JP2007176970A - 芳香族ポリカーボネート樹脂組成物および樹脂成形品 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 芳香族ポリカーボネート樹脂(A成分)51〜99重量部、ポリブチレンテレフタレート樹脂(B成分)1〜49重量部を含む芳香族ポリカーボネート樹脂組成物であって、ポリブチレンテレフタレート樹脂(B成分)におけるチタン化合物含有量が、チタン原子として1ppmを超えて75ppm以下で且つ、末端カルボキシル基が39μeq/g以下であり、更に芳香族ポリカーボネート樹脂(A成分)とポリブチレンテレフタレート樹脂(B成分)の合計100重量部に対して、ゴム性重合体(C成分)を0.5〜40重量部含有することを特徴とする、芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
【選択図】なし
Description
例えばポリカーボネート樹脂とポリブチレンテレフタレート樹脂とのポリマーアロイの溶融粘度安定性指数を2.5%以下として、耐薬品性、湿熱疲労性に優れた熱可塑性樹脂組成物を提供する方法が提案されている(例えば特許文献3参照)。具体的には、ポリカーボネート樹脂の分岐成分と、ポリブチレンテレフタレート樹脂の末端カルボキシ濃度、そして特定の安定剤との組合せにより成し得ることが記載されている。
しかしながら、単に燐成分及びチタン成分を重縮合触媒として用いるだけでは十分な改良はなさていなかった。そして具体的に組成物として例示されているポリブチレンテレフタレート樹脂のチタン含有量も多く、芳香族ポリカーボネート樹脂との樹脂組成物にすると、流動性、剛性、耐熱性、耐衝撃性、耐薬品性、疲労特性のバランスにおいて十分満足できるものが得られないという問題があったではなかった。
特定量含有することによって、流動性、剛性、耐熱性、耐衝撃性、耐薬品性、疲労特性等の諸樹脂物性が同時に向上し、物性バランスに優れた芳香族ポリカーボネート樹脂組成物(以下、単に「樹脂組成物」ということがある。)となることを見出し、本発明を完成させた。
このような特長を有する本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物は、幅広い分野に使用することが可能であり、電気・電子機器部品、OA機器、機械部品、車輌部品、建築部材、各種容器、レジャー用品・雑貨類などの各種用途に有用であり、特に車輌外装・外板部品、車輌内装部品への適用が期待できる。
車輌内装部品としては、インナードアハンドル、センターパネル、インストルメンタルパネル、コンソールボックス、ラゲッジフロアボード、カーナビゲーションなどのディスプレイハウジングなどが挙げられる。
本発明に用いるA成分である芳香族ポリカーボネート樹脂(以下、「A成分」と略記することがある。)は、例えば、芳香族ジヒドロキシ化合物とカーボネート前駆体とを、または、これらに併せて少量のポリヒドロキシ化合物等を反応させてなる、直鎖または分岐の熱可塑性の芳香族ポリカーボネート重合体または共重合体である。
)、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−ブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1−トリクロロプロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサクロロプロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン等で例示されるビス(ヒドロキシアリール)アルカン類;
ジフェニルエーテル等で例示されるジヒドロキシジアリールエーテル類;
メチルジフェニルスルフィド等で例示されるジヒドロキシジアリールスルフィド類;4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4'−ジヒドロキシ−3,3'−ジメチ
ルジフェニルスルホキシド等で例示されるジヒドロキシジアリールスルホキシド類;4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4'−ジヒドロキシ−3,3'−ジメチルジ
フェニルスルホン等で例示されるジヒドロキシジアリールスルホン類;ハイドロキノン、レゾルシン、4,4'−ジヒドロキシジフェニル等が挙げられる。
1,1,1−トリ(4−ヒドロキシフェニル)エタン等で例示されるポリヒドロキシ化合物類、または3,3−ビス(4−ヒドロキシアリール)オキシインドール(=イサチンビスフェノール)、5−クロロイサチン、5,7−ジクロロイサチン、5−ブロムイサチン等が挙げられる。中でも、1,1,1−トリ(4−ヒドロキシフェニル)エタンが好ましい。多官能性芳香族化合物は、前記芳香族ジヒドロキシ化合物の一部を置換して用いることができ、その使用量は芳香族ジヒドロキシ化合物に対して0.01〜10モル%が好ましく、中でも0.1〜2モル%が好ましい。
分子量調節剤としては、一価のフェノール性水酸基を有する化合物が挙げられる。一価のフェノール性水酸基を有する化合物としては、m−メチルフェノール、p−メチルフェノール、m−プロピルフェノール、p−プロピルフェノール、p−tert−ブチルフェノールおよびp−長鎖アルキル置換フェノールなどが挙げられる。分子量調節剤の使用量は、芳香族ジヒドロキシ化合物100モルに対して、好ましくは0.5〜50モル、より好ましくは1〜30モルである。
また、より積極的な調整方法としては、反応時に別途、末端停止剤を添加する方法が挙
げられ、この際の末端停止剤としては、一価フェノール類、一価カルボン酸類、炭酸ジエステル類が挙げられる。
粘度平均分子量は、より好ましくは12000〜40000であり、さらに好ましくは14000〜30000である。また、粘度平均分子量の異なる2種類以上の芳香族ポリカーボネート樹脂を混合してもよい。もちろん、粘度平均分子量が上記好適範囲外である芳香族ポリカーボネート樹脂を混合してもよい。
pm以下にすることで、樹脂組成物の耐熱性、滞留熱安定性が、より向上する傾向にあるので好ましい。
なお、末端水酸基濃度の単位は、芳香族ポリカーボネート樹脂重量に対する、末端水酸基の重量をppmで表示したものであり、測定方法は、四塩化チタン/酢酸法による比色定量(Macromol.Chem.88 215(1965)に記載の方法)である。
本発明に用いるポリブチレンテレフタレート樹脂(以下、「B成分」と略記することがある。)とは、テレフタル酸単位および1,4−ブタンジオール単位がエステル結合した構造を有するポリエステルであり、ジカルボン酸単位の50モル%以上がテレフタル酸単位から成り、ジオール単位の50モル%以上が1,4−ブタンジオール単位から成る高分子を言い、チタン化合物の含有量がチタン原子として1ppmを超えて75ppm以下であり、且つ末端カルボキシル基が39μeq/g以下である、ポリブチレンテレフタレート樹脂である。
カルボン酸などの芳香族ジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸などの脂肪族ジカルボン酸などを挙げることが出来る。これらのジカルボン酸成分は、ジカルボン酸として、または、ジカルボン酸エステル、ジカルボン酸ハライド等のジカルボン酸誘導体を原料として、ポリマー骨格に導入できる。
−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン等の芳香族ジオール等を挙げることが出来る。
もチタンアルコラート類が好ましく、更にはテトラアルキルチタネート類が好ましく、特にテトラブチルチタネートが好ましい。
マグネシウム化合物としては、具体的には例えば酢酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、マグネシウムアルコキサイド、燐酸水素マグネシウム等が挙げられる。中でも有機酸塩類が好ましく、特に酢酸マグネシウムが好ましい。
なお、ポリブチレンテレフタレート樹脂の末端カルボキシル基濃度は、ベンジルアルコール25mLにポリブチレンテレフタレート樹脂0.5gを溶解し、水酸化ナトリウムの0.01モル/Lベンジルアルコール溶液を使用して滴定することにより求めることができる。
特に、テレフタル酸ジメチルを原料とする場合には多く残存することがある。
またポリブチレンテレフタレート樹脂における末端メトキシカルボニル基は、樹脂成形時などにおいて、成型時に係る熱により、毒性のメタノール、ホルムアルデヒド、蟻酸等が発生する原因となり、例えば蟻酸は金属製の成形機器やこれに付随する真空関連機器などに影響を及ぼす恐れがある。よって本発明に用いるポリブチレンテレフタレート樹脂(B成分)においては、末端メトキシカルボニル基の量(濃度)が0.5μeq/g以下であることが好ましく、中でも0.3μeq/g以下、更には0.2μeq/g以下、特に0.1μeq/g以下であることが好ましい。
製造したポリブチレンテレフタレート樹脂を用いることが好ましい。また本発明においては、生産性や製品品質の安定性、本発明の効果の観点から、連続的に原料を供給し、連続的にエステル化反応またはエステル交換反応を行う方法を採用することが好ましく、中でもエステル化反応またはエステル交換反応に続く重縮合反応も連続的に行う、いわゆる連続法により、ポリブチレンテレフタレート樹脂を製造することが好ましい。
槽に供給することが出来るが、その供給位置に特に制限はなく、これら反応槽の反応液気相部から反応液上面へ供給してもよいし、反応液液相部に直接供給してもよい。この際、原料であるテレフタル酸や、チタン触媒と共に供給してもよいし、独立して供給してもよい。
中でも触媒の安定性の観点から、テレフタル酸やチタン触媒とは独立して、且つ、反応液気相部から反応液上面に供給することが好ましい。2族金属触媒の供給方法としては、例えば2族触媒が常温で固体の場合には、個体のまま反応液へ供給することも出来るが、供給量を安定化させ、熱による変性などの悪影響を軽減するためには、水、1,4−ブタンジオール等の溶媒に溶解し、溶液として供給することが好ましい。この溶液中の2属金属触媒の濃度は、通常0.01重量%以上、中でも0.05重量%以上、特に0.08重量%以上であることが好ましく、その上限は20重量%以下、中でも10重量%以下、特に8重量%以下であることが好ましい。
B/TPA=1.1〜5.0(mol/mol)
(但し上記式において、Bは単位時間当たりのエステル化反応槽に外部から供給される1,4−ブタンジオールのモル数、TPAは単位時間当たりにエステル化反応槽に外部から供給されるテレフタル酸のモル数である。)
B/DAT=1.1〜2.5(mol/mol)
(但し、上記式において、Bは、単位時間当たりのエステル化反応槽に外部から供給される1,4−ブタンジオールのモル数、DATは、単位時間当たりにエステル化反応槽に外部から供給されるテレフタル酸ジアルキルのモル数である。)
ド翼などが挙げられる。
)から精留塔(C)に戻される。また、余剰分は抜出ライン(8)から外部に抜き出される。一方、精留塔(C)で分離された軽沸成分はガス抜出ライン(9)から抜き出され、コンデンサ(G)で凝縮され、凝縮液ライン(10)を経てタンク(F)に一時溜められる。
1族、及び/または2族金属触媒の添加が必要な場合は、調製槽(図示せず)でこれらの触媒を1,4−ブタンジオール等の溶媒で希釈し所定濃度に調製した後、ライン(L7)を経て、1,4−ブタンジオールの供給ライン(L8)に連結し、1,4−ブタンジオールでさらに希釈した後、オリゴマーの抜出ライン(4)に供給する。これは、図3においても同様である。
更に、図3においては、第2重縮合反応器(d)で得られたポリマーを、抜出用ギヤポンプ(e)及び抜出ライン(L3)を経て第3重縮合反応槽(k)に供給する。第3重縮合反応槽(k)は、複数個の攪拌翼ブロックで構成され、2軸のセルフクリーニングタイプの攪拌翼を具備した横型の反応槽である。
第3縮合反応器(k)で得られたポリマーは、抜出用ギヤポンプ(m)及び抜出ライン(L5)を経てダイスヘッド(g)から溶融したストランドの形態で抜き出され、水などで冷却された後、回転式カッター(h)で切断されてペレットとなる。
尚、図2、3における符号(L2)、(L4)、(L6)は、各重縮合反応槽(a)、(d)、(k)のベントラインである。
本発明に用いるゴム性重合体は、ガラス転移温度が0℃以下、中でも−20℃以下のものを示し、ゴム性重合体にこれと共重合可能な単量体成分とを共重合した重合体をも含む。本発明に用いるC成分は、一般にポリカーボネート樹脂組成物等に配合されて、その機械的特性を改良し得る、従来公知の任意のものを使用できる。
ンゴム等)、エチレンとα−オレフィンとの共重合体(エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・ブテン共重合体、エチレン・オクテン共重合体等)、エチレンと不飽和カルボン酸エステルとの共重合体(エチレン・メタクリレート共重合体、エチレン・ブチルアクリレート共重合体等)、エチレンと脂肪族ビニル化合物との共重合体、エチレンとプロピレンと非共役ジエンとのターポリマー、アクリルゴム(ポリブチルアクリレート、ポリ(2−エチルヘキシルアクリレート)、ブチルアクリレート・2−エチルヘキシルアクリレート共重合体等)、シリコーン系ゴム(ポリオルガノシロキサンゴム、ポリオルガノシロキサンゴムとポリアルキル(メタ)アクリレートゴムとからなるIPN型複合ゴム)等が挙げられる。
これらは1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。なお「(メタ)アクリレート」は「アクリレート」と「メタクリレート」を意味し、後述の「(メタ)アクリル酸」は「アクリル酸」と「メタクリル酸」を意味する。
量部であり、このA、B成分の合計100重量部に対して、ゴム性重合体(C成分)0.5〜40重量部、である。
A成分を51重量部以上とすることで耐衝撃性が向上する傾向にあり、99重量部未満にすることで流動性や耐薬品性が向上する傾向にある。
またC成分は、A成分とB成分の合計100重量部に対して、中でも2〜30重量部、特に3〜25重量部であることが好ましい。C成分を0.5重量部以上とすることで、耐衝撃性が良好になり、また40重量部以下とすることで剛性や耐熱性、疲労特性が向上する傾向にある。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲において耐熱性や滞留熱安定性を向上するためにリン系化合物を含有させることが好ましい。リン系化合物としては、従来公知の任意のものを使用できる。具体的には、リン酸、ホスホン酸、亜燐酸、ホスフィン酸、ポリリン酸などのリンのオキソ酸、酸性ピロリン酸ナトリウム、酸性ピロリン酸カリウム、酸性ピロリン酸カルシウムなどの酸性ピロリン酸金属塩、リン酸カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸セシウム、リン酸亜鉛など第1族または第2B族金属のリン酸塩、有機ホスフェート化合物、有機ホスファイト化合物、有機ホスホナイト化合物などを挙げることができる。
これらの中で、下記一般式(I)で表される有機ホスフェート化合物及び/又は下記一般式(II)で表される有機ホスファイト化合物が好ましい。
(一般式(I)中、Rはアルキル基またはアリール基であり、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。mは0〜2の整数である。)
素原子数6〜30のアリール基であり、より好ましくは、炭素原子数2〜25のアルキル基である。またmは、好ましくは1及び/又は2である。
または炭素原子数6〜30のアリール基である。上記一般式(II)で表される亜リン酸エステルの好ましい具体例としては、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトを挙げることできる。
他の樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリトリメチレンテレフタレート樹脂などのポリブチレンテレフタレート樹脂以外のポリエステル樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリスチレン樹脂等のスチレン系樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリメタクリレート樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。
具体的には例えば、A〜C成分および必要に応じて配合される添加成分を、タンブラーやヘンシェルミキサーなどの各種混合機を用い予め混合した後、バンバリーミキサー、ロール、ブラベンダー、単軸混練押出機、二軸混練押出機、ニーダーなどで溶融混練し、樹脂組成物を製造することができる。また、各成分を予め混合せずに、または、一部の成分のみ予め混合してフィダーを用いて押出機に供給して溶融混練して樹脂組成物を製造することもできる。
リサイクル原料の含有比率は、リサイクル原料とバージン原料の合計100重量%中、70重量%以下であることが好ましく、より好ましくは50重量%以下、さらに好ましくは30重量%以下である。
<A成分:芳香族ポリカーボネート樹脂>
PC−1:界面重合法で製造されたビスフェノールA型芳香族ポリカーボネート(三菱エ
ンジニアリングプラスチックス社製「ユーピロンE−2000FN」、粘度平均分子量28000、末端水酸基濃度=150ppm)
PC−2:界面重合法で製造されたビスフェノールA型芳香族ポリカーボネート(三菱エンジニアリングプラスチックス社製「ユーピロンS−3000FN」、粘度平均分子量22500、末端水酸基濃度=150ppm)
PC−3:界面重合法で製造されたビスフェノールA型芳香族ポリカーボネート(三菱エンジニアリングプラスチックス社製「ユーピロンH−4000FN」、粘度平均分子量15500、末端水酸基濃度=150ppm)
PBT−1:製造例1
図1に示すエステル化工程と図3に示す重縮合工程を通し、次の要領でポリブチレンテレフタレート樹脂の製造を行った。先ずテレフタル酸1.00モルに対して、1,4−ブタンジオール1.80モルの割合で混合した60℃のスラリーをスラリー調製槽から原料供給ライン(1)を通じ、予め、エステル化率99%のポリブチレンテレフタレートオリゴマーを充填したスクリュー型攪拌機を有するエステル化のための反応槽(A)に、40.0kg/hとなる様に連続的に供給した。
同時に、再循環ライン(2)から185℃の精留塔(C)の塔底成分を18.4kg/hで供給し、触媒供給ライン(3)から触媒として65℃のテトラブチルチタネートの6.0重量%1,4−ブタンジオール溶液を127g/hで供給した(理論ポリマー収量に対し40ppm)。この溶液中の水分は0.20重量%であった。
第2重縮合反応槽(d)の内温は245℃、圧力140Paとし、滞留時間が60分になる様に液面制御を行い、減圧機(図示せず)に接続されたベントライン(L4)から、水、THF、1,4−ブタンジオールを抜き出しながら、更に重縮合反応を進めた。得られたポリマーは、抜出用ギヤポンプ(e)により抜出ライン(L3)を経由し、第3重縮合反応槽(k)に連続的に供給した。第3重縮合反応槽(k)の内温は239℃、圧力は600Pa、滞留時間は80分とし、更に、重縮合反応を進めた。得られたポリマーは、ダイスヘッド(g)からストランド状に連続的に抜き出し、回転式カッター(h)でカッティングした。得られたポリブチレンテレフタレートの分析値をまとめて表1に示す。以下、製造例1で得られたポリブチレンテレフタレート樹脂をPBT−1と記す。
(1)エステル化率:
下記式によって酸価およびケン化価から算出した。酸価は、ジメチルホルムアミドにオリゴマーを溶解させ、0.1NのKOH/メタノール溶液を使用して滴定により求めた。ケン化価は0.5NのKOH/エタノール溶液でオリゴマーを加水分解し、0.5Nの塩酸で滴定し求めた。
エステル化率 =((ケン化価−酸価)/ケン化価)×100
(2)ポリブチレンテレフタレート樹脂中のチタン原子及び1族、2族金属原子濃度:
電子工業用高純度硫酸および硝酸でポリブチレンテレフタレート樹脂を湿式分解し、高分解能ICP(Inductively Coupled Plasma)−MS(MassSpectrometer;サーモクエスト社製)を使用して測定した。
ウベローデ型粘度計を使用し次の要領で求めた。すなわち、フェノール/テトラクロロエタン(重量比1/1)の混合溶媒を使用し、30℃において、濃度1.0g/dLのポリマー溶液および溶媒のみの落下秒数を測定し、下記式より求めた。
IV=((1+4KHηsp)0.5−1)/(2KHC)
(但し、nsp=n/n0−1であり、nはポリマー溶液落下秒数、n0は溶媒の落下秒数、Cはポリマー溶液濃度(g/dL)、KHはハギンズの定数であり0.33とした。)
ベンジルアルコール25mLにポリブチレンテレフタレート樹脂0.5gを溶解し、水酸化ナトリウムの0.01モル/Lベンジルアルコール溶液を使用して滴定した。
重クロロホルム/ヘキサフルオロイソプロパノール=7/3(体積比)の混合溶媒1mLにポリブチレンテレフタレート樹脂約100mgを溶解させ、重ピリジン36μLを添加し、50℃で1H−NMRを測定し求めた。NMR装置には日本電子(株)製「α−400」又は「AL−400」を使用した。
反応器(A)でのエステル化工程はPBT−1と同様に行い、重縮合工程は図2に示す工程を用いて行った。第1重縮合反応槽(a)での反応条件はPBT−1と同様とし、第2重縮合反応槽(d)の内温は241℃、圧力150Pa、滞留時間が70分としてペレットを得た。このPBTペレット50kgをダブルコニカル型ブレンダー(内容量100L)にて、195℃、減圧下(0.133kPa以下)で固相重合処理を実施し、経時的に取り出し固有粘度をチェックしながら、所定の固有粘度になったところで冷却して重合を停止させた。得られたPBTの分析値はまとめて表1に示した。以下、製造例2で得られたポリブチレンテレフタレート樹脂をPBT−2と記す。
PBT−1においてスラリーを41kg/hとなる様に供給し、再循環ライン(2)から精留塔(C)の塔底成分を17.2kg/hで供給し、触媒供給ライン(3)から触媒として65℃のテトラブチルチタネートの6.0重量%1,4−ブタンジオール溶液を97g/hで供給した(理論ポリマー収量に対し30ppm)した他は、PBT−1と同様にしてエステル化反応を行った。
さらに第1重縮合反応槽(a)の圧力を2.1kPaとし、第2重縮合反応槽(d)の圧力を130Pa、滞留時間を90分、第3重縮合反応槽(k)の内温を240℃、圧力を130Pa、滞留時間を60分とした以外はPBT−1と同様に行った。得られたPBTの分析値はまとめて表1に示した。以下、製造例3で得られたポリブチレンテレフタレ
ート樹脂をPBT−3と記す。
重縮合工程を図2に示す工程で実施し、第3重縮合反応槽(k)を用いなかった他はPBT−3と同様に行った。得られたPBTの分析値はまとめて表1に示した。以下、製造例4で得られたポリブチレンテレフタレート樹脂をPBT−4と記す。
反応器(A)でのエステル化工程はPBT−1と同様に行った。 酢酸マグネシウム4水塩を、純水に溶解させた後、1,4−ブタンジオールを添加し、酢酸マグネシウム4水塩、純水、1,4−ブタンジオールがそれぞれ、5重量%、20重量%、75重量%になるように、調製槽(図示せず)で調製した。この時の温度は、25℃であった。この溶液を、供給ライン(L7)を通じて、1,4−ブタンジオールのライン(L8)に供給し、さらに濃度の低い溶液としてオリゴマーの抜出ライン(4)に所定量を供給した。
第1重縮合反応器(a)の内温は246℃、圧力2.4kPa、滞留時間120分とし、第2重縮合反応器(d)の内温は239℃、圧力150Pa、滞留時間130分、第3重縮合反応器(k)の内温は238℃、圧力130Pa、滞留時間は70分とした。得られたPBTの分析値はまとめて表1に示した。以下、製造例5で得られたポリブチレンテレフタレート樹脂をPBT−5と記す。
反応器(A)でのエステル化工程はPBT−1と同様に行い、重縮合工程は図2に示す工程を用いて行った。酢酸マグネシウム4水塩の添加方法及び第1重縮合反応槽(a)での反応条件はPBT−5と同様とし、第2重縮合反応槽(d)の内温は238℃、圧力200Pa、滞留時間が140分としてペレットを得た。得られたPBTの分析値はまとめて表1に示した。以下、製造例で6得られたポリブチレンテレフタレート樹脂をPBT−6と記す。
反応器(A)でのエステル化工程はPBT−1と同様に行った。PBT−5の酢酸マグネシウム4水塩に換えて、酢酸リチウム2水塩、純水、1,4−ブタンジオールがそれぞれ、2.5重量%、20重量%、77.5重量%になるように、調製槽(図示せず)で調製し、この溶液を、供給ライン(L7)を通じて、1,4−ブタンジオールのライン(L8)に供給し、さらに濃度の低い溶液としてオリゴマーの抜出ライン(4)に所定量を供給した。第1重縮合反応器(a)の条件はPBT−5と同様に行い、第2重縮合反応器(d)の内温を241℃、第3重縮合反応器(k)の内温を242℃にした他はPBT−5と同様に重縮合反応を行った。得られたPBTの分析値はまとめて表1に示した。以下、製造例7で得られたポリブチレンテレフタレート樹脂をPBT−7と記す。
反応器(A)でのエステル化工程、第1重縮合反応槽(a)での初期重縮合工程はPBT−1と同様に行い、第2重縮合反応器(d)の圧力を200Pa、第3重縮合反応器(k)の圧力を650Pa、滞留時間を70分とした以外は、PBT−1と同様に行った。得られたPBTの分析値はまとめて表1に示した。以下、製造例8で得られたポリブチレンテレフタレート樹脂をPBT−8と記す。
第1重縮合反応槽(a)の内温を247℃、圧力を6.0kPa、第2重縮合反応器(d)の圧力を250Pa、第3重縮合反応器(k)の内温を245℃、滞留時間を70分とした以外は、PBT−1と同様に行った。得られたPBTの分析値はまとめて表1に示
した。以下、製造例9で得られたポリブチレンテレフタレート樹脂をPBT−9と記す。
タービン型攪拌翼を具備した内容積200Lのステンレス製反応容器に、テレフタル酸ジメチル(DMT)272.9mol、1,4−ブタンジオール327.5mol、テト
ラブチルチタネート0.126モル(チタン量として理論収量ポリマー当たり100ppm)を仕込み十分窒素置換させた。続いて系を昇温し、60分後に温度210℃、窒素下大気圧で、生成するメタノール、1,4−ブタンジオール、THFを系外に留出させなが
ら、2時間エステル交換反応させた(反応開始時間は、所定温度に達した時点とした)。
C−1:ポリブタジエン(コア)/アクリル酸アルキル・メタクリル酸アルキル共重合物(シェル)からなるコア/シェル型グラフト共重合体(ローム・アンド・ハース・ジャパン社製「EXL2603」)
C−2:ポリアクリル酸アルキル(コア)/アクリル酸アルキル・メタクリル酸アルキル共重合物(シェル)からなるコア/シェル型グラフト共重合体(ローム・アンド・ハース・ジャパン社製「EXL2315」)
リン系化合物:
化学式O=P(OH)n'(OC18H37)3−n' (n'=1及び2の混合物)、
旭電化工業社製「アデカスタブAX−71」
A成分、B成分、C成分およびその他成分を表2に示す割合にてタンブラーミキサーで均一に混合した後、二軸押出機(日本製鋼所社製、TEX30XCT、L/D=42、バレル数12)を用いて、シリンダー温度270℃、スクリュー回転数200rpmにてバレル1より押出機にフィードし溶融混練することにより樹脂組成物のペレットを作製した。
上記の方法で得られたペレットを、110℃で4時間以上乾燥した後、名機製作所製のM150AII−SJ型射出成形機を用いて、シリンダー温度270℃、金型温度80℃、成形サイクル55秒の条件で、ASTM試験片を作成した。
(1)流動性(Q値)
高荷式フローテスターを用いて、280℃、荷重160kgf/cm2の条件下で組成物の単位時間あたりの流出量Q値(単位:cc/s)を測定し、流動性を評価した。なお、オリフィスは直径1mm×長さ10mmのものを使用した。Q値が高いほど、流動性に優れていることを示す。
(2)剛性(曲げ弾性率)
ASTM D790に準拠して、厚さ6.4mmの試験片を用いて、23℃において測
定した。
(3)耐衝撃性(Izod衝撃強度)
ASTM D256に準拠して、厚み3.2mmのノッチ付き試験片を用いて、23℃においてIzod衝撃強度(単位:J/m)を測定した。
ASTM D648に準拠して、0.45MPaにて熱変形温度(単位:℃)を測定した。
(6)耐薬品性(破断伸び保持率)
ASTM引張試験片(厚さ3.2mm)に変形率1%の撓みを負荷した状態で、試験薬品を塗布し、48時間後の破断伸びの保持率(試験薬品を塗布しないものに対する比率)により評価した。試験薬品としてはフタル酸ジ(2−エチルヘキシル)(東京化成工業社製)を使用した。耐薬品性の評価は、破断伸び保持率が75%以上である場合を「○」、破断伸び保持率が75%未満である場合を「×」として評価した。
(7)疲労特性(曲げ疲労破壊)
ASTM D671に準拠して、TypeA試験片を用い、23℃、実応力19MPaで試験を行い、破壊に至る回数で評価した。
表2に記載の各々の樹脂組成物を製造し、上述の方法により評価した。結果を表2に示す。
2:再循環ライン
3:触媒供給ライン
4:抜出ライン
5:留出ライン
6:抜出ライン
7:循環ライン
8:抜出ライン
9:ガス抜出ライン
10:凝縮液ライン
11:抜出ライン
12:循環ライン
13:抜出ライン
14:ベントライン
A:反応槽
B:抜出ポンプ
C:精留塔
D:ポンプ
E:ポンプ
F:タンク
G:コンデンサ
L1:抜出ライン
L3:抜出ライン
L5:抜出ライン
L2:ベントライン
L4:ベントライン
L6:ベントライン
L7:1族/2族金属化合物触媒供給ライン
L8:1,4−ブタンジオール供給ライン
a:第1重縮合反応槽
d:第2重縮合反応槽
k:第3重縮合反応槽
c:抜出用ギヤポンプ
e:抜出用ギヤポンプ
m:抜出用ギヤポンプ
g:ダイスヘッド
h:回転式カッター
Claims (10)
- 芳香族ポリカーボネート樹脂(A成分)51〜99重量部、ポリブチレンテレフタレート樹脂(B成分)1〜49重量部を含む芳香族ポリカーボネート樹脂組成物であって、ポリブチレンテレフタレート樹脂(B成分)におけるチタン化合物含有量が、チタン原子として1ppmを超えて75ppm以下で且つ、末端カルボキシル基濃度が39μeq/g以下であり、更に芳香族ポリカーボネート樹脂(A成分)とポリブチレンテレフタレート樹脂(B成分)の合計100重量部に対して、ゴム性重合体(C成分)を0.5〜40重量部含有することを特徴とする、芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
- ポリブチレンテレフタレート樹脂(B成分)が、更に1族金属化合物及び/または2族金属化合物を含有し、1族金属化合物及び/または2族金属化合物の含有量が、その金属原子換算で1ppmを超えて50ppm以下であることを特徴とする請求項1に記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
- ポリブチレンテレフタレート樹脂(B成分)の末端メトキシカルボニル基濃度が0.5μeq/g以下であることを特徴とする請求項1または2記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
- ポリブチレンテレフタレート樹脂(B成分)のチタン化合物の含有量が、チタン原子として20ppmを超えて50ppm以下であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
- ポリブチレンテレフタレート樹脂(B成分)の末端カルボキシル基濃度が10〜30μeq/gであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
- ポリブチレンテレフタレート樹脂(B成分)が2族金属化合物としてマグネシウム化合物を含有することを特徴とする請求項2乃至5のいずれかに記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
- 芳香族ポリカーボネート樹脂(A成分)55〜90重量部に対して、ポリブチレンテレフタレート樹脂(B成分)10〜45重量部を含有することを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
- ゴム性重合体(C成分)が、コア/シェル型グラフト共重合体であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
- C成分の含有量が、ポリカーボネート樹脂(A成分)とポリブチレンテレフタレート樹脂(B成分)との合計100重量部に対して、2〜30重量部であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
- 請求項1乃至9のいずれかに記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物を成形してなる樹脂成形品。
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