JP2005308207A - 自動調心ころ軸受 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 内輪1と外輪2との間に転動体としての複列のころ3が周方向に転動可能に配設された自動調心ころ軸受であって、転動体3の転動面の平均粗さをRa<0.1μm、内輪1の軌道面11の平均粗さをRa<0.15μm、外輪2の軌道面21の平均粗さを0.1μm≦Ra≦0.5μmとする。
【選択図】 図1
Description
ところで、油膜が十分に形成されたクリーンな環境下において通常の玉軸受や円筒ころ軸受は材料中に含まれる非金属介在物を起点として、疲労き裂が発生、進展する内部起点型破壊で破損する。従って、玉軸受や円筒ころ軸受においては材料の清浄度を増すことによって長寿命化を図ることができる。
自動調心ころ軸受においては、外輪軌道面の粗さを内輪軌道面の粗さより粗くすると、寿命が延びることが従来から知られており、例えば、外輪軌道面の粗さを内輪軌道面の粗さより粗くし、スキューを制御して長寿命化を図る事例が開示されている(例えば特許文献1参照)。
本発明はこのような技術的背景に鑑みてなされたものであり、内輪軌道面に微小塑性流動が発生するのを抑制して、安定した長寿命化を達成することができる自動調心ころ軸受を提供することを目的とする。
したがって、自動調心ころ軸受の長寿命化を達成するには、主な破損部位である内輪の転がり方向に作用する接線力を抑制することが重要であり、接線力を抑制する手段として、内外輪および転動体の粗さのバランスを最適化することに着目し、本発明を完成するに至った。
前記転動体の転動面の平均粗さをRa<0.1μm、前記内輪の軌道面の平均粗さをRa<0.15μm、前記外輪の軌道面の平均粗さを0.1μm≦Ra≦0.5μmとしたことを特徴とする。
このようなピーリング等の表面損傷に対しては、転動体の表面硬さを高くすると同時に残留オーステナイトを残すことが非常に有効である。従って、転動体であるころを軌道輪よりも硬くし、且つ残留オーステナイトを残すことが好ましい。
図1は本発明の実施の形態の一例である自動調心ころ軸受を説明するための断面図、図2は2円筒試験機の概略図、図3は駆動側試験片の表面粗さと接線力の大きさの比との関係を示すグラフ図、図4は従動側試験片の表面粗さと接線力の大きさの比との関係を示すグラフ図、図5は荷重負荷圏での転動体が外輪から受ける接線力の方向を説明するための説明図、図6は非負荷圏での転動体が外輪から受ける接線力の方向を説明するための説明図、図7は外輪軌道面の粗さパラメータSを説明するための説明図、図8は表1の寿命比を整理したグラフ図である。
ところで、自動調心ころ軸受の破損において、主に内輪が破損する理由としては、転動体は、通常、焼戻しであるのに対して、内輪は高温焼戻しであるため、内輪は転動体と比較して硬さが低いことや、内輪は外輪と比較して面圧が高く、すべりが大きいため疲労に対して厳しい条件となることが挙げられる。
(A)の面圧は使用条件によってほぼ決定してしまう値であるため、内輪に働く接線力を抑制するには、(B)の対策として転動体転動面と内輪軌道面の粗さを抑えるか、あるいは(C)の対策として転動体の自転速度を抑えて内輪と転動体との間のすべりを抑制し、純転がりに近い状態にする方法が考えられる。
自動調心ころ軸受における内輪と転動体の表面粗さが接線力に及ぼす影響を調査するため、図2に示す2円筒試験機を用いて接線力を測定し、接線力は支持軸に取り付けたトルク計で摩擦トルクを測定することにより求めた。測定条件は最大面圧Pmax =3.2GPa、すべり率:10%、潤滑油:RO68とした。
転動体の自転速度を抑える具体的方法として、外輪軌道面の表面粗さを粗くすることに着目し、その説明図を模式的に図5及び図6に示す。
一方、非負荷圏では、転動体の自転速度は公転速度より遅くなる。したがって、図6に示すように、外輪と転動体との間に働く接線力は転動体の自転速度を大きくする方向に働く。即ち、外輪軌道面の表面粗さを大きくすると、図3及び図4の2円筒試験の結果からも明らかなように、外輪と転動体との間に働く接線力を大きくし、転動体の自転をコントロールして内輪と転動体と間のすべりを抑えることができる。
長寿命に効果的な外輪軌道面の平均粗さの程度としては、図3及び図4に示した2円筒試験の結果から判断すると、外輪軌道面の平均粗さをRa≧0.1μmとすることで外輪と転動体との間の接線力が大きくなり、自転速度を抑制することが可能であると考えられる。外輪軌道面の平均粗さを大きくすると内輪の破損を抑制することができるが、外輪には当然大きな接線力が作用するため、外輪軌道面の平均粗さを大きくしすぎると今度は外輪が破損することになる。後述するように、外輪軌道面の平均粗さRa>0.5μmになると外輪破損により逆に短寿命となる。
また、外輪軌道面の軸方向及び円周方向の平均粗さを軌道面領域で例えば0.5mmの測定長さにて0.1μm≦Ra≦0.5μmに設定することで、転動体と接触する外輪軌道面の全領域において局所的な粗さのばらつきが少なくなり、転動体に対する外輪軌道面の摩擦係数が安定して増大するので、ピーリング等の表面焼損による早期剥離を抑制して寿命の延長を図ることができる。
更に、より好ましくは、図7を参照して、外輪軌道面の粗さを示す粗さ曲線Cの基準長さlを例えばl=0.5mmとし、山の数をnとし、粗さ曲線Cの隣り合う山間の間隔をSiとしたとき、次式(1)で定義される粗さパラメータSを0<S≦20μmとすることにより、外輪軌道面と転動体との接触部における摩擦係数が増大して転動体の滑りが抑制され、これにより、ピーリング等の表面損傷による早期剥離を抑制して軸受寿命を延長することができる。
転動体の硬さについては、転動体の残留オーステナイト量γR と軌道輪の残留オーステナイト量γR との差を3体積%以上に保てば、必然的に転動体の方が内外輪よりも硬くなり、一層ピーリング損傷に対しては有効である。転動体と軌道輪との硬さの差は、マイクロビッカース硬度でHv30以上が好ましい。
回転数:1500min-1
試験荷重:45217N
潤滑条件:RO68
表1に試験結果を示す。寿命は最も短寿命であった比較例1の値を1とした比で示してある。図8は表1の結果をもとに、本発明の実施例と比較例の寿命を図にまとめたものである。
但し、表1の比較例4のように外輪軌道面の平均粗さをRa>0.5μmと粗くしすぎると内輪のはく離は抑制されるが、逆に外輪がはく離して軸受の寿命延長効果は得られないので、外輪軌道面の平均粗さはRa≦0.5μmとする必要がある。
2 外輪
3 球面ころ(転動体)
Claims (1)
- 内輪と外輪との間に転動体としての複列のころが周方向に転動可能に配設された自動調心ころ軸受であって、
前記転動体の転動面の平均粗さをRa<0.1μm、前記内輪の軌道面の平均粗さをRa<0.15μm、前記外輪の軌道面の平均粗さを0.1μm≦Ra≦0.5μmとしたことを特徴とする自動調心ころ軸受。
Priority Applications (1)
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JP2004376549A JP2005308207A (ja) | 2004-03-24 | 2004-12-27 | 自動調心ころ軸受 |
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JP2004087057 | 2004-03-24 | ||
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Publications (1)
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JP2005308207A true JP2005308207A (ja) | 2005-11-04 |
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ID=35437189
Family Applications (1)
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JP2004376549A Pending JP2005308207A (ja) | 2004-03-24 | 2004-12-27 | 自動調心ころ軸受 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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2004
- 2004-12-27 JP JP2004376549A patent/JP2005308207A/ja active Pending
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