JP6569675B2 - ポット型ナノカーボン材料及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、新規なナノカーボン材料及びその製造方法に関し、特に、グラフェンナノシートの成長が異なる領域を有するポット型ナノカーボン材料及びその製造方法に関する。
カーボンナノチューブは、特異の電子物性、吸着特性、機械的特性を有することから、例えば、走査型プローブ顕微鏡(SPM)探針、電界放出ディスプレイ(FED)用エミッタ、燃料電池用水素吸蔵材料、リチウム二次電池負極材料、高密度集積回路、高性能樹脂複合材料など、極めて広範囲の応用が期待され、特に、近時は高品質のカーボンナノチューブを安定して量産できる方法が模索されている。カーボンナノチューブ(Carbon Nano Tube:CNT)は、グラファイトの層を丸めた円筒状構造で生成される炭素微結晶であり、その製造方法として従来、アーク放電法、レーザ蒸発法、化学気相成長法(CVD)などが知られている。アーク放電法及びレーザ蒸発法は、高品質又は高純度のカーボンナノチューブを得ることができる反面、収量が少なく、工業的に量産することが困難であった。CVD法は、炭素源となる炭素化合物を原料ガスとして供給出来るために大量合成に向くが、カーボンナノチューブの結晶性に劣る。
基板上に金属触媒を堆積し、該基板を有機液体中で加熱してCNTを合成する方法(特許文献1、非特許文献1及び2)も提案されているが、有機液体中に基板を浸漬して金属触媒を有機液体に直接に接触させた状態でCNTを合成させる(液中基板加熱法)ので基板がCNTの最適合成温度に到達する前に基板上の触媒が有機液体と反応してしまうため、安定して純度の高いカーボンナノチューブを得ることができなかった。また、触媒に関しては、有機液体に溶出する触媒材料はカーボンナノチューブ合成時に基板から剥離してしまうため、用いることができない。したがって、有機液体に溶出しにくい例えば鉄、コバルト、鉄系合金等を触媒として選択しなければならなかった。さらに、基板への触媒膜の付着力を高めるために、基板上にスパッタ法や真空蒸着法などでFe薄膜を堆積し、さらにFe薄膜を堆積した基板を水素プラズマ処理することによりFeを島状に微粒子とするとともに、基板に強固に結合させる必要があり、高価なスパッタ装置やプラズマ処理装置を必要とし、設備コスト、製造コストが高価となる問題があった。そこで、本発明者は、内部を閉じた槽体に有機液体を収容し、残部の容積空間を反応空間とし、触媒担持基板の加熱により合成条件を生成させて有機液体の蒸発ガスを炭素源ガスとして触媒上にナノカーボン材料を気相成長させるサブマリン式基板加熱法を提案した(特許文献3)。
一方、ナノカーボン材料としては、代表的なカーボンナノチューブ(CNT、SWCNT)の他に、カップスタック型カーボンナノチューブ及びこれを単離したカップ型ナノカーボン(特許文献2)、Hプラズマ処理により合成される長さ10nm×直径10nm程度のベル様構造が連結しているカーボンナノベル(非特許文献3、図1)、熱プラズマ法により合成される長さ30nm×直径30nm程度の球が連結しているナノネックレス(非特許文献4、図2)、MPECVD法により合成されたバンブー型ナノチューブ(非特許文献5、図3)、Sn触媒を用いるCVD法において炭素源としてのC流量を変えて合成される異なる形状のカーボンナノ材料として、直線状カーボンナノファイバーからなるフラワー型(図4(a〜b))、長さ1.5μm×直径0.85μm程度の数珠状ナノカーボンファイバー(図4(c〜d))、ナノカーボンコイル(図4(e〜h))及びツイスト型ナノカーボンチューブ(図4(i〜j))などが報告され(非特許文献6)、種々の分野での応用が検討されている。
特開2003−12312号公報 特許第5119451号公報 特許第5428066号公報
K.Nakagawa et al.,Catalysis Letters,101,191(2005) M.Nishitani−Gamo et al.,Japanese Journal of Applied Physics,46,6329(2007) Ma et al.Size−controlled short nanobells:Growth and formation mechanism,Applied Physics Letters,Vol.77,No.25,18 December 2000 H.Okuno et al.,Synthsis of carbon nanotubes and nano−necklacs by thermal plasma process,Carbon 42(2004)2543−2549 E.G.Wang et al.Optical emission spectroscopy study of the influence of nitrogen on carbon nanotube growth,Carbon 41,1827(2003) J.Sun et al.,Synthesis of carbon nanocoil forests on BaSrTiO3 substrates with the aid of a Sn catalyst,Carbon 60(2013)5−15 Y.Matsumoto et al.Photoreaction of Graphene Oxide Nanosheets in Water,J.Phys.Chem.C 2011,115,19280−19286
本発明者らが開発したサブマリン式基板加熱法(液面下CVD法)を用いて、新規なナノカーボン材料を提供することを目的とする。
本発明者らは、先に提案したサブマリン式基板加熱法を継続研究し、特定の条件下で新規なナノカーボン材料を製造することができることを知見して、本発明を完成するに至った。本発明の具体的態様は以下のとおりである。
[1]多層グラフェン層からなる底部と、当該底部よりもグラフェン層の積層数が少なく且つ直径が徐々に小さくなるテーパード縮径中空胴部と、先端開口部と、を有し、当該底部の最大直径と全長とのアスペクト比が4以上であるポット型ナノカーボン。
[2]前記テーパード縮径中空胴部は、縮径率が異なる2以上の領域を含む、[1]に記載のポット型ナノカーボン。
[3]前記テーパード縮径中空胴部と前記先端開口部との間に、前記テーパード縮径中空胴部よりもグラフェン層の積層数が少なく且つ直径が大きいが前記底部の直径よりは小さい直径の拡幅中空首部をさらに有する、[1]又は[2]に記載のポット型ナノカーボン。
[4][1]〜[3]のいずれかに記載のポット型ナノカーボンが複数連結してなり、
隣接するポット型ナノカーボンの底部と先端開口部とが連結しているカーボンナノポット。
[5]炭素源となる有機液体を充填する液体槽と、
当該液体槽内に昇降可能に取り付けられており、底部から有機液体が導入されるように設けられている液体連通部、当該液体連通部から導入された有機液体と直接接触しない位置に触媒担持基板を脱着可能に取り付ける基板支持手段、及び当該基板支持手段の周囲に気体を充填させる空間を具備する反応室と、
当該反応室内に設置された触媒担持基板を加熱する加熱装置と、
当該反応室内の空間に不活性ガスを供給する不活性ガス供給装置と、を有するカーボンナノ材料製造装置を用いて、
当該反応室内に触媒担持基板を取り付けた後、当該反応室内の空間に不活性ガスを供給しながら、当該反応室を当該液体槽内の有機液体中に沈めて、当該液体連通部から有機液体を当該反応室内に導入し、有機液体からカーボンを含むガスを当該反応室内の空間に蒸散させて、当該触媒担持基板上でカーボンナノ材料を成長させる方法であって、
当該触媒担持基板は、基板上に担持されている触媒分散ナノシートを含み、
当該触媒担持基板を750〜950℃に加熱して、触媒担持基板上に堆積したナノカーボンを成長させ、[4]に記載のカーボンナノポットを得ることを特徴とする、カーボンナノポットの製造方法。
[6]炭素源となる有機液体を充填する液体槽と、
当該液体槽内に昇降可能に取り付けられており、底部から有機液体が導入されるように設けられている液体連通部、当該液体連通部から導入された有機液体と直接接触しない位置に触媒担持基板を脱着可能に取り付ける基板支持手段、及び当該基板支持手段の周囲に気体を充填させる空間を具備する反応室と、
当該反応室内に設置された触媒担持基板を加熱する加熱装置と、
当該反応室内の空間に不活性ガスを供給する不活性ガス供給装置と、を有するカーボンナノ材料製造装置を用いて、
当該反応室内に触媒担持基板を取り付けた後、当該反応室内の空間に不活性ガスを供給しながら、当該反応室を当該液体槽内の有機液体中に沈めて、当該液体連通部から有機液体を当該反応室内に導入し、有機液体からカーボンを含むガスを当該反応室内の空間に蒸散させて、当該触媒担持基板上でカーボンナノ材料を成長させる方法であって、
当該触媒担持基板は、基板上に担持されている触媒分散ナノシートを含み、
当該触媒担持基板を750〜950℃に加熱して、触媒担持基板上に堆積したナノカーボンを成長させ、
当該ナノカーボンを成長させた前記触媒担持基板を有機溶媒中に浸漬させて、隣接するポット型ナノカーボンの連結部を分離させて、[1]〜[3]のいずれかに記載の単離したポット型ナノカーボンを得ることを特徴とする、ポット型ナノカーボンの製造方法。
[7]炭素源となる有機液体を充填する液体槽と、
当該液体槽内に昇降可能に取り付けられており、底部から有機液体が導入されるように設けられている液体連通部、当該液体連通部から導入された有機液体と直接接触しない位置に触媒担持基板を脱着可能に取り付ける基板支持手段、及び当該基板支持手段の周囲に気体を充填させる空間を具備する反応室と、
当該反応室内に設置された触媒担持基板を加熱する加熱装置と、
当該反応室内の空間に不活性ガスを供給する不活性ガス供給装置と、を有するカーボンナノ材料製造装置を用いて、
当該反応室内に触媒担持基板を取り付けた後、当該反応室内の空間に不活性ガスを供給しながら、当該反応室を当該液体槽内の有機液体中に沈めて、当該液体連通部から有機液体を当該反応室内に導入し、有機液体からカーボンを含むガスを当該反応室内の空間に蒸散させて、当該触媒担持基板上でカーボンナノ材料を成長させる方法であって、
当該触媒担持基板は、基板上に担持されている触媒分散ナノシートを含み、
当該触媒担持基板を750〜950℃に加熱して、触媒担持基板上に堆積したナノカーボンを成長させて、多層グラフェン層からなる底部と、当該底部よりもグラフェン層の積層数が少なく且つ直径が徐々に小さくなり且つ縮径率が異なる2以上の領域を含むテーパード縮径中空胴部と、先端開口部と、を有し、当該底部の最大直径と全長とのアスペクト比が4以上であるポット型ナノカーボンが連結しているカーボンナノポットを成長させ、
当該カーボンナノポットが成長した前記触媒担持基板を有機溶媒中に浸漬させて、ポット型ナノカーボンのテーパード縮径中空胴部の縮径率が変化する部位で切断して、多層グラフェン層からなる底部及び当該底部よりもグラフェン層の積層数が少なく且つ直径が徐々に小さくなるテーパード縮径中空胴部を有するポット型ナノカーボンを単離することを含む、ポット型ナノカーボンの製造方法。
[8]炭素源となる有機液体を充填する液体槽と、
当該液体槽内に昇降可能に取り付けられており、底部から有機液体が導入されるように設けられている液体連通部、当該液体連通部から導入された有機液体と直接接触しない位置に触媒担持基板を脱着可能に取り付ける基板支持手段、及び当該基板支持手段の周囲に気体を充填させる空間を具備する反応室と、
当該反応室内に設置された触媒担持基板を加熱する加熱装置と、
当該反応室内の空間に不活性ガスを供給する不活性ガス供給装置と、を有するカーボンナノ材料製造装置を用いて、
当該反応室内に触媒担持基板を取り付けた後、当該反応室内の空間に不活性ガスを供給しながら、当該反応室を当該液体槽内の有機液体中に沈めて、当該液体連通部から有機液体を当該反応室内に導入し、有機液体からカーボンを含むガスを当該反応室内の空間に蒸散させて、当該触媒担持基板上でカーボンナノ材料を成長させる方法であって、
当該触媒担持基板は、基板上に担持されている触媒分散ナノシートを含み、
当該触媒担持基板を750〜950℃に加熱して、触媒担持基板上に堆積したカーボンを成長させて、多層グラフェン層からなる底部と、当該底部よりもグラフェン層の積層数が少なく且つ直径が徐々に小さくなるテーパード縮径中空胴部と、当該テーパード縮径中空胴部よりもグラフェン層の積層数が少なく且つ直径が大きいが当該底部の直径よりは小さい直径の拡幅中空首部と、先端開口部と、を有し、当該底部の最大直径と全長とのアスペクト比が4以上であるポット型ナノカーボンが連結しているカーボンナノポットを成長させ、
当該カーボンナノポットが成長した前記触媒担持基板を有機溶媒中に浸漬させて、ポット型ナノカーボンのテーパード縮径中空胴部と拡幅中空首部との切り替え部位で切断して、多層グラフェン層からなる底部及び当該底部よりもグラフェン層の積層数が少なく且つ直径が徐々に小さくなるテーパード縮径中空胴部を有するポット型ナノカーボンを単離することを含む、ポット型ナノカーボンの製造方法。
[9]前記触媒担持基板は、酸化グラフェン、グラフェン、h−窒化ホウ素、酸化ルテニウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化セリウム、酸化ニオブ、酸化ジルコニウム、酸化タリウム、チタン酸バリウム、硫化モリブデン、硫化スズ、硫化タングステン、硫化タリウム、硫化ニオブ、テルル化モリブデン、及びこれらを組み合わせた混晶から選択される分散媒を含むナノシートに触媒が分散されてなる触媒分散ナノシートを基板に塗布して形成することを特徴とする、[5]〜[8]のいずれかに記載の方法。
[10]前記触媒担持基板は、前記触媒分散ナノシートを基板に塗布した後に紫外線照射することにより形成されることを特徴とする、[9]に記載の方法。
[11]前記触媒は、Cr、Fe、Co、Ni、Cu、Mo、Pt、Pd、Rh、Ir、Y、La、Ce、Pr、Nd、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Lu又はこれらの組み合わせから選択される元素を含むことを特徴とする[9]又は[10]に記載の方法。
本発明によれば、新規な形状のナノカーボン材料が提供される。本発明のポット型ナノカーボンは、首長有底形状を有し、ナノフラスコ、ナノアンプルなどナノスケールの有底容器としての利用が期待できる。
非特許文献3に開示されているカーボンナノベルのTEM画像である。 非特許文献4に開示されているナノネックレスの高分解能TEM画像(a)及びTEM画像(b)である。 非特許文献5に開示されているバンブー型カーボンナノチューブのTEM画像である。 非特許文献6に開示されているフラワー型カーボンナノファイバー(a、b)、数珠状カーボンナノファイバー(c、d)、カーボンナノコイル(e、f、g、h)、ツイスト型ナノチューブ(i、j)のSEM画像である。 本発明のカーボンナノポットのTEM画像である。 本発明のカーボンナノポットの先端開口部を示すTEM画像である。 本発明のポット型ナノカーボンのTEM画像である。 本発明のカーボンナノポットを合成することができるカーボンナノ材料製造装置の概略説明図である。 本発明のカーボンナノポットの成長機構の概略説明図である。 本発明のカーボンナノポットの成長機構の概略説明図である。 触媒金属を分散させていない酸化グラフェンシートを基板に塗布した場合のAFM画像である。 実施例における触媒金属粒子が担持されている触媒担持基板のAFM画像である。 実施例における生成物のSEM画像(5,000倍)である。 実施例における生成物のSEM画像(80,000倍)である。 実施例における生成物のSEM画像(120,000倍)である。 実施例における生成物のTEM画像である。 実施例における生成物のFE−TEM画像である。 実施例における生成物のテーパード縮径中空胴部のグラフェンシートの積層状態を示す拡大TEM画像である。 実施例における生成物の拡幅首部のグラフェンシートの積層状態を示す拡大TEM画像である。 酸化グラフェンシート(a)の上に形成された触媒金属粒子(b)からカーボンナノポット(c)が成長していることを示すSEM画像である。 カーボンナノポットのラマンスペクトルである。 バンブー型カーボンナノチューブのラマンスペクトルである。
以下、添付図面を参照しながら、本発明を詳細に説明する。
図5は連結した状態のポット型ナノカーボン(カーボンナノポット)のTEM画像であり、図6は先端開口部のTEM画像であり、図7は単離したポット型ナノカーボンのTEM画像である。
本発明の新規なカーボンナノポットは、図5に示すように、多層グラフェン層からなる底部1aと、当該底部1aよりもグラフェン層の積層数が少なく且つ直径が徐々に小さくなるテーパード縮径中空胴部1bと、当該テーパード縮径中空胴部1bよりもグラフェン層の積層数が少なく且つ直径が大きいが当該底部1aの直径よりは小さい直径の拡幅中空首部1cと、当該拡幅中空首部1cの先端開口部1d(図6)と、を有するポット型ナノカーボン(図7中(a))が複数連結してなり、隣接するポット型ナノカーボンの底部1aと先端開口部1dとが連結している。テーパード縮径中空胴部1bは、縮径率の異なる領域1b−1及び1b−2を有する。領域1b−1の縮径率は、領域1b−2の縮径率よりも大きい。図示してはいないが、テーパード縮径中空胴部の縮径率が緩やかな領域1b−2が伸長して、拡幅中空首部1cが形成されない場合もある。底部1aを構成するグラフェン層は湾曲して積層し、ポット型容器の底部を形成する。
底部1aは、好ましくは10層〜80層のグラフェンナノシートがオニオンライクに積層しており、直径は15〜100nm、好ましくは50nm程度であり、長さは10〜50nm、好ましくは20nm程度である。
テーパード縮径中空胴部1bは、好ましくは10層〜80層のグラフェンナノシートが徐々に縮径するテーパー状に積層し、底部1aから離間するにつれて積層数が減少する。テーパード縮径中空洞部1bの平均直径は15〜100nm、好ましくは50nm程度であり、長さは35〜300nm、好ましくは200nm程度である。テーパード縮径中空胴部1bが縮径率の異なる領域1b−1及び1b−2を有する場合、縮径率の大きな領域1b−1は、グラフェンナノシートの積層数が多いところで好ましくは10〜80層であり、少ないところで好ましくは8〜50層であり、直径は最大で好ましくは15〜100nm、最小で好ましくは14〜60nmである。縮径率の小さな領域1b−2は、グラフェン層の積層数が底部側で好ましくは8〜50層であり、先端開口部側で好ましくは6〜20層であり、直径はほぼ一定で好ましくは12〜60nmである。テーパード縮径中空胴部の中空部の内径は、ほぼ一定で、好ましくは底部の直径の30〜45%である。
拡幅中空首部は、好ましくは6〜20層のグラフェンナノシートが徐々に拡幅するテーパー状に積層しており、平均直径は12〜60nm、好ましくは40nm程度であり、長さは10〜250nm、好ましくは50nm程度である。拡幅中空首部のテーパーは、縮径中空洞部のテーパーよりも小さい。拡幅中空首部の中空部の内径は、直径と同様に拡大し、テーパード縮径中空胴部側で好ましくは直径の30〜60%であり、先端開口部側で好ましくは直径の60〜90%である。
ポット型ナノカーボン単体の全長は70〜350nm、好ましくは200nm程度である。複数のポット型ナノカーボンが連結してなるカーボンナノポットの全長は、好ましくは10〜200μmであり、20〜100μmが多く形成される。
グラフェン層が積層している部分におけるグラフェンナノシートの間隔は0.33〜0.70nm、好ましくは0.34nm程度である。内側のグラフェンナノシートは底部1aから縮径中空胴部1bにわたって伸長しており、外側のグラフェンナノシートは底部1aに多く、縮径中空胴部1bから拡幅中空首部1cに近づくにつれて減少する。
底部1aの最大直径と、底部1a、テーパード縮径中空胴部1b、拡幅中空首部1c及び先端開口部1dにわたる全体の長さと、のアスペクト比は4以上であり、好ましくは4以上20以下、より好ましくは4以上10以下である。これまで報告されているナノベル型(図1)、ネックレス型(図2)、バンブー型(図3)、及び数珠型(図4(c)及び(d))のアスペクト比は1〜2であり、本発明のナノポットはテーパード縮径中空胴部及び拡幅中空首部が長く成長している点で異なり、新規構造のカーボンナノ材料といえる。
また、本発明のカーボンナノポットは、先行するポット型ナノカーボンの先端開口部が後続するポット型ナノカーボンの底部を受け容れた状態で連結しており、カップ若しくはベルが積層してなるナノベル型とは連結部分の構造が異なっている。さらに、カップスタック型(特許文献2)は両端部が開口となっている無底形状であり、本発明のカーボンナノポットは有底形状である点でも異なっている。
さらに、本発明のカーボンナノポットは、先行するポット型ナノカーボンの先端開口部が後続するポット型ナノカーボンの底部を受け容れた状態で連結している連結部、テーパード縮径中空胴部の縮径率の変化する部位(領域1b−1と1b−2との境界)もしくはテーパード縮径中空胴部と拡幅中空首部との切り替え部位で分離可能である。多層グラフェン層からなる底部と、当該底部よりもグラフェン層の積層数が少なく且つ直径が徐々に小さくなるテーパード縮径中空胴部と、先端開口部と、を有し、当該底部の最大直径と全長とのアスペクト比が4以上であるポット型ナノカーボン(図7中(a))を単離することができる。ポット型ナノカーボンの単離は、カーボンナノポットが成長した触媒担持基板をメタノール、エタノール、2−プロパノール、1−ブタノール、アセトン、ヘキサンなどの有機溶媒に浸漬させて、撹拌又は超音波処理などにより振動を付与することにより行うことができる。
本発明のカーボンナノポットは、本発明者が開発したカーボンナノ材料製造装置(日本特許5428066号)を用いるサブマリン式基板加熱法(液面下CVD法)により製造することができる。本発明で用いるカーボンナノ材料製造装置の一例を図8に示す。
カーボンナノ材料製造装置30は、炭素源となる有機液体6を充填する液体槽31と、当該液体槽31内に昇降可能に取り付けられており、底部200Aから有機液体6が導入されるように設けられている液体連通部8、当該液体連通部8から導入された有機液体6と直接接触しない位置に触媒担持基板4を脱着可能に取り付ける基板支持手段、及び触媒担持基板4の周囲に気体を充填させる空間2aを具備する反応室200と、当該反応室200内に設置された触媒担持基板4を加熱する加熱装置5と、当該反応室200内の空間2aに不活性ガスIGを供給する不活性ガス供給装置7と、を有する。
液体槽31の外壁には冷却ジャケットなどの冷却装置10が設けられており、有機液体6が過熱されることを防止する。蓋部材33の中央に穿孔した開口36を介して通流する有機液体6の蒸発ガスを凝縮還流させる還流装置18が蓋部材33から上方に突設して設けられている。還流装置18は、開口36に連通する一端のみを開口した閉鎖筒管19と、閉鎖筒管19内に凝縮管部20を突入させて外部に循環連通する冷却管装置22と、を備えている。冷却管装置22の冷却管内に水等の冷媒流体を流して凝縮管部20で蒸発ガスを凝縮液化させ液体槽31の有機液体貯留部へ還流させる。なお、図中符号37は、不活性ガス又は有機液体蒸発ガスのリリース孔である。
反応室200は、液体槽31の蓋部材33に貫通して設けられている加熱装置5の電極35によって、液体槽31に昇降可能に取り付けられる。反応室200は、下面の開口200Aを有し、四周壁と天壁とにより下面を開口した中空立体矩形状で構成されている。反応室200は耐熱性で有機液体と化学反応しない素材、たとえば石英ガラスその他の構造物壁体から構成される。
加熱装置5は、ヒータ5a、電極35、外部の直流電源34を含む。図8では、ヒータ5aが反応室200の周壁に取り付けられているが、反応室200の底部200Aから挿入して触媒担持基板4の底面に取り付けることもできる。
不活性ガス供給装置7、外部電源34、基板温度検出センサとしての放射温度計(図示せず)に電気的に接続された管理装置44が設けられている。管理装置44は、反応室200の有機液体6内への挿入、引き上げ、加熱装置5による加熱、合成温度条件生成、合成終了、などの工程を基板温度検出センサで温度検出しながら制御する管理手段であり、たとえば演算制御機能を備えたコントローラ等が用いられる。
次に、カーボンナノ材料製造装置30を用いて、カーボンナノポットを製造する方法を説明する。
反応室200内に触媒担持基板4を取り付けた後、当該反応室200内の空間2aに不活性ガスIGを供給しながら、当該反応室200を当該液体槽31内の有機液体6中に沈めて、当該液体連通部9から有機液体6を当該反応室200内に導入し、有機液体6からカーボンを含むガスを当該反応室200内の空間2aに蒸散させて、当該触媒担持基板4上でカーボンナノ材料を合成する。当該触媒担持基板4は、基板上に担持されている触媒分散ナノシートを含み、当該触媒担持基板4を加熱装置5により750〜950℃、好ましくは830〜850℃に加熱して、触媒担持基板4上に堆積したカーボンを成長させる。
反応室200内の空間2aに不活性ガスIGを供給して酸素と置換することによって、触媒担持基板4周囲の雰囲気を無酸素もしくは低酸素状態として、触媒の酸化を防止する。不活性ガスIGを供給しながら、触媒担持基板4を加熱装置5により750〜950℃、好ましくは830〜850℃に加熱すると、有機液体6からのカーボンを含む気体が輻射熱によって蒸散しやすくなり、空間2a内で不活性ガスIGと混合する。830℃より低温では、太さが均一なカーボンナノファイバーの方が多く生成されるようになり、750℃未満ではカーボンナノポットの生成を確認できなかった。850℃を越えると枝分かれ型のカーボンナノファイバーの方が多く生成されるようになり、950℃を越えるとカーボンナノポットの生成を確認できなかった。日本特許5428066号に開示されている方法と異なり、不活性ガスIGの供給は中断せず、反応室200に触媒担持基板4を設置している間中、供給し続ける。合成反応中の混合ガス中のカーボンを含む気体の含有量は50%以下とすることが好ましく、1〜25%がより好ましい。
加熱装置5は触媒担持基板4を直接加熱するため、有機液体6は加熱装置5ないし加熱装置5に加熱された基板4からの輻射熱で加熱される。このため、有機液体6から蒸散するカーボンを含む気体の蒸散当初の温度は沸点より低く、750〜950℃に加熱される触媒担持基板4との温度勾配が大きい。高温の触媒担持基板4表面に堆積した低温のカーボンを含む気体は触媒粒子によって分解され、炭素原子が触媒粒子の表面に積層して成長する。
加熱装置5による加熱を停止し、触媒担持基板4を自然冷却により室温程度まで冷却した後、反応室200を液体槽31から引き上げて、ナノカーボン材料を回収する。冷却中も不活性ガスIGを供給し続けているため、触媒担持基板4の温度が低下しても、不純物やアモルファスカーボンの生成を防止する。
液体槽31に充填する炭素源となる有機液体としては、常温常圧で液体の炭化水素、アルコール、エステル、ケトン、有機酸その他の炭素化合物を好適に用いることができる。炭化水素としては、炭素数が5〜18の鎖状又は環状の炭化水素が好ましく、たとえば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン等が挙げられる。アルコールとしては、炭素数が1〜16の鎖状又は環状の一価アルコール又は多価アルコールが好ましく、たとえば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、エチレングリコール等が挙げられる。エステルとしては、炭素数が2以上の鎖状又は環状エステルが好ましく、たとえば、ギ酸エチル、酢酸メチル、酪酸メチル等が挙げられる。ケトンとしては、炭素数が3以上の鎖状又は環状のケトンが好ましく、たとえば、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン等が挙げられる。有機酸としては、炭素数が1〜10の飽和又は不飽和のカルボン酸又はオキシカルボン酸が好ましく、たとえば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、オレイン酸等が挙げられる。その他の炭素化合物としては、たとえばジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル等が挙げられる。中でも常温で揮発性の有機液体が好ましく、特に低級アルコールが好ましい。
反応室200に供給し続ける不活性ガスIGとしては、アルゴン(Ar)、ヘリウム(He)、ネオン(Ne)等の希ガスなどを好ましく用いることができる。
反応室200に取り付け、カーボンナノポットを成長させる触媒担持基板は、基板と、基板上の触媒分散ナノシートとからなる。
基板としては、シリカ、アルミナ、ゼオライト、MgO、ジルコニア、チタニア等を用いることができる。シリコン基板、耐熱ガラス基板、石英基板などの無機材料、ポリマー基板等の有機材料、又はこれらの複合材料を用いることもできる。特に、熱酸化SiO膜付Si基板が好ましい。
触媒分散ナノシートは、酸化グラフェン、グラフェン、h−窒化ホウ素、酸化ルテニウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化セリウム、酸化ニオブ、酸化ジルコニウム、酸化タリウム、チタン酸バリウム、硫化モリブデン、硫化スズ、硫化タングステン、硫化タリウム、硫化ニオブ、テルル化モリブデン、これらを組み合わせた混晶から選択される分散媒を含むナノシートに触媒を分散させた、原子1層〜数層あるいは単位格子1個〜数個分の厚みのナノシートである。触媒分散ナノシートには、上記分散媒に加えて異種元素、たとえば酸化グラフェンとグラフェンについては、ホウ素あるいは窒素、h−窒化ホウ素については炭素、その他の分散媒についてはナトリウム、マグネシウム、カリウム、カルシウム、セシウム、ビスマス、マンガン、コバルト、鉄を添加してもよい。
触媒担持基板は、触媒分散ナノシートを基板に塗布し、好ましくは紫外線照射することにより形成される。
触媒を分散させるナノシートが酸化グラフェンナノシートである場合を例にして触媒担持基板の形成を説明する。
まず、酸化グラフェンナノシートが分散している分散液に触媒を分散させて触媒担持酸化グラフェン分散液を調製する。このとき、触媒は触媒金属酢酸塩等のカルボン酸基を含有する金属塩として分散させることが好ましい。次に、当該触媒担持酸化グラフェン分散液を基板上に滴下して、基板表面に触媒担持酸化グラフェンナノシートを付着させる。次いで、酸素雰囲気中で紫外線を照射することにより、酸化グラフェンから酸素含有官能基及び当該酸素含有官能基が結合している炭素原子が除去され、酸化グラフェンナノシート表面に微小な穴が形成される。同時に触媒金属塩から酢酸基等のカルボン酸基も除去され、触媒金属微粒子が酸化グラフェンナノシート表面に形成される。触媒金属微粒子を表面に担持した状態の酸化グラフェンナノシートが基板上に重なり合うことで、表面にナノメートルオーダーの突起を有する触媒担持基板が形成される(図11)。触媒金属微粒子を分散させるナノシートは、触媒金属との親和性が高く、カーボンナノポットの成長反応中に触媒金属微粒子がナノシートから剥がれることがない。
触媒としては、Cr、Fe、Co、Ni、Cu、Mo、Pt、Pd、Rh、Ir、Y、La、Ce、Pr、Nd、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Lu又はこれらの組み合わせから選択される元素を含むことが好ましい。触媒金属塩としては、これらの元素を含むカルボン酸塩が好ましく、酢酸塩がより好ましい。特に、鉄酢酸塩、コバルト酢酸塩、ニッケル酢酸塩、モリブデン酢酸塩などが好ましい。
本発明のカーボンナノポットの成長機構の概略を図9A及び9Bに示す。
触媒担持基板4が加熱装置5(カーボン板ヒータ)により加熱されると、本方法の特徴である反応室内の高い温度勾配により、触媒分散ナノシート表面において突出している触媒金属にも温度勾配が生じる。すなわち、触媒分散ナノシート表面にある触媒金属は液体状態にあり、触媒金属と接触しているカーボンを含む気体が触媒金属の作用で分解して炭素原子が触媒金属に溶け込んで拡散し(1)、相対的に低温となっている触媒金属の突起部にグラフェンナノシートとして析出する(2)。グラフェンナノシートは、炭素原子が触媒金属内部から析出あるいは表面で拡散することにより触媒金属の曲面に沿って形成され、さらにその下側に新たなグラフェンナノシート層が順次形成される。こうしてポット型ナノカーボンの底部と胴部の形成が進行する。それとともに炭素を多く含んでグラフェンナノシートとの親和性(濡れ性)が高くなっている触媒金属が、胴部内壁全面と接したまま突起状に細長く突き出てくる(3)〜(4)。触媒金属表面におけるグラフェンナノシートの形成が進むにつれて、炭素を多く含んだ触媒金属は毛細管作用により胴部内に吸い上げられる。
一方、基板上の触媒分散ナノシートである酸化グラフェンナノシート表面の触媒金属も炭素を多く含んでいるため、酸化グラフェンナノシートとの親和性が高く、一部の触媒金属が酸化グラフェンナノシートに固着して基板上に残る(5)。伸長した触媒金属は、胴部の内側に追加のグラフェンナノシート層を形成していく。グラフェンナノシートの筒径が小さくなるにつれて、筒の単位長さあたりの表面積が筒径に反比例して小さくなるので、同じ量の炭素原子が析出してグラフェンナノシートの筒を形成する際に、筒径が小さくなるほど筒長が長くなる傾向が生じて、縮径率の小さい領域が出現し、テーパード縮径胴部が形成される(6)〜(7)。
触媒金属がさらに伸長して、露出している触媒金属面から炭素原子が溶け込んで胴部内の触媒金属先端部まで拡散する道のりが長くなるとともに、ポット型ナノカーボンの底部となる伸長方向先端部が基板から離間するにつれ、その部分の温度が急激に低下して触媒金属内炭素の拡散係数が小さくなるために、触媒金属先端部の炭素原子濃度が減少する。それにつれて、グラフェンナノシートに対する胴部内の触媒金属の濡れ性が悪くなり、毛細管作用が弱くなる。一方、基板上の酸化グラフェンナノシート上の触媒金属は、酸化グラフェンナノシートに対して高い濡れ性を維持しているため、胴部内の触媒金属は、その表面張力により胴部内から酸化グラフェンナノシート側に引き戻されて、その過程で触媒金属の突起の径が大きくなりながら拡幅中空首部を形成し(8)、積層したグラフェンナノシートは中空管状となり、先端開口部は複数のグラフェンナノシートが積層した状態となる(9)。
引き戻された触媒金属は、(2)の段階に戻って次のグラフェンナノシートの積層が繰り返される(10)。こうして形成されたナノカーボン材料は、図5及び6に示す複数のグラフェンナノシートが積層した多層グラフェン層からなる底部1aと、底部1aよりもグラフェン層の積層数が少なく且つ直径が徐々に小さくなるテーパード縮径中空胴部1bと、テーパード縮径中空胴部1bよりもグラフェン層の積層数が少なく且つ直径が大きいが底部1aの直径よりは小さい直径の拡幅中空首部1cと、拡幅中空首部1cの先端開口部1dと、を有するポット型ナノカーボンが複数連結してなり、隣接するポット型ナノカーボンの底部1aと先端開口部1dとが連結しているカーボンナノポットとなる。
また、胴部が成長する間に、新たなグラフェンシートの積層時にグラフェンシートが伸長する割合が大きくなり、グラフェンシートの積層状態が急激に変化する部位が生じ、結果として、縮径率の大きな領域1b−1と縮径率の小さな領域1b−2が生じる。さらに、胴部の縮径率の小さな領域1b−2が伸長して、拡幅中空首部1cが形成されない場合もある。
さらに、カーボンを成長させた前記触媒担持基板を有機溶媒中に浸漬させて、隣接するポット型ナノカーボンが連結している底部と先端開口部、テーパード縮径中空胴部1bの縮径率が急激に変化する部位、又はテーパード縮径中空胴部1bと拡幅中空首部1cとの境界にて分離させて、単離したポット型ナノカーボンを得ることもできる。有機溶媒としては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノールなどの低級アルコール類、アセトンなどのケトン類、ヘキサンなどを用いることができる。有機溶媒中に浸漬させている間に、撹拌や超音波振動などの機械的外力を付与してもよい。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。
[1.触媒担持酸化グラフェン分散水の調製]
1)グラファイト粉末(和光純薬(株),特級,純度:98.0%,残2%の不純物は酸素)を改良Hummers法(非特許文献7)で酸化処理して酸化グラフェン分散水を得た。
2)酸化グラフェン分散水を純水で5倍に希釈して、希釈酸化グラフェン分散水とした。
3)希釈酸化グラフェン分散水6gに酢酸鉄(II)(ALDRICH、純度99.995%,(CHCOO)Fe)0.0104gと酢酸コバルト(II)・四水和物(ALDRICH、純度99.998%,(CHCOO)Co・4HO)0.0149gを加えてよく混ぜ合わせた後に超音波洗浄器((株)井内盛栄堂製、型式:US−2、超音波出力:80W、発振周波数:38kHz、発振方式:自励発振、槽容量:2.6リットル)を用いて20分間超音波分散を行い、酸化グラフェン・触媒混合液とした。
4)酸化グラフェン・触媒混合液を重力加速度15,000gで20分間遠心分離した。
5)遠心分離した沈殿物に、全重量を6gとなるまで純水を加えてよく撹拌した。
6)さらに、超音波洗浄器で10分間撹拌して触媒担持酸化グラフェン分散水とした。
[2.基板]
1)基板として、熱酸化SiO膜付Si基板(SUMCO、Si純度99.999%、片面鏡面、0.5mm厚、n型、(100)面、抵抗率1〜10Ωcm、熱酸化膜厚300nm)を用いた。
2)基板をダイヤモンドペンで9mm×14mmの寸法に切りだした後、アセトンと2−プロパノールでそれぞれ30分ずつ超音波洗浄して、SiO/Si基板を準備した。
[3.触媒担持基板の調製]
1)FEMTO SCIENCE社製プラズマ処理器CUTE−1MP/Rを用いて、真空度7.33×10−1Torr,周波数50kHz,パワー140W,照射時間1分間でSiO/Si基板の表面を親水化した。
2)マイクロピペットを用いて、触媒担持酸化グラフェン分散水1.5μLを基板の中心に一滴滴下した。
3)基板を室温で静置して、滴下した触媒液を乾燥させた。
4)超高圧水銀灯により、酸素雰囲気中でSiO/Si基板上の触媒に3時間紫外線を照射した。酸素雰囲気中での紫外線照射により、酸化グラフェンに結合している官能基(カルボキシル基、エポキシ基など)の一部が外れる際に、これらの官能基が結合している炭素原子が一緒に外れ、酸化グラフェン表面に触媒金属微粒子が形成され、表面が凸凹になっていることを原子間力顕微鏡(AFM)で確認した(図10、図11)。
図10は触媒金属を分散していない酸化グラフェンシートをSiO/Si基板に塗布して紫外線照射したのちに、島津製作所製SPM−8000FMを用いて測定したAFM像である。5nm大の凹凸が形成されていることがわかる。凹凸の高低さは0.3nm程度であり、グラフェンシート1層分の厚みに相当している。この微小な凹凸が金属触媒微粒子形成の足場となっていると考えられる。
図11は触媒金属を分散した酸化グラフェンシートをSiO/Si基板に塗布して紫外線照射した後に、Digital Instrument製Nanoscope Vを用いて測定したAFM像である。SiO/Si基板面(A)の表面にシート状物質(酸化グラフェンシート)がいくつかは重なり合いながら載っており、そのシート表面に10〜20nm大の触媒金属微粒子が形成されているのがわかる。SiO/Si基板面(A)にはそれよりも大きな40nm程度の大きさの触媒微粒子の形成が認められるので、酸化グラフェンシートが触媒金属の微粒子化に効果的であることがわかる。
図11の右上図はAFM像の断面プロフィールを左図に示した直線に沿って表したものである。右上の断面プロフィール図に(a)〜(e)の矢印で示した突起は、左のAFM像に同様に矢印で示した微粒子に対応している。酸化グラフェンシート上に形成した微粒子(a)〜(c)の高さは平均して1nm程度であり、SiO/Si基板上に形成した微粒子(d)と(e)の高さはそれぞれ3nm程度と5nm程度である。微粒子(a)〜(c)と水平方向の大きさがほぼ等しい微粒子(d)とで比較しても高さに3倍程度の差があり、酸化グラフェンシートに対して触媒金属が良好な親和性を示していることがわかる。
[4.合成]
1)カーボンナノ材料製造装置(図8、ただしヒータ5に代えて、加熱用カーボンシートを触媒担持基板の裏面に密着させた)を用いたサブマリン式基板加熱法(液面下CVD法)により、炭素原料となる液体の中に沈めた反応室内でナノカーボン物質の合成を行った。
2)炭素原料として2−プロパノールを用いた。
3)底の開いた容積約10cmの反応室にアルゴンガスを流量0.2L/minで注入しながら、反応室内をアルゴンガスで満たした。
4)触媒担持基板の裏面に密着させたカーボンシートに通電して、触媒担持基板を840℃に加熱した。反応室底部の開口から、周囲の2−プロパノールが蒸散して反応室内に流入し、触媒担持基板の周囲にアルゴンガスと2−プロパノールの混合ガス(2−プロパノールの含有量は1〜50%)が存在するようになった。2−プロパノールの液面の温度は50℃程度であり、触媒担持基板の温度は750〜950℃になるため、触媒担持基板上の触媒担持酸化グラフェン(触媒分散ナノシート)の周囲の反応空間の温度勾配は、1cm当たり700〜900℃程度と極めて大きくなった。
5)10分間の加熱後に電流を切って、触媒担持基板を室温まで自然冷却させた(5分程度)後に反応室を液中から引き揚げて、触媒担持基板を回収した。
[5.生成物の分析]
1)FE−SEM(JEOL,SEM−6320F)により、加速電圧5kVで触媒担持基板表面上の生成物のSEM像を120,000倍まで拡大して観察した。観察画像を図12〜図15に示す。
図12は5,000倍のSEM画像であり、太さが周期的に変化する多量のカーボンナノポットが基板上に絡み合って成長しているのがわかる。
図13は、80,000倍のSEM画像であり、ポット型ナノカーボン間の接合面(a)とテーパード縮径中空胴部と拡幅中空首部の境界(b)が明確に観測された例を示す。
図14は120,000倍のSEM画像であり、ポット型ナノカーボンの先端開口部が隣接するポット型ナノカーボンの底部に覆い被っているのがわかる。
2)TEM観察用試料は、触媒担持基板上からサンプリング器具(マイクロサポート社、クイックジョイおよびフレックスプローブ(先端径:5μm))を用いて実体顕微鏡下でナノカーボン生成物をサンプリングし、TEM用マイクログリッド(応研商事、タイプA、STEM150Cuグリッド、カーボン補強済、グリッドピッチ150μm)上に移すことにより作製した。観察は、TEM(JEOL,JEM−2000FX)とFE−TEM(FEI,TECNAI F20)で行い、加速電圧はどちらも200kVとした。観察画像を図15〜16に示す。
図15のTEM画像に示されているように、複数のポット型ナノカーボンが連結してなるカーボンナノポットが形成されていることがわかる。
図16のFE−TEM画像に示されているように、隣接するナノポットの底部と先端開口部との連結部分は弱い結合である。
図17は、カーボンナノポットのテーパード縮径中空胴部のグラフェンナノシートの積層状態を示す。グラフェンナノシートの間隔は0.34nmであった。図中矢印は、外表面に露出したグラフェン端を示す。
図18は、拡幅中空首部のTEM画像であり、グラフェンシートの層構造が積層数を減少させながら、後続のナノポット底部まで維持されている(この実施例では少なくとも5層)ことがわかる。
図19は、合成実験後に触媒担持基板上の酸化グラフェンシート表面を観察したSEM画像であり、黒色で示される酸化グラフェンシート(a)上に、形成されたカーボンナノポット(c)(図中点線で囲んで示す)と、白色の粒として示される触媒金属粒子(b)が観察される。触媒金属微粒子(b)は、ポット型ナノカーボン(c’)を生成したあと、次のポット型ナノカーボンの底部およびテーパード縮径中空胴部(触媒金属微粒子(b)の周囲の灰色部)の形成途中で生成プロセスが中断された状態である。
[6.単離]
回収した触媒担持基板にエタノールを滴下した後、再びTEM観察したところ、短尺のカーボンナノポットが形成されたことがわかった。図7中(a)は、隣接するカーボンナノポットの底部と先端開口部との連結部が切断されて単離されたポット型ナノカーボンのTEM画像である。なお、図7中(b)は、縮径部分が見られないことから、単離されたナノベルと思われる。
[7.第2合成例]
触媒担持基板温度を830℃に変えた以外は上記[4.合成]に述べた方法と同様にして、カーボンナノポットを合成し、以下の条件でラマン分光分析を行った。結果を図20に示す。
顕微ラマン分光測定システム:日本ローパー社製RS−RIP−2000
励起光源:Laser Quantum社製ダイオード励起固体レーザVENTUS 532
励起波長:532nm
検出器:Princeton Instruments社製CCD PIXIS 100B
分光器:Princeton Instruments社製Acton SpectraPro 2300i
焦点距離:300mm
回折格子:600本/mm
入射スリット幅:50μm
対物レンズ倍率:10倍
比較のため、バンブー型カーボンナノチューブのラマンスペクトルを図21に示す。バンブー型ナノチューブは上記[4.合成]に述べたものと同様の合成方法において、触媒担持基板温度を820℃に設定して合成した場合に多く生成されるようになる太さが均一なカーボンナノファイバーである。
図20から、カーボンナノポットのDバンドとGバンドとの強度比I/Iは0.954であり、図21からバンブー型ナノチューブのI/Iは1.33であることがわかる。DバンドとGバンドの積分強度比で比較すると、カーボンナノポットの六角格子構造の方がバンブー型ナノチューブのものよりも結晶性がよい、あるいは結晶子サイズが大きいことが示唆される。これはナノポットの内側のグラフェン層が底部から拡幅首部手前まで多層カーボンナノチューブと同様の円筒型チューブ構造を取っているという特徴に起因していると考えられる。また、カーボンナノチューブに比べてカーボンナノポットのDバンドが強く観測されるのは、カーボンナノポットにおいてテーパード縮径中空胴部の外表面に他の部分よりもグラフェン端が特に密集して露出しているというTEM観察結果(図17)とよく合致している。
本発明のカーボンナノポットは、複合材料用機能性フィラー(高感度ひずみ応答、遮音、衝撃吸収等)、リチウムイオン電池用電極材料としての利用が期待できる。
本発明のカーボンナノポットを単離して得られるポット型ナノカーボンは、たとえばナノフラスコ、ナノアンプルなどナノスケールの有底容器として利用することができ、ドラッグデリバリへの応用が期待できる。

Claims (11)

  1. 多層グラフェン層からなる底部と、当該底部よりもグラフェン層の積層数が少なく且つ直径が徐々に小さくなるテーパード縮径中空胴部と、先端開口部と、を有し、
    当該底部の最大直径と全長とのアスペクト比が4以上であり、
    当該底部、テーパード縮径中空胴部及び先端開口部の全体を通して触媒粒子を含まず、
    当該底部は、グラフェンナノシートがオニオンライクに積層しており、
    当該テーパード縮径中空胴部の外表面に、当該底部を構成するグラフェンナノシートのグラフェン端が、他の部分よりも密集して露出している、
    ことを特徴とするポット型ナノカーボン。
  2. 前記テーパード縮径中空胴部は、縮径率が異なる2以上の領域を含む、請求項1に記載のポット型ナノカーボン。
  3. 前記テーパード縮径中空胴部と前記先端開口部との間に、前記テーパード縮径中空胴部よりもグラフェン層の積層数が少なく且つ直径が大きいが前記底部の直径よりは小さい直径の拡幅中空首部をさらに有する、請求項1又は2に記載のポット型ナノカーボン。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載のポット型ナノカーボンが複数連結されてなり、
    先行するポット型ナノカーボンの先端開口部が、後続するポット型ナノカーボンの底部を受け入れた状態で、2つ以上のポット型ナノカーボンが連結されているカーボンナノポット。
  5. 炭素源となる有機液体を充填する液体槽と、
    当該液体槽内に昇降可能に取り付けられており、底部から有機液体が導入されるように設けられている液体連通部、当該液体連通部から導入された有機液体と直接接触しない位置に触媒担持基板を脱着可能に取り付ける基板支持手段、及び当該基板支持手段の周囲に気体を充填させる空間を具備する反性ガスを供給しながら、当該反応室を当該液体槽内の有機液体中に沈めて、当該液体連通部から有機液体を当該反応室内に導入し、有機液体からカーボンを含むガスを当該反応室内の空間に蒸散させて、当該触媒担持基板上でカーボンナノ材料を成長させる方法であって、
    当該触媒担持基板は、基板上に担持されている触媒分散ナノシートを含み、
    当該触媒担持基板を750〜950℃に加熱して、触媒担持基板上に堆積したナノカーボンを成長させ、請求項4に記載のカーボンナノポットを得ることを特徴とする、カーボンナノポットの製造方法。
  6. 炭素源となる有機液体を充填する液体槽と、
    当該液体槽内に昇降可能に取り付けられており、底部から有機液体が導入されるように設けられている液体連通部、当該液体連通部から導入された有機液体と直接接触しない位置に触媒担持基板を脱着可能に取り付ける基板支持手段、及び当該基板支持手段の周囲に気体を充填させる空間を具備する反応室と、
    当該反応室内に設置された触媒担持基板を加熱する加熱装置と、
    当該反応室内の空間に不活性ガスを供給する不活性ガス供給装置と、を有するカーボンナノ材料製造装置を用いて、
    当該反応室内に触媒担持基板を取り付けた後、当該反応室内の空間に不活性ガスを供給しながら、当該反応室を当該液体槽内の有機液体中に沈めて、当該液体連通部から有機液体を当該反応室内に導入し、有機液体からカーボンを含むガスを当該反応室内の空間に蒸散させて、当該触媒担持基板上でカーボンナノ材料を成長させる方法であって、
    当該触媒担持基板は、基板上に担持されている触媒分散ナノシートを含み、
    当該触媒担持基板を750〜950℃に加熱して、触媒担持基板上に堆積したナノカーボンを成長させ、
    当該ナノカーボンを成長させた前記触媒担持基板を有機溶媒中に浸漬させて、隣接するポット型ナノカーボンの連結部を分離させて、請求項1〜3のいずれかに記載の単離したポット型ナノカーボンを得ることを特徴とする、ポット型ナノカーボンの製造方法。
  7. 炭素源となる有機液体を充填する液体槽と、
    当該液体槽内に昇降可能に取り付けられており、底部から有機液体が導入されるように設けられている液体連通部、当該液体連通部から導入された有機液体と直接接触しない位置に触媒担持基板を脱着可能に取り付ける基板支持手段、及び当該基板支持手段の周囲に気体を充填させる空間を具備する反応室と、
    当該反応室内に設置された触媒担持基板を加熱する加熱装置と、
    当該反応室内の空間に不活性ガスを供給する不活性ガス供給装置と、を有するカーボンナノ材料製造装置を用いて、
    当該反応室内に触媒担持基板を取り付けた後、当該反応室内の空間に不活性ガスを供給しながら、当該反応室を当該液体槽内の有機液体中に沈めて、当該液体連通部から有機液体を当該反応室内に導入し、有機液体からカーボンを含むガスを当該反応室内の空間に蒸散させて、当該触媒担持基板上でカーボンナノ材料を成長させる方法であって、
    当該触媒担持基板は、基板上に担持されている触媒分散ナノシートを含み、
    当該触媒担持基板を750〜950℃に加熱して、触媒担持基板上に堆積したナノカーボンを成長させて、多層グラフェン層からなる底部と、当該底部よりもグラフェン層の積層数が少なく且つ直径が徐々に小さくなり且つ縮径率が異なる2以上の領域を含むテーパード縮径中空胴部と、先端開口部と、を有し、当該底部の最大直径と全長とのアスペクト比が4以上であるポット型ナノカーボンが連結しているカーボンナノポットを成長させ、
    当該カーボンナノポットが成長した前記触媒担持基板を有機溶媒中に浸漬させて、ポット型ナノカーボンのテーパード縮径中空胴部の縮径率が変化する部位で切断して、多層グラフェン層からなる底部及び当該底部よりもグラフェン層の積層数が少なく且つ直径が徐々に小さくなるテーパード縮径中空胴部を有するポット型ナノカーボンを単離することを含む、ポット型ナノカーボンの製造方法。
  8. 炭素源となる有機液体を充填する液体槽と、
    当該液体槽内に昇降可能に取り付けられており、底部から有機液体が導入されるように設けられている液体連通部、当該液体連通部から導入された有機液体と直接接触しない位置に触媒担持基板を脱着可能に取り付ける基板支持手段、及び当該基板支持手段の周囲に気体を充填させる空間を具備する反応室と、
    当該反応室内に設置された触媒担持基板を加熱する加熱装置と、
    当該反応室内の空間に不活性ガスを供給する不活性ガス供給装置と、を有するカーボンナノ材料製造装置を用いて、
    当該反応室内に触媒担持基板を取り付けた後、当該反応室内の空間に不活性ガスを供給しながら、当該反応室を当該液体槽内の有機液体中に沈めて、当該液体連通部から有機液体を当該反応室内に導入し、有機液体からカーボンを含むガスを当該反応室内の空間に蒸散させて、当該触媒担持基板上でカーボンナノ材料を成長させる方法であって、
    当該触媒担持基板は、基板上に担持されている触媒分散ナノシートを含み、
    当該触媒担持基板を750〜950℃に加熱して、触媒担持基板上に堆積したカーボンを成長させて、多層グラフェン層からなる底部と、当該底部よりもグラフェン層の積層数が少なく且つ直径が徐々に小さくなるテーパード縮径中空胴部と、当該テーパード縮径中空胴部よりもグラフェン層の積層数が少なく且つ直径が大きいが当該底部の直径よりは小さい直径の拡幅中空首部と、先端開口部と、を有し、当該底部の最大直径と全長とのアスペクト比が4以上であるポット型ナノカーボンが連結しているカーボンナノポットを成長させ、
    当該カーボンナノポットが成長した前記触媒担持基板を有機溶媒中に浸漬させて、ポット型ナノカーボンのテーパード縮径中空胴部と拡幅中空首部との切り替え部位で切断して、多層グラフェン層からなる底部及び当該底部よりもグラフェン層の積層数が少なく且つ直径が徐々に小さくなるテーパード縮径中空胴部を有するポット型ナノカーボンを単離することを含む、ポット型ナノカーボンの製造方法。
  9. 前記触媒担持基板は、酸化グラフェン、グラフェン、h−窒化ホウ素、酸化ルテニウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化セリウム、酸化ニオブ、酸化ジルコニウム、酸化タリウム、チタン酸バリウム、硫化モリブデン、硫化スズ、硫化タングステン、硫化タリウム、硫化ニオブ、テルル化モリブデン、及びこれらを組み合わせた混晶から選択される分散媒を含むナノシートに触媒が分散されてなる触媒分散ナノシートを基板に塗布して形成することを特徴とする、請求項5〜8のいずれかに記載の方法。
  10. 前記触媒担持基板は、前記触媒分散ナノシートを基板に塗布した後に紫外線照射することにより形成されることを特徴とする、請求項9に記載の方法。
  11. 前記触媒は、Cr、Fe、Co、Ni、Cu、Mo、Pt、Pd、Rh、Ir、Y、La、Ce、Pr、Nd、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Lu又はこれらの組み合わせから選択される元素を含むことを特徴とする請求項9又は10に記載の方法。
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