JP2005314162A - 導電性可変三層カーボンナノチューブ及び三層カーボンナノチューブの合成方法並びに導電性可変三層カーボンナノチューブの合成方法 - Google Patents

導電性可変三層カーボンナノチューブ及び三層カーボンナノチューブの合成方法並びに導電性可変三層カーボンナノチューブの合成方法 Download PDF

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美香 蒲生
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洋一 佐藤
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義則 知久
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【課題】 導電性を変化させることが可能な三層カーボンナノチューブ、すなわち、導電性可変三層カーボンナノチューブと、その製造に必要な、三層カーボンナノチューブの合成方法並びに導電性可変三層カーボンナノチューブの製造方法を提供する。
【解決手段】 導電性可変三層カーボンナノチューブ1は、三層カーボンナノチューブを構成する3枚の円筒状グラフェンシートの内、最外側に位置する第1の円筒状グラフェンシート2の表面に官能基3を有し、最内側に位置する第2の円筒状グラフェンシート4の裏面に官能基5を有し、第1のグラフェンシート2の官能基3及び第2のグラフェンシート4の官能基5によって、中心に位置する第3の円筒状グラフェンシート6の導電性を制御する。官能基3,5は電子供与性の官能基で、例えばメトキシ基である。または、官能基3,5は電子吸引性の官能基で、例えばシアノ基またはニトロ基である。
【選択図】 図1

Description

本発明は、導電性を変化させることが可能な三層カーボンナノチューブ、及び、その製造に必要な三層カーボンナノチューブの合成方法、並びに、その三層カーボンナノチューブを用いた導電性可変三層カーボンナノチューブの合成方法に関する。
カーボンナノチューブは、円筒形状のグラフェンシートからなり、共通の円筒軸の回りに円筒形状のグラフェンシートが何枚、すなわち何層積層されているかによって分類されている。大きく分けて単層カーボンナノチューブ(Single Wall Carbon Nano Tube)、二層カーボンナノチューブ(Double Wall Carbon Nano Tube)、及び多層カーボンナノチューブ(Multiple Wall Carbon Nano Tube)の3種類に大別され、いずれもnm(ナノメーター)サイズの中空円筒である。上記三種類の分類は、構造に基づく応用可能性の違いに基づいて分類されている。
特開2003−12312号公報 特願2003−072472号明細書
従来は、三層以上のカーボンナノチューブは、多層カーボンナノチューブに分類され、三層のカーボンナノチューブと四層以上の多層カーボンナノチューブとでは、構造に基づく応用可能性が同等であるとされていた。
ところで、本発明者らは、三層のカーボンナノチューブの構造でのみ可能な、すなわち、単層、二層及び四層以上の多層カーボンナノチューブでは実現できない、三層カーボンナノチューブ特有の応用に想到し、本発明に至った。
本発明は、導電性を変化させることが可能な三層カーボンナノチューブ、すなわち、導電性可変三層カーボンナノチューブを提供し、また、その製造に必要な、三層カーボンナノチューブの合成方法を提供すると共に、さらにそれを用いた導電性可変三層カーボンナノチューブの合成方法を提供することを目的としている。
上記目的を達成するため、本発明の導電性可変三層カーボンナノチューブは、三層カーボンナノチューブを構成する3枚の円筒状グラフェンシートの内、最外側に位置する第1の円筒状グラフェンシートの表面に官能基を有し、最内側に位置する第2の円筒状グラフェンシートの裏面に官能基を有し、上記第1のグラフェンシートの官能基及び上記第2のグラフェンシートの官能基によって、中心に位置する第3の円筒状グラフェンシートの導電性を制御することを特徴とする。
上記構成において、上記官能基は電子供与性の官能基である。上記官能基は電子吸引性の官能基であってよい。また、上記電子供与性の官能基はメトキシ基であってもよい。また、上記電子吸引性の官能基は、シアノ基、または、ニトロ基であれば好ましい。
この構成によれば、官能基の種類を選択することによって、三層カーボンナノチューブの導電型を変化させることができる。すなわち、官能基が電子供与性の官能基であった場合には、第3の円筒状グラフェンシートの共役系分子軌道にπ電子が供給され、n型導電性が実現する。また、官能基が電子吸引性の官能基であった場合には、第3の円筒状グラフェンシートの共役系分子軌道からπ電子が奪われ、p型導電性が実現する。あるいはまた、官能基の量によって、導電型を変えずに、導電率を制御することができる。
この効果は、三層カーボンナノチューブでのみ可能であり、他のカーボンナノチューブでは実現できない。すなわち、単層カーボンナノチューブでは、グラフェンシートが一枚しかないので官能基を付加することによって、共役系π電子雲が損なわれ、導電性を制御できない。二層カーボンナノチューブの場合も同様に、官能基を付加することによって、共役系π電子雲が損なわれ、導電性を制御できない。もちろん、2つある円筒状グラフェンシートのどちらか一方に官能基を付加することができれば可能であるが、どちらか一方に選択的に官能基を付加することは実質的に不可能である。4層以上のカーボンナノチューブにおいては、4層以上のカーボンナノチューブの最外側に位置する円筒状グラフェンシートの表面、及び、最内側に位置する円筒状グラフェンシートの裏面に官能基を付加することが可能であるが、官能基の効果は、ほとんど隣接するグラフェンシートのみに及ぶので、層数が多くなるに従って、カーボンナノチューブの導電性の官能基による制御効果は急激に小さくなる。
上記導電性可変三層カーボンナノチューブを製造するためには、三層カーボンナノチューブを選択的に合成することが必要である。次に、本発明の三層カーボンナノチューブの合成方法を説明する。
本発明の三層カーボンナノチューブの合成方法は、触媒と基板との反応を防止する反応防止膜を基板表面に形成し、反応防止膜上に、サイズが制御された、触媒で被覆された触媒酸化物微粒子を担持し、この基板を有機液体中に浸漬し、カーボンナノチューブの合成温度に昇温する際に、有機液体の還元作用により、触媒で被覆された触媒酸化物微粒子を還元して触媒微粒子を生成し、カーボンナノチューブの合成温度で加熱することを特徴とする。
また、触媒で被覆された触媒酸化物微粒子のサイズは、還元して生成する触媒微粒子のサイズが15nmから20nmの範囲となるように、制御することを特徴とする。
この方法によれば、以下のようにして三層カーボンナノチューブが合成される。
すなわち、触媒で被覆された触媒酸化物微粒子は、カーボンナノチューブの合成温度に昇温する際に有機液体により還元される。この還元反応は吸熱反応であり、触媒で被覆された触媒酸化物微粒子は、急激な吸熱反応による熱ストレス、或いは、昇温による急激な熱ストレスを受け、表面が触媒で被覆されていない場合には、微細なクラスターに分解してしまうが、本発明では、触媒酸化物微粒子が触媒で被覆されているので、被覆触媒が機械的にこの分解を防止し、微細なクラスターに分解することがない。触媒で被覆された触媒酸化物微粒子が分解しないので、還元されて形成される触媒微粒子のサイズは、担持した際の触媒で被覆された触媒酸化物微粒子のサイズに比例する。また、還元反応が吸熱反応であるので、温度上昇が少なく、触媒微粒子同士が凝集することがない。基板がカーボンナノチューブの合成温度に達すると、基板の高温と有機液体の低温に基づく急激な温度勾配中での触媒微粒子の非熱平衡状態の触媒作用とにより有機液体が分解されて、触媒微粒子上にカーボンナノチューブが成長する。触媒微粒子のサイズが15nmから20nmの範囲であれば、三層カーボンナノチューブが選択的に合成される。
従って、担持する際の触媒で被覆された触媒酸化物微粒子のサイズを、還元されて生成される触媒微粒子のサイズが15nmから20nmの範囲になるように選択すれば、三層カーボンナノチューブが選択的に合成できる。
また、基板の高温と有機液体の低温に基づく急激な温度勾配中での成長であるので、基板に垂直に高度に配向した三層カーボンナノチューブが合成される。
さらに、触媒と基板との反応を防止する反応防止膜を基板表面に形成しているので、触媒微粒子が基板と反応して変形することが無い。
また、触媒は遷移金属であり、基板はSi基板であり、反応防止膜は酸化ケイ素膜であり、触媒で被覆された触媒酸化物微粒子は、遷移金属で被覆された遷移金属酸化物微粒子であり、還元して生成する触媒微粒子は、遷移金属の微粒子であり、この遷移金属微粒子のサイズが15nmから20nmの範囲となるように遷移金属で被覆された遷移金属酸化物微粒子のサイズを制御して、三層カーボンナノチューブを合成しても良い。
また、遷移金属で被覆された遷移金属酸化物微粒子は、酸化ケイ素膜上に膜厚を制御して遷移金属を堆積して、遷移金属からなる微粒子を酸化ケイ素膜上に島状に形成し、この微粒子を酸化処理して遷移金属酸化物微粒子を形成し、この遷移金属酸化物微粒子をさらに還元処理して、遷移金属で被覆された遷移金属酸化物微粒子を形成しても良い。
また、堆積する遷移金属の膜厚の制御は、この堆積によって酸化ケイ素膜上に島状に形成される遷移金属微粒子のサイズが15nmから20nmの範囲であるように制御すればよい。
ここで、酸化処理の温度は、カーボンナノチューブの合成温度より低温であることが好ましい。酸化処理の温度が、カーボンナノチューブの合成温度以上であると、有機液体による還元反応が生じにくくなる。また、還元処理は、400℃から700℃の範囲の基板温度で、水素プラズマに晒す方法が好ましい。
この方法によれば、基板温度が低温であるため、遷移金属酸化物微粒子の表面を制御性よく還元でき、カーボンナノチューブの合成の際の遷移金属微粒子のサイズを正確に制御できる。
なお、遷移金属は、Fe、Co、又は、Niのグループから選ばれる一つの元素、又は複数の元素であれば好ましい。また、有機液体は、アルコール類、又はカルボン酸類の有機液体であれば好ましい。
この方法によれば、以下のようにして三層カーボンナノチューブが合成される。
すなわち、堆積する遷移金属の膜厚を制御することにより、サイズが15nmから20nmの範囲である遷移金属微粒子が、酸化ケイ素膜上に島状に形成される。この遷移金属微粒子を酸化処理することによって、遷移金属酸化物微粒子が形成される。この遷移金属酸化物微粒子を還元処理することによって、表面が遷移金属微粒子で被覆された遷移金属酸化物微粒子が形成される。遷移金属で被覆された遷移金属酸化物微粒子は、カーボンナノチューブの合成温度に昇温する際に有機液体により還元され、遷移金属微粒子が生成する。
この還元反応は吸熱反応であり、遷移金属で被覆された遷移金属酸化物微粒子は、急激な吸熱反応による熱ストレス、或いは、昇温による急激な熱ストレスを受ける。表面が遷移金属で被覆されていない遷移金属酸化物微粒子の場合には、このストレスによって遷移金属酸化物微粒子が微細なクラスターに分解してしまうが、遷移金属で被覆された遷移金属酸化物微粒子は、遷移金属の機械的強度が強いので、この分解を防止する。遷移金属で被覆された遷移金属酸化物微粒子が分解しないので、遷移金属酸化物が還元されて形成される遷移金属微粒子のサイズは、酸化ケイ素膜上に島状に形成する遷移金属微粒子のサイズに等しい。また、還元反応が吸熱反応であるので、温度上昇が少なく、遷移金属微粒子同士が凝集することがない。Si基板がカーボンナノチューブの合成温度に達すると、Si基板の高温と有機液体の低温に基づく急激な温度勾配中での遷移金属微粒子の非熱平衡状態の触媒作用とにより有機液体が分解されて、遷移金属微粒子上にカーボンナノチューブが成長する。遷移金属微粒子のサイズが15nmから20nmの範囲であれば、三層カーボンナノチューブが選択的に合成される。
従って、酸化ケイ素膜上に島状に担持される遷移金属微粒子のサイズが、15nmから20nmの範囲になるように、堆積する遷移金属の厚さを制御すれば、三層カーボンナノチューブが選択的に合成できる。
また、基板の高温と有機液体の低温に基づく急激な温度勾配中での成長であるので、基板に垂直に高度に配向した三層カーボンナノチューブが合成される。
さらに、遷移金属とSi基板との反応を防止する酸化ケイ素膜をSi基板表面に形成しているので、遷移金属微粒子がSi基板と反応して変形することが無い。
なお、遷移金属は、Fe、Co、又はNiのグループから選択する、一つの、又は、複数の元素であれば好ましい。また、上記有機液体は、アルコール類或いはカルボン酸類の有機液体であれば好ましい。
次に、本発明の導電性可変三層カーボンナノチューブの合成方法を説明する。
本発明の導電性可変三層カーボンナノチューブの合成方法は、三層カーボンナノチューブに塩素を反応させて塩素化し、この塩素化した三層カーボンナノチューブに水蒸気を反応させて水酸基化し、この水酸基化した三層カーボンナノチューブに金属ナトリウムを反応させ、その後にメタノールと反応させて、メトキシ基を導入し、電子供与性の官能基を有する導電性可変三層カーボンナノチューブを製造することを特徴とする。
また、本発明の導電性可変三層カーボンナノチューブの合成方法は、三層カーボンナノチューブに臭素を反応させて臭素化し、この臭素化した三層カーボンナノチューブにシアン化水素またはシアン化ナトリウムを反応させてシアノ基を導入し、電子吸引性の官能基を有する導電性可変三層カーボンナノチューブを製造することを特徴とする。
また、本発明の導電性可変三層カーボンナノチューブの合成方法は、三層カーボンナノチューブを、濃硫酸と濃硝酸とからなる混酸で処理して、ニトロ基を導入し、電子吸引性の官能基を有する導電性可変三層カーボンナノチューブを製造することを特徴とする。
さらに、本発明の導電性可変三層カーボンナノチューブの合成方法は、三層カーボンナノチューブを大気中で加熱することにより、カルボニル基またはカルボン酸基を導入して、電子吸引性の官能基を有する導電性可変三層カーボンナノチューブを製造することを特徴とする。
本発明の導電性可変三層カーボンナノチューブによれば、n型導電性カーボンナノチューブ、又は、p型導電性カーボンナノチューブを容易に実現できるので、トランジスタ材料として使用することができる。また、導電率を制御できるので、各種の導線や抵抗として使用できる。
また、本発明の三層カーボンナノチューブの合成方法によれば、三層カーボンナノチューブを選択的に、低コスト、大量に製造することが可能になる。
さらに、本発明の導電性可変三層カーボンナノチューブの合成方法によれば、導電性可変三層カーボンナノチューブを製造することができる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
初めに、本発明の導電性可変三層カーボンナノチューブを説明する。
図1は、本発明の導電性可変三層カーボンナノチューブの構成を示す図である。図1(a)は導電性可変三層カーボンナノチューブの側面図、(b)は導電性可変三層カーボンナノチューブの円筒軸に垂直な断面を示す図である。
図に示すように、本発明の導電性可変三層カーボンナノチューブ1は、三層カーボンナノチューブを構成する3枚の円筒状グラフェンシートの内、最外側に位置する第1の円筒状グラフェンシート2の表面に官能基3を有し、最内側に位置する第2の円筒状グラフェンシート4の裏面に官能基5を有し、第1のグラフェンシート2の官能基3、及び第2のグラフェンシート4の官能基5とによって、中心に位置する第3の円筒状グラフェンシート6の導電性を制御する。
官能基3,5は電子供与性の官能基であり、例えば、メトキシ基である。または、官能基3,5は電子吸引性の官能基であり、例えば、シアノ基、または、ニトロ基である。
次に、本発明の導電性可変三層カーボンナノチューブの作用を説明する。
この構成によれば、官能基の種類を選択することによって、三層カーボンナノチューブ1の導電型を変化させることができる。すなわち、官能基3,5が電子供与性の官能基であった場合には、第3の円筒状グラフェンシート6の共役系分子軌道にπ電子が供給され、n型導電性が実現する。また、官能基3,5が電子吸引性の官能基であった場合には、第3の円筒状グラフェンシート6の共役系分子軌道からπ電子が奪われ、p型導電性が実現する。あるいはまた、官能基の量によって、導電型を変えずに、導電率を制御することができる。
この効果は、三層カーボンナノチューブでのみ可能であり、他のカーボンナノチューブでは実現できない。すなわち、単層カーボンナノチューブでは、グラフェンシートが一枚しかないので官能基を付加することによって、共役系π電子雲が損なわれ、導電性を制御できない。二層カーボンナノチューブの場合も同様に、官能基を付加することによって、共役系π電子雲が損なわれ、導電性を制御できない。もちろん、2つある円筒状グラフェンシートのどちらか一方だけに官能基を付加することができれば可能であるが、どちらか一方に選択的に官能基を付加することは不可能である。4層以上のカーボンナノチューブにおいては、4層以上のカーボンナノチューブの最外側に位置する円筒状グラフェンシートの表面、及び最内側に位置する円筒状グラフェンシートの裏面に官能基を付加することが可能であるが、官能基の効果は、隣接するグラフェンシートのみに及ぶので、層数が多くなるに従って、導電性の官能基による制御効果は急激に小さくなる。
次に、本発明の三層カーボンナノチューブの合成方法を説明する。
カーボンナノチューブのサイズはnmオーダーであるから、単層、二層、三層、あるいは四層以上の多層カーボンナノチューブが混在したカーボンナノチューブから、三層カーボンナノチューブのみを拾い出し、整列させることは、実質的に不可能である。したがって、三層カーボンナノチューブのみが合成できる合成方法が必要であり、また、高密度、高配向に整列して得られることが必要である。本発明の三層カーボンナノチューブの合成方法はこの条件を満たすものである。
初めに、本発明の三層カーボンナノチューブの合成方法に用いる工程の一つである、有機液体中でカーボンナノチューブの合成温度で加熱するカーボンナノチューブの合成方法の概略を説明する(詳細は特許文献1を参照のこと)。
図2は有機液体中でカーボンナノチューブの合成温度で加熱するための合成装置を示す図である。この合成装置は、液体槽21の外側に液体槽21を冷却するための水冷手段22と、基板23を保持し、且つ、基板23に電流を流すための電極24を有する基板ホルダー25と、液体槽21から蒸発する有機液体蒸気を冷却凝縮して液体槽21に戻す水冷パイプ26からなる凝縮手段27と、基板ホルダー25と凝縮手段27とN2 ガスを導入するバルブ28とを保持する蓋29を有し、液体槽21と蓋29で有機液体30を密閉して保持する構成である。
この装置によれば、有機液体の温度を沸点未満に保持することができると共に、基板に一定電流を流すだけで基板温度を高温に保持でき、カーボンナノチューブの合成温度を維持することが可能になる。また、有機液体の気相が凝縮されてもどるため、原料の有機液体を無駄にすることがなく、さらに有機気相と空気との混合による爆発、炎上の危険がない。また、不活性ガス導入手段を有するから、液体槽中での有機気相と空気との混合による爆発、炎上の危険がない。
次に、この装置を用いた特許文献1の方法のカーボンナノチューブの合成メカニズムを説明する。特許文献1の方法は、Si基板上にFe微粒子を担持し、この基板を図1の装置を用いて有機液体中で電流を流して加熱するものである。
図において、Si基板23の表面は約900℃の高温であり、一方、Si基板23の表面に隣接するメタノールは約60℃である。また、Si基板23の表面は、メタノールのガスで覆われており、Si基板表面から液体に向かって急激な温度勾配が存在する。この急激な温度勾配とFeの触媒作用とにより、メタノールガス中で特異な熱分解反応が生じ、Fe微粒子上にカーボンナノチューブが成長する。
この合成法はいくつかの重要な特徴を有している。第1に、カーボンナノチューブは非熱平衡条件における触媒反応によって生成されており、第2に、カーボンナノチューブの成長端は、有機液体中で温度が制御できる基板表面のカーボンナノチューブの根元であることである。第3として、有機液体が基板を囲んでいるために、カーボンナノチューブの根元である基板表面の垂直方向に大きな温度勾配が生じ、この大きく急峻な温度勾配が、基板表面に垂直方向にカーボンナノチューブを成長させる重要な推進力となっていると考えられることである。第4に、基板表面が還元性ガスで覆われることである。さらに第5に、合成されるカーボンナノチューブの外径は、遷移金属触媒微粒子のサイズにほぼ等しく、且つ、カーボンナノチューブの層数は遷移金属触媒微粒子のサイズに依存することである。
次に、特許文献1の方法では、三層カーボンナノチューブのみを合成することが困難であることを説明する。
Feに限らず金属微粒子は,その粒子径が微細になればなるほど、表面エネルギーを低下させるために凝集し粒成長する。このため、nmサイズの遷移金属微粒子であっても、遷移金属微粒子の温度が反応温度まで上昇して、その表面でカーボンナノチューブの成長が始まるまでの間に、遷移金属微粒子同士が凝集して粒成長し、種々のサイズの遷移金属微粒子も生成してしまう。このため、単層、二層、及び多層のカーボンナノチューブが混在してしまう。
本発明者らは、特許文献1の方法を改良して、Si基板に酸化ケイ素膜を形成し、酸化ケイ素膜上に遷移金属微粒子を酸化した遷移金属酸化物微粒子を担持し、この基板を有機液体中で加熱する方法を見出した。この方法によれば、遷移金属酸化物微粒子のサイズが6nm以下であると単層カーボンナノチューブのみを合成でき、遷移金属酸化膜微粒子のサイズが6nmから15nmの範囲であると、単層及び二層カーボンナノチューブのみを合成できる。この方法によれば、有機液体中での昇温過程で、遷移金属酸化物微粒子が還元されて微細なクラスターに分解し、微細なクラスターから遷移金属微粒子が成長する。微細なクラスターからの遷移金属微粒子の成長であるので、遷移金属微粒子のサイズを小さくできる。この方法は、遷移金属微粒子のサイズを小さく制御できるが、サイズに分布があり、単層カーボンナノチューブのみ、または、単層及び二層カーボンナノチューブのみの合成には最適であっても、二層カーボンナノチューブのみ、或いは、三層カーボンナノチューブのみを合成するのは困難であった。
次に、本発明の三層カーボンナノチューブの合成方法を説明する。
本発明者らは上記の研究結果に基づき、以下の知見を得た。すなわち、カーボンナノチューブ形成の自由エネルギーは、カーボンナノチューブの層数と直径に依存し、直径が小さいほど層数の少ないカーボンナノチューブが形成されやすい、また、直径の特定の範囲に対応して、特定の層数のカーボンナノチューブが形成されやすい、また、遷移金属微粒子上に成長するカーボンナノチューブの直径は遷移金属微粒子のサイズと1対1に対応する(特許文献2参照)。
本発明の方法は、触媒と基板との反応を防止する反応防止膜を基板表面に形成し、この反応防止膜上に、サイズが制御された、上記触媒で被覆された上記触媒酸化物微粒子を担持し、この基板を有機液体中に浸漬し、カーボンナノチューブの合成温度に昇温する際に、有機液体の還元作用により、触媒で被覆された触媒酸化物微粒子を還元して触媒微粒子を生成し、カーボンナノチューブの合成温度で加熱して、三層カーボンナノチューブのみを選択的に合成する。
この方法の作用は以下のように考えられる。触媒が遷移金属であり、基板はSi基板であり、反応防止膜が酸化ケイ素膜である場合を例に取り説明する。
遷移金属で被覆された遷移金属酸化物微粒子は、カーボンナノチューブの合成温度に昇温する際に有機液体により還元され、遷移金属微粒子が生成する。この還元反応は吸熱反応であり、遷移金属で被覆された遷移金属酸化物微粒子は、急激な吸熱反応による熱ストレス、或いは、昇温による急激な熱ストレスを受ける。表面が遷移金属で被覆されていない遷移金属酸化物微粒子の場合には、このストレスによって遷移金属酸化物微粒子が微細なクラスターに分解してしまうが、遷移金属で被覆された遷移金属酸化物微粒子は、遷移金属の機械的強度が強いので、この分解を防止する。遷移金属で被覆された遷移金属酸化物微粒子が分解しないので、遷移金属酸化物が還元されて形成される遷移金属微粒子のサイズは、酸化ケイ素膜上に島状に形成する遷移金属微粒子のサイズに等しい。また、還元反応が吸熱反応であるので、温度上昇が少なく、遷移金属微粒子同士が凝集することがない。Si基板がカーボンナノチューブの合成温度に達すると、Si基板の高温と有機液体の低温に基づく急激な温度勾配中での遷移金属微粒子の非熱平衡状態の触媒作用とにより有機液体が分解されて、遷移金属微粒子上にカーボンナノチューブが成長する。遷移金属微粒子のサイズが15nmから20nmの範囲であれば、三層カーボンナノチューブが選択的に合成される。
また、Si基板上に遷移金属と化合物を形成しない酸化ケイ素膜を形成し、この膜上に、表面が還元された遷移金属酸化物微粒子を担持するので、有機液体中での昇温や合成の加熱過程において、遷移金属酸化物微粒子がSi基板と反応することがなく、遷移金属微粒子の形状が一定に保たれる。
次に、Si基板と触媒として遷移金属を用いた場合の本発明の三層カーボンナノチューブの合成方法を図を用いて詳細に説明する。
図3は、Si基板と触媒として遷移金属を用いた場合の本発明の方法を説明する工程図である。図3(a)に示すように、Si基板31を、周知の洗浄方法で洗浄する。次に、同図(b)に示すように、Si基板31を、例えば、酸化性雰囲気中で1000℃程度の高温に加熱することによって、約1μm以下の酸化ケイ素膜32を形成する。続いて、同図(c)に示すように、遷移金属33を堆積する。
遷移金属33を堆積すると同時に、サイズがほぼ堆積膜厚に等しい遷移金属微粒子34が酸化ケイ素膜32上に島状に分布し担持される。遷移金属33の堆積方法は、スパッタリング法でも良く、真空蒸着法でも良く、堆積時の基板温度は100℃以下が好ましい。基板温度が高いと、遷移金属微粒子34同士が互いに凝集してしまい、堆積膜厚にほぼ等しい遷移金属微粒子34を形成できない。堆積膜厚が15nmから20nmの範囲であれば三層カーボンナノチューブのみが合成できる。反応防止膜が酸化ケイ素膜であり触媒が遷移金属である場合には、遷移金属33の堆積膜厚と遷移金属微粒子34のサイズとの間で、ほぼ1対1の比例関係が成り立つが、もちろん、反応防止膜と触媒の組み合わせの種類によって、この比例関係は異なるので、あらかじめ、触媒の堆積膜厚と触媒微粒子のサイズとの関係を求めておくと良い。
次に、図3(d)に示すように、カーボンナノチューブの合成温度に比べて低温の酸化処理、例えば、酸化性雰囲気中で400℃程度に加熱して、遷移金属微粒子34を遷移金属酸化物微粒子35に変える。酸化温度がカーボンナノチューブの合成温度以上であると、有機液体による遷移金属酸化物微粒子の還元反応が進まない。
次に、図3(e)に示すように、カーボンナノチューブの合成温度に比べて低温の還元処理、例えば、基板の温度が400℃から700℃の範囲で水素プラズマに晒して、遷移金属酸化物微粒子35の表面を還元し、遷移金属で被覆された遷移金属酸化物微粒子36を形成する。プラズマを使用しない、低温の還元性雰囲気による還元では遷移金属酸化物微粒子の表面の還元膜厚を制御性良く、又、表面全体に亘って均一に還元することが難しい。
次に、この基板を図1に示した合成装置に浸漬して、特許文献1の方法により、カーボンナノチューブを合成する。合成の際の基板温度は、700〜900℃が好ましい。約1時間の合成によって数ミクロンの長さの三層カーボンナノチューブが成長する。
また、上記Si基板は、導電性を有するSi基板であればよい。また、上記遷移金属は、Fe、Co又はNiのグループから選ばれる一つの、或いは複数の元素であれば好ましい。また、上記有機液体は、アルコール類或いはカルボン酸類の有機液体であれば好ましい。また、アルコール類は、メチルアルコール又はエチルアルコールでも良い。また、カルボン酸は酢酸でも良い。
次に、本発明の方法で合成される三層カーボンナノチューブの形態を説明する。
図4は、本発明の方法によって合成される三層カーボンナノチューブの形態を模式的に示す図である。図に示すように、三層カーボンナノチューブ41は基板42上の反応防止膜43上に強固に担持された、サイズdが15≦d≦20nmの触媒微粒子44上に垂直に成長する。
次に、本発明の導電性可変三層カーボンナノチューブの合成方法を説明する。
本発明の導電性可変三層カーボンナノチューブの合成方法は、三層カーボンナノチューブに塩素を0〜300℃の温度範囲で反応させて塩素化(−cl)し、この塩素化した三層カーボンナノチューブに水蒸気を0〜100℃の温度範囲で反応させて水酸基化(−OH)し、この水酸基化した三層カーボンナノチューブに金属ナトリウムを室温で反応させ(−ONa)、その後にメタノールと反応させて、メトキシ基(−OCH3 )を導入し、電子供与性の官能基を有する導電性可変三層カーボンナノチューブを製造する。
また、本発明の導電性可変三層カーボンナノチューブの合成方法は、三層カーボンナノチューブに臭素を反応させて臭素化(−Br)し、この臭素化した三層カーボンナノチューブにシアン化水素(HCN)、または、シアン化ナトリウム(NaCN)を反応させてシアノ基(−CN)を導入し、電子吸引性の官能基を有する導電性可変三層カーボンナノチューブを製造する。
また、本発明の導電性可変三層カーボンナノチューブの合成方法は、三層カーボンナノチューブを、濃硫酸と濃硝酸とからなる混酸で処理して、ニトロ基を導入し、電子吸引性の官能基を有する導電性可変三層カーボンナノチューブを製造する。
また、本発明の導電性可変三層カーボンナノチューブの合成方法は、三層カーボンナノチューブを大気中で300〜500℃の範囲で加熱することにより、カルボニル基(−C−)、または、カルボン酸基(−COOH)を導入して、電子吸引性の官能基を有する導電性可変三層カーボンナノチューブを製造する。
次に、三層カーボンナノチューブの合成方法の実施例を説明する。
高純度エタノール(99.7%)を有機液体として用い、低抵抗(0.002Ωcm)Si(100)面方位、寸法10×20×1mm3 の基板を用いた。Si基板は、アセトン中で超音波洗浄し、さらに、1000℃で一時間、酸素雰囲気中で酸化処理を行った。基板表面はSiO2 膜が形成されており、その基板上にArガスによるスパッタ法でFe薄膜を20nmの厚さで堆積し、Fe微粒子を形成した。基板に担持されたFe微粒子は空気中で約400℃に加熱することによって酸化鉄微粒子となった。この基板を400〜700℃に保ち、水素プラズマ処理を約15分加えた。次に、この基板を、図1に示した合成装置の基板ホルダーに配置し、直流電流を流し、800℃に加熱した。多数の泡が生成し、多数の泡がエタノール液表面に上昇すると共に、基板表面はこの泡で覆われた。液体槽中のエタノールの温度は約50℃に上昇した。基板温度は、光学放射温度計を使用し、焦点を基板表面に合わせて測定した。基板に流す電流は成長中一定に保った。基板温度は、カーボンナノチューブの長さが長くなるに従ってゆっくりと減少することが観測された。
次に、上記実施例で作製したカーボンナノチューブの測定結果を説明する。
図5は上記実施例で作製した三層カーボンナノチューブの透過電子顕微鏡像(TEM)を示す図である。TEM像は、Si基板に高密度、且つ、垂直に配向した三層カーボンナノチューブの一部を切り取り、TEM用試料台に固定し、撮影したものである。
この図には、三層カーボンナノチューブの円筒軸に垂直な断面が撮影されている。図から、このカーボンナノチューブは三層カーボンナノチューブであることがわかる。
図6は上記実施例で作製した三層カーボンナノチューブの透過電子顕微鏡像(TEM)を示す図である。TEM像は、Si基板に高密度、且つ、垂直に配向したカーボンナノチューブの一部を切り取り、撮影したものである。
この図には、三層カーボンナノチューブの側面が撮影されている。図から、このカーボンナノチューブは三層ナノチューブであることがわかる。
尚、合成した三層カーボンナノチューブの直径は15nm以下に限られており、また、三層以外のカーボンナノチューブは見あたらなかった。
上記実施例では、有機液体としてエタノールを用いたが、エタノールに限らず、メタノール又は酢酸は、極めて好適な有機液体である。すなわち、メタノール、エタノール及び酢酸は、それぞれ、64.96℃、78.5℃、及び117.9℃の沸点を有する有機液体であるので、図1に示した装置によって、基板と有機液体との間に急峻な温度勾配を形成することができる。
また、酸素と水素を構成元素として含む有機液体であれば、金属に対して還元性を有するので、上記有機液体に限らず、本発明の方法が適用できる。また、有機液体が炭素以外の元素を含む場合には、その元素を構成元素としたナノチューブが合成できることは明かである。
上記説明から理解されるように、導電性可変三層カーボンナノチューブによれば、n型導電性カーボンナノチューブ、又は、p型導電性カーボンナノチューブを容易に実現できるので、トランジスタ材料として使用できる。カーボンナノチューブはサイズがナノメーターオーダーであるので、次世代ナノ電子回路用トランジスタ材料として使用できる。また、導電率を制御できるので、次世代ナノ電子回路用の導線や抵抗として使用することも可能である。
さらに、本発明の三層カーボンナノチューブの合成方法によれば、三層カーボンナノチューブを選択的に、低コスト、大量に製造することが可能となる。
また、本発明の導電性可変三層カーボンナノチューブの合成方法によれば、導電性可変三層カーボンナノチューブを、低コスト、大量に製造することができる。
本発明の導電性可変三層カーボンナノチューブの構成を示す図である。 有機液体中でカーボンナノチューブの合成温度で加熱するための合成装置を示す図である。 Si基板と触媒として遷移金属を用いた場合の本発明の三層カーボンナノチューブの合成方法を説明する工程図である。 本発明の方法によって合成される三層カーボンナノチューブの形態を模式的に示す図である。 本発明の方法によって合成した三層カーボンナノチューブの透過電子顕微鏡像(TEM)を示す図である。 本発明の方法によって合成した三層カーボンナノチューブの透過電子顕微鏡像(TEM)を示す図である。
符号の説明
1 導電性可変三層カーボンナノチューブ
2 第1の円筒状グラフェンシート
3 官能基
4 第2の円筒状グラフェンシート
5 官能基
6 第3の円筒状グラフェンシート
21 液体槽
22 水冷手段
23 基板
24 電極
25 基板ホルダー
26 水冷パイプ
27 凝縮手段
28 バルブ
29 蓋
30 有機液体
31 Si基板
32 酸化ケイ素膜
33 遷移金属
34 遷移金属微粒子
35 遷移金属酸化物微粒子
36 遷移金属で被覆された遷移金属酸化物微粒子
41 三層カーボンナノチューブ
42 基板
43 反応防止膜
44 触媒微粒子

Claims (20)

  1. 三層カーボンナノチューブを構成する3枚の円筒状グラフェンシートの内、最外側に位置する第1の円筒状グラフェンシートの表面に官能基を有し、最内側に位置する第2の円筒状グラフェンシートの裏面に官能基を有し、
    上記第1のグラフェンシートの官能基及び上記第2のグラフェンシートの官能基によって、中心に位置する第3の円筒状グラフェンシートの導電性を制御することを特徴とする、導電性可変三層カーボンナノチューブ。
  2. 前記官能基は電子供与性の官能基であることを特徴とする、請求項1に記載の導電性可変三層カーボンナノチューブ。
  3. 前記官能基は電子吸引性の官能基であることを特徴とする、請求項1に記載の導電性可変三層カーボンナノチューブ。
  4. 前記電子供与性の官能基はメトキシ基であることを特徴とする、請求項2に記載の導電性可変三層カーボンナノチューブ。
  5. 前記電子吸引性の官能基は、シアノ基またはニトロ基であることを特徴とする、請求項3に記載の導電性可変三層カーボンナノチューブ。
  6. 触媒と基板との反応を防止する反応防止膜を基板表面に形成し、この反応防止膜上に、サイズが制御された、上記触媒で被覆された上記触媒酸化物微粒子を担持し、この基板を有機液体中に浸漬し、カーボンナノチューブの合成温度に昇温する際に、上記有機液体の還元作用により、上記触媒で被覆された触媒酸化物微粒子が還元されて触媒微粒子を生成し、カーボンナノチューブの合成温度で加熱することにより、上記触媒微粒子上にカーボンナノチューブを成長することを特徴とする、三層カーボンナノチューブの合成方法。
  7. 前記還元して生成する触媒微粒子のサイズが15nmから20nmの範囲となるように、前記触媒で被覆された触媒酸化物微粒子のサイズを制御することを特徴とする、請求項6に記載の三層カーボンナノチューブの合成方法。
  8. 前記触媒は遷移金属であることを特徴とする、請求項6に記載の三層カーボンナノチューブの合成方法。
  9. 前記反応防止膜は、酸化膜、窒化膜又は炭化膜であることを特徴とする、請求項6に記載の三層カーボンナノチューブの合成方法。
  10. 前記触媒は遷移金属であり、前記基板はSi基板であり、前記反応防止膜は酸化ケイ素膜であり、前記触媒で被覆された触媒酸化物微粒子は、上記遷移金属で被覆された遷移金属酸化物微粒子であり、前記還元して生成する触媒微粒子は、上記遷移金属の微粒子であり、この遷移金属微粒子のサイズが15nmから20nmの範囲となるように上記遷移金属で被覆された遷移金属酸化物微粒子のサイズを制御することを特徴とする、請求項6に記載の三層カーボンナノチューブの合成方法。
  11. 前記遷移金属で被覆された遷移金属酸化物微粒子は、前記酸化ケイ素膜上に膜厚を制御して前記遷移金属を堆積して、遷移金属微粒子を上記酸化ケイ素膜上に島状に形成し、この微粒子を酸化処理して遷移金属酸化物微粒子を形成し、この遷移金属酸化物微粒子を還元処理して、上記遷移金属で被覆された遷移金属酸化物微粒子を形成することを特徴とする、請求項10に記載の三層カーボンナノチューブの合成方法。
  12. 前記堆積する遷移金属の膜厚の制御は、この堆積によって酸化ケイ素膜上に島状に形成される遷移金属微粒子のサイズが15nmから20nmの範囲であるように制御することを特徴とする、請求項11に記載の三層カーボンナノチューブの合成方法。
  13. 前記酸化処理の温度は、前記カーボンナノチューブの合成温度より低温であることを特徴とする、請求項11に記載の三層カーボンナノチューブの合成方法。
  14. 前記還元処理は、400℃から700℃の範囲の基板温度で、水素プラズマに晒す方法であることを特徴とする、請求項11に記載の三層カーボンナノチューブの合成方法。
  15. 前記遷移金属は、Fe、Co、又は、Niのグループから選ばれる一つの元素、又は複数の元素であることを特徴とする、請求項10〜14のいずれかに記載の三層カーボンナノチューブの合成方法。
  16. 前記有機液体は、アルコール類又はカルボン酸類の有機液体であることを特徴とする、請求項6〜12の何れかに記載の三層カーボンナノチューブの合成方法。
  17. 三層カーボンナノチューブに塩素を反応させて塩素化し、この塩素化した三層カーボンナノチューブに水蒸気を反応させて水酸基化し、この水酸基化した三層カーボンナノチューブに金属ナトリウムを反応させ、その後にメタノールと反応させて、メトキシ基を導入し、電子供与性の官能基を有する導電性可変三層カーボンナノチューブを合成することを特徴とする、導電性可変三層カーボンナノチューブの合成方法。
  18. 三層カーボンナノチューブに臭素を反応させて臭素化し、この臭素化した三層カーボンナノチューブにシアン化水素またはシアン化ナトリウムを反応させてシアノ基を導入し、電子吸引性の官能基を有する導電性可変三層カーボンナノチューブを合成することを特徴とする、導電性可変三層カーボンナノチューブの合成方法。
  19. 三層カーボンナノチューブを、濃硫酸と濃硝酸とからなる混酸で処理して、ニトロ基を導入し、電子吸引性の官能基を有する導電性可変三層カーボンナノチューブを合成することを特徴とする、導電性可変三層カーボンナノチューブの合成方法。
  20. 三層カーボンナノチューブを大気中で加熱することにより、カルボニル基またはカルボン酸基を導入して、電子吸引性の官能基を有する導電性可変三層カーボンナノチューブを合成することを特徴とする、導電性可変三層カーボンナノチューブの合成方法。
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