以下、本発明の実施の形態を、図1を参照して詳細に説明する。以下に説明する方法は平滑な銅箔を用いて基板を作製する際、樹脂−樹脂間に接着補助層を用いる方法であり、発明の一例である。
まず、2層より成るコア基板を作製する。コア基板の製造方法は本発明では特に限定しない。本発明で述べるコア基板とは基板を作製するための中間体となる配線が形成された基板である。以下に述べるのはコア基板にも微細配線を形成する方法の一例である。コア基板を作製する場合、図1(a)に示すようなプリプレグ1の両側に金属箔2を有する積層板を用いる方法が安価で好ましい。
プリプレグは樹脂組成物を基材に含浸又は塗工してなるものであり、基材としては各種の電気絶縁材料用積層板に用いられている周知のものが使用できる。基材の材質の例としては、Eガラス,Dガラス,Sガラス又はQガラス等の無機物繊維、ポリイミド、ポリエステル又はテトラフルオロエチレン等の有機繊維、及びそれらの混合物等が挙げられる。これらの基材は、例えば織布、不織布、ロービンク、チョップドストランドマット、サーフェシングマット等の形状を有するが、材質及び形状は、目的とする成形物の用途や性能により選択され必要により単独もしくは2種類以上の材質及び形状からの使用が可能である。基材の厚みには特に制限はないが、通常0.03〜0.5mm程度のものを使用し、シランカップリング剤等で表面処理したものや機械的に開繊処理を施したものは耐熱性や耐湿性、加工性の面から好適である。
樹脂組成物は、プリント配線板の絶縁材料として用いられる公知慣例の樹脂組成物を用いることができる。通常、耐熱性、耐薬品性の良好な熱硬化性樹脂がベースとして用いられ、熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、シアネート樹脂、マレイミド樹脂、イソシアネート樹脂、ベンゾシクロブテン樹脂、ビニル樹脂などが例示されるが、これらに限定されるわけではない。熱硬化性樹脂は、1種類のものを単独で用いても良いし、2種類以上を混合して用いても良い。
熱硬化性樹脂の中でも、エポキシ樹脂は耐熱性、耐薬品性、電気特性に優れ、比較的安価であることから、絶縁樹脂として広く用いられており特に重要である。エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂などのビスフェノール型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂などのノボラック型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、脂肪族鎖状エポキシ樹脂、ビフェノールのジグリシジルエーテル化物、ナフタレンジオールのジグリシジルエーテル化物、フェノール類のジグリシジルエーテル化物、アルコール類のジグリシジルエーテル化物、及びこれらのアルキル置換体、ハロゲン化物、水素添加物などが例示される。エポキシ樹脂は、1種類のものを単独で用いても良いし、2種類以上を混合して用いても良い。また、このエポキシ樹脂とともに用いる硬化剤はエポキシ樹脂を硬化させるものであれば、限定することなく使用でき、例えば、多官能フェノール類、多官能アルコール類、アミン類、イミダゾール化合物、酸無水物、有機リン化合物及びこれらのハロゲン化物などがある。これらのエポキシ樹脂硬化剤は、1種類のものを単独で用いても良いし、2種類以上を混合して用いても良い。
シアネートエステル樹脂は、加熱によりトリアジン環を繰り返し単位とする硬化物を生成する樹脂であり、硬化物は誘電特性に優れるため、特に高周波特性が要求される場合などに用いられることが多い。シアネートエステル樹脂としては、2,2−ビス(4−シアナトフェニル)プロパン、ビス(4−シアナトフェニル)エタン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−シアナトフェニル)メタン、2,2−ビス(4−シアナトフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、α,α’−ビス(4−シアナトフェニル)−m−ジイソプロピルベンゼン、フェノールノボラック及びアルキルフェノールノボラックのシアネートエステル化物等が挙げられる。その中でも、2,2−ビス(4−シアナトフェニル)プロパンは硬化物の誘電特性と硬化性のバランスが特に良好であり、コスト的にも安価であるため好ましい。またシアネートエステル化合物は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を混合して用いてもよい。また、ここで用いられるシアネートエステル化合物は予め一部が三量体や五量体にオリゴマー化されていても構わない。さらに、シアネート樹脂に対して硬化触媒や硬化促進剤を入れても良い。硬化触媒としては、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛等の金属類が用いられ、具体的には、2−エチルヘキサン酸塩、ナフテン酸塩、オクチル酸塩等の有機金属塩及びアセチルアセトン錯体などの有機金属錯体として用いられる。これらは、単独で使用しても良いし、二種類以上を混合して使用しても良い。硬化促進剤としてはフェノール類を使用することが好ましく、ノニルフェノール、パラクミルフェノールなどの単官能フェノールや、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSなどの二官能フェノールあるいはフェノールノボラック、クレゾールノボラックなどの多官能フェノールなどを用いることができる。これらは、単独で使用しても良いし、二種類以上を混合して使用しても良い。
絶縁材料として用いられる樹脂組成物には、誘電特性、耐衝撃性、フィルム加工性などを考慮して、熱可塑性樹脂がブレンドされてあっても良い。熱可塑性樹脂としては、フッ素樹脂、ポリフェニレンエーテル、変性ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド、ポリカーボネート、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアリレート、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリブタジエンなどが例示されるが、これらに限定されるわけではない。熱可塑性樹脂は、1種類のものを単独で用いても良いし、2種類以上を混合して用いても良い。
熱可塑性樹脂の中でも、ポリフェニレンエーテルおよび変性ポリフェニレンエーテルを配合すると、硬化物の誘電特性が向上するので有用である。ポリフェニレンエーテルおよび変性ポリフェニレンエーテルとしては、例えば、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテルとポリスチレンのアロイ化ポリマ、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテルとスチレン−ブタジエンコポリマのアロイ化ポリマ、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテルとスチレン−無水マレイン酸コポリマのアロイ化ポリマ、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテルとポリアミドのアロイ化ポリマ、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテルとスチレン−ブタジエン−アクリロニトリルコポリマのアロイ化ポリマなどが挙げられる。また、ポリフェニレンエーテルに反応性、重合性を付与するために、ポリマー鎖末端にアミノ基、エポキシ基、カルボキシル基、スチリル基、メタクリル基などの官能基を導入したり、ポリマー鎖側鎖にアミノ基、エポキシ基、カルボキシル基、スチリル基、メタクリル基などの官能基を導入したりしてもよい。
熱可塑性樹脂の中でも、ポリアミドイミド樹脂は、耐熱性、耐湿性に優れることに加え、金属に対する接着性が良好であるので有用である。ポリアミドイミドの原料のうち、酸成分としては、無水トリメリット酸、無水トリメリット酸モノクロライド、アミン成分としては、メタフェニレンジアミン、パラフェニレンジアミン、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、ビス[4-(アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、2,2’-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパンなどが例示されるが、これに限定されるわけではない。乾燥性を向上させるためにシロキサン変性としても良く、この場合、アミノ成分にシロキサンジアミンが用いられる。フィルム加工性を考慮すると、分子量は5万以上のものを用いるのが好ましい。
絶縁材料として用いられる樹脂組成物には、無機フィラーが混合されてあっても良い。無機フィラーとしては、アルミナ、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、クレー、タルク、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、酸化亜鉛、溶融シリカ、ガラス粉、石英粉、シラスバルーンなどが挙げられる。これら無機フィラーは単独で使用しても良いし、2種類以上を混合して使用しても良い。
絶縁材料として用いられる樹脂組成物は、有機溶媒を含有しても良い。有機溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、トリメチルベンゼンのような芳香族炭化水素系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンのようなケトン系溶媒;テトラヒドロフランのようなエーテル系溶媒;イソプロパノール、ブタノールのようなアルコール系溶媒;2−メトキシエタノール、2−ブトキシエタノールのようなエーテルアルコール系溶媒;N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドのようなアミド系溶媒などを、適宜、併用しても良い。プリプレグを作製する場合におけるワニス中の溶媒量は40〜80重量%の範囲とするのが好ましく、また、ワニスの粘度は20〜100cPの範囲とするのが好ましい。
絶縁材料として用いられる樹脂組成物は難燃剤を含有しても良い。難燃剤としては、デカブロモジフェニルエーテル、テトラブロモビスフェノールA、テトラブロモ無水フタル酸、トリブロモフェノールなどの臭素化合物、トリフェニルフォスフェート、トリクレジルフォスフェート、トリキシリルフォスフェート、クレジルジフェニルフォスフェートなどのリン化合物、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムなどの金属水酸化物、赤リン及びその変性物、三酸化アンチモン、五酸化アンチモンなどのアンチモン化合物、メラミン、シアヌール酸、シアヌール酸メラミンなどのトリアジン化合物など公知慣例の難燃剤を用いることができる。
絶縁材料として用いられる樹脂組成物に対して、さらに必要に応じて硬化剤、硬化促進剤、熱可塑性粒子、着色剤、紫外線不透過剤、酸化防止剤、還元剤などの各種添加剤や充填剤を加えて調合する。
通常、基材に対する樹脂組成物の付着量が、乾燥後のプリプレグの樹脂含有率で20〜90重量%となるように基材に含浸又は塗工した後、通常100〜200℃の温度で1〜30分加熱乾燥し、半硬化状態(Bステージ状態)のプリプレグを得る。このプリプレグを通常1〜20枚重ね、その両面に金属箔を配置した構成で加熱加圧する。成形条件としては通常の積層板の手法が適用でき、例えば多段プレス、多段真空プレス、連続成形、オートクレーブ成形機等を使用し、通常、温度100〜250℃、圧力2〜100kg/cm2、加熱時間0.1〜5時間の範囲で成形したり、真空ラミネート装置などを用いてラミネート条件50〜150℃、0.1〜5MPaの条件で減圧下又は大気圧の条件で行う。絶縁層となるプリプレグ層の厚みは用途によって異なるが、通常0.1〜5.0mmの厚みのものが良い。
本発明に用いる金属箔の表面粗さはJISB0601に示す10点平均粗さ(Rz)が両面とも2.0μm以下であることが電気特性上好ましい。金属箔には銅箔、ニッケル箔、アルミ箔などを用いることができるが、通常は銅箔を使用する。銅箔の製造条件は、硫酸銅浴の場合、硫酸50〜100g/L、銅30〜100g/L、液温20℃〜80℃、電流密度0.5〜100A/dm2の条件、ピロリン酸銅浴の場合、ピロリン酸カリウム100〜700g/L、銅10〜50g/L、液温30℃〜60℃、pH8〜12、電流密度1〜10A/dm2の条件が一般的によく用いられ、銅の物性や平滑性を考慮して各種添加剤をいれる場合もある。銅箔は通常粗し処理とよばれる粗面化処理を行うが、本発明では実質的な粗し処理を行わず、銅箔が足を有さないことを特徴とする。「銅箔が足を有さない」とは、銅箔の凹凸が少ないことを意味する。銅箔の凹凸が少ないと、エッチングの際に樹脂上の回路がない部分に銅箔残さが残らない。コア基板に含まれる絶縁層の十点平均粗さ(Rz)も2.0μm以下であることが好ましい。
微細配線を形成するために、好ましくは、厚みが3.0μm以下のピーラブルタイプであり、かつ表面粗さRzが両面とも2.0μm以下である金属箔を用いると良い。ここで、ピーラブルタイプの金属箔とは、キャリアを有する金属箔であり、キャリアが引き剥がし可能な金属箔である。例えば、ピーラブルタイプの極薄銅箔の場合、厚み10〜50μmのキャリア箔上に剥離層となる金属酸化物或いは有機物層を形成し、その上に硫酸銅浴であれば硫酸50〜100g/L、銅30〜100g/L、液温20℃〜80℃、電流密度0.5〜100A/dm2の条件、ピロリン酸銅浴であればピロリン酸カリウム100〜700g/L、銅10〜50g/L、液温30℃〜60℃、pH8〜12、電流密度1〜10A/dm2の条件で厚み0.3〜3.0μmの金属箔を形成し、製造される。このような箔を給電層に用いた場合、後述するように配線形成性が良好である。尚、ピーラブルタイプの代わりにアルミキャリアやニッケルキャリアを有するエッチャブルタイプの銅箔を用いることもできる。
金属箔の樹脂接着面に行う防錆処理は、ニッケル、錫、亜鉛、クロム、モリブデン、コバルトのいずれか、若しくはそれらの合金を用いて行うことができる。これらはスパッタや電気めっき、無電解めっきにより金属箔上に薄膜形成を行うものであるが、コストの面から電気めっきが好ましい。具体的にはめっき層にニッケル、錫、亜鉛、クロム、モリブデン、コバルトの内一種類以上の金属塩を含むめっき層を用いてめっきを行う。後の信頼性等の観点から、亜鉛を含むめっきを行うのが好適である。金属イオンの析出を容易にするためにクエン酸塩、酒石酸塩、スルファミン酸等の錯化剤を必要量添加することも出来る。めっき液は通常酸性領域で用い、室温〜80℃の温度で行う。めっきは通常電流密度0.1〜10A/dm2、通電時間1〜60秒、好ましくは1〜30秒の範囲から適宜選択する。防錆処理金属の量は、金属の種類によって異なるが、合計で10〜2000μg/dm2が好適である。防錆処理が厚すぎるとエッチング阻害と電気特性の低下を引き起こし、薄すぎると樹脂とのピール強度低下の要因となりうる。
さらに、防錆処理上にクロメート処理層が形成されていると樹脂とのピール強度低下を抑制できるため有用である。具体的には六価クロムイオンを含む水溶液を用いて行われる。クロメート処理は単純な浸漬処理でも可能であるが、好ましくは陰極処理で行う。重クロム酸ナトリウム0.1〜50g/L、pH1〜13、浴温0〜60℃、電流密度0.1〜5A/dm2、電解時間0.1〜100秒の条件で行うのが良い。重クロム酸ナトリウムの代わりにクロム酸或いは重クロム酸カリウムを用いて行うことも出来る。
本発明においては、金属箔の最外層にさらにシランカップリング剤が吸着していることが好ましい。シランカップリング剤としては例えば、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2-(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシ官能性シラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン等のアミノ官能性シラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルフェニルトリメトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン等のオレフィン官能性シラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のアクリル官能性シラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のメタクリル官能性シラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプト官能性シランなどが用いられる。後に塗工する接着補助剤との相性を考えると、分子内にエポキシ基あるいはアミノ基を有することが望ましい。これらは単独で用いても良いし、複数を混合して用いても良い。これらのカップリング剤は、水などの溶媒に0.1〜15g/Lの濃度で溶解させて室温〜50℃の温度で金属箔に塗布したり、電着させたりして吸着させる。これらのシランカップリング剤は金属箔表面の防錆金属の水酸基と縮合結合することで皮膜を形成する。シランカップリング処理後は加熱、紫外線照射等によって安定的結合を形成する。加熱であれば100〜200℃の温度で2〜60秒乾燥させる。紫外線照射であれば200〜400nm、200〜2500mJ/cm2の範囲で行う。
シランカップリング剤処理を行った銅箔上にエポキシ樹脂を必須成分とする接着補助剤を銅箔上に塗布する。塗布する厚みは0.1〜5μmの範囲であることが望ましく、1.0〜3.0μmの範囲であることが更に望ましい。
本発明の接着補助剤は、(A)ビフェニル構造を有するノボラック型エポキシ樹脂、(B)カルボン酸変性アクリロニトリルブタジエンゴム粒子、(C)トリアジン環含有クレゾールノボラック型フェノール樹脂を必須成分とすることが好ましい。
本発明における、(A)ビフェニル構造を有するノボラック型エポキシ樹脂とは、分子中にビフェニル誘導体の芳香族環を含有したノボラック型のエポキシ樹脂をいい、例えば、式(1):
(式中、pは、1〜5を示す)で示されるエポキシ樹脂が挙げられる。これらは単独でも、2種以上を組み合せて用いてもよい。
市販品としては、日本化薬株式会社製のNC−3000S(pが1.7の式(1)のエポキシ樹脂)、NC−3000S−H(pが2.8の式(1)のエポキシ樹脂)が挙げられる。
本発明における、(B)カルボン酸変性アクリロニトリルブタジエンゴム粒子とは、アクリロニトリル、ブタジエン及びカルボン酸(アクリル酸、メタクリル酸等)を共重合させ、かつ共重合する段階で、部分的に架橋させ、粒子状にしたものである。カルボン酸は、アクリル酸が好ましい。また、粒子の大きさは、一次平均粒子径で、60〜80nmであることができる。これらは、単独でも、2種以上を組み合せて用いてもよい。
市販品としては、例えば、日本合成ゴム株式会社製のXER−91が挙げられる。
本発明における、(C)トリアジン環含有クレゾールノボラック型フェノール樹脂とは、クレゾールノボラック型フェノール樹脂の主鎖にトリアジン環を含むクレゾールノボラック型フェノール樹脂をいう。窒素含有量は、トリアジン環含有クレゾールノボラック型フェノール樹脂中、12〜22重量%が好ましく、より好ましくは17〜19重量%であり、特に好ましくは18重量%である。分子中の窒素含有量がこの範囲であると、誘電損失が大きくなりすぎることもなく、接着補助剤をワニスとする場合に、溶剤への溶解度が適切で、未溶解物の残存量が抑えられる。トリアジン環含有クレゾールノボラック型フェノール樹脂は、数平均分子量が、500〜600であるものを用いることができる。これらは単独でも、2種以上を組み合せて用いてもよい。
なお、トリアジン環含有クレゾールノボラック型フェノール樹脂は、クレゾールとアルデヒドとトリアジン環含有化合物を、pH5〜9の条件下で反応させて得ることができる。クレゾールは、o−、m−、p−クレゾールのいずれも使用することができ、トリアジン環含有化合物としてはメラミン、グアナミン及びその誘導体、シアヌル酸及びその誘導体を使用することができる。
市販品としては、大日本インキ化学工業(株)製のトリアジン環含有クレゾールノボラック型フェノール樹脂フェノライトEXB−9829(窒素含有量18重量%)が挙げられる。
本発明の接着補助剤には難燃性を向上させるため、
(D)フェノール性水酸基含有リン化合物を含有させても良い。(D)フェノール性水酸基含有リン化合物は、式(2):
(式中、nが、1の場合、R17は、水素原子、直鎖状若しくは分枝状のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はアラルキル基であり、nが2の場合、それぞれのR17は独立して、水素原子、直鎖状若しくは分枝状のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はアラルキル基であるか、2つのR17は、それぞれが結合している炭素原子と一緒になって、非置換又はアルキル基若しくはシクロアルキル基で置換されているベンゼン環を形成し、xは、2以上の自然数である)で示されるような、フェノール性水酸基を含有するリン化合物である。これらは、単独でも、2種以上を組み合せて用いてもよい。
式(2)において、R17が直鎖状若しくは分枝状のアルキル基の場合、C1〜C6アルキル基が好ましく、シクロアルキル基の場合は、C6〜C8シクロアルキル基が好ましい。アリール基の場合、フェニル基が好ましく、アラルキルの場合、C7〜C10アラルキル基が好ましい。xは、2が好ましい。また、式(2)において、nが2であり、2つのR17が、それぞれが結合している炭素原子と一緒になって、非置換又はアルキル基若しくはシクロアルキル基で置換されているベンゼン環を形成する場合は、非置換又はC1〜C4アルキル基若しくはC6〜C8シクロアルキル基で置換されているベンゼン環が好ましい。
(式中、R18は、水素原子、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル基、シクロヘキシル基を表す)で示されるリン化合物が挙げられる。
特に、10−(2,5−ジヒドロキシフェニル)−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド及びそれらの誘導体が好ましい。
市販品としては、三光株式会社製のHCA−HQが挙げられる。
本発明における接着補助剤には信頼性向上のため、(E)無機フィラーを含有していても良い。
本発明における、(E)無機フィラーは、特に限定されないが、シリカ、溶融シリカ、タルク、アルミナ、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、水酸化カルシウム、アエロジル及び炭酸カルシウムが挙げられる。無機フィラーには、分散性を高める等の目的で、これらをシランカップリング剤等の各種カップリング剤で処理したものを含む。これらは、単独でも、2種以上を組み合せて用いてもよい。なお、誘電特性や低熱膨張の点からシリカが好ましい。
本発明の接着補助剤における、(A)ビフェニル構造を有するノボラック型エポキシ樹脂の配合量は、(A)〜(C)成分の重量の合計中、69〜94重量%であり、より好ましくは78〜90重量%である。配合量がこの範囲にあると、はんだ耐熱性が良好で、かつ接着補助剤を、銅箔に塗布した際に、流動性が適切で、硬化塗膜に凹凸が発生しやすいということもない。
本発明の接着補助剤における、(B)カルボン酸変性アクリロニトリルブタジエンゴム粒子の配合量は、(A)〜(C)成分の重量の合計中、1以上、さらに、3〜13重量%の範囲が好ましく、より好ましくは4〜11重量%である。配合量がこの範囲にあると、接着補助剤を、銅箔に塗布した際の塗膜外観が乾燥前後で良好で、粗化によるむらの発生や、絶縁信頼性が不足するという問題が起こりにくい。
(A)成分と(B)成分の配合量は、(A)成分の重量/(B)成分の重量で、88/12〜98/2であることが好ましく、より好ましくは93/17〜97/3である。配合量の比がこの範囲にあると、はんだ耐熱性、絶縁信頼性が良好で、かつ接着補助剤を銅箔に塗布した際の塗膜外観が良好で、流動性が適切で、硬化塗膜に凹凸が発生しやすいという問題や、粗化によるむらの発生や、絶縁信頼性が不足するという問題が起こりにくい。
本発明の接着補助剤における、(C)トリアジン環含有クレゾールノボラック型フェノール樹脂の配合量は、(A)〜(C)成分の重量の合計中、5〜19重量%であり、より好ましくは6〜11重量%である。配合量がこの範囲にあると、粗化形状を粗くせずに導体層との十分な接着強度を確保することができ、硬化塗膜の誘電損失、熱膨張係数、伸びが良好であり、熱ストレス試験による断線発生や誘電損失悪化といった問題が起こりにくい。
難燃性を付与する場合、本発明の接着補助剤における、(D)フェノール性水酸基含有リン化合物の配合量は、(A)〜(D)成分の重量の合計中、リン原子換算で、1.5〜2.5重量%の範囲であり、より好ましくは1.8〜2.2重量%の範囲である。配合量がこの範囲にあると、難燃性が良好で、絶縁信頼性に優れ、かつ硬化塗膜のTgが低すぎることもない。
本発明の接着補助剤において、(A)成分中のエポキシ基の個数に対する、(C)成分中の水酸基と(D)成分中の水酸基の個数の合計の比(水酸基の個数/エポキシ基の個数)は、0.6〜1.3の範囲が好ましく、より好ましくは0.75〜1.25である。これらの比がこの範囲にあると、硬化が十分であり、硬化塗膜の誘電損失、熱膨張係数を小さくすることができる一方、塗膜の十分な伸びが得られる。また、適度な粗化が可能で、その結果、十分な導体層との接着強度が得られる。
また、本発明の接着補助剤において、(A)成分中のエポキシ基の個数に対する、(C)成分中の水酸基の個数の比(水酸基の個数/エポキシ基の個数)は、0.15〜0.50が好ましく、より好ましくは0.17〜0.30である。これらの比がこの範囲にあると、塗膜の伸び率が大きく、導体層との接着強度が不足するという問題が起こることもない。
信頼性向上のために(E)無機フィラーを用いる場合、本発明の接着補助剤における、(E)無機フィラーの配合量は、(A)〜(E)成分の容積の合計中、5〜35容積%の範囲であることが好ましく、より好ましくは、10〜30容積%である。配合量がこの範囲にあると、熱膨張係数と誘電損失が大きくなることもなく、絶縁層を内層回路上に形成するのに、十分なフローが得られる。なお、本発明の接着補助剤に無機フィラーを分散させるには、例えば、ニーダー、ボールミル、ビーズミル、3本ロール等既知の混練方法を用いることができる。
本発明の接着補助剤には、反応促進剤として、潜在性の熱硬化剤である各種イミダゾール類やBF3アミン錯体を配合してもよい。接着補助剤の保存安定性、Bステージにした際の取り扱い性及びはんだ耐熱性の点から、2−フェニルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテートが好ましい。これらの配合量は、接着補助剤中の(A)ビフェニル構造を有するノボラック型エポキシ樹脂に対して、0.2〜0.6重量%の範囲が好ましい。これらの範囲にあると、十分なはんだ耐熱性、良好な接着補助剤の保存安定性及びBステージにした際の良好な取り扱い性が得られる。
本発明の接着補助剤には、必要に応じて、顔料、レベリング剤、消泡剤、イオントラップ剤等の添加剤を配合してもよい。
以上により作製した接着補助剤は溶剤に希釈してワニスにして、銅箔に塗工する。溶剤としては、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、ベンゼン、キシレン、トルエン等の芳香族炭化水素類、エチレングリコールモノエチルエーテル等のアルコール類、エチルエトキシプロピオネート等のエステル類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類が挙げられる。これらの溶剤は、単独でも、2種以上を混合して用いてもよい。接着補助剤に対する溶剤の使用量は、特に限定されず、従来から使用されている量とすることができる。
以上述べたエポキシ樹脂を必須成分とする接着補助剤以外には、ポリアミドイミド樹脂を必須成分とする接着補助剤が有望である。
ポリアミドイミドの製造方法としては、無水トリメリット酸と芳香族ジイソシアネートの反応によるイソシアネート法が知られている。その応用例としては、芳香族トリカルボン酸無水物とエーテル結合を有するジアミンをジアミン過剰条件で反応させ、次いでジイソシアネートを反応させる方法(例えば、特許2897186号公報参照。)や、芳香族ジアミンと無水トリメリット酸を反応させる方法(例えば、特開平04−182466号公報参照。)が挙げられる。
近年では、ポリアミドイミドにシロキサン構造を導入することにより弾性率、可撓性、乾燥効率等の特性を向上させる試みがなされている。かかるポリアミドイミドもイソシアネート法に従って製造可能であり、例えば、芳香族トリカルボン酸無水物、芳香族ジイソシアネート及びシロキサンジアミンを重縮合させる方法(例えば、特開平04−182466号公報参照。)、芳香族ジカルボン酸又は芳香族トリカルボン酸とシロキサンジアミンを重縮合させる方法(例えば、特開平06−116517号公報参照。)、芳香族環を3個以上有するジアミン及びシロキサンジアミンを含む混合物と無水トリメリット酸を反応させて得られるジイミドジカルボン酸を含む混合物と芳香族ジイソシアネートを反応させる方法(例えば、特開平11−130831号公報参照。)等により製造可能である。以上の方法であっても十分な接着強度が得られるが、飽和炭化水素からなる単位成分を有することにより高い吸湿耐熱性を特徴とするポリアミドイミドを用いると信頼性の面から更に好適である。
すなわち、本発明に用いるポリアミドイミドは、飽和炭化水素からなる単位成分を有していることが特徴であり、その構成単位に脂環式炭化水素基を有することが望ましい。脂環式炭化水素基を含有することによって、かかるポリアミドイミドは吸湿耐熱性に加え、高いTgを示す。
脂環式炭化水素基を有する飽和炭化水素成分は、原料となる脂環式炭化水素基を有する飽和炭化水素からなるジアミン化合物から導かれる。
[式中、X
1は炭素数1〜3の脂肪族炭化水素基、炭素数1〜3のハロゲン化脂肪族炭化水素基、スルホニル基、エーテル基、カルボニル基、単結合又は下記一般式(5a)又は(5b)で表される2価の基、Y
1は炭素数1〜3の脂肪族炭化水素基、炭素数1〜3のハロゲン化脂肪族炭化水素基、スルホニル基、エーテル基、カルボニル基を示し、R
1、R
2、R
3はそれぞれ独立もしくは同一で水素原子、水酸基、メトキシ基、メチル基、ハロゲン化メチル基を示す。
但し、Z1は、炭素数1〜3の脂肪族炭化水素基、炭素数1〜3のハロゲン化脂肪族炭化水素基、スルホニル基、エーテル基、カルボニル基又は単結合である。]
であらわすことができる。
脂環式炭化水素基を有する飽和炭化水素からなるジアミン化合物は、例えば2,2−ビス[4−(4−アミノシクロヘキシルオキシ)シクロヘキシル]プロパン、ビス[4−(3−アミノシクロヘキシルオキシ)シクロヘキシル]スルホン、ビス[4−(4−アミノシクロヘキシルオキシ)シクロヘキシル]スルホン、2,2−ビス[4−(4−アミノシクロヘキシルオキシ)シクロヘキシル]ヘキサフルオロプロパン、ビス[4−(4−アミノシクロヘキシルオキシ)シクロヘキシル]メタン、4,4’−ビス(4−アミノシクロヘキシルオキシ)ジシクロヘキシル、ビス[4−(4−アミノシクロヘキシルオキシ)シクロヘキシル]エーテル、ビス[4−(4−アミノシクロヘキシルオキシ)シクロヘキシル]ケトン、1,3−ビス(4−アミノシクロヘキシルオキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノシクロヘキシルオキシ)ベンゼン、2,2’−ジメチルビシクロヘキシル4,4’−ジアミン、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ジシクロヘキシル−4,4’−ジアミン、2,6,2’,6’−テトラメチル−4,4’−ジアミン、5,5’−ジメチル−2,2’−スルフォニル−ジシクロヘキシル−4,4’−ジアミン、3,3’−ジヒドロキシジシクロヘキシル−4,4’−ジアミン、(4,4’−ジアミノ)ジシクロヘキシルエーテル、(4,4’−ジアミノ)ジシクロヘキシルスルホン、(4,4’−ジアミノシクロヘキシル)ケトン、(3,3’―ジアミノ)ベンゾフェノン、(4,4’−ジアミノ)ジシクロヘキシルメタン、(4,4’−ジアミノ)ジシクロヘキシルエーテル、(3,3’−ジアミノ)ジシクロヘキシルエーテル、(4,4’−ジアミノ)ジシクロヘキシルメタン、(3,3’―ジアミノ)ジシクロヘキシルエーテル、2,2−ビス(4−アミノシクロヘキシル)プロパン等が例示できる。これらジアミン化合物は2種類以上を混合して用いてもよく、さらに、他のジアミン化合物を併用することもできる。
このような脂環式炭化水素基を有する飽和炭化水素からなるジアミン化合物は、芳香族ジアミン化合物を水素還元することによって容易に得ることが可能である。
このような芳香族ジアミン化合物として、例えば2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(BAPP)、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2’−ジメチルビフェニル−4,4’−ジアミン、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル−4,4’−ジアミン、2,6,2’,6’−テトラメチル−4,4’−ジアミン、5,5’−ジメチル−2,2’−スルフォニル−ビフェニル−4,4’−ジアミン、3,3’−ジヒドロキシビフェニル−4,4’−ジアミン、(4,4’−ジアミノ)ジフェニルエーテル、(4,4’−ジアミノ)ジフェニルスルホン、(4,4’−ジアミノ)ベンゾフェノン、(3,3’―ジアミノ)ベンゾフェノン、(4,4’−ジアミノ)ジフェニルメタン、(4,4’−ジアミノ)ジフェニルエーテル、(3,3’―ジアミノ)ジフェニルエーテル等が例示できる。
芳香族ジアミン化合物の水素還元は、芳香環の一般的な還元方法によって可能であるが、例えば水素の存在下にラネーニッケルや酸化白金(D.Varechら、Tetrahedron Letter 26、 61(1985)、 R.H.Bakerら、J.Am.Chem.Soc.、69、1250(1947))、 ロジウム−酸化アルミ(J.C.Sircarら、J.Org.Chem.、30、3206(1965)、 A.I.Meyersら、Organic Synthesis Collective Volume VI、 371(1988)、 A.W.Burgstahler、Organic Synthesis Collective Volume V、 591(1973)、 A.J.Briggs、 Synthesis、 1988、 66)、酸化ロジウム−酸化白金(S.Nishimura、Bull.Chem.Soc.Jpn.、34、32(1961)、 E.J.Coreyら、J.Am.Chem.Soc.101、1608(1979))、 チャコール担持ロジウム(K.Chebaaneら、Bull.Soc.Chim.Fr.、1975、244)の触媒系及び水素化ホウ素ナトリウム−塩化ロジウム系(P.G.Gassmanら、Organic Synthesis Collective Volume VI、 581(1988)、P.G.Gassmanら、Organic Synthesis Collective Volume VI、 601(1988))などが挙げられる。
本発明のポリアミドイミド及びその製造方法においては、脂肪族ジアミン化合物として上述したジアミン化合物に加えて、一般式(6)で表される化合物を用いることができる。
[但し、式中X3はメチレン基、スルホニル基、エーテル基、カルボニル基又は単結合、R12及びR13はそれぞれ水素原子、アルキル基、フェニル基または置換フェニル基を示し、qは1〜50の整数を示す。]
R12及びR13の具体例としては、水素原子、炭素数が1〜3のアルキル基、フェニル基、置換フェニル基が好ましく、フェニル基に結合していてもよい置換基としては、炭素数1〜3のアルキル基、ハロゲン原子等が例示できる。
上記の一般式(6)で表される脂肪族ジアミンは、低弾性率及び高Tgの両立の観点から、上記一般式(6)におけるXがエーテル基であることが好ましい。このような脂肪族ジアミンとしては、ジェファーミンD−400、ジェファーミンD−2000等が例示できる。
本発明者らは、本発明のポリアミドイミドは、上述のような特定の脂肪族構造を有するジアミン化合物を用いているため、詳細なメカニズムに関しては必ずしも明らかでないが、吸水性又は撥水性が従来のポリアミドイミドと比較して、極めて高くなると考えている。
従って、脂環式炭化水素基を有する飽和炭化水素からなるポリアミドイミドを後述の熱硬化性樹脂組成物として積層体の層形成材料に用いたとき、水素還元する前の芳香族からなる組成のポリアミドイミド樹脂組成物に比べて吸湿時の接着性の低下が少なくなる。
本発明のポリアミドイミド及び製造方法においては、ジアミン化合物として上述したジアミン化合物に加えて、芳香族ジアミンを更に含むことができる。
このような芳香族ジアミン化合物としては、下記一般式(7a)又は下記一般式(7b)を例示できる。
上記一般式(7a)においてX
2は炭素数1〜3の脂肪族炭化水素基、炭素数1〜3のハロゲン化脂肪族炭化水素基、スルホニル基、エーテル基、カルボニル基、単結合又は下記一般式(8a)又は(8b)で表される2価の基、R
14、R
15、R
16はそれぞれ独立もしくは同一で水素原子、水酸基、メトキシ基、メチル基、ハロゲン化メチル基を示し、上記一般式(7b)においてY
2は炭素数1〜3の脂肪族炭化水素基、炭素数1〜3のハロゲン化脂肪族炭化水素基、スルホニル基、エーテル基、カルボニル基を示す。
さらにZ2は、炭素数1〜3の脂肪族炭化水素基、炭素数1〜3のハロゲン化脂肪族炭化水素基、スルホニル基、エーテル基、カルボニル基又は単結合を表す。
このような芳香族ジアミンとしては、芳香環系に2つのアミノ基が直接結合している化合物、及び2個以上の芳香環が直接又は一つの官能基を介して結合しているジアミンであれば特に制限は無いが、例えば2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(BAPP)、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2’−ジメチルビフェニル−4,4’−ジアミン、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル−4,4’−ジアミン、2,6,2’,6’−テトラメチル−4,4’−ジアミン、5,5’−ジメチル−2,2’−スルフォニル−ビフェニル−4,4’−ジアミン、3,3’−ジヒドロキシビフェニル−4,4’−ジアミン、(4,4’−ジアミノ)ジフェニルエーテル、(4,4’−ジアミノ)ジフェニルスルホン、(4,4’−ジアミノ)ベンゾフェノン、(3,3’―ジアミノ)ベンゾフェノン、(4,4’−ジアミノ)ジフェニルメタン、(4,4’−ジアミノ)ジフェニルエーテル、(3,3’―ジアミノ)ジフェニルエーテル等が例示できる。これら芳香族ジアミン化合物は2種類以上を混合して用いてもよい。
上述の芳香族ジアミン化合物を用いることにより、さらにTgを向上させ、耐熱性を改良することができる。
本発明のポリアミドイミド及びその製造方法においては、ジアミン化合物として上述したジアミン化合物に加えて、一般式(9)で表されるシロキサンジアミンを更に含むことができる。
一般式(9)においては、R4〜R9としてはそれぞれ独立して炭素数1〜3のアルキル基、フェニル基、置換フェニル基が好ましく、また、置換フェニル基の置換基としては、炭素数1〜3のアルキル基又はハロゲン原子が好ましい。R10及びR11としてはそれぞれ独立して炭素数1〜6のアルキレン基又はアリーレン基が好ましく、アリーレン基としてはフェニレン基、置換フェニレン基、ナフタレン基、置換ナフタレン基が好ましく、また、置換アリーレン基の置換基としては炭素数1〜3のアルキル基又はハロゲン原子が好ましい。なお、複数存在するR4〜R11はそれぞれ同一であってもよく、異なっていてもよい。r及びsは1〜15の整数であることが好ましい。かかるシロキサンジアミンとしては、ジメチルシロキサン系両末端ジアミンを用いることが特に好ましい。これらのシロキサンジアミンは、単独で又は組み合わせて用いることができる。上記一般式(3)で表されるシロキサンジアミンは、シリコーンオイルX−22−161AS(アミン当量450)、X−22−161A(アミン当量840)、X−22−161B(アミン当量1500)、X−22−9409(アミン当量700)、X−22−1660B−3(アミン当量2200)(以上、信越化学工業株式会社製)、BY16−853(アミン当量650)、BY16−853B(アミン当量2200)、(以上、東レダウコーニングシリコーン株式会社製)等として商業的に入手可能である。
本発明のポリアミドイミドの製造方法において、上述のシロキサンジアミンを更に含有させることにより、得られるポリアミドイミドは主鎖にシロキサン構造を有するようになるため、得られるポリアミドイミドの可撓性が向上し、また、高温条件下におけるふくれ等の発生を大幅に低減させることができる。
本発明のポリアミドイミドの製造方法においては、上記ジアミン化合物のアミノ基は無水トリメリット酸のカルボキシル基又は無水カルボキシル基と反応するが、無水カルボキシル基と反応させることが好ましい。かかる反応は、非プロトン性極性溶媒中、70〜100℃で行うことができる。
非プロトン性極性溶媒としては、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、γ−ブチロラクトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、シクロヘキサノン等が例示でき、これらの1種又は2種以上用いてもよいが、NMPを用いることが好ましい。
かかる非プロトン性極性溶媒は、溶液の全重量に対して固形分が10〜70重量%となる量を加えることが好ましく、20〜60重量%となる量を加えることがより好ましい。溶液中の固形分が10重量%未満となる場合、溶媒の使用量が多いため工業的に不利となる傾向があり、70重量%を超える場合、無水トリメリット酸の溶解性が低下し、充分な反応を行うことが困難となる場合がある。
上記の反応後、水と共沸可能な芳香族炭化水素を加え、150〜200℃で更に反応させて脱水閉環反応を生じさせることにより、イミド基含有ジカルボン酸を得ることができる。水と共沸可能な芳香族炭化水素としては、トルエン、ベンゼン、キシレン、エチルベンゼン等が例示でき、トルエンを用いることが好ましい。かかる芳香族炭化水素は非プロトン性極性溶媒の重量に対して、重量比で10〜50重量%となる量を加えることが好ましい。芳香族炭化水素の添加量が、非プロトン性極性溶媒の重量に対して10重量%未満である場合、水の除去効果が不充分となる傾向があり、イミド基含有ジカルボン酸の生成量も減少する傾向がある。また50重量%を超える場合、反応温度が低下し、イミド基含有ジカルボン酸の生成量が減少する傾向がある。
また、脱水閉環反応中に、水と同時に芳香族炭化水素も留出することにより、芳香族炭化水素量が上記の好適な範囲よりも少なくなる場合があるため、例えば、コック付きの水分定量受器中に留出した芳香族炭化水素を水と分離した後に反応溶液中に戻す等して、芳香族炭化水素量を一定割合に保つことが好ましい。なお、脱水閉環反応の終了後には、温度を150〜200℃程度に保持して水と共沸可能な芳香族炭化水素を除去しておくことが好ましい。
上記反応により得られるイミド基含有ジカルボン酸は、例えば、下記一般式(10)で表される化合物が好適である。なお式中、Gは、上記一般式(4a)、上記一般式(4b)、上記一般式(9)、上記一般式(6)、上記一般式(7a)又は上記一般式(7b)で表されるジアミンのアミノ基を除いた残基を示し、R
1〜R
16及びq、r、sは上記と同義である。
本発明のポリアミドイミドは、上記イミド基含有ジカルボン酸を酸ハロゲン化物に誘導し、上記ジアミン化合物と重合させて製造することができる。
かかる反応において、イミド基含有ジカルボン酸は、塩化チオニルや三塩化リン、五塩化リン、ジクロロメチルメチルエーテルによって容易に酸ハロゲン化物に導くことができ、イミド基含有ジカルボン酸ハロゲン化物は室温下もしくは加熱下において容易に上記ジアミン化合物と重合させることができる。
また、本発明のポリアミドイミドは、上記イミド基含有ジカルボン酸を縮合剤の存在下、上記ジアミン化合物と重合させて製造することができる。
かかる反応において、縮合剤としては、アミド結合を形成する一般的な縮合剤を用いることができるが、特にジシクロヘキシルカルボジイミドやジイソプロピルカルボジイミド、N−エチル−N’−3−ジメチルアミノプロピルカルボジイミドを単独、もしくはN−ヒドロキシスクシイミドや1−ヒドロキシベンゾトリアゾールと併用して用いることが好ましい。
さらに、本発明のポリアミドイミドは、上記イミド基含有ジカルボン酸を酸ハロゲン化物にし、ジイソシアネートを反応させて製造方法することができる。
かかる反応において、ジアミン化合物:無水トリメリット酸:ジイソシアネートは、モル比で1:2〜2.2:1〜1.5の範囲であることが好ましく、1:2〜2.2:1〜1.3の範囲であることがより好ましい。反応におけるモル比を上記範囲とすることにより、より高分子量でフィルム形成に有利なポリアミドイミドを得ることが可能となる。
本発明のポリアミドイミドの製造方法に用いるジイソシアネートとしては、下記一般式(11)で表される化合物を用いることができる。
式中、Dは少なくとも1つの芳香環を有する2価の有機基、又は、2価の脂肪族炭化水素基であり、−C6H4−CH2−C6H4−で表される基、トリレン基、ナフチレン基、ヘキサメチレン基、2,2,4−トリメチルヘキサメチレン基及びイソホロン基からなる群より選ばれる少なくとも1つの基であることが好ましい。
上記一般式(11)で表されるジイソシアネートとしては、脂肪族ジイソシアネート又は芳香族ジイソシアネートを用いることができるが、芳香族ジイソシアネートを用いることが好ましく、両者を併用することが特に好ましい。
芳香族ジイソシアネートとしては、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、ナフタレン−1,5−ジイソシアネート、2,4−トリレンダイマー等が例示でき、MDIを用いることが特に好ましい。芳香族ジイソシアネートとしてMDIを用いることにより、得られるポリアミドイミドの可撓性を向上させ、また、結晶性を低減させることができ、ポリアミドイミドのフィルム形成性を向上させることができる。
脂肪族ジイソシアネートとしては、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等が例示できる。
芳香族ジイソシアネート及び脂肪族ジイソシアネートを併用する場合は、脂肪族ジイソシアネートを芳香族ジイソシアネートに対して5〜10モル%程度添加することが好ましく、かかる併用により、得られるポリアミドイミドの耐熱性を更に向上させることができる。
そして、イミド基含有ジカルボン酸とジイソシアネートとの反応は、上述の反応により得られたイミド基含有ジカルボン酸を含む溶液中にジイソシアネートを加え、反応温度130〜200℃で行うことができる。
イミド基含有ジカルボン酸とジイソシアネートとの反応は、塩基性触媒を用いる場合、70〜180℃で行うことが好ましく、120〜150℃で行うことがより好ましい。塩基性触媒の存在下でかかる反応を行う場合は、塩基性触媒の不在下で反応を行う場合に比べてより低い温度で反応させることができるため、ジイソシアネート同士による反応等の副反応の進行を抑制でき、更に高分子量のポリアミドイミドを得ることが可能となる。
かかる塩基性触媒としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリ(2−エチルへキシル)アミン、トリオクチルアミン等のトリアルキルアミンが例示でき、中でもトリエチルアミンは、反応促進に好適な塩基性であり、かつ反応後の除去が容易であることから特に好ましい。
上記反応により得られるポリアミドイミドは、下記一般式(12)で表される繰り返し単位を有している。なお式中、Gは、上記一般式(4a)、上記一般式(4b)、上記一般式(9)、上記一般式(6)、上記一般式(7a)又は上記一般式(7b)で表されるジアミンのアミノ基を除いた残基を示し、R
1〜R
16及びq、r、sは上記と同義である。
上述のようにして得られたポリアミドイミドの重量平均分子量は、20,000〜300,000であることが好ましく、30,000〜200,000であることがより好ましく、40,000〜150,000であることが特に好ましい。なお、ここでいう重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定を行い、標準ポリスチレンを用いて作成した検量線により換算したものである。
上述のようにして得られたポリアミドイミドに、ポリアミドイミドのアミド基と反応する官能基を有するアミド反応性化合物を加えることにより、熱硬化性樹脂組成物を得ることができる。
アミド反応性化合物は、ポリアミドイミド中のアミド基と熱等を加えることにより反応する官能基を有する化合物であり、例えば、多官能エポキシ化合物、オキセタン化合物等が例示でき、多官能エポキシ化合物を用いることが好ましい。
多官能エポキシ化合物としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、テトラブロモビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂等が例示でき、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
アミド反応性化合物の配合量は、ポリアミドイミド100重量部に対して、10〜40重量部であることが好ましく、15〜25重量部であることがより好ましい。アミド反応性化合物の配合量が10重量部未満であると、得られる熱硬化性樹脂組成物の熱硬化性が低下する傾向があり、40重量部を超えると、硬化後の熱硬化性樹脂組成物の架橋構造が密となり、樹脂の脆性が低下する傾向がある。
上記熱硬化性樹脂組成物は、硬化促進剤を更に含有していることが好ましい。硬化促進剤は、ポリアミドイミド及びアミド反応性化合物の混合物の硬化を促進させる成分であり、特にアミド反応性化合物の硬化を促進する成分であることが好ましい。硬化促進剤としては、アミン類、イミダゾール類が例示でき、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
アミン類としては、ジシアンジアミド、ジアミノジフェニルエタン、グアニル尿素等が例示でき、イミダゾール類としては、2−エチル−4−メチルイミダゾール等のアルキル置換イミダゾール、ベンゾイミダゾール等が例示できる。
かかる硬化促進剤の配合量は、アミド反応性化合物の種類に応じて決定することができ、例えば、アミド反応性化合物として多官能エポキシ化合物を用い、硬化促進剤としてアミン類を用いる場合、アミン類は、多官能エポキシ化合物におけるエポキシ当量と、アミン類のアミノ基の活性水素の当量がほぼ等しくなる量を加えることが好ましい。また、アミド反応性化合物として多官能エポキシ化合物を用い、硬化促進剤としてイミダゾール類を用いる場合、イミダゾール類は多官能エポキシ化合物100重量部に対して0.1〜2.0重量部加えることが好ましい。硬化促進剤の添加量が不充分である場合、未硬化のアミド反応性化合物が熱硬化性樹脂組成物中に残存し、熱硬化性樹脂組成物の硬化後の耐熱性が低下する傾向があり、多すぎると硬化促進剤が熱硬化性樹脂組成物中に残存し、硬化後の熱硬化性樹脂組成物の絶縁性が低下する傾向がある。
そして、熱硬化性樹脂中には、必要に応じて、ゴム系エラストマ、難燃剤としてのリン系化合物、無機充填剤、カップリング剤、顔料、レベリング剤、消泡剤、イオントラップ剤等を配合してもよい。
熱硬化性樹脂組成物を溶解する有機溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、カルビトールアセテート等の酢酸エステル類、セロソルブ、ブチルセロソルブ等のセロソルブ類、カルビトール、ブチルカルビトール等のカルビトール類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
本発明の接着補助剤を、銅箔の片面に塗工し、半硬化させることにより、接着補助剤付銅箔が完成する。
接着補助剤をワニスとして、コンマコータで銅箔に塗工する場合は、接着補助剤の全固形分量が、40〜70重量%となるように溶剤の使用量を調節することが好ましいが、またフィルム形成用の設備にあわせて量を調整することもできる。
以上のような接着補助剤付金属箔とプリプレグとは従来公知の方法により積層一体化され、図1(a)に示す積層板を得ることができる。
次に上記積層体に層間接続用の貫通スルーホール4を形成する(図1(b))。スルーホール径が100μm以上であればドリルによる加工が適しており、スルーホール径が100μm以下であればCO2やCO、エキシマ等の気体レーザーやYAG等の固体レーザーが適している。スルーホール径が100程度であれば、どちらでもよい。
次いで金属箔上及びスルーホール内部に触媒核を付与する。触媒核の付与には、パラジウムイオン触媒であるアクチベーターネオガント(アトテック・ジャパン株式会社製、商品名)やパラジウムコロイド触媒であるHS201B(日立化成工業株式会社製、商品名)を使用する。パラジウム触媒を付与する場合、CLC-201(日立化成工業株式会社製、商品名)のようなコンディショニング処理を事前に行う。
次に図1(c)に示すように触媒核を付与した金属箔上及びスルーホール内部に薄付けの無電解めっき層5を形成する。この無電解めっきには、CUST2000(日立化成工業株式会社製、商品名)やCUST201(日立化成工業株式会社製、商品名)等の市販の無電解銅めっきが使用できる。これらの無電解銅めっきは硫酸銅、ホルマリン、錯化剤、水酸化ナトリウムを主成分とする。めっきの厚さは次の電気めっきが行うことができる厚さであればよく、0.1〜1μm程度で十分である。尚、層間接続が必要ない場合は、無電解銅めっきを省略することができる。
次に図1(d)に示すように無電解めっきを行った上にめっきレジスト6を形成する。めっきレジストの厚さは、その後めっきする導体の厚さと同程度かより厚い膜厚にするのが好適である。めっきレジストに使用できる樹脂には、PMER P−LA900PM(東京応化株式会社製、商品名)のような液状レジストや、HW−425(日立化成工業株式会社、商品名)、RY−3325(日立化成工業株式会社、商品名)等のドライフィルムがある。ビアホール上と導体回路となるべき個所はめっきレジストを形成しない。
次に図1(e)に示すように電気めっきにより回路パターン7を形成する。電気めっきには、通常プリント配線板で使用される硫酸銅電気めっきが使用できる。めっきの厚さは、回路導体として使用できればよく、1〜100μmの範囲である事が好ましく、5〜50μmの範囲である事がより好ましい。
次に図1(f)に示すようにアルカリ性剥離液や硫酸あるいは市販のレジスト剥離液を用いてレジストの剥離を行い、パターン部以外の銅をエッチング除去する。この場合高圧スプレー等によりエッチングを行うのが一般的であるが、配線の微細な部分はどうしても液の交換が悪くなる。従って銅とエッチング液の反応は拡散律速ではなく、反応律速であることが望ましい。銅とエッチング液の反応が反応律速であれば、拡散をそれ以上強めたとしてもエッチング速度は変わらない。即ち液交換の良い場所と悪い場所でのエッチング速度差があまり生じない。具体的には過酸化水素とハロゲン元素を含まない酸とを主成分とするエッチング液を用いるのが良い。酸化剤に過酸化水素を用いると、過酸化水素濃度を管理することで厳密なエッチング速度制御が可能になる。尚、エッチング液にハロゲン元素が混入すると、溶解反応が拡散律速になりやすい。ハロゲンを含まない酸としては、硝酸、硫酸、有機酸等が使用できるが、硫酸であることが安価で好ましい。更に硫酸と過酸化水素が主成分である場合には、それぞれの濃度を5〜300g/L,5〜200g/Lとする事がエッチング速度、液の安定性の面から好ましい。
以上パターン電気めっき法で基板を作製する方法を示したが、サブトラクティブ法であっても構わない。以上示した方法により2層より成るコア基板が完成する。以上のように作製したコア基板は導体回路の表面粗さがRz=2.0μm以下であり、コア基板の絶縁層の表面粗さがRz=2.0μm以下であることが電気特性上望ましい。
以上のように作製した平滑な導体回路、絶縁層はアンカー効果が見込めないため、図1(g)に示す様に接着性を促進するための接着補助剤層8を形成することもできる。この場合、接着補助剤の厚みは0.1〜5μmの間であることが好ましい。接着補助剤層の厚みが0.1μm以下であると接着性が不十分であり、5μm以上だと伸び率や誘電率、誘電正接といった各種特性に影響を及ぼす。接着補助剤は銅箔に塗工した樹脂と同様でよいが、無処理の銅に対してはポリアミドイミド樹脂を必須成分とする接着補助剤層を形成するのが良い。
接着補助剤層の塗膜方法は、接着補助剤溶液にコア基板を浸漬させる。浸漬する前に酸やアルカリ、各種界面活性剤溶液に浸漬し、酸化層の除去や濡れ性を向上させることができるが、処理後の導体回路の表面粗さはRz=2.0μm以下であることが望ましい。接着補助剤の固形分濃度は特に限定しないが、浸漬後の樹脂厚を考えると1%〜50%の範囲がよく、3%〜25%の範囲であることがさらに望ましい。接着補助剤処理温度は室温で十分であるが、10〜50℃の範囲で液温をコントロールしても良い。
浸漬後は温風ブロー等で乾燥する。乾燥温度は90℃〜210℃の範囲がよく、120℃〜190℃の範囲であることが更に望ましい。乾燥後に残溶剤が1%以下となるようにする。残溶剤が1%以上あると最終的に作製したプリント配線板の信頼性が低下する。乾燥時間は乾燥温度等によって異なるが、1分〜60分の間がよい。乾燥後の樹脂は完全硬化ではなく半硬化のBステージ状態にしておく。樹脂を完全硬化するとその上に積層する絶縁層との接着力が弱くなる場合がある。
或いは導体回路表面を酸化還元処理等により粗面化する方法であっても良い。この場合、接着補助剤層は1層のみとなる。いずれにせよ本発明の本質は絶縁層と絶縁層の間に少なくとも1層の接着補助剤層が存在するということである。
次に接着補助剤で処理したコア基板の上に、図1(h)に示す様に片面金属箔付樹脂をラミネートとする。絶縁層9の厚みは10から100μm程度、望ましくは20から60μmがよく、金属箔10の厚みは0.3から3μmが好適である。片面金属箔付樹脂の作製に用いる樹脂、銅箔は積層板の時と同様のものを用いる。即ち接着補助剤層11を有する銅箔を用いるのが望ましい。樹脂の塗布は樹脂ワニスを金属箔にキスコーター、ロールコーター、コンマコーター等を用いて塗布するか或いはフィルム状の樹脂を金属箔にラミネートして行う。樹脂ワニスを金属箔に塗布する場合は、その後、加熱ならびに乾燥させるが、条件は100〜200℃の温度で1〜30分とするのが適当であり、加熱、乾燥後の樹脂組成物中における残留溶剤量は、0.2〜10%程度が適当である。フィルム状の樹脂を金属箔にラミネートする場合は、50〜150℃、0.1〜5MPaの条件で真空或いは大気圧の条件が適当である。絶縁層にエポキシ樹脂が入ることでBステージのポリアミドイミドとの接着性が向上する。また、コア基板とプリプレグ、銅箔を積層プレスする方法もある。この場合用いるプリプレグはコア基板と同様の方法で作製する。
次いで図1(i)に示す様に金属箔の上から層間樹脂絶縁層にIVH12を形成する。IVHを形成する方法としては、レーザーを用いるのが好適である。ここで用いることが出来るレーザーとしては、CO2やCO、エキシマ等の気体レーザーやYAG等の固体レーザーがある。CO2レーザーが容易に大出力を得られる事からφ50μm以上のIVHの加工に適している。φ50μm以下の微細なIVHを加工する場合は、より短波長で集光性のよいYAGレーザーが適している。
次いで過マンガン酸塩、クロム酸塩、クロム酸のような酸化剤を用いてIVH内部の樹脂残さの除去を行い、次いで金属箔上及びIVH内部に触媒核を付与する。
次に図1(j)に示すように触媒核を付与した金属箔上及びIVH内部に薄付けの無電解めっき層13を形成する。この無電解めっきには、CUST2000(日立化成工業株式会社製、商品名)やCUST201(日立化成工業株式会社製、商品名)等の市販の無電解銅めっきが使用できる。これらの無電解銅めっきは硫酸銅、ホルマリン、錯化剤、水酸化ナトリウムを主成分とする。めっきの厚さは次の電気めっきが行うことができる厚さであればよく、0.1〜1μm程度で十分である。
次に図1(k)に示すように無電解めっきを行った上にめっきレジスト14を形成する。めっきレジストの厚さは、その後めっきする導体の厚さと同程度かより厚い膜厚にするのが好適である。めっきレジストに使用できる樹脂には、PMER P−LA900PM(東京応化株式会社製、商品名)のような液状レジストや、HW−425(日立化成工業株式会社、商品名)、RY−3325(日立化成工業株式会社、商品名)等のドライフィルムがある。ビアホール上と導体回路となるべき個所はめっきレジストを形成しない。
次に図1(l)に示すように電気めっきにより回路パターン15を形成する。電気めっきには、通常プリント配線板で使用される硫酸銅電気めっきが使用できる。めっきの厚さは、回路導体として使用できればよく、1〜100μmの範囲である事が好ましく、5〜50μmの範囲である事がより好ましい。
次にアルカリ性剥離液や硫酸あるいは市販のレジスト剥離液を用いてレジストの剥離を行う。
次にパターン部以外の銅を好ましくは10〜300g/Lの硫酸及び10〜200g/Lの過酸化水素を主成分とするエッチング液を用いて除去することで回路形成が終了する(図1(m))。
次に永久レジストとしてのソルダーレジスト16の印刷を行う(図1(n))。ソルダーレジストは配線上及び絶縁層上に印刷し、露光、現像することで実装に必要な箇所以外に形成する。ソルダーレジストにはPSR−4000(太陽インキ株式会社製、商品名)等のフォトソルダーレジストを用いる。ここでソルダーレジストとCステージの絶縁層の接着強度が問題になることが多いが、本発明においては接着補助層を有するため、接着性が向上する。本発明のプリント配線板は接着補助層を有するため耐吸湿、耐熱性に優れ、その後のはんだリフロー処理等での不具合が発生しにくい。
(実施例1)
下記に示す金属箔Aを作製した。
(金属箔A)
幅510mm、厚み35μmの電解銅箔(キャリア銅箔)の光択面に下記の条件でクロムめっきを連続的に行って1.0mg/dm2の厚さのクロムめっき層(剥離層)を形成した。クロムめっき形成後の表面粗度Rz=0.5μmであった。なお、表面粗さはJIS−B−0601に基づき測定した。
クロムめっき条件
液組成:三酸化クロム250g/L、硫酸2.5g/L
・浴温:25℃
アノード:鉛
電流密度20A/dm2
次に下記に示す光択めっき条件で厚さ2.0μmの電気銅めっきを行った。電気銅めっき終了後の金属箔表面粗さRz=0.6μmであった。
硫酸銅めっき条件
液組成:硫酸銅5水和物100g/L、硫酸150g/L、塩化物イオン30ppm
・浴温:25℃
アノード:鉛
電流密度:10A/dm2
次に下記に示すように電気めっきにより亜鉛防錆処理を行った。
液組成:亜鉛20g/L,硫酸70g/L
・浴温:40℃
アノード:鉛
電流密度:15A/dm2
電解時間:10秒
次に引き続き下記に示すクロメート処理を行った。
液組成:クロム酸5.0g/L
・pH11.5
・浴温:55℃
アノード:鉛
・浸漬時間:5秒
次に下記に示すシランカップリング処理を行った。
液組成:3-アミノプロピルトリメトキシシラン5.0g/L
液温25℃
浸漬時間10秒
シランカップリング処理後、金属箔を120℃で乾燥してカップリング剤を金属箔表面に吸着させた。そのときの金属箔表面粗さはRz=0.6μmであった。
下記の組成よりなる樹脂組成物Aを作成した。
(樹脂組成物A)
・ビフェニル系エポキシ樹脂、NC3000S−H(日本化薬株式会社社製)
80重量部
・カルボン酸変性アクリロニトリルブタジエンゴム粒子、XER−91SE−
15(JSR株式会社) 5重量部
・トリアジン環含有クレゾールノボラック型フェノール樹脂、フェノライトE
XB−9829(窒素含有量18%、水酸基当量151、大日本インキ化学工業
株式会社製) 9重量部
・リン含有化合物、HCA−HQ(三光株式会社製) 26重量部
・無機フィラー、球状シリカ、アドマファインSC−2050(株式会社アド
マテックス社製) 40重量部
・イミダゾール誘導体化合物、1−シアノエチル−2フェニルイミダゾリウム
トリメリテート、2PZ−CNS(四国化成工業株式会社製) 0.24重量部
・溶剤、メチルエチルケトン
下記に示す樹脂組成物Bを作成した。
(樹脂組成物B)
ディーンスターク還流冷却器、温度計、撹拌器を備えた500mLのセパラブルフラスコに脂環式ジアミン化合物として(4,4’−ジアミノ)ジシクロヘキシルメタン(ワンダミンHM(略号WHM)新日本理化(株)製商品名)45mmol、シロキサンジアミンとして反応性シリコーンオイルX−22−161−B(信越化学工業(株)製商品名、アミン当量1500)5mmol、無水トリメリット酸(TMA)105mmol、非プロトン性極性溶媒としてN−メチル−2−ピロリドン(NMP)145g加え、80℃で30分間撹拌した。
撹拌終了後、水と共沸可能な芳香族炭化水素としてトルエン100mLを加え、温度を160℃に昇温させて2時間還流させた。水分定量受器に理論量の水がたまり、水の流出が見られなくなっていることを確認したら、水分定量受器中の水とトルエンを除去し、温度を190℃まで上昇させて反応溶液中のトルエンを除去した。
フラスコの溶液を室温まで冷却した後、ジイソシアネートとして、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)60mmolを加え、温度を190℃に上昇させて2時間反応させポリアミドイミド樹脂のNMP溶液を得た。次にエポキシ樹脂であるYDCN−500−10(東都化成社製)を総固形分重量の10%になるように配合し、更に硬化促進剤として2−エチル−4−メチルイミダゾールをエポキシ樹脂の固形分の1wt%加え、ジメチルアセトアミドで希釈して熱硬化性樹脂のワニス(固形分10%)を得た。
下記に示す金属箔Bを作製した。
(金属箔B)
金属箔Aのシランカップリング剤処理面に樹脂組成物Aを塗工した。塗工後は残溶剤が1%以下になるように160℃で1分程度の乾燥を行った。塗工した樹脂組成物Aの厚みは2.0μmであった。
0.6mm厚のプリプレグであるGE-679-FG(日立化成工業株式会社製、商品名)と金属箔Bを積層し、170℃、2.45MPaの条件で1時間プレス成形し、銅箔上のキャリア箔を引き剥がすことで図1(a)に示すような基板を作製した。
図1(b)に示すように、金属箔上から炭酸ガスインパクトレーザー穴あけ機L−500(住友重機械工業株式会社製、商品名)により、直径80μmの貫通スルーホール4をあけ、過マンガン酸カリウム65g/リットルと水酸化ナトリウム40g/リットルの混合水溶液に、液温70℃で20分間浸漬し、スミアの除去を行なった。
その後、パラジウム触媒であるHS-201B(日立化成工業株式会社製、商品名)を付与した後、CUST−201(日立化成工業株式会社製、商品名)を使用し、液温25℃、30分の条件で無電解銅めっきを行ない、図1(c)に示すように厚さ0.5μmの無電解銅めっき層5を形成した。パラジウム触媒の付与条件を表1に示す。
図1(d)に示すように、ドライフィルムフォトレジストであるRY−3325(日立化成工業株式会社製、商品名)を、無電解めっき層の表面にラミネートし、電解銅めっきを行う箇所をマスクしたフォトマスクを介して紫外線を露光し、現像してめっきレジスト6を形成した。
図1(e)に示すように、硫酸銅浴を用いて、液温25℃、電流密度1.0A/dm2の条件で、電解銅めっきを20μmほど行い、最小回路導体幅/回路導体間隔(L/S)=23/17μmとなるように回路パターン7を形成した。
次に図1(f)に示すように、レジスト剥離液であるHTO(ニチゴー・モートン株式会社製、商品名)でドライフィルムの除去を行った後にH2SO4100g/L、H2O210g/Lの組成のエッチング液を用いてパターン部以外の銅をエッチング除去し、コア基板を作製した。コア基板の絶縁層の表面粗さRz=0.5μmであり、導体回路の表面粗さRz=1.2μmであった。なお、表面粗さはJIS−B−0601に基づき測定した。
次に基板全体を樹脂組成物Bの溶液に浸漬し、引き上げた後160℃10分乾燥を行うことで残溶剤を1%以下にし、図1(g)に示すように基板全体を樹脂組成物Bでコーティングし接着補助剤層8を形成した。コーティング厚は乾燥後約2μmであった。
コーティング後のコア基板上に厚み60μmのプリプレグであるGEA-679-FG(日立化成工業株式会社製、商品名)と金属箔Bを積層し、170℃、2.45MPaの条件で1時間プレス成形し、銅箔上のキャリア箔を引き剥がすことで図1(h)に示すような基板を作製した。
図1(i)に示すように、金属箔上から炭酸ガスインパクトレーザー穴あけ機L−500(住友重機械工業株式会社製、商品名)により、最小直径50μmのIVH12をあけ、過マンガン酸カリウム65g/リットルと水酸化ナトリウム40g/リットルの混合水溶液に、液温70℃で20分間浸漬し、スミアの除去を行なった。
その後、パラジウム触媒であるHS-201B(日立化成工業株式会社製、商品名)を付与した後、CUST−201(日立化成工業株式会社製、商品名)を使用し、液温25℃、30分の条件で無電解銅めっきを行ない、図1(j)に示すように厚さ0.5μmの無電解銅めっき層13を形成した。パラジウム触媒の付与条件を表2に示す。
図1(k)に示すように、ドライフィルムフォトレジストであるRY−3325(日立化成工業株式会社製、商品名)を、無電解めっき層の表面にラミネートし、電解銅めっきを行う箇所をマスクしたフォトマスクを介して紫外線を露光し、現像してめっきレジスト14を形成した。
図1(l)に示すように、硫酸銅浴を用いて、液温25℃、電流密度1.0A/dm2の条件で、電解銅めっきを20μmほど行い、最小回路導体幅/回路導体間隔(L/S)=23/17μmとなるように回路パターン15を形成した。
次に図1(m)に示すように、レジスト剥離液であるHTO(ニチゴー・モートン株式会社製、商品名)でドライフィルムの除去を行った後にH2SO4100g/L、H2O210g/Lの組成のエッチング液を用いてパターン部以外の銅をエッチング除去した。
エッチング後の最小回路導体幅/回路導体間隔(L/S)=20/20μmであった。
最後に光感光性のソルダーレジスト16であるPSR-4000(太陽インキ製造株式会社製、商品名)を塗布し、露光現像することで図1(n)に示すような基板を作製した。
(実施例2)
実施例1の工程(g)において、基板全体を樹脂組成物Bの溶液に浸漬し、引き上げた後160℃10分乾燥を行うことで残溶剤を1%以下にし、基板全体を樹脂組成物Bでコーティングする代わりに導体回路をエッチングし、3μm程度の凹凸を作製した以外は実施例1と同様に基板を作製した。エッチングにはCZ処理(メック株式会社製、商品名)を用いた。
(実施例3)
実施例1において、金属箔Bを作製する際、樹脂組成物Aを5μmの厚みに塗布したこと以外は実施例1と同様に基板を作製した。
(比較例1)
実施例1の工程(h)において、コーティング後のコア基板上に厚み60μmのプリプレグであるGEA-679-FG(日立化成工業株式会社製、商品名)と金属箔Bを積層する代わりに金属箔Aを積層したこと以外は実施例1と同様に基板を作製した。
(吸湿耐熱試験)
実施例1〜3、比較例1で作製した基板の吸湿耐熱試験を行った。基板の試験は各サンプルを121℃、湿度100%、2気圧の条件で96時間処理し、基板に膨れ等が発生しないかどうかの確認を行った。試験には平山製作所製飽和型PCT装置PC-242を用いた。
(吸湿はんだ試験)
実施例1〜3、比較例1で作製した基板の吸湿はんだ試験を行った。基板の試験は各サンプルを121℃、湿度100%、2気圧の条件で1時間処理し、その後288℃のはんだ槽に浸漬し、膨れ等の異常が発生しないかどうか確認した。試験には平山製作所製飽和型PCT装置PC-242を用いた。
(試験結果)
実施例1〜3、比較例1で作製した基板の試験結果を表3に示す。表3に示した通り、実施例1〜3で作製した基板は接着補助層を有するため特に異常が発生しなかったが、比較例1で作製した基板は基材とソルダーレジストの間で膨れが発生した。
以上示した様に本発明によれば樹脂−樹脂間の接着性を向上させ、耐吸湿、耐熱性に優れたプリント配線板を提供することが出来る。