とした。
表1は、具体例3と具体例4における各薄膜層の面内配向性の測定結果を示す。
Figure 2005113220
具体例3では、1層目の第二の多結晶薄膜5の面内配向性は、第一の多結晶薄膜4の面内配向性よりも向上することが分かる。第二の多結晶薄膜5の膜厚を0.3μm〜1μmとすることによって、c軸に垂直な結晶面を選択的にエピタキシャル成長でき、結晶配向性の良好な第二の多結晶薄膜5とすることができることが分かる。
この第二の多結晶薄膜5上に設けられた第三の多結晶薄膜6の面内配向性は、第二の多結晶薄膜5の面内配向性とほぼ同等であり、第三の多結晶薄膜6の膜厚を0.1μm〜0.3μmとすることによって、面内配向性を悪化させずに、面内配向性を維持できることが分かる。
更に、この1層目の第三の多結晶薄膜6上に、2層目の第二の多結晶薄膜5を形成すると、1層目の第二の多結晶薄膜5と同様に、面内配向性が向上しており、第二の多結晶薄膜5と第三の多結晶薄膜6との積層回数が増す毎に面内配向性が向上することが分かる。
このように、第二の多結晶薄膜5と第三の多結晶薄膜6とが、第一の多結晶薄膜4上に交互にそれぞれ2層以上積層された構成とすることによって、結晶配向性を高めることができる。
特に、2層目の第二の多結晶薄膜5と第三の多結晶薄膜6では、面内配向性が5°であり、具体例4の従来の多結晶膜よりも優れた面内配向性が実現できた。
具体例4では、第二の多結晶薄膜の膜厚が1.6μmであり、具体例3の1層目の第二の多結晶薄膜の2倍の膜厚であるが、1μmよりも厚いために結晶配向性が悪化してしまい、結晶配向性が具体例3の1層目の第二の多結晶薄膜と同等となってしまった。
一般に多結晶薄膜は、膜厚を厚くすることによって、結晶配向性を高めることができるが、膜厚が特定の値よりも厚くなると、多結晶薄膜の結晶配向性を所定の値よりも向上させることができないことが分かった。
[具体例5]
ハステロイテープ基材3上にIBAD法により膜厚1μmのGdZrの第一の多結晶薄膜4を形成した。
そして、この第一の多結晶薄膜4上に、PLD法により膜厚0.3μmのGdZrの第二の多結晶薄膜5を形成した。
この第二の多結晶薄膜5の面内配向性を測定した結果、8°であった。
[具体例6]
ハステロイテープ基材3上にIBAD法により膜厚1μmのGdZrの第一の多結晶薄膜4を形成した。
そして、この第一の多結晶薄膜4上に、PLD法により膜厚0.3μmのYの第三の多結晶薄膜6を形成した。
この第三の多結晶薄膜6の面内配向性を測定した結果、9°であった。
第一の多結晶薄膜4の表面上に設けられた第二の多結晶薄膜5の面内配向性(具体例5)が、第一の多結晶薄膜4の表面上に設けられた第三の多結晶薄膜6の面内配向性(具体例6)よりも優れていることが分かる。
このように、第一の多結晶薄膜4の表面上に、第二の多結晶薄膜5を設けることが好ましく、これにより、より優れた面内配向性が実現できる。
本発明の多結晶薄膜を用いることによって、結晶配向性に優れた酸化物超電導体が実現でき、高い臨界電流密度が得られる。このため、高磁束密度を発生させるためのコイルなどの線材に適用できる。
本発明の酸化物超電導導体の一実施形態を示す模式図である。 本発明の多結晶薄膜の製造方法における第一の多結晶膜を形成する装置の一例を示す模式図である。 本発明の多結晶薄膜の製造方法における第二の多結晶膜と第三の多結晶薄膜を形成するレーザ蒸着装置の一例を示す模式図である。
符号の説明
1・・・多結晶薄膜、2・・・酸化物超電導体、3・・・基材、4・・・第一の多結晶薄膜、5・・・第二の多結晶薄膜、6・・・反応抑止膜、7・・・酸化物超電導薄膜

Claims (8)

  1. 金属製の基材上に設けられた第一の多結晶薄膜、該第一の多結晶薄膜と略同一組成の第二の多結晶薄膜、及び第三の多結晶薄膜から構成され、
    前記第一の多結晶薄膜上に、前記第二の多結晶薄膜と前記第三の多結晶薄膜を交互に、それぞれ2層以上積層してなることを特徴とする多結晶薄膜。
  2. 前記第一の多結晶薄膜の表面上に前記第二の多結晶薄膜が設けられたことを特徴とする請求項1に記載の多結晶薄膜。
  3. 前記第一の多結晶薄膜の表面上に前記第三の多結晶薄膜が設けられたことを特徴とする請求項1に記載の多結晶薄膜。
  4. 前記第三の多結晶薄膜の膜厚は、前記第二の多結晶薄膜の膜厚と同等かそれ以下であることを特徴とする請求項1に記載の多結晶薄膜。
  5. 前記第一の多結晶薄膜において、前記基材の表面と平行な面に沿う各結晶粒の同一結晶軸が構成する粒界傾角が、10度以下であることを特徴とする請求項1に記載の多結晶薄膜。
  6. 前記第三の多結晶薄膜が、反応抑止膜であることを特徴とする請求項1に記載の多結晶薄膜。
  7. 金属製の基材上にイオンビームアシスト法により第一の多結晶薄膜を形成する工程と、
    該第一の多結晶薄膜上に、第二の多結晶薄膜と第三の多結晶薄膜を交互に、それぞれ2層以上、パルスレーザ蒸着法により形成する工程とを少なくとも具備することを特徴とする多結晶薄膜の製造方法。
  8. 金属製の基材上に設けられた第一の多結晶薄膜、該第一の多結晶薄膜と略同一組成の第二の多結晶薄膜、及び第三の多結晶薄膜から構成され、前記第一の多結晶薄膜上に、前記第二の多結晶薄膜と前記第三の多結晶薄膜を交互に、それぞれ2層以上積層してなる多結晶薄膜上に、酸化物超電導薄膜を設けてなることを特徴とする酸化物超電導導体。
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