JP2006153093A - 自動調心ころ軸受 - Google Patents

自動調心ころ軸受 Download PDF

Info

Publication number
JP2006153093A
JP2006153093A JP2004342796A JP2004342796A JP2006153093A JP 2006153093 A JP2006153093 A JP 2006153093A JP 2004342796 A JP2004342796 A JP 2004342796A JP 2004342796 A JP2004342796 A JP 2004342796A JP 2006153093 A JP2006153093 A JP 2006153093A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
self
inner ring
rolling element
aligning roller
roller bearing
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2004342796A
Other languages
English (en)
Inventor
Toru Ueda
徹 植田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NSK Ltd
Original Assignee
NSK Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NSK Ltd filed Critical NSK Ltd
Priority to JP2004342796A priority Critical patent/JP2006153093A/ja
Publication of JP2006153093A publication Critical patent/JP2006153093A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16CSHAFTS; FLEXIBLE SHAFTS; ELEMENTS OR CRANKSHAFT MECHANISMS; ROTARY BODIES OTHER THAN GEARING ELEMENTS; BEARINGS
    • F16C19/00Bearings with rolling contact, for exclusively rotary movement
    • F16C19/22Bearings with rolling contact, for exclusively rotary movement with bearing rollers essentially of the same size in one or more circular rows, e.g. needle bearings
    • F16C19/34Bearings with rolling contact, for exclusively rotary movement with bearing rollers essentially of the same size in one or more circular rows, e.g. needle bearings for both radial and axial load
    • F16C19/38Bearings with rolling contact, for exclusively rotary movement with bearing rollers essentially of the same size in one or more circular rows, e.g. needle bearings for both radial and axial load with two or more rows of rollers
    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16CSHAFTS; FLEXIBLE SHAFTS; ELEMENTS OR CRANKSHAFT MECHANISMS; ROTARY BODIES OTHER THAN GEARING ELEMENTS; BEARINGS
    • F16C23/00Bearings for exclusively rotary movement adjustable for aligning or positioning
    • F16C23/06Ball or roller bearings
    • F16C23/08Ball or roller bearings self-adjusting
    • F16C23/082Ball or roller bearings self-adjusting by means of at least one substantially spherical surface
    • F16C23/086Ball or roller bearings self-adjusting by means of at least one substantially spherical surface forming a track for rolling elements

Landscapes

  • Rolling Contact Bearings (AREA)
  • Support Of The Bearing (AREA)

Abstract

【課題】高温環境下においても寸法安定性が良好であり長寿命な自動調心ころ軸受を提供する。
【解決手段】自動調心ころ軸受1は、内輪2と、外輪3と、2列の球面ころ4と、球面ころ4を保持する保持器5と、で構成されている。また、内輪2の外周面には2列のころ4の軌道面2a,2aが形成され、外輪3の内周面は2列一体の球面軌道面3aとされている。
この自動調心ころ軸受1の内輪2及び外輪3は、高炭素クロム軸受鋼で構成され、平均残留オーステナイト量が0.5体積%以上2体積%以下である。そして、内輪2及び外輪3の軌道面2a,2a,3aを含む表面には、浸炭処理又は浸炭窒化処理による表面層(硬化層)が形成されており、表面層の残留オーステナイト量は3体積%以上15体積%以下とされている。
【選択図】 図1

Description

本発明は自動調心ころ軸受に関する。
一般に、自動調心ころ軸受は、取り付け誤差や衝撃荷重により外輪や内輪が傾斜しても転動体の接触状態は変化しないため、異常荷重の発生が抑制されるとともにラジアル負荷能力が大きいという利点がある。そのため、自動調心ころ軸受は、製紙機械用の各種ロールネック軸受,車両用軸受,各種産業用軸受として広く利用されている。
油膜が十分に形成されているクリーンな潤滑環境下においては、玉軸受や円筒ころ軸受は、通常は軸受材料中に含まれる非金属介在物を起点として疲労亀裂が発生する内部起点型破壊によって破損が生じる。したがって、玉軸受や円筒ころ軸受においては、軸受材料の清浄度を向上させることにより長寿命化を図ることができる。
これに対して、自動調心ころ軸受は、使用条件によっては玉軸受や円筒ころ軸受とは異なり、クリーンな潤滑環境下において内輪軌道面に微小な塑性流動が形成され、そこからピーリングクラックが発生して剥離に至る表面起点型破壊によって破損が生じる場合がある。したがって、自動調心ころ軸受においては、軸受材料の清浄度を向上させても顕著な長寿命化は期待できない。
一方、自動調心ころ軸受においては、外輪軌道面を内輪軌道面よりも粗くすると寿命が向上することが一般的に知られている。例えば特許文献1には、外輪軌道面を粗くすることによりスキューを制御して長寿命化を図る技術が記載されている。寿命が向上する理由は、外輪軌道面を内輪軌道面よりも粗くすると、転動体が軸受の外側に傾く正のスキューが生じてアキシアル荷重を緩和するためであるとされている。逆に、転動体が軸受の内側に傾く負のスキューが生じるとアキシアル荷重が増幅するため、寿命は低下するとされている。
しかしながら、単に外輪軌道面を内輪軌道面よりも粗くしただけでは、負のスキューが生じやすくなる場合があり、さらに、負のスキューが大きくなっても寿命が向上する場合もある。よって、スキューを制御すれば自動調心ころ軸受の長寿命化が図れるとは言い切れない。
他方、自動調心ころ軸受は、鉄鋼用圧延機に使用されるなど、高温環境下で使用される場合が多い。自動調心ころ軸受の温度が上昇すると、軸受材料の組織変化に起因する寸法変化が生じ、この寸法変化によって内輪とそれに嵌合する軸との間の締め代が減少するので、内輪にクリープ現象が生じるおそれがある。このクリープ現象が激しくなると、自動調心ころ軸受は発熱から焼付きに至り、自動調心ころ軸受が組み込まれた機械全体に重大な損傷を招くおそれがある。また、内輪にクリープ現象が発生しない場合でも、自動調心ころ軸受の回転精度が悪くなるため、摩擦,磨耗が生じやすく、寿命が低下するおそれがある。よって、自動調心ころ軸受の軌道輪の材料には、高温環境下においても組織的に安定で寸法安定性が良好であることが求められる。
特公昭57−61933号公報
そこで、本発明は上記のような従来技術が有する問題点を解決し、高温環境下においても寸法安定性が良好であり長寿命な自動調心ころ軸受を提供することを課題とする。
前記課題を解決するため、本発明は次のような構成からなる。すなわち、本発明に係る請求項1の自動調心ころ軸受は、複列軌道を有する内輪と、複列一体の球面軌道を有する外輪と、前記内輪と前記外輪との間に転動自在に配された複列の球面ころと、を備える自動調心ころ軸受において、前記内輪及び前記外輪の少なくとも一方は、高炭素クロム軸受鋼で構成され、平均残留オーステナイト量が0.5体積%以上2体積%以下であるとともに、軌道面を含む表面には残留オーステナイト量が3体積%以上15体積%以下である表面層が形成されていることを特徴とする。
本発明者らは、鋭意研究の結果、前述のような自動調心ころ軸受に特有の破損の原因は、転動体のスキューではなく、内外輪と転動体との間に作用する接線力が関係しており、大きな接線力が作用した場合に内輪の軌道面に発生する微小な塑性流動を起点とした剥離によって破損が生じることを見出した。そして、自動調心ころ軸受の長寿命化のためには、軌道輪の軌道面を接線力に対して強くすることが重要であることを見出した。
以下に、本発明の自動調心ころ軸受について、詳細に説明する。
前述したように、自動調心ころ軸受は玉軸受や円筒ころ軸受とは異なり、クリーンな潤滑環境下において内輪軌道面に微小な塑性流動が形成され、そこからピーリングクラックが発生して剥離に至る表面起点型破壊によって破損が生じる場合がある。また、異物混入潤滑環境下や油膜の厚さが十分ではない潤滑環境下においては、他種の軸受と同様に表面起点型の剥離を生じる。この表面起点型の剥離は、残留オーステナイト量が多いほど生じ難いので、残留オーステナイト量を多くすることにより軸受の寿命向上を図ることができる。
一方、残留オーステナイトは熱によって分解し膨張する性質を有しているので、残留オーステナイト量が多いと寸法安定性が低下する。そこで、自動調心ころ軸受においては、良好な寸法安定性を得るため、軸受鋼をオーステンパー処理するか、又は、焼入れ後に比較的高温で焼戻しすることによって、その組織を残留オーステナイトがほとんど存在しないベイナイト組織や焼戻しマルテンサイト組織としている。しかしながら、通常の焼戻しを施した場合と比べて、残留オーステナイト量が少なく硬さも低いため、転がり疲労強度は小さくなってしまう。
そこで、良好な寸法安定性と転がり疲労強度との両方を得るために、繰り返し応力を受ける軌道面の残留オーステナイト量は多くし、軌道輪の芯部には残留オーステナイトが存在しないようにした。玉軸受や円筒ころ軸受の場合には、最大剪断応力は軌道面の表面から若干内部に入った部分に作用するため、上記のような構成としても効果はそれほど発現しないが、自動調心ころ軸受の場合には、前述したようにクリーンな潤滑環境下においても、異物混入潤滑環境下や油膜の厚さが十分ではない潤滑環境下においても、表面が最も疲労を受けるため、表面部分のみ残留オーステナイト量を高くして転がり疲労強度を高めれば、寿命は向上すると考えられる。
ここで、高温環境下における転がり軸受の寸法変化は、残留オーステナイトの分解による膨張の大きさとマルテンサイトの収縮の大きさとの和であるが、残留オーステナイトの分解に伴なう膨張の大きさがマルテンサイトの収縮の大きさよりも非常に大きいため、残留オーステナイト量が非常に多い場合には残留オーステナイトの分解量だけを考慮すれば十分である。しかしながら、残留オーステナイトのほぼ全てが分解すると、その後はマルテンサイトの収縮が大きくなって、若干の収縮傾向を示す。つまり、残留オーステナイトが分解して約0体積%となると、マルテンサイトの収縮のみが生じて、僅かではあるものの膨張ではなく収縮方向の寸法変化が生じる。軸受が収縮方向の寸法変化を起こすと、例えば、内輪のみが収縮して、内輪が嵌合された軸は収縮しないと、転動疲労に有害な引張応力が内輪の内周面に作用することとなる。
よって、膨張と収縮いずれの寸法変化も生じさせないようにするためには、残留オーステナイトの分解による膨張の大きさとマルテンサイトの収縮の大きさとを釣り合わせる必要がある。軌道輪の表面(軌道面を含む)に形成された表面層の残留オーステナイト量を3体積%以上15体積%以下とし、軌道輪の平均残留オーステナイト量を0.5体積%以上2体積%以下することにより、前述の収縮と膨張とのバランスが改善され、良好な寸法安定性が確保できるとともに、転がり疲労寿命も十分なものとなる。
なお、本発明においては、「平均残留オーステナイト量」とは、部材全体における残留オーステナイト量の平均値を意味し、例えば、表面から中心部までの残留オーステナイト量の分布を測定し、その平均値を算出することにより得ることができる。また、「表面層」とは、表面から深さ0.2mmの位置までの部分を意味する。
本発明の自動調心ころ軸受は、高温環境下においても寸法安定性が良好であり長寿命である。
本発明に係る自動調心ころ軸受の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。 〔第一実施形態〕
図1は、本発明の自動調心ころ軸受の一実施形態を示す部分縦断面図である。この自動調心ころ軸受1は、内輪2と、外輪3と、内輪2と外輪3との間に転動自在に配された2列の球面ころ4と、内輪2と外輪3との間に球面ころ4を保持する保持器5と、で構成されており、内輪2と外輪3との間に形成される空間に配された図示しない潤滑剤を備えている。
内輪2の外周面には2列の球面ころ4の軌道面2a,2aが形成され、内輪2の外径は幅方向両端部よりも中央部の方が大きく形成されている。また、外輪3の内周面は、2列一体の球面軌道面3aとされている。
この自動調心ころ軸受1の内輪2及び外輪3は、高炭素クロム軸受鋼で構成され、平均残留オーステナイト量が0.5体積%以上2体積%以下である。そして、内輪2及び外輪3の軌道面2a,2a,3aを含む表面には、浸炭処理又は浸炭窒化処理による表面層(硬化層)が形成されており(図示せず)、表面層の残留オーステナイト量は3体積%以上15体積%以下とされている。
軌道面2a,2a,3aの残留オーステナイト量が多いので、この自動調心ころ軸受1は表面起点型の剥離が生じにくく長寿命である。また、残留オーステナイトの分解による膨張の大きさとマルテンサイトの収縮の大きさとのバランスが良好であるため、寸法安定性が優れている。
なお、残留オーステナイト量を上記のような値にするためには、浸炭処理又は浸炭窒化処理を施して、表面層の残留オーステナイト量を芯部の残留オーステナイト量よりも高くし、その後にオーステンパー処理又は230〜250℃の高温での焼戻しを施して、表面層の残留オーステナイト量を確保しつつ、芯部の残留オーステナイトをほとんど分解させるとよい。
さらに、内輪2及び外輪3は高炭素クロム軸受鋼で構成されているが、高炭素クロム軸受鋼は清浄度等の品質が極めて安定しているので、内部起点型フレーキングが生じにくく、十分な転がり疲労寿命が得られやすい。なお、鋼の清浄度については、JIS G4805に規定される清浄度規制を満足するようなもの(ベアリングクオリティー)が好ましい。高炭素クロム軸受鋼の例としては、日本工業規格JIS G4805に規定のものがあげられる。
以下に第一実施形態の実施例を示して、本発明をさらに具体的に説明する。上記の自動調心ころ軸受1とほぼ同様の構成の自動調心ころ軸受(呼び番号22211)を用意して、その寿命と寸法安定性の評価を行った。
まず、試験に用いた自動調心ころ軸受(以降は試験軸受と記す)について説明する。試験軸受の内輪及び外輪は、高炭素クロム軸受鋼(SUJ2)で構成されており、下記の熱処理条件A〜Cのうちいずれか一つの熱処理が施されている。また、転動体には一般的な鋼製のころが使用されている。
(熱処理条件A)RXガス雰囲気中に840〜860℃で1時間保持した後に、油冷して焼入れを施した。そして、160〜180℃で1.5時間保持した後に空冷して、焼戻しを施した。
(熱処理条件B)焼戻しの温度が230〜250℃である点以外は、熱処理条件Aと同様である。
(熱処理条件C)840〜860℃で1〜3時間保持(雰囲気はRXガスとエンリッチガスとアンモニアである)した後に油冷して、焼入れを施した。そして、230〜250℃で1.5時間保持した後に空冷して、焼戻しを施した。
この試験軸受を用いて下記のような条件で回転試験を行い、剥離が発生するまでの時間を寿命とした。なお、1種の試験軸受につき12個ずつ試験を行ってワイブルプロットを作成し、ワイブル分布曲線から各々のL10寿命を求めた。回転試験の条件は以下の通りである。
回転速度:1500min-1
荷重 :45217N
潤滑条件:RO68
表1に、内輪及び外輪に施した熱処理の条件、表面層の残留オーステナイト量(表面層のγR )、平均残留オーステナイト量(平均γR )、及びL10寿命を示し、図2に、表面層の残留オーステナイト量とL10寿命との関係を説明するグラフを示す。なお、残留オーステナイト量は、X線回折法により測定した。また、表1及び図2におけるL10寿命の数値は、比較例3の試験軸受の寿命を1とした場合の相対値で示してある。
Figure 2006153093
また、試験軸受の外輪を170℃で1000時間保持し、加熱前後の外径寸法の変化率を測定することにより、寸法安定性を評価した。その結果を表1及び図3のグラフに示す。なお、表1及び図3に示した外径寸法の変化率の数値が、正の値の場合は膨張、負の値の場合は収縮を意味する。
図2のグラフから分かるように、表面層の残留オーステナイト量が多いほどL10寿命が長い傾向があり、3体積%以上の場合に特に長寿命であった。ただし、比較例4のように表面層の残留オーステナイト量が15体積%を超えると、平均残留オーステナイト量が2体積%超過となってしまうため、寸法安定性が不十分となる。
また、図3のグラフから分かるように、表面層の残留オーステナイト量の影響も多少受けるものの、平均残留オーステナイト量が多いほど膨張量が大きく、寸法安定性が悪かった。平均残留オーステナイト量が2体積%以下であると、寸法安定性が良好であった。さらに、実施例1〜3と比較例3とを比べると分かるように、平均残留オーステナイト量が0〜2体積%の場合は、表面層の残留オーステナイト量が0体積%に近いよりも10体積%程度の方が、収縮方向の寸法変化が抑制され寸法安定性が優れている。
〔第二及び第三実施形態〕
第一実施形態の自動調心ころ軸受1に備えられた保持器を、後述するような構成の保持器とすることにより、自動調心ころ軸受の寿命を向上させることが可能である。以下に、そのような保持器を備えた第二及び第三実施形態の自動調心ころ軸受について説明する。なお、一般的な自動調心ころ軸受にこれらの保持器を適用しても、その寿命を向上させることが可能である。
第二実施形態の自動調心ころ軸受は、複列軌道を有する内輪と、複列一体の球面軌道を有する外輪と、前記内輪と前記外輪との間に転動自在に配された複列の球面ころと、前記内輪と前記外輪との間に前記球面ころを保持する保持器と、を備える自動調心ころ軸受において、前記球面ころの端面に接触する接触部を前記保持器に設けたことを特徴とする。この接触部としては、前記球面ころの端面に向かって突出する突起部が好ましい。
なお、前記端面の半径をr1 、前記端面と前記接触部との接触点と前記球面ころの回転中心との間の距離をrとした場合に、その比r/r1 は0.1超過1未満であることが好ましい。
また、第三実施形態の自動調心ころ軸受は、複列軌道を有する内輪と、複列一体の球面軌道を有する外輪と、前記内輪と前記外輪との間に転動自在に配された複列の球面ころと、前記内輪と前記外輪との間に前記球面ころを保持する保持器と、を備える自動調心ころ軸受において、軸受中心と前記球面ころの中心との間の距離をRm 、前記球面ころの転動面と前記保持器との接触点と軸受中心との間の距離をRg 、前記球面ころの最大半径をr2 とした場合に、Rm −Rg は0超過r2 未満であることを特徴とする。
前述したように、本発明者らは、自動調心ころ軸受に特有の破損の原因は、転動体のスキューではなく、内外輪と転動体との間に作用する接線力が関係しており、大きな接線力が作用した場合に内輪の軌道面に発生する微小な塑性流動を起点とした剥離によって破損が生じることを見出した。
接線力が作用すると、表面近傍に微小な塑性流動が生じ、ピーリングクラックの進展を促進するだけでなく、最大剪断応力位置が表面に露出し、剪断応力の値が大きくなる。すなわち、接線力は軸受の寿命に多大な悪影響を及ぼす。また、寿命に悪影響を及ぼす接線力の方向(転がり方向と同方向)と、影響の小さい接線力の方向(転がり方向と反対方向)とがあり、転がり方向と同方向に接線力が作用する場合(例えば周速が遅い側や従動側)には亀裂の発生や進展が生じやすくなる。したがって、自動調心ころ軸受の長寿命化のためには、主な破損部位である内輪の転がり方向に作用する接線力を抑制することが重要である。
自動調心ころ軸受において主に内輪が破損する理由としては、内輪は外輪と比較して面圧が高く滑りが大きいため、疲労に対して厳しい条件を備えていること等があげられる。内輪に働く接線力が大きくなる要因としては、面圧が大きいこと、内輪の軌道面や転動体の転動面が粗いこと、内輪と転動体との間の滑り(周速の差)が大きいことがあるが、本実施形態においては、内輪と転動体との間の滑りを抑制することにより長寿命を達成するものである。
図4のグラフに、自動調心ころ軸受の内輪における面圧及び滑り速度の軸方向の分布を示す。このグラフの右側縦軸に示す滑り速度が正の数値である場合は、内輪の周速が転動体の周速よりも速いことを意味し、負の数値である場合は、転動体の周速が内輪の周速よりも速いことを意味する。
前述したように、従動側(周速が遅い側)は駆動側(周速が遠い側)と比較して疲労破壊を起こしやすいため、滑り速度が正の数値である場合は転動体が破損しやすく、負の数値である場合は内輪が破損しやすい。しかしながら、面圧の分布を見ると、滑り速度が正の数値である場合は面圧が低く、滑り速度が負の数値である場合は面圧が高いため、滑り速度が負の数値である場合に破損しやすい。よって、図4のような面圧の分布及び滑り速度の分布を有する自動調心ころ軸受の場合には、内輪が破損しやすい。
これらのことから、自動調心ころ軸受の寿命を向上させるには、内輪の寿命を向上させることが有効であり、そのためには破損の原因となる滑り速度が負の数値である部分(図4において斜線を付した領域)を小さくすることが重要である。図4において斜線を付した領域は、転動体の周速が内輪の周速よりも速い領域であるので、転動体の周速を抑制することにより、図4に示した破線のような滑り速度分布となり、斜線を付した領域を小さくすることができる。つまり、転動体の周速を抑制することにより、内輪が従動側になる滑りを抑え、長寿命化を達成することができる。
そこで、転動体の周速を抑制する方法として、転動体の端面に保持器を接触させる方法(第二実施形態の自動調心ころ軸受が備える保持器に採用されている方法)と、転動体の転動面と接触する保持器位置を限定する方法(第三実施形態の自動調心ころ軸受が備える保持器に採用されている方法)とに着目した。
まず、前者の方法について、図5を参照しながら説明する。転動体の自転運動(周速)を抑制するため、保持器に突起部を設け、転動体の端面に接触させて転動体に摩擦力を作用させた。突起部は2個設けて、転動体の両端面に接触させ摩擦力を作用させる方法が最も効果的であるが(図5の(a)を参照)、軸受を組立てる際の都合から突起部は1個であることが好ましいので、突起部を1個設けて一方の端面に接触させ摩擦力を作用させる方法でもよい。
また、転動体の端面と保持器の突起部との接触点の位置については、転動体の回転中心に近いと、転動体の回転を抑制するモーメントが小さくなる。さらに、保持器の突起部が転動体の転動面に接触すると、転動体の転動面や内輪の軌道面が傷付き、転動面や軌道面の粗さが大きくなって転動体と内輪に作用する接線力が大きくなるため、逆に短寿命となってしまう。したがって、転動体の端面と保持器の突起部との接触点は、転動体の端面の半径をr1 、転動体の端面と保持器の突起部との接触点と転動体の回転中心との間の距離をrとした場合に、その比r/r1 が0.1超過1未満となるような位置にあることが好ましい(図5の(a)のうち円で囲まれた部分の拡大図である図5の(b)を参照)。
次に、後者の方法について、転動体と保持器との間に作用する力の関係を示す図6を参照しながら説明する。軸受に主にラジアル荷重が作用する場合は、負荷圏においては転動体が保持器を押しつつ公転し、非負荷圏においては保持器が転動体を押しつつ公転する。よって、疲労破壊が生じやすい負荷圏において転動体の周速を遅くするためには、転動体に押されている保持器を介して転動体が自転し難くなるような力を作用させればよい。
図7の(a)は、転動体の転動面と保持器とが転動体の回転中心よりも内輪側で接触している場合において、転動体に作用する力が転動体の自転に及ぼす影響を説明する図であり、図7の(b)は、転動体の転動面と保持器とが転動体の回転中心よりも外輪側で接触している場合において、転動体に作用する力が転動体の自転に及ぼす影響を説明する図である。
図7の(a)の場合には、転動体が自転する方向とは反対方向に保持器から力を受けるため、転動体の自転は抑制される。これに対して、図7の(b)の場合には、転動体が自転する方向と同じ方向に保持器から力を受けるため、転動体の自転は加速される。したがって、保持器と転動体の転動面とが転動体の回転中心よりも内輪側で接触している場合(図7の(a))の方が、転動体の自転速度は遅くなり、図4のグラフの斜線を付した領域(内輪が従動側になる領域)を小さくすることができる。すなわち、滑り速度の分布が図4のグラフの破線のようになるので、内輪と転動体に作用する接線力が小さくなり、内輪の表面に発生する微小な塑性流動を起点とした剥離を抑制することが可能である。
図7の(a)ような状態を実現して転動体の自転を抑制するためには、軸受中心と転動体の中心との間の距離をRm 、転動体の転動面と保持器との接触点と軸受中心との間の距離をRg 、転動体の最大半径をr2 とした場合(図8を参照)に、Rm −Rg を0超過r2 未満とすればよい。
以上説明したように、第二及び第三実施形態の自動調心ころ軸受は、転動体が保持器から受ける力によって転動体の自転が抑制され、転動体の自転速度が抑えられるようになっている。よって、内輪が従動側になる滑り(転動体が駆動側になる滑り)によって働く接線力が抑制されるので、自動調心ころ軸受は長寿命となる。
以下に第二及び第三実施形態の実施例を示して、本発明をさらに具体的に説明する。第一実施形態において前述した実施例3の自動調心ころ軸受において、保持器の種類を種々変更したものを用意して、その寿命の評価を行った。
まず、保持器について説明する。実施例11の試験軸受の保持器は、転動体の端面に接触する突起部を有しており、r/r1 は0.7である。また、転動体の転動面と保持器とが転動体の回転中心よりも内輪側で接触しており、Rm −Rg は0超過r2 未満である(図9の(a)を参照)。実施例12の試験軸受の保持器は、転動体の端面に接触する突起部を有しており、r/r1 は0.7である。また、転動体の転動面と保持器とが転動体の回転中心よりも外輪側で接触しており、Rm −Rg は−r2 超過0未満である(図9の(b)を参照)。
実施例13の試験軸受の保持器は、転動体の端面に接触する突起部を有しており、r/r1 は0.9である。また、転動体の転動面と保持器とが転動体の回転中心よりも外輪側で接触しており、Rm −Rg は−r2 超過0未満である(図9の(b)を参照)。実施例14の試験軸受の保持器は、転動体の端面に接触する突起部を有しており、r/r1 は0.2である。また、転動体の転動面と保持器とが転動体の回転中心よりも外輪側で接触しており、Rm −Rg は−r2 超過0未満である(図9の(b)を参照)。
実施例15の試験軸受の保持器は、転動体の端面に接触する突起部を有していない。また、転動体の転動面と保持器とが転動体の回転中心よりも内輪側で接触しており、Rm −Rg は0超過r2 未満である(図9の(a)を参照)。実施例16の試験軸受の保持器は、転動体の端面に接触する突起部を有していない。また、転動体の転動面と保持器とが転動体の回転中心よりも外輪側で接触しており、Rm −Rg は−r2 超過0未満である(図9の(b)を参照)。
これらの試験軸受を用いて下記のような条件で回転試験を行い、剥離が発生するまでの時間を寿命とした。なお、1種の試験軸受につき11個ずつ試験を行ってワイブルプロットを作成し、ワイブル分布曲線から各々のL10寿命を求めた。回転試験の条件は以下の通りである。
回転速度:1500min-1
荷重 :45217N
潤滑条件:RO68
表2及び図10のグラフにL10寿命を示す。なお、表2及び図10におけるL10寿命の数値は、表1の比較例3の寿命を1とした場合の相対値で示してある。
Figure 2006153093
実施例11の試験軸受は、実施例16の試験軸受の4倍以上のL10寿命を示し、実施例12及び15の試験軸受は、実施例16の試験軸受の2〜3倍のL10寿命を示した。また、実施例13及び14の試験軸受は、実施例16の試験軸受の1.5倍以上のL10寿命を示した。
実施例12の場合は、保持器から転動体の端面に作用する摩擦力に起因して発生するモーメントによって、転動体の周速が遅くなるため、内輪の剥離の原因となる内輪が従動側となる滑りが抑制されて、実施例16と比べて長寿命となった。
実施例15の場合は、保持器から転動体に作用する力が転動体の自転速度を低下させる方向の力であり、転動体の周速が遅くなるため、実施例16と比べて長寿命となった。また、実施例11の場合は、実施例12及び15の試験軸受よりも転動体の自転速度を低下させる力が大きいので、転動体の自転速度がさらに遅くなる。そのため、内輪が従動側となる滑りがより抑制されて、実施例12及び15と比べてより長寿命となった。
転動体の自転速度が遅くなると、内輪が従動側となる滑りが抑制されるため、内輪は疲労破壊し難くなるが、逆に転動体は従動側となる滑りが生じやすくなる(図4において正の数値の滑り速度が多い分布となる)ため破壊しやすくなる。しかし、前述したように転動体は内外輪と比較して強度の高い材料で構成されていることと、図4に示すように転動体が従動側となる領域は面圧が低いため、転動体は破壊し難く、軸受全体としては長寿命になったと考えられる。
なお、第一〜第三実施形態の自動調心ころ軸受を、以下のような構成とすれば、その性能をより向上させることができる。
自動調心ころ軸受の破損原因となる内輪及び転動体に作用する接線力を抑制する目的で、転動体の転動面の平均粗さRaを0.1μm未満、内輪の軌道面の平均粗さRaを0.15μm未満、外輪の軌道面の平均粗さRaを0.1μm以上0.5μm以下とすることが好ましい。そうすれば、内輪の軌道面に微小塑性流動が発生することが抑制されるため、安定した長寿命化が達成される。
また、外輪の軌道面の軸方向及び円周方向の平均粗さRaを、軌道面領域内で且つ例えば0.5mmの測定長さにて、0.1μm以上0.5μm以下に設定すると、ころと接触する外輪の軌道面の全領域において局所的な粗さのばらつきが少なくなり、ころに対する外輪の軌道面の摩擦係数が安定して増大するので、ピーリング等の表面損傷による早期剥離が抑制されて寿命の延長が図られる。
さらに、砥石の回転軸を外輪の中心軸と平行にして外輪の軌道面を研削加工した後に、砥石を外輪の軸方向に揺動させて外輪の軌道面を超仕上げ加工すると、外輪の軌道面に生じる研削痕が図11のような網目模様となる。これにより、粗さのばらつきが少ない外輪の軌道面となるので、自動調心ころ軸受の寿命の延長がより効果的に図られる。
さらに、図12に示すように、外輪の軌道面の粗さを示す粗さ曲線Cの基準長さをl(例えばlは0.5mm)、粗さ曲線Cの隣り合う山間の間隔をSi、山の数をiとしたとき、下記の数式で定義される粗さパラメータSを0<S≦20μmとすることによって、外輪の軌道面ところとの接触部における摩擦係数が増大し、ころの滑りが抑制される。このことにより、ピーリング等の表面損傷による早期剥離が抑制され、自動調心ころ軸受の長寿命化が図られる。
Figure 2006153093
本発明の自動調心ころ軸受は、一般産業機械,工作機械,振動篩,鉄鋼機械,二輪車用エンジン等において好適に使用可能である。
第一実施形態の自動調心ころ軸受の構造を示す部分縦断面図である。 表面層の残留オーステナイト量とL10寿命との関係を示すグラフである。 平均残留オーステナイト量と外径寸法の変化率との関係を示すグラフである。 自動調心ころ軸受の内輪における面圧及び滑り速度の軸方向の分布を示すグラフである。 第二実施形態の自動調心ころ軸受の構造を示す部分断面図である。 第三実施形態の自動調心ころ軸受の構造を示す断面図である。 第三実施形態の自動調心ころ軸受において、保持器から転動体に作用する力が転動体の自転に及ぼす影響を説明する図である。 第三実施形態の自動調心ころ軸受の構造を示す部分縦断面図である。 実施例の自動調心ころ軸受の構造を示す断面図である。 実施例の自動調心ころ軸受のL10寿命を示すグラフである。 外輪の軌道面に生じる研削痕を説明する図である。 外輪の軌道面の粗さパラメータSを説明する図である。
符号の説明
1 自動調心ころ軸受
2 内輪
2a 軌道面
3 外輪
3a 球面軌道面
4 球面ころ
5 保持器

Claims (1)

  1. 複列軌道を有する内輪と、複列一体の球面軌道を有する外輪と、前記内輪と前記外輪との間に転動自在に配された複列の球面ころと、を備える自動調心ころ軸受において、
    前記内輪及び前記外輪の少なくとも一方は、高炭素クロム軸受鋼で構成され、平均残留オーステナイト量が0.5体積%以上2体積%以下であるとともに、軌道面を含む表面には残留オーステナイト量が3体積%以上15体積%以下である表面層が形成されていることを特徴とする自動調心ころ軸受。
JP2004342796A 2004-11-26 2004-11-26 自動調心ころ軸受 Pending JP2006153093A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004342796A JP2006153093A (ja) 2004-11-26 2004-11-26 自動調心ころ軸受

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004342796A JP2006153093A (ja) 2004-11-26 2004-11-26 自動調心ころ軸受

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2006153093A true JP2006153093A (ja) 2006-06-15

Family

ID=36631645

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004342796A Pending JP2006153093A (ja) 2004-11-26 2004-11-26 自動調心ころ軸受

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2006153093A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP2952763B1 (en) Multipoint contact ball bearing
EP3372852A1 (en) Rotation support device for pinion shaft
JP4810866B2 (ja) 軸受軌道輪の熱処理用の金型及び軸受軌道輪の製造方法
JP5163183B2 (ja) 転がり軸受
US11319994B2 (en) Thrust roller bearing
JP5465933B2 (ja) 転がり軸受の製造方法
JP2006329265A (ja) 転がり軸受
JP2006071022A (ja) 転がり軸受
JP2007051714A (ja) 円錐ころ軸受、及びこれを用いた車両用ピニオン軸支持装置
JP2007155021A (ja) ころ軸受
JP2006328464A (ja) 転がり軸受及びその転動部品の製造方法
JP2006153093A (ja) 自動調心ころ軸受
KR100795742B1 (ko) 자동 조심 롤러 베어링
JP4375038B2 (ja) スラスト針状ころ軸受
JP4269809B2 (ja) 自動調心ころ軸受
JP2008150687A (ja) 車輪支持用転がり軸受装置
JP2006266464A (ja) 自動調心ころ軸受
JP2005308207A (ja) 自動調心ころ軸受
JP2006226373A (ja) 車輪支持用転がり軸受ユニット
JP2009068530A (ja) 自動調心ころ軸受
JP4492101B2 (ja) 自動調心ころ軸受
JP2001317551A (ja) 円すいころ軸受
JP2010156425A (ja) 自動調心ころ軸受
JP2024006033A (ja) 鉄道車両用車軸軸受
JP2003172360A (ja) ころ軸受

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20070926

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20090424

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090428

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20090901