JPH05320882A - 蒸着薄膜の作製法 - Google Patents

蒸着薄膜の作製法

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JPH05320882A
JPH05320882A JP4127495A JP12749592A JPH05320882A JP H05320882 A JPH05320882 A JP H05320882A JP 4127495 A JP4127495 A JP 4127495A JP 12749592 A JP12749592 A JP 12749592A JP H05320882 A JPH05320882 A JP H05320882A
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gas
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vapor
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Yukio Watabe
行男 渡部
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 基板上にセラミック化合物薄膜を蒸着により
作製する方法において、目的とするセラミック化合物薄
膜を構成する金属の少なくとも一つからなるターゲット
に短パルス状のエネルギービームを照射して薄膜を堆積
させる際、雰囲気ガスとして該セラミック化合物の構成
元素を含有するガスと負イオン生成エネルギーが正であ
るガスとの混合ガスを用いることを特徴とする蒸着薄膜
の作製法。 【効果】簡便にセラミック化合物の構成元素を含有する
ガスを活性化することにより、蒸着薄膜に気体構成元素
を取り込み易くして、セラミック化合物蒸着薄膜の特性
を向上することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は蒸着薄膜の作製法に関す
る。詳しくは、原料ターゲットに短パルス状のエネルギ
ービームを照射して蒸発させ所定の基板上にセラミック
薄膜を堆積させる方法に関する。
【0002】
【従来の技術】大出力レーザーをセラミック化合物の薄
膜作製に応用することが近年、盛んに研究開発されてい
る。この薄膜作製方法として、レーザー蒸着法として知
られている方法(例えば、特開平第2−17685号公
報、Applied Physics Letters
第51巻 No.11第861−863頁)があり、
特に1987年以来研究が盛んになった酸化物超伝導体
薄膜の作製に応用することが検討されている。
【0003】ところで、 超伝導遷移温度(Tc)が8
0K以上の超伝導金属化合物薄膜は、公知であり、その
成分は例えばイットリウムなどの希土類元素、バリウム
などのアルカリ土類元素とCu及び酸素からなる。また
このような酸化物超伝導体薄膜は、反応性蒸着法、反応
性分子線エピタキシー(MBE)、 反応性スパッタリ
ング法などにより作製されている。
【0004】これらの方法において、薄膜を堆積しつつ
充分酸素、オゾン等の酸化源を供給し基板を加熱するこ
とにより、後の熱処理なしで所望の超伝導相を形成する
ことが、特に薄膜素子を作製する際には重要である。こ
の目的のためには、基板の周囲の雰囲気を自由に選択で
きるレーザー蒸着法が特に有用であり、近年この研究が
活発に行われている。
【0005】またこの方法は、この超伝導化合物に限ら
ず他の多くのセラミックス、例えば金属元素とN、P、
O、S、Se、Te、F、Cl、Br、I等の 低沸点
元素との化合物の薄膜作製にも有用であると考えられ
る。実際、かかるレーザー蒸着法による酸化物超伝導体
薄膜の作成の研究に刺激され、レーザー蒸着法が酸化物
超伝導体以外の他の酸化物やカルコゲナイドの薄膜作成
にも適用されつつある。
【0006】このレーザー蒸着法は、特にレーザーアブ
レーションと言われる条件では、大きなエネルギー密度
を持ったレーザーパルスをターゲットに照射することに
より、ターゲット材を蒸発させ、基板上にターゲット組
成に近い組成を有する薄膜を作製することができる。図
1はレーザー蒸着装置の一例を示す概略模式図である。
図1を用いて、レーザー蒸着装置を説明しながら、レー
ザー蒸着法についてより詳しく説明する。
【0007】エキシマレーザー発生装置1からの紫外光
11は、窒素パージされた光学ボックス2を通り真空槽
3の窓5を通って真空槽3内に入射される。尚、このレ
ーザーとしては、例えばYAGレーザー等の他の高出力
レーザーを用いてもよい。紫外光11は光学ボックス2
内の集光レンズ4によりターゲット手前に集光され、タ
ーゲット6に照射される。通常、集光レンズ4の材料と
しては人工石英が用いられ、真空槽3の窓材としては1
気圧の圧力差を支える程度の厚みを有し且つこの紫外光
11を透過させうる材料、例えば、人工石英単結晶、M
gF2単結晶、サファイヤ等が用いられる。
【0008】ターゲット6に照射された光はターゲット
表面を局所的に短時間加熱する。例えば、エキシマレー
ザーではパルス幅10〜30nsecが一般的である。
この加熱を受け、ターゲット表面から蒸発が始まる。こ
の蒸発物はターゲット6に対向して配置された基板8上
に向かって放出され、基板上に堆積される。ターゲット
6はこれを支持するターゲットホルダー7により回転可
能であることが好ましく、場合によってはターゲットホ
ルダー7に複数のターゲットを配置し各ターゲットを回
転可能にしてもよく、またターゲット間の位置を交換で
きる機能を有していてもよい。
【0009】また、基板8を保持する基板ホルダー9は
回転可能とするのが好ましく、通常、基板加熱手段を有
する。実際に酸化物薄膜を作製する時には真空槽3には
酸素などの酸化ガスがガス導入口12から供給される。
このレーザー蒸着法によると極めて良好な電気特性、例
えば極めて高い超伝導転移温度や臨界電流密度等が得ら
れることが報告されている。
【0010】かかるレーザー蒸着法で酸化物超伝導体薄
膜や他の酸化物の作製を行う場合には、従来から例えば
酸素の様に、雰囲気ガスとして、酸化物を構成する元素
のうち気体成分元素を含有するガスのみが用いられてき
た。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、レーザ
ー蒸着法ではこの基板とターゲットの距離を十分短く
(5cm程度)しないと高特性の薄膜が得られなかっ
た。このため、極めて狭い範囲しか特性の良い膜が得ら
れない、または、蒸着速度等のモニターを基板とターゲ
ット間に挿入できず膜厚の制御が不十分であるという問
題があった。
【0012】この距離をさらに長くすると雰囲気ガス圧
を下げることが必要であるが、例えば、酸化物を形成す
る場合、酸素分子をそのまま用いると低圧では十分な特
性が得られないので、酸化力の強いオゾンやNO2 、ま
たは、マイクロ波や電界を印加することにより活性の強
い酸素原子等を生成することが試みられてきた。しか
し、これらの方法は危険性が高いまたは、極めて装置が
大掛かりになり高価となるという問題があった。
【0013】本発明者らは、酸素の様な酸化物を構成す
る成分ガスの供給が重要なのでなく、励起された雰囲気
ガスの分子や原子が存在する事が高品質薄膜形成に必要
と考えるに至った。さらに、レーザー蒸着中にターゲッ
ト近くの発光領域に電極を挿入して電場を測定した結
果、レーザー照射直後極めて大きな電場がパルス状に発
生していることが分かった。
【0014】これは、移動度の高い電子と移動度の低い
イオンの間で生じる両極性電場であると考え、レーザー
蒸着のように極く短時間に大エネルギーを照射して蒸発
させる過程にこの両極性電場が不変的に存在すると考え
た。本発明者らはこの電場を利用して、励起原子や分子
を増加させる事を考えた。従来よりスパッタリング蒸着
法等では、アルゴン等の希ガスがスパッタリングガスと
して用いられる。これは、スパッタリングでは本質的に
ターゲットにアルゴンイオン等のイオンを入射させる必
要があり、アルゴンが非活性で負イオンを発生しにくい
ためターゲットと反応せず、また、負イオンを発生し難
いため、電子を補足しにくく放電過程を持続させるのに
好適であるからである。
【0015】本発明者らはレーザー蒸着において、雰囲
気ガスにこの負イオン生成エネルギーが正であるガスを
混合し、励起効果を高め、蒸着薄膜の特性を高めるに至
った。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、基板上
にセラミック化合物の薄膜を蒸着により作製する方法に
おいて、目的とするセラミック化合物薄膜を構成する金
属の少なくとも一つからなるターゲットに短パルス状の
エネルギービームを照射してセラミック化合物薄膜を堆
積させる際、雰囲気ガスとして該セラミック化合物を構
成する元素を含有するガスと負イオン生成エネルギーが
正であるガスとの混合ガスを用いることを特徴とする蒸
着薄膜の作製法に存する。
【0017】本発明の方法により特性に優れた薄膜が得
られることの理由は定かではないが、以下の様な現象に
よるものと推察している。まずターゲットがレーザー照
射されることによりターゲットから電子やイオンが発生
する。これらが雰囲気ガスと衝突し、雰囲気ガスのごく
一部をイオン化する。この時、二つの過程が競合する。
【0018】雰囲気ガスが多ければ、雰囲気ガスがイオ
ン化してより多くの電子が生じ易くなるが、同時に電子
が残りの大部分の原子分子と衝突し負イオンを発生し電
子が消滅する。一方、雰囲気ガスが少ないと、雰囲気ガ
スのイオン化による電子の発生は少なくなるが、電子が
残りの大部分のガスとの衝突で負イオン発生すること
(電子捕獲過程)による電子の消滅割合も減少する。
【0019】電子は、励起ガスやイオンを生成するもと
であるから、できるだけ多く発生し、基板近くに到達す
る方が良いが、上述の競合現象のためガスの種類を一旦
決めると励起ガスを得るのに最適な圧力は決まる。しか
し、これに酸化物を構成する元素を含有する成分ガス
(以下成分ガスという場合がある。)を用いる場合、膜
中に取り込まれるに十分な雰囲気ガス圧が必要である。
【0020】しかし、負イオン生成エネルギーが正であ
るガスを用いると、電子を捕獲しないので、単に電子の
供給源のみ増やすことができる。このため、上述の競合
過程を変え、より励起種の多い雰囲気ガス、特に励起種
の多い成分ガスを増やすことができる。この様な負イオ
ン生成エネルギーが正であるガスの混合割合としては、
まず負イオン生成エネルギーが正であるガス100%、
即ち成分ガスが0%の場合では、蒸着薄膜中の酸素、窒
素等の構成元素が欠損するので、負イオン生成エネルギ
ーが正であるガスのモル比で通常5%〜90%から選ば
れる。さらに好適な範囲としては、10%〜50%がよ
い。
【0021】負イオン生成エネルギーが正であるガスと
しては、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キ
セノンが挙げられるが、経済性の観点からヘリウム、ネ
オン、アルゴンが好ましく使用される。ここで、スパッ
タリングでは原理的に質量の大きい希ガスが好ましい
が、本方法ではその原理がスパッターと異なるのでイオ
ン化さえし易ければ質量が大きい必要はない。ターゲッ
トからの蒸発物を散乱させずに済むという点からはHe
等の軽い希ガスがより好ましい。
【0022】また成分ガスとしては、例えば、酸化物を
形成するのであれば、O2、O3、O、NO2、N2
等、硫黄化合物であれば、S、S2n(n=1〜4)、
SF6 等、セレン化合物であれば、Se、Se2n(n=
1〜4)、SeF6 等、テルル化合物であれば、Te蒸
気、TeF6 等、窒化物であれば、N2、NH3、Nを用
いることができる。
【0023】ターゲットとしては、目的とするセラミッ
ク化合物薄膜と同一組成のセラミック化合物や金属元素
組成が同一である混合物やその焼結体が好ましく用いら
れる。さらに、複数のターゲットにレーザーを照射して
同時蒸着や逐次蒸着する場合は、各ターゲットが少なく
とも目的とする蒸着薄膜の金属元素の一種類以上を含む
ことが重要である。また、これらのターゲットは使用す
るレーザー光を吸収しまた反射が極端に多くないことが
必要である。
【0024】また用いられる短パルス状のエネルギービ
ームとしてはレーザー光線等の電磁波や電子線が挙げら
れ、通常レーザー光線が用いられる。レーザー光の波長
はターゲットに吸収されれば紫外光である必要はない
が、一般に波長が190nm〜350nmの光は多くの
物質に吸収され易く、また、パルス当りの出力の大きな
レーザーが得やすい。このような発生源としては、エキ
シマレーザー、YAGレーザーに非線形光学素子を組合
わせて波長を短くした物、Arイオンレーザー、炭酸ガ
スレーザー等が用いられる。特にエキシマレーザー、Y
AGレーザーに非線形光学素子を組合わせたものが最も
好ましい。
【0025】レーザーの出力はパルスあたり10〜10
00mJ程度が好ましく、重要なのはターゲット上のエ
ネルギー密度であり、0.01〜10J/cm2、一般
的には1J/cm2程度のエネルギー密度のレーザーが
用いられる。このパルス幅は、通常10〜100nse
c程度である。セラミックス化合物薄膜としては、以下
の様な多くのセラミック化合物の薄膜即ち、銅酸化物超
伝導体;例えば、LnBa2Cu27(Ln:希土類元
素)、Bi2Sr2CanCu(n+1)(2n+4+δ)、誘電
体;例えば、LiNbO3、LiTaO3、Si34、半
導体;CdTe、CdSe、ZnO、ZnS、磁性体;
例えば、フェライト酸化物、ガーネット酸化物、窒化鉄
等が挙げられる。
【0026】基板としては、非晶質な蒸着薄膜の作製の
場合には、ガラス、プラスチック、Si、Ge、GaA
s等の化合物半導体や金属でもよいが、多結晶蒸着薄膜
を作製するために基板を室温より加熱する場合は、使用
する基板温度で蒸着薄膜と反応しないことが重要であ
り、サファイヤ基板やYSZ(イットリウム添加ジルコ
ニア酸化物)等の高温でも安定で安価な基板が用いられ
る。また、これらの基板上にさらにMgO、SrTiO
3 等の中間層を形成したものを用いてもよい。単結晶薄
膜を作製するには、さらに蒸着薄膜との格子整合性が重
要であり、例えば、銅酸化物超伝導体では、MgO、S
rTiO3、LaAlO3、NdGaO3等が、NbNで
はMgO、Si等が基板として用いられる。
【0027】本発明は蒸着薄膜中へ成分ガスを充分取り
込むことが重要な場合特に有用であるが、例えば酸素分
子や窒素分子等のように反応性が十分でない雰囲気ガス
を用いる場合に更に有用である。また、通常レーザー照
射直後には、ターゲットから励起された蒸発物が発光を
伴ない放出されるが、これはプルームと呼ばれる。本発
明では、負イオン生成エネルギーが正のガスを混合する
ことにより、雰囲気ガスの活性化を行う。しかし、基板
がこのプルームから離れ過ぎると、励起されたガスが基
板に到達しなくなるため、適性な基板ーターゲット間距
離で蒸着することが好ましい。この最適な基板ーターゲ
ット間距離は雰囲気ガス圧および種類、ターゲット材
料、レーザーパワーにより決まり、プルームが少なくと
も微かに基板に到達するように基板ーターゲット間距離
を調節することが好ましい。
【0028】また、この励起効果をさらに高めるため
に、外部電極を導入し直流または交流電場をターゲット
付近に印加したり、磁場をターゲットに印加することも
好ましい。
【0029】
【実施例】以下実施例と比較例をもとに本発明をさらに
詳細に説明する。 比較例1 99.9%のYBa2Cu37 粉を室温で200kg/
cm2 の圧力を加えてプレスし、空気中で950℃で1
0時間焼結して、焼結体ターゲットを作製した。
【0030】このようにして作製したターゲットを2個
をホルダー上に固定した。MgO単結晶からなる基板と
ターゲット間の距離は8cmとした。基板を約720℃
に加熱し、3×10-6torr以下にした状態で真空槽
内にマスフローメーター(流量計)で流量75sccm
で98mtorrに酸素ガス(純度99.5%)を満た
した(オリフィスを12.5%開)。酸素ガスは基板か
ら約15cm離れたノズルから基板方向に向かって噴出
させた。この状態でレーザーからの出射出力をパルス当
り230mJ、実効2Hzで15分間運転した。ターゲ
ット上のエネルギービーム照射部でパルス当りの平均エ
ネルギー密度は約1J/cm2 になった。
【0031】この条件ではプルームは時々微かに基板に
到達した。蒸着終了後ただちに、真空槽に酸素を1to
rr以上満たし、30分で500℃まで温度を下げ、そ
の後徐冷した。得られた蒸着薄膜の超伝導転移温度は7
0Kであった。 実施例1 比較例1において酸素ガスにArガスを混合して薄膜を
作製した。即ち、酸素源には比較例と同様のものを用
い、マスフローメーターで流量67sccm、Ar源に
は純度99.99%のボンベからマスフローメーターで
14sccm(Arガス:酸素ガス=0.21:1(モ
ル比))を供給した。これを、ガス吹き出し口から約1
m手前の内口径4mmの管内で混合してこの管を通る間
に混合するようにした。この時の圧力は96mtorr
(比較例1と同様に2種類の熱伝導型の真空計で測定)
で比較例1と実質的に同じであった。
【0032】以下比較例1と同じにして蒸着薄膜を作製
した。この条件ではプルームは時々微かに基板に到達し
た。このようにして作製した蒸着薄膜の超伝導転移温度
を測定したところ、76Kであった。 実施例2 同様の実験を繰り返した結果を図2に纏めた。図2では
得られた蒸着薄膜の特性向上を超伝導転移温度で評価し
た結果であり、縦軸は超伝導転移温度、横軸は酸素Ar
混合ガス中のAr分圧である。各薄膜の膜厚は500〜
600Åと見積られている。三角印が上記比較例1およ
び実施例1、2の結果であり、丸印は蒸着後に500℃
で10分保持した場合である。
【0033】図2から分かるように、Ar分圧10%か
ら40%の範囲で超伝導転移温度(Tc)の上昇が認め
られる。これは、膜質が緻密で粒界が少なく酸化が改善
していることを示し、セラミック薄膜作製に本方法が有
効であることを示している。さらに、比較例1と実施例
1の蒸着薄膜のX線回折結果から求めたC軸長を図3に
示す。図3はYBa2Cu37-δのC軸長を各X線回折
指数に対して求めたものであり、縦軸はC軸長、横軸は
X線回折指数を示す。一般に、YBa2Cu37ーδの構
造を維持した場合、C軸長は11.6Åから12.5Å
以内に収まるがこのとき、酸化度(7−δ)とC軸長は
逆相関することが知られている。図2の結果はまさに、
Arを混合したほうが、酸化が進行することを意味して
いる。
【0034】比較例2 99.9%のYBa2Cu37 粉を真空中で870℃で
2時間ホットプレスして焼結体ターゲットを作製した。
このようにして作製したターゲットを2個をホルダー上
に固定した。基板とターゲット間の距離は9.5cmで
あった。MgO単結晶からなる基板を約720℃に加熱
し、3×10-6torr以下にした状態で、真空槽内に
マスフローメーター(流量計)を用いて流量107sc
cmで96mtorrまで酸素(純度99.5%)を満
たした(オリフィスを15.5%開)。酸素ガスは基板
から約15cm離れたノズルから基板方向に向かって噴
出させた。この状態でレーザーからの出射出力をパルス
当り270mJ、実効2Hzで10分間運転した。
【0035】ターゲット上のエネルギービーム照射部で
パルス当りの平均エネルギー密度は約1J/cm2 にな
った。この条件ではプルーム自体は基板に到達しない
が、先端の弱い発光部分は微かに基板に到達した。蒸着
終了後、ただちに真空槽に酸素を1torr以上満た
し、500℃まで30分で温度をさげその後徐冷した。
得られた蒸着薄膜の超伝導転移温度は、72Kであっ
た。
【0036】実施例3 比較例2で、酸素ガスにHeガスを混合して薄膜を作製
した。酸素源には比較例1と同様のものを用い、マスフ
ローメーターで流量93sccm、He源には純度9
9.99%のボンベからマスフローメーターで28sc
cm(Heガス:酸素ガス=0.3:1(モル比))を
供給した。これを、ガス吹き出し口から約1m手前の内
口径約4mmの管内で混合してこの管を通る間に混合す
るようにした。
【0037】この時の圧力は97mtorr(比較例同
様に2種類の熱伝導型の真空計で測定)で比較例と実質
的に同じであった。以下比較例2と同じにして蒸着薄膜
を作製した。この条件ではプルームはプルーム自体は基
板に到達しないが先端の弱い発光部分は微かに基板に到
達した。このようにして作製した蒸着薄膜の超伝導転移
温度を測定したところ、78Kであった。
【0038】
【発明の効果】本発明はレーザー蒸着法により酸化物超
伝導体薄膜等の酸化物薄膜や窒化物薄膜等のセラミック
薄膜を作製する際に安価簡便に薄膜の特性を向上できる
ので工業的に有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で用いるレーザー蒸着装置のー例を示す
模式図。
【図2】本発明の実施例で得られた蒸着薄膜の超伝導転
移温度の酸素−Ar混合ガス中のAr分圧依存性を示す
図。
【図3】本発明の実施例と比較例で得られた蒸着薄膜の
X線回折各インデックスでのC軸長を示す図。
【符号の説明】
1 エキシマレーザー発生装置 2 光学ボックス 3 真空槽 4 集光レンズ 5 紫外光透過窓 6 ターゲット 7 ターゲットホルダー 8 基板 9 基板ホルダー 10 シャッター
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H01L 39/24 ZAA B 8728−4M

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上にセラミック化合物の薄膜を蒸着
    により作製する方法において、目的とするセラミック化
    合物薄膜を構成する金属の少なくとも一つからなるター
    ゲットに短パルス状のエネルギービームを照射してセラ
    ミック化合物薄膜を堆積させる際、雰囲気ガスとして該
    セラミック化合物を構成する元素を含有するガスと負イ
    オン生成エネルギーが正であるガスとの混合ガスを用い
    ることを特徴とする蒸着薄膜の作製法。
  2. 【請求項2】 短パルス状のエネルギービームがレーザ
    ー光であり、セラミック化合物を構成する元素を含有す
    るガスが酸素、窒素、硫黄、セレン、テルルまたは砒素
    を含むガスであり、負イオン生成エネルギーが正である
    ガスがアルゴン、ヘリウムまたはネオンガスであること
    を特徴とする請求項1記載の蒸着薄膜の作製法。
  3. 【請求項3】 エネルギービームがパルス状の紫外レー
    ザー光であり、ターゲットからの蒸発物による発光の先
    端が少なくとも蒸着中一回以上基板に到達することを特
    徴とする請求項1記載の蒸着薄膜の作製法。
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