JP2005299103A - ウレタン防水構造とこれに用いる湿気硬化型ウレタンプライマー。 - Google Patents
ウレタン防水構造とこれに用いる湿気硬化型ウレタンプライマー。 Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】 下地上に塗布したプライマー層と、プライマー上に形成した防水層と、防水層上に塗布したトップコート層とからなり、前記プライマー層は非芳香族系溶剤を主成分とした溶剤を20〜85重量%含有する湿気硬化型ウレタンプライマー材により形成し、前記防水層はトルエン・キシレンを含有しないウレタン系塗膜防水材により形成し、前記トップコート層は非芳香族系溶剤を主成分とした溶剤を30〜80重量%含有する2液型アクリルウレタン塗料材により形成したウレタン防水構造ならびに前記湿気硬化型ウレタンプライマー材の提供により上記課題を解決する。
【選択図】なし。
Description
このような部位での施工は、プライマー塗布(0.1〜0.2kg/平方メートル)、防水材塗布(1〜2回/1.5〜3.5kg/平方メートル)、トップコート塗布(0.1〜0.2kg/平方メートル)といった、主に3種類の材料を施工現場で順次積層することにより構成されているのが一般的である。
上記硬化剤に使用される可塑剤としては、DOP(ジオクチルフタレート)、DINP(ジイソノニルフタレート)等のフタル酸エステル類が主に使用されるが、その他の脂肪族二塩基酸エステル類、リン酸エステル類、エポキシ脂肪酸エステル類、グリコールエステル類、石油系可塑剤も使用される場合もあり、使用量は主剤のイソシアネート末端プレポリマー100重量部に対し15から50重量部が一般的である。
施工時における低臭性等を目的としたウレタン防水技術に関連して、以下の文献が存在している。
特にプライマーおよびトップコートは50%前後の樹脂を溶解させる必要があり、その溶解性および乾燥性より、トルエン・キシレンで溶解せざるを得ないのが現状である。
また、ウレタン防水材本体にも粘度調整のために数%のトルエン・キシレンが含有されているのが一般的であり、さらに施工現場で希釈剤(減粘剤)として、トルエン・キシレンを数%添加し混合し、施工条件に適した粘度に調整した後、塗布されるのが一般的である。
脱トルエン・キシレンの対策として、水性プライマーおよび水性トップコートを使用したシステムが提唱されているが(特開2002−3641289)、水性プライマーについては施工性の低下、エマルションであるがゆえの耐水接着性の低下および下地コンクリートへの含浸性・ヌレ性の低下、上塗りウレタン防水材との接着性不良という実用上の問題が残されており、また水系トップコートについても、施工性の低下(防水材への濡れ性が悪いため施工に手間が掛かる)、ウレタン防水材との耐水接着性の低下といった課題があり、さらに上記システムでは施工性の低下をも含めたトータルコストの増加という問題もある。
ジフェニルメタンジイシシアネートとしてはその一部を変性した液状MDIおよび一部を重合したポリメリックMDIも使用できる。
TDIとMDIを併用する場合は各々のプレポリマーをブレンドする方法もあるが、TDIプレポリマーを合成後、同じ容器にMDIを仕込み、その後にポリオールを仕込む1バッチ2段反応で製造することもできる。
また、TDIプレポリマーにMDI、変性MDI、ポリメリックMDIのモノマーを添加する方法も上記併用系と同様に好ましい。
脂肪族エステル類のなかでも、沸点が摂氏230度以上ではプライマーの乾燥性(硬化性)を悪くしてしまい、85℃以下では施工時・貯蔵時の安全性・危険性がますため、溶剤の主成分とするには好ましくなく、沸点が摂氏85度〜230度の範囲が好ましい。
なお、酢酸プロピル、酢酸ブチル、オクテン酸メチルについてはそれぞれの異性体の使用も好ましい。
また、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテートといった、エチレングリコールおよびジエチレングリコールから合成されるエステル類も使用することはできるが、最近、欧米で人体への影響から使用が自粛されている傾向があるため、特に好ましくはない。
炭素数7〜10の脂環族炭化水素そしては、メチルシクロヘキサン(MCH)、エチルシクロヘキサン(ECH)、ジメチルシクロヘキサン(DMCH)、リカソルブ900(C9芳香族水添体/三菱商事)、リカソルブ1000(C10芳香族水添体/三菱商事)が挙げられるが、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサンが溶解性に優れているため併用するのに好ましい。
また、該脂肪族エステル類に対する炭素数7〜10の脂環族炭化水素との配合比は100:200以下が好ましく、それ以上炭素数7〜10の脂環族炭化水素が多くなると、特に低温時のウレタンプレポリマーの溶解が悪くなるため好ましくない。
また、低沸点芳香族ナフサ、芳香族含有石油系炭化水素溶剤、あるいは脂肪族・脂環族石油系炭化水素溶剤も主成分ではなく、一部配合することはできるが、プライマー中のトルエン・キシレンの含有量が1%以下となるよう配合することが好ましく、さらには芳香族含有量が1%以下となることが好ましい。
添加量が20%以下では粘度が高すぎて施工性が低下すると同時にコンクリート下地への浸透性も低下し、85%以上ではコンクリート下地へ浸透し過ぎるため、造膜性が低下する。
さらに、ウレタン樹脂・エポキシ樹脂等の塗膜系下地の改修時に使用する仲介用プライマーとしても使用することができる。
具体的にはLAWS(シェルケミカルズジャパン株式会社製/芳香族含有石油炭化水素系溶剤)、シェルゾールD40(シェルケミカルズジャパン/脂肪族・脂環族炭化水素)、シェルゾールS(シェルケミカルズジャパン株式会社製/脂肪族石油系炭化水素溶剤)、IPソルベント(出光石油化学製/イソパラフィン型石油系炭化水素溶剤)、当該炭素数7〜10の脂環族炭化水素溶剤、当該沸点が摂氏85度〜230度の脂肪族エステル系溶剤等が挙げられるが、低温時のウレタン樹脂の溶解性および低臭性であることより、アニリン点が40〜80の石油系炭化水素溶剤および炭素数7〜10の脂環族炭化水素溶剤が好ましい。
また、現場で粘度調整として使用する希釈材(減粘材)についてもトルエン・キシレンを含有しない溶剤、さらには有機溶剤中毒予防規則外の溶剤が好ましく、低温時のウレタン樹脂への溶解性および低臭性とのバランスよりアニリン点が40〜80の石油炭化水素溶剤および炭素数7〜10の脂環族炭化水素溶剤が好ましい。
さらに、現場で配合される場合がある、硬化促進材についても、トルエン・キシレンで希釈したものではなく、希釈材と同様の溶剤を使用することが好ましい。
また、防水材中の可塑剤量が5重量部以下では低粘度で作業性の良い防水材を作ることが難しい。
防水材中の可塑剤量を40部以下とすると、上記弱溶剤系トップコートのタック性および初期接着性が実用の範囲となってくるが、冬季でも夕方時にトップコートを塗布し翌朝に歩行する等の工期短縮を実現するには、防水材中の可塑剤量が30部以下であることがさらに好ましい。 なお、上記ウレタン塗膜系防水材には施工時に、ガラスクロス、繊維クロス、不織布等で補強することができる。
上記防水材に使用できる可塑剤としては、DOP(ジオクチルフタレート)、DINP(ジイソノニルフタレート)等のフタル酸エステル類、その他の脂肪族二塩基酸エステル類、リン酸エステル類、エポキシ脂肪酸エステル類、グリコールエステル類、動植物油系脂肪酸エステル類、石油・鉱物油系可塑剤、アルキレンオキサイド重合系可塑剤等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
使用する溶剤の主成分については、低沸点芳香族ナフサ、芳香族含有石油系炭化水素溶剤、脂肪族および脂環族石油系炭化水素溶剤、当該炭素数7〜10の脂環族炭化水素溶剤、当該沸点が90〜230℃の脂肪族エステル類等が挙げられるが、硬化剤中のトルエン・キシレンの含有量を1重量%以下とすることが好ましく、さらには芳香族含有量が1%以下とすることがより好ましい。
また、出来るだけ低臭性とするため、脂肪族エステル類については溶解性補助としての最小限の添加量であることが好ましい。
また、硬化剤と同様、出来るだけ低臭性とするため、脂肪族エステル類については溶解性補助としての最小限の添加量であることが好ましい。
脂肪族および脂環族石油系炭化水素溶剤としてはシェルゾールD40(シェルケミカルズジャパン株式会社製)、シェルゾールS(シェルケミカルズジャパン株式会社製)、エクソールD30(エクソンモービル製、エクソールD40(エクソンモービル製)、IPソルベント(出光石油化学製/イソパラフィン型石油系炭化水素溶剤)等が挙げられる。
炭素数が7〜10の脂環族炭化水素系溶剤としては、プライマーと同様にメチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、MCH、リカソルブ900(C9芳香族水添体)、リカソルブ1000(C10芳香族酸い水添体)が挙げられる。
沸点が摂氏85度〜230度の脂肪族エステル系溶剤としては、プライマーで使用できるエステル系溶剤と同様のものが使用できる。
次のような調整によりプライマー材につき、表1に示すようなA〜Cの実施例を得た。なお、表1において、Dはトルエン、キシレンを含有する従来例に係るプライマー材であり、比較のため掲示してある。
2リットルの四つ口フラスコに、表1の配合に従ってポリオール類および溶剤類を仕
込み、次いでT-80を仕込んだ。その後チッソ気流下、攪拌しながら約90℃まで徐徐に加温し、その温度で約7時間反応させた後、室温まで冷却して収缶した。
C*については上記1段反応終了後、液温を50℃に冷却した時点でMR200を配合し、さらにポリオール(GP400)を配合した後、液温を約70℃まで加熱し約3時間反応させ、室温まで冷却して収缶した。
また、ビスフェノールA系エポキシ樹脂をエマルション化した主剤と水溶性脂肪族ポリアミンを硬化剤とし、主剤と硬化剤を2/1で混合し(エポキシ当量/アミン当量=1)、塗布する2液混合型エポキシエマルション型プライマーをプライマーEとした。
PP−400:サンニックスジオールPP−400、三洋化成工業株式会社製、ポリオキシプロピレングリコール、OH価281mgKOH/g
GP−400:サンニックストリオールGP−400、三洋化成工業株式会社製、ポリオキシプロピル化グリセリン、OH価421mgKOH/g
T−80:コロネートT80、日本ポリウレタン工業株式会社製、2,4−トリレンジイソシアネート80%含有品、NCO含有量48.3重量%
MR−200:コロネートMR−200、日本ポリウレタン工業株式会社製、ポリメリックMDI、NCO含有量31.5%
PGM-AC:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、株式会社クラレ製
ソルフィットAC:3-メトキシ-3-メチル-ブチルアセテート、株式会社クラレ製
MCH:メチルシクロヘキサン、丸善石油化学株式会社製
イ:主剤の調整
2リットルの四つ口フラスコに、表2の配合に従ってポリオールであるPP2000とGP3000を仕込み、さらに粘度調整用溶剤として非芳香族石油系炭化水素であるシェルゾールSを仕込み、次いでTDI−80を仕込んだ。その後窒素気流下、攪拌しながら90〜100℃で7時間反応させた後、室温まで冷却して収缶した(主剤I)。
収缶後のNCO含有量は3.47重量%であった。
PP−2000:サンニックスジオールPP−2000、三洋化成工業株式会社製、ポリオキシプロピレンジオール、OH価56.1mgKOH/g
GP−3000:サンニックストリオールGP−3000、三洋化成工業株式会社製、ポリオキシプロピル化グリセリン、OH価56.1mgKOH/g
シェルゾールS:脂肪族石油系炭化水素溶剤、シェルケミカルズジャパン株式会社製
TDI−80:コロネートT-80、日本ポリウレタン工業株式会社製、2,4−トリレンジイソシアネート80%含有品、NCO含有量48.3重量%
2リットルの金属容器に表3の硬化剤配合に従って、所定量のT500に溶解させたMOCAを配合し、DINP、オクチル酸鉛(鉛含量20%)、添加剤類、溶剤の液物を仕込み攪拌機(直径50mm)で低速混合し均一にした後、炭酸カルシウム、顔料を配合し1500rpmで15分間混合し硬化剤aおよびbを調整した。
MOCA:イハラキュアミンMT、イハラケミカル工業株式会社製、4,4‘−ジアミノ−3,3’−ジクロロジフェニルメタン
T500:ポリハードナーT−500、第一工業製薬株式会社製、ポリオキシプロピル化グリセリン、OH価33.7mgKOH/g
DINP:サンソサイザーDINP、新日本理化株式会社製、ジイソノニルフタレート
オクチル酸鉛:ニッカオクチル酸鉛20%(T)、日本化学産業株式会社製、2−エチルヘキシル酸鉛、Pbとして20%含有
添加剤:楠本化成株式会社製
炭酸カルシウム:NS#100、日東粉化工業株式会社製
トナー:御国色素株式会社製、顔料50%、DINP50%
溶剤:シェルゾールS、シェルケミカルズジャパン株式会社、脂肪族石油系炭化水素溶剤
表4に示すように、主剤Iと硬化剤aを重量比で100/200の割合で配合したものを防水材A、主剤Iと硬化剤bを100/200で配合したものを防水材B、主剤Iと硬化剤cを100/200で配合したものを防水材Cとした。各々の主剤プレポリマーに対する可塑剤使用量は25重量部および35重量部となる。
次のような調整により表5に示すようなA〜Bの実施例を得た。なお、Cは従来例に係るトップコートであり、比較のために掲示した。
トップコートAはトルエン・キシレンの含有量が主剤、硬化剤ともに1重量%以下とすることを目的とし、溶剤の主成分を芳香族含有石油系炭化水素溶剤(第3種溶剤)としたものである。
トップコートBは芳香族含有量を主剤、硬化剤ともに1重量%以下とし、有機則該当外塗料とすることを目的としたもので、溶剤の主成分を脂肪族炭化水素、PGMAC、メチルシクロヘキサンの混合物としたものである。
トップコートCはトルエン・キシレンを溶剤の主成分とした従来の2液型アクリルウレタン塗料である。
また、トップコートDとして2液型水系アクリルトップコートを用意した。この塗料はヘキサメチレン系変性イソシアネート(水溶性化変性)をPGMAC20重量%で希釈した主剤と、水酸基含有ビニル重合体のエマルションを主成分とした硬化剤(エナメル)とを1/10(重量)に混合して使用する、反応型アクリルエマルション塗料である。
気温23℃、湿度50%の空気循環型環境試験室内で、セメント・砂比が1/3(重量比)のモルタル板(表面金コテ押さえ、300×300×20mm、8週間養生)に、プライマーAを0.15kg/平方メートルとなるようウインナーローラーで塗布し、施工性(注1)をチェックしところ、クロス塗りにより均一に塗布され、全面が樹脂でヌレておりハジキは発生せず良好であった(評価○)。塗布した後、1時間毎に硬化性(注2)をチェックしたところ2〜3時間でタックフリーとなり歩行可能となり、評価は良好(○)であった。
翌日に、防水材Aを2.0kg/平方メートルとなるようゴムベラで均一に塗布し、さらにその翌日、トップコートAをウインナーローラーでクロス塗りし施工性(注4)をチェックしたところ、均一に塗布され、全面が塗料でヌレておりハジキは発生しなかった(評価良好:○)。
さらに、トップコートA塗布の翌日(18時間後)にタックフリー性(注5)をチェックしたところ、十分歩行できるほどにタックがとれていた(評価良好○)。
その後この試験体を23℃/50%の条件で、1週間養生した後、7日間水槽に浸漬させ、水槽より取り出し1日間放置後、プライマーの耐水接着試験(注3)およびトップコートの耐水接着試験(注6)を行ったが、プライマーの耐水接着試験では防水材の材料破壊となり良好であった(評価良好○)。
また、トップコートの耐水接着試験もゴムベラによるラビングにより、剥離は見られず良好(○)であった。
トップコートについては、さらに専用試験片を作製し、JISに則り伸び率(*7)を測定したが150%であった(評価良好○)。
次に、プライマーおよびトップコートについて、有害性に関する規制を評価したところ、プライマーは有規則(注12)の第2種に該当し(評価不適合×)、トップコートは、有機則(注12)の第3種およびPRTR法(注11)に該当はするが、トルエン・キシレンの含有率が1%以下であるため、その他の規制には該当せず改善されており、従来システムよりは施工時の臭いは穏やかであった。
注1施工性: 300×300×20mmの1/3モルタル板にウインナーローラーでプライマーを横方向に1回塗布した後、直ちに縦方向にもう1回塗布するクロス塗りを行なう(0・15kg/平方メートル)。
評価○: モルタルとのヌレ性が良いと全面が均一となる場合。
評価×: ヌレ性が悪いとハジキが発生し、均一にするにはさらにローラー施工が必要となり、施工性が低下する(23℃、湿度50%)。
注2硬化性: 1/3モルタル板に0.15kg/平方メートル塗布したプライマーのタック性を1時間毎に指触でチェックし、硬化性(歩行可能時間)をチェックする(23℃、湿度50%)。
評価○: 23℃で5時間以内の硬化性であれば当日中に防水材の塗布ができる場面が多いため良好である。
評価△: 5〜10時間、
評価×: 10時間以上となると冬季には翌日施工もできなくなる可能性がある。
注3耐水接着性: 前記モルタル板上にトップコートまで積層し、1週間養生(23℃/50%)をしたのち、23℃の水槽にモルタル板を浸漬させ、1週間後に取り出し、取り出し翌日に百八十度のピール試験(巾30mmに防水層をカッターナイフでカット)をおこない、接着状態をチェックする。
評価〇:防水材の材料破壊、
評価△:一部防水材の材料破壊が50%以上、界面剥離が50%未満で平均ピール強度が5kgf/30mm以上。
評価×:ほとんどが、モルタルとプライマー間、あるいはプライマーと防水材間の界面剥離で、平均ピール強度が5kgf/30mm以下。
注4施工性: プライマーと同様に、防水材の上にトップコートをクロス塗りし、ヌレ性およびハジキをチェックする。
評価○: 1度のクロス塗りで均一にヌレてハジキが発生しない場合。
評価×: 明らかにハジキが認められる場合。
注5硬化性(タックフリー性): 23℃/50%の条件で、防水材(2.0kg/平方メートル)の上に約0.15kg/平方メートルのトップコートを塗布し、翌日(18時間後)のタック性を指触および靴での歩行でチェックする。
評価○: 指触でタック性が少なく(タックフリー)靴で歩いてもトップコートの剥がれがなく汚れが付かない状態。
評価△: ややタックがあるが靴での歩行はでき、汚れも拭けばとれる状態。
評価×: タックがあり靴での歩行で剥がれたり、汚れが取れない状態。
注6耐水接着性: 23℃/50%の条件で防水材の上にトップコートを0.15kg/平方メートル塗布し、7日間養生したのち、水槽に完全にトップコートまで浸漬するようサンプルを水に漬け、7日間放置後水槽から取り出し、翌日に接着試験を行なう。接着試験はトップコート面の同じ場所を、ゴムベラ先端を厚さ5mmにカットした角の部分で10往復(5cm巾で移動)こすった後のトップコートの剥がれを観察する(ラビング試験)。
評価○: まったく剥がれない場合を。
評価△: 一部分(30%以下)剥がれる場合。
評価×: 30%以上はがれる場合。
注7伸び率: JISA69009.6.31(ダンベル2号、標線間20mm)23℃/50%で7日間養生したトップコート塗膜をJISに則のっとり測定する。
評価○: 伸び率が80%〜250%。
評価×: 上記以外。
注8毒・劇物取締法: 毒物及び劇物取締法(厚生労働省)
注9悪臭防止法: 悪臭防止法(環境省)
注10シックハウス対象物質: シックハウス濃度指針値対象物質(厚生労働省)
注11PRTR法: 特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の促進に関する法律(経済産業省および環境省)
注12有機則 : 有機溶剤中毒予防規則(労働安全衛生法、厚生労働省)
実施例1と同様の試験であるが、プライマーBとトップコートBを使用した。
プライマーBは硬化時間が3〜4時間と若干長くなるが十分実用の範囲であり、施工性、硬化性、耐水接着性ともに良好であった。
また、トップコートBはトップコートAより若干臭いがあるが(エステル臭)、従来品よりは低臭性であり、施工性、硬化性、耐水接着性、伸び率ともに良好であった。
また、有害性に関する規制については、有機則非該当の溶剤を使用しているため、プライマー、トップコートともいずれの規制にも該当せず、大幅に改善されている。
実施例2と同様の試験であるが、可塑剤量が35重量%とやや多い防水材Bを使用したため、ややトップコートに翌日タック性が残るが、汚れがやや付く程度で歩行は可能であり更に翌日にはタック性もなくなっていたため(評価:△)、実施例2よりは劣るが十分実用は可能であった。また、有害性に関する規制については、いずれにも該当していない。
実施例1と同様の試験であるが、プライマーCを使用した。プライマーCは溶剤としてソルフィットACを使用するもので、比較的エステル臭は穏やかであるが高沸点(188℃)であり乾燥性が遅くなることより、硬化性の速いMRプレポリマーを配合し硬化性を促進したため、3〜4時間の硬化性となり十分実用できる範囲であり、良好であった。その他の試験項目もすべて良好であった。
また、このシステムではいずれの有害性に関する規制にも該当しない。
比較例1
現行のトルエン・キシレンを使用したシステムであり、施工性・性能についてはすべての試験項目が良好であった。しかし、トルエン・キシレンを使用しているため、いずれの有害性に関する規制にも該当しており、施工時の臭気が激しかった。
比較例2
水系プライマー、および水系トップコートを使用したシステムであり、プライマーEは、下地モルタルとのヌレ性が従来品より悪く、ローラーでクロス塗りした後に、ハジキが発生しており、ハジキをなくすにはさらにクロス塗りが必要であり施工性が悪かった(評価×)。また、硬化時間は6〜7時間が必要であり、当日中に防水材を施工するにはやや不適当であった(評価△)。
さらに、下地コンクリートへの浸透性が悪いため(水分は浸透するがエマルション粒子が表面に残るためか)、耐水接着試験ではモルタル面とプライマー間で剥離を起こし、平均ピール強度は3kgf/30mmであった(評価×)。
一方、トップコートDは防水材とのヌレ性が悪いために、クロス塗り1回ではハジキが発生し、2回目のクロス塗りを行っても、乾燥過程でややハジキが発生し、施工性は不良であった(評価×)。
また、耐水接着試験ではゴムベラによるラビング試験でトップコートの一部(約50%)が剥離した(評価×)。
有害性に関する規制については水系プライマー、水系トップコートともにいずれの規制にも該当しない。
以上のように、現行のトルエン・キシレンを使用したシステム(比較例1)は施工性・性能は優れているが、いずれの有害性に関する規制にも該当しており、施工時の臭気も激しかった。
逆に、水系プライマー・水系トップコートシステム(比較例2)はプライマーおよびトップコートともに臭気は穏やかではあるが、施工性、耐水接着性等に問題が残されている。
Claims (13)
- 下地上に塗布したプライマー層と、プライマー上に形成した防水層と、防水層上に塗布したトップコート層とからなり、前記プライマー層は非芳香族系溶剤を主成分とした溶剤を20〜85重量%含有する湿気硬化型ウレタンプライマー材により形成し、前記防水層はトルエン・キシレンを含有しないウレタン系塗膜防水材により形成し、前記トップコート層は非芳香族系溶剤を主成分とした溶剤を30〜80重量%含有する2液型アクリルウレタン塗料材により形成したことを特徴とするウレタン防水構造。
- 請求項1のウレタン防水構造において、プライマー層を形成する前記湿気硬化型ウレタンプライマー材に係る前記溶剤は、沸点が摂氏85度ないし230度の脂肪族エステル類で構成したことを特徴とするウレタン防水構造。
- 請求項1のウレタン防水構造において、プライマー層を形成する前記湿気硬化型ウレタンプライマー材に係る前記溶剤は、沸点が摂氏85度ないし230度の脂肪族エステル類と炭素数7〜10の脂環族炭化水素溶剤との混合物で構成するとともに、当該脂肪族エステル類に対する炭素数7〜10の脂環族炭化水素類との混合比を100:200以下としたことを特徴とするウレタン防水構造。
- 請求項2のウレタン防水構造において、溶剤に係る脂肪族エステル類は、酢酸プロピル、酢酸ブチル、オクテン酸メチル、エチル-3-エトキシプロピオネート、3-メトキシ-ブチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3-メトキシ-3-メチル-ブチルアセテートのうちのいずれか1種又は2種以上の混合であることを特徴とするウレタン防水構造。
- 請求項3のウレタン防水構造において、溶剤に係る炭素数7〜10の脂環族炭化水素はメチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサンのうちのいずれか1種又は2種以上の混合であることを特徴とするウレタン防水構造。
- 請求項1ないし5いずれかのウレタン防水構造において、前記ウレタン系塗膜防水材に使用されるイソシアネート末端プレポリマー100重量部に対し可塑剤は5重量部以上40重量部以下の構成比としたことを特徴とするウレタン防水構造。
- 請求項1ないし6いずれかのウレタン防水構造において、トップコート層を形成する前記2液型アクリルウレタン系塗料材の主成分としての溶剤は、芳香族含有石油系炭化水素溶剤類、脂肪族および脂環族石油系炭化水素溶剤類、炭素数7〜10の脂環族炭化水素溶剤類、沸点が摂氏85度以上230度以下の脂肪族エステル系溶剤類のうちのいずれか又はそれらの混合物で構成するとともに、トルエン・キシレンの含有量が1重量%以下であることをすることを特徴とするウレタン防水構造。
- 請求項6又は7いずれかのウレタン防水構造において、トップコート層を構成する前記2液型アクリルウレタン塗料材による塗膜硬化層の伸び率は80%以上250%以下としたことを特徴とするウレタン防水構造。
- 非芳香族系溶剤を主成分とした溶剤を20〜85重量%含有することを特徴とする湿気硬化型ウレタンプライマー。
- 請求項9の湿気硬化型ウレタンプライマーにおいて、非芳香族系溶剤を主成分とした前記溶剤は沸点が摂氏85度ないし230度の脂肪族エステル類であることを特徴とする湿気硬化型ウレタンプライマー。
- 請求項9の湿気硬化型ウレタンプライマーにおいて、非芳香族系溶剤を主成分とした前記溶剤は沸点が摂氏85度ないし230度の脂肪族エステル類と炭素数7〜10の脂環族炭化水素溶剤との混合物で構成するとともに、当該脂肪族エステル類に対する炭素数7〜10の脂環族炭化水素類との混合比を100:200以下としたことを特徴とする湿気硬化型ウレタンプライマー。
- 請求項10又は11いずれかの湿気硬化型ウレタンプライマーにおいて、溶剤に係る脂肪族エステル類は、酢酸プロピル、酢酸ブチル、オクテン酸メチル、エチル-3-エトキシプロピオネート、3-メトキシ-ブチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3-メトキシ-3-メチル-ブチルアセテートから選ばれたいずれか1種又は2種以上の混合であることを特徴とする湿気硬化型ウレタンプライマー。
- 請求項11の湿気硬化型ウレタンプライマーにおいて、溶剤に係る炭素数7〜10の脂環族炭化水素はメチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサンから選ばれたいずれか1種又は2種以上の混合であることを特徴とする湿気硬化型ウレタンプライマー。
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