このような穿孔装置においては、パンチが磨耗したり破損したりすると磨耗したり破損したりしたパンチを新しいパンチに交換する作業が必要になる。ところで、この作業はパンチ用金型を穿孔装置から取り外した状態で行うため、この作業後には再びパンチ用金型を穿孔装置に取り付ける必要がある。しかしながら、パンチ用金型を穿孔装置に取り付ける際には、パンチ用金型をダイ用金型に対して極めて正確な位置関係で取り付けることが必要になるため、取り付け作業に多大の時間を要することになる。その結果、これらの作業全体(以下、「パンチ交換」という。)に多大の作業時間を要し、穿孔装置の稼働率が低下するという問題があった。
そこで、本発明は、このような問題を解決するためになされたもので、パンチ交換に要する作業時間を短縮して穿孔装置の稼働率を高くすることができる穿孔装置、穿孔用金型、穿孔用金型運搬装置及び穿孔用金型交換方法を提供することを目的とする。
(1)本発明の穿孔装置は、シート状の被加工物に穿孔を実施するための穿孔用金型を備えた穿孔装置であって、前記穿孔用金型は、同径の貫通孔を形成可能な複数のパンチを有するとともに、これら複数のパンチのうち穿孔に供する一のパンチを選択して穿孔動作させる選択機構を有するパンチ用金型と、前記パンチ用金型の複数のパンチに対応して配置された複数のダイ孔を有するダイ用金型とを有することを特徴とする。
このため、本発明の穿孔装置によれば、パンチ用金型が同径の貫通孔を形成可能な複数のパンチを有するとともに、これら複数のパンチのうち穿孔に供する一のパンチを選択して穿孔動作させる選択機構を有しているため、一のパンチが磨耗したり破損したりした場合であっても、磨耗したり破損したりした一のパンチを新しいパンチに交換する作業を、パンチ用金型に備えられた選択機構を操作することによって、パンチ用金型を穿孔装置から取り外すことなく行うことができるようになる。このため、この作業後にパンチ用金型を再び穿孔装置に取り付ける必要がなくなるため、パンチ交換に要する作業時間を短縮して穿孔装置の稼働率を高くすることができるようになる。
(2)上記(1)に記載の穿孔装置においては、前記選択機構は、前記複数のパンチのうち前記一のパンチを穿孔可能高さ位置に配置し、前記複数のパンチのうち他のパンチを穿孔不可能高さ位置に配置する機能を有することが好ましい。
このように構成することにより、選択機構を操作することにより、磨耗したり破損したりした他のパンチを穿孔不可能高さ位置に配置するとともに、新たに穿孔に供することとなる一のパンチを穿孔可能高さ位置に配置することができるようになる。このため、パンチ用金型がパンチ方向に沿って往復動作をするのに伴って複数のパンチのすべても往復動作をすることになるが、これら複数のパンチのうち穿孔可能高さ位置に配置された一のパンチのみが穿孔動作を行うようになる。
(3)上記(2)に記載の穿孔装置においては、前記選択機構は、複数のパンチのそれぞれについて、穿孔不可能高さ位置から穿孔可能高さ位置に下降させたり穿孔可能高さ位置から穿孔不可能高さ位置に上昇させたりするためのパンチ高さ操作子を有することが好ましい。
このように構成することにより、選択機構のパンチ高さ操作子を操作することにより、複数のパンチのうち新たに穿孔に供することになる一のパンチを穿孔不可能高さ位置から穿孔可能高さ位置に下降させるとともに、磨耗したり破損したりしたパンチを穿孔可能高さ位置から穿孔不可能高さ位置へ上昇させることができるようになる。
なお、本発明において、「穿孔不可能高さ位置から穿孔可能高さ位置に下降させる」とは、穿孔不可能高さ位置に配置されたパンチをパンチ方向に沿って穿孔可能高さ位置へと移動させることをいう。また、「穿孔可能高さ位置から穿孔不可能高さ位置に上昇させる」とは、穿孔可能高さ位置に配置されたパンチをパンチ方向に沿って穿孔不可能高さ位置へと移動させることをいう。
パンチ高さ操作子としては、パンチ挿通孔に沿って一のパンチの頭部を押すことが可能なネジを好ましく用いることができる。この場合、他のパンチを穿孔不可能高さ位置に維持するためのスプリングを用いることがさらに好ましい。これにより、穿孔に供しない他のパンチは、スプリングの作用により穿孔不可能高さ位置に維持されるため、誤って穿孔に供されることが防止される。
(4)上記(1)〜(3)のいずれかに記載の穿孔装置においては、前記パンチ用金型は、複数のパンチ用金型側位置決めピンを有するパンチ用金型本体と、前記複数のパンチ用金型側位置決めピンに対応して配置された複数のパンチ用金型側位置決め孔を有するパンチプレートとを有し、前記ダイ用金型は、複数のダイ用金型側位置決めピンを有するダイ用金型本体と、前記複数のダイ用金型側位置決めピンに対応して配置された複数のダイ用金型側位置決め孔を有するダイプレートとを有することが好ましい。
このように構成することにより、パンチ用金型本体とパンチプレートとを正確に位置決めすることができるとともに、ダイ用金型本体とダイプレートとを正確に位置決めすることができるため、正確な穿孔を行うことが可能になる。
また、このことは、パンチ用金型における複数のパンチを交換する場合などにおいて、一旦、パンチ用金型本体とパンチプレートとを分離したとしても、その後、これらを正確な位置関係で一体化することが可能になることを意味する。
(5)上記(4)に記載の穿孔装置においては、前記パンチ用金型側位置決めピンは、四角柱の形状を有し、前記パンチ用金型側位置決め孔は、前記パンチ用金型側位置決めピンの4側面にそれぞれ対応して形成された4つの凸面によって構成される凹部を有し、前記ダイ用金型側位置決めピンは、四角柱の形状を有し、前記ダイ用金型側位置決め孔は、前記ダイ用金型側位置決めピンの4側面にそれぞれ対応して形成された4つの凸面によって構成される凹部を有することが好ましい。
このように構成することにより、パンチ用金型においては、複数のパンチ用金型側位置決め孔に対して複数のパンチ用金型側位置決めピンを比較的容易に挿入することができるようになり、ダイ用金型においては、複数のダイ用金型側位置決め孔に対して複数のダイ用金型側位置決めピンを比較的容易に挿入することができるようになる。このため、パンチ用金型本体とパンチプレートとを迅速に一体化することができるとともに、ダイ用金型本体とダイプレートとを迅速に一体化することができるようになる。
(6)上記(1)〜(5)のいずれかに記載の穿孔装置においては、前記複数のパンチ及び前記複数のダイ孔に加えて、異なる径の貫通孔を形成可能な別のパンチ及び別のダイ孔をさらに有し、前記選択機構は、前記複数のパンチ及び前記別のパンチのうち穿孔に供する一のパンチ又は別のパンチを選択して穿孔動作させる機能を有することが好ましい。
このように構成することにより、必要な場合には選択機構を操作することにより、被加工物に異なる径の貫通孔を穿孔することができるようになり、穿孔作業の自由度を高めることができる。
この場合、別のパンチ及び別のダイ孔は、1組であってもよいし複数組であってもよい。
(7)上記(1)〜(6)のいずれかに記載の穿孔装置においては、前記穿孔用金型は、前記穿孔装置に対して交換可能に取り付けられていることが好ましい。
このように構成することにより、穿孔用金型に含まれる複数のパンチのうちすべてが磨耗したり破損したりした場合には、穿孔用金型ごと別の穿孔用金型に交換することができるようになる。
(8)上記(1)〜(3)のいずれかに記載の穿孔装置においては、前記穿孔用金型は、前記パンチ用金型と前記ダイ用金型との位置合わせを行うための少なくとも2つの位置決めピンをさらに有し、前記パンチ用金型及び前記ダイ用金型のそれぞれは、前記少なくとも2つの位置決めピンが挿入されるように配置された少なくとも2つの位置決めピン挿通孔を有することが好ましい。
このように構成することにより、パンチ用金型とダイ用金型とを位置決めピンを用いて正確に位置決めした状態で穿孔用金型を穿孔装置に取り付け、その後、位置決めピンをパンチ用金型の位置決めピン挿通孔又はダイ用金型の位置決めピン挿通孔から抜くことにより、パンチ用金型とダイ用金型との正確な位置関係を維持したまま、正確に、かつ、容易に穿孔用金型を穿孔装置に取り付けることができるようになる。
(9)上記(8)に記載の穿孔装置においては、前記穿孔用金型は、前記パンチ用金型の前記位置決めピン挿通孔中及び/又は前記ダイ用金型の前記位置決めピン挿通孔中で前記位置決めピンを移動させるための位置決めピン操作子をさらに有することが好ましい。
このように構成することにより、使用済みの穿孔用金型を穿孔装置から取り外したり、新たな穿孔用金型を穿孔装置に取り付けたりする作業を迅速に行うことができるようになる。
(10)上記(1)〜(9)のいずれかに記載の穿孔装置においては、被加工物に対する前記穿孔用金型の位置を測定するための撮像素子と、この撮像素子による撮影結果に基づいて被加工物に対する前記穿孔用金型の相対的位置を調整する位置調整機構とをさらに備えることが好ましい。
このように構成することにより、被加工物に対して正確な位置関係で穿孔を行うことができるようになる。
また、このように構成することにより、パンチ用金型における複数のパンチのうち穿孔に供する新たなパンチを選択した場合であっても、その新たなパンチについての位置情報に基づいて、被加工物に対して正確な位置関係で穿孔を行うことができるようになる。
(11)本発明の穿孔用金型は、シート状の被加工物に穿孔を実施するための穿孔用金型であって、同径の貫通孔を形成可能な複数のパンチを有するとともに、これら複数のパンチのうち穿孔に供する一のパンチを選択する選択機構を有するパンチ用金型と、前記パンチ用金型の複数のパンチに対応して配置された複数のダイ孔を有するダイ用金型とを有することを特徴とする。
このため、本発明の穿孔用金型を穿孔装置に用いることにより、上記(1)に記載した効果と同様の効果が得られる。
(12)本発明の穿孔用金型運搬装置は、上記(11)に記載の穿孔用金型を収納可能であることを特徴とする。
本発明の穿孔用金型は、同径の貫通孔を形成可能な複数のパンチを有するとともに、これら複数のパンチのうち穿孔に供する一のパンチを選択して穿孔動作させる選択機構を有するパンチ用金型を備えているため、これら複数のパンチがすべて磨耗したり破損したりした場合に、穿孔用金型使用者がこのような穿孔用金型中の複数のパンチをすべて交換するのは実際上容易ではない。むしろ、このような場合には、穿孔用金型供給者が穿孔用金型使用者から使用済みの穿孔用金型を受け取り、この使用済みの穿孔用金型中の複数のパンチをすべて交換して新たな穿孔用金型として穿孔用金型使用者に返送するのが合理的である。
このような場合に、穿孔用金型を容易に収納することができ、かつ、安全に運搬することのできる専用の穿孔用金型運搬装置があれば実際上極めて便利であり実用的である。
(13)本発明の穿孔用金型交換方法は、上記(11)に記載の穿孔用金型を交換可能に備えた穿孔装置における穿孔用金型交換方法であって、穿孔用金型供給者は、穿孔用金型使用者が使用する穿孔用金型と同じ規格の別の穿孔用金型を準備しておき、穿孔用金型供給者は、穿孔用金型使用者からの要求又は穿孔用金型の使用状況に関する情報に基づいて、前記別の穿孔用金型を穿孔用金型使用者に供給することを特徴とする。
上記(12)で説明したように、パンチ用金型の複数のパンチがすべて磨耗したり破損したりした場合に、穿孔用金型使用者が穿孔用金型中の複数のパンチをすべて交換する代わりに、穿孔用金型供給者が穿孔用金型使用者から使用済みの穿孔用金型を受け取り、この使用済み穿孔用金型におけるパンチをすべて交換して新たな穿孔用金型として穿孔用金型使用者に返送するのが合理的であると考えられる。しかしながら、この場合には、新たな穿孔用金型が穿孔用金型使用者のもとに返送されるまでの時間、穿孔装置を稼働することができなくなる。
これに対して、本発明の穿孔用金型交換方法によれば、穿孔用金型使用者からの要求又は穿孔用金型の使用状況に関する情報に基づいて、穿孔用金型供給者が新たな穿孔用金型を穿孔用金型使用者に供給することとしたため、パンチ用金型のパンチがすべて磨耗したり破損したりするのに先立って、新たな穿孔用金型を穿孔用金型使用者に供給することが可能になる。このため、その後、パンチ用金型のパンチがすべて磨耗したり破損したりした場合には、穿孔用金型使用者が使用済みの穿孔用金型と新たな穿孔用金型とを自分で交換することができるようになる。このため、穿孔装置が稼働できない時間を最小限のものとすることができる。
例えば、パンチ用金型がパンチを10本有する場合であって、パンチの平均寿命が2週間である場合を想定する。この場合、10本のパンチのうち8本のパンチが磨耗したときに、穿孔用金型使用者が穿孔用金型供給者に対して通信回線を介して新たな穿孔用金型を要求し、穿孔用金型供給者は、その要求に基づいて、準備しておいた新たな穿孔用金型を穿孔用金型使用者に、2週間以内に供給するようにする。このようにすれば、その後残りの2本のパンチがすべて磨耗したり破損したりするときには、すでに新たな穿孔用金型が穿孔用金型使用者の元に届いているため、穿孔用金型使用者は、使用済みの穿孔用金型と新たな穿孔用金型とをすぐに交換することができるようになる。このため、穿孔装置が稼働できない時間を最小限のものとすることができる。
この場合、穿孔用金型供給者は、新たな穿孔用金型を供給するサービスに対する対価を、穿孔用金型のメンテナンス料として受け取ることもできる。また、新たな穿孔用金型を供給するサービスに対する対価を、穿孔用金型のリース料として受け取ることもできる。また、新たな穿孔用金型を供給するサービスに対する対価を、穿孔装置のサポート料として受け取ることもできる。
(14)上記(13)に記載の穿孔用金型交換方法においては、上記(12)に記載の穿孔用金型運搬装置を用いて前記別の穿孔用金型を穿孔用金型使用者に供給することが好ましい。
このように構成することにより、新たな穿孔用金型を穿孔用金型使用者に対して安全、かつ、迅速に供給することができるようになる。
(15)上記(14)に記載の穿孔用金型交換方法においては、前記別の穿孔用金型の供給を受けた穿孔用金型使用者は、前記別の穿孔用金型が収納されていた穿孔用金型運搬装置に、穿孔装置から取り外した穿孔用金型を収納して、穿孔用金型供給者に対して返送することが好ましい。
このように構成することにより、使用済みの穿孔用金型が収納された穿孔用金型運搬装置はそのまま穿孔用金型使用者から穿孔用金型供給者に返送されることになり、穿孔用金型運搬装置の有効利用を図ることができる。
以下、本発明の穿孔装置、穿孔用金型、穿孔用金型運搬装置及び穿孔用金型交換方法について、図に示す実施の形態に基づいて説明する。図1は、実施形態に係る穿孔装置を示す正面図である。図2は、実施形態に係る穿孔装置を示す側面図である。図3は、実施形態に係る穿孔装置を示す背面図である。図4は、実施形態に係る穿孔装置を説明するために示す図である。図5は、図1のA−A断面図である。
図6は、実施形態に係る穿孔用金型のパンチ用金型を示す図である。図6(a)は下面図であり、図6(b)は断面図である。図7は、図6のパンチ用金型を展開して模式的に示す断面図である。図8は、実施形態に係る穿孔用金型の選択機構を説明するために示す断面図である。図9は、実施形態に係る穿孔用金型のパンチ用金型を説明するために示す斜視図である。
図10は、実施形態に係る穿孔用金型のダイ用金型を示す図である。図10(a)は上面図であり、図10(b)は断面図である。
図11は、実施形態に係る穿孔用金型を説明するために示す断面図である。
なお、以下の説明においては、互いに直交する3つの方向をそれぞれx軸方向(図1における紙面に平行な方向)、y軸方向(図1における紙面に垂直な方向)及びz軸方向(図1における紙面に平行、かつ、x軸方向に垂直な方向)とする。
実施形態に係る穿孔装置100は、図1〜図4に示すように、装置本体200と、ロール状の被加工物Wをシート状に繰り出すための繰り出し機構300と、この繰り出し機構300から繰り出されたシート状の被加工物Wを穿孔後にロール状に巻き取るための巻き取り機構400と、この巻き取り機構400と繰り出し機構300との間の被加工物Wを緊張・弛緩するための一対のテンション機構500,600と、これら一対のテンション機構500,600間に介在する移動機構700と、この移動機構700によって移動し被加工物Wに穿孔を実施するための穿孔機構800と、この穿孔機構800による穿孔可能状態において被加工物Wを把持するクランプ機構900(上下一対のクランパ910,920)と、これら上下一対のクランパ910,920間に介在する矯正機構1000とを備えている。
装置本体200は、図3に示すように、平面略矩形状の機台によって構成されている。装置本体200の背面側には、上記した各機構等を設定プログラムによって駆動制御するコントローラ(図示せず。)を内蔵するコントローラボックス210が配設されている。装置本体200の中央部には、図2に示すように、全体が箱状に形成された機構取付用のプレート230が立設されている。プレート230の前方には、パンチ用金型とダイ用金型(共に後述。)との間を通過して上下方向に沿う穿孔位置側の被加工物搬送路cが形成されている。プレート230の後方には、被加工物搬送路cに平行な繰り出し機構300側の被加工物搬送路aが形成されている。
装置本体200の上方には、被加工物搬送路a及び被加工物搬送路cに連接する中間搬送路bが形成されている。中間搬送路bには、被加工物Wを案内するためのガイド240が配設されている。ガイド240は、クランパ回動機構250の駆動によって上方のクランパ910が回動する領域側に突出する曲面ガイドからなり、中間搬送路b側にエアを吹き出すための通孔(図示せず。)を有している。これにより、ガイド240の通孔からのエアの供給により、ガイド240に対する被加工物Wの接触が回避される。このため、ガイド240による被加工物Wの案内時において、被加工物Wの損傷発生を防止することができ、被加工物Wの良好な案内を行うことができる。
装置本体200の内部には、被加工物搬送路cに連接する巻き取り機構400側の被加工物搬送路dが形成されている。
プレート230の上面部には、上方のクランパ910を回動させるクランパ回動機構250が配設されている。そして、上方のクランパ910を被加工物搬送路c及び被加工物搬送路aのうちいずれかの被加工物搬送路に選択的に配置するように構成されている。これにより、被加工物Wを把持する上方のクランパ910を被加工物搬送路aから被加工物搬送路cにクランパ回動機構250によって回動させると、被加工物搬送路aから被加工物搬送路cに対し被加工物Wが誘導される。このため、比較的高い位置にある被加工物搬送路aから被加工物搬送路cへの被加工物Wの引き回し作業を円滑に行うことができる。
繰り出し機構300は、図2に示すように、繰り出しローラ310及びガイドローラ320を有し、プレート230の背面側に配設されている。
繰り出しローラ310は、ローラ支持台330に回転自在に支承されている。そして、トルクモータ340の駆動による回転によってロール状の被加工物Wをシート状に繰り出すように構成されている。ローラ支持台330には、図4に示すように、繰り出しローラ310をそのローラ軸312と平行な水平面内で回動させる繰り出しローラ回動機構350が配設されている。これにより、繰り出しローラ310への被加工物Wの装着時に、繰り出しローラ回動機構350によって繰り出しローラ310が被加工物装着位置a2から被加工物繰り出し位置a1に回動される。このため、繰り出しローラ310に対する被加工物Wの装着を円滑に行うことができる。
ガイドローラ320は、図2に示すように、繰り出しローラ310の上方に配設され、かつ、プレート230の背面部にブラケット360を介して回転自在に支承されている。
巻き取り機構400は、図2に示すように、巻き取りローラ410及びガイドローラ420,421を有している。
巻き取りローラ410は、ローラ支持台430に回転自在に支承されている。そして、トルクモータ440の駆動による回転によってシート状の被加工物Wをロール状に巻き取るように構成されている。ローラ支持台430には、巻き取りローラ410をそのローラ軸412と平行な水平面内で回動させる巻き取りローラ回動機構(図示せず。)が配設されている。これにより、巻き取りローラ410からの被加工物Wの回収時に、巻き取りローラ回動機構によって巻き取りローラ410が被加工物巻き取り位置d1(図2参照。)から被加工物回収位置d2(図示せず。)に回動される。このため、巻き取りローラ410からの被加工物Wの回収を円滑に行うことができる。
ガイドローラ420,421は、y軸方向に所定の間隔をもって並設され、かつ、装置本体200内にブラケット460を介して回転自在に支承されている。
繰り出し機構300側のテンション機構500は、図2に示すように、昇降ローラ510を有し、繰り出し機構300の上方に配設され、かつ、ブラケット360に設置されている。昇降ローラ510は、ローラ軸512が昇降ガイド530に回転・昇降自在に軸支されている。そして、シート状の被加工物Wの張力とローラ軸512の自重により昇降制御されるよう構成されている。
巻き取り機構400側のテンション機構600は、昇降ローラ610を有し、巻き取り機構400の前方に配設され、かつ、装置本体200内にブラケット(図示せず。)を介して設置されている。昇降ローラ610は、ローラ軸612が昇降ガイド630に回転・昇降自在に軸支されている。そして、シート状の被加工物Wの張力とローラ軸612の自重により昇降制御されるよう構成されている。
移動機構700は、図1に示すように、第1移動機構710及び第2移動機構720とを備えている。
第1移動機構710は、スクリューシャフト711,712及びテーブル713,714(テーブル713のみ図示。)を有している。スクリューシャフト711,712は、z軸方向に沿って延在し、プレート230のx軸方向両側部に回転自在に軸支されている。そして、サーボモータ715,716の駆動によって回転し得るように構成されている。ここで、テーブル713,714は、略同一に構成されているため、その一方のテーブル713についてのみ説明する。テーブル713は、図5に示すように、プレート230上にガイド717,718を介して配設され、かつ、スクリューシャフト711上に進退自在に保持されている。そして、サーボモータ715の駆動によるスクリューシャフト711の回転によってz軸方向に沿って進退し得るように構成されている。これにより、互いに異なる領域内で各テーブル713,714が鉛直方向に移動する。
テーブル713,714には、図1に示すように、それぞれバランサ機構740,750が連結されている。バランサ機構740,750は、テーブル713,714の移動動作に連動して昇降するロッド742,752及びこれら各ロッド742,752を進退自在に収容するシリンダ744,754を有している。バランサ機構740,750には、シリンダ744,754内の圧力を調整するレギュレータ(図示せず。)がそれぞれ接続されている。これにより、テーブル713,714の昇降時における良好なバランスを保持することができ、安定したテーブル713,714の円滑な昇降動作を行うことができる。
第2移動機構720は、スクリューシャフト721,722及びテーブル723,724(テーブル723のみ図示。)を有している。スクリューシャフト721,722は、図5に示すように、x軸方向に沿って延在し、テーブル723,724に回転自在に軸支されている。そして、サーボモータ725,726(サーボモータ725のみ図示。)の駆動によって回転し得るように構成されている。ここで、テーブル723,724は、略同一に構成されているため、その一方のテーブル723についてのみ説明する。テーブル723は、図5に示すように、テーブル713上にガイド727,728を介して配設され、かつ、スクリューシャフト721上に進退自在に保持されている。そして、サーボモータ725の駆動によるスクリューシャフト721の回転によってテーブル724とは独立してx軸方向に沿って進退し得るように構成されている。これにより、互いに異なる領域内で各テーブル723,724が水平方向に移動する。
これによって、第1移動機構710及び第2移動機構720の機能によって、上記した各テーブル723,724に取り付けられた穿孔機構800(第1穿孔機構802及び第2穿孔機構804)による被加工物Wに対する正確な穿孔が実施される。
テーブル723,724の前面中央部には、図1に示すように、門型形状を有するフレーム731,732(フレーム731のみ図示。)がそれぞれ立設されている。ここで、フレーム731,732は、略同一に構成されているため、その一方のフレーム731についてのみ説明する。フレーム731は、図5に示すように、互いに対向する2つの側部733,734及びこれら両側部733,734を連結する天井部735を有している。これにより、穿孔機構800のパンチ用金型を取り付けるフレーム731の剛性が高められる。このため、穿孔時におけるダイ用金型に対するパンチ用金型の位置精度を高めることができ、穿孔による切片の返りの発生を防止することができるとともに、フレームがL字状である場合と比べて穿孔作業をより高速に行うことができる。
なお、両側部733,734間の寸法は、被加工物Wの幅方向寸法より十分に大きい寸法に設定されている。これにより、被加工物Wが搬送時に両側部733,734間を通過することが可能になる。
テーブル723,724のうち繰り出し機構300側のテーブル723の前面下方端縁には、図2に示すように、被加工物Wを把持して繰り出し機構300側から巻き取り機構400側に移動させるための移動用クランパ760が配設されている。
穿孔機構800は、図1に示すように、第1穿孔機構802及び第2穿孔機構804からなる。ここで、第1穿孔機構802及び第2穿孔機構804は、略同一に構成されているため、その一方の第1穿孔機構802についてのみ説明する。第1穿孔機構802は、図5に示すように、穿孔用金型810を有し、テーブル723に配設されている。
穿孔用金型810は、パンチ用金型820とダイ用金型830とからなり、被加工物Wに対して穿孔を実施するように構成されている。
パンチ用金型820は、図6及び図7に示すように、パンチ用金型本体(ベース821及びプレート取付用ブロック822からなる。)及びパンチプレート823,824を有している。そして、フレーム731の天井部735にチャック部材(図示せず。)を介して取り付けられている。パンチ用金型820には、被加工物側に開口する収容孔820Aが設けられている。収容孔820Aには、被加工物Wを照明する発光素子(図示せず。)が収容されている。これにより、発光素子からの照明光が被加工物Wの照明に有効に利用される。
パンチ用金型820の中央部には、図6(a)及び図7に示すように、単一の第1パンチ挿通孔820Bが配設され、またその片側端縁には10個の第2パンチ挿通孔820C,820C,…が配設されている。第2パンチ挿通孔820C,820C,…は縦2行・横5列の行列となる位置に配置されている。第1パンチ挿通孔820Bには、被加工物Wにガイドホールを形成するための第1パンチ850がスライドベアリング853を介して挿通保持されている。第2パンチ挿通孔820C,820C,…には、被加工物Wにスルーホールを形成するための第2パンチ851,851,…が挿通保持されている。第2パンチ851,851,…のパンチ径は、それぞれ同一の寸法に設定され、第1パンチ850のパンチ径より小さい寸法に設定されている。パンチ用金型820の両側部には、横方向に並列する2つの位置決めピン挿通孔820F,820Gが設けられている。
第1パンチ850及び第2パンチ851,851,…は、サーボモータによって回転するカムシャフト(図示せず。)に対し、ローラシャフト(図示せず。)等を介して連結されている。第1パンチ850及び第2パンチ851,851,…のうち一のパンチは穿孔可能高さ位置に配置され、他のパンチは穿孔不可能高さ位置に配置されている。これら各パンチの高さ位置は、それぞれ図8に示す選択機構854によって選択される。これにより、穿孔時には選択機構854によって複数のパンチのうち一のパンチとして1個の第2パンチ851を穿孔可能高さ位置に配置し、他のパンチ(第1パンチ850及び他の9個の第2パンチ851,851,…)を穿孔不可能高さ位置に配置して穿孔が実施される。
選択機構854には、パンチを穿孔可能高さ位置に位置決めするためのパンチ高さ操作子854Aと、パンチに穿孔不可能高さ位置への復帰力を付与するためのスプリング854Bとが含まれている。これにより、パンチ高さ操作子854Aを図8の下方に往動操作すると、図8に実線で示すように第2パンチ851が移動して穿孔可能高さ位置に配置される。また、パンチ高さ操作子854Aを図8の上方に復動操作すると、図8に2点鎖線で示すように第2パンチ851がスプリング854Bの復帰力によって移動して穿孔不可能高さ位置に配置される。
ベース821には、プレート取付用ブロック822側に突出するブロック位置決めピン857,858が配設されている。プレート取付用ブロック822には、図6(a)及び図9に示すように、中央部付近及び片側端縁に位置し、かつ、パンチプレート823,824側に突出する四角柱状のパンチ用金型側位置決めピン855,856が2個ずつ配設されている。また、プレート取付用ブロック822には、図7に示すように、ブロック位置決めピン857,858を位置決めするためのブロック位置決め孔822A,822Bが配設されている。これにより、ベース821とプレート取付用ブロック822との組み立ては、ブロック位置決めピン857,858をブロック位置決め孔822A,822Bに位置決めして行われる。パンチプレート823,824には、図6(a)及び図9に示すように、パンチ用金型側位置決めピン855,856を位置決めするためのパンチ用金型側位置決め孔823A,824Aが2個ずつ配設されている。これにより、プレート取付用ブロック822とパンチプレート823,824との組み立ては、パンチ用金型側位置決めピン855,856をパンチ用金型側位置決め孔823A,824Aに位置決めして行われる。
パンチ用金型側位置決め孔823A,824Aの内面は、パンチ用金型側位置決めピン855,856の4側面にそれぞれ対応し、かつ、所定の曲率をもつ4つの凸面によって構成される凹部を有している。
ダイ用金型830は、図10に示すように、ダイ用金型本体(プレート取付用ブロック831からなる。)及びダイプレート832,833を有している。そして、テーブル723にチャック部材(図示せず。)を介して取り付けられている。ダイ用金型830の中央部には、収容孔820A(図6参照。)に対して被加工物側に開口する撮像用の貫通孔830Aが設けられている。貫通孔830A内には、被加工物Wの穿孔位置を読み取るための撮像素子(図示せず。)が配設されている。ダイ用金型830の両側部には、図6(a)に示した位置決めピン挿通孔820F,820Gにそれぞれ対応する位置決めピン挿通孔830B,830Cが設けられている。
プレート取付用ブロック831には、図10(a)に示すように、中央部付近及び片側端縁に位置し、かつ、ダイプレート832,833側に突出する四角柱状のダイ用金型側位置決めピン865,866(図9に示すパンチ用金型側位置決めピン855,856と略同一のもの)が2個ずつ配設されている。ダイプレート832,833には、ダイ用金型側位置決めピン865,866を位置決めするためのダイ用金型側位置決め孔832A,833Aが2個ずつ配設されている。これにより、プレート取付用ブロック831とダイプレート832,833との組み立ては、ダイ用金型側位置決めピン865,866をダイ用金型側位置決め孔832A,833Aに位置決めして行われる。
ダイ用金型側位置決め孔832A,833Aの内面は、ダイ用金型側位置決めピン865,866の4側面にそれぞれ対応し、かつ、所定の曲率をもつ4つの凸面によって構成される凹部を有している。
ダイプレート832には第1パンチ挿通孔820Bに対応するダイ孔832Bが配設され、ダイプレート833には第2パンチ挿通孔820C,820C,…に対応するダイ孔833B,833B,…が配設されている。これにより、第1パンチ850がダイ孔832Bに対して挿抜され、また第2パンチ851,851,…がダイ孔833B,833B,…に対して挿抜される。
クランプ機構900は、図2に示すように、上下一対のクランパ910,920を備えている。
上方のクランパ910は、クランパエレメント912及びクランパエレメント914を有し、クランパ回動機構250に配設されている。これにより、クランパ910が被加工物搬送路c及び被加工物搬送路aのうちいずれかの被加工物搬送路に選択的に配置される。
下方のクランパ920は、クランパエレメント922及びクランパエレメント924を有し、テーブル724の下方に配設され、かつ、プレート230の下方端縁に設置されている。そして、上方のクランパ910とともに穿孔機構800による穿孔可能状態においてシート状の被加工物Wを把持し得るように構成されている。
なお、クランパ910,920による被加工物Wに対する把持力は、移動用クランパ760による被加工物Wの把持力解除状態において付与され、また移動用クランパ760による被加工物Wの把持状態において解除されている。これにより、被加工物Wに対して移動用クランパ760による把持力を付与するとともに、クランパ910,920による把持力を解除し、この状態で被加工物Wの搬送が行われる。一方、被加工物Wに対して移動用クランパ760による把持力を解除するとともに、クランパ910,920による把持力を付与し、この状態で被加工物Wの穿孔が行われる。
矯正機構1000は、図1に示すように、第1矯正機構1010及び第2矯正機構1020を備えている。第1矯正機構1010はテーブル713(図5参照。)に配設され、また第2矯正機構1020はテーブル714(図示せず。)に配設されている。そして、被加工物Wの反りを矯正するように構成されている。
穿孔用金型位置決め固定機構1100は、図10(b)及び図11に示すように、穿孔用金型固定用チャック部材(図示せず。)及び位置決めピン1110,1120を有している。そして、穿孔用金型810による穿孔可能状態において、パンチ用金型820及びダイ用金型830との間に、被加工物Wの厚さより大きい寸法をもつ空隙を形成するように構成されている。
位置決めピン1110,1120は、図11に示すように、パンチ用金型820の位置決めピン挿通孔820F,820G(図6(a)参照。)に対して挿通可能な、またダイ用金型830の位置決めピン挿通孔830B,830C(図10(a)参照。)に対して挿通可能な、さらにはテーブル723に設けられた位置決め用孔(図示せず。)に対して嵌合する円柱体によって形成されている。位置決めピン1110,1120には、ピン径方向に貫通し、かつ、六角孔付きの位置決めピン操作子1130,1140の偏心軸1132,1142が挿通する長孔1112,1122がそれぞれ設けられている。そして、位置決めピン1110,1120が位置決めピン操作子1130,1140の回転操作によってパンチ移動方向に沿って移動するように構成されている。
このように構成された穿孔装置100を用いて被加工物Wに穿孔を実施するには、次に示すようにして行う。なお、上方のクランパ910は、予め繰り出しローラ310から繰り出された被加工物Wを把持し、被加工物Wを把持した状態のまま被加工物搬送路aから被加工物搬送路cに移動しているものとする。また、10個の第2パンチ851,851,…のうち一の第2パンチ851が穿孔可能高さ位置に配置され、他の第2パンチ851及び第1パンチ850は穿孔不可能高さ位置に配置されているものとする。さらに、被加工物Wには基準マークが表示されているものとする。
まず、図2に示すように、上方のクランパ910による被加工物Wに対する把持力を解除し、パンチ用金型820とダイ用金型830との間に被加工物Wを介在させるようにして穿孔可能な状態とする。
次いで、繰り出し機構300、巻き取り機構400及び第1移動機構710を同期して駆動し、被加工物Wを繰り出し側から巻き取り側に定量供給する。この際、被加工物Wには移動用クランパ760による把持力が付与され、クランパ910,920による把持力は解除されている。そして、被加工物Wが定量供給されると、被加工物Wには移動用クランパ760による把持力が解除され、クランパ910,920による把持力が付与される。この場合、被加工物Wは、重力方向に垂下した状態でクランパ910,920によって把持されている。
その後、撮像素子によって被加工物Wの基準マークが検出されると、第1移動機構710の駆動によって鉛直方向(z軸方向)にテーブル723,724を移動させて穿孔用金型810を穿孔領域に移動させる。
そして、第1移動機構710及び第2移動機構720の駆動によって、穿孔用金型810を穿孔領域内で鉛直方向(z軸方向)及び水平方向(x軸方向)に沿って穿孔位置へと移動させて、この位置でカムシャフト(図示せず。)の回転による一の第2パンチ851の昇降によって被加工物Wに穿孔を実施する。
以上説明したように、実施形態に係る穿孔装置100は、シート状の被加工物Wに穿孔を実施するための穿孔用金型810を備えた穿孔装置であって、穿孔用金型810は、同径の貫通孔を形成可能な複数の第2パンチ851,851,…を有するとともに、これら複数の第2パンチ851,851,…のうち穿孔に供する一の第2パンチ851を選択して穿孔動作させる選択機構854を有するパンチ用金型820と、パンチ用金型820の複数の第2パンチ851,851,…に対応して配置された複数のダイ孔833B,833B,…を有するダイ用金型830とを有している。
このため、実施形態に係る穿孔装置100によれば、パンチ用金型810が同径の貫通孔を形成可能な複数の第2パンチ851,851,…を有するとともに、これら複数の第2パンチ851,851,…のうち穿孔に供する一の第2パンチ851を選択して穿孔動作させる選択機構854を有しているため、一の第2パンチ851が磨耗したり破損したりした場合であっても、磨耗したり破損したりした一の第2パンチ851を新しいパンチに交換する作業を、パンチ用金型820に備えられた選択機構854を操作することによって、パンチ用金型820を穿孔装置100から取り外すことなく行うことができるようになる。このため、この作業後にパンチ用金型820を再び穿孔装置100に取り付ける必要がなくなるため、パンチ交換に要する作業時間を短縮して穿孔装置100の稼働率を高くすることができるようになる。
実施形態に係る穿孔装置100においては、選択機構854は、複数の第2パンチ851,851,…のうち一の第2パンチ851を穿孔可能高さ位置に配置し、複数の第2パンチ851,851,…のうち他の第2パンチ851,851,…を穿孔不可能高さ位置に配置する機能を有している。
このため、実施形態に係る穿孔装置100によれば、選択機構854を操作することにより、磨耗したり破損したりした他の第2パンチ851,851,…を穿孔不可能高さ位置に配置するとともに、新たに穿孔に供することとなる一の第2パンチ851を穿孔可能高さ位置に配置することができるようになる。このため、パンチ用金型820がパンチ方向に沿って往復動作をするのに伴って複数の第2パンチ851,851,…のすべてが往復動作をすることになるが、これら複数の第2パンチ851,851,…のうち穿孔可能高さ位置に配置された一の第2パンチ851のみが穿孔動作を行うようになる。
実施形態に係る穿孔装置100においては、選択機構854は、複数の第2パンチ851,851,…のそれぞれについて、穿孔不可能高さ位置から穿孔可能高さ位置に下降させたり穿孔可能高さ位置から穿孔不可能高さ位置に上昇させたりするためのパンチ高さ操作子854Aを有している。
このため、実施形態に係る穿孔装置100によれば、選択機構854のパンチ高さ操作子854Aを操作することにより、複数の第2パンチ851,851,…のうち新たに穿孔に供することになる一の第2パンチ851を穿孔不可能高さ位置から穿孔可能高さ位置に下降させるとともに、磨耗したり破損したりした一の第2パンチ851を穿孔可能高さ位置から穿孔不可能高さ位置へと上昇させることができるようになる。
パンチ高さ操作子854Aとしては、第2パンチ挿通孔820Cに沿って一の第2パンチ851の頭部を押すことが可能なネジを好ましく用いることができる。この場合、他の第2パンチ851,851,…を穿孔不可能高さ位置に維持するためのスプリング854Bを用いることとしている。これにより、穿孔に供しない他の第2パンチ851,851,…は、スプリング854Bの作用により穿孔不可能高さ位置に維持されるため、誤って穿孔に供されることが防止される。
実施形態に係る穿孔装置100においては、パンチ用金型820は、複数のパンチ用金型側位置決めピン855,856を有するパンチ用金型本体(ベース821及びプレート取付用ブロック822からなる。)と、複数のパンチ用金型側位置決めピン855,856に対応して配置された複数のパンチ用金型側位置決め孔823A,824Aを有するパンチプレート823,824とを有し、ダイ用金型830は、複数のダイ用金型側位置決めピン865,866を有するダイ用金型本体(プレート取付用ブロック831からなる。)と、複数のダイ用金型側位置決めピン865,866に対応して配置された複数のダイ用金型側位置決め孔832A,833Aを有するダイプレート832,833とを有している。
このため、実施形態に係る穿孔装置100によれば、パンチ用金型本体とパンチプレート823,824とを正確に位置決めすることができるとともに、ダイ用金型本体とダイプレート832,833とを正確に位置決めすることができるため、正確な穿孔を行うことが可能になる。
また、このことは、パンチ用金型820における複数の第2パンチ851,851,…を交換する場合などにおいて、一旦、パンチ用金型本体とパンチプレート823,824とを分離したとしても、その後、これらを正確な位置関係で一体化することが可能になることを意味する。
実施形態に係る穿孔装置100においては、パンチ用金型側位置決めピン855,856は、四角柱の形状を有し、パンチ用金型側位置決め孔823A,824Aは、パンチ用金型側位置決めピン855,856の4側面にそれぞれ対応して形成された4つの凸面によって構成される凹部を有し、ダイ用金型側位置決めピン865,866は、四角柱の形状を有し、ダイ用金型側位置決め孔832A,833Aは、ダイ用金型側位置決めピン865,866の4側面にそれぞれ対応して形成された4つの凸面によって構成される凹部を有している。
このため、実施形態に係る穿孔装置100によれば、パンチ用金型820においては、複数のパンチ用金型側位置決め孔823A,824Aに対して複数のパンチ用金型側位置決めピン855,856を比較的容易に挿入することができるようになり、ダイ用金型830においては、複数のダイ用金型側位置決め孔832A,833Aに対して複数のダイ用金型側位置決めピン865,866を比較的容易に挿入することができるようになる。このため、パンチ用金型本体とパンチプレート823,824とを迅速に一体化することができるとともに、ダイ用金型本体とダイプレート832,833とを迅速に一体化することができるようになる。
実施形態に係る穿孔装置100においては、複数の第2パンチ851,851,…及び複数のダイ孔833B,833B,…に加えて、異なる径の貫通孔を形成可能な別の第1パンチ850及び別のダイ孔832Bをさらに有し、選択機構854は、複数の第2パンチ851,851,…及び別の第1パンチ850のうち穿孔に供する一の第2パンチ851又は別の第1パンチ850を選択して穿孔動作させる機能を有している。
このため、実施形態に係る穿孔装置100によれば、必要な場合には選択機構854を操作することにより、被加工物Wに異なる径の貫通孔を穿孔することができるようになり、穿孔作業の自由度を高めることができる。
実施形態に係る穿孔装置100においては、穿孔用金型810は、穿孔装置100に対して交換可能に取り付けられている。
このため、実施形態に係る穿孔装置100によれば、穿孔用金型810に含まれる複数のパンチのうちすべてが磨耗したり破損したりした場合には、穿孔用金型ごと別の穿孔用金型に交換することができるようになる。
実施形態に係る穿孔装置100においては、穿孔用金型810は、パンチ用金型820とダイ用金型830との位置合わせを行うための2つの位置決めピン1110,1120をさらに有し、パンチ用金型820及びダイ用金型830のそれぞれは、2つの位置決めピン1110,1120が挿入されるように配置された2つの位置決めピン挿通孔820F,820G,830B,830Cを有している。
このため、実施形態に係る穿孔装置100においては、パンチ用金型820とダイ用金型830とを位置決めピン1110,1120を用いて正確に位置決めした状態で穿孔用金型810を穿孔装置100に取り付け、その後、位置決めピン1110,1120をパンチ用金型820の位置決めピン挿通孔820F,820G又はダイ用金型830の位置決めピン挿通孔830B,830Cから抜くことにより、パンチ用金型820とダイ用金型830との正確な位置関係を維持したまま、正確に、かつ、容易に穿孔用金型810を穿孔装置100に取り付けることができるようになる。
実施形態に係る穿孔装置100においては、穿孔用金型810は、パンチ用金型820の位置決めピン挿通孔820F,820G中及びダイ用金型830の位置決めピン挿通孔830B,830C中で位置決めピン1110,1120を移動させるための位置決めピン操作子1130,1140をさらに有している。
このため、実施形態に係る穿孔装置100によれば、使用済みの穿孔用金型を穿孔装置から取り外したり、新たな穿孔用金型を穿孔装置に取り付けたりする作業を迅速に行うことができるようになる。
実施形態に係る穿孔装置100においては、被加工物Wに対する穿孔用金型810の位置を測定するための撮像素子(図示せず。)と、この撮像素子による撮影結果に基づいて被加工物Wに対する穿孔用金型810の相対的位置を調整する位置調整機構(図示せず。)とをさらに備えている。
このため、実施形態に係る穿孔装置100によれば、被加工物Wに対して正確な位置関係で穿孔を行うことができるようになる。
また、パンチ用金型820における複数のパンチのうち穿孔に供する新たなパンチを選択した場合であっても、その新たなパンチについての位置情報に基づいて、被加工物Wに対して正確な位置関係で穿孔を行うことができるようになる。
実施形態に係る穿孔装置100においては、複数のパンチがすべて磨耗したり破損したりした場合に、穿孔用金型使用者がこのような穿孔用金型中の複数のパンチをすべて交換するのは実際上容易ではない。むしろ、このような場合には、穿孔用金型供給者が穿孔用金型使用者から使用済みの穿孔用金型を受け取り、この使用済みの穿孔用金型中の複数のパンチをすべて交換して新たな穿孔用金型として穿孔用金型使用者に返送するのが合理的である。しかしながら、この場合には、新たな穿孔用金型が穿孔用金型使用者のもとに返送されるまでの時間、穿孔装置を稼働することができなくなる。
そこで、実施形態に係る穿孔用金型の交換方法は、穿孔用金型供給者が、穿孔用金型使用者が使用する穿孔用金型と同じ規格の別の穿孔用金型を準備しておき、穿孔用金型供給者は、穿孔用金型使用者からの要求又は穿孔用金型の使用状況に関する情報に基づいて、別の穿孔用金型を穿孔用金型使用者に供給することとしている。
このため、実施形態に係る穿孔用金型の交換方法によれば、穿孔用金型使用者からの要求又は穿孔用金型の使用状況に関する情報に基づいて、穿孔用金型供給者が新たな穿孔用金型を穿孔用金型使用者に供給することとしたため、パンチ用金型のパンチがすべて磨耗したり破損したりするのに先立って、新たな穿孔用金型を穿孔用金型使用者に供給することが可能になる。このため、その後、パンチ用金型のパンチがすべて磨耗したり破損したりした場合には、穿孔用金型使用者が使用済みの穿孔用金型と新たな穿孔用金型とを自分で交換することができるようになる。このため、穿孔装置100が稼働できない時間を最小限のものとすることができる。
実施形態に係る穿孔装置100における穿孔用金型810においては、複数のパンチがすべて磨耗したり破損したりした場合に、穿孔用金型使用者がこのような穿孔用金型中の複数のパンチをすべて交換するのは実際上容易ではない。むしろ、このような場合には、穿孔用金型供給者が穿孔用金型使用者から使用済みの穿孔用金型を受け取り、この使用済みの穿孔用金型中の複数のパンチをすべて交換して新たな穿孔用金型として穿孔用金型使用者に返送するのが合理的である。
このような場合に、穿孔用金型を容易に収納することができ、かつ、安全に運搬することのできる専用の穿孔用金型運搬装置があれば実際上極めて便利であり実用的である。
実施形態に係る穿孔用金型の交換方法においては、上記のような穿孔用金型運搬装置を用いて別の穿孔用金型を穿孔用金型使用者に供給することとしている。
このため、実施形態に係る穿孔用金型の交換方法によれば、新たな穿孔用金型を穿孔用金型使用者に対して安全、かつ、迅速に供給することができるようになる。
実施形態に係る穿孔用金型交換方法においては、別の穿孔用金型の供給を受けた穿孔用金型使用者は、別の穿孔用金型が収納されていた穿孔用金型運搬装置に、穿孔装置から取り外した穿孔用金型を収納して、穿孔用金型供給者に対して返送することとしている。
このため、実施形態に係る穿孔用金型の交換方法によれば、使用済みの穿孔用金型が収納された穿孔用金型運搬装置はそのまま穿孔用金型使用者から穿孔用金型供給者に返送されることになり、穿孔用金型運搬装置の有効利用を図ることができる。
以上、本発明の穿孔装置、穿孔用金型、穿孔用金型運搬装置及び穿孔用金型交換方法を上記の実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
(1)上記の実施形態においては、繰り出し機構側から巻き取り機構側に向かって鉛直方向に沿って搬送されるシート状の被加工物に対して穿孔を実施する、いわゆる縦型の穿孔装置に適用する場合について説明したが、本発明はこれに限定されず、横型の穿孔装置にも同様に適用することができる。
(2)上記の実施形態においては、ロール状からシート状に繰り出された被加工物Wに対して穿孔を実施する穿孔装置に適用する場合について説明したが、本発明はこれに限定されず、短冊状の被加工物に対して穿孔を実施する穿孔装置にも同様に適用することができる。
(3)上記の実施形態においては、被加工物に対して穿孔用金型が移動する方式の穿孔装置に適用する場合について説明したが、本発明はこれに限定されず、穿孔用金型に対して被加工物が移動する方式の穿孔装置にも同様に適用することができる。
(4)上記の実施形態においては、第1穿孔機構802及び第2穿孔機構804に対してそれぞれ単一の穿孔用金型が配設された穿孔装置に適用する場合について説明したが、本発明はこれに限定されず、第1穿孔機構802及び第2穿孔機構804に対してそれぞれ複数の穿孔用金型が配設された穿孔装置にも同様に適用することができる。
100…穿孔装置、200…装置本体、230…プレート、300…繰り出し機構、400…巻き取り機構、500,600…テンション機構、700…移動機構、710…第1移動機構、720…第2移動機構、760…移動用クランパ、800…穿孔機構、802…第1穿孔機構、804…第2穿孔機構、810…穿孔用金型、820…パンチ用金型、820B…第1パンチ挿通孔、820C…第2パンチ挿通孔、820F,820G,830B,830C…位置決めピン挿通孔、821…ベース、822…プレート取付用ブロック、823,824…パンチプレート、823A,824A…パンチ用金型側位置決め孔、830…ダイ用金型、831…プレート取付用ブロック、832,833…ダイプレート、832A,833A…ダイ用金型側位置決め孔、832B…ダイ孔、833B…ダイ孔、850…第1パンチ、851…第2パンチ、854…選択機構、854A…パンチ高さ操作子、854B…スプリング、855,856…パンチ用金型側位置決めピン、865,866…ダイ用金型側位置決めピン、900…クランプ機構、910,920…クランパ、1000…矯正機構、1010…第1矯正機構、1020…第2矯正機構、1100…穿孔金型位置決め固定機構、1110,1120…位置決めピン、W…被加工物