JP2005306643A - ナノ構造炭素材料の製造方法、それにより形成されたナノ構造炭素材料及び基板 - Google Patents

ナノ構造炭素材料の製造方法、それにより形成されたナノ構造炭素材料及び基板 Download PDF

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Abstract

【課題】 低温で、基板上に均一且つ収率良くカーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、グラファイトナノファイバーなどのナノ構造炭素材料を配向形成することができるナノ構造炭素材料の製造方法を提供する。
【解決手段】 金属化合物の溶液を基板上に塗布する工程と、乾燥した後にプラズマ処理することにより金属化合物の金属成分以外の成分を分解除去し基板上に金属酸化物微粒子を付与する工程と、基板上にナノ構造炭素材料を形成する工程を有することを特徴とするナノ構造炭素材料の製造方法。
【選択図】 図4

Description

本発明は、ナノ構造炭素材料の製造方法に関し、詳しくは該材料を容易に形成し得る製造方法に関する。
近年、ナノメートル(nm)オーダーの径を有するナノ構造炭素材料、例えばカーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、グラファイトナノファイバー等について数多くの研究が行われている。このうち、カーボンナノチューブは、炭素6員環を平面上に繋げた網状構造グラフェン・シートを円筒状に巻き、継ぎ目がない様に繋げた構造を持っている。1枚のグラフェン・シートから構成されるものはシングルウォールナノチューブと呼ばれ、複数個のグラフェン・シートが入れ子状に積層され多重構造を取るものはマルチウォールナノチューブと呼ばれる。また、グラファイトナノファイバーは、グラフェン・シートが先端の切られたアイスクリームコーン形状を有し積層された円柱状構造や、形成に用いる触媒金属の表面形状に沿った形状を有するグラフェンシートの小片が積み重なった構造を有する材料である。
ところで、真空中に置かれた金属や半導体等に或る閾値以上の強さの電界を与えると、金属や半導体の表面近傍のエネルギー障壁を電子が量子トンネル効果によって通過し、常温でも真空中に電子が放出される様になる。かかる原理に基づく電子放出は、冷陰極電界電子放出、或いは単に電界放出(フィールド・エミッション)と呼ばれる。
ナノ構造炭素材料は、電子放出特性、耐熱性、化学安定性等の性能において優れているため、近年は、上述の電界放出の原理を画像表示に応用した電子放出源等への採用が期待されている。又、半導体にも導体にもなり得る性質を有することから、電子・電気デバイスへの応用にも期待されている。
従来、ナノ構造炭素材料は、アーク放電法、熱CVD法、真空プラズマ法等により製造されており、例えば特許文献1には触媒金属薄膜を形成した基板を真空下で熱処理した後に熱CVD法によってグラファイトナノファイバー薄膜を基板上の所定の箇所に選択的に形成させることが、特許文献2には真空製膜室にプラズマを発生させるためのマイクロ波の出力を時間的に変調させて基板上にカーボンナノチューブを垂直方向に配向させて生成することが、それぞれ記載されている。
特開2002−115071号公報 特開2001−64775号公報
従来、ナノ構造炭素材料の製造に採用されているアーク放電法、真空プラズマ法においては、装置内を真空にする設備が必要となることから製造設備が複雑となり、設備費や製造コストが大きい。更にアーク放電法では、平面を有する基材上に直接ナノ構造炭素材料を生成成長させるのが困難で、できるとしても局部的な範囲に止まり、大面積基板上への直接生成は不可能に近い。また、熱CVD法では、非常に高温状態で製造を行うことから、基板上に直接ナノ構造炭素材料を形成する様な場合には、基板が高温に耐えられるセラミックや石英ガラスの様な素材のものに限定されてしまい、例えば、ソーダガラス、低アルカリガラス(無アルカリガラスを含む)等の一般的なガラスやプラスティックといった基板材料として従来用いられている素材を用いることが困難である。
これに対し、本発明者は特願2003−386296、特願2003−416030及び特願2004−109735を提案している。
一方、基板上に均一に収率良くナノ構造炭素材料を配向形成させるためには、基板上に触媒となる金属微粒子を同程度の大きさで、均一に配置させることが重要である。また、触媒として機能させるためには、金属酸化物の形ではなく金属の微粒子であることが必要である。従来は、この工程はスパッタ、蒸着、プラズマCVD、熱CVD等で行われていた。
しかしながら、純金属微粒子を基板上に直接配置させた場合、各金属微粒子はお互いに引きつけ合う力が強く凝集する。このため、金属微粒子は基板上に不均一な配置になるばかりでなく粒子径が異なるので、金属微粒子上で成長するナノ構造炭素も不均一になり、収率が著しく低下する。
一方、微量の無機ないしは有機の金属化合物を溶解した溶液を基板上に塗布することにより、基板上に均一に無機ないしは有機の金属化合物を微粒子の状態で配置することができる。しかしながら、このままでは金属化合物の状態であり、ナノ構造炭素を成長させる触媒としては機能しない。従来は、これを焼成することにより有機物や不純物を分解除去し、金属酸化物微粒子にし、次いで金属酸化物を還元して金属微粒子にしていた。有機物や不純物を分解除去するためには、少なくとも400℃を超える温度にする必要があり、使用できる基板に制約があった。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、低温で、基板上に均一且つ収率良くカーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、グラファイトナノファイバーなどのナノ構造炭素材料を配向形成することができるナノ構造炭素材料の製造方法を提供することにある。
本発明の上記目的は、
1) 金属化合物の溶液を基板上に塗布する工程と、乾燥した後にプラズマ処理することにより金属化合物の金属成分以外の成分を分解除去し基板上に金属酸化物微粒子を付与する工程と、基板上にナノ構造炭素材料を形成する工程を有するナノ構造炭素材料の製造方法、
2) 前記プラズマ処理が、大気圧又は大気圧近傍の圧力下で、高周波電圧を対向する電極間に印加することにより放電プラズマを発生させる大気圧プラズマ方法である1)のナノ構造炭素材料の製造方法、
3) 前記基板上における金属化合物の付き量が金属として1.2×10-7mol/cm2以下である1)又は2)のナノ構造炭素材料の製造方法、
4) 前記金属化合物が有機金属化合物である1)〜3)の何れかのナノ構造炭素材料の製造方法、
5) 前記金属化合物の溶液を基板上に塗布する工程の前に、基板を洗浄する工程を有する1)〜4)の何れかのナノ構造炭素材料の製造方法、
6) 前記基板を洗浄する工程を大気圧プラズマ方法で行う5)のナノ構造炭素材料の製造方法、
7) 前記ナノ構造炭素材料を形成する工程を大気圧プラズマ方法で行う1)〜6)の何れかのナノ構造炭素材料の製造方法、
8) 前記ナノ構造炭素材料を形成する工程が、前記基板上に付与した金属酸化物微粒子を活性化させる工程とナノ構造炭素材料を形成する工程に分かれている1)〜6)の何れかのナノ構造炭素材料の製造方法、
9) 前記基板上に付与した金属酸化物微粒子を活性化させる工程を大気圧プラズマ方法で行う8)に記載のナノ構造炭素材料の製造方法、
10) 前記ナノ構造炭素材料を形成する工程を大気圧プラズマ方法で行う8)又は9)のナノ構造炭素材料の製造方法、
11) 放電プラズマを発生させる放電空間に導入するガスの50体積%以上がArガス及び/又はN2ガスである2)〜10)の何れかのナノ構造炭素材料の製造方法、
12) 電極間に印加する電圧が周波数0.5kHz〜100MHzである2)〜11)の何れかのナノ構造炭素材料の製造方法、
13) 少なくとも一方の電極が誘電体で被覆されている2)〜12)の何れかのナノ構造炭素材料の製造方法、
14) 大気圧プラズマ方法を用いてナノ構造炭素材料を形成するにあたり400℃以下で行うこと2)〜13)の何れかのナノ構造炭素材料の製造方法、
15) 1)〜14)の何れかの製造方法により形成されたナノ構造炭素材料、
16) 15)のナノ構造炭素材料を表面に有する基板、
により達成される。
即ち本発明者は、金属化合物の金属成分以外の成分を分解除去し基板上に金属酸化物微粒子を付与する工程として、プラズマ処理を採用することにより、基板を高温下に晒すことなく低温下で金属化合物の結合を切り、金属成分以外の成分を分解除去でき、凝集力の低い金属酸化物微粒子を基板上に均一に配置できることを見出し、本発明に至った。
本発明によれば、低温で、基板上に均一且つ収率良くカーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、グラファイトナノファイバーなどのナノ構造炭素材料を配向形成することができ、また耐熱性の小さい基板上にもナノ構造炭素材料を形成できる。
本発明のナノ構造炭素材料の製造方法は、金属化合物の溶液を基板上に塗布する工程と、乾燥した後にプラズマ処理することにより金属化合物の金属成分以外の成分を分解除去し基板上に金属酸化物微粒子を付与する工程と、基板上にナノ構造炭素材料を形成する工程を有することを特徴とする。
ナノ構造炭素材料としては、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、グラファイトナノファイバー等が挙げられる。
金属化合物の溶液を基板上に塗布する工程について説明する。
用いる基板としては絶縁性、導電性、半導体性のいずれでも良く、例えば石英、ガラス、セラミックス、金属、シリコン基板などが使用できる。特にガラスは、ソーダライムガラスや低ソーダガラス(無アルカリガラスを含む)、鉛アルカリケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラスなどの透明ガラス基板を用いることが望ましく、特に高歪点低ソーダガラス(無アルカリガラスを含む)が好適である。
また、セラミックとしてはアルミナ、ジルコニア、チタニア、窒化珪素、炭化珪素などが挙げられる。
また、ポリイミド、フッ素樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルサルフォン(PES)やポリパラバン酸樹脂、ポリフェニレンオキサイド、ポリアリレート樹脂、更にはエポキシ樹脂等の耐熱性の樹脂を用いることができる。中でもポリイミドは、好適に用いることができる。
また、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、四弗化エチレン樹脂(PTFE)、四弗化エチレン−パーフルオロアルコキシエチレン共重合体(PFA)、四弗化エチレン−六弗化プロピレン共重合体(FEP)、高温ナイロン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)、三弗化塩化エチレン樹脂(CTFP)、変性フェノール樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等の樹脂にガラス繊維、ガラスビーズ、グラファイト、カーボン繊維、フッ素樹脂、二硫化モリブデン、酸化チタン等の充填材を加え、耐熱性と共に摺動性、耐摩耗性を確保した耐熱摺動樹脂が用いられる。例えば、グラファイト入りポリイミド樹脂、グラファイト入りナイロン樹脂、PTFE入りアセタール樹脂、PTFE入りフェノール樹脂等である。
また、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂等のベース樹脂にガラス繊維、ガラスビーズ、グラファイト、カーボン繊維、フッ素樹脂、二硫化モリブデン、酸化チタン等の充填材を加えた耐熱樹脂も用いることができる。可能であり耐熱温度250℃以上である。また、フッ素系樹脂に上記の充填材を加えた耐熱樹脂も連続使用温度250℃以上である。
これらの樹脂基板、複合基板を板型、もしくはフィルム状として用いる。
本発明においては、金属化合物は溶液の状態で基板上に塗布される。金属化合物の金属成分としては、グラファイトの生成、カーボンナノチューブの気相分解成長において触媒作用を示す各種の金属を用いることができる。具体的には、たとえば、Ni、Fe、Coなどの鉄族、Pd、Pt、Rhなどの白金族、La、Yなどの希土類金属、あるはMo、Mnなどの遷移金属が挙げられる。これらの触媒作用を示す金属の中でも好ましくは、Ni、Fe、Mo、Co、Mnであり、これらは1種でも2種以上を用いてもよい。また、これらの触媒作用を示す金属にTi、Al等の他の金属を担持材として混合させることもできる。
金属化合物としては、水、有機溶媒などの溶剤に溶解するものであれば無機の金属化合物であっても有機金属化合物であってもよい。無機の金属化合物としてはハロゲン化物や水酸化物を挙げることができる。金属化合物としては、適宜溶剤を選択でき最適な溶液濃度、塗布条件を選定できるという生産面の観点から有機金属化合物が好ましい。
有機金属化合物としては、所望の金属元素が含まれるものであれば特に制限はない。有機金属化合物としては、例えば、アルキル化合物、アリール化合物、シクロペンタジエニル化合物及びその類似構造を有する化合物、アルコキシド、カルボン酸塩等の有機酸塩、有機金属錯体等が挙げられる。
本発明においては、有機金属化合物として、好ましくは有機金属錯体である。有機金属錯体としては、金属カルボニル錯化合物、イソニトリル錯化合物、ジオキシ化合物の錯塩、オキシアルデヒド錯塩、オキシケトン錯塩、オキシキノン錯塩、オキシ酸錯塩、オキシエステル錯塩、ジケトンジオキシム錯塩、o−オキシベンジルアミン錯塩、8−オキシキノリン錯塩、1−オキシアクリジン錯塩、オキシベンゾキノリン錯塩、オキシフェナジン錯塩、オキシアゾ錯塩、ニトロソナフトール錯塩、オキシキノリン−N−オキシド錯塩、アミノ酸錯塩、アントラニル酸錯塩、キナルジン酸錯塩、フェナジン−N−カルボン酸錯塩、ニトロソヒドロキシルアミン錯塩、トリアゼン錯塩、ジチゾン錯塩、ジピリジル錯塩、フェナントロリン錯塩、サリチルアルデヒド−o−オキシフェニルイミン銅、ビス(サリチルアルデヒド)エチレンジイミン錯塩、フタロシアニン錯塩、ポルフィン錯塩、ポルフィリン錯塩、ビタミンB12、トリサリチルアルデヒドジイミン錯塩、エチレンジアミンテトラ酢酸錯塩、1,8−ビス(サリチリデンアミノ)−3,6−ジチアオクタン錯塩、オレフィン類の金属錯化合物、シクロペンタジエニルの金属錯化合物、芳香族炭化水素の金属錯化合物、等を挙げることができる。これらの金属化合物のいずれか1種、もしくはこれらの2種以上の混合物等を用いることができる。
ジオキシ化合物の錯塩としては、例えばアセチルアセトン(acac)錯体、ジピバロイルメタン(DPM)錯体、2,6−ジメチル−3,5−ヘプタンジオン(DMHD)錯体等のベータジケトンが挙げられる。
好ましい有機金属化合物としては、反応性が低く、溶媒に容易溶解するもので、酢酸塩などのカルボン酸塩が挙げられる。また、有機金属錯体であるアセチルアセトン(acac)錯体、ジピバロイルメタン(DPM)錯体、2,6−ジメチル−3,5−ヘプタンジオン(DMHD)錯体等のベータジケトンも好ましく用いられる。
溶液に用いる溶媒としては、金属化合物を溶解しうるものであれば任意の溶媒を用いることができる。例えば、水、脂肪族炭化水素類(ヘプタン、石油ベンジン、シクロヘキサン等)、芳香族炭化水素類(ベンゼン、キシレン、エチルベンゼン等)、ハロゲン化炭化水素類(塩化メチレン、四塩化炭素、トリクロルエタン等)、アルコール類(メタノール、エタノール、n−プロパノール等)、エーテル類(エチルエーテル、テトラヒドロフラン等)、ケトン類(メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等)、エステル類(ギ酸メチル、酢酸−n−プロピル等)、多価アルコール誘導体(エチレングリコールモノエチルエーテル等)、脂肪酸類(酢酸等)、フェノール類(フェノール等)、その他窒素や硫黄を含む化合物が挙げられる。これらの溶媒は1種でも2種以上を混合して用いてもよい。
基板上における金属化合物の付き量が金属として2×10-7mol/cm2以下、好ましくは1.2×10-7mol/cm2以下である。多すぎると、ナノ構造炭素の構造、即ち、長さ、径等の制御が困難になる。
所望の金属化合物を含む溶液を基板に塗布する方法としては、公知の方法を採用することができ、例えば、ディップ法(浸漬法)、バーコーティング法、スロット塗布法、スライド塗布法、カーテン塗布法、グラビア塗布法、ウェブテンション法、エアードクター法、スプレイ塗布法等が挙げられる。
所望の金属化合物を含む溶液を基板に塗布するに際して、塗布のために界面活性剤や適宜のバインダー等の添加剤を含ませることができる。
乾燥方法としては公知の任意の手段を採用できる。例えば、塗布面に温風を吹き付ける、基板裏面を加熱する等の手段を適宜組み合わせることができる。
次に、プラズマ処理することにより金属化合物の金属成分以外の成分を分解除去し基板上に金属酸化物微粒子を付与する工程について説明する。
この工程におけるプラズマ処理は、チャンバー内の圧力が十分高真空に排気されている、例えば10-3Pa以下となっている状態で行うものであってもよい。しかしながら、本発明においては、プラズマ処理は、大気圧又は大気圧近傍の圧力下で、高周波電圧を対向する電極間に印加することにより放電プラズマを発生させる大気圧プラズマ方法であることが好ましい。大気圧プラズマ方法を採用することにより、真空のような大がかりな設備を必要とせずに、また基板を高温にすることなく低温下で化合物の結合を切り、余分な有機物や不純物を除去し、凝集力の低い金属酸化物微粒子を基板上に均一に配置することができる。
本発明における、大気圧もしくはその近傍の圧力とは20kPa〜110kPa程度であり、93kPa〜104kPaが好ましい。
また、本発明における、高周波とは、少なくとも0.5kHzの周波数を有するものを言う。好ましくは5kHz〜100MHz、更に好ましくは50kHz〜50MHzである。また、特開2003−96569に記載の如く、対向する電極のそれぞれに異なる周波数で印加しても良い。
本発明に係る大気圧プラズマ方法に用いる放電処理装置は、少なくとも一方に誘電体を被覆した一対以上の対向する電極間に高周波電圧を印加して、当該対向電極の間で放電させ、該対向電極間に導入した少なくとも放電ガスと酸素をプラズマ状態とし、該対向電極間に静置あるいは移送される基板を該プラズマ状態のガスに晒すことによって、基板上に
塗布された金属化合物の金属成分以外の成分を分解除去し基板上に金属酸化物微粒子を付与するものである。また、他の方式として、上記同様の対向電極間で放電させ、該対向電極間に導入したガスを励起しまたはプラズマ状態とし、該対向電極外にジェット状に励起またはプラズマ状態のガスを吹き出し、該対向電極の近傍にある基板(静置していても移送されていてもよい)を晒すことによって、基板上に塗布された金属化合物の金属成分以外の成分を分解除去し基板上に金属酸化物微粒子を付与するジェット方式の装置がある。
上記の大気圧プラズマ放電処理装置には、前記対向電極間に、放電ガスと反応促進ガスを供給するガス供給手段を備える。更に、電極の温度を制御する電極温度制御手段を有することが好ましい。
塗布された金属化合物を金属酸化物にするために用いるガスとしては、放電に必要な放電ガスと、必要に応じて速やかに酸化させるための反応ガスからなる。酸化させるための反応ガスとしては、酸素元素を含むガスならば何でもよく、酸素、二酸化炭素、一酸化炭素、水(水蒸気)等が挙げられる。反応ガス濃度は、放電ガスに対し22体積%以下が好ましい。また、反応ガスを用いずに放電ガスのみを用いて大気圧プラズマ処理を行い、表面を活性化させた後に、空気中などの酸素を含む雰囲気下に基板を曝露させて酸化させることもできる。
放電ガスとは、放電面内で均一な放電を起こすことの出来るガスであり、それ自身がエネルギーを授受する媒体として働く。放電ガスとしては、窒素ガス、希ガス、水素ガスなどがあり、これらを単独で放電ガスとして用いても、混合して用いてもかまわない。希ガスとしては、周期表の第18属元素であるヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、ラドン等のガスが挙げられる。本発明において、放電ガスとして好ましいのはArガスとN2ガスである。放電ガスは50体積%以上であることが好ましい。
大気圧プラズマ方法を用いて金属化合物の金属成分以外の成分を分解除去し基板上に金属酸化物微粒子を付与する際の温度は、400℃以下であることが好ましく、より好ましくは300℃以下である。この様に温度の上昇を抑えることで、例えば、ガラスやプラスチックの様な耐熱性の小さい素材であっても基板として用いることができる様になる。
本発明においては、金属化合物の溶液を基板上に塗布する工程の前に、基板を洗浄する工程を有することが好ましい。基板を洗浄することにより、基板上の不純物を除去でき、さらに基板表面を活性化することもできるため、均一に金属化合物の溶液を基板上に塗布することができる。基板の洗浄工程としては、大気圧プラズマ方法で行うことが好ましい。大気圧プラズマ方法で行うことにより、真空や薬液槽のような大がかりな設備を必要とせずに、また、基板を高温にすることもなく、基板上の不純物を効率よく除去でき、さらに基板表面を活性化することができるので、より均一に金属化合物の溶液を基板上に塗布することができる。
本発明においては、基板上にナノ構造炭素材料を形成する工程を大気圧プラズマ方法で行うことが好ましい。大気圧プラズマ方法で行うことにより、真空のような大がかりな設備を必要とせずに、また、基板を高温にすることもなく低温下で、ナノ構造炭素材料を均一に形成できる。大気圧プラズマ方法で基板上にナノ構造炭素材料を形成する工程の詳細については後記する。
また、本発明においては、ナノ構造炭素材料を形成する工程が、基板上に付与した金属酸化物微粒子を活性化させる工程とナノ構造炭素材料を形成する工程に分かれていることが好ましい。金属酸化物微粒子を活性化させる工程を独立して行うことにより、基板上に付与した金属酸化物微粒子を、ナノ構造炭素材料を配向形成させるための触媒として機能させるために必要な活性金属微粒子とすることができる。
本発明においては、基板上に付与した金属酸化物微粒子を活性化させる工程を大気圧プラズマ方法で行うことが好ましい。大気圧プラズマ方法で行うことにより、真空のような大がかりな設備を必要とせずに、また、基板を高温にすることもなく低温下で、基板上に付与した金属酸化物微粒子を、ナノ構造炭素材料を配向形成させるための触媒として機能させるために必要な活性金属微粒子とすることができる。
金属酸化物微粒子を触媒として活性化させるために用いるガスとしては、放電に必要な放電ガスと、必要に応じて速やかに還元させるための反応ガスからなる。還元させるための反応ガスとしては、主に水素元素を含むガスが用いられる。また、反応ガスを用いずに放電ガスのみを用いて大気圧プラズマ処理を行い、触媒として活性化させることもできる。
また、本発明においては、基板上に付与した金属酸化物微粒子を活性化させる工程の後に行うナノ構造炭素材料を形成する工程を、大気圧プラズマ方法で行うことが好ましい。大気圧プラズマ方法で行うことにより、真空のような大がかりな設備を必要とせずに、また、基板を高温にすることもなく低温下で、ナノ構造炭素材料を均一に形成できる。
以下に、大気圧プラズマ方法で基板上にナノ構造炭素材料を形成する工程について詳述する。
ナノ構造炭素材料形成ガスとしては、メタン等の炭化水素系ガスをはじめとして、フッ素系の炭化化合物、CO2やCOといった酸化炭素類、アルコール類、ケトン類、アミド類、スルホキシド類、エーテル類、エステル類などが挙げられ、好ましくはアルコール類、炭化水素系ガス、フッ素系の炭化化合物である。
ナノ構造炭素材料形成ガスの種類に応じて添加ガスを含有しても良い。当該添加ガスとしては水素ガス、水蒸気、過酸化水素ガス、一酸化炭素ガスフッ化炭素やフッ化炭化水素等のガス等が挙げられるが、その中では、水素ガス、フッ化炭素やフッ化炭化水素、水蒸気が好ましい。
以下に図面を参照して、本発明に用いる大気圧プラズマ放電処理装置について説明する。ここでは、大気圧プラズマ方法でナノ構造炭素材料を形成する工程を例として説明するが、金属化合物の金属成分以外の成分を分解除去し基板上に金属酸化物微粒子を付与する工程、基板を洗浄する工程、基板上に付与した金属酸化物微粒子を活性化させる工程は、基本的には同じ装置を用いることができる。
図1は、本発明に用いる大気圧プラズマ放電処理装置のガス導入部及び電極部の一例を示す断面図である。なお、本発明はこれに限定されるものではなく、また、以下の説明には用語等に対する断定的な表現が含まれている場合があるが、本発明における好ましい例を示すものであって、本発明の用語の意義や技術的な範囲を限定するものではない。
図1においては、電源11に接続した1対の電極21a、21bが2対、平行に併設されている。電極は各々、少なくとも一方が誘電体22で被覆されており、その電極間で形成された空間23に電源11により高周波電圧が印加される。なお、電極21の内部は中空構造24を有し、放電中は水、オイルなどによって放電により発生する熱の廃熱を行い、かつ安定な温度に保つための熱交換ができるようになっている。
ここでは、図示しないガス供給手段により、放電ガスを含むガス1が流露4を通って空間23に供給され、該空間23に高周波が印加されると放電が発生することによりガス1はプラズマ化される。プラズマ化されたガス1は、ナノ構造炭素材料形成ガスとの混合空間25に噴出される。
一方、図示しないガス供給手段により供給される、ナノ構造炭素材料形成ガスを含む混合ガス2は流露5を通り、同じく混合空間25へ運ばれ、前記プラズマ化された放電ガスと合流し混合され、移動ステージ27に乗せられた基板26上へ吹き付けられる。プラズマ化された混合ガスに接触したナノ構造炭素材料形成ガスはプラズマのエネルギーにより活性化され化学的な反応を起こし、基板26上でナノ構造炭素材料が形成される。
この例の装置においては、ナノ構造炭素材料形成ガスを含む混合ガス2が活性化された放電ガスに挟まれる、もしくは囲まれる様な構造を有する。
移動ステージ27は往復走査、もしくは連続走査が可能な構造を有しており、必要に応じて、基材の温度が保てる様に前記電極と同じような熱交換ができる構造になっている。また、基材上に吹き付けられたガスを排気する機構28を必要に応じて設けることもできる。これにより空間中に生成される不要な副生成物を速やかに放電空間及び基材上から除去できる。用いる基板も板型の平面基板に限らず、立体物、フィルム状の基板も移動ステージの構造を変えることで採用可能となる。
なお、この例の装置は、放電ガスが放電し活性化した後にナノ構造炭素材料形成ガスを含む混合ガスと合流する構造となっており、これにより、電極表面に生成物が堆積することを防ぐことができるが、本出願人が特願2003−095367で提案した様に、電極表面に汚れ防止フィルムなどをはわせることにより、図2に示す様に放電前に放電ガスとナノ構造炭素材料形成ガスを混合させる構造とすることもできる。
また、特開2003−96569に記載の如く、対向する各々の電極に異なる周波数を印加する複数の電源を設置する方式で実施することもできる。
更にこの装置を複数台数ステージの走査方向に並べることによって生成の能力を上げることができる。また、電極、ステージ全体を囲み外気が入らないような構造にすることで、装置内を一定のガス雰囲気にすることができ、所望の高質なナノ構造炭素材料を形成することができる。
図3に、更に他のプラズマ放電処理装置の一例を示す。
この例では移動ステージ27が対向する一方の電極を構成し、電源11に接続した2本の電極21a、21bが移動ステージ電極27に各々平行になるように併設されている。電極21a、21b、27は各々、少なくとも一方を誘電体22で被覆されており、その電極21、27間で形成された空間23に電極11により高周波電圧が印加される様になっている。なお、電極21、27の内部は中空構造24を有し、放電中は水、オイルなどによって放電により発生する熱の廃熱を行い、かつ安定な温度に保つための熱交換ができるようになっている。
ここでは図示されないガス供給手段により、放電ガスを含むガス1が流露4を経て、またナノ構造炭素材料形成ガスを含む混合ガス2が流露5を経て、混合空間25に合流混合される。混合されたガスは、電極21a、21b間を通り電極21,27間の空間23に供給され、空間23に高周波が印加されると放電が発生することにより放電ガスはプラズマ化される。プラズマ化された放電ガスのエネルギーにより、ナノ構造炭素材料形成ガスは活性化され化学的な反応を起こし、基板26上にナノ構造炭素材料が形成される。
図4に、更に他のプラズマ放電処理装置の一例を示す。
21a、21bは、金属母材の表面を誘電体22で被覆した誘電体被覆電極である。内部は中空構造24を有し、放電中は、その内部を冷却水、もしくはオイル等を流通させることにより、電極表面温度を一定に制御することができる構成となっている。
一方、電極21a、21bに対向する位置には、移動ステージ電極27が配置されており、放電空間23を形成している。移動ステージ電極27も同様に、金属母材上に、誘電体22を被覆した誘電体被覆電極であり、必要に応じて、その内部に冷却水等を流通し、電極表面温度を制御することができる構造となっている。
上述の各電極において、金属母材としては、例えば、銀、白金、ステンレス、アルミニウム、鉄等の金属等が挙げられるが、加工の観点からステンレスやチタンであることが好ましい。
誘電体は、比誘電率が6〜45の無機化合物であることが好ましく、また、このような誘電体としては、アルミナ、窒化珪素等のセラミックス、あるいは、ケイ酸塩系ガラス、ホウ酸塩系ガラス等のガラスライニング材等がある。この中では、アルミナを溶射して設けた誘電体が好ましい。また必要に応じて封孔処理を行うことが好ましい。
対向する電極間の距離(電極間隙)は、導電性の金属質母材に設けた誘電体の厚さ、基板の厚み、印加電圧の大きさ、プラズマを利用する目的等を考慮して決定されるが、電極の一方に誘電体を設けた場合の誘電体表面と導電性の金属質母材表面の最短距離、上記電極の双方に誘電体を設けた場合の誘電体表面同士の距離としては、いずれの場合も均一な放電を行う観点から0.1〜20mmが好ましく、特に好ましくは0.5〜2mmである。
ArガスやN2ガスの様に安価なガスを採用すると、ナノ構造炭素材料形成のコストを低下できて好ましく、この様なガスで高エネルギーのプラズマを生成させるのは、図4の大気圧プラズマ放電装置の如く、対向する各電極に異なる周波数を印加することで可能である。
21a、21bに周波数ω1であって電圧V1である第1の高周波電圧を印加する高周波電源11a(第1電源ともいう)が接続され、移動ステージ電極27に周波数ω2であって電圧V2である第2の高周波電圧11b(第2電源ともいう)を印加する高周波電源が接続されている。
第1電源(高周波電源)としては、
印加電源記号 メーカー 周波数
A1 神鋼電機 3kHz
A2 神鋼電機 5kHz
A3 春日電機 15kHz
A4 神鋼電機 50kHz
A5 ハイデン研究所 100kHz*
A6 パール工業 200kHz
等の市販のものを挙げることができ、何れも使用することができる。なお、*印はハイデン研究所インパルス高周波電源(連続モードで100kHz)である。
また、第2電源(高周波電源)としては、
印加電源記号 メーカー 周波数
B1 パール工業 800kHz
B2 パール工業 2MHz
B3 パール工業 13.56MHz
B4 パール工業 27MHz
B5 パール工業 150MHz
等の市販のものを挙げることができ、何れも好ましく使用できる。
電極21a、21bと移動ステージ電極27間に印加する高周波電圧が、第1の周波数ω1の電圧成分と、前記第1の周波数ω1より高い第2の周波数ω2の電圧成分とを重ね合わせた成分を少なくとも有することが好ましい。
ここで、第1電源の周波数としては、200kHz以下が好ましく、下限は1kHz程度が望ましい。一方、第2電源の周波数としては、800kHz以上が好ましく用いられる。この第2電源の周波数が高い程、プラズマ密度が高くなる。上限は200MHz程度が望ましい。またこれらの電界波形としては、サイン波でもパルス波でもよいが好ましくはサイン波である。
第1電源の周波数ω1と、第1の周波数ω1より高い第2電源の周波数ω2をともにサイン波とすると、その波形は周波数ω1のサイン波上に、それより高い周波数ω2のサイン波が重畳されたω1のサイン波がギザギザしたような波形となる。なおサイン波の重畳に限られるものではなく、両方パルス波であっても、一方がサイン波でもう一方がパルス波であってもかまわない。また、更に第3の電圧成分を有していてもよい。
電極21a、21bと第1電源11aとの間には、第1電源11aからの電流が電極21a、21bに向かって流れるように第1フィルター28aが設置されており、第1電源11aからの電流を通過しにくくし、第2電源11bからの電流が通過し易くするように設計されている。また、移動ステージ電極27と第2電源11bとの間には、第2電源11bからの電流が移動ステージ電極27に向かって流れるように第2フィルター28bが設置されており、第2電源11bからの電流を通過しにくくし、第1電源11aからの電流を通過し易くするように設計されている。第1フィルター28aとしては、第2電源の周波数に応じて数10〜数万pFのコンデンサー、もしくは数μH程度のコイルを用いることが出来る。第2フィルター28bとしては、第1電源の周波数に応じて10μH以上のコイルを用い、これらのコイルまたはコンデンサーを介してアース接地することでフィルターとして使用出来る。
電極間(放電空間)に導入する電圧の放電出力は、1W/cm2以上であることが好ましく、より好ましくは1〜50W/cm2である。
この装置においては、白矢印で示すナノ構造炭素材料形成ガスを含む混合ガス2と、黒矢印で示す放電ガスを含むガス1が混合されて基板26上に流入される。基板26に衝突した混合ガスは基板26表面に沿って放電空間内を移動し、その後、外側に排出される。
本発明の方法においては、金属化合物の金属成分以外の成分を分解除去し基板上に金属酸化物微粒子を付与する工程やナノ構造炭素材料を形成する工程において、高温にする必要が無いことから、例えば一般的なソーダガラス、低ソーダガラス(無アルカリガラスを含む)やプラスチックといった素材の基板も用いることが可能となる。従って、例えば、今後量産の要請があるフィールドエミッションディスプレイ(FED)用の電子放出源を製造する様な場合、ガラス基板、プラスチック基板にナノ構造炭素材料を形成し得る好適な方法となる。なおフィールドエミッションはディスプレイのほかにも電子線源や微小真空管などのさまざまな応用が期待されている。
前記電子放出源等を製造する場合、電極となる導電性膜を有する基板を用いることが好ましく、具体的にはAl、Ru、Cu等の金属膜やITO膜などが挙げられる。
(実施例1)
〈金属化合物の溶液を基板上に塗布する工程〉
ニッケルDPM錯体(昭和電工社製)、およびクロムDPM錯体(昭和電工社製)を市販エタノールで希釈し、1:1混合溶液を作製した。この溶液を用いて100mm×100mm×0.5mm低ソーダガラス(コーニング社製)に、常温下でワイヤーバーで塗布を行った。溶媒乾燥後の各錯体の付き量は、各々4.5×10-9mol/cm2であった。
〈基板上に金属酸化物微粒子を付与する工程〉
図5に示す装置構成で、金属化合物の金属成分以外の成分を分解除去し基板上に金属酸化物微粒子を付与した。
電極21a、21bとして、20×20mmで長さ120mmのチタン金属(JIS第2種)に保温用の穴を貫通させ、角をR3に加工した部材を2本用いた。該棒形電極の表面にアルミナセラミックを0.8mmになるまで溶射被覆させた後、アルコキシシランモノマーを有機溶媒に溶解させた塗布液をアルミナセラミック被膜に塗布し、乾燥させた後に、300℃で加熱し封孔処理を行って誘電体22を形成した。上記で作製した棒形電極部材を1mmの間隙を作るように並べて、その間隙を放電ガスを含む原料ガスの導入口とした。
移動ステージ電極27としては、100×500×20mmの平板のチタン金属(JIS第2種)部材を用い、基材設置面にアルミナセラミックを0.8mmになるまで溶射被覆させた後、アルコキシシランモノマーを有機溶媒に溶解させた塗布液をアルミナセラミック被膜に塗布し、乾燥させた後に、300℃で加熱し封孔処理を行って誘電体22を形成した。
移動ステージ電極27の背面を5mm厚みのアルミナセラミックを介してヒーター型ホットプレートをと密着させ加温できる構造とし、電極21a、21bとの距離D、1.5mmとなるように配置させ、これを製造装置として排ガス導出路を備した容器内に設置した。
電極21a、21b内部にシリコンオイルを流通させて保温温度を60℃に保ちながら、N2ガスにO2ガス1.0体積%を含有させた混合ガスを電極間に導入し3分間パージさせた後100kHz、8kVで10秒間プラズマ放電をさせ、金属酸化微粒子を基板26に付与した。
〈ナノ構造炭素材料を形成する工程〉
基板上に金属酸化物微粒子を付与する工程と同じ装置を用いて、金属酸化微粒子が付与された基板上にナノ構造炭素材料を形成させた。
シリコンオイルを電極21内に流通させて保温温度を200℃に保ち、前記基板を設置した電極27は、ヒーターにて基材表面を360℃に保つように保温した。この電極間に、ガス流露を介して、Arガスに水素2体積%を含有させた混合ガスを電極間に導入し10分間パージさせた。パージ後、水素を止め、電極21、27間に13.56MHz、10W/cm2で300秒間プラズマ放電させ、触媒金属微粒子を活性化させた。放電終了後、エタノールをアルゴンに対し0.1体積%含有させた混合ガスを電極間に導入し、再び電極21、27間に13.56MHz、4W/cm2で300秒間プラズマ放電させ、基板上にナノ構造炭素材料を形成させた。
《評価》
得られた試料について、ラマン散乱分光装置(日本分光社製)にて測定した結果、1590cm-1付近に単層カーボンナノチューブの存在を示す分裂したG−bandと呼ばれるピーク、1350cm-1付近にはアモルファスカーボンや多層カーボンナノチューブといった副生成物の存在を示すD−bandと呼ばれるピーク、そして200cm-1付近の単層カーボンナノチューブ(SWNT)の直径方向全対称伸縮振動(ラジアルブリージングモード(RBM))に起因するSWNTの直径分布を示すピークを確認した。前記D−bandのピークの高さは、G−bandのそれに対して1/8程度であり、収率よく単層カーボンナノチューブができていることがわかった。また、SEM(走査型電子顕微鏡)で観察した結果、基材上に単層カーボンナノチューブと思われる構造体を一面に垂直配向した状態で確認した。
(実施例2)
実施例1における金属化合物の溶液を基板上に塗布する工程において、溶媒乾燥後の各錯体の付き量を各々1.6×10-7mol/cm2とした以外は、実施例1と同様の試料を作製し評価した結果、ほぼ実施例1と同様の評価結果が得られた。
(実施例3)
実施例1における金属化合物の溶液を基板上に塗布する工程において、溶媒乾燥後の各錯体の付き量を各々0.8×10-7mol/cm2とした以外は、実施例1と同様の試料を作製し評価した結果、実施例1と同様、ラマン散乱分光装置にて、1590cm-1付近にG−bandのピーク、1350cm-1付近のD−bandと呼ばれるピークが得られたが、前記D−bandのピークの高さは、G−bandのそれに対して1/2程度となり、若干の多層カーボンナノチューブや副生成物の存在の割合が高くなっていることがわかった。
(実施例4)
〈金属化合物の溶液を基板上に塗布する工程〉
実施例1における金属化合物の溶液を基板上に塗布する工程において、金属化合物をニッケルDPM錯体、および鉄DMHD錯体に変更した以外は、実施例1と同様にして金属化合物の溶液を基板上に塗布した。
〈基板上に金属酸化物微粒子を付与する工程〉
実施例1と同様にして、金属化合物の金属成分以外の成分を分解除去し基板上に金属酸化物微粒子を付与した。
〈ナノ構造炭素材料を形成する工程〉
図4に示す装置を用いて金属酸化微粒子が付与された基板上にナノ構造炭素材料を形成させた。
シリコンオイルを電極21内に流通させて保温温度を100℃に保ち、金属酸化微粒子が付与された基板を設置した電極27は、ヒーターにて基材表面を360℃に保つように保温した。この電極間に、ガス流露を介して、窒素ガスに水素3体積%を含有させた混合ガスを電極間に導入し3分間パージさせた。パージ後、電極21、27間に50kHzで8KV、13.56MHzで10W/cm2のプラズマ放電を300秒間行い、触媒金属微粒子を活性化させた。
放電終了後、水素を止め、メタンガス、水(水蒸気)をN2ガスに対しそれぞれ0.4体積%、0.03体積%含有させた混合ガスを電極間に導入し、再び電極21、27間に50kHzで8KV、13.56MHz、5W/cmで300秒間プラズマ放電させ、基板上にナノ構造炭素材料を形成させた。
《評価》
得られた試料を実施例1と同様、ラマン散乱分光装置にて測定した結果、1590cm-1付近にG−bandのピーク、1350cm-1付近にD−bandと呼ばれるピークが得られた。前記D−bandのピークの高さは、G−bandのそれに対して1/6程度であり、収率よく単層カーボンナノチューブができていることがわかった。また、SEM(走査型電子顕微鏡)で観察した結果、基板上に単層カーボンナノチューブと思われる構造体を一面に垂直配向した状態で確認した。
大気圧プラズマ放電処理装置のガス導入部及び電極部の一例を示す断面図である。 大気圧プラズマ放電処理装置のガス導入部及び電極部の他の例を示す断面図である。 大気圧プラズマ放電処理装置の他の例を示す図である。 大気圧プラズマ放電処理装置の更に他の例を示す図である。 実施例のナノ構造炭素材料形成工程に用いた装置構成を示すモデル図である。
符号の説明
1 放電ガスを含むガス
2 ナノ構造炭素材料形成ガスを含む混合ガス
4、5 ガス流露
11 電源
21a、21b 電極
22 誘電体
23 放電空間
25 混合空間
26 基板
27 移動ステージ

Claims (16)

  1. 金属化合物の溶液を基板上に塗布する工程と、乾燥した後にプラズマ処理することにより金属化合物の金属成分以外の成分を分解除去し基板上に金属酸化物微粒子を付与する工程と、基板上にナノ構造炭素材料を形成する工程を有することを特徴とするナノ構造炭素材料の製造方法。
  2. 前記プラズマ処理が、大気圧又は大気圧近傍の圧力下で、高周波電圧を対向する電極間に印加することにより放電プラズマを発生させる大気圧プラズマ方法であることを特徴とする請求項1に記載のナノ構造炭素材料の製造方法。
  3. 前記基板上における金属化合物の付き量が金属として1.2×10-7mol/cm2以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載のナノ構造炭素材料の製造方法。
  4. 前記金属化合物が有機金属化合物であることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載のナノ構造炭素材料の製造方法。
  5. 前記金属化合物の溶液を基板上に塗布する工程の前に、基板を洗浄する工程を有することを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載のナノ構造炭素材料の製造方法。
  6. 前記基板を洗浄する工程を大気圧プラズマ方法で行うことを特徴とする請求項5に記載のナノ構造炭素材料の製造方法。
  7. 前記ナノ構造炭素材料を形成する工程を大気圧プラズマ方法で行うことを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載のナノ構造炭素材料の製造方法。
  8. 前記ナノ構造炭素材料を形成する工程が、前記基板上に付与した金属酸化物微粒子を活性化させる工程とナノ構造炭素材料を形成する工程に分かれていることを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載のナノ構造炭素材料の製造方法。
  9. 前記基板上に付与した金属酸化物微粒子を活性化させる工程を大気圧プラズマ方法で行うことを特徴とする請求項8に記載のナノ構造炭素材料の製造方法。
  10. 前記ナノ構造炭素材料を形成する工程を大気圧プラズマ方法で行うことを特徴とする請求項8又は9に記載のナノ構造炭素材料の製造方法。
  11. 放電プラズマを発生させる放電空間に導入するガスの50体積%以上がArガス及び/又はN2ガスであることを特徴とする請求項2〜10の何れか1項に記載のナノ構造炭素材料の製造方法。
  12. 電極間に印加する電圧が周波数0.5kHz〜100MHzであることを特徴とする請求項2〜11の何れか1項に記載のナノ構造炭素材料の製造方法。
  13. 少なくとも一方の電極が誘電体で被覆されていることを特徴とする請求項2〜12の何れか1項に記載のナノ構造炭素材料の製造方法。
  14. 大気圧プラズマ方法を用いてナノ構造炭素材料を形成するにあたり400℃以下で行うことを特徴とする請求項2〜13の何れか1項に記載のナノ構造炭素材料の製造方法。
  15. 請求項1〜14の何れか1項に記載の製造方法により形成されたことを特徴とするナノ構造炭素材料。
  16. 請求項15に記載のナノ構造炭素材料を表面に有することを特徴とする基板。
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