JP2005314690A - ポリブチレンテレフタレート製フィルム及びシート並びにそれらの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】色調、耐加水分解性、熱安定性、透明性、成形性に優れ、しかも、異物が低減されたポリブチレンテレフタレートから成るフィルム又はシートを提供する。
【解決手段】チタンを含有し且つその量がチタン原子として100ppm以下であり、次の式(1)で規定される活性パラメータXが60以下であるポリブチレンテレフタレートから成るフィルム又はシート。本発明の好ましい態様においては、次の式(3)で規定されるポリブチレンテレフタレートのαが0.80以上である。
【数1】
Figure 2005314690

【数2】
Figure 2005314690

【数3】
Figure 2005314690

【選択図】 なし

Description

本発明は、色調、耐加水分解性、熱安定性、透明性、成形性に優れ、しかも、異物が低減されたポリブチレンテレフタレートから成るフィルム及びシートに関し、詳しくは、厳しい熱履歴を受けた場合でも、品質の低下を抑制することが出来るポリブチレンテレフタレートから成るフィルム及びシートに関する。
熱可塑性ポリエステル樹脂の中で代表的なエンジニアリングプラスチックであるポリブチレンテレフタレートは、成形加工の容易さ、機械的物性、耐熱性、耐薬品性、保香性、その他の物理的、化学的特性に優れていることから、自動車部品、電気・電子部品、精密機器部品などの射出成型品に広く使用されている。近年は、その優れた性質を活かし、フィルム、シート等の分野でも広く使用される様になってきた。
ところで、ポリブチレンテレフタレートから成るフィルムやシートは、原料であるポリブチレンテレフタレートを単独で、または、他の樹脂と混合し、場合によっては、着色剤や離型剤、熱安定剤と共に溶融して製造される。ところが、この際に受ける熱履歴により、着色、分子量低下に伴う機械的強度の低下、異物(フィッシュアイ)生成、分解による末端カルボキシル基濃度の増加などが起こり、商品価値を落とすことが問題になっている。
特に、ポリブチレンテレフタレートより融点の高いポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリアミド、ポリフェニレンサルファイド、溶融粘度の高いポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル等の樹脂と混合してフィルムやシートを成形する際には、より温度の高い成形条件を選択せざるを得ず、上記問題は益々深刻になる。
更に、ポリブチレンテレフタレートを原料とするフィルムやシートの製造においては、廃棄物低減、コスト低減などの要請から、フィルムやシートの形状を整える等の目的で切り取られた部分(いわゆる耳部)、製品としての欠陥を有する部分などをリサイクルして使用することがあり、この様な場合には、更に、熱履歴が増大するため、製品品質に及ぼすダメージは大きくなる。
一方、ポリブチレンテレフタレートの製造には、多くの場合、触媒としてチタン化合物が使用されるが、最終的に得られるポリブチレンテレフタレート中に残存したチタン化合物は、着色、フィシュアイ生成、末端カルボキシル基の増大などを引き起こす。
他方、ポリブチレンテレフタレートの製造中に添加されたチタン触媒は、場合によってはポリブチレンテレフタレートの製造中に失活することがあり、失活したチタン触媒は、フィルムやシート成形中にポリブチレンテレフタレートの末端カルボキシル基濃度の増大を助長しないけれども、異物や透明性の悪化を招く原因となる。
上記の問題を克服するために、重合プロセス内に設置したフィルターを使用し、フィッシュアイ原因物質を取り除き、フィルム中のフィッシュアイを特定量以下にする方法が提案されている(例えば特許文献1参照)。
しかしながら、ポリブチレンテレフタレートの製造に使用されるチタン触媒やその残渣は、たとえフィルターを通過させても、その大部分は除去されず、製品中にそのまま取り込まれるため、上記の方法によっても前記の問題を解決することが出来ない。
特開2003−73488号公報
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであり、その目的は、色調、耐加水分解性、熱安定性、透明性、成形性に優れ、しかも、異物が低減されたポリブチレンテレフタレートから成るフィルム又はシートを提供することにある。また、本発明の他の目的は、厳しい熱履歴を受けた場合でも、品質の低下を抑制することが出来るポリブチレンテレフタレートから成るフィルム又はシートの製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、ポリブチレンテレフタレート中のチタン触媒の含有量とチタン触媒の活性とを特定の範囲に制御することにより、上記の課題を容易に解決し得ることを見出し、本発明の完成に至った。
本発明は、上記の知見に基づき完成されたものであり、その要旨は、チタンを含有し且つその量がチタン原子として100ppm以下であり、次の式(1)で規定される活性パラメータXが60以下であるポリブチレンテレフタレートから成るフィルム又はシートに存する。
Figure 2005314690
Figure 2005314690
本発明の別の要旨は、ポリブチレンテレフタレートとポリエチレンテレフタレートが重量比で1:19〜19:1の範囲で混合された混合ポリエステルから成るフィルム又はシートに存する。
また、本発明の別の要旨は、原料として上記のポリエステルのリサイクル品を使用することを特徴とするフィルム又はシートの製造方法に存する。
本発明によれば、色調、耐加水分解性、熱安定性、透明性、成形性に優れ、しかも、異物が低減されたポリブチレンテレフタレートから成るフィルム又はシートが提供される。また厳しい熱履歴を受けた場合でも、品質の低下を抑制することが出来るポリブチレンテレフタレートから成るフィルム又はシートの製造方法が提供される。
以下、本発明を詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の代表例であり、これらの内容に本発明は限定されるものではない。
本発明におけるポリブチレンテレフタレート(以下、PBTと略記する)とは、テレフタル酸単位および1,4−ブタンジオール単位がエステル結合した構造を有し、ジカルボン酸単位の50モル%以上がテレフタル酸単位から成り、ジオール単位の50モル%以上が1,4−ブタンジオール単位から成る高分子を言う。全ジカルボン酸単位中のテレフタル酸単位の割合は、好ましくは70モル%以上、更に好ましくは80モル%以上、特に好ましくは95モル%以上であり、全ジオール単位中の1,4−ブタンジオール単位の割合は、好ましくは70モル%以上、更に好ましくは80モル%以上、特に好ましくは95モル%以上である。テレフタル酸単位または1,4−ブタンジオール単位が50モル%より少ない場合は、PBTの結晶化速度が低下し、成形性の悪化を招く。
本発明において、テレフタル酸以外のジカルボン酸成分には特に制限はなく、例えば、フタル酸、イソフタル酸、4,4'−ジフェニルジカルボン酸、4,4'−ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4'−ベンゾフェノンジカルボン酸、4,4'−ジフェノキシエタンジカルボン酸、4,4'−ジフェニルスルホンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸などの脂肪族ジカルボン酸などを挙げることが出来る。これらのジカルボン酸成分は、ジカルボン酸として、または、ジカルボン酸エステル、ジカルボン酸ハライド等のジカルボン酸誘導体を原料として、ポリマー骨格に導入できる。
本発明において、1,4−ブタンジオール以外のジオール成分には特に制限はなく、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ジブチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール等の脂肪族ジオール、1,2−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,1−シクロヘキサンジメチロール、1,4−シクロヘキサンジメチロール等の脂環式ジオール、キシリレングリコール、4,4'−ジヒドロキシビフェニル、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン等の芳香族ジオール等を挙げることが出来る。
本発明においては、更に、乳酸、グリコール酸、m−ヒドロキシ安息香酸、p−ヒドロキシ安息香酸、6−ヒドロキシ−2−ナフタレンカルボン酸、p−β−ヒドロキシエトキシ安息香酸などのヒドロキシカルボン酸、アルコキシカルボン酸、ステアリルアルコール、ベンジルアルコール、ステアリン酸、安息香酸、t−ブチル安息香酸、ベンゾイル安息香酸などの単官能成分、トリカルバリル酸、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、没食子酸、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリスリトール等の三官能以上の多官能成分などを共重合成分として使用することが出来る。
本発明におけるPBTは、1,4−ブタンジオールとテレフタル酸(又はテレフタル酸ジアルキル)を原料とし、触媒としてチタン化合物を使用して得られる。
チタン触媒の具体例としては、酸化チタン、四塩化チタン等の無機チタン化合物、テトラメチルチタネート、テトライソプロピルチタネート、テトラブチルチタネート等のチタンアルコラート、テトラフェニルチタネート等のチタンフェノラート等が挙げられる。これらの中ではテトラアルキルチタネートが好ましく、その中ではテトラブチルチタネートが好ましい。
チタンの他に、スズが触媒として使用されていてもよい。スズは、通常、スズ化合物として使用され、その具体例としては、ジブチルスズオキサイド、メチルフェニルスズオキサイド、テトラエチルスズ、ヘキサエチルジスズオキサイド、シクロヘキサヘキシルジスズオキサイド、ジドデシルスズオキサイド、トリエチルスズハイドロオキサイド、トリフェニルスズハイドロオキサイド、トリイソブチルスズアセテート、ジブチルスズジアセテート、ジフェニルスズジラウレート、モノブチルスズトリクロライド、トリブチルスズクロライド、ジブチルスズサルファイド、ブチルヒドロキシスズオキサイド、メチルスタンノン酸、エチルスタンノン酸、ブチルスタンノン酸などが挙げられる。
スズはPBTの色調を悪化させるため、その添加量はスズ原子として、通常200ppm以下、好ましくは100ppm以下、更に好ましくは10ppm以下、中でも添加しないことが好ましい。
また、チタンの他に、酢酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、マグネシウムアルコキサイド、燐酸水素マグネシウム等のマグネシウム化合物、酢酸カルシウム、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、酸化カルシウム、カルシウムアルコキサイド、燐酸水素カルシウム等のカルシウム化合物の他、三酸化アンチモン等のアンチモン化合物、二酸化ゲルマニウム、四酸化ゲルマニウム等のゲルマニウム化合物、マンガン化合物、亜鉛化合物、ジルコニウム化合物、コバルト化合物、正燐酸、亜燐酸、次亜燐酸、ポリ燐酸、それらのエステルや金属塩などの燐化合物、水酸化ナトリウム、安息香酸ナトリウム等の反応助剤を使用してもよい。
本発明におけるPBTの特徴の1つは、チタンを含有し且つその量がチタン原子として100ppm以下である点にある。上記の値はPBTに対する原子の重量比である。なお、以下の記載においてppmは重量基準を意味する。
本発明において、上記のチタン含有量の下限は、通常10ppm、好ましくは15ppm、更に好ましくは20ppm、特に好ましくは25ppmであり、上限は、好ましくは80ppm、更に好ましくは70ppm、一層好ましくは50ppm、特に好ましくは40ppm、中でも33ppmが好適である。チタンの含有量が多過ぎる場合は、フィルムやシートを製造する際の熱履歴により、色調の悪化、末端カルボキシル基濃度の増大による耐加水分解性などの悪化を招き、少な過ぎる場合は、PBTの重合性が悪化するため、結果的に重合温度を上げる必要があり、色調の悪化や耐加水分解性の悪化を招く。
チタン原子などの含有量は、湿式灰化などの方法でポリマー中の金属を回収した後、原子発光、原子吸光、ICP(inductively coupled plasma)等の方法を使用して測定することが出来る。
本発明におけるPBTの他の特徴は、次の式(1)で規定される活性パラメータXが60以下である点にある。
Figure 2005314690
Figure 2005314690
本発明において、上記の活性パラメータXの下限は、通常1、好ましくは5、更に好ましくは10、特に好ましくは15であり、上限は、好ましくは50、更に好ましくは40、特に好ましくは33である。活性パラメータXが大きすぎる場合は、フィルムやシートを製造する際の熱履歴により、色調の悪化、末端カルボキシル基濃度の増大による耐加水分解性などの悪化を招き、少な過ぎる場合はPBTの重合性が悪化するため、結果的に重合温度を上げる必要があり、色調の悪化や耐加水分解性の悪化を招く。
本発明におけるPBTは、次の式(3)で規定されるαが0.80以上であることが好ましい。
Figure 2005314690
本発明におけるαは、PBT中に含まれるチタンの内、活性を持つチタンの割合を表す指標であり、αが高いほどチタン触媒の失活が少ない。αの値が0.80未満の場合は、フィルムやシートのヘイズの上昇(透明性の悪化)、異物の増加、色調の悪化を招く。αの値は、好ましくは0.85以上、更に好ましくは0.90以上、特に好ましくは0.95以上である。
末端カルボキシル基濃度の時間変化の評価は、酸素による影響を防ぐため、窒素雰囲気下で行い、また、評価するPBT中の水分濃度が高いと加水分解反応が多く起こって、加水分解によらない触媒活性が関与した分解挙動を正確に把握するのが難しくなるため、水分濃度は低い方が好ましく通常300ppm以下で行う。更に、評価温度(T)が高過ぎると末端カルボキシル基濃度の上昇速度が大き過ぎ、また、末端カルボキシル基が生成する以外の副反応が併発するため評価が不正確になる傾向があり、逆に低過ぎても末端カルボキシル基濃度の上昇速度が小さ過ぎ、評価が不正確になる傾向があるため、503〜523K(230〜250℃)が適当である。また、評価時間(熱処理時間)は、長すぎても短すぎても値が不正確になる傾向があるため、通常、30〜60分を上限とし、経時的に複数のデータを取得することが推奨される。当該熱処理条件では、PBTに含まれる水分が引き起こす加水分解反応以外の反応による数平均分子量の低下は無視することが可能で、加水分解反応による末端カルボキシル基濃度の上昇分は、熱処理前後の末端水酸基濃度の上昇分と略等しいと見なせるため、加水分解反応以外の熱分解反応による末端カルボキシル基濃度の上昇分は以下の式(4)で求めることが出来る。
Figure 2005314690
PBTの末端カルボキシル基濃度は、PBTを有機溶媒などに溶解し、水酸化ナトリウム溶液などのアルカリ溶液を使用して滴定することにより求めることが出来る。また、末端水酸基濃度はH−NMRによって定量することが出来る。
本発明のフィルム又はシートに使用されるPBTの末端カルボキシル基濃度は、通常0.1〜50μeq/g、好ましくは1〜40μeq/g、更に好ましくは1〜30μeq/g、特に好ましくは1〜25μeq/gである。末端カルボキシル基濃度が高すぎる場合は耐加水分解性が悪化する。
また、フィルムやシートの成型時の熱履歴でPBTのカルボキシル基末端は増加する傾向にある一方で、他のカルボキシル末端が少ない樹脂と混合されている場合には、フィルムやシートの単位重量当たりの末端カルボキシル基は減少するケースもあるが、最終的な製品であるフィルムやシートでの末端カルボキシル基濃度は、他の樹脂の重量も含めたフィルムやシートの単位重量当たり、通常0.1〜50μeq/g、好ましくは1〜40μeq/g、更に好ましくは1〜30μeq/g、特に好ましくは1〜25μeq/gである。
また、本発明におけるPBTの末端ビニル基濃度は、通常0.1〜15μeq/g、好ましくは0.5〜10μeq/g、更に好ましくは1〜8μeq/gである。末端ビニル基濃度が高すぎる場合は、色調悪化の原因となる。成型時の熱履歴により、末端ビニル基濃度は更に上昇する傾向にあるため、成形温度が高い場合や、リサイクル工程を有する製造方法の場合には、更に色調悪化が顕著となる。
PBTの末端には、水酸基、カルボキシル基、ビニル基の他に、原料由来のメトキシカルボニル基が残存していることがあり、特に、テレフタル酸ジメチルを原料とする場合には多く残存することがある。ところで、メトキシカルボニル末端は、フィルムやシートの成型時による熱により、メタノール、ホルムアルデヒド、蟻酸を発生し、特に、食品用途に使用される場合には、これらの毒性が問題になる。また、蟻酸は金属製の成形機器やこれに付随する真空関連機器などを痛めることがある。そこで、本発明における末端メトキシカルボニル基濃度は、好ましくは0.5μeq/g以下、更に好ましくは0.3μeq/g以下、特に好ましくは0.2μeq/g以下、最適には0.1μeq/g以下である。
上記の各末端基濃度は、重クロロホルム/ヘキサフルオロイソプロパノール=7/3(体積比)の混合溶媒にPBTを溶解させ、H−NMRを測定することによって定量することが出来る。この際、溶媒シグナルとの重なりを防ぐため、重ピリジン等の塩基性成分などを極少量添加してもよい。
本発明におけるPBTの固有粘度は、通常0.6〜2.5dL/g、好ましくは0.8〜2.0dL/g、更に好ましくは1.1〜2.0dL/g、特に好ましくは1.2〜1.5dL/gである。固有粘度が0.6dL/g未満の場合は成形品の機械的強度が不十分となり、2.5dL/gを超える場合は溶融粘度が高くなり、流動性が悪化して、成形性や製品の表面性が悪化する傾向にある。上記の固有粘度は、フェノール/テトラクロロエタン(重量比1/1)の混合液を溶媒とし、30℃で測定した値である。
本発明におけるPBTの溶液ヘイズは、特に制限されないが、フェノール/テトラクロロエタン混合液(重量比3/2)20mLにPBT2.7gを溶解させて測定した際の溶液ヘイズとして、通常10%以下、好ましくは5%以下、更に好ましくは3%以下、特に好ましくは1%以下である。溶液ヘイズが高い場合は、透明性が悪化し、異物も増加する傾向があるため、フィルムやシートの透明性悪化を招き、商品価値を著しく落とす。溶液ヘイズは、チタン触媒の失活が大きい場合に上昇する傾向がある。
次に、本発明におけるPBTの製造方法について説明する。PBTの製造方法は、原料面から、ジカルボン酸を主原料として使用するいわゆる直接重合法と、ジカルボン酸ジアルキルを主原料として使用するエステル交換法とに大別される。前者は初期のエステル化反応で水が生成し、後者は初期のエステル交換反応でアルコールが生成するという違いがある。
また、PBTの製造方法は、原料供給またはポリマーの払い出し形態から回分法と連続法に大別される。初期のエステル化反応またはエステル交換反応を連続操作で行って、それに続く重縮合を回分操作で行ったり、逆に、初期のエステル化反応またはエステル交換反応を回分操作で行って、それに続く重縮合を連続操作で行う方法もある。
本発明においては、原料の入手安定性、留出物の処理の容易さ、原料原単位の高さ、本発明による改良効果という観点から、直接重合法が好ましい。また、本発明においては、生産性や製品品質の安定性、本発明による改良効果の観点から、連続的に原料を供給し、連続的にエステル化反応またはエステル交換反応を行う方法を採用するのが好ましい。そして、本発明においては、エステル化反応またはエステル交換反応に続く重縮合反応も連続的に行ういわゆる連続法が好ましい。
本発明においては、好ましくは、エステル化反応槽(又はエステル交換反応槽)にて、チタン触媒の存在下、少なくとも一部の1,4−ブタンジオールをテレフタル酸(又はテレフタル酸ジアルキル)とは独立にエステル化反応槽(又はエステル交換反応槽)に供給しながら、テレフタル酸(又はテレフタル酸ジアルキル)と1,4−ブタンジオールとを連続的にエステル化(又はエステル交換)する工程を採用する。
すなわち、本発明においては、触媒に由来するヘイズや異物を低減し、触媒活性を低下させないため、原料スラリー又は溶液として、テレフタル酸またはテレフタル酸ジアルキルエステルと共に供給される1,4−ブタンジオールとは別に、しかも、テレフタル酸またはテレフタル酸ジアルキルとは独立に1,4−ブタンジオールをエステル化反応槽またはエステル交換反応槽に供給する。以後、当該1,4−ブタンジオールを「別供給1,4−ブタンジオール」と称することがある。
上記の「別供給1,4−ブタンジオール」には、プロセスとは無関係の新鮮な1,4−ブタンジオールを当てることが出来る。また、「別供給1,4−ブタンジオール」は、エステル化反応槽またはエステル交換反応槽から留出した1,4−ブタンジオールをコンデンサ等で捕集し、そのまま、または、一時タンク等へ保持して反応槽に還流させたり、不純物を分離、精製して純度を高めた1,4−ブタンジオールとして供給することも出来る。以後、コンデンサ等で捕集された1,4−ブタンジオールから構成される「別供給1,4−ブタンジオール」を「再循環1,4−ブタンジオール」と称することがある。資源の有効活用、設備の単純さの観点からは、「再循環1,4−ブタンジオール」を「別供給1,4−ブタンジオール」に当てることが好ましい。
また、通常、エステル化反応槽またはエステル交換反応槽より留出した1,4−ブタンジオールは、1,4−ブタンジオール成分以外に、水、アルコール、THF、ジヒドロフラン等の成分を含んでいる。従って、上記の留出物した1,4−ブタンジオールは、コンデンサ等で捕集した後、または、捕集しながら、水、アルコール、テトラヒドロフラン等の成分と分離、精製し、反応槽に戻すことが好ましい。
そして、本発明においては、「別供給1,4−ブタンジオール」の内、10重量%以上を反応液液相部に直接戻すことが好ましい。ここで、反応液液相部とは、エステル化反応槽またはエステル交換反応槽中の気液界面の液相側を示し、反応液液相部に直接戻すとは、配管などを使用して「別供給1,4−ブタンジオール」が気相部を経由せずに直接液相部分に供給されることを表す。反応液液相部に直接戻す割合は、好ましくは30重量%以上、更に好ましくは50重量%以上、特に好ましくは80重量%以上、最も好ましくは90重量%以上である。反応液液相部に直接戻す「別供給1,4−ブタンジオール」が少ない場合は、チタン触媒が失活する傾向にある。
また、反応器に戻す際の「別供給1,4−ブタンジオール」の温度は、通常50〜220℃、好ましくは100〜200℃、更に好ましくは150〜190℃である。「別供給1,4−ブタンジオール」の温度が高過ぎる場合はTHFの副生量が多くなる傾向にあり、低過ぎる場合は熱負荷が増すためエネルギーロスを招く傾向がある。
また、本発明においては、触媒の失活を防ぐため、エステル化反応(又はエステル交換反応)に使用されるチタン触媒の内、10重量%以上をテレフタル酸(又はテレフタル酸ジアルキル)とは独立に反応液液相部に直接供給することが好ましい。ここで、反応液液相部とは、エステル化反応槽またはエステル交換反応槽中の気液界面の液相側を示し、反応液液相部に直接供給するとは、配管などを使用し、チタン触媒が反応器の気相部を経由せずに直接液相部分に供給されることを表す。反応液液相部に直接添加するチタン触媒の割合は、好ましくは30重量%以上、更に好ましくは50重量%以上、特に好ましくは80重量%以上、最も好ましくは90重量%以上である。
上記のチタン触媒は、溶媒などに溶解させたり又は溶解させずに直接エステル化反応槽またはエステル交換反応槽の反応液液相部に供給することも出来るが、供給量を安定させ、反応器の熱媒ジャケット等からの熱による変性などの悪影響を軽減するためには、1,4−ブタンジオール等の溶媒で希釈することが好ましい。この際の濃度は、溶液全体に対するチタン触媒の濃度として、通常0.01〜20重量%、好ましくは0.05〜10重量%、更に好ましくは0.08〜8重量%である。また、異物低減の観点から、溶液中の水分濃度は、通常0.05〜1.0重量%である。溶液調製の際の温度は、失活や凝集を防ぐ観点から、通常20〜150℃、好ましくは30〜100℃、更に好ましくは40〜80℃である。また、触媒溶液は、劣化防止、析出防止、失活防止の点から、別供給1,4−ブタンジオールと配管などで混合してエステル化反応槽またはエステル交換反応槽に供給することが好ましい。
直接重合法を採用した連続法の一例は、次の通りである。すなわち、テレフタル酸を主成分とする前記ジカルボン酸成分と1,4−ブタンジオールを主成分とする前記ジオール成分とを原料混合槽で混合してスラリーとし、単数または複数のエステル化反応槽内で、チタン触媒の存在下に、通常180〜260℃、好ましくは200〜245℃、更に好ましくは210〜235℃の温度、また、通常10〜133kPa、好ましくは13〜101kPa、更に好ましくは60〜90kPaの圧力(絶対圧力、以下同じ)下で、通常0.5〜10時間、好ましくは1〜6時間で、連続的にエステル化反応させ、得られたエステル化反応生成物としてのオリゴマーを重縮合反応槽に移送し、単数または複数の重縮合反応槽内で、重縮合触媒の存在下に、好ましくは連続的に、通常210〜280℃、好ましくは220〜265℃の温度、通常27kPa以下、好ましくは20kPa以下、更に好ましくは13kPa以下の減圧下で、攪拌下に、通常2〜15時間、好ましくは3〜10時間で重縮合反応させる。重縮合反応により得られたポリマーは、通常、重縮合反応槽の底部からポリマー抜き出しダイに移送されてストランド状に抜き出され、水冷されながら又は水冷後、カッターで切断され、ペレット状、チップ状などの粒状体とされる。
直接重合法の場合は、テレフタル酸と1,4−ブタンジオールとのモル比は、以下の式(5)を満たすことが好ましい。
Figure 2005314690
上記の「エステル化反応槽に外部から供給される1,4−ブタンジオール」とは、原料スラリー又は溶液として、テレフタル酸またはテレフタル酸ジアルキルと共に供給される1,4−ブタンジオールの他、これらとは独立に供給する1,4−ブタンジオール、触媒の溶媒として使用される1,4−ブタンジオール等、反応槽外部から反応槽内に入る1,4−ブタンジオールの総和である。
上記のB/TPAの値が1.1より小さい場合は、転化率の低下や触媒失活を招き、5.0より大きい場合は、熱効率が低下するだけでなく、テトラヒドロフラン等の副生物が増大する傾向にある。B/TPAの値は、好ましくは1.5〜4.5、更に好ましくは2.5〜4.0、特に好ましくは3.1〜3.8である。
エステル交換法を採用した連続法の一例は、次の通りである。すなわち、単数または複数のエステル交換反応槽内で、チタン触媒の存在下に、通常110〜260℃、好ましくは140〜245℃、更に好ましくは180〜220℃の温度、また、通常10〜133kPa、好ましくは13〜120kPa、更に好ましくは60〜101kPaの圧力下で、通常0.5〜5時間、好ましくは1〜3時間で、連続的にエステル交換反応させ、得られたエステル交換反応生成物としてのオリゴマーを重縮合反応槽に移送し、単数または複数の重縮合反応槽内で、重縮合反応触媒の存在下に、好ましくは連続的に、通常210〜280℃、好ましくは220〜265℃の温度、通常27kPa以下、好ましくは20kPa以下、更に好ましくは13kPa以下の減圧下で、攪拌下に、通常2〜15時間、好ましくは3〜10時間で重縮合反応させる。
エステル交換法の場合、テレフタル酸ジアルキルと1,4−ブタンジオールとのモル比は、次の式(6)を満たすことが好ましい。
Figure 2005314690
上記のB/DATの値が1.1より小さい場合は、転化率の低下や触媒活性の低下を招き、2.5より大きい場合は、熱効率が低下するだけでなく、テトラヒドロフラン等の副生物が増大する傾向にある。B/DATの値は、好ましくは1.1〜1.8、更に好ましくは1.2〜1.5である。
本発明において、エステル化反応またはエステル交換反応は、反応時間短縮のため、1,4−ブタンジオールの沸点以上の温度で行うことが好ましい。1,4−ブタンジオールの沸点は反応の圧力に依存するが、101.1kPa(大気圧)では230℃、50kPaでは205℃である。
エステル化反応槽またはエステル交換反応槽としては、公知のものが使用でき、縦型攪拌完全混合槽、縦型熱対流式混合槽、塔型連続反応槽などの何れの型式であってもよく、また、単数槽としても、同種もしくは異種の槽を直列または並列させた複数槽としてもよい。中でも、攪拌装置を有する反応槽が好ましく、攪拌装置としては、動力部、軸受、軸、攪拌翼から成る通常のタイプの他、タービンステーター型高速回転式攪拌機、ディスクミル型攪拌機、ローターミル型攪拌機などの高速回転するタイプも使用することが出来る。
攪拌の形態は、特に制限されず、反応槽中の反応液を反応槽の上部、下部、横部などから直接攪拌する通常の攪拌方法の他、配管などで反応液の一部を反応器の外部に持ち出してラインミキサ−等で攪拌し、反応液を循環させる方法も採ることが出来る。
攪拌翼の種類は、公知のものが選択でき、具体的には、プロペラ翼、スクリュー翼、タービン翼、ファンタービン翼、デイスクタービン翼、ファウドラー翼、フルゾーン翼、マックスブレンド翼などが挙げられる。
PBTの製造においては、通常、複数の反応槽を使用し、好ましくは2〜5の反応槽を使用し、順次に分子量を上昇させていく。通常、初期のエステル化反応またはエステル交換反応に引き続き、重縮合反応が行われる。
PBTの重縮合反応工程は、単数の反応槽を使用しても、複数の反応槽を使用してもよいが、好ましくは複数の反応槽を使用する。反応槽の形態は、縦型攪拌完全混合槽、縦型熱対流式混合槽、塔型連続反応槽などの何れの型式であってもよく、また、これらを組み合わせることも出来る。中でも、攪拌装置を有する反応槽が好ましく、攪拌装置としては、動力部、軸受、軸、攪拌翼から成る通常のタイプの他、タービンステーター型高速回転式攪拌機、ディスクミル型攪拌機、ローターミル型攪拌機などの高速回転するタイプも使用することが出来る。
攪拌の形態は、特に制限されず、反応槽中の反応液を反応槽の上部、下部、横部などから直接攪拌する通常の攪拌方法の他、配管などで反応液の一部を反応器の外部に持ち出してラインミキサ−等で攪拌し、反応液を循環させる方法も採ることが出来る。中でも、少なくとも重縮合反応槽の1つは、水平方向に回転軸を有する表面更新とセルフクリーニング性に優れた横型の反応器を使用することが推奨される。
また、着色や劣化を抑え、ビニル基などの末端の増加を抑制するため、少なくとも1つの反応槽において、通常1.3kPa以下、好ましくは0.5kPa以下、更に好ましくは0.3kPa以下の高真空下で、通常225〜255℃、好ましくは230〜250℃、更に好ましくは233〜245℃の温度で行うのがよい。
更に、PBTの重縮合反応工程は、一旦、溶融重縮合で比較的分子量の小さい、例えば、固有粘度0.1〜1.0dL/g程度のPBTを製造した後、引き続き、PBTの融点以下の温度で固相重縮合(固相重合)させることも出来る。
本発明におけるPBTは、触媒由来の異物が飛躍的に低減されているため、当該異物を除去しなくてもよいが、ポリマー前駆体やポリマーの流路にフィルターを設置することにより、更に品質の優れたポリマーが得られる。本発明においては、上述の理由により、従来のPBTの製造設備で使用されているものと同じ目開きのフィルターを使用した場合は、その交換までの寿命を長くすることが可能である。また、交換までの寿命を同じに設定するならば、更に目開きの小さいフィルターを設置することが可能になる。
フィルターの設置位置が製造プロセスの余りにも上流側の場合は、下流側で発生する異物の除去が行えず、下流側の粘度が高い所ではフィルターの圧力損失が大きくなり、流量を維持するためには、フィルターの目開きを大きくしたり、フィルターの濾過面積や配管などの設備を過大にする必要があったり、また、流体通過時に高剪断を受けるため、剪断発熱によるPBTの劣化が不可避となる。従って、フィルターの設置位置は、PBT又はその前駆体の固有粘度が通常0.1〜1.2dL/g、好ましくは0.2〜1.0dL/g、更に好ましくは0.5〜0.9dL/gの位置が選択される。
フィルターを構成する濾材としては、金属ワインド、積層金属メッシュ、金属不織布、多孔質金属板などの何れでもよいが、濾過精度の観点から、積層金属メッシュ又は金属不織布が好ましく、特に、その目開きが焼結処理により固定されているものが好ましい。フィルターの形状としては、バスケットタイプ、ディスクタイプ、リーフディスクタイプ、チューブタイプ、フラット型円筒タイプ、プリーツ型円筒タイプ等の何れの型式であってもよい。また、プラントの運転に影響を与えない様にするため、複数のフィルターを設置し、切り替えて使用できる構造にしたり、オートスクリーンチェンジャーを設置することが好ましい。
フィルターの絶対濾過精度は、特に制限されないが、通常0.5〜200μm、好ましくは1〜100μm、更に好ましくは5〜50μm、特に好ましくは10〜30μmである。絶対濾過精度が大きすぎる場合は製品中の異物低減効果がなくなり、小さすぎる場合は生産性の低下やフィルター交換頻度の増大を招く。絶対濾過精度とは、粒径が既知で且つ揃ったガラスビーズ等の標準粒径品を使用して濾過テストを行った場合に、完全に濾別除去される場合の最低粒径を示す。
以下、添付図面に基づき、PBTの製造方法の好ましい実施態様を説明する。
図1は、本発明で採用するエステル化反応工程またはエステル交換反応工程の一例の説明図、図2は、本発明で採用する重縮合工程の一例の説明図である。
図1において、原料のテレフタル酸は、通常、原料混合槽(図示せず)で1,4−ブタンジオールと混合され、原料供給ライン(1)からスラリー又は液体の形態で反応槽(A)に供給される。一方、チタン触媒は、好ましくは触媒調整槽(図示せず)で1,4−ブタンジオールの溶液とした後、触媒供給ライン(3)から供給される。図1では再循環1,4−ブタンジオールの再循環ライン(2)に触媒供給ライン(3)を連結し、両者を混合した後、反応槽(A)の液相部に供給する態様を示した。
反応槽(A)から留出するガスは、留出ライン(5)を経て精留塔(C)で高沸成分と低沸成分とに分離される。通常、高沸成分の主成分は1,4−ブタンジオールであり、低沸成分の主成分は、直接重合法の場合は水およびTHFである。
精留塔(C)で分離された高沸成分は抜出ライン(6)から抜き出され、ポンプ(D)を経て、一部は再循環ライン(2)から反応槽(A)に循環され、一部は循環ライン(7)から精留塔(C)に戻される。また、余剰分は抜出ライン(8)から外部に抜き出される。一方、精留塔(C)で分離された軽沸成分はガス抜出ライン(9)から抜き出され、コンデンサ(G)で凝縮され、凝縮液ライン(10)を経てタンク(F)に一時溜められる。タンク(F)に集められた軽沸成分の一部は、抜出ライン(11)、ポンプ(E)及び循環ライン(12)を経て精留塔(C)に戻され、残部は、抜出ライン(13)を経て外部に抜き出される。コンデンサ(G)はベントライン(14)を経て排気装置(図示せず)に接続されている。反応槽(A)内で生成したオリゴマーは、抜出ポンプ(B)及び抜出ライン(4)を経て抜き出される。
図1に示す工程においては、再循環ライン(2)に触媒供給ライン(3)が連結されているが、両者は独立していてもよい。また、原料供給ライン(1)は反応槽(A)の液相部に接続されていてもよい。
図2において、前述の図1に示す抜出ライン(4)から供給されたオリゴマーは、第1重縮合反応槽(a)で減圧下に重縮合されてプレポリマーとなった後、抜出用ギヤポンプ(c)及び抜出ライン(L1)を経て第2重縮合反応槽(d)に供給される。第2重縮合反応槽(d)では、通常、第1重縮合反応槽(a)よりも低い圧力で更に重縮合が進みポリマーとなる。得られたポリマーは、抜出用ギヤポンプ(e)及び抜出ライン(L3)を経て、第3重縮合槽(k)に供給される。第3重縮合反応槽(k)は、複数個のブロックで構成され、2軸のセルフクリーニングタイプの攪拌翼を具備した横型の反応槽である。抜出ライン(L3)を通じて第2重縮合反応槽(d)から第3重縮合反応槽(k)へ導入されたポリマーは、ここで更に重縮合が進められた後、抜出用ギヤポンプ(m)及び抜出ライン(L5)を経て、ダイスヘッド(g)から溶融したストランドの形態で抜き出され、水などで冷却された後、回転式カッター(h)で切断されてペレットとなる。符号(L2)、(L4)、(L6)はそれぞれ第1重縮合反応槽(a)、第2重縮合反応槽(d)、第3重縮合反応槽(k)のベントラインである。
本発明におけるPBTには、2,6−ジ−t−ブチル−4−オクチルフェノール、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3’,5’−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕等のフェノール化合物、ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ペンタエリスリチル−テトラキス(3−ラウリルチオジプロピオネート)等のチオエーテル化合物、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト等の燐化合物などの抗酸化剤、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ポリエチレンワックス、モンタン酸やモンタン酸エステルに代表される長鎖脂肪酸およびそのエステル、シリコーンオイル等の離型剤などを添加してもよい。
本発明におけるPBTには、難燃性を付与するために難燃剤を配合することが出来る。難燃剤としては、特に制限されず、例えば、有機ハロゲン化合物、アンチモン化合物、リン化合物、その他の有機難燃剤、無機難燃剤などが挙げられる。有機ハロゲン化合物としては、例えば、臭素化ポリカーボネート、臭素化エポキシ樹脂、臭素化フェノキシ樹脂、臭素化ポリフェニレンエーテル樹脂、臭素化ポリスチレン樹脂、臭素化ビスフェノールA、ポリペンタブロモベンジルアクリレート等が挙げられる。アンチモン化合物としては、例えば、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、アンチモン酸ソーダ等が挙げられる。リン化合物としては、例えば、リン酸エステル、ポリリン酸、ポリリン酸アンモニウム、赤リン等が挙げられる。その他の有機難燃剤としては、例えば、メラミン、シアヌール酸などの窒素化合物などが挙げられる。その他の無機難燃剤としては、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ケイ素化合物、ホウ素化合物などが挙げられる。
本発明におけるPBTには、必要に応じ、慣用の添加剤などを配合することが出来る。斯かる添加剤としては、特に制限されず、例えば、酸化防止剤、耐熱安定剤などの安定剤の他、滑剤、離型剤、触媒失活剤、結晶核剤、結晶化促進剤などが挙げられる。これらの添加剤は、重合途中または重合後に添加することが出来る。更に、PBTに、所望の性能を付与するため、紫外線吸収剤、耐候安定剤などの安定剤、染顔料などの着色剤、帯電防止剤、発泡剤、可塑剤、耐衝撃性改良剤などを配合することが出来る。
本発明におけるPBTには、必要に応じて、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリメタクリル酸エステル、ABS樹脂、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリエチレンテレフタレート、液晶ポリエステル、ポリアセタール、ポリフェニレンエーテル等の熱可塑性樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂を配合することが出来る。これらの熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂は、2種以上を組み合わせて使用することも出来る。
中でも、使用するPBTより融点の高い樹脂や、溶融粘度の高い樹脂と組み合わせて使用した場合は、成型温度を高くする必要があるため、本発明の改良効果が大きい。これらの樹脂の具体例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)、テレフタル酸、イソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸やメタキシリレンジアミン等の芳香環を有するジアミンを原料の一部として使用した半芳香族ナイロン等のポリアミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリフェニレンエーテル、ポリカーボネート等が挙げられ、中でも、相溶性や機械的物性の観点から、ポリエステル、ポリカーボネートが好ましく、特にはポリエチレンテレフタレートが好ましい。これらの樹脂とPBTの混合比は、特に制限されないが、重量比として、通常1/99〜99/1、好ましくは1/49〜49/1、更に好ましくは1/19〜19/1、特に好ましくは1/9〜9/1である。
前記の種々の添加剤や樹脂の配合方法は、特に制限されないが、ベント口から脱揮できる設備を有する1軸または2軸の押出機を混練機として使用してフィルムやシートの成形加工前にあらかじめ製造しておく方法や、フィルムやシートの成型時にドライブレンドする方法が挙げられる。各成分は、付加的成分を含めて、混練機や成形機に一括して供給することが出来、あるいは、順次供給することも出来る。
本発明のフィルム又はシートは、色調、耐加水分解性、熱安定性、透明性、成形性に優れており、特に、成形温度が高い場合や、リサイクル工程を有する製造法を使用する場合に改良効果が顕著である。なお、本発明においてフィルムとシートは何れも2次元的に広がった成形体を示すが、その境界の厚さは1/100インチ(0.254mm)である。PBTでは、この厚さを境に用途が異なることが多い。
本発明のフィルム又はシートの製造法それ自体は、特に限定は無く、公知の種々の方法を採用することが出来る。例えば、PBT樹脂を乾燥後、押出機にて加熱溶融し、平板状に押し出し、ロールで連続的に引き取り平板状のフィルムを作るTダイキャスティング法、溶融樹脂を環状ダイスから連続的に押し出して内部の空気圧を調節しながら風船状に膨らませ、空中で自然冷却あるいは冷風で冷却する空冷インフレーション法、同じく環状ダイスから連続的に押し出し、金属製などの規制リングで外径を制御しながら水をかけて冷却する水冷インフレーション法、ロールを使用するカレンダー法、ポリシングロール法などが挙げられる。また、公知の多層化装置(例えば、マルチマニホールドTダイ、スタックプレートダイス、フィードブロック、多層インフレーションダイス)等を使用して多層フィルムを得ることも出来る。
また、必要に応じ、公知の方法に従って、一軸または二軸延伸して延伸フィルムを得ることも出来る。二軸延伸は同時二軸延伸であっても逐次二軸延伸であっても構わない。更に、熱処理工程により、フィルムの寸法安定化処理を行っても構わない。
本発明の製造方法においては、前記のPBTのリサイクル品を使用することを特徴とする。すなわち、本発明の製造方法においては、廃棄物低減、コスト低減、本発明の改良効果の点から、フィルムやシートの形状を整える等の目的で切り取られた部分(いわゆる耳部)、製品としての欠陥を有する部分など商品価値のない部分などをリサイクルする。この際、フィルムやシートはそのままの形状でリサイクルしてもよいし、原料の供給器や成形機のスクリューへの食い込み性に悪影響を及ぼす等、生産に不都合が生じる場合は、造粒、切断、粉砕などの加工を施してもよい。
原料中のリサイクル品の割合は、通常1〜50重量%、好ましくは1〜40重量、更に好ましくは1〜30重量%である。本発明における前述のPBTは、リサイクル工程を有する製造法に好適であるが、リサイクル品の割合が高すぎる場合は、色調の悪化や、異物の増大、末端カルボキシル基濃度の上昇を招く傾向にある。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例に何ら限定されるものではない。なお、以下の諸例で採用した物性および評価項目の測定方法は次の通りである。
(1)エステル化率:
以下の計算式(7)によって酸価およびケン化価から算出した。酸価は、ジメチルホルムアミドにオリゴマーを溶解させ、0.1NのKOH/メタノール溶液を使用して滴定により求めた。ケン化価は0.5NのKOH/エタノール溶液でオリゴマーを加水分解し、0.5Nの塩酸で滴定し求めた。
Figure 2005314690
(2)末端カルボキシル基濃度:
ベンジルアルコール25mLにPBT又はオリゴマー0.5gを溶解し、水酸化ナトリウムの0.01モル/Lベンジルアルコール溶液を使用して滴定した。
(3)固有粘度(IV):
ウベローデ型粘度計を使用し次の要領で求めた。すなわち、フェノール/テトラクロロエタン(重量比1/1)の混合液を溶媒とし、30℃において、濃度1.0g/dLのポリマー溶液および溶媒のみの落下秒数を測定し、以下の式(8)より求めた。
Figure 2005314690
(4)PBT中のチタン濃度:
電子工業用高純度硫酸および硝酸でPBTを湿式分解し、高分解能ICP(Inductively Coupled Plasma)−MS(MassSpectrometer)(サーモクエスト社製)を使用して測定した。
(5)末端メトキシカルボニル基濃度および末端ビニル基濃度:
重クロロホルム/ヘキサフルオロイソプロパノール=7/3(体積比)の混合溶媒1mLにPBT約100mgを溶解させ、重ピリジン36μLを添加し、50℃でH−NMRを測定し求めた。NMR装置には日本電子(株)製「α−400」又は「AL−400」を使用した
(6)フィルム成形およびフィシュアイ数:
PBT及びポリエチレンテレフタレートペレットを窒素雰囲気下120℃で8時間乾燥し、オプティカルコントロールシステムズ社製フィルム成形機(型式ME−20/26V2)を使用し、厚さ50μmのフィルムを得た。シリンダ及びダイの温度は、PBT単独系の場合には250℃、ポリエチレンテレフタレートとのブレンド系の場合は280℃とした。得られたフィルムをFilm Quality Testing System[オプティカルコントロールシステムズ社:形式FS−5]を使用し、当該フィルム1m当たりの200μmを超えるフィッシュアイの数を測定した。
Figure 2005314690
(7)フィルム物性:
ASTM D−882に準拠し、50ミクロンフィルムの引張り特性を評価した。特に引張り破断伸度(%)を劣化の評価基準とした。
(8)溶液ヘイズ:
フェノール/テトラクロロエタン=3/2(重量比)の混合液20mLにPBT2.70gを110℃で30分間溶解させた後、30℃の恒温水槽で15分間冷却し、日本電色(株)製濁度計(NDH−300A)を使用し、セル長10mmで測定した。値が低いほど透明性が良好であることを示す。
(9)触媒活性パラメーター(X)の算出:
内径5mmの5本のキャピラリーにPBTペレットを粉砕後に乾燥して充填した。次に、内容物を十分窒素置換した後、正確に245℃にコントロールしたオイルバスにキャピラリーを浸漬し、60分を上限として経時的に取り出し、液体窒素で急冷させた。その後、内容物を取り出し、末端カルボキシル基濃度および末端水酸基濃度を求めた。これらの値を使用し、前述の式(1)及び(2)よりXを求めた。
(10)ペレット色調:
日本電色(株)製色差計(Z−300A型)を使用し、L、a、b表色系におけるb値を算出し評価した。値が低いほど黄ばみが少なく色調が良好であることを示す。
(11)フィルム色調:
日本電色(株)製色差計(Z−300A型)を使用し、L、a、b表色系におけるb値を算出し評価した。値が低いほど黄ばみが少なく色調が良好であることを示す。
(12)ホルムアルデヒド発生量:
PBT1gとpH=2.29に調整した塩酸水溶液5mLとを、10mLのヘッドスペース瓶に入れて、120℃で1時間攪拌抽出した。この液を冷却した後、クロマトディスクで濾過した。更に、この液約3gを精秤し、0.25%2,4−ジニトロフェニルヒドラジン−6N塩酸溶液0.2mLとヘキサン1mLを入れて、50℃で20分反応させ、ヘキサン相をガスクロマトグラフィー(島津(株)製「GC2010」、カラム:「HP−5MS」)で分析した。
実施例1:
図1に示すエステル化工程と図2に示す重縮合工程を通し、次の要領でPBTの製造を行った。先ず、テレフタル酸1.00モルに対して、1,4−ブタンジオール1.80モルの割合で混合した60℃のスラリーをスラリー調製槽から原料供給ライン(1)を通じ、予め、エステル化率99%のPBTオリゴマーを充填したスクリュー型攪拌機を有するエステル化のための反応槽(A)に、41kg/hとなる様に連続的に供給した。同時に、再循環ライン(2)から185℃の精留塔(C)の塔底成分を17.2kg/hで供給し、触媒供給ライン(3)から触媒として65℃のテトラブチルチタネートの6.0重量%1,4−ブタンジオール溶液を97g/hで供給した(理論ポリマー収量に対しチタン原子として30ppm)。この溶液中の水分は0.20重量%であった。
反応槽(A)の内温は230℃、圧力は78kPaとし、生成する水とテトラヒドロ
フラン及び余剰の1,4−ブタンジオールを、留出ライン(5)から留出させ、精留塔
(C)で高沸成分と低沸成分とに分離した。系が安定した後の塔底の高沸成分は、98重量%以上が1,4−ブタンジオールであり、精留塔(C)の液面が一定になる様に、抜出ライン(8)を通じてその一部を外部に抜き出した。一方、低沸成分は塔頂よりガスの形態で抜き出し、コンデンサ(G)で凝縮させ、タンク(F)の液面が一定になる様に、抜出ライン(13)より外部に抜き出した。
反応槽(A)で生成したオリゴマーの一定量は、ポンプ(B)を使用し、抜出ライン
(4)から抜き出し、反応槽(A)内液の平均滞留時間が3.3hrになる様に液面を
制御した。抜出ライン4から抜き出したオリゴマーは、第1重縮合反応槽(a)に連続的に供給した。系が安定した後、反応槽(A)の出口で採取したオリゴマーのエステル化率は97.5%であった。
第1重縮合反応槽(a)の内温は240℃、圧力2.1kPaとし、滞留時間が12
0分になる様に液面制御を行った。減圧機(図示せず)に接続されたベントライン(L
2)から、水、テトラヒドロフラン、1,4−ブタンジオールを抜き出しながら、初期重縮合反応を行った。抜き出した反応液は第2重縮合反応槽(d)に連続的に供給した。
第2重縮合反応槽(d)の内温は245℃、圧力130Paとし、滞留時間が90分
になる様に液面制御を行い、減圧機(図示せず)に接続されたベントライン(L4)か
ら、水、テトラヒドロフラン、1,4−ブタンジオールを抜き出しながら、更に重縮合反応を進めた。得られたポリマーは、抜出用ギヤポンプ(e)により抜出ライン(L3)を経由し、第3重縮合反応槽(k)に連続的に供給した。第3重縮合反応槽(k)の内温は240℃、圧力は130Pa、滞留時間は60分とした。得られたポリマーはギヤポンプ(m)、抜出ライン(L5)を経由し、ダイスヘッド(g)からストランド状に連続的に抜き出し、回転式カッター(h)でカッティングした。
得られたPBTは、IV:1.20dL/g、Ti含有量:30ppm、触媒活性パラメータ:30であった。このPBTを使用し、上記方法でフィルムを成形し、評価した。フィルムに成形した後も末端カルボキシル基濃度が低く、フィッシュアイが少なく、機械的物性や色調に優れた良好なフィルムが得られた。結果をまとめて表2に示した。
実施例2:
実施例1において、触媒溶液の供給量を130g/hとし、第3重縮合反応槽(k)の圧力を150Paにした以外は実施例1と同様に操作し、IV:1.20dL/g、Ti含有量:40ppm、触媒活性パラメータ:40のPBTペレットを得た。このPBTを使用し、前記方法でフィルムを成形し、評価した。フィルムに成形した後も末端カルボキシル基濃度が低く、フィッシュアイが少なく、機械的物性や色調に優れた良好なフィルムが得られた。結果をまとめて表2に示した。
実施例3:
実施例1において第3重縮合反応槽(k)の内温を244℃、滞留時間を90分にした以外は実施例1と同様に操作し、IV:1.30dL/g、Ti含有量:30ppm、触媒活性パラメーター:30のPBTペレットを得た。このPBTを使用し、前記方法でフィルムを成形し、評価した。フィルムに成形した後も末端カルボキシル基濃度が低く、フィッシュアイが少なく、機械的物性や色調に優れた良好なフィルムが得られた。結果をまとめて表2に示した。
実施例4:
実施例1において、触媒溶液の供給量を245g/h、精留塔(C)の塔底成分の供給量を10.0kg/h、第2重縮合反応槽(d)の内温を243℃、第3重縮合反応槽(k)の圧力を140Paとした以外は実施例1と同様に操作し、IV:1.20dL/g、Ti含有量:75ppm、触媒活性パラメーター:45のPBTペレットを得た。このPBTを使用し、前記方法でフィルムを成形し、評価した。フィルムに成形した後も末端カルボキシル基濃度が低く、フィッシュアイが少なく、機械的物性や色調に優れた良好なフィルムが得られた。結果をまとめて表2に示した。
実施例5:
実施例1のPBT70重量部とポリエチレンテレフタレート(三菱化学(株)製「ノバペックス GS385」)30重量部を使用し、280℃でフィルムを成形し、評価した。高い温度でフィルムに成形した後も末端カルボキシル基濃度が低く、フィッシュアイが少なく、機械的物性や色調に優れた良好なフィルムが得られた。結果をまとめて表2に示した。
比較例1:
図3に示すエステル化工程を採用し、精留塔(C)の塔底成分をライン(15)を用いてエステル化反応槽(A)の気相部から供給し、触媒溶液を原料供給ライン(1)に合流させた触媒供給ライン(3)から357g/hで供給した他は実施例1と同様にエステル化反応を行った。続く重縮合工程では第2重縮合反応槽(d)の内温を243℃、滞留時間を60分、第3重縮合反応槽の内温を241℃、滞留時間を60分とした以外は実施例1と同様に重縮合反応を行った。そして、その後、実施例1と同様に操作し、IV:1.20dL/g、Ti含有量:110ppm、触媒活性パラメーター:80のPBTペレットを得た。このPBTを使用し、前記方法でフィルムを成形し、評価した。フィルムに成形前後の末端カルボキシル基濃度が上昇が大きく、フィッシュアイが多いだけでなく、色調に劣っていた。結果をまとめて表3に示した。
比較例2:
実施例1において、触媒溶液の供給量を490g/h、精留塔(C)の塔底成分の供給量を3.0kg/h、第2重縮合反応槽の滞留時間を60分、第3重縮合反応槽の圧力を140Paとした以外は実施例1と同様に操作し、IV:1.20dL/g、Ti含有量:150ppm、触媒活性パラメーター:55のPBTペレットを得た。このPBTを使用し、前記方法でフィルムを成形し、評価した。フィルムに成形前後の末端カルボキシル基濃度が上昇が大きく、フィッシュアイが多いだけでなく、色調に劣っていた。結果をまとめて表3に示した。
比較例3:
比較例1のPBT70重量部を使用し、実施例5と同様にフィルムを成形し評価した。高い温度でフィルムに成形したために、フィルム成形前後での末端カルボキシル基濃度上昇が大きく、フィッシュアイが多いだけでなく、機械的物性や色調にも劣っていた。結果をまとめて表3に示した。
比較例4:
タービン型攪拌翼を具備した内容積200Lのステンレス製反応容器に、テレフタル酸ジメチル(DMT)272.9mol、1,4−ブタンジオール327.5mol、テトラブチルチタネート0.139モル(チタン量として理論収量ポリマー当たり110ppm)を仕込み十分窒素置換させた。続いて系を昇温し、60分後に温度210℃、窒素下大気圧で、生成するメタノール、1,4−ブタンジオール、THFを系外に留出させながら、2時間エステル交換反応させた(反応開始時間は、所定温度、所定圧力に達した時点とした)。
ベント管およびダブルヘリカル型攪拌翼を有する内容積200Lのステンレス製反応器に、上記で得られたオリゴマーを移送した後、温度245℃、圧力100Paまで60分かけて到達させ、その状態のまま1.5時間重縮合反応を行った。反応終了後、ポリマーをストランド状に抜き出し、ペレット状に切断した。この様にして得られたPBTペレットを、内容積100Lのダブルコーン型のジャケット付き固相重合装置に仕込み、減圧/窒素置換を3回繰り返した。次いで、圧力を130Paにコントロールし、200℃まで昇温させ、経時的にサンプリングし、IVをチェックしながら、最終的にIVが1.20になった時点で固相重合を終了させた。このPBTからのホルムアルデヒド発生量は、0.8ppmであった。この様にして得られた平均IVが1.20dL/g、チタン含有量が110ppmのPBTを使用し、フィルムを成形し、評価した。成形時のΔAV(成形前後の末端カルボキシル基濃度の上昇)が大きい上、フィッシュアイ数が多く、外観不良のフィルムとなった。結果をまとめて表3に示した。
実施例6:
実施例1で使用したPBT70重量部と、実施例1で得られたフィルム(R0)を粉砕・乾燥したもの30重量部をブレンドし、実施例1と同様の方法でフィルムを成形した。次に、該1回リサイクル物入りフィルム(R1)30重量部と、実施例1で使用したPBT70重量部とをブレンドし、実施例1と同様の方法でフィルムを成形した(R2)。この操作を繰り返し、3回リサイクル物入りフィルム(R4)を得た。この様にリサイクル品を混合する操作を繰り返しても、末端カルボキシル基濃度の上昇は僅かで、良好な品質のPBTフィルムが得られた。結果をまとめて表4に示した。
比較例5:
比較例1のPBTを使用し、実施例6と同様の方法で3回リサイクル物入りフィルム(R4)を得た。末端カルボキシル基濃度の上昇が大きく、フィッシュアイが多く色調や強度に劣るPBTフィルムしか得られなかった。結果をまとめて表4に示した。
Figure 2005314690
Figure 2005314690
Figure 2005314690
本発明で採用するエステル化反応工程またはエステル交換反応工程の一例の説明図 本発明で採用する重縮合工程の一例の説明図 比較例1で採用したエステル化反応工程の説明図
符号の説明
1:原料供給ライン
2:再循環ライン
3:チタン触媒供給ライン
4:抜出ライン
5:留出ライン
6:抜出ライン
7:循環ライン
8:抜出ライン
9:ガス抜出ライン
10:凝縮液ライン
11:抜出ライン
12:循環ライン
13:抜出ライン
14:ベントライン
15:再循環ライン
A:反応槽
B:抜出ポンプ
C:精留塔
D、E:ポンプ
F:タンク
G:コンデンサ
L1、L3、L5:抜出ライン
L2、L4、L6:ベントライン
a:第1重縮合反応槽
d:第2重縮合反応槽
k:第3重縮合反応槽
c、e、m:抜出用ギヤポンプ
g:ダイスヘッド
h:回転式カッター
k:第3重縮合反応槽

Claims (13)

  1. チタンを含有し且つその量がチタン原子として100ppm以下であり、次の式(1)で規定される活性パラメータXが60以下であるポリブチレンテレフタレートから成るフィルム又はシート。
    Figure 2005314690
    Figure 2005314690
  2. ポリブチレンテレフタレートのチタン含有量がチタン原子として70ppm以下である請求項1に記載のフィルム又はシート。
  3. ポリブチレンテレフタレートの活性パラメータXが40以下である請求項1又は2に記載のフィルム又はシート。
  4. ポリブチレンテレフタレートの末端メトキシカルボニル基濃度が0.5μeq/g以下である請求項1〜3の何れかに記載のフィルム又はシート。
  5. 次の式(3)で規定されるポリブチレンテレフタレートのαが0.80以上である請求項1〜4の何れかに記載のフィルム又はシート。
    Figure 2005314690
  6. ポリブチレンテレフタレートの固有粘度が1.1〜2.0dL/gである請求項1〜5の何れかに記載のフィルム又はシート。
  7. ポリブチレンテレフタレートの末端カルボキシル基濃度が1〜30μeq/gである請求項1〜6の何れかに記載のフィルム又はシート。
  8. ポリブチレンテレフタレートの末端ビニル基濃度が0.5〜10μeq/gである請求項1〜7の何れかに記載のフィルム又はシート。
  9. フェノール/テトラクロロエタン混合溶媒(重量比3/2)20mLにポリブチレンテレフタレート2.7gを溶解させて測定した際のポリブチレンテレフタレートの溶液ヘイズが10%以下である請求項1〜8の何れかに記載のフィルム又はシート。
  10. 請求項1〜9の何れかに記載のポリブチレンテレフタレートとポリエチレンテレフタレートが重量比で1:19〜19:1の範囲で混合された混合ポリエステルから成るフィルム又はシート。
  11. ポリブチレンテレフタレートが直接重合法を採用した連続エステル化工程を含む製造方法で得られたものである請求項1〜10の何れかに記載のフィルム又はシート。
  12. 原料として請求項1〜11の何れかに記載のポリエステルのリサイクル品を使用することを特徴とするフィルム又はシートの製造方法。
  13. リサイクル品の割合が1〜50重量%である請求項12に記載の製造方法。
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