JP2005302321A - 金属酸化物半導体膜の形成方法、色素増感型金属酸化物半導体電極及び色素増感型太陽電池 - Google Patents

金属酸化物半導体膜の形成方法、色素増感型金属酸化物半導体電極及び色素増感型太陽電池 Download PDF

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Abstract

【課題】色素吸着性の向上した金属酸化物半導体膜を簡易かつ低コストにて得ることができる金属酸化物半導体膜の形成方法を提供する。
【解決手段】表面に透明電極3を形成した基板1上に、高分子微粒子2bと金属酸化物微粒子2aを含む塗工液を塗布した後、乾燥して金属酸化物微粒子2aと高分子微粒子2bから主として構成される混合膜2Aを形成する。次いでこの高分子微粒子2bを加熱処理又は有機溶媒抽出によって除去することにより、金属酸化物半導体膜2を形成する。
【選択図】図1

Description

本発明は、色素増感型太陽電池、これに有利に使用される色素増感型金属酸化物半導体電極、及びこの製造に有利に利用される金属酸化物半導体膜の形成方法に関する。
近年、省エネルギー、資源の有効利用や環境汚染の防止等の面から、太陽光を直接電気エネルギーに変換する太陽電池が注目され、開発が進められている。
太陽電池は、光電変換材料として、結晶性シリコン、アモルファスシリコンを用いたものが主流である。しかしながら、このような結晶性シリコン等を形成するには多大なエネルギーを要し、従ってシリコンの利用は、太陽光を利用する省エネルギー電池である太陽電池の本来の目的とは相反するものとなっている。また多大なエネルギーを使用する結果として、光電変換材料としてシリコンを用いる太陽電池は高価なものとならざるを得ない。
光電変換材料は、電極間の電気化学反応を利用して光エネルギーを電気エネルギーに変換する材料である。例えば、光電変換材料に光を照射すると、一方の電極側で電子が発生し、対電極に移動する。対電極に移動した電子は、電解質中をイオンとして移動して一方の電極にもどる。すなわち、光電変換材料は光エネルギーを電気エネルギーとして連続して取り出せる材料であり、このため太陽電池に利用される。
光電変換材料として、シリコンを用いず、有機色素で増感された酸化物半導体を用いた太陽電池が知られている。
色素で増感された酸化物半導体を用いた太陽電池としては、たとえば、金属酸化物半導体の表面に、遷移金属錯体などの分光増感色素層を有するものや、金属イオンでドープした酸化チタン半導体層の表面に、遷移金属錯体などの分光増感色素層を有するものが知られている。しかし、これらの太陽電池は実用性のある電流/電圧曲線が得られない。
電流/電圧曲線が実用性レベルに達した分光増感色素層を有する太陽電池として、酸化物半導体微粒子集合体の焼成物からなる酸化物半導体膜を用いた太陽電池が開示されている。このような半導体膜は、酸化物半導体微粉末のスラリーを透明電極上に塗布し、乾燥させ、その後500℃、1時間程度で焼成させることにより形成している。この太陽電池では、いわゆるゾルゲル法により、酸化物半導体微粒子集合体の焼成物の酸化物半導体膜を形成している。
このような形成方法は、塗布後、高温で長時間の加熱が必要なため、基材、透明電極にも耐熱性が要求される。通常の透明電極であるITO等では、このような耐熱性を有していないため、特に耐熱性に優れた透明電極であるフッ素ドープ酸化スズを用いる必要があるが、フッ素ドープ酸化スズは、導電性が劣り、太陽電池のような大面積を必要とする用途には不適当である。また、塗工液中での酸化物半導体微粒子の分散状態を安定にすることが難しく、酸化物半導体膜の構造を制御し難いという問題点がある。
従って、かかる点に鑑み、本出願人は特開2003−308893号公報で、色素吸着性の向上した金属酸化物半導体膜を低温で簡易に得ることができる金属酸化物半導体膜の形成方法を開示している。
同号公報の金属酸化物半導体膜の形成方法は、表面に透明電極を有する基板上に、金属酸化物がバインダに分散されて成る塗布液を塗布し、乾燥して金属酸化物含有塗布層を形成し、次いで該金属酸化物含有塗布膜をプラズマ処理してバインダを除去することにより表面積の大きな金属酸化物半導体膜を形成することを特徴とするものである。かかる特開2003−308893号公報によると、色素吸着性の向上した金属酸化物半導体膜を低温で簡易に得ることができる。
特開2003−308893号公報
特開2003−308893号公報の金属酸化物半導体膜の形成方法ではプラズマ処理設備が必要となり、設備コスト及びランニングコストが比較的高いものとなる。
本発明は、色素吸着性の向上した金属酸化物半導体膜を簡易かつ低コストにて得ることができる金属酸化物半導体膜の形成方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、上記形成方法によって形成された金属酸化物半導体膜を含む色素増感型金属酸化物半導体電極及びこの電極を備えた色素増感型太陽電池を提供することを目的とする。
本発明(請求項1)の金属酸化物半導体膜の形成方法は、色素増感型半導体電池に使用される金属酸化物半導体膜を基板上に形成する方法において、高分子微粒子及び金属酸化物微粒子を含む塗工液を基板上に塗布した後、乾燥して該基板上に高分子微粒子と金属酸化物微粒子との混合膜を形成し、次いで該混合膜から該高分子微粒子を除去することにより前記金属酸化物半導体膜を形成することを特徴とするものである。
請求項2の金属酸化物半導体膜の形成方法は、請求項1において、前記高分子微粒子を加熱処理によって除去することを特徴とするものである。
請求項3の金属酸化物半導体膜の形成方法は、請求項1において、前記高分子微粒子を有機溶媒抽出によって除去することを特徴とするものである。
請求項4の金属酸化物半導体膜の形成方法は、請求項1ないし3のいずれか1項において、前記金属酸化物微粒子は酸化チタン微粒子であることを特徴とするものである。
請求項5の金属酸化物半導体膜の形成方法は、請求項4において、前記金属酸化物微粒子の一次粒径が0.02〜0.03μmであることを特徴とするものである。
請求項6の金属酸化物半導体膜の形成方法は、請求項1ないし5のいずれか1項において、前記高分子微粒子はポリスチレン、ブタジエンゴム、アクリロブタジエン共重合ゴム、スチレンブタジエンゴム、アクリル、ポリウレタン、ポリオレフィン及びビニル化合物からなる群の少なくとも1つであることを特徴とするものである。
請求項7の金属酸化物半導体膜の形成方法は、請求項1ないし6のいずれか1項において、前記高分子微粒子の粒径は0.05〜90μmであることを特徴とするものである。
本発明(請求項8)の色素増感型金属酸化物半導体電極は、基板と、該基板上に形成された金属酸化物半導体膜と、該金属酸化物半導体膜の表面に吸着された有機色素とを含む色素増感型金属酸化物半導体電極であって、該金属酸化物半導体膜が請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法によって形成されたことを特徴とするものである。
本発明(請求項9)の色素増感型太陽電池は、色素増感型半導体電極と、この色素増感型半導体電極に対面して設けられた対向電極と、該色素増感型半導体電極と対向電極との間に配置された電解質とを有する色素増感型太陽電池において、該色素増感型半導体電極が請求項8に記載の色素増感型金属酸化物半導体電極であることを特徴とするものである。
本発明(請求項1)の金属酸化物半導体膜の形成方法によると、高分子微粒子と金属酸化物微粒子との混合膜から該高分子微粒子を除去することにより、金属酸化物半導体膜が高比表面積かつ多孔質なものとなり、その結果、色素吸着性が向上する。このように、色素吸着性の向上した金属酸化物半導体膜を簡易かつ低コストにて得ることができる。
請求項2の金属酸化物半導体膜の形成方法によると、加熱処理によって高分子微粒子を容易に除去することができる。また、加熱により混合膜中の金属酸化物微粒子同士が焼結されると共に、金属酸化物微粒子と基板とが強固に固着される。
請求項3の金属酸化物半導体膜の形成方法によると、有機溶媒抽出によって高分子微粒子を容易に除去することができる。また、高温で加熱する必要がないため、基板として合成樹脂製基板等の耐熱性の低い基板を採用することができる。
請求項4の金属酸化物半導体膜の形成方法によると、金属酸化物微粒子として酸化チタン微粒子を用いるため、安定性及び安全性の高い金属酸化物半導体膜を得ることができる。
請求項5の金属酸化物半導体膜の形成方法によると、酸化チタン微粒子の一次粒径が0.02〜0.03μmと小さいため、焼結が容易となる。
請求項6の金属酸化物半導体膜の形成方法によると、容易かつ安価に金属酸化物半導体膜を得ることができる。
請求項7の金属酸化物半導体膜の形成方法によると、高分子微粒子の粒径を0.05〜90μmの範囲で選択することにより、金属酸化物半導体膜の構造を所望のものに制御することができる。
本発明(請求項8)の色素増感型金属酸化物半導体電極にあっては、色素吸着性の向上した色素増感型金属酸化物半導体電極を簡易かつ低コストにて得ることができる。
本発明(請求項9)の色素増感型太陽電池にあっては、色素吸着性の向上した色素増感型太陽電池を簡易かつ低コストにて得ることができる。
以下図面を参照して、本発明の金属酸化物半導体膜の形成方法を説明する。
図1に本発明の金属酸化物半導体膜の形成方法を説明するための概略図を示す。表面に透明電極3(図1では図示略)を形成した基板1上に、高分子微粒子2bと金属酸化物微粒子2aを含む塗工液を塗布した後、乾燥して金属酸化物微粒子2aと高分子微粒子2bから主として構成される混合膜2Aを形成する(図1(a))。次いでこの高分子微粒子2bを除去することにより、金属酸化物半導体膜2を形成する(図1(b))。
塗工液の塗布は、バーコート法、スクリーン印刷法などの各種の方法によって行うことができる。
高分子微粒子2bの除去は、加熱処理や有機溶媒抽出によって行うことができる。
加熱処理を行う場合、例えば空気中で加熱を行う。加熱温度が低いと、又は加熱時間が短いと、高分子微粒子を十分に除去することができず、また金属酸化物微粒子同士が十分に焼結したり金属酸化物微粒子と基板1とが強固に固着することができない。一方、加熱温度が高いと、又は加熱時間が長いと、使用することができる基板1の材質が制限されると共に消費エネルギーが大きくなる。従って、加熱温度は、混合膜の組成にもよるが、例えば300℃〜600℃であり、好ましくは400℃〜500℃であり、とりわけ430℃〜470℃である。加熱時間は例えば10分〜120分であり、好ましくは10分〜60分であり、とりわけ20分〜40分である。
なお、加熱処理を行う前に、混合膜2Aが基板1から剥離することを防止するために、予備加熱を行ってもよい。この場合、予備加熱の温度は100℃〜200℃特に140℃〜160℃が好ましく、予備加熱の時間は30分〜120分特に40分〜80分程度が好ましい。
次に、本発明の金属酸化物半導体電極及びこれを有する有機色素増感型太陽電池の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
図2は本発明の色素増感型太陽電池の一例を示す断面図である。図2において、基板1の表面に透明電極3が形成されており、この透明電極3の上に、分光増感色素を吸着させた金属酸化物半導体膜2が形成されている。この色素吸着金属酸化物半導体膜2と対向して間隔をあけて対電極4が配置されており、封止剤5により金属酸化物半導体膜2と対電極4との間に電解質(溶液)6が封入されている。なお、本発明の色素増感型金属酸化物半導体電極は、上記基板1と、この基板1上に形成されている透明電極3と、この透明電極3上に形成されている分光増感色素を吸着させた金属酸化物半導体膜2とから基本的に構成される。
本発明の色素増感型金属酸化物半導体電極及びこれを有する色素増感型太陽電池において、金属酸化物半導体膜2は、図1から明らかなように、表面に大きな凹凸と、内部に多数の空隙を有するものである。すなわち、本発明の金属酸化物半導体膜は、上記のように混合膜中の高分子微粒子を加熱処理又は有機溶媒抽出によって除去しているので、除去された部分に無数の空洞が形成され、その空隙率は高い。その空隙率は30%以上、特に35%以上であることが好ましい。空隙率の上限は、有機色素の吸着量を多くする観点からは100%近くであっても良いが、膜としての形状を保持する観点から95%程度が好ましい。
このように、本発明の金属酸化物半導体膜2は、表面の表面積が大きく、且つ内部の空洞の表面積も大きく、このため有機色素が吸着する面積が大きい。さらには、このような構造(形状)のため、有機色素の表面及び内部への侵入が容易であり、短時間に色素吸着を完遂することができる。また、表面及び内部共に大きな表面積を有しているため、有機色素吸着量が増大しており、光のエネルギー変換効率が向上している。
このような構造を有する金属酸化物半導体膜2は、上記図1のようにして得られる。
上記金属酸化物微粒子としては、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化タングステン、酸化アンチモン、酸化ニオブ、酸化インジウム、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、硫化カドミウムなどの公知の半導体の一種または二種以上を用いることができる。特に、安定性、安全性の点から酸化チタンが好ましい。酸化チタンとしてはアナタース型酸化チタン、ルチル型酸化チタン、無定形酸化チタン、メタチタン酸、オルソチタン酸などの各種の酸化チタンあるいは水酸化チタン、含水酸化チタンが含まれる。本発明ではアナタース型酸化チタンが好ましい。金属酸化物は微粒子状であり、その一次粒子径は0.001〜5μm、さらに0.001〜0.5μm、特に0.02〜0.03μmの範囲が好ましい。
上記高分子微粒子としては、ポリスチレン、ブタジエンゴム及びアクリロブタジエン共重合ゴム、スチレンブタジエンゴム、アクリル、ポリウレタン、ポリオレフィン、ビニル化合物等を挙げることができる。
塗工液中に界面活性剤を含有させることもできる。例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等の非イオン界面活性剤、或いは陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤を挙げることができる。
金属酸化物半導体膜の膜厚は、0.01μm以上であることが一般的であり、0.1〜100μm、特に1〜10μmが好ましい。
上記基板1としては、透明な基板であればよく、一般にガラス板、通常珪酸塩ガラス、或いはプラスチック基板である。種々のプラスチック基板を、可視光線の透過性を確保できる限り使用することができる。基板の厚さは、0.1〜10mmが一般的であり、0.3〜5mmが好ましい。ガラス板は、化学的に、或いは熱的に強化させたものが好ましい。
上記プラスチック基板の材料としては、透明の有機樹脂が好ましく、このような支持体としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリシクロヘキシレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、ナイロン46、変性ナイロン6T、ナイロンMXD6、ポリフタルアミド等のポリアミド系樹脂、ポリフェニレンスルフィド、ポリチオエーテルサルフォン等のケトン系樹脂、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン等のサルフォン系樹脂の他に、ポリエーテルニトリル、ポリアリレート、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、トリアセチルセルロース、ポリスチレン、ポリビニルクロライド等の有機樹脂を主成分とする透明樹脂基板を用いることができる。これら中で、ポリカーボネート、ポリメチルメタアクリレート、ポリビニルクロライド、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレートが透明性、複屈折の点で優れており、好適に用いることができる。
上記透明電極3としては、InやSnOの導電性金属酸化物薄膜を形成したものや金属等の導電性材料からなる基板が用いられる。導電性金属酸化物の好ましい例としては、In:Sn(ITO)、SnO:Sb(ATO)、SnO:F(FTO)、ZnO:Al(AZO)、ZnO:F、CdSnOを挙げることができる。
前記のようにして得られた基板1上の金属酸化物半導体膜2の表面に、有機色素(分光増感色素)を単分子膜として吸着させる。
分光増感色素は、可視光領域および/または赤外光領域に吸収を持つものであり、本発明では、種々の金属錯体や有機色素の一種または二種以上を用いることができる。分光増感色素の分子中にカルボキシル基、ヒドロキシアルキル基、ヒドロキシル基、スルホン基、カルボキシアルキル基の官能基を有するものが半導体への吸着が早いため、本発明では好ましい。また、分光増感の効果や耐久性に優れているため、金属錯体が好ましい。金属錯体としては、銅フタロシアニン、チタニルフタロシアニンなどの金属フタロシアニン、クロロフィル、ヘミン、特開平1−220380号公報、特許出願公表平5−504023号公報に記載のルテニウム、オスミウム、鉄、亜鉛の錯体を用いることができる。有機色素としては、メタルフリーフタロシアニン、シアニン系色素、メロシアニン系色素、キサンテン系色素、トリフェニルメタン色素を用いることができる。シアニン系色素としては、具体的には、NK1194、NK3422(いずれも日本感光色素研究所(株)製)が挙げられる。メロシアニン系色素としては、具体的には、NK2426、NK2501(いずれも日本感光色素研究所(株)製)が挙げられる。キサンテン系色素としては、具体的には、ウラニン、エオシン、ローズベンガル、ローダミンB、ジブロムフルオレセインが挙げられる。トリフェニルメタン色素としては、具体的には、マラカイトグリーン、クリスタルバイオレットが挙げられる。
有機色素(分光増感色素)を金属酸化物半導体膜2に吸着させるためには、有機色素を有機溶媒に溶解させて形成した有機色素溶液中に、常温又は加熱下に金属酸化物半導体膜2を基板1ととも浸漬すればよい。前記の溶液の溶媒としては、使用する分光増感色素を溶解するものであればよく、具体的には、水、アルコール、トルエン、ジメチルホルムアミドを用いることができる。
本発明の半導体膜に吸着した分光増感色素に太陽光を照射すると、分光増感色素は可視領域の光を吸収して励起する。この励起によって発生する電子は半導体に移動し、次いで、透明導電性ガラス電極を通って対電極に移動する。対電極に移動した電子は、電解質中の酸化還元系を還元する。一方、半導体に電子を移動させた分光増感色素は、酸化体の状態になっているが、この酸化体は電解質中の酸化還元系によって還元され、元の状態に戻る。このようにして、電子が流れ、本発明の光電変換材料用半導体を用いた太陽電池を構成することができる。
上記電解質(レドックス電解質)としては、I/I 系や、Br/Br 系、キノン/ハイドロキノン系等が挙げられる。このようなレドックス電解質は、従来公知の方法によって得ることができ、例えば、I/I 系の電解質は、ヨウ素のアンモニウム塩とヨウ素を混合することによって得ることができる。電解質は、液体電解質又はこれを高分子物質中に含有させた固体高分子電解質であることができる。液体電解質において、その溶媒としては、電気化学的に不活性なものが用いられ、例えば、アセトニトリル、炭酸プロピレン、エチレンカーボネート等が用いられる。対極としては、導電性を有するものであればよく、任意の導電性材料が用いられるが、I イオン等の酸化型のレドックスイオンの還元反応を充分な速さで行わせる触媒能を持ったものの使用が好ましい。このようなものとしては、白金電極、導電材料表面に白金めっきや白金蒸着を施したもの、ロジウム金属、ルテニウム金属、酸化ルテニウム、カーボン等が挙げられる。
本発明の太陽電池は、前記酸化物半導体電極、電解質及び対極をケース内に収納して封止するが、それら全体を樹脂封止しても良い。この場合、その酸化物半導体電極には光があたる構造とする。このような構造の電池は、その酸化物半導体電極に太陽光又は太陽光と同等な可視光をあてると、酸化物半導体電極とその対極との間に電位差が生じ、両極間に電流が流れるようになる。
なお、比較例として、高分子微粒子を含まない塗工液を用いて金属酸化物半導体膜を形成する場合を図3を用いて説明する。
まず、基板1上に金属酸化物微粒子2aを含む塗工液を塗布した後、乾燥して金属酸化物微粒子膜を形成する。次いで、この金属酸化物微粒子膜を加熱処理して、金属酸化物半導体膜12を形成する(図3)。
図3の通り、高分子微粒子を含まない塗工液を用いて金属酸化物半導体膜12を形成する場合、得られた金属酸化物半導体膜12は低比表面積かつ緻密なものとなり、その結果、色素吸着性の向上した金属酸化物半導体膜を簡易かつ低コストで得ることができない。
実施の形態に係る金属酸化物半導体膜の形成方法を説明する概略図である。 実施の形態に係る色素増感型太陽電池の模式的な断面図である。 高分子微粒子を含まない塗工液を用いた金属酸化物半導体膜の形成方法を説明する概略図である。
符号の説明
1 基板
2 金属酸化物半導体膜
2A 混合膜
2a 金属酸化物微粒子
2b 高分子微粒子
3 透明電極
4 対電極
5 封止剤
6 電解質

Claims (9)

  1. 色素増感型半導体電池に使用される金属酸化物半導体膜を基板上に形成する方法において、
    高分子微粒子及び金属酸化物微粒子を含む塗工液を基板上に塗布した後、乾燥して該基板上に高分子微粒子と金属酸化物微粒子との混合膜を形成し、
    次いで該混合膜から該高分子微粒子を除去することにより前記金属酸化物半導体膜を形成することを特徴とする金属酸化物半導体膜の形成方法。
  2. 請求項1において、前記高分子微粒子を加熱処理によって除去することを特徴とする金属酸化物半導体膜の形成方法。
  3. 請求項1において、前記高分子微粒子を有機溶媒抽出によって除去することを特徴とする金属酸化物半導体膜の形成方法。
  4. 請求項1ないし3のいずれか1項において、前記金属酸化物微粒子は酸化チタン微粒子であることを特徴とする金属酸化物半導体膜の形成方法。
  5. 請求項4において、前記金属酸化物微粒子の一次粒子径が0.02〜0.03μmであることを特徴とする金属酸化物半導体膜の形成方法。
  6. 請求項1ないし5のいずれか1項において、前記高分子微粒子はポリスチレン、ブタジエンゴム、アクリロニトリロ・ブタジエン共重合ゴム、スチレンブタジエンゴム、アクリル、ポリウレタン、ポリオレフィン及びビニル化合物からなる群の少なくとも1つであることを特徴とする金属酸化物半導体膜の形成方法。
  7. 請求項1ないし6のいずれか1項において、前記高分子微粒子の粒子径が0.05〜90μmであることを特徴とする金属酸化物半導体膜の形成方法。
  8. 基板と、該基板上に形成された金属酸化物半導体膜と、該金属酸化物半導体膜の表面に吸着された有機色素とを含む色素増感型金属酸化物半導体電極であって、該金属酸化物半導体膜が請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法によって形成されたことを特徴とする色素増感型金属酸化物半導体電極。
  9. 色素増感型半導体電極と、この色素増感型半導体電極に対面して設けられた対向電極と、該色素増感型半導体電極と対向電極との間に配置された電解質とを有する色素増感型太陽電池において、該色素増感型半導体電極が請求項8に記載の色素増感型金属酸化物半導体電極であることを特徴とする色素増感型太陽電池。
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