JP2005306318A - 自動車用ロードホイール - Google Patents
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Abstract
【解決手段】スポーク部5のインナ側の表面5iにはスポーク長手方向にリブ6を立設する。リブ6の高さ低減開始箇所9よりもハブ部2側(内周側)ではリブ6の高さを略一定とする。高さ低減開始箇所9よりもリム部4側(外周側)ではリブ6の終端部6rrの高さを、結合箇所8のリブ高さ位置6hとリブ6の終端である結合箇所10の高さ位置6rを結ぶ一点鎖線よりもインナ側に向けて突出するような高さとする。
【選択図】図3
Description
ロードノイズの伝達経路にあるロードホイールは、一般に200〜300Hzの帯域で固有振動数を有するため、この帯域の振動がタイヤからロードホイールへ入力されると、ロードホイール自身との共振と相俟って、振動伝達が特に大きくなり、車内騒音が悪化することが知られている。
また、200〜300Hzの帯域では、タイヤの固有振動数とも一致し、タイヤの空洞共鳴による振動伝達も相俟って車内騒音がさらに悪化する場合がある。
そこでロードホイールの剛性を高めて固有振動数を200〜300Hzの帯域よりも上げることが、車室内の騒音および振動の低減に有効である。
ロードホイールの振動伝達低減対策として具体的には、スポーク部の剛性を高めて「面倒れ現象」が400Hz以上の帯域で生じるよう設計するのが有効であり、このような発明としては従来、例えば特許文献1に記載のごときものが知られている。特許文献1に記載の車両用ホイールは、各ハブボルト孔の両側に一対のスポーク部を設け、これらスポーク部の長手方向に直角な断面積をハブ部に近づくほど大きく構成し、複数の放射状スポーク部の剛性を高めて面倒れ現象が400Hz以上の振動で生じるよう構成したものである。
つまり、先ず各ハブボルト孔の両側に一対のスポーク部を有する形状のロードホイールにしか適用できないため、ハブボルト孔の2倍のスポーク本数を設ける必要が生じ、デザイン上の制約が大きくなって実施の態様が限定される。
片持ちばりの最適解(自由端に作用する力に抗して、少ない体積で大きな剛性を得ることができるはりの立体的形状)は、図8(a)に示すようにはりの横断面の断面形状が円(半径をR〇,rで示す)であって、その半径は自由端側が固定端側より小さくなる。また、その縦断面形状は図8(b)に実線で示すような図および以下の式で表わすことができる。
ここで、Lははりの全長、xははりの自由端から長手方向の距離、ROははりの固定端の断面の半径、rははりの自由端から距離xの位置における断面半径とする。これよりはりの表面は、長手方向にわたって3次関数の放物線となる。
まず、体積Vを求めるに、これは次式から求め得る。
式(2)よりYは、
となる。
ここで、DOははりの固定端における厚さの半分値、dははりの自由端から距離xの位置における厚さの半分値とする。これよりはりの表面は、長手方向にわたって2次関数の放物線となる。
となる。
そして、はりの形状は固定端側で略一定の太さを確保しつつ、自由端側を細くすればよく、自由端側を太くしてもはりの重量が増加するだけで剛性の向上がそれほど期待できない。
ホイール中心部にあるハブ部と、タイヤを装着するリム部とを、ホイール径方向を長手方向とする複数のスポーク部で結合した自動車用ロードホイールにおいて、
ロードホイールの実用状態で車幅方向内側となる前記スポーク部のインナ面に補強用のリブを、該スポーク部インナ面およびハブ部間の結合箇所から前記長手方向へ、スポーク部インナ面およびハブ部間の結合箇所とスポーク部インナ面およびリム部間の結合箇所との間における任意の箇所まで延在させて設け、
スポーク部インナ面およびハブ部間の結合箇所における該リブの高さを、スポーク部インナ面およびハブ部間の結合箇所から遠いリブ終端における該リブの高さより高くし、
該リブの少なくとも一部の高さをスポーク部インナ面およびハブ部間の結合箇所のリブ高さ位置と前記リブ終端のリブ高さ位置を結ぶ線よりも前記車幅方向内側に向けて突出するような高さとしたことを特徴としたものである。
重量の増加を最小限に押さえながら「面倒れ現象」が生じるロードホイールの剛性を高めて固有振動数を上げることができる。
したがって本発明によれば、ロードホイールが抱える重量および剛性の両立に関する問題を解消し、ロードホイールの軽量化に寄与するとともに車内騒音を低減することができる。
図1は本発明の実施例になる自動車用ロードホイールを車幅方向斜め内方から見た斜視図である。
自動車用ロードホイール1の回転中心にあるハブ部2には、図示せざるアクスル部材に取り付けるための複数のハブボルト孔3を、ホイール回転軸に設けたセンタ孔11から等距離に、かつ等間隔に穿設する。
なお、ロードホイール1を車両に取り付ける実用状態で、図1中に表されているハブ部2の端面は車幅内方に向かう。以下、車幅内方へ向かう側をインナ側という。
インナ側と反対にあって、ロードホイール1を車両に取り付ける実用状態で車幅外方に向かう側をアウタ側という。
スポーク部5の表面のインナ側に向かうインナ面5iには、スポーク部5の曲げ強度を補強するために、幅方向中央で長手方向に延在するよう一定幅のリブ6を設ける。スポーク部5の両側縁には長手方向全長に亘りフランジ7を設ける。
フランジ7の側縁7sはインナ側へ向けて折曲し、リブ6の高さにおいて一致する。
また、横断面形状においてスポーク部5のアウタ側の表面5oは、図2(a)に示すように略平面でもよく、あるいは図2(b)に示すようにアウタ側に突出する凸曲面としてもよく、あるいは図2(c)に示すようにインナ側に窪んだ凹曲面としてもよく、デザイン上の自由度を持たせることが可能である。
リブ6は、ハブ部2とスポーク部5との結合箇所8から、外周側にかけて延在し、スポーク部5とリム部4の結合箇所10までに至り、リブ6のハブ部2側の端部と、リム部4側の端部は、それぞれハブ部2とリム部4と接合している。
結合箇所8におけるリブの高さ(8と6hとの距離H1)は、この結合箇所8から遠いリブ6の終端(本実施例では結合箇所10)におけるリブの高さ(10と6rとの距離H2)よりも高くし、スポーク部5のリム部4側の剛性よりハブ部2側の剛性を高くする。
さらに、リブ6のリム部4側の部分6rrの高さを、結合箇所8のリブ6の高さ位置6hとリブ終端の高さ位置6rを結ぶ一点鎖線よりもインナ側に向けて突出するような高さとし、上述した(6)式および図9に示した楔状をリブ6に取り入れる。
高さ低減開始箇所9よりもリム部4側では、リブ6の高さを、(6)式の2次曲線または(1)式の3次曲線等の放物線とし、上記した図3の一点鎖線に対し、終端部6rrがインナ側に突出するようにしつつ、リブ6の高さを滑らかに低減させる。終端の高さ位置6rでは、終端部6rrとリム部4間で応力集中に因る金属疲労および破断が生じるのを防止するため隅肉部6cを設けて、終端部6rrとリム部4を滑らかに結合する。
この本旨に基づきリブ6の高さを定めることにより、上記した従来のロードホイールが抱える重量および剛性の両立に関する問題を解消することができるのである。したがって例えば、ロードホイール1取り付け時のレイアウトの関係上リブ6の高さを充分確保できない場合には、リブ6の幅を増すことにより、リブ6の剛性を確保してもよいこと勿論である。
図4の斜視図に示すようにリブ6の終端6eをスポーク部5のインナ面5iおよびハブ部2間の結合箇所8とスポーク部5のインナ面5iおよびリム部4間の結合箇所10との間における中間部分まで延在させて設けてもよい。図4はスポーク部5をインナ側から見た斜視図であり、リブ6の形状の特徴を説明するため模式的に示したもので、リブ6のハブ部2側部分ではリブ6の高さをリム部4に近づくにつれて漸次減少させ、リブ6のリム部4側部分ではリブ6の高さをリム部4に近づくにつれてハブ部2側部分より大きく減少させる。
図4中、スポーク部5の中間位置であって、結合箇所8からスポーク部5全長Lsの40%の距離Laだけ外周側の位置と、結合箇所8からスポーク部5全長Lsの60%の距離Lbだけ外周側の位置との間の区間には、高さ低減開始箇所9を設ける。
そしてリム部4側にある終端6eは、高さ低減開始箇所9とインナ面5iおよびリム部4間の結合箇所10との間とする。
またリブ6の高さを、高さ低減開始箇所9およびリム部4側の終端6eとの間における終端部6rrで、図5(a)中矢で示すように一層低減を行わせて、インナ側にふくらんだ放物線となるよう構成する。
なお図4(a)に示した他、図4(b)乃至(d)に示すように、高さ低減開始箇所9よりもリム部4側では、リム部4側に向かうにつれてリブ幅Bを小さくしてもよい。
すなわち、図4(b)に示すようにリム部4側に向かうにつれてリブ幅Bの減少率を小さくして、終端6eをリム部4側へ向けて引き伸ばすよう設けてもよい。あるいは図4(c)に示すようにリム部4側に向かうにつれてリブ幅Bの減少率を大きくして、終端6eをリム部4側へ向けて丸めるよう設けてもよい。あるいは図4(d)に示すようにリブ幅Bの減少率を一定にして、終端6eをリム部4側へ向けて尖らすよう設けてもよい。また、図4(a),(b)に示すように終端6eでリブ幅Bを残しておいてもよく、あるいは図4(c),(d)に示すようにリム部4側でリブ幅Bを0となるよう終端6eを鋭くしてもよい。
上述した技術的な考察結果に基づき、固定端側(ハブ部2側)でスポーク部5の剛性を略一定に確保しつつ、自由端側(リム部4側)でスポーク部5の剛性を低くすることが可能となり、ロードホイール1の重量の増加を最小限に押さえながらロードホイール1の剛性を高めて重量および剛性の要求を両立させることができる。また、ロードホイール1のインナ側に設けたブレーキキャリパとリブ6との間で隙間を確保して、相互に干渉することを防止することができる。
上述した技術的な考察結果に基づき、リブ6を上記の図9に示した楔形のようにして、効果的にスポーク部5の剛性を高めることができる。
また、スポーク部5の全長も本実施例に限定されず、本発明のリブ形状を実施するにあたっては例えば、図6(c)に示すようにスポーク部5のホイール径方向全長が相対的に短いディッシュタイプのロードホイール1であってもよい。
また、本実施例では、1本のスポーク部5につき1つのリブ6を立設したが、複数のリブを設けても本発明の効果である重量および剛性の両立を実現すること勿論である。
2 ハブ部
3 ハブボルト孔
4 リム部
5 スポーク部
5i スポーク部のインナ面
6 リブ
7 フランジ
9 リブの高さ低減開始箇所
Claims (4)
- ホイール中心部にあるハブ部と、タイヤを装着するリム部とを、ホイール径方向を長手方向とする複数のスポーク部で結合した自動車用ロードホイールにおいて、
ロードホイールの実用状態で車幅方向内側となる前記スポーク部のインナ面に補強用のリブを、該スポーク部インナ面およびハブ部間の結合箇所から前記長手方向へ、スポーク部インナ面およびハブ部間の結合箇所とスポーク部インナ面およびリム部間の結合箇所との間における任意の箇所まで延在させて設け、
スポーク部インナ面およびハブ部間の結合箇所における該リブの高さを、スポーク部インナ面およびハブ部間の結合箇所から遠いリブ終端における該リブの高さより高くし、
該リブの少なくとも一部の高さを、スポーク部インナ面およびハブ部間の結合箇所のリブ高さ位置と前記リブ終端の高さ位置を結ぶ線よりも前記車幅方向内側に向けて突出するような高さとしたことを特徴とする自動車用ロードホイール。 - 前記リブの前記リム部側の高さを、前記スポーク部インナ面およびハブ部間の結合箇所のリブ高さ位置と前記リブ終端の高さ位置を結ぶ線よりも前記車幅方向内側に突出させるような高さとしたことを特徴とする請求項1に記載の自動車用ロードホイール。
- 前記リブを前記ハブ部から前記リム部まで延在させるとともに、前記リブの前記ハブ部側の高さを、前記スポーク部インナ面およびハブ部間の結合箇所のリブ高さ位置と前記リブ終端の高さ位置とを結ぶ線よりも車幅方向外側に凹ませるような高さとし、
前記リブの前記リム部側の高さを、前記スポーク部インナ面およびハブ部間の結合箇所のリブ高さ位置と前記リブ終端の高さ位置を結ぶ線よりも前記車幅方向内側に突出させるような高さとしたことを特徴とする請求項1に記載の自動車用ロードホイール。 - 前記リブの高さを、前記スポーク部インナ面およびハブ部間の結合箇所から前記長手方向へ低減させる低減量は、前記スポーク部インナ面およびハブ部間の結合箇所から前記スポーク部インナ面およびハブ部間の結合箇所とスポーク部インナ面およびリム部間の結合箇所との中間部までの低減量より、前記スポーク部インナ面およびハブ部間の結合箇所とスポーク部インナ面およびリム部間の結合箇所との中間部から前記リブ終端部まで低減量を大きくしたことを特徴とする前記請求項1乃至3のいずれか一つに記載の自動車用ロードホイール。
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