JP4492101B2 - 自動調心ころ軸受 - Google Patents

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Description

本発明は自動調心ころ軸受に係り、特に、外輪の内周面に形成された外輪軌道面の粗さを内輪の外周面に形成された内輪軌道面の粗さより粗くした自動調心ころ軸受の改良に関する。
製紙機械、工作機械、鉄鋼機械、車両用エンジン等の各種の産業機械では、ロールや回転軸等を支持する軸受として、自動調心ころ軸受が使用されている。この自動調心ころ軸受は、取付け誤差や衝撃荷重などにより軌道輪が傾いても軌道輪に対するころの接触状態がほとんど変化しないため、異常荷重の発生を防止できると共にラジアル負荷能力を大きく確保できるという利点を有している。しかし、このような自動調心ころ軸受のころに負のスキューが生じると、アキシャル荷重を増幅させ、軸受寿命を低下させるという理由で、例えば下記文献1に記載のものでは、ころの負のスキューを抑制するために、外輪軌道面の粗さを内輪軌道面の粗さより粗くしている。
特公昭57−61933号公報
しかしながら、外輪軌道面の粗さを内輪軌道面の粗さより単に粗くしただけでは、ころを軸受の内側に傾かせる負のスキューが生じてアキシャル荷重を増大させたり、負のスキューが抑制されても軸受寿命を短くしたりする場合があり、スキューコントロールが軸受寿命の延長に決定的な効果があるとは言い難い。また、外輪軌道面の粗さを粗くし過ぎると、油膜厚さに比べて外輪軌道面の凹凸が大きくなるため、潤滑の状態が悪化し、逆に短寿命となり易い。
本発明は上記の点に着目してなされたもので、ピーリング等の表面損傷による早期剥離を抑制して寿命の延長を図ることのできる自動調心ころ軸受を提供することを課題とするものである。
上記課題を解決するために、請求項1の発明は、外輪の内周面に形成された外輪軌道面の粗さを内輪の外周面に形成された内輪軌道面の粗さより粗くした自動調心ころ軸受において、前記外輪軌道面の平均粗さRaを、前記外輪の幅をB、前記外輪の両端面からの距離をb1 ,b2 としたとき1 /(B/2)≦0.9、b2 (B/2)≦0.9の領域で測定した値が、軸方向及び円周方向にて0.1μm≦Ra≦0.5μmであり、前記外輪軌道面の粗さを示す粗さ曲線の隣り合う山間の間隔をSi(μm)、前記粗さ曲線の基準長さl内での前記間隔の個数をnとしたとき、下記の(1) 式で定義される粗さパラメータSが0<S≦20μmであることを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、請求項1記載の自動調心ころ軸受において、前記外輪軌道面の平均粗さRaの測定範囲を前記領域の0.1mm〜1.0mmの範囲内としたものである
Figure 0004492101
また、請求項の発明は、請求項1又は2に記載の自動調心ころ軸受の製造方法であって、前記外輪軌道面を、砥石の回転軸を外輪の中心軸と平行にして研削加工た後、砥石を外輪の軸方向に揺動させて超仕上げ加工することを特徴とするものである。
請求項1及び2に係る発明に係る自動調心ころ軸受によれば、ころと接触する外輪軌道面の全領域において局所的な粗さのばらつきが少なくなり、ころに対する外輪軌道面の摩擦係数が安定して増大するので、ころの自転滑りが抑制され、ピーリング等の表面損傷による早期剥離を抑えて寿命の延長を図ることができる。
また、外輪軌道面の粗さパラメータSを0<S≦20μmとしたことで、外輪軌道面ところとの接触部における摩擦係数が増大し、ころの滑りが抑制されるので、ピーリング等の表面損傷による早期剥離を抑制して自動調心ころ軸受の長寿命化を図ることができる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る自動調心ころ軸受の軸方向断面図である。同図において、本発明の一実施形態に係る自動調心ころ軸受10は内輪11を備えており、この内輪11の外周面には、円弧状の内輪軌道面12a,12bが内輪11の円周方向に沿って形成されている。また、自動調心ころ軸受10は外輪13を備えており、この外輪13の内周面には、円弧状の外輪軌道面14が外輪13の円周方向に沿って形成されている。
内輪軌道面12a,12b及び外輪軌道面14は互いに対向しており、内輪軌道面12aと外輪軌道面14及び内輪軌道面12bと外輪軌道面14との間には、複数個のころ15が設けられている。これらのころ15は保持器16に保持されており、その周面部は内輪軌道面12a,12b及び外輪軌道面14とほぼ同じ曲率半径で円弧状に形成されている。
外輪軌道面14は、その粗さが内輪軌道面12a,12bの粗さ(通常は0.05μm〜0.15μm)より粗くなっている。さらに、外輪軌道面14は図示しない砥石の回転軸を外輪13の中心軸と平行にして研削加工された後、粗さの大きい砥石を外輪13の軸方向に揺動させて超仕上げ加工されており、その軸方向及び円周方向の平均粗さRaは、外輪13の幅をB、外輪13の両端面からの距離をb1,b2としたとき、b1/(B/2)≦0.9、b2(B/2)≦0.9の領域で且つ0.1mm〜1.0mmの測定範囲内で0.1μm≦Ra≦0.5μmとなっている。
このように、外輪軌道面14の軸方向及び円周方向の平均粗さRaをb1/(B/2)≦0.9、b2(B/2)≦0.9の領域で且つ0.1mm〜1.0mmの測定範囲内で0.1μm≦Ra≦0.5μmに設定すると、ころ15と接触する外輪軌道面14の全領域において局所的な粗さのばらつきが少なくなり、ころ15に対する外輪軌道面14の摩擦係数が安定して増大するので、ピーリング等の表面損傷による早期剥離を抑制して寿命の延長を図ることができる。
また、上述した実施形態では砥石の回転軸を外輪13の中心軸と平行にして外輪軌道面14を研削加工した後、粗さの大きい砥石を外輪13の軸方向に揺動させて外輪軌道面14を超仕上げ加工したことで、外輪軌道面14に生じる研削痕が図2(c)のように網目模様となる。これにより、粗さのばらつきが少ない外輪軌道面となるので、自動調心ころ軸受の寿命をより効果的に延ばすことができる。
外輪軌道面の研削方法としては、通常、砥石の回転軸を外輪の中心軸と平行にして研削加工する方法(以下「ストレート研削」という)と、外輪の幅より大きな直径を有するカップ状砥石を用いて研削加工する方法(以下「カップ砥石研削」という)とがある。このうち、ストレート研削は、外輪軌道面に生じる研削痕が図2(a)のように外輪の円周方向に対して平行な直線状の模様となる。このため、外輪軌道面の粗さを外輪の軸方向に沿って測定すると、外輪の円周方向に沿って測定した場合と比較して測定値が大きくなるが、外輪軌道面をころが転動するときに発生する摩擦力は外輪の円周方向に作用するため、外輪の軸方向に沿って測定した場合の外輪軌道面の粗さは、外輪の円周方向に沿って測定した場合の粗さと比較して摩擦係数を増加させる効果が小さい。また、外輪の軸方向に沿って測定したときの平均粗さRaが大きい場合には摩擦係数を増加させる効果はあるが、平均粗さRaが大きすぎる場合には油膜厚さに対する外輪軌道面の凹凸が大きくなり、潤滑の状態が悪化して短寿命となり易い。
一方、カップ砥石研削は、カップ状砥石の回転軸を外輪の中心軸に対して垂直にして研削加工する方法であるため、外輪軌道面に生じる研削痕が図2(b)のように外輪の中央部を頂点とする曲線状の模様となる。このため、外輪軌道面の粗さを外輪の軸方向に沿って測定すると、外輪軌道面の端部では研削痕が軸方向や円周方向に対して傾きを持つため、外輪の円周方向に沿って測定した場合と同様に平均粗さRaが大きくなる。また、カップ砥石研削の場合は研削痕が外輪軌道面の端部付近で交差するため、摩擦係数を一層高めることができるが、外輪軌道面の中央部付近では研削痕が外輪の軸方向に対してほぼ平行となる。このため、外輪の円周方向に沿って測定したときの平均粗さRaは大きくなるが、外輪の軸方向に沿って測定したときの平均粗さRaはそれほど大きくならない。ストレート研削と比較してカップ砥石研削のほうが外輪円周方向の摩擦係数を大きくして自転滑りを抑制することができるが、外輪軌道面をカップ状砥石で研削した場合、外輪軌道面の中央部付近の摩擦係数が端部付近の摩擦係数と比較して小さくなる。このため、外輪軌道面の位置によって摩擦係数が変化し、ころの転がり運動が不安定になる。
これに対して、本実施形態のように、砥石の回転軸を外輪の中心軸と平行にして外輪軌道面を研削加工した後、粗さの大きい砥石を外輪の軸方向に揺動させて外輪軌道面を超仕上げ加工すると、外輪軌道面に生じる研削痕が図2(c)のように網目模様となり、粗さのばらつきが少ない外輪軌道面となるので、自動調心ころ軸受の寿命をより効果的に延ばすことができる。
上述した効果を確認するために、本発明者らは、回転数:1500min-1、試験荷重:45217N、潤滑条件:RO68の試験条件で自動調心ころ軸受の寿命試験を行った。また、本発明者らは、下記の測定条件1〜3にて外輪軌道面の平均粗さRaを寿命試験の前に測定した。なお、寿命試験は寿命比26.3で打ち切りとした。
測定条件1‥‥測定範囲:l=15mm、測定方向:外輪軸方向、測定箇所:外輪軌道面全体
測定条件2‥‥測定範囲:l=0.5mm、測定方向:外輪軸方向、測定箇所:b1/(B/2)=0.7
測定条件3‥‥測定範囲:l=0.5mm、測定方向:外輪円周方向、測定箇所:b1/(B/2)=0.4
上述した寿命試験の試験結果と平均粗さの測定結果を表1に示す。
Figure 0004492101
表1において、TB1〜TB7及びTB20〜TB23は外輪軌道面を図2(c)の方法で加工した試験軸受、TB8〜TB13は外輪軌道面を図2(a)のストレート研削で加工した試験軸受、TB14〜TB19は外輪軌道面を図2(b)のカップ砥石研削で加工した試験軸受をそれぞれ示している。なお、試験軸受としては、日本精工(株)製自動調心ころ軸受(型番22211、外径:100mm、内径:55mm、幅:25mm)を使用した。
外輪軌道面の平均粗さを測定条件1で測定すると、表1に示すように、試験軸受TB1〜TB19は平均粗さがほぼ同じ値を示しているが、試験軸受TB8〜TB19の寿命比(試験軸受TB11の寿命を1としたときの寿命比)は、試験軸受TB1〜TB7の寿命比と比較して小さい値を示している。また、外輪軌道面の平均粗さを測定条件2で測定すると、試験軸受TB1〜TB13は平均粗さがほぼ同じ値を示しているが、試験軸受TB8〜TB13の寿命比は、試験軸受TB1〜TB7の寿命比と比較して小さい値を示している。そして、外輪軌道面の平均粗さを測定条件3で測定すると、試験軸受TB1〜TB7、TB14〜TB19は平均粗さがほぼ同じ値を示しているが、試験軸受TB14〜TB19の寿命比は、試験軸受TB1〜TB7の寿命比と比較して小さい値を示している。このことから、試験軸受TB1〜TB19のうち試験軸受TB1〜TB7は、試験軸受TB8〜TB19と比較して寿命の長い自動調心ころ軸受であることがわかる。
試験軸受TB20と試験軸受TB22とを比較すると、試験軸受TB20はその平均粗さが試験軸受TB22とほぼ同じ値(0.1μm前後)を示しているが、試験軸受TB22の寿命比は、試験軸受TB20の寿命比と比較して小さい値を示している。このことから、外輪軌道面の平均粗さが0.1μmより小さくなると、自動調心ころ軸受の寿命が短くなることがわかる。
試験軸受TB21と試験軸受TB23とを比較すると、試験軸受TB21はその平均粗さが試験軸受TB23とほぼ同じ値(0.5μm前後)を示しているが、試験軸受TB23の寿命比は、試験軸受TB21の寿命比と比較して小さい値を示している。このことから、外輪軌道面の平均粗さが0.5μmを超えると、自動調心ころ軸受の寿命が短くなることがわかる。
図3は、試験軸受TB1〜TB23の平均粗さと寿命比との関係を示す図である。同図において、(a)は測定条件2で外輪軌道面の粗さを測定したときの平均粗さと寿命比との関係を示し、(b)は測定条件3で外輪軌道面の粗さを測定したときの平均粗さと寿命比との関係を示している。
図3から明らかなように、試験軸受TB1〜TB23のうち試験軸受TB1〜TB7、TB20及びTB21は、b1/(B/2)=0.7およびb1/(B/2)=0.4の領域で平均粗さRaが0.1μm〜0.5μmの範囲内にあるが、試験軸受TB8〜TB19、TB22及びTB23は、b1/(B/2)=0.7およびb1/(B/2)=0.4の領域で平均粗さRaが0.1μm〜0.5μmの範囲から外れていることがわかる。なお、今回の粗さ測定で測定領域をb1/(B/2)=0.7、b1/(B/2)=0.4とした理由は、自動調心ころ軸受がラジアル荷重を受ける場合に最大面圧が加わる位置の近傍がb1/(B/2)=0.4であり、内輪ところがアキシャル荷重やモーメント荷重を受けて傾斜した場合に最大面圧が加わると考えられる位置の近傍がb1/(B/2)=0.7であるからである。
試験軸受TB1の外輪軌道面の粗さをb1/(B/2)=0.1〜0.9、測定範囲l=0.5mmの条件で測定したときの測定結果を図4に示す。同図において、◆は外輪軸方向の粗さを示し、■は外輪円周方向の粗さを示している。
図4に示すように、0.1≦b1/(B/2)≦0.9の測定条件で外輪軌道面の粗さを測定すると、外輪軌道面の軸方向及び円周方向の平均粗さRaが0.1μm≦Ra≦0.5μmの範囲内にあることがわかる。
図5は、試験軸受TB1〜TB23の円周方向粗さと軸方向粗さとの関係を示す図である。同図に示されるように、試験軸受TB1〜TB23のうち試験軸受TB1〜TB7、TB20及びTB21はその平均粗さが軸方向と円周方向の両方向において0.1μm〜0.5μmの範囲内にあるが、試験軸受TB8〜TB19、TB22及びTB23はその平均粗さが軸方向と円周方向の両方向において0.1μm〜0.5μmの範囲から外れている。
以上のことから、外輪軌道面の軸方向及び円周方向の平均粗さRaをb1/(B/2)≦0.9、b1/(B/2)≦0.9の領域で且つ0.1mm〜1.0mmの測定範囲内で0.1μm〜0.5μmとすることで、ピーリング等の表面損傷による早期剥離を抑制して寿命の延長を図ることのできる自動調心ころ軸受を得ることができる。
また、本発明者らは自動調心ころ軸受の長寿命化に関して鋭意研究を進めてきた。その結果、ころの自転滑りを抑制する目的で外輪軌道面の粗さを粗くし、外輪軌道面ところとの接触部における摩擦係数を増加させると、ピーリングが抑制されて自動調心ころ軸受の長寿命化を図れるが、外輪軌道面の粗さ曲線の振幅(縦方向)パラメータである平均粗さRaの値を単に大きくして摩擦係数を増加させるだけでは十分でなく、粗さ曲線の間隔(横方向)パラメータである凹凸の間隔を小さくすることが重要であるという知見を得た。
具体的には、図6に示すように、外輪軌道面の粗さを示す粗さ曲線Cの基準長さをl、粗さ曲線Cの隣り合う山間の間隔をSiとしたとき、前述した式(1)で定義される粗さパラメータSを0<S≦20μmとすることによって、外輪軌道面ところとの接触部における摩擦係数が増大し、ころの滑りが抑制されることでピーリング等の表面損傷による早期剥離を抑制して自動調心ころ軸受の長寿命化を図るものである。
図7は、外輪軌道面の粗さパラメータSが大きい場合と小さい場合の外輪軌道面ところとの接触状態を模式的に示す図である。同図から明らかなように、外輪道面の粗さパラメータSが小さい場合は、粗さパラメータSが大きい場合と比較して、ころと接触する外輪軌道面の粗さの山数が多くなる。このため、外輪軌道面ところとの接触部における摩擦係数が大きくなり、ころの滑りが抑制される。
外輪軌道面の粗さパラメータSが大きい場合と小さい場合の外輪軌道面ところとの接触部における摩擦係数を実際に測定した結果を図8に示す。同図から明らかなように、平均粗さRaがほぼ同じであれば、外輪軌道面ところとの接触部における摩擦係数は、粗さパラメータSの小さいほうが大きくなる。なお、図8の摩擦係数比は粗さパラメータSが大きいほうの摩擦係数を1とした場合の相対値である。
図9は、外輪軌道面の平均粗さRaを大きくして外輪軌道面ところとの接触部における摩擦係数を大きくした場合と外輪軌道面の粗さパラメータSを小さくして外輪軌道面ところとの接触部における摩擦係数を大きくした場合の潤滑状態を模式的に示す図である。同図に示されるように、外輪軌道面の平均粗さRaを大きくして外輪軌道面ところとの接触部における摩擦係数を大きくした場合は、潤滑状態が悪化し、自動調心ころ軸受の寿命が短くなる。これに対して、外輪軌道面の粗さパラメータSを小さくして外輪軌道面ところとの接触部における摩擦係数を大きくした場合は、外輪軌道面ところとの接触部における摩擦係数が大きくなっても油膜厚さに対する粗さの凹凸(油膜パラメータ)が変化しないので、潤滑状態が悪化して自動調心ころ軸受の寿命が短くなることはない。
上述した効果を確認するために、本発明者らは、日本精工(株)製自動調心ころ軸受(型番22211、外径:100mm、内径:55mm、幅:25mm)を試験軸受として使用し、回転数:1500min-1、試験荷重:45217N、潤滑油:VG68の試験条件で自動調心ころ軸受の寿命試験を行ない、また寿命試験の前に外輪軌道面の平均粗さRaと粗さパラメータSを測定した。
上述した寿命試験の試験結果と平均粗さRa及び粗さパラメータSの測定結果を表2に示す。
Figure 0004492101
表2において、試験軸受TB31〜37及び45,46は外輪の軌道面が図10(b)に示す粗さ模様の試験軸受(砥石の回転軸を外輪の中心軸と平行にして外輪軌道面を研削した後、粗さの大きい砥石を外輪の軸方向に揺動させて外輪軌道面を超仕上げ加工した自動調心ころ軸受)を示し、試験軸受TB38〜44は外輪の軌道面が図10(a)に示す粗さ模様の試験軸受(砥石の回転軸を外輪の中心軸と平行にして外輪軌道面を研削した後、粗さの大きい砥石を外輪の軸方向に揺動させて外輪軌道面を超仕上げ加工した自動調心ころ軸受)を示している。また、表2の平均粗さRaと粗さパラメータSは、図11に示す位置で測定した値を示している。なお、図11において、測定位置A及びCはアキシャル荷重やモーメント荷重を受けて内輪ところが傾斜した場合に最大面圧が加わると考えられる位置、測定位置Bは軸受が純ラジアル荷重を受ける場合に最大面圧となる位置を示している。また、表2の寿命比は最も寿命の低かった比較例5の値を1とし、相対値で表している。寿命試験は寿命比15.0で打ち切りとした。
表2における粗さパラメータSと寿命比との関係を図12に示す。同図に示されるように、実施例1〜9及び比較例1〜7は外輪転動面の平均粗さRaが0.25〜0.40μmの範囲内に入っているが、実施例1〜9と比較して、比較例1〜7は短寿命になっている。これは、実施例1〜9では外輪転動面の粗さパラメータSが20μmであるのに対して、比較例1では粗さパラメータSが20μm以上であることが原因である。
以上のことから明らかなように、式(1)で定義される粗さパラメータSを0<S≦20μmとしたことで、外輪軌道面ところとの接触部における摩擦係数が増大し、ころの滑りが抑制されるので、ピーリング等の表面損傷による早期剥離を抑制して自動調心ころ軸受の長寿命化を図ることができる。外輪の粗さについてはRa=0.1〜0.5μmの範囲でSの値が20μm以下であれば良好な結果が得られるが、外輪軌道面ところとの接触部における摩擦係数を安定して高く得るためには、円周方向と軸方向のRaをRa=0.25〜0.4μmとすることが望ましい。また、Sの下限値であるが、砥石の最小粒径等から判断して、S=0.01μm程度であると考えられる。
本発明の一実施形態に係る自動調心ころ軸受の軸方向断面図である。 本発明に係る自動調心ころ軸受の作用を説明するための図である。 表1に示した試験軸受の平均粗さと寿命比との関係を示す図である。 試験軸受の外輪軌道面の粗さをb1/(B/2)=0.1〜0.9、測定範囲l=0.5mmの条件で測定したときの測定結果を示す図である。 試験軸受の円周方向粗さと軸方向粗さとの関係を示す図である。 外輪軌道面の粗さパラメータSを説明するための図である。 外輪軌道面の粗さパラメータSが大きい場合と小さい場合の外輪軌道面ところとの接触状態を模式的に示す図である。 外輪軌道面ところとの接触部における摩擦係数の測定値を示す図である。 外輪軌道面ところとの接触部における摩擦係数を大きくした場合の潤滑状態を模式的に示す図である。 外輪軌道面の粗さ模様を模式的に示す図である。 外輪軌道面の平均粗さと粗さパラメータの測定位置を模式的に示す図である。 表2の粗さパラメータと寿命比との関係を示す図である。
符号の説明
10 自動調心ころ軸受
11 内輪
12a,12b 内輪軌道面
13 外輪
14 外輪軌道面
15 ころ
16 保持器

Claims (3)

  1. 外輪の内周面に形成された外輪軌道面の粗さを内輪の外周面に形成された内輪軌道面の粗さより粗くした自動調心ころ軸受において、
    前記外輪軌道面の平均粗さRaを、前記外輪の幅をB、前記外輪の両端面からの距離をb1 ,b2 としたとき1 /(B/2)≦0.9、b2 (B/2)≦0.9の領域で測定した値が、軸方向及び円周方向にて0.1μm≦Ra≦0.5μmであり、
    前記外輪軌道面の粗さを示す粗さ曲線の隣り合う山間の間隔をSi(μm)、前記粗さ曲線の基準長さl内での前記間隔の個数をnとしたとき、下記の(1) 式で定義される粗さパラメータSが0<S≦20μmであることを特徴とする自動調心ころ軸受。
    Figure 0004492101
  2. 前記外輪軌道面の平均粗さRaの測定範囲は前記領域の0.1mm〜1.0mmの範囲内である請求項1記載の自動調心ころ軸受。
  3. 請求項1又は2に記載の自動調心ころ軸受の製造方法であって、前記外輪軌道面を砥石の回転軸を外輪の中心軸と平行にして研削加工した後、砥石を外輪の軸方向に揺動させて超仕上げ加工することを特徴とする自動調心ころ軸受の製造方法
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JPH01220720A (ja) * 1988-02-29 1989-09-04 Nippon Seiko Kk 転がり軸受及びその製造方法
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JP2002339989A (ja) * 2001-05-14 2002-11-27 Nsk Ltd 玉軸受

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