JP2007311243A - 作用極および光電変換素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】内部抵抗を上昇させずに逆電流を抑制して光電変換効率を向上させた光電変換素子を提供すること。
【解決手段】本発明に係る光電変換素子20は、窓極として機能する作用極10と、少なくとも一部に電解質層17を介して該作用極と対向して配される対極16とを備えてなる光電変換素子であって、前記作用極は、透明基材11と、該透明基材の一面に配された透明導電膜12と、前記透明導電膜に重なるように配された逆電流防止層13と、前記逆電流防止層に重なるように配され、少なくとも一部に増感色素を担持した多孔質酸化物半導体層14と、を少なくとも備え、前記逆電流防止層は、非絶縁性材料からなることを特徴とする。
【選択図】図2

Description

本発明は、作用極および光電変換素子に関する。より詳しくは、逆電流を抑制した作用極、および前記作用極を備えることにより高効率化を図った光電変換素子に関する。
環境問題、資源問題などを背景に、クリーンエネルギーとしての太陽電池が注目を集めている。太陽電池としては単結晶、多結晶あるいはアモルファスのシリコンを用いたものがある。しかし、従来のシリコン系太陽電池は製造コストが高い、原料供給が不充分などの課題が残されており、大幅普及には至っていない。
また、Cu−In−Se系(CIS系とも呼ぶ)などの化合物系太陽電池が開発されており、極めて高い光電変換効率を示すなど優れた特徴を有しているが、コストや環境負荷などの問題があり、やはり大幅普及への障害となっている。
これらに対して、色素増感型太陽電池は、スイスのグレッツェルらのグループなどから提案されたもので、安価で高い光電変換効率を得られる光電変換素子として着目されている(非特許文献1を参照)。
このような光電変換素子は、窓側電極となる作用極と対極とで電解質を挟み込んだ構造をとっている。
作用極の透明導電膜には、ITOやFTOを用いるが、これらの透明導電膜(特にITO)は、PtやAu等の金属ほどではないものの、発電した電流が外部に取り出される前にヨウ素電解液に戻ってしまう逆電子移動(逆電流、漏れ電流)が、TiO多孔質膜表面よりも僅かに起こりやすい。そのため形状因子FF(fill factor) の低下、開放電圧VOCの減少が起こりエネルギー変換効率がやや低下する。
フレキシブル太陽電池など耐熱性に劣るプラスチックを基板に使用する場合には、高温で成膜するFTOや結晶化ITOが使用できないため、導電膜にアモルファスITOを使用しなければならず、この問題は顕著になる。このような逆電子移動の問題は、その影響が軽微な順に挙げると、TiO、FTO、ITO、アモルファスITO、Pt等の金属である。
このような特性の低下を抑えるため、透明導電性基板の表面に逆電流防止層を設けて、太陽電池を作製する方法があり、この逆電流防止層としては二酸化チタンを使用する例が挙げられる(例えば特許文献1、特許文献2参照)。二酸化チタンは、多孔質作用極と同質の材料であるため、過不足のない最適な逆電流防止効果が得られると予想され、更に酸化チタン多孔質膜表面に吸着して逆電流を低減するピピリジンや色素(N3、N719等の高性能色素は、増感剤と逆電流とを兼ねる働きを有する。)の効果も得られる。
しかし、二酸化チタンは絶縁性であり、酸化チタン多孔質膜と透明導電膜の間に過多に成膜すると内部抵抗が大きくなり、著しく特性が低下する(実際に追試すると、膜厚を上げるにしたがって形状因子FFが向上するより先に内部抵抗が上がってしまうので、適当な膜厚があるわけではない)。そのため一般的にはチタン多孔質膜焼結・形成後、色素担持前にチタン前駆体(四塩化チタン、チタンアルコキシド類)溶液に浸漬、乾燥、焼成して、チタン多孔質膜の開口部にのみ後から形成する方法がとられる。しかしこの方法は、焼成が必要なため、プラスチックには適用できず、予めTiO膜を全面形成しておく方法よりも煩雑になる。
特開2002−075471号公報 特開2004−220920号公報 O’ Regan B, Gratzel M. A low cost, high-efficiency solar cell based on dye-sensitized colloidal TiO2 films, Nature 1991;353:737-739.
本発明は、このような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、内部抵抗を上昇させずに逆電流を抑制することが可能な作用極を提供することを第一の目的とする。
また、本発明は、内部抵抗を上昇させずに逆電流を抑制して光電変換効率を向上させた光電変換素子を提供することを第二の目的とする。
本発明の請求項1に記載の作用極は、対極と対向して配され、窓極として機能する作用極であって、透明基材と、該透明基材の一面に配された透明導電膜と、前記透明導電膜に重なるように配された逆電流防止層と、前記逆電流防止層に重なるように配され、少なくとも一部に増感色素を担持した多孔質酸化物半導体層と、を少なくとも備え、前記逆電流防止層は、非絶縁性材料からなることを特徴とする。
本発明の請求項2に記載の作用極は、請求項1において、前記非絶縁性材料は、TiO(x≠2)であることを特徴とする。
本発明の請求項3に記載の作用極は、請求項1又は2において、前記非絶縁性材料の絶縁抵抗は、1×10−3Ω・cm以上、1×10Ω・cm以下であることを特徴とする。
本発明の請求項4に記載の作用極は、請求項1又は2において、前記逆電流防止層の厚さは、5nm以上、50nm以下であることを特徴とする。
本発明の請求項5に記載の光電変換素子は、窓極として機能する作用極と、少なくとも一部に電解質層を介して該作用極と対向して配される対極とを備えてなる光電変換素子であって、前記作用極は、透明基材と、該透明基材の一面に配された透明導電膜と、前記透明導電膜に重なるように配された逆電流防止層と、前記逆電流防止層に重なるように配され、少なくとも一部に増感色素を担持した多孔質酸化物半導体層と、を少なくとも備え、前記逆電流防止層は、非絶縁性材料からなることを特徴とする。
本発明では、非絶縁性材料からなる逆電流防止層を設けることにより、内部抵抗を上昇させずに逆電流を抑制することが可能な作用極を提供することができる。
また、本発明では、上記構成とした作用極を用いることにより、内部抵抗を上昇させずに逆電流を抑制し、ひいては光電変換効率の向上を図った光電変換素子を提供することができる。
以下、本発明に係る作用極および光電変換素子の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明に係る作用極の一実施形態を示す概略断面図である。
この作用極10は、対極と対向して配され、窓極として機能する作用極であって、透明基材11と、該透明基材11の一面に配された透明導電膜12と、前記透明導電膜12に重なるように配された逆電流防止層13と、前記逆電流防止層13に重なるように配され、少なくとも一部に増感色素を担持した多孔質酸化物半導体層14と、を少なくとも備え、前記逆電流防止層13は、非絶縁性材料からなることを特徴とする。
逆電流防止層13を非絶縁性材料から構成することで、内部抵抗を上昇させることなく、逆電流を抑制することができる。
そしてこのような作用極10を用いて光電変換素子を作製した場合、内部抵抗を上昇させずに逆電流が抑制されることで、形状因子FFが向上し、開放電圧Vocもやや上がる傾向が見られる。これにより光電変換効率を向上することができる。
透明基材11としては、光透過性の素材からなる基板が用いられ、ガラス、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホンなど、通常、光電変換素子20の透明基材として用いられるものであればいかなるものでも用いることができる。透明基材11は、これらの中から電解液への耐性などを考慮して適宜選択される。また、透明基材11としては、用途上、できる限り光透過性に優れる基板が好ましく、透過率が90%以上の基板がより好ましい。
透明導電膜12は、透明基材11に導電性を付与するために、その一方の面に形成された薄膜である。透明導電性基板の透明性を著しく損なわない構造とするために、透明導電膜12は、導電性金属酸化物からなる薄膜であることが好ましい。
透明導電膜12を形成する導電性金属酸化物としては、例えば、スズ添加酸化インジウム(ITO)、フッ素添加酸化スズ(FTO)、酸化スズ(SnO)などが用いられる。これらの中でも、成膜が容易かつ製造コストが安価であるという観点から、ITO、FTOが好ましい。また、透明導電膜12は、ITOのみからなる単層の膜、または、ITOからなる膜にFTOからなる膜が積層されてなる積層膜であることが好ましい。
透明導電膜12を、ITOのみからなる単層の膜、または、ITOからなる膜にFTOからなる膜が積層されてなる積層膜とすることにより、可視域における光の吸収量が少なく、導電率が高い透明導電性基板を構成することができる。
逆電流防止層13は、非絶縁性材料からなり、その絶縁抵抗は、1×10−3Ω・cm以上、1×10Ω・cm以下であることが好ましい。
このような非絶縁性材料としては、TiO(x≠2)、特に平均組成がTiO2−x(0<x≦1)で示されるチタン酸化物であることが好ましい。
TiO2−x (0<x≦1)は微導電性であるが、黒〜灰色で不透明であるため、逆電流防止層13が厚すぎると、作用極10が窓極としての機能を十分に果たすことが困難となる。一方、薄すぎると均一な膜を形成することが困難となる。そのため、逆電流防止層13の厚さは、5nm以上、50nm以下であることが好ましく、5nm以上、10nm以下であることがより好ましい。
なお、このTiO2−x(0<x≦1)からなる膜は、TiO膜と異なり、酸化チタン多孔質膜からなる多孔質酸化物半導体層14と透明導電膜12との間の密着性を高める効果があり、酸化チタン多孔質膜の膜厚を大きくしたときに剥離しにくくなる効果もある。
多孔質酸化物半導体層14は、透明導電膜12の上に設けられており、その表面には増感色素が担持されている。多孔質酸化物半導体層14を形成する半導体としては特に限定されず、通常、光電変換素子用の多孔質酸化物半導体を形成するのに用いられるものであれば、いかなるものでも用いることができる。このような半導体としては、例えば、酸化チタン(TiO)、酸化スズ(SnO)、酸化タングステン(WO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化ニオブ(Nb)などを用いることができる。
多孔質酸化物半導体層14を形成する方法としては、例えば、市販の酸化物半導体微粒子を所望の分散媒に分散させた分散液、あるいは、ゾル−ゲル法により調製できるコロイド溶液を、必要に応じて所望の添加剤を添加した後、スクリーンプリント法、インクジェットプリント法、ロールコート法、ドクターブレード法、スプレー塗布法など公知の塗布方法により塗布した後、このポリマーマイクロビーズを加熱処理や化学処理により除去して空隙を形成させ多孔質化する方法などを適用することができる。
増感色素としては、ピピリジン構造、ターピリジン構造などを配位子に含むルテニウム錯体、ポリフィリン、フタロシアニンなどの含金属錯体、エロシン、ローダミン、メロシアニンなどの有機色素などを適用することができ、これらの中から、用途、使用半導体に適した挙動を示すものを特に限定なく選ぶことができる。
図2は、上述したような作用極10を備えた、本発明に係る光電変換素子20の一実施形態を示す概略断面図である。
この光電変換素子20は、透明基材11と、該透明基材11の一面に配された透明導電膜12と、前記透明導電膜12に重なるように配された逆電流防止層13と、前記逆電流防止層13に重なるように配され、少なくとも一部に色素を担持した多孔質酸化物半導体層14とを備えた作用極10と、導電性基材15からなり、該基材15の一面が前記多孔質酸化物半導体層14と対向して配される対極16と、前記作用極10と前記対極16との間の少なくとも一部に配された電解質層17と、から構成される。
光電変換素子20において、電解質層17を作用極10と対極16で挟んでなる積層体が、その外周部が封止部材18によって接着、一体化されて光電変換素子として機能する。
本発明の光電変換素子20では、作用極10において非絶縁性材料からなる逆電流防止層13が設けられているので、内部抵抗を上昇させずに逆電流を抑制することができる。これにより形状因子(FF)や開放電圧Vocを向上することができ、その結果、光電変換効率を向上することができる。
基材15としては、導電性を有する基材からなり、透明基材11と同様のものや、特に光透過性をもつ必要がないことから金属板、合成樹脂板などが用いられる。
基材15がガラスや合成樹脂板などからなる場合、導電性を付与するために、その一方の面に金属、炭素などからなる薄膜(導電膜)が形成されていてもよい。導電膜としては、例えば炭素や白金などの層を、蒸着、スパッタ、塩化白金酸塗布後に熱処理を行ったものが好適に用いられるが、電極として機能するものであれば特に限定されるものではない。
電解質層17は、多孔質酸化物半導体層14内に電解液を含浸させてなるものか、または、多孔質酸化物半導体層14内に電解液を含浸させた後に、この電解液を適当なゲル化剤を用いてゲル化(擬固体化)して、多孔質酸化物半導体層14と一体に形成されてなるもの、あるいは、イオン性液体、酸化物半導体粒子および導電性粒子を含むゲル状の電解質が用いられる。
上記電解液としては、ヨウ素、ヨウ化物イオン、ターシャリ−ブチルピリジンなどの電解質成分が、エチレンカーボネートやメトキシアセトニトリルなどの有機溶媒に溶解されてなるものが用いられる。
この電解液をゲル化する際に用いられるゲル化剤としては、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレンオキサイド誘導体、アミノ酸誘導体などが挙げられる。
上記イオン性液体としては、特に限定されるものではないが、室温で液体であり、四級化された窒素原子を有する化合物をカチオンまたはアニオンとした常温溶融性塩が挙げられる。
常温溶融性塩のカチオンとしては、四級化イミダゾリウム誘導体、四級化ピリジニウム誘導体、四級化アンモニウム誘導体などが挙げられる。
常温溶融塩のアニオンとしては、BF 、PF 、F(HF) 、ビストリフルオロメチルスルホニルイミド[N(CFSO ]、ヨウ化物イオンなどが挙げられる。
イオン性液体の具体例としては、四級化イミダゾリウム系カチオンとヨウ化物イオンまたはビストリフルオロメチルスルホニルイミドイオンなどからなる塩類を挙げることができる。
上記酸化物半導体粒子としては、物質の種類や粒子サイズなどが特に限定されないが、イオン性液体を主体とする電解液との混和製に優れ、この電解液をゲル化させるようなものが用いられる。また、酸化物半導体粒子は、電解質の半導電性を低下させることがなく、電解質に含まれる他の共存成分に対する化学的安定性に優れることが必要である。特に、電解質がヨウ素/ヨウ化物イオンや、臭素/臭化物イオンなどの酸化還元対を含む場合であっても、酸化物半導体粒子は、酸化反応による劣化を生じないものが好ましい。
このような酸化物半導体粒子としては、TiO、SnO、WO、ZnO、Nb、In、ZrO、Ta、La、SrTiO、Y、Ho、Bi、CeO、Alからなる群から選択される1種または2種以上の混合物が好ましく、二酸化チタン微粒子(ナノ粒子)が特に好ましい。この二酸化チタンの平均粒径は2nm〜1000nm程度が好ましい。
上記導電性微粒子としては、導電体や半導体など、導電性を有する粒子が用いられる。この導電性粒子の比抵抗の範囲は、好ましくは1.0×10−2Ω・cm以下であり、より好ましくは、1.0×10−3Ω・cm以下である。また、導電性粒子の種類や粒子サイズなどは特に限定されないが、イオン性液体を主体とする電解液との混和性に優れ、この電解液をゲル化するようなものが用いられる。さらに、電解質中で酸化被膜(絶縁被膜)などを形成して導電性を低下させることがなく、電解質に含まれる他の共存成分に対する化学的安定性に優れることが必要である。特に、電解質がヨウ素/ヨウ化物イオンや、臭素/臭化物イオンなどの酸化還元対を含む場合でも、酸化反応による劣化を生じないものが好ましい。
このような導電性微粒子としては、カーボンを主体とする物質からなるものが挙げられ、具体例としては、カーボンナノチューブ、カーボンファイバ、カーボンブラックなどの粒子を例示できる。これらの物質の製造方法はいずれも公知であり、また、市販品を用いることもできる。
封止部材18としては、対極16をなす基材16に対する接着性に優れるものであれば特に限定されないが、例えば、分子鎖中にカルボン酸基を有する熱可塑性樹脂からなる接着剤などが望ましく、具体的には、ハイミラン(三井デュポンリケミカル社製)、バイネル(三井デュポンリケミカル社製)、アロンアルファ(東亞合成社製)などが挙げられる。
次に、この実施形態の光電変換素子20の製造方法について説明する。
まず、透明基材11の一方の面の全域を覆うように透明導電膜12を形成し、透明導電性基板を作製する。
透明導電膜12を形成する方法としては、特に限定されるものではなく、例えば、スパッタリング法、CVD(化学気相成長)法、スプレー熱分解法(SPD法)、蒸着法などの薄膜形成法が挙げられる。
その中でも、前記透明導電膜12は、スプレー熱分解法により形成されたものであることが好ましい。透明導電膜12を、スプレー熱分解法により形成することで、容易にヘーズ率を制御することができる。また、スプレー熱分解法は、減圧システムが不要なため、製造工程の簡素化、低コスト化を図ることができるので好適である。
次いで、透明導電膜12に重なるように、平均組成がTiO2−x (0<x≦1)で示されるチタン酸化物膜を成膜し、逆電流防止層13を形成する。その厚さは、5nm以上、50nm以下とすることが好ましく、5nm以上、10nm以下とすることがより好ましい。
チタン酸化物膜の成膜法としては、例えば透明基材11がプラスチックのように耐熱性の低い基材である場合には、直接酸化物をスパッタする方法、また、透明基材11がガラスのように耐熱性の高い基材の場合には、Tiを成膜後、熱処理して酸化する方法が簡便な方法として挙げられる。
次いで、逆電流防止層13を覆うように、多孔質酸化物半導体層14を形成する。この多孔質酸化物半導体層14の形成は、主に塗布工程と乾燥・焼成工程からなる。
塗布工程とは、例えばTiO粉末と界面活性剤を所定の比率で混ぜ合わせてなるTiOコロイドのペーストを、親水性化を図った逆電流防止層13の表面に塗布するものである。その際、塗布法としては、加圧手段(例えば、ガラス棒)を用いて前記コロイドを逆電流防止層13上に押し付けながら、塗布されたコロイドが均一な厚さを保つように、加圧手段を逆電流防止層13の上空を移動させる方法が挙げられる。
乾燥・焼成工程とは、例えば大気雰囲気中におよそ30分間、室温にて放置し、塗布されたコロイドを乾燥させた後、電気炉を用いおよそ30分間、350℃の温度にて焼成する方法が挙げられる。
次に、この塗布工程と乾燥・焼成工程により形成された多孔質酸化物半導体層14に対して色素担持を行う。
色素担持用の色素溶液は、例えばアセトニトリルとt−ブタノールを容積比で1:1とした溶媒に対して極微量のN719粉末を加えて調整したものを予め準備しておく。
シャーレ状の容器内に入れた色素溶媒に、別途電気炉にて120〜150℃程度に加熱処理した多孔質酸化物半導体層14を浸した状態とし、暗所にて一昼夜(およそ20時間)浸漬する。その後、色素溶液から取り出した多孔質酸化物半導体層14は、アセトニトリルとt−ブタノールからなる混合溶液を用い洗浄する。
上述した工程により、色素担持したTiO薄膜からなる多孔質酸化物半導体層14を備えた作用極10(窓極とも呼ぶ)を得る。
一方、基材15(必ずしも透明である必要はない)の一方の面に、例えば白金からなる導電膜を蒸着法などにより形成してなる対極16を設ける。この対極16には、その厚み方向に貫通する穴を少なくとも2ヶ所設ける。この穴は、後述する電解液を注入する際の注入口である。
色素担持させたTiO薄膜からなる多孔質酸化物半導体層14が上方をなすように作用極10を配置し、この多孔質酸化物半導体層14に対向させて、対極16を作用極10に重ねて設けることにより積層体が形成される。その後、積層体の側部、すなわち作用極10と対極16の重なった外周付近を、例えばエポキシ樹脂からなる封止部材18で封止する。
封止部材18が乾いて固化した後、積層体の空隙、すなわち作用極10と対極16と封止部材18で囲まれた空間内に、対極16に設けた注入口から電解質溶液を注入する。これにより色素増感型の光電変換素子20が形成される。
このようにして得られる光電変換素子は、作用極において非絶縁性材料からなる逆電流防止層が設けられているので、内部抵抗を上昇させずに逆電流を抑制することができる。これにより形状因子(FF)や開放電圧Vocを向上することができ、その結果、光電変換効率を向上することができる。
(実験例1)
ガラス基板(20mm×20mm)上に、スプレー熱分解法によりITO透明導電膜(10Ω/cm)を700nmの厚さに成膜した。
ITO透明導電膜上に、プラズマガスにアルゴン(主にプラズマガス)、酸素(酸化数調整用)をそれぞれ用い、スパッタターゲットに純Ti、TiO、Tiを用いたRFスパッタ法にて、Ti、TiO、Tiそれぞれのスパッタレートを調整しチタン酸化物(TiO、Ti、TiO、Ti、Ti、Ti、Ti)をそれぞれ厚さ約10nmに成膜して逆電流防止層を形成した。
得られた膜はXPS(X線光電子分光分析)にて組成を測定し、酸化数がTiOを基準に所望の割合に得られているか確認した。
逆電流防止層上に、酸化チタン微粒子多孔質層(面積5×9mm)を約6μmの厚さに形成した。そして該酸化チタン微粒子多孔質膜にN3色素(Ru(2,2’-bipyridine-4,4’-dicarboxylic acid)(NCS)) を担持させることで多孔質酸化物半導体層を形成し、作用極を得た。
対極は、ガラス基板上にFTO(フッ素ドープ酸化スズ)を成膜し、さらにその上に白金をスパッタリング法により成膜することで作製した。
得られた作用極と対極との間に電解質を介在させて積層し、色素増感型の光電変換素子(発電部面積9mm×5mm)を作製した。電解質には、メトキシアセトニトリルを溶媒とした揮発系電解液を用いた。
(実験例2)
実験例1と同様に、ガラス基板上に成膜したITO透明導電膜上に、アルゴンプラズマによるRFスパッタ法でTiを成膜した後、大気中で300〜600℃の範囲で熱処理し、熱処理条件をそれぞれ調整することにより(例えばTiの場合450℃×15分、TiOの場合600℃×30分など)、チタン酸化物(TiO、TiO、Ti、Ti、Ti、Ti)からなる逆電流防止層を形成した。
得られた膜は単一組成ではないが、XPSにて組成を測定し、平均の酸化数がTiOを基準に所望の割合に得られているか確認した。
実験例1と同様にして、逆電流防止層上に多孔質酸化物半導体層を形成して作用極を作製し、この作用極を用いて光電変換素子を作製した。
(比較例)
ITO透明導電膜上に逆電流防止層を形成しなかったこと以外は、実験例1と同様にして作用極を作製し、この作用極を用いて光電変換素子を作製した。
以上のようにして得られた光電変換素子について形状因子および光電変換効率を評価した。その結果を、逆電流防止層の組成と併せて表1に示す。
Figure 2007311243
表1から明らかなように、絶縁膜であるTiOを除くすべての膜で形状因子が向上するとともに光電変換効率が向上していることがわかる。
以上の結果から、非絶縁性材料からなる逆電流防止層を設けることで、内部抵抗を上昇させずに逆電流を抑制できることがわかった。これにより形状因子が向上し、光電変換効率を向上できることがわかった。
本発明は、作用極および光電変換素子に適用可能である。
本発明に係る作用極の一例を示す概略断面図である。 本発明に係る光電変換素子の一例を示す概略断面図である。
符号の説明
10 作用極、11 透明基材、12 透明導電膜、13 逆電流防止層、14 多孔質酸化物半導体層、15 導電性基材、16 対極、17 電解質層、18 封止部材、20 光電変換素子。

Claims (5)

  1. 対極と対向して配され、窓極として機能する作用極であって、
    透明基材と、該透明基材の一面に配された透明導電膜と、
    前記透明導電膜に重なるように配された逆電流防止層と、
    前記逆電流防止層に重なるように配され、少なくとも一部に増感色素を担持した多孔質酸化物半導体層と、を少なくとも備え、
    前記逆電流防止層は、非絶縁性材料からなることを特徴とする作用極。
  2. 前記非絶縁性材料は、TiO(x≠2)であることを特徴とする請求項1に記載の作用極。
  3. 前記非絶縁性材料の絶縁抵抗は、1×10−3Ω・cm以上、1×10Ω・cm以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の作用極。
  4. 前記逆電流防止層の厚さは、5nm以上、50nm以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の作用極。
  5. 窓極として機能する作用極と、少なくとも一部に電解質層を介して該作用極と対向して配される対極とを備えてなる光電変換素子であって、前記作用極は、
    透明基材と、該透明基材の一面に配された透明導電膜と、
    前記透明導電膜に重なるように配された逆電流防止層と、
    前記逆電流防止層に重なるように配され、少なくとも一部に増感色素を担持した多孔質酸化物半導体層と、を少なくとも備え、
    前記逆電流防止層は、非絶縁性材料からなることを特徴とする光電変換素子。
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