JP2005307163A - エマルション樹脂および水性塗料組成物 - Google Patents

エマルション樹脂および水性塗料組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】 水性塗料における刷毛の塗装作業性と耐水性とを両立させる。
【解決手段】 本発明のエマルション樹脂は、酸価が40以上の親水性モノマー混合物を重合して得られる数平均分子量5000〜20000を有する親水性重合体の存在下で、酸価が20以下の疎水性モノマー混合物を乳化重合して得られるエマルション樹脂であって、上記親水性モノマー混合物は、1〜15質量%の反応性乳化剤を含んでおり、上記親水性重合体は、塩基を加えて中和することにより水溶化する性質を有するものであり、上記疎水性モノマー混合物は、実質的に反応性乳化剤を含まないものであって、上記疎水性モノマー混合物単独では乳化重合ができないことを特徴としている。

Description

本発明はエマルション樹脂および水性塗料組成物に関する。
近年、環境保護の観点から、揮発性有機化合物(VOC)をできるだけ少なくした水性塗料への置換が進められている。一方、建築現場における塗装においては、刷毛を用いて行われることが多いため、刷毛を使った場合に刷毛目が立たないような塗装作業性を有する水性塗料が求められている。
刷毛さばき性に優れた水性塗料組成物として、顔料分散樹脂として非水性水溶性樹脂を用いたものが開示されている(例えば特許文献1参照)。しかし、この塗料はオイルペイントの水性化を目的としたものであるため、有機溶剤などのVOC成分を含むことを前提にしたものであり、低VOC水性塗料ではない。
一方、水溶性樹脂を塗料に添加することで、その刷毛による塗装作業性が向上することが認められた。しかし、水溶性樹脂の添加は塗膜の耐水性の低下を引き起こすおそれがあるため、これらを両立させることは困難であった。
特開2001−226638号公報
本発明は、低VOC水性塗料における刷毛の塗装作業性と耐水性とを両立させることを目的とする。
本発明のエマルション樹脂は、酸価が40以上の親水性モノマー混合物を重合して得られる数平均分子量5000〜20000を有する親水性重合体の存在下で、酸価が20以下の疎水性モノマー混合物を乳化重合して得られるエマルション樹脂であって、上記親水性モノマー混合物は、1〜15質量%の反応性乳化剤を含んでおり、上記親水性重合体が、塩基を加えて中和することにより水溶化する性質を有するものであり、上記疎水性モノマー混合物単独では乳化重合ができないことを特徴とするものである。ここで、上記疎水性モノマー混合物は、反応性乳化剤を実質的に含まないものであって、上記親水性モノマー混合物と上記疎水性モノマー混合物との質量比は1/9〜5/5であってよく、上記親水性モノマー混合物および/または上記疎水性モノマー混合物は硬化性基を有するα,β−エチレン性不飽和モノマーを含んでいてもよい。
本発明の水性塗料組成物は、先のエマルション樹脂からなるものである。
また、本発明の別の水性塗料組成物は、先に記載のエマルション樹脂と別のエマルション樹脂とを含むものであって、全樹脂固形分と先のエマルション樹脂の製造の際に用いた上記親水性モノマー混合物との質量比が10〜30%であってよい。
本発明の塗装方法は、先の水性塗料組成物を基材に塗布するものである。
本発明の塗膜は、先の塗装方法で得られたものである。
本発明の水性塗料組成物は、刷毛の塗装作業性と耐水性とを両立させることができる。これは、塗装作業性の向上をもたらす水溶性樹脂を単にエマルション樹脂に加えるのではなく、塩基で中和すれば水溶性樹脂となり得る成分を、中和せずに分散剤として使用して、エマルション重合を行うためである。このような製造により、水溶性樹脂の利点である粘性制御による塗装作業性を活かしたまま、エマルション樹脂内に水溶性樹脂を取り込むことにより、欠点である耐水性の問題を防止することができているものと考えられる。なお、これらの機能は硬化性基を持たせることによって、より顕著となる。
本発明のエマルション樹脂は、親水性モノマー混合物を重合して得られる親水性重合体の存在下で、疎水性モノマー混合物を乳化重合して得られる。
上記親水性モノマー混合物はその酸価が40以上である。酸価が40未満だと、刷毛の塗装作業性が十分でないおそれがある。好ましい酸価の上限値は100である。
上記親水性モノマー混合物は、上記酸価を有するため、酸基を有するα,β−エチレン性不飽和モノマーを含んでいる。上記酸基を有するα,β−エチレン性不飽和モノマーの例としては、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸二量体、クロトン酸、2−アクリロイルオキシエチルフタル酸、2−アクリロイルオキシエチルコハク酸、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート、イソクロトン酸、α−ハイドロ−ω−((1−オキソ−2−プロペニル)オキシ)ポリ(オキシ(1−オキソ−1,6−ヘキサンジイル))、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、3−ビニルサリチル酸、3−ビニルアセチルサリチル酸、2−アクリロイルオキシエチルアシッドフォスフェート、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸などを挙げることができる。
また、上記親水性モノマー混合物は1〜15質量%の反応性乳化剤を含んでいる。上記反応性乳化剤はα,β−エチレン性不飽和結合を有する界面活性剤であり、アニオン型、カチオン型、ノニオン型という3種のタイプに分類される。上記反応性乳化剤の量が1質量%未満だとエマルション樹脂の製造時に凝集物を生じるおそれがあり、15質量%を超えるとエマルション樹脂から得られる塗膜の耐水性が低下するおそれがある。なお、上記親水性モノマー混合物における反応性乳化剤の量の上限値は、イオン性基を有するアニオン型またはカチオン型の場合、5質量%以下であることが好ましい。
上記反応性乳化剤として市販されているものの中でアニオン型の例として、エレミノールJSシリーズ(三洋化成工業社製)、ラテムルS、ASKシリーズ(花王社製)、アクアロンHSシリーズ(第一工業製薬社製)、アデカリアソープSE、SRシリーズ(旭電化社製)、アントックスMS−60(日本乳化剤社製)などが挙げられる。また、カチオン型の例として、ラテムルKシリーズ(花王社製)が、さらに、ノニオン型の例として、アクアロンRNシリーズ(第一工業製薬社製)、アデカリアソープNE、ERシリーズ(旭電化社製)などが挙げられる。
また、上記親水性モノマー混合物は硬化性基を有するα,β−エチレン性不飽和モノマーを含むことができる。上記硬化性基として、水酸基、カルボニル基、(メタ)アクリル基以外の二重結合などが挙げられる。上記硬化性基を有するα,β−エチレン性不飽和モノマーが含まれる場合、その量は上記親水性モノマー混合物中20質量%以下であることが好ましい。20質量%を超えても、それに見合う効果が得られない。
なお、上記酸基の1つであるカルボキシル基はカルボジイミド化合物と組み合わせることで硬化する性質を有しているが、ここでいう硬化性基には含めないものとする。
上記水酸基を有するモノマーとして、メタクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸ヒドロキシブチル、アクリル酸ヒドロキシブチル、アリルアルコール、メタクリルアルコール、メタクリル酸ヒドロキシエチルまたはアクリル酸ヒドロキシエチルとε−カプロラクトンとの付加物などを挙げることができる。
また、上記カルボニル基とはカルボニル基の両端に炭素原子が結合した構造を有するもの、およびアルデヒド基に含まれるものを意味するが、これを含むモノマーとして、ダイアセトンアクリルアミド、ダイアセトンメタクリルアミド、メタクリル酸アセトアセトキシエチル、アクリル酸アセトアセトキシエチル、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルブチルケトン、アクロレイン,ホルミルスチロールなどを挙げることができる。
一方、上記(メタ)アクリル基以外の二重結合は高級不飽和脂肪酸由来のものであることが好ましい。このような二重結合を有するα,β−エチレン性不飽和モノマーは、高級不飽和脂肪酸とグリシジル基含有α,β−エチレン性不飽和モノマーとの反応で得られるものである。上記高級不飽和脂肪酸としては、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレイン酸、リシノール酸などを例示することができる。また、亜麻仁油脂肪酸、サフラワー油脂肪酸、大豆油脂肪酸、米糠油脂肪酸、胡麻油脂肪酸、ひまし油脂肪酸、脱水ひまし油脂肪酸、エノ油脂肪酸、麻実油脂肪酸、綿実油脂肪酸、トール油脂肪酸などのような非共役二重結合をもつ乾性油、半乾性油脂肪酸などを用いることができる。上記高級不飽和脂肪酸の炭化水素部分の平均炭素数は13〜23であるのが好ましい。なお、桐油脂肪酸などの共役二重結合をもつ脂肪酸を一部併用することもできる。
また、上記グリシジル基含有α,β−エチレン性不飽和モノマーとしては、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、アクリル酸メチルグリシジル、アクリル酸メチルグリシジルなどを挙げることができる。また、上記高級不飽和脂肪酸由来部分を有するα,β−エチレン性不飽和モノマーは、ヨウ素価が60〜180、特に70〜150であるものが好ましい。
上記親水性モノマー混合物は、これら以外にその他のモノマーを含んでいてもよい。上記その他のモノマーとして、メタクリル酸メチル、アクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、アクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、アクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、アクリル酸t−ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ラウリル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸イソボルニル、アクリル酸イソボルニル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸t−ブチルシクロヘキシル、アクリル酸t−ブチルシクロヘキシル、メタクリル酸ジシクロペンタジエニル、アクリル酸ジシクロペンタジエニル、メタクリル酸ジヒドロジシクロペンタジエニル、アクリル酸ジヒドロジシクロペンタジエニルなどの(メタ)アクリル酸エステル、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルケトン、t−ブチルスチレン、パラクロロスチレン、ビニルナフタレンなどのスチレン系モノマー、メタクリルアミド、アクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−ブトキシメチルメタクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジブチルメタクリルアミド、N,N−ジブチルアクリルアミド、N,N−ジオクチルメタクリルアミド、N,N−ジオクチルアクリルアミド、N−モノブチルメタクリルアミド、N−モノブチルアクリルアミド、N−モノオクチルメタクリルアミド、N−モノオクチルアクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)メタクリルアミドなどのアミドモノマーなどを挙げることができる。
本発明のエマルション樹脂の製造に用いられる上記親水性重合体は、上記親水性モノマー混合物を乳化重合して得られるものである。ここで行われる乳化重合は、通常よく知られている方法を用いて行うことができる。具体的には、水と上記親水性モノマー混合物とを用予め乳化しておき、これを加熱撹拌下、重合開始剤とともに滴下することにより行うことができる。また、分子量を調節するために、ラウリルメルカプタンのようなメルカプタンおよびα−メチルスチレンダイマーなどのような連鎖移動剤を必要に応じて用いうる。
上記重合開始剤としては、アゾ系の油性化合物(例えば、アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)および2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)など)、および水性化合物(例えば、アニオン系の4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、2,2−アゾビス(N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジンおよびカチオン系の2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン));並びにレドックス系の油性過酸化物(例えば、ベンゾイルパーオキサイド、パラクロロベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイドおよびt−ブチルパーベンゾエートなど)、および水性過酸化物(例えば、過硫酸カリおよび過硫酸アンモニウムなど)が挙げられる。
このようにして得られる上記親水性重合体は、数平均分子量5000〜20000を有する。5000未満だとエマルション樹脂から得られる塗膜の耐水性が低下するおそれがあり、20000を超えると親水性の付与が不十分となり、十分な塗装作業性が得られないおそれがある。なお、得られた上記親水性重合体は、塩基を加えて中和することにより水溶化する性質を有している。上記中和に用いられる塩基は、ジメチルエタノールアミンのような水性樹脂の中和に一般的に用いられるアミンや水酸化ナトリウムや水酸化カリウムなどの無機塩基であってよく、その量は特に限定されず、例えば、重合体が有する酸基の当量に相当する量であってよい。
本発明のエマルション樹脂は、このようにして得られた親水性重合体の存在下で、疎水性モノマー混合物を乳化重合して得られる。
上記疎水性モノマー混合物は、その酸価が20以下である。酸価が20を超えると、塗装作業性が低下するおそれがある。上記疎水性モノマー混合物は、上記酸価を有する場合には、先の親水性モノマー混合物の説明で挙げた、酸基を有するα,β−エチレン性不飽和モノマーを含むことができる。
また、上記疎水性モノマー混合物は、そのもの単独では乳化重合を行うことはできない。このため、実質的に反応性乳化剤を含まない。この「実質的に含まない」とは、乳化重合を行うことができない量であれば、含んでいてもよいということを意味する。
このような疎水性モノマー混合物の主要構成成分は、反応性の官能基を持たないモノマーとすることができる。上記反応性の官能基を持たないモノマーとして、先の親水性モノマー混合物の説明で挙げたその他のモノマーに属する(メタ)アクリル酸エステルおよびスチレン系モノマーを挙げることができる。これら反応性の官能基を持たないモノマーの量は、疎水性モノマー混合物の80質量%以上であることが好ましい。
上記疎水性モノマー混合物は、硬化性基を有するα,β−エチレン性不飽和モノマーおよび/またはα,β−エチレン性不飽和基を分子内に2つ有するモノマーを含んでいてもよい。上記硬化性基を有するα,β−エチレン性不飽和モノマーについては、先の親水性モノマー混合物のところの説明がそのまま適用される。一方、α,β−エチレン性不飽和基を分子内に2つ有するモノマーとしては、エチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジビニルベンゼンなどを挙げることができる。上記硬化性基を有するα,β−エチレン性不飽和モノマーおよびα,β−エチレン性不飽和基を分子内に2つ有するモノマーを含む場合、それらの合計量は、疎水性モノマー混合物の10質量%以下であることが好ましい。
上記疎水性モノマー混合物は、上記成分以外に、先の親水性モノマー混合物の説明で挙げた水酸基を有するモノマーやアミドモノマーを含んでいてもよい。これらのモノマーは親水性を有するものであるので、その量は上記疎水性モノマー混合物中で10質量%以下であることが好ましい。
本発明のエマルション樹脂を得るための、上記親水性重合体の存在下での疎水性モノマー混合物の乳化重合は、予め乳化しないことを除き、先の親水性重合体を得るための乳化重合と同様にして行い得る。ここで用いられる上記疎水性モノマー混合物と上記親水性重合体を得るために用いた親水性モノマー混合物との質量比は、上記親水性モノマー混合物/上記疎水性モノマー混合物が1/9〜5/5であることが好ましい。1/9未満だとエマルション樹脂の製造時に凝集物を生じるおそれがあり、5/5を超えるとエマルション樹脂から得られる塗膜の耐水性が低下するおそれがある。好ましい下限値は2/8である。
このようにして得られる本発明のエマルション樹脂は、樹脂固形分が20〜50質量%、レーザー光散乱法などによって測定される平均粒子径が80〜300nmであることが好ましい。本発明のエマルション樹脂は、これを水性塗料として用いることが可能である。その際、上記親水性モノマー混合物および/または上記疎水性モノマー混合物が、硬化性基を有するα,β−エチレン性不飽和モノマーを含む場合には、その硬化性基に応じた硬化剤や触媒が加えられる。例えば、硬化性基が水酸基の場合にはイソシアネート化合物、カルボニル基の場合にはヒドラジン化合物やセミカルバジド化合物、(メタ)アクリル基以外の二重結合の場合にはドライヤー類がそれぞれ加えられる。また、本発明のエマルション樹脂が有するカルボキシル基に対して反応する、カルボジイミド化合物を硬化剤として用いることもできる。なお、これら硬化剤や触媒の量は、上記エマルション樹脂が有する官能基量に応じて適宜設定し得る。また、塗料に通常含まれる種々の添加剤成分や顔料などの着色成分を加えることもできる。
このように本発明の水性塗料組成物は、先のエマルション樹脂からなるものである。
また、本発明のエマルション樹脂に別のエマルション樹脂を加えて、別の水性塗料組成物を得ることも可能である。この水性塗料組成物においては、全樹脂固形分と先のエマルション樹脂の製造の際に用いた上記親水性モノマー混合物との質量比が、10〜30質量%であることが好ましい。10質量%未満だと、刷毛の塗装作業性が十分でないおそれがあり、30質量%を超えるとエマルション樹脂から得られる塗膜の耐水性が低下するおそれがある。
上記別のエマルション樹脂は一般的に水性塗料のバインダーとして用いられるものであって、上記エマルション樹脂と混合しても問題の生じないものであれば特に限定されない。この場合にも、先と同じように、硬化剤や触媒、種々の添加剤成分や顔料などの着色成分を含みうる。
本発明の塗装方法は、先の水性塗料組成物を基材に塗布するものである。基材としては、スレート、コンクリート、モルタル、ALC(軽量コンクリート)などを例示することができるが、特に限定されない。基材が上記例示のものである場合には、その表面に下塗りが施されていることが好ましい。塗布には、当業者によく知られた種々の方法が適用できるが、ローラーや刷毛を用いて行われるのが一般的である。
上記塗布の際に、本発明の水性塗料組成物は、その固形分を10〜70質量%、好ましくは30〜65質量%に設定して塗布に適した状態にすることが好ましい。塗布後、3時間〜数日間、室温で放置することにより乾燥塗膜が得られる。この塗膜も本発明の1つである。
以下の実施例における「部」および「%」は質量基準である。
<親水性重合体の製造>
メタクリル酸ヒドロキシエチル10部、アクリル酸エチル40部、アクリル酸2−エチルヘキシル35部、ダイアセトンアクリルアミド5部、メタクリル酸10部からなる親水性モノマー混合物にドデシルメルカプタン3部を加えた。これを、イオン交換水90部とアクアロンHS−10(第一工業製薬社製アニオン型反応性乳化剤)2部とを混合して得られた溶液に加えた後、攪拌機を用いて乳化することにより、親水性モノマー混合物のプレエマルションを得た。また、過硫酸アンモニウム0.5部をイオン交換水20部に溶解させ、開始剤水溶液を得た。
滴下ロート、温度計、窒素導入管、還流冷却器および攪拌機を備えた反応容器に、イオン交換水50部にアクアロンHS−10を1部仕込み、窒素雰囲気下で80℃に昇温した。次に、得られたプレエマルションと開始剤水溶液とを別個の滴下ロートから3時間かけて同時に滴下した。滴下終了後、同温度でさらに2時間反応を継続した。このようにして得られた親水性重合体は、固形分40%、固形分酸価が65で、GPC測定による数平均分子量は7000であった。また、このエマルション状態の親水性重合体100部に、イオン交換水34部にジメチルエタノールアミン3.9部を溶解させたものを加えて混合したところ、水に完全に溶解した。
<エマルション樹脂の製造>
メタクリル酸メチル20部、スチレン10部、アクリル酸2−エチルヘキシル40部、メタクリル酸シクロヘキシル25部、ダイアセトンアクリルアミド5部を混合して、疎水性モノマー混合物を得た。また、過硫酸アンモニウム0.5部をイオン交換水20部に溶解させ、開始剤水溶液を得た。
先に使用したのと同じ反応容器に、イオン交換水90部および先に得られたエマルション状態の親水性重合体を107部(固形分42.8部)を仕込み、窒素雰囲気下で80℃に昇温した。次に、疎水性モノマー混合物と開始剤水溶液とを別個の滴下ロートから3時間かけて同時に滴下した。滴下終了後、同温度でさらに2時間反応を継続した。冷却後、イオン交換水36部とジメチルエタノールアミン4.2部とからなる塩基性中和剤水溶液により中和した。このようにして得られたエマルション樹脂は、固形分40重量%、平均粒子径が160nmであった。なお、上記エマルション樹脂を得るのに用いた、親水性モノマー混合物/疎水性モノマー混合物の質量比は30/70であった。
製造例1 別のエマルション樹脂の製造
メタクリル酸メチル20部、スチレン10部、アクリル酸2−エチルヘキシル40部、メタクリル酸シクロヘキシル25部、ダイアセトンアクリルアミド5部を、イオン交換水85部とアクアロンHS−10 2部とを混合して得られた溶液に加えた後、攪拌機を用いて乳化してプレエマルションを得た。また、過硫酸アンモニウム0.5部をイオン交換水20部に溶解させ、開始剤水溶液を得た。
先に使用したのと同じ反応容器に、イオン交換水50部およびアクアロンHS−10を1部仕込み、窒素雰囲気下で80℃に昇温した。次に、先に得られたプレエマルションと開始剤水溶液とを別個の滴下ロートから3時間かけて同時に滴下した。滴下終了後、同温度でさらに2時間反応を継続した。このようにして得られたエマルション樹脂組成物は、固形分40重量%であった。
製造例2 水溶性樹脂の製造
スチレン30部、アクリル酸エチル25部、アクリル酸2−エチルヘキシル22.3部、メタクリル酸ヒドロキシエチル15部、メタクリル酸7.7部を混合し、モノマー混合液を得た。また、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート3部をブチルジグリコール10部に溶解させ、開始剤溶液を得た。
先に使用したのと同じ反応容器に、ブチルジグリコール50部を仕込み、窒素雰囲気下で120℃に昇温した。次に、先に得られたモノマー混合物と開始剤溶液とを別個の滴下ロートから3時間かけて同時に滴下した。滴下終了後、同温度でさらに2時間反応を継続して、固形分63%、固形分酸価50の樹脂溶液を得た。ここにイオン交換水85部にジメチルエタノールアミン8部を溶解させたものを加えて混合することにより、固形分40%の水溶性樹脂を得た。
水性塗料組成物の製造
イオン交換水40部、SMA−1440H(サートマー社製顔料分散剤、固形分28重量%)13.5部、アデカノールUH−420(旭電化社製増粘剤、固形分30重量%)1部、SNデフォーマー760(サンノプコ社製消泡剤、固形分100重量%)0.5部、エチレングリコール10.5部、CR−90(石原産業社製二酸化チタン)133.5部を混合してプレミックスした後、サンドグラインダーミルによって、回転数2000rpmの条件で60分間分散し、顔料分散ペーストを得た。
得られた顔料分散ペーストを撹拌しながら、実施例1で製造したエマルション樹脂339部、アジピン酸ジヒドラジド2部、CS−12(チッソ社製造膜助剤)22.5部、SNデフォーマー760を1部、セルロース系増粘剤(固形分3重量%)5部、アデカノールUH−420の1.5部を順次加え、水性塗料組成物を得た。
水性塗料組成物の製造
実施例2において、エマルション樹脂の量を113部に減らす代わりに、製造例1で製造した別のエマルション樹脂226部を追加した以外は同様にして水性塗料組成物を得た。
比較例1および2 比較用水性塗料組成物の製造
実施例2において、エマルション樹脂を、製造例1で製造した別のエマルション樹脂、または、製造例1で製造した別のエマルション樹脂237部および製造例2で製造した水溶性樹脂102部に置き換えた以外は、それぞれ同様にして2種の比較用水性塗料組成物を得た。
水性塗料組成物の製造
実施例2において、アジピン酸ジヒドラジド2部の代わりに、ハードナーSC(旭化成社製、セミカルバジド基含有化合物、固形分50質量%、セミカルバジド基濃度4.6mmol/g固形分)10部を添加した以外は同様にして水性塗料組成物を得た。
水性塗料組成物の製造
実施例2において、アジピン酸ジヒドラジド2部の代わりに、カルボジライトE−02(日清紡社製、親水化変性ポリカルボジイミド化合物、固形分40質量%、カルボジイミド当量445)17部を添加した以外は同様にして水性塗料組成物を得た。
水性塗料組成物の評価
実施例2〜5、ならびに比較例1および2で得られた水性塗料組成物を、25℃におけるストーマー粘度計での粘度が70KUとなるようにイオン交換水にて希釈した。これら塗装粘度を調整した塗料について、2種の異なるせん断速度の条件下で粘度を測定した。さらに、これらの塗装粘度を調整した塗料を、スレート板にニッペウルトラシーラーIII透明(日本ペイント社製)を塗装した基板上に、刷毛で乾燥膜厚が50〜70μmとなるよう塗装を行い、塗装作業性を評価した。また塗装後、温度20℃、相対湿度65%の雰囲気中に1週間放置することにより乾燥塗膜を得、これについて耐水性を評価した。結果を表1に示す。
<せん断速度の違いによる粘度測定>
低せん断速度での測定:R500型粘度計(東機産業社製)を使用、
せん断速度10−2/秒
高せん断速度での測定:CAP2000(ブルックフィールド社製)を使用、
せん断速度10/秒
高せん断速度での粘度が60(mPa・s)以上が優れている。
<刷毛による塗装作業性>
刷毛で上記塗料組成物を塗装した際の作業性を下記の基準で評価した。
○:刷毛目が立たない
×:刷毛目が立つ
<耐水性>
乾燥塗膜が形成されたスレート板を水中に72時間浸漬し、引き上げた後の塗膜の表面状態を目視にて観察した。
◎:ワレやフクレ、ツヤびけが全く見られない
○:実用上問題のない程度のツヤびけがあるものの、ワレやフクレは見られない
×:ワレやフクレが見られるもの
本発明のエマルション樹脂を用いた水性塗料では、刷毛による塗装作業性および耐水性を両立できることがわかった。また、せん断速度の違いによる粘度測定結果と実際の刷毛による塗装作業性との相関性が確認された。実施例の中で特に実施例3および4では耐水性が優れていた。これに対し、通常のエマルション樹脂を用いた比較例1では刷毛による塗装作業性に劣り、これに水溶性樹脂を組み合わせた比較例2では、刷毛による塗装作業性は改良されたものの、今度は耐水性の低下という新たな問題が生じた。
本発明のエマルション樹脂は、水性塗料のバインダー成分として利用可能である。

Claims (9)

  1. 酸価が40以上の親水性モノマー混合物を重合して得られる数平均分子量5000〜20000を有する親水性重合体の存在下で、酸価が20以下の疎水性モノマー混合物を乳化重合して得られるエマルション樹脂であって、
    前記親水性モノマー混合物は、1〜15質量%の反応性乳化剤を含んでおり、
    前記親水性重合体は、塩基を加えて中和することにより水溶化する性質を有するものであり、
    前記疎水性モノマー混合物は、前記疎水性モノマー混合物単独では乳化重合ができないことを特徴とするエマルション樹脂。
  2. 前記疎水性モノマー混合物が実質的に反応性乳化剤を含まないものである請求項1記載のエマルション樹脂。
  3. 前記親水性モノマー混合物と前記疎水性モノマー混合物との質量比が1/9〜5/5である請求項1または2記載のエマルション樹脂。
  4. 前記親水性モノマー混合物および/または前記疎水性モノマー混合物が硬化性基を有するモノマーを含んでいる請求項1〜3いずれかに記載のエマルション樹脂。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載のエマルション樹脂からなる水性塗料組成物。
  6. 請求項1〜4のいずれかに記載のエマルション樹脂と別のエマルション樹脂とを含む水性塗料組成物。
  7. 全樹脂固形分と前記親水性モノマー混合物との質量比が10〜30%である請求項6記載の水性塗料組成物。
  8. 請求項5〜7のいずれかに記載の水性塗料組成物を基材に塗布する塗装方法。
  9. 請求項8記載の塗装方法で得られた塗膜。
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