JP2010510455A - 特に風力用動伝軸のためのラジアルローラー軸受 - Google Patents

Abstract

この発明は、特に、風力タービンの動伝機構の軸を保持するためのラジアルローラー軸受(1)に関する。この軸受は、内側走行軌道(3)を有する軸受外輪(2)と、これに同心に配列された、外側走行軌道(5)を有する軸受内輪(4)と、外輪と内輪（２，４）の間の走行軌道(3,5)の間に配され、リテーナ(7)により周方向に等間隔に保持された複数のローラーから成る。スリップを防ぐために、周方向に均等に位置するローラー(6)の幾つかは中空体(8)により置き換えられている。この中空体(8)はローラー(6)よりもやや径が大きく弾性が小さく、軸受が無負荷のときに、軸受輪(2,4)とリテーナ(7)が常に接触することを確保し、その他のローラー(8)が回転されるようにされている。本発明では、中空体(8)は高い曲げに対する剛性を有し、内側表面(9)は、最大表面粗さがRz≦6.3μｍで局所的な高い張力を防ぎ、軸方向の分割をなくしている。

Description

本発明は、請求項１の包括概念形成する特徴を有するラジアルローラー軸受に関する。このラジアルローラー軸受は、少なくとも時々小さい荷重のもとで稼動する軸受、例えば風力用動力伝達装置の軸受などに特に有利に実現できる。

ローラー軸受の当業者には、軸受が、十分な荷重のもとで、ローラーが内輪と外輪の間で、すべることなく転がり、最適の運動性能を発揮することは広く知られている。さらに、少なくとも一時的に低荷重がかけられるラジアルローラー軸受において、ローラーとリテーナから成るローラー組立体は、軸受の摩擦やローラー組立体の高い重量と一時的に小さいローラーと走行軌道との接触力により、運動学的回転数で回転しないことが知られている。それにより、ローラー組立体の回転数は、運動学的な回転数に対して抑えられ、ローラー組立体は運動学的に最適の状態にはなく、ローラー組立体と少なくとも一つの走行軌道との間において、スリップが起こる。その場合、ローラーと走行軌道との間に潤滑膜が形成されるが、回転数の急な変化叉は負荷の変化により、潤滑膜が破壊され、スリップが起きる接触個所において、極めて短時間に十分な潤滑膜が存在しなくなる。この結果、走行軌道がローラーと金属接触になり、ローラーが軌道上を滑りローラーが運動学的な回転数まで加速される。走行軌道とローラーの間の大きな速度差と潤滑膜の欠落は、走行軌道表面とローラー表面に高い接線方向応力を起こすことになり、これが、軌道面の表面荒れや亀裂のような、強い疲労や、大抵の場合微小な穴に結びついていて、ラジアルローラー軸受の早期の破壊に至る。

内側の走行軌道を有する軸受外輪と、これに同心に配列された外側走行軌道を有する軸受内輪とこれらの軸受輪の間で、これらの走行軌道面上を転がり、リテーナにより周方向に等間隔に保持された多数のローラーとから成るタイプのラジアルローラー軸受がFR２４７９３６９号により提案されている。この提案の軸受では、上述のスリップ効果とそれに起因する欠点を避けるために、ローラーと軸受輪の間に周囲に均一に配列された多数のローラーが、中空ローラーにより補充されている。軸方向には他のローラーよりいくらか短かく形成された中空ローラーは、他のローラーよりは少し小さい直径と小さい弾性係数を有しており、ラジアルローラー軸受の無負荷状態において、中空ローラーが常に軸受輪と接触しており、リテーナの安定した駆動と他のローラーが運動学的な回転数を確保できるようにしている。

実用上、この軸受は、交代曲げ応力に常に曝されているこのようなラジアルローラー軸受の中空ローラーの永久変形により、耐荷重と耐用年数に関して、ローラーの潜在的な弱さが現れることが分かった。この弱さは、軸受の耐荷重性と使用年数の減少をもたらす。中空ローラーの内側表面に局所的な応力が現れ、ローラー軸受の長い使用年数を経ると亀裂が発生し、ついには中空ローラーの破壊に至ることが分かった。これは特に中空ローラーの表面欠陥と共に、中空ローラーの内側表面が顕微鏡的な微小な軸方向または最大引張応力の直交する方向の筋があることに起因している。この筋に高い応力集中が起きた。このような応力集中を避ける手近な手段は中空ローラーと他のローラーの寸法を大きくすることであるが、これは必然的に軸受全体に寸法を大きくし製造コストを高くする結果となる。
[先行技術文献]
[特許文献]
FR２４７９３６９号

公知の先行技術の上記欠点に基づき、負荷能力、大きさ、耐用年数といった本来の性能を維持しながら、ローラーと軸受輪間のスリップを避けるために、その内側表面に局所的な応力集中の無い、高い繰返し曲げ剛性を有する中空ローラーを備えた、特に風力動力伝達装置の軸を受けるラジアルローラー軸受を提案することをこの発明は、課題としている。

発明にしたがって、この課題は、請求項１の前提部に記載されたラジアルローラー軸受において、中空ローラーの内側表面を、局所的応力集中を避けるような最適表面であるRz≦２５μｍの表面粗さで、軸方向に筋が無い表面で形成することで解決された。

この発明は、亀裂および終には中空ローラーの破壊に至らしめる中空ローラー内の局所的な応力集中を避け、それにより中空ローラーの耐用年数および負荷能力およびこの種のラジアルローラー軸受の耐用年数を決定的に高めることが、中空ローラーの内側表面状態の目標とする改善によりすでに可能であるという認識に基づいている。

この発明に従って形成されたラジアルローラー軸受の好ましい形態と詳細な形態は従属請求項に記載される。

請求項２に従い、中空ローラーが他のローラーと同一の軸方向長さを有し、その内側表面がRz≦６．３μｍの表面粗さで形成される場合、本発明に従うラジアルローラー軸受は特に好ましい形態となる。中空ローラーを他のローラーと同じ軸方向長さに形成することは、中空ローラーの採用により失われるラジアルローラー軸受の負荷荷重をできる限り少なくし、一方、Rz≦６．３μｍの表面粗さの値は中空ローラーの内側表面の高い表面品質を達成するための出費及びコストの点で最適である。

発明に従って形成されたラジアルローラー軸受の中空ローラーの内側表面のそのような表面品質を得る第１の可能性は、請求項３に従って、中空ローラーの内側表面を表面硬化旋削により加工されることにある。固い叉は硬化された物質による旋削が一般に表面硬化旋削と言われており、その最大の利用分野は、内部まで硬化された叉は表面層が硬化された鋼などの、硬化鋼による旋削である。表面硬化旋削においては、切削工程において切削領域において生じた熱が、その物質を局所的に可塑化し、それにより可鍛性の物質除去が得られる。表面硬化旋削は研削の代わりに行うことができ、装着時間が短い、ドライ加工が可能、柔軟性が高いなどの工程に特有の利点を与える。

請求項４に従って、本発明に従って形成された中空ローラーの内側表面を、硬化された平滑ローラーにより加工すると、中空ローラーの内側表面の高い表面品質が得られる。この加工工程は切子無しの形成工程であり、ローラーやボールと言った硬化されたローラー体による押圧力の下で、切子切削により加工された表面の表面粗さのプロフィールは平滑にされるということに基づいている。このことは、プロフィールの山が可塑的な変形により、ローラーとワークとの間に現れる表面の押圧により三次元の応力がワーク内に形成されこれが、ワーク物質の流れ応力を生じ局所的な塑性変形叉は表面粗さの強い平滑作用を及ぼしRz＝１μｍという値が得られる。この工程のさらにプラスの面は、表面の強度が同時に高められ、それに結びついた縁領域の高い応力が得られることである。このことは、中空ローラーのさらに高い繰り返し曲げ抗力に至る。

本発明に従って形成されたラジアルローラー軸受の中空ローラーの内側表面の高い表面品質を得るためのさらなる可能性として、請求項５に提案されている。それによると、中空ローラーの内側表面は、研削と研摩により加工される。この切子を生じる表面加工方法は、古くからその高い表面品質が知られているのでここで、詳しく述べる必要は無いであろう。ここでは、請求項６に従って、中空ローラーの内側表面を、表面硬化旋削叉は硬化された平滑ローラー加工と研削叉は研摩または、硬化前に仕上げ旋削するなどのその他の適切な工程との組合せ加工により行うことも勿論可能であることを述べるに留める。

発明に従って形成されたラジアルローラー軸受は、公知の先行技術に対して、負荷能力、大きさ、耐用年数といった本来の性能を維持しながら、ローラーと軸受輪とのスリップを避けるため、中空ローラーを有しているという利点がある。この中空ローラーが、その内側表面を狙い通りの表面状態とすることで、局所的な応力集中のない高い繰り返し曲げ剛性及び耐用年数を有する。この利点は、ローラー体がリテーナにより導かれるのでなく、回転する軸受自体により導かれることにより生じるのである。

以下に、この発明に従って形成されたラジアルローラー軸受の好ましい実施例を、添付の図面を参照して、詳細に説明する。

図１は、この発明に従って形成されたラジアルローラー軸受の側面を示している。

図２は、この発明に従って形成された図１のラジアルローラー軸受のＡ−Ａ断面を示している。

図１及び図２の図示から、公知のように、内軌道３を有する外輪２と、この外輪に同心に配列された、外軌道５を有する内輪４と、これら内輪、外輪２，４の間に配列され、軌道３，５を転がる多数のローラー６から成る風力用動伝軸を支持するのに適した、ラジアルローラー軸受が明らかに見られる。ローラー６は、リテーナ７により周方向に等間隔をおいて保持されている。同様に図から明らかなように、ラジアルローラー軸受１は、ローラー６と内外輪２，４とのスリップを避けるために、周方向に等間隔に配置された三つのローラー６が中空ローラー８により置換せられている。この中空ローラーは、他のローラーより僅かに大きい直径と僅かに小さい弾性係数を有していて、軸受が無荷重の状態では内外輪２，４と常に接触し、これにより、リテーナ７が常に回転し、他のローラーの回転を維持している。

ラジアルローラー軸受１の長期に及ぶ使用により、中空ローラー８の破壊に至ることがないように、中空ローラー８の内側表面９は、発明に従う方法により、繰り返し曲げ荷重に対して高い耐性を持って形成されている。このことは、中空ローラー８はその他のローラー６と同じ軸方向の長さを有しているがその内側表面９は、表面粗さRz≦6.3μｍで軸方向の溝がないように形成されていることで達成される。このような高い表面品質は、硬化旋削装置を用いて中空ローラー８の内側表面９を加工することにより、低コストで簡単に製造することができる。この装置では、切り子加工中に切削領域において発生した熱が、材料の局所的に可塑化を起こしそれにより可鍛性層を達成するのに利用される。

１：ラジアルローラー軸受
２：軸受外輪
３：内軌道
４：軸受内輪
５：外軌道
６：ローラー
７：リテーナ
８：中空ローラー
９：内側表面
Rz：表面粗さ

Claims (6)

1. 内軌道(３)を有する外輪（２）と、この外輪に同心に配列された、外軌道(５)を有する内輪(４)と、これら軸受輪(２，４)の間に配列され、軌道(３，５)を転がる多数のローラー体(６)から成る特に風力用動伝軸を支持するのに適したラジアルローラー軸受であって、該多数のローラー体が周方向に互いに等間隔にリテーナ(7)により保持され、該ローラー体(6)と該軸受輪（２，４）との間のスリップを避けるために、周囲に均等に配置された複数のローラー体（６）が、中空ローラー（８）により置き換えられており、ラジアルローラー軸受（１）の無負荷状態で、該軸受輪（２，４）と常に接触しそれによりリテーナ（７）とその他のローラー体（６）が運動学的な回転数を保証するように、この中空ローラーは、その他のローラーより僅かに大きい直径と小さい弾性係数を有しているラジアルローラー軸受において、中空ローラー（８）が、その内側表面（９）に局所的応力集中をさけるため、軸方向に走る筋がない表面粗さRz≦25μｍを有することで、高い繰り返し曲げ剛性を有していることを特徴とする、ラジアルローラー軸受。
2. 該中空ローラー（８）はその他のローラー（６）と同じ軸方向長さを有し、その内側表面（９）が特にRz≦６．３μｍなる表面粗さにより形成されていることを特徴とする、請求項１に記載のラジアルローラー軸受。
3. 該中空ローラー（８）の内側表面（９）は好ましくは硬化旋削により加工されていることを特徴とする、請求項２に記載のラジアルローラー軸受。
4. 該中空ローラー（８）の内側表面（９）が好ましくは、硬化平滑ローラーにより加工されていることを特徴とする、請求項２に記載のラジアルローラー軸受。
5. 該中空ローラー（８）の内側表面（９）が好ましくは研削と研摩により加工されていることを特徴とする、請求項２に記載のラジアルローラー軸受。
6. 該中空ローラー（８）の内側表面（９）が、硬化旋削叉は硬化平滑ローラー加工と研削および研摩加工の組合せにより加工されていることを特徴とする、請求項３−５に記載のラジアルローラー軸受。

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