JP2005305521A - 絞り疵発生を防止した熱間仕上圧延方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 絞り疵の発生をバーヒーターの加熱ランニングコストを最小限にして解消し得る熱間仕上圧延方法を提供すること。
【解決手段】 粗バーの全幅を加熱可能なバーヒーターを仕上圧延機スタンドよりも加熱炉側もしくは仕上圧延機スタンド間に設置してホットコイルを製造する熱間仕上圧延方法において、仕上圧延後の鋼板先端100mからホットランテーブル長+100mの区間となる鋼板幅方向の幅方向クオーター部の内側とオープンサイド、ドライブサイドの各外側とで温度差が絞り疵が発生する温度差以下、好ましくは15℃以下となるようにバーヒーターで粗バーを加熱することを特徴とする絞り疵発生を防止した熱間仕上圧延方法。
【選択図】 図9

Description

本発明は、粗バーの全幅を加熱可能なバーヒーターを仕上圧延機スタンドよりも加熱炉側もしくは仕上圧延機スタンド間に設置してホットコイルを製造する熱間仕上圧延方法において、仕上圧延機スタンド間もしくは仕上圧延機出側の形状不良に起因して、熱延鋼板の先端からミドル部に発生する絞り疵をバーヒーターの加熱ランニングコストを最小限にして解消する熱間仕上圧延方法に関するものである。
鋼板の熱間圧延方法は、加熱炉で所定の温度に加熱した鋼片(スラブ)を熱間圧延ラインの粗圧延機で所定の厚さに粗圧延して粗バーとなし、必要に応じて粗バーの先尾端をクロップシャーで切断し、圧延中に放冷によって温度低下した粗バーをバーヒーターで加熱してその温度低下を回復させた後に、複数基のスタンドからなる連続仕上圧延機で仕上圧延し、圧延された鋼板をホットランテーブルの冷却スタンドにおいて冷却してコイラーで巻き取ることにより行われるのが一般的である。
また、仕上圧延の前に粗バー同士を接合して仕上圧延を行う連続圧延(エンドレス圧延)によっても熱延鋼板は製造されている。この場合は、粗圧延した粗バーをコイルボックスで巻き取り、コイルボックスから巻き戻された粗バーの先端と、先行する粗バーの後端とを溶接機で接合し、連続的に仕上圧延を行っている。
これらの熱間圧延においては、粗圧延された粗バーの両端部、先端部の温度低下が避けられず、粗バーの幅方向や長手方向の温度分布が不均一のまま圧延を行えば、仕上圧延中に鋼板に耳波や中波が発生したり、幅方向や長手方向の機械的性質が不均一の熱延鋼板となる。
特に、熱延鋼板(ホットコイル)の先端からミドル部には、仕上圧延機スタンド間もしくは仕上圧延機出側の形状不良に起因する絞り疵が発生するという問題がある。
鋼帯(ストリップ)に発生する絞り疵防止技術として、コイル巻き取り方法が提案されている。すなわち、ストリップの尾端が仕上圧延機を抜けた後のタイミングにおけるピンチロールのトルクを検出し、その検出したトルクに基づいてピンチロールの押し力を調整するようにしたコイル巻き取り方法がある(例えば、特許文献1参照)。しかし、このコイル巻き取り方法では、コイラーピンチロール到達以前のストリップ形状が既に大きな端伸びになっているケースではピンチロールの押し力調整のみでは絞り疵を回避できないし、また、ストリップの尾端に合わせて調整しているがミドル部で発生するコイラーピンチロール到達以前のストリップ形状に起因する絞り疵にたいして回避できないという問題がある。
図1は、鋼板に発生する絞り疵の概要を示す図である。
仕上圧延機スタンド間もしくは仕上圧延機出側の形状不良に起因する仕上圧延後の鋼板の先端からミドル部に発生する絞り疵とは、図1(a)に示すように、ホットコイル(熱延鋼板)の板厚が1.2mm〜4.5mm程度の特に薄物で、また、コイル幅の広い物に発生比率が高く、製品となったホットコイル(熱延鋼板)1を幅方向センター2と幅方向クオーター3に分けると、幅方向クオーター(1/4)からエッジ方向に完全な幅方向よりやや傾斜して絞り疵4が発生する。この絞り疵4の断面5は、図1(b)〜(d)に示してあり、(b)のように端波や皺を押し潰したような白い筋模様の表面模様疵21、(c)のように実際に部分的に押し潰された2枚噛み22となって板厚が厚くなっている疵、および、(d)のように筋条に幅方向のクオーター付近またはエッジに亙って割れている形態の表面割れ23形状の疵となっている。
そして、コイル長手方向では、(b)及び(c)の形態はフロントからミドル部に発生し、(d)の形態はフロントからコイル全長に発生する。
また、熱間圧延ラインの仕上げ圧延機入り側にバーヒーターとしてエッジヒータや誘導加熱装置を配設して、仕上圧延前の粗バーを加熱し、粗バーの幅方向温度分布や長手方向温度分布を均一化することが種々提案されている。
例えば、粗圧延機と仕上圧延機との間に、粗バーをその幅方向全体に互って加熱するためのバーヒーターとしてソレノイド誘導加熱装置と、粗バーの両エッジ部を加熱するためのエッジヒータを設け、ソレノイド誘導加熱装置とエッジヒータとによって、仕上圧延機入り側における粗バーを幅方向に均一温度となるように加熱することが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
さらに、粗圧延機と仕上圧延機との間に粗バーの幅方向全体を加熱するバーヒーターとしてソレノイド型誘導加熱装置を配置して、熱延鋼帯の圧延仕上げ温度が長手方向に一定となるように加熱制御することを特徴とする熱延鋼帯の製造方法が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
これらの従来の加熱方法は鋼板全体を加熱して材質の均一化を目的とするもので、全体を加熱するため加熱のランニングコストが悪く、また、仕上圧延機出側の形状不良に起因する絞り疵を防止することについては何ら考慮が払われていなかった。
特開2001−276924号公報 特開平9−314215号公報 特許第3284913号公報
仕上圧延機スタンド間もしくは仕上圧延機出側の形状不良に起因するホットコイルの先端からミドル部に発生する絞り疵は、仕上圧延機スタンド間もしくは仕上圧延機出側の鋼板温度が低くなることによって生じるものであるから、バーヒーターによって仕上圧延機前もしくは仕上圧延機スタンド間で粗バー(鋼板)を加熱昇温させることで解消できる。
本発明は、絞り疵の発生をバーヒーターの加熱ランニングコストを最小限にして解消し得る熱間仕上圧延方法を提供することを解決課題とするものである。
熱間圧延における仕上圧延は、ホットコイル(熱延鋼板)先端がホットランテーブル(HRT)を通過する時は圧延速度を低くしてホットランテーブル上でのアコーデオン状のループを最小限に止め、ホットコイル先端がコイラーに噛み込まれてホットランテーブル上の熱延鋼板に張力が付与された以降に圧延速度を加速する速度パターンで実施される。そのため、コイル先端がホットランテーブルを通過する時(スレディング速度)の速度がホットコイル全長内で最も低速となる。圧延速度が遅くなると、仕上圧延機入り側から出側までの通過時間が長くなり空冷やスタンド内での水冷による温度抜熱が大きく、また、ロールバイト内での加工発熱や摩擦発熱が小さくなって仕上圧延機出側の鋼板温度が低くなり、ホットコイル先端100mからホットランテーブル長+100mの区間において絞り疵が発生することを知見した。
本発明は、上記知見に基づいて完成したもので、その発明の要旨は次のとおりである。 (1) 粗バーの全幅を加熱可能なバーヒーターを仕上圧延機スタンドよりも加熱炉側もしくは仕上圧延機スタンド間に設置してホットコイルを製造する熱間仕上圧延方法において、仕上圧延後の鋼板先端100mからホットランテーブル長+100mの区間となる鋼板幅方向の幅方向クオーター部の内側とオープンサイド、ドライブサイドの各外側とで温度差が絞り疵が発生する温度差未満となるようにバーヒーターで粗バーを加熱することを特徴とする絞り疵発生を防止した熱間仕上圧延方法。
(2) 仕上圧延後の鋼板幅方向の幅方向クオーター部の内側とオープンサイド、ドライブサイドの各外側とで温度差が15℃未満となるようにバーヒーターで粗バーを加熱することを特徴とする請求項1記載の絞り疵発生を防止した熱間仕上圧延方法。
(3) 仕上圧延機スタンド間もしくは仕上圧延機最終スタンド出側に設置されたシェープメーターの鋼板幅方向中波、耳波の測定値をフィードバックしてその測定値に応じて粗バー幅方向の幅方向クオーター部の内側とオープンサイド、ドライブサイドの両外側とでバーヒーターの出力を変化させることを特徴とする請求項1または2記載の絞り疵発生を防止した熱間仕上圧延方法。
本発明によれば、仕上圧延機スタンド間もしくは仕上圧延機出側の形状不良に起因して、熱延鋼板の先端からミドル部に発生する絞り疵をバーヒーターの加熱ランニングコストを最小限にして解消することができる。
以下図を参酌して本発明を詳細に説明する。
図2は、コイル先端(フロント)から尾端(テール)の仕上圧延機出側温度(幅方向中央部の温度)および絞り疵発生区間を模式的に示す図である。
熱間圧延での仕上圧延は、コイル先端6がホットランテーブルを通過する時はホットランテーブル上でのアコーデオン状のループを最小限に止めるように張力無しで圧延速度を遅くして圧延している。圧延速度が遅くなると、仕上圧延機入り側から出側までの通過時間が長くなり、空冷やスタンド間の水冷による温度抜熱が大きく、また、ロールバイト内での加工発熱や摩擦発熱が小さくなる。このため、図2(b)に示すように、A部で示す区間のコイルの仕上圧延機出側温度は、Ar3変態点以上の温度ではあるが、コイルの長手方向最冷点部となる。コイル先端がコイラーに巻き付くと、以降は張力が付加されるので圧延速度は加速され高速パターンで圧延され、空冷やスタンド間の水冷による温度抜熱が小さく、また、ロールバイト内での加工発熱や摩擦発熱が寄与してB部で示すようにコイル尾端(テール)に向けて高温となる。
図1の(b)および(c)に示す形態の絞り疵発生位置と、コイル長手方向の仕上圧延機出側温度との関係を調査したところ、図2(a)に示すように絞り疵発生位置はフロントより100〜300mであって、この絞り疵発生位置は図2(b)に示す長手方向最冷点部Aと一致していた。
また、図2(b)に示す最冷点部のA部及び最冷点でないB部の仕上圧延時の圧延荷重を測定すると、図3に示すように、A部の方がB部に比較して圧延荷重が20%程度大きくなっていた。これは鋼板温度が低いため、圧延時の変形抵抗が大きくなることに起因する。したがって、A部においてはロールがベントし、端部の圧下量が大きくなる。
図4は、A部(最冷点部)における鋼板幅方向の仕上圧延機出側温度分布を示す図である。
図4に示すように、幅方向温度分布は仕上圧延機出側の鋼板幅方向センター部8の温度が最も低くなっており、幅方向クオーター部9の内側と外側(オープンサイドとドライブサイド)とで温度レベルが異なっていてエッヂ部10の温度が高いM字状の温度分布となっていた。
また、コイル長の影響による鋼板幅方向温度差についてみると、図5に示すように、仕上圧延機出側における鋼板幅方向温度差に及ぼすコイル長位置の影響を幅方向2次元差分モデルで計算した結果は、コイル長が短いほど仕上圧延機出側幅方向温度差が大きいことが分かった。
本発明では、上記に述べたように、コイルフロント(先端)部の長手方向最冷点部の存在、それによる圧延時の変形抵抗の増大、仕上圧延機出側のM字状の不均一な幅方向温度分布、及び、コイル長位置による仕上圧延機出側幅方向温度差等により、仕上圧延機出側の形状不良が生じ、それに起因してコイルフロント部からミドル部に絞り疵が発生することを見出した。
図6及び図7は、絞り疵発生のメカニズムを模式的に示す図である。
仕上圧延においては、ワークロール11の端部から被圧延材である鋼板12に圧下力を及ぼすため、鋼板幅方向に温度分布があり端部の温度が高いと、図6に示すようにワークロールが撓むこととなる。そして、圧下荷重が大きいほどこの撓み量は大きくなる。また、鋼板幅方向の幅方向クオーター部の内側と外側で温度レベルが異なっており、外側の温度が高いため鋼板の外側の変形抵抗が小さく、これによって生じるワークロールの撓み13によって図6のように鋼板幅方向板厚差が生じ、幅方向クオーター部の内側より外側の圧下率が大きくなり、図7に示すように、スタンド間コイル形状が端波形状コイル14形態となる。
このため、コイルが仕上圧延機下流側次スタンド圧延時やコイラーピンチロールで端波形状部がしわ状にたくれ込み2枚噛み込状に絞り込みラップする、または割れを生じる。これが図1(b)および(c)の形態の絞り疵発生の流れである。更に、ロール表面にそのラップした部分の模様をプリントし、その模様が鋼板にプリントされ絞り疵が発生する。これが図1(d)の形態の絞り疵発生の流れである。
図1(b)および(c)の形態の絞り疵がコイル長の最冷点部分に発生する原因は、その部分で圧延荷重が大きいことと、コイル先頭部分の幅方向温度差が大きいことの相加作用により耳波形状が大きいためである。したがって、図1(b)および(c)の形態の絞り疵は、耳波発生後に発生し、圧延荷重もしくは鋼板幅方向温度差を小さくし、耳波形状を小さくすることで改善が図れる。
図8は、圧延荷重の許容(最大圧延荷重)に対する割合(%)と鋼板幅方向温度差との関係で絞り疵発生の条件を示す図である。なお、図8中において、○印は絞り疵の発生、×印は絞り疵が発生しなかった場合を示している。
図8に示すように、ワークロールにかかる最大荷重に対する割合が63%以上なり、鋼板幅方向温度差(幅方向クオーター部の内側とオープンサイド(OS)、ドライブサイド(DS)の各外側での最大最小温度差)が15℃以上となると絞り疵が発生することが確認された。特に、7スタンド仕上圧延機によって仕上圧延する場合には、第2(F2)及び第3(F3)スタンドにおいて絞り疵が発生し易い。圧延荷重が大きくなるのは、図1に示す鋼板の仕上圧延機出側温度の低温部(A部の長手方向最冷点)が存在する区間で、この区間は仕上圧延後の鋼板先端100mからホットランテーブル長+100mの区間に相当する。
したがって、仕上圧延後の鋼板先端100mからホットランテーブル長+100mの区間(例えば、ホットランテーブル長が200mである場合には、コイルのフロントから100〜300mの区間となる)の鋼板幅方向の温度差を15℃未満とすることで、耳波形状を小さくすることができ、絞り疵発生を抑制することができる。
また、図8から、圧延荷重の許容に対する割合を変えれば、絞り疵が発生しない幅方向温度差が変わり得ることが判る。例えば、図8で圧延荷重の許容に対する割合が60%で圧延できれば絞り疵が発生しない幅方向温度差が15℃以上に推移する可能性は有る。
そこで、本実験では、15℃と言う値を得たが、この絞り疵が発生しない幅方向温度差値は、異なる熱延プロセス毎に固有な上限値を求めて、使用しても良い。例えば、本実験で使用した一般的な圧延機よりミル剛性が高い圧延機を用いた場合には20℃未満の温度差でも絞り疵が出ないこととなり、要するに、絞り疵が発生する温度差未満になるようにバーヒーターで粗バーを加熱すればよい。好ましい幅方向温度差は15℃未満である。
図9(a)は、A部仕上圧延機出側の鋼板幅方向温度分布及びバーヒーターによる幅方向中央部加熱昇温量を、図9(b)は、バーヒーター加熱後の鋼板幅方向温度分布を示す模式図である。
図9(a)に示すように、A部仕上圧延機出側幅方向温度分布は幅中央部が低くなるM字状温度分布となっている。そして、高温部と低温部との温度差は20〜40℃となっている。この温度差をなくすには、破線線で示す幅方向中央部加熱昇温量15となるようにバーヒーターで加熱すればよい。
バーヒーターとしては、誘導加熱装置を用いることができ、特に、トランスバース型誘導加熱装置が適する。即ち、トランスバース型誘導加熱装置は鋼板幅方向の特定領域を加熱することができる特性を有しているからである。また、トランスバース型誘導加熱装置を鋼板長手方向に複数台配置することで昇温量を制御することができ、板幅方向に移動可能とすることで任意の幅方向区域を加熱することができる。さらに、トランスバース型誘導加熱装置とソレノイド型誘導加熱装置を併用して用いてもよい。
バーヒーターで鋼板幅方向温度差をフラットにするように加熱すると、図9(b)に示すように、後半幅方向温度差を15℃未満にすることができる。
この加熱は、図1に示す絞り疵(b)、(c)の形態の発生位置であるフロントから100〜300m(ホットランテーブル長200mの場合)に適用することが必要である。即ち、一旦、2枚噛みもしくは割れが生じると、疵がロールにプリントされることとなる区間であるからである。
しかし、フロントから100〜300m以外の区間にバーヒーター加熱を適用することは、絞り疵抑制のためにはバーヒーター電力コストの無駄となる。さらに、幅方向に最小限の加熱を図ることにより、幅方向に全幅加熱することよりも遥かに省エネ効果がある。
バーヒーターの加熱タイミングは、コイル内での最冷点長さが熱延ライン固有のホットランテーブルの長さによって変化する。
図10は、ホットランテーブルの長さに対応して、加熱するに必要なコイル先端からの距離を示す図である。
図10において、●印はバーヒーターによる加熱開始(加熱ON)、○印はバーヒーターによる加熱完了(加熱OFF)を示している。熱間仕上圧延では、コイル先端がホットランテーブルを通過してコイラーに巻き付くと、圧延速度を加速する加速圧延を行うが、圧延速度が上がっても鋼板温度は直ちに上昇しない。加速圧延の加速速度は、圧延機の加速設定によって異なるが、通常では加速圧延によって加工発熱等による鋼板温度の上昇はコイル100mの距離が必要である。
したがって、図10に示すように、バーヒーターの加熱タイミングは、コイラーに巻き付くに必要なコイル先端100mの距離に相当する区間の被圧延材である鋼板は加熱しなくて、それ以降の被圧延材である鋼板を加熱するが、その加熱タイミングはコイル先端100mの位置が仕上圧延機を通過する以降を加熱するように加熱を開始(加熱ON)し、ホットランテーブル(HRT)長の距離と鋼板温度が上昇するに必要な距離100mとの合計距離長さが通過するタイミングで鋼板の加熱を終了(加熱OFF)する。
例えば、ホットランテーブル(HRT)長が200mの場合には、仕上圧延機出側でコイル先端100mが通過するタイミングに合わせて、バーヒーターの加熱を開始し、コイル先端から100m以降の鋼板を仕上圧延機入側で鋼板幅方向温度差がフラットになるように加熱する。そして、仕上圧延機出側でコイル先端から300mが通過するタイミングに合わせて、バーヒーターの加熱を終了する。
バーヒーターによる加熱は、仕上圧延機よりも加熱炉側(仕上圧延機入側)もしくは仕上圧延機のスタンド間において行うが、仕上圧延機入側で行うことが好ましい。
次に、仕上圧延機出側幅方向温度差と絞り疵発生との関係について述べる。鋼板幅方向の温度分布は、図11(a)のようにM字状の温度分布となっているが、この場合の鋼板幅方向温度差16は、鋼板幅によって異なり、幅が広くなると温度差が大きくなる傾向があるが、通常20〜40℃の温度差が生じている。
この鋼板幅方向温度差に起因する絞り疵の発生を調査するため、同一サイズ、鋼種の製造条件が同一のコイルについて、仕上圧延機出側で2〜30℃の種々の温度差となるようにバーヒーターで加熱する仕上圧延試験を行った。バーヒーターによる加熱は、先行材の幅方向温度分布を確認して、その温度分布のデータ-に基づき次材については、コイルフロント部100〜300m(HRT200mとした)の区間に相当する鋼板について、鋼板幅方向の幅方向クオーター部の内側とオープンサイド(OS)、ドライブサイド(DS)の各外側とで仕上圧延機出側で2〜30℃の種々の温度差となるように加熱を行った。なお、ドライブサイドは圧延機の駆動装置が存在する側で、オープンサイドはその駆動装置が存在しない側を意味する。
図11(b)は、仕上圧延機出側幅方向温度差(℃)の影響によって生ずる絞り疵による格落ち発生率(%)を調査した結果を示す図である。図11(b)に示すように、仕上圧延機出側幅方向温度差(幅方向クオーター部の内側とオープンサイド(OS)、ドライブサイド(DS)の各外側での最大最小温度差)が15℃未満の場合には絞り疵による格落ち発生率は0%であった。仕上圧延機出側幅方向温度差が15℃以上になるに従って絞り疵による格落ち発生率は増加していた。よって、絞り疵発生を抑制するには、仕上圧延機出側幅方向温度差を15℃未満にすることが好ましいことが分かった。
したがって、本発明では、仕上圧延後の鋼板先端100mからホットランテーブル長+100mの区間において鋼板幅方向の幅方向クオーター部の内側とオープンサイド(OS)、ドライブサイド(DS)の各外側とで温度差が絞り疵が発生しない温度差として、例えば図11(b)に示す15℃未満となるようにバーヒーターで加熱することとした。
鋼板を加熱するためのバーヒーターの加熱制御は、同一サイズ、鋼種の製造条件が同一のコイルでは、先行材の幅方向温度分布を事前に確認しておき、その結果を次材に反映することで、幅方向温度差を縮小するに適切なバーヒーターの出力制御を行うことができる。しかし、同一サイズ、鋼種の1本目のコイルや、1本毎にサイズ、鋼種が変化する場合では、バーヒーターの出力代が事前に察知でないため、加熱不足や過加熱による電力ロスの発生を伴うこととなる。
そこで、本発明では、同一サイズ、鋼種の1本目のコイルや、1本毎にサイズ、鋼種が変化する場合でも、適切な出力をバーヒーターに付加することができる加熱制御を行うこととした。
図12は、同一サイズ、鋼種の製造条件が同一でないコイルを製造する場合のバーヒーターの加熱制御を示す図である。
図12に示すように、熱延ラインにおいて、仕上圧延機スタンド群17の入側あるいは仕上圧延機スタンド間(スタンド間は図示していない)にバーヒーター18を配置して、仕上圧延機出側の鋼板幅方向温度差が15℃以下となるように仕上圧延前あるいは仕上圧延機スタンド間で鋼板を加熱する。この場合、仕上圧延機スタンド間もしくは仕上圧延機最終スタンド出側に設置したシェープメータ19により、鋼板幅方向中波、耳波の測定を行い、その測定値をバーヒーター加熱制御装置20にフィードバックし、シェープメーターの測定形状がフラット(定められた値)になるように鋼板幅方向の幅方向クオーター部の内側とオープンサイド(OS)、ドライブサイド(DS)の各外側とでバーヒーターの加熱出力を変化させるように加熱制御を行う。このように加熱制御を行うことで、バーヒーターの出力代が事前に察知できない場合であっても適切な加熱出力をバーヒーターに付加することができ、加熱不足や過加熱による電力ロスの発生を回避することができる。
以下本発明の効果を実施例に基づいて詳細に説明する。
普通鋼スラブを加熱炉で1200℃に加熱し粗圧延機で圧延して粗バーとなし、仕上圧延機で仕上圧延温度780℃となる仕上圧延をし、200m長のホットランテーブル(HRT)上で巻取温度まで冷却を行い、コイラーで巻き取って、同一鋼種で同一サイズ(板幅1300mm、板厚2mm)のコイルを製造する試験を行った。
仕上圧延機出側のコイル長手方向最冷点部となる位置を含むコイルフロント(先端)から100m〜300mの位置の幅方向温度を測定すると、幅方向センターで20〜30℃の温度差が有り、これは幅方向最大の温度差となっていた。また、幅方向温度分布はM字状温度分布となっていた。
そこで、本発明例では、仕上圧延機出側の鋼板幅方向の幅方向のクオーター部の内側とオープンサイド、ドライブサイドの各外側とで温度差が10℃以下となるように、仕上圧延機入側に配置したバーヒーター(トランスバース型誘導加熱装置)で、仕上圧延後のコイル先端から100m〜300mの区間となる粗バー幅方向の幅方向クオーター部の内側とオープンサイド、ドライブサイドの各外側を加熱して仕上圧延を行った。一方、比較例として、バーヒーターで加熱を行わないまま仕上圧延を行った。その結果を図13に示す。
図13に示すように、本発明例では絞り疵の発生は無く、格落ち発生率は0%であったが、比較例では絞り疵が発生していて、格落ち発生率は8%になった。
以上のように、本発明例によれば、仕上圧延機スタンド間もしくは仕上圧延機出側の形状不良に起因して、熱延鋼板の先端からミドル部に発生する絞り疵をバーヒーターの加熱ランニングコストを最小限にして解消することができた。
鋼板に発生する絞り疵の概要を示す図である。 コイル先端(フロント)から尾端(テール)の仕上圧延機出側温度(幅方向中央部の温度)および絞り疵発生区間を模式的に示す図である。 最冷点部A部の圧延荷重と最冷点でないB部の圧延荷重との測定結果を示す図である。 A部(最冷点部)における鋼板幅方向の仕上圧延機出側温度分布を示す図である。 コイル長の影響による鋼板幅方向温度差を示す図である。 絞り疵発生のメカニズムを模式的に示す図である。 絞り疵発生のメカニズムを模式的に示す図である。 圧延荷重の許容(最大圧延荷重)に対する割合(%)と鋼板幅方向温度差との関係で絞り疵発生の条件を示す図である。 (a)は、A部仕上圧延機出側の鋼板幅方向温度分布及びバーヒーターによる幅方向中央部加熱昇温量を、(b)は、バーヒーター加熱後の鋼板幅方向温度分布を示す模式図である。 ホットランテーブルの長さに対応して、加熱するに必要なコイル先端からの距離を示す図である。 仕上圧延機出側幅方向温度差(℃)の影響によって生ずる絞り疵による格落ち発生率(%)を調査した結果を示す図である。 バーヒーターの加熱制御を示す図である。 仕上圧延後の格落ち発生率を示す図である。
符号の説明
1 ホットコイル(熱延板)
2 幅方向センター
3 幅方向クオーター
4 絞り疵
5 断面
6 フロント(先端)
7 テール(尾端)
8 幅方向センター
9 幅方向クオーター
10 エッヂ
11 ワークロール
12 鋼板
13 ワークロールの撓み
14 端波形状コイル
15 幅方向中央部加熱昇温量
16 仕上圧延機出側幅方向温度差
17 仕上圧延機スタンド群
18 バーヒーター
19 シェープメーター
20 バーヒーター加熱制御装置
21 表面模様疵
22 2枚噛み
23 割れ

Claims (3)

  1. 粗バーの全幅を加熱可能なバーヒーターを仕上圧延機スタンドよりも加熱炉側もしくは仕上圧延機スタンド間に設置してホットコイルを製造する熱間仕上圧延方法において、仕上圧延後の鋼板先端100mからホットランテーブル長+100mの区間となる鋼板幅方向の幅方向クオーター部の内側とオープンサイド、ドライブサイドの各外側とで温度差が絞り疵が発生する温度差未満となるようにバーヒーターで粗バーを加熱することを特徴とする絞り疵発生を防止した熱間仕上圧延方法。
  2. 仕上圧延後の鋼板幅方向の幅方向クオーター部の内側とオープンサイド、ドライブサイドの各外側とで温度差が15℃未満となるようにバーヒーターで粗バーを加熱することを特徴とする請求項1記載の絞り疵発生を防止した熱間仕上圧延方法。
  3. 仕上圧延機スタンド間もしくは仕上圧延機最終スタンド出側に設置されたシェープメーターの鋼板幅方向中波、耳波の測定値をフィードバックしてその測定値に応じて粗バー幅方向の幅方向クオーター部の内側とオープンサイド、ドライブサイドの各外側とでバーヒーターの出力を変化させることを特徴とする請求項1または2記載の絞り疵発生を防止した熱間仕上圧延方法。
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