JP2005298808A - イオン性化合物水溶液の製造法 - Google Patents

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盛夫 山本
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Abstract

【課題】 所望のカチオンの塩の使用量を低減でき、1段階の膜分離で所望のカチオン以外の塩を低減させることのできるイオン性化合物水溶液の製造法を提供する。
【解決手段】 (a)、(b)及び(c)工程を含むイオン性化合物水溶液の製造法。
(a):水溶性基を有するイオン性化合物を含む水溶液に、疎水性アミン及び疎水性有機溶媒を混合し、強酸性に調整した後、イオン性化合物から生じるアニオンと疎水性アミンから生じるイオンとの塩を含む有機相を得る工程。
(b):(a)で得られた有機相に、カチオンを含む化合物を水溶液として混合させたのち、分液してイオン性化合物から生じるアニオンと前記カチオンとの塩を含む水相を得る工程。
(c):(b)で得られた水相から濾過膜分離装置で無機塩を除去して、対イオンが前記カチオンであるイオン性化合物から生じるアニオンを含む水溶液を得る工程。
【選択図】 なし

Description

本発明は、色素、染料、農薬、医薬、洗剤、食品添加物等に利用されるイオン性化合物水溶液の製造法に関する。
分子内に−SONa基、−SOK基、−COONa基もしくは−COOK基などの水溶性基を有するイオン性化合物は、色素、染料、農薬、医薬、洗剤、食品添加物等に広く利用されている。最近、電子写真、デジタル写真などの情報記録分野に用いられる印刷機では、色素化合物であるイオン性化合物を主成分とするインキの液滴を微小な吐出オリフィスから普通紙、光沢紙、布など記録材料に飛翔させて記録させる方法が汎用されている。インキとしては、上記吐出オリフィス内で固化することなく、長時間に渡って安定して吐出されるイオン性化合物水溶液であることが要求される。吐出オリフィス内でのイオン性化合物の固化を抑制する方法としては、イオン性化合物に含まれる水溶性基の対イオンをリチウムイオンに置換する方法が一般的である。
イオン性化合物に含まれる水溶性基の対イオンを所望の対イオンに置換する方法としては、膜分離を2段階に分けて実施する方法が知られている(特許文献1)。
しかしながら、上記の方法では、所望のカチオン以外の塩を除去するために、膜分離を2段階に分けて実施する必要があり、さらに、所望のカチオンがリチウムイオンである場合には、高価なリチウム塩を大量に使用しなくてはならないという問題があった。
特開平11−130699号公報(実施例1及び2[0029]〜[0038])
本発明の目的は、所望のカチオンを有するイオン性化合物水溶液を製造するために、所望のカチオンの塩の使用量を低減でき、1段階の膜分離で所望のカチオン以外の塩を低減させることのできるイオン性化合物水溶液の製造法を提供することにある。
本発明は、下記(a)、(b)及び(c)工程を含むイオン性化合物水溶液の製造法である。
(a)工程:
−SONa基、−SOK基、−SONH基、−COONa基、−COOK基、−PONa基、−POK基、−PONH基及び−COONH基からなる群から選ばれる少なくとも一種の水溶性基を有するイオン性化合物を含む水溶液に、疎水性アミン及び疎水性有機溶媒を混合し、水相部のpHを0.01〜2に調整して分液した後、イオン性化合物から生じるアニオンと疎水性アミンから生じるイオンとの塩を含む有機相を得る工程。
(b)工程:
(a)工程で得られた有機相に、カチオンを含む化合物を水溶液として混合させたのち分液して、前記イオン性化合物から生じるアニオンと前記カチオンとの塩を含む水相を得る工程。
(c)工程:
(b)工程で得られた水相から濾過膜分離装置で無機塩を除去し、対イオンが前記カチオンであるイオン性化合物から生じるアニオンを含む水溶液を得る工程。
中でも、(c)工程で用いられる濾過膜分離装置の濾過膜が、3.64重量%硫酸ナトリウム水溶液を用いて膜分離した時、下記式(1)
R=[1−(Cp/3.64)]×100 (1)
(式中、Rは濾過膜の阻止率[%]を表し、Cpは、濾過膜で膜分離されて得られる透過液中の硫酸ナトリウムの濃度[重量%]を表す。)
で算出される阻止率Rが90%以下の濾過膜である製造法はイオン性化合物の損失が低減される傾向にあることから好ましく、とりわけ、阻止率Rが40〜60%の濾過膜であるとイオン性化合物以外のアニオンの含有量が低減される傾向にあることから好ましい。
本発明によれば、所望のカチオンを有するイオン性化合物水溶液を製造するために、所望のカチオンの塩の使用量を低減でき、1段階の膜分離で所望のカチオン以外の塩を低減させることのできる。さらに、(c)工程において、阻止率Rが40〜60%の濾過膜である濾過膜分離装置を用いると、所望のイオン性化合物以外のアニオンの含有量が低減される傾向にある。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明は、下記(a)、(b)及び(c)工程を含むイオン性化合物水溶液の製造法を提供するものである。
本発明においては、下記(a)、(b)及び(c)工程は、通常、(a)、(b)、(c)の順番で実施されるが、これらの工程の前後に、適宜、他の必要な工程が追加されていてもよい。
まず、(a)工程について説明する。
(a)工程は、−SONa基、−SOK基、−SONH基、−COONa基、−COOK基、−PONa基、−POK基、−PONH基、及び−COONH基からなる群から選ばれる少なくとも一種の水溶性基を有するイオン性化合物を含む水溶液に、疎水性アミン及び疎水性有機溶媒を混合し、必要に応じて、硝酸、硫酸及びリン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種の鉱酸等を加えて、水相部のpHが0.01〜2となるように調整したのち、分液して、イオン性化合物から生じるアニオンと疎水性アミンから生じるイオンとの塩を含む有機相を得る工程である。
イオン性化合物としては、例えば、酸性染料、直接染料、食添用染料、反応染料などの水溶性色素などが挙げられる。
酸性染料としては、例えば、以下のものが挙げられる。
C.I.Acid Yellow 1
C.I.Acid Yellow 7
C.I.Acid Yellow 11
C.I.Acid Yellow 17
C.I.Acid Yellow 23
C.I.Acid Yellow 25
C.I.Acid Yellow 29
C.I.Acid Yellow 36
C.I.Acid Yellow 38
C.I.Acid Yellow 40
C.I.Acid Yellow 42
C.I.Acid Yellow 44
C.I.Acid Yellow 76
C.I.Acid Yellow 164
C.I.Acid Orange 7
C.I.Acid Orange 8
C.I.Acid Orange 10
C.I.Acid Orange 19
C.I.Acid Orange 20
C.I.Acid Orange 24
C.I.Acid Orange 28
C.I.Acid Orange 33
C.I.Acid Orange 41
C.I.Acid Orange 45
C.I.Acid Orange 51
C.I.Acid Orange 56
C.I.Acid Red 1
C.I.Acid Red 6
C.I.Acid Red 8
C.I.Acid Red 13
C.I.Acid Red 14
C.I.Acid Red 18
C.I.Acid Red 26
C.I.Acid Red 27
C.I.Acid Red 32
C.I.Acid Red 35
C.I.Acid Red 52
C.I.Acid Red 80
C.I.Acid Red 82
C.I.Acid Red 85
C.I.Acid Red 88
C.I.Acid Red 97
C.I.Acid Red 106
C.I.Acid Red 111
C.I.Acid Red 114
C.I.Acid Red 115
C.I.Acid Red 133
C.I.Acid Red 134
C.I.Acid Red 145
C.I.Acid Red 154
C.I.Acid Red 155
C.I.Acid Red 249
C.I.Acid Red 265
C.I.Acid Violet 7
C.I.Acid Violet 41
C.I.Acid Violet 43
C.I.Acid Violet 51
C.I.Acid Blue 9
C.I.Acid Blue 23
C.I.Acid Blue 25
C.I.Acid Blue 27
C.I.Acid Blue 29
C.I.Acid Blue 40
C.I.Acid Blue 41
C.I.Acid Blue 43
C.I.Acid Blue 45
C.I.Acid Blue 62
C.I.Acid Blue 74
C.I.Acid Blue 78
C.I.Acid Blue 80
C.I.Acid Blue 92
C.I.Acid Blue 113
C.I.Acid Blue 117
C.I.Acid Blue 120
C.I.Acid Blue 127
C.I.Acid Blue 138
C.I.Acid Green 19
C.I.Acid Green 20
C.I.Acid Green 25
C.I.Acid Green 27
C.I.Acid Green 36
C.I.Acid Green 41
C.I.Acid Green 44
C.I.Acid Brown 2
C.I.Acid Brown 13
C.I.Acid Brown 14
C.I.Acid Brown 20
C.I.Acid Brown 27
C.I.Acid Black 1
C.I.Acid Black 7
C.I.Acid Black 12
C.I.Acid Black 24
C.I.Acid Black 26
C.I.Acid Black 31
C.I.Acid Black 94
これらの酸性染料の中で、C.I.Acid Red 52、C.I.Acid Blue 9、C.I.Acid Black 12、C.I.Acid Yellow 11が好ましく使用される。
直接染料としては、例えば、以下のものが挙げられる。
C.I.Direct Violet 63
C.I.Direct Yellow 86
C.I.Direct Yellow 132
C.I.Direct Yellow 142
C.I.Direct Yellow 173
C.I.Direct Black 17
C.I.Direct Black 19
C.I.Direct Black 22
C.I.Direct Black 154
C.I.Direct Red 80
C.I.Direct Red 81
C.I.Direct Blue 86
C.I.Direct Blue 185
C.I.Direct Blue 199
これらの直接染料の中で以下のものが好ましく使用される。
C.I.Direct Yellow 86
C.I.Direct Red 80
C.I.Direct Red 81
C.I.Direct Black 17
C.I.Direct Black 19
C.I.Direct Black 22
C.I.Direct Black 154
C.I.Direct Blue 86
C.I.Direct Blue 185
C.I.Direct Blue 199
食添用染料としては、例えば、C.I.Food Black 2などが挙げられる。
反応染料としては、例えば、モノクロロトリアジン基、ジクロロトリアジン基、トリクロロピリミジン基、ジクロロキノキサリン基、メチルスルホニルクロロメチルピリミジン基、モノクロロジフルオロピリミジン基やメチルフルオロトリアジン基等を反応基として有するものが挙げられる。
モノクロロトリアジン基、ジクロロトリアジン基、トリクロロピリミジン基、ジクロロキノキサリン基、メチルスルホニルクロロメチルピリミジン基、モノクロロジフルオロピリミジン基、メチルフルオロトリアジン基などを反応基として有する反応染料としては、例えば、次のものなどが挙げられる。
C.I.Reactive Orange 1
C.I.Reactive Orange 2
C.I.Reactive Red 17
C.I.Reactive Red 180
C.I.Reactive Violet 9
C.I.Reactive Blue 4
C.I.Reactive Blue 5
C.I.Reactive Brown 1
C.I.Reactive Black 10
これらの中で、C.I.Reactive Red 180が好ましく使用される。
イオン性化合物としては、水溶性色素が好ましく、酸性染料、直接染料が特に好ましく使用される。
また、上記イオン性化合物の色素母体としては、モノアゾ染料、ジスアゾ染料、トリスアゾ染料やテトラキスアゾ染料等のアゾ系染料、アントラキノン系染料、アントラピリドン系染料、キノフタロン系染料、トリフェニルメタン系染料、フタロシアニン系染料、ジオキサジン系染料などが挙げられる。
イオン性化合物に含まれる水溶性基としては、例えば、−SONa基、−SOK基、−SONH基、−COONa基、−COOK基、−PONa基、−POK基、−PONH基、−COONH基などが挙げられる。水溶性基は、同一イオン性化合物中に異なる種類の水溶性基が存在していてもよい。また、水溶性基が同一イオン性化合物中に複数存在していてもよい。
イオン性化合物の対イオンは、通常、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、アンモニウムイオンなどの1価のカチオンが用いられる。
また、原料として用いられるイオン性化合物水溶液に含まれる水分量は、(a)工程における分液性の観点から、通常、該水溶液100重量部に対して、70〜98重量部程度である。
本製造法に用いられる疎水性アミンとは、炭化水素基を有するアミン化合物であり、炭化水素基の炭素数が12〜30程度の3級アミンであることが好ましい。
具体的には、ラウリルメチルアミン、ベンジルラウリルアミン、ミリスチルメチルアミン、パルミチルメチルアミン、ステアリルメチルアミン、オレイルメチルアミン、リノレイルメチルアミン、ジラウリルアミン、ジミリスチルアミン、ジパルミチルアミン、ジステアリルアミン、ジオレイルアミン、ジリノレイルアミン、ジラウリルメチルアミン、ジステアリルメチルアミン、ジオクチルアミン、ジカプリルアミン、ジイソオクチルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリ−n−オクチルアミン、トリ−(3,5,5−トリメチルへキシル)アミン、トリイソオクチルアミン、下式(I)
Figure 2005298808
[式中、Rは炭素数8〜18のアルキル基又は炭素数8〜18のアルケニル基を表す。]
で示される3級アミンなどが挙げられる。
疎水性アミンとしては、式(I)で示される3級アミンが特に好ましい。
疎水性アミンの使用量としては、イオン性化合物に含まれる水溶性基に対して、通常、1当量以上であり、好ましくは1.5〜5当量程度である。
疎水性有機溶媒としては、例えば、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素などが挙げられ、芳香族炭化水素が好ましく用いられる。芳香族炭化水素にはハロゲン原子が結合していてもよい。疎水性有機溶媒の具体例としては、トルエン、キシレン、モノクロロベンゼンなどが挙げられる。
疎水性有機溶媒の使用量は、使用されるイオン性化合物を溶解し得る量であれば特に限定されないが、具体的には、イオン性化合物が水溶性色素である場合、水溶性色素1重量部に対して、1〜20重量部程度である。
(a)工程では、まず、イオン性化合物を含む水溶液に、疎水性アミン及び疎水性有機溶媒を混合し、必要に応じて、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸などの鉱酸、好ましくは硫酸またはリン酸、とりわけ好ましくは硫酸を加えて、水相部のpHを0.01〜2、好ましくは0.5〜1となるように調整する。分液後の水相部のpHが上記範囲以外のpHであれば、鉱酸を加えて混合し、分液させて、水相部のpHが上記範囲となるように調整する。
水相部がpH0.01以上であると、本製造法で得られるイオン性化合物水溶液中に含まれる鉱酸イオンが低減される傾向があることから好ましく、pH2以下であると、原料のイオン性化合物に由来するナトリウムイオン、銅イオンなどのカチオンが、水相部に除去される割合が向上する傾向にあることから好ましい。
(a)工程で分液された有機相は、(b)工程を実施する前に、イオン交換水などによって水洗されることが好ましい。水洗することにより、カチオンをさらに除去することができ、後述する所望のカチオン以外のカチオンを低減させることができる。
この水洗に使用される水の量としては、有機相1重量部に対して、通常、0.1〜10重量部程度、好ましくは、0.2〜2重量部程度である。
pH調整後、有機相には、前記イオン性化合物から生じるアニオンと疎水性アミンから生じるイオンとの塩、疎水性有機溶媒などが含まれており、これが(b)工程に用いられる。
(b)工程では、(a)工程で得られた有機相に、所望のカチオンを含む化合物を水溶液として混合させたのち分液して、イオン性化合物から生じるアニオンと所望のカチオンとの塩を含む水相を得ることができる。
ここで、所望のカチオンとしては、リチウムイオン、カリウムイオン、アンモニウムイオンなどが挙げられ、吐出オリフィス内での固化を抑制する観点及びインキとしての印刷特性との観点から、リチウムイオン、アンモニウムイオンが好ましく使用される。
カチオンを含む化合物は、通常、塩基性化合物であり、具体的には、炭酸リチウム、炭酸水素リチウム、水酸化リチウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、アンモニアなどが挙げられる。中でも所望のカチオンがリチウムイオンの場合には水酸化リチウムが好ましく使用され、所望のカチオンがアンモニウムイオンの場合には水酸化アンモニウム、アンモニアが好ましく使用される。
同種のカチオンであれば異なる化合物を使用してもよい。例えば、所望のカチオンがリチウムイオンである場合、炭酸水素リチウムと水酸化リチウムを併用してもよい。
カチオンを含む化合物の水溶液に含まれる水分量としては、該水溶液100重量部に対して、通常、70〜98重量部程度である。
カチオンを含む化合物の使用量としては、(a)工程で用いられた疎水性アミンに対して、通常、略理論当量程度である。
(b)工程により、前記イオン性化合物から生じるアニオンと所望のカチオンとの塩、並びに、カチオンと鉱酸との塩などを含む水相が得られる。
尚、(b)工程で分液して得られる有機相は、疎水性アミン及び疎水性有機溶媒を含むことから、工業的には、回収された該有機相を繰り返し使用してもよい。
また、上記水相は、該水相中に含まれる疎水性アミンの含有量を低減させるために、疎水性有機溶媒で洗浄することが好ましい。洗浄に使用される疎水性有機溶媒の量としては、上記イオン性水溶液1重量部に対して、通常、0.1〜10重量部程度、好ましくは、0.2〜2重量部程度である。
(b)工程で得られた水相は、必要に応じて、鉱酸を加えて、通常、pH4〜10、好ましくはpH6〜9に調整する。該水相を用いて得られるイオン性化合物水溶液が微小な吐出オリフィスから記録材料に飛翔させるインキである場合、pH4以上であると上記吐出オリフィスの腐食を低減させる傾向があることから好ましく、pH9以下であると、イオン性水溶液の取扱いが容易である傾向にあることから好ましい。
さらに、(b)工程で得られた水相には、疎水性有機溶媒が含まれることから、常圧又は減圧下にて共沸脱水して、疎水性有機溶媒を留去することが好ましい。水相における疎水性有機溶媒の含有量を低減させることにより、後述する(c)工程で用いられる膜分離装置の濾過膜を接着する接着剤剥離が低下する傾向があることから好ましい。
(c)工程は、(b)工程で得られた水相から濾過膜分離装置で無機塩を除去し、対イオンが前記カチオンであるイオン性化合物から生じるアニオンを含む水溶液を得る工程である。具体的には、例えば、濾過膜分離装置を用い、該装置の濾過膜を介して、その膜の片側を加圧することにより、(b)工程で得られた水相中の不要な無機塩を除去して、イオン性化合物と所望のカチオンとの塩を含む水溶液を得る方法などが挙げられる。
(c)工程は、常圧でもよいが、加圧して無機塩の除去に要する時間、すなわち、膜分離に要する時間を短縮するために、通常、0.1〜10MPa程度、好ましくは1〜5MPa程度加圧する。
加圧とともに、水を添加しながら膜分離する方法が好ましく、とりわけ、膜分離によって減少する容量と同量の水を連続的に添加して、イオン性化合物の濃度を一定に保ちながら膜分離する方法が好適である。本方法を用いることで、イオン性化合物の濃度増加による、膜分離の所要時間の増加を抑制する傾向にあることから好ましい。ここで添加する水の量としては、通常、(b)工程で得られたイオン性化合物水溶液の合計重量の約2〜30倍以下程度、好ましくは5〜20倍以下程度が好適である。添加する水の量が30倍以下であると膜分離の所要時間が短くなる傾向があることから好ましい。尚、本発明では、(c)工程で添加される水の量を、(c)工程開始時のイオン性化合物水溶液の量で除した値を透過倍率という。
また、水を連続的に添加して膜分離する方法において、膜分離されるイオン性化合物水溶液の水分含量を、通常、約70〜98重量%程度、とりわけ、約80〜95重量%程度になるように水の添加速度を調整することが好ましい。該水分含量が上記範囲内であると、膜分離されるイオン性化合物水溶液の粘度が低くなって分離速度が向上する傾向があるので好ましい。
(c)工程に使用される濾過膜の材料としては、例えば、天然、合成、半合成などの高分子材料などが挙げられる。具体的には、セルロース、アセチル化セルロース、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化エチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアミド、ポリイミドなどが挙げられる。これらの中でも、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアミド、ポリイミドが好ましく使用される。
濾過膜の形態としては、例えば、非対称形・多孔質相転換膜、非対称相転換膜、複合膜、延伸膜、焼結膜、飛跡浸食膜などが挙げられる。
これらの中でも、非対称形・多孔質相転換膜、非対称相転換膜、複合膜が好ましく用いられる。
(c)工程に用いられる濾過膜の種類を膜の目開きの分類で表せば、ナノ濾過分離膜、逆浸透膜、限外濾過膜などが例示される。
中でも、3.64重量%硫酸ナトリウム水溶液を用いて、常温(約25℃)、3 MPaの加圧下で定常状態に達するまで膜分離した時、下記式(1)
R=[1−(Cp/3.64)]×100 (1)
(式中、Rは濾過膜の阻止率[%]を表し、Cpは、濾過膜で膜分離されて得られる透過液中の硫酸ナトリウムの濃度[重量%]を表す。)
で算出される阻止率Rが約90%以下である濾過膜が好ましく、中でも40%から60%までのものがより好ましく、48%から57%までのものがさらに好ましい。
阻止率が90%以下であると、所望のカチオンが選択的に塩として残存する傾向があることから好ましい。つまり、イオン性化合物のリチウム塩が所望化合物であり、カチオンとしてリチウムイオンとナトリウムイオンが存在する場合、阻止率が90%以下であると、ナトリウムイオンが膜分離される傾向があることから好ましい。
とりわけ、阻止率が60%以下であると、硫酸イオンや塩素イオンなどのように、イオン性化合物に由来するアニオン以外のアニオンが低減される傾向があることから好ましい。
また、阻止率が40%以上であると、イオン性化合物が透過しにくくなり、収率が向上する傾向があることから好ましい。
濾過膜としては、例えば、ポリエーテルスルホン系濾過膜SNKCEA、SNKCEB、SNKCEC、G−10、G−20、ASP−50、NF−45(以上、(株)サンコーより入手)、ポリスルホン系濾過膜NTR−7450(日東電工(株)製)などの市販品の濾過膜を使用してもよい。
濾過膜を用いる膜分離は、通常、10〜70℃程度、好ましくは20〜60℃の温度で実施される。膜分離の温度が10℃以上であると、分離速度が向上する傾向があることから好ましく、該温度が70℃以下であると濾過膜の耐久性が向上する傾向にあることから好ましい。
本発明に用いられる濾過膜分離装置としては、具体的には、全濾過型濾過形、クロスフロー型濾過形などの形状を有する、濾過膜分離装置などが例示される。
本発明の方法により得られるイオン性化合物水溶液は、微小な吐出オリフィスから記録材料に飛翔させるインキとして用いることができる。この場合、イオン性化合物を0.01〜30重量%及び液媒体を70〜99.99重量%含有する組成物であることが好ましく、イオン性化合物を0.1〜20重量%及び液媒体を80〜99.9重量%含有する組成物であることがより好ましく、イオン性化合物を1〜5重量%及び液媒体を95〜99重量%含有する組成物であることが特に好ましい。
微小な吐出オリフィスから記録材料に飛翔させるインキは、二つ以上のイオン性化合物を含む混合物であってもよい。
該インキにおける液媒体は、水、有機溶剤、又は水と有機溶剤との混合物であるであることが好ましい。
液媒体が水と有機溶剤との混合物である場合、有機溶剤は水混和性有機溶剤であることが好ましい。
また、水と水混和性有機溶剤の重量比は、好ましくは99:1〜1:99の範囲であり、より好ましくは99:1〜50:50の範囲であり、特に好ましくは95:5〜80:20の範囲である。
水混和性有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、i−ブタノール、n−ペンタノール等の炭素数1〜6のアルカノール類;シクロヘキサノール、シクロペンタノール等の環状アルカノール類;ペンタン−1,5−ジオール、ヘキサン−1,6−ジオール等の炭素数2〜12のジオール類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類;トリエタノールアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン等のアミン類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール等のケトン又はケトン−アルコール類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ヘキシレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のオリゴ−又はポリアルキレングリコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、ヘキシレングリコール、チオジグリコール等の炭素数2〜6のアルキレングリコール又はチオグリコール類;グリセリン、1,2,6−ヘキサントリオール等のポリオール類;2−メトキシエタノール、2−(2−メトキシエトキシ)エタノール、2−(2−エトキシエトキシ)−エタノール、2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]−エタノール、2−[2−(2−エトキシエトキシ)エトキシ]−エタノール、2−(2−ブトキシエトキシ)エタノール、エチレングリコールモノアリルエーテル等の多価アルコールのアルキル(炭素数1〜4)エーテル;2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、カプロラクタム、1,3−ジメチルイミダゾリドン等の環状アミド類;カプロラクタム、γ−ブチロラクトン等の環状エステル類;ジメチルスルホキシド及びスルホラン等のスルホキシド類;チオグリコール及び第二のグリコール、又はジエチレングリコール及び2−ピロリドンから選択される少なくとも1種の上記水混和性有機溶剤である。水混和性有機溶剤は異なる2種類のを含む混合物であってもよい。
特に好ましい水混和性有機溶剤としては、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、2−メトキシ−2−エトキシ−2−エトキシエタノール、及び分子量500以下のポリエチレングリコールが挙げられる。
水と水混和性有機溶剤との混合物は、60〜99.5重量%の水と;ジエチレングリコール、2−ピロリドン、N−メチルピロリドン、シクロヘキサノール、カプロラクトン、カプロラクタム、ペンタン−1,5−ジオール、2−(2−ブトキシエトキシ)エタノール及びチオジグリコールから選択される一つ以上の溶剤の0.5〜40重量%とを含む混合物であることが好ましい。
微小な吐出オリフィスから記録材料に飛翔させるインキは、水溶性色素等のイオン性化合物、水及び水混和性の有機溶剤以外に、印刷用インキで慣用的に使用されている付加的な成分、例えば、粘度及び表面張力改良剤、腐食防止剤、殺生物剤、コゲーション(kogation)抑制添加剤、並びにイオン性又は非イオン性の界面活性剤などが含有されていてもよい。
記録材料としては、例えば、紙、プラスチック、織物、金属、ガラス等が挙げられ、好ましくは、紙、オーバーヘッドプロジェクターのスライド又は織物生地であり、特に好ましくは紙である。
紙としては、普通紙や処理紙(酸性、中性又はアルカリ性)が挙げられる。
好ましい織物生地は、天然、合成及び半合成の生地であり、好ましい天然織物生地としては、羊毛、絹、毛、セルロース、木綿、ジュート、麻、亜麻、リンネルが挙げられる。
特に好ましい天然織物生地としては、木綿、ジュート、麻、亜麻、リンネルが挙げられる。
また、好ましい合成及び半合成の生地としては、ポリアミド、ポリエステル、ポリアクリロニトリル、ポリウレタン等が挙げられる。
本発明の方法は、濾過膜分離装置による1回の膜分離でも、十分に無機塩を脱塩することが可能であり、また操作も簡便で、膜分離の設備を簡易なものとすることが可能であることから、工業的に優れた製造法である。
また、対カチオンを与える化合物の使用量を少なくしても、得られたイオン性化合物はほとんど、所望の対カチオンに置換され、しかも、濾過膜を適宜選択することにより、塩素イオン、硫酸イオンなどのイオン性化合物に由来するアニオン以外の不要イオンを低減することが可能となる。
さらに、本発明の方法によれば、所望のカチオンの量も低減することができ、塩を生成する可能性が低減された。結果として、吐出オリフィス内での塩の固化をも抑制することができる。
以下、実施例によって本発明をより詳細に説明する。
(実施例1)
<(a)工程>
下記式(遊離酸の形式で記載)で表されるC.I.Acid Yellow23
Figure 2005298808
[遊離酸の形に換算したときの純度は、70.7%、水溶性基の含有量は249当量比]55重量部に水495重量部を加えて調製した色素の液に、ジベンジルドデシルアミン211重量部(577当量比)とトルエン407重量部を加え、次いで20%硫酸を加えて、水相部のpHを0.8に調整し、pH0.8で30分攪拌した。次に、攪拌を停止し、30分静置した。静置後、下層(水相)を抜き取った。残存する上層(有機相)にイオン交換水500重量部を加え、30分攪拌後、30分静置した。静置後、水相を抜き取った。次に、水相を抜き取った後の有機相にイオン交換水500重量部を加え、30分攪拌後、30分静置した。さらに、イオン交換水495重量部を加え、30分攪拌後、30分静置した。次いで、静置後の水相を抜き取った。
<(b)工程>
(a)工程で得られた有機相に2%水酸化リチウム水溶液の690重量部(ジベンジルドデシルアミン1当量比に対して、水酸化リチウム1モル比)を加えて攪拌した。なお、C.I.Acid Yellow23の遊離酸として100重量部に対し、用いた水酸化リチウムの使用量はリチウム原子として25.1重量部であった。次に、攪拌を停めて30分静置後、下層(水相)を抜き取り、得られた水相に希硫酸を加えてpH7に調整したのち、16.7kPaの減圧下で約55℃まで加熱して、残存するトルエンを水とともに留去し、遊離酸の形に換算したときの濃度が6.9重量%であるC.I.Acid Yellow23のリチウム塩の水溶液716重量部を得た。得られた水溶液のナトリウムイオン濃度は検出されず、該水溶液のリチウムイオン濃度は5300ppm、塩素イオン濃度は230ppm、硫酸イオン濃度が15300ppmであった。
<(c)工程>
(b)工程で得られた水溶液の150重量部を、硫酸ナトリウム3.64重量%を含有する水溶液に対する阻止率が56.1%である前記濾過膜(G-10:(株)サンコーより入手)を装着した全濾過型濾過装置を用いて、膜分離される水溶液の液量を維持するためにイオン交換水を加えながら、室温(約25℃)、3MPaの加圧下、平均透過流束 23.84L/m2/hrで、透過倍率10倍まで膜分離し、遊離酸の形に換算したときの濃度が5重量%であるC.I.Acid Yellow23のリチウム塩の水溶液210重量部を得た。液量を維持するために用いられたイオン交換水の液量は1500重量部であった。
得られた水溶液のリチウムイオン濃度は2200ppm、ナトリウムイオン濃度は20ppmであり、塩素イオン及び硫酸イオンは検出されなかった。
(実施例2)
<(a)工程>
下記式(遊離酸の形式で記載)で表されるC.I.Direct Blue86
Figure 2005298808
[遊離酸の形に換算したときの純度は、48.5%、水溶性基の含有量は170当量比]55重量部に水495重量部を加えて調製した色素の液に、ジベンジルドデシルアミン144重量部(394当量比)とトルエン1336重量部を加え、次いで98%硫酸を加えて、水相部のpHを0.8に調整し、pH0.8で30分攪拌した。次に、攪拌を停止し、30分静置した。静置後、下層(水相)を抜き取った。残存する上層(有機相)にイオン交換水400重量部を加え、30分攪拌後、30分静置した。静置後、水相を抜き取った。次に、水相を抜き取った後の有機相に495重量部を加え、30分攪拌後、30分静置した。次いで、静置後の水相を抜き取った。
<(b)工程>
(a)工程で得られた有機相に2%水酸化リチウム水溶液の473重量部(ジベンジルドデシルアミン1当量比に対して、水酸化リチウム1モル比)を加えて攪拌した。なお、C.I.Direct Blue86の遊離酸として100重量部に対し、用いた水酸化リチウムの使用量はリチウム原子として17.3重量部であった。次に、攪拌を停めて30分静置後、下層(水相)を抜き取り、得られた水相にトルエン40重量部を加えてジベンジルドデシルアミンをトリエン層に除去した。分液して得られた水相に98%硫酸を加えてpH7に調整し、16.7kPaの減圧下で約55℃まで加熱して、残存するトルエンを水とともに留去し、遊離酸の形に換算したときの濃度が4.9重量%であるC.I.Direct Blue86のリチウム塩の水溶液548重量部を得た。得られた水溶液のナトリウムイオン濃度は710ppm、該水溶液のリチウムイオン濃度は5600ppm、塩素イオン濃度は検出されず、硫酸イオン濃度が29100ppmであった。
<(c)工程>
(b)工程で得られた水溶液の150重量部を、硫酸ナトリウム3.64重量%を含有する水溶液に対する阻止率が56.1%である前記濾過膜を装着した全濾過型濾過装置を用いて、膜分離されるべき水溶液の液量を維持するためにイオン交換水を加えながら、室温(約25℃)、3MPaの加圧下、平均透過流束 37.75L/m2/hrで透過倍率10倍まで膜分離した。遊離酸の形に換算したときの濃度が4.5重量%であるC.I.Direct Blue86のリチウム塩の水溶液160重量部を得た。液量を維持するために用いられたイオン交換水の液量は1500重量部であった。
得られた水溶液のナトリウムイオン濃度は30ppm、該水溶液のリチウムイオン濃度は850ppm、塩素イオン濃度は検出されず、硫酸イオン濃度が110ppmであった。
(実施例3)
<(c)工程>
実施例2と同様にして得られた、(b)工程で得られた水溶液の150重量部を、硫酸ナトリウム3.64重量%を含有する水溶液に対する阻止率が56.1%である前記濾過膜(G-10:(株)サンコーより入手)を装着した全濾過型濾過装置を用いて、膜分離されるべき水溶液の液量を維持するためにイオン交換水を加えながら、室温(約25℃)、3MPaの加圧下、平均透過流束 27.00L/m2/hrで透過倍率3倍まで膜分離した。遊離酸の形に換算したときの濃度が3.8重量%であるC.I.Direct Blue86のリチウム塩の水溶液151重量部を得た。液量を維持するために用いられたイオン交換水の液量は450重量部であった。
得られた水溶液のナトリウムイオン濃度は1ppm、該水溶液のリチウムイオン濃度は1700ppm、塩素イオン濃度は検出されず、硫酸イオン濃度が5600ppmであった。
(c)工程に用いたC.I.Direct Blue86(遊離酸として)100重量部に対し、濾過膜を透過したC.I.Direct Blue86(遊離酸として)は0.030重量部であった。
(実施例4)
<(c)工程>
実施例2と同様にして得られた、(b)工程で得られた水溶液の150重量部を、硫酸ナトリウム3.64重量%を含有する水溶液に対する阻止率が48.4%である濾過膜(NTR−7450:(日東電工(株)より入手)を装着した全濾過型濾過装置を用いて、膜分離されるべき水溶液の液量を維持するためにイオン交換水を加えながら、室温(約25℃)、3MPaの加圧下、平均透過流束 34.14L/m2/hrで透過倍率3倍まで膜分離した。遊離酸の形に換算したときの濃度が3.7重量%であるC.I.Direct Blue86のリチウム塩の水溶液150重量部を得た。液量を維持するために用いられたイオン交換水の液量は450重量部であった。
得られた水溶液のナトリウムイオン濃度は1ppm、該水溶液のリチウムイオン濃度は1700ppm、塩素イオン濃度は検出されず、硫酸イオン濃度が5500ppmであった。
(c)工程に用いたC.I.Direct Blue86(遊離酸として)100重量部に対し、濾過膜を透過したC.I.Direct Blue86(遊離酸として)は0.002重量部であった。
(実施例5)
<(c)工程>
実施例2と同様にして得られた、(b)工程で得られた水溶液の150重量部を、硫酸ナトリウム3.64重量%を含有する水溶液に対する阻止率が87.7%である濾過膜(NF−45:((株)サンコーより入手)を装着した全濾過型濾過装置を用いて、膜分離されるべき水溶液の液量を維持するためにイオン交換水を加えながら、室温(約25℃)、3MPaの加圧下、平均透過流束 2.88L/m2/hrで透過倍率3倍まで膜分離した。遊離酸の形に換算したときの濃度が5.2重量%であるC.I.Direct Blue86のリチウム塩の水溶液153重量部を得た。液量を維持するために用いられたイオン交換水の液量は450重量部であった。
得られた水溶液のナトリウムイオン濃度は12ppm、該水溶液のリチウムイオン濃度は5100ppm、塩素イオン濃度は検出されず、硫酸イオン濃度が17000ppmであった。
(c)工程に用いたC.I.Direct Blue86(遊離酸として)100重量部に対し、濾過膜を透過したC.I.Direct Blue86(遊離酸として)は0.077重量部であった。
(比較例)
C.I.Acid Yellow23[遊離酸の形に換算したときの純度は、70.7%、水溶性基の含有量は249当量比]15重量部に水135重量部を加えて調製した色素の液に、塩化リチウム15.5重量部を加えて均一溶液とした。次に、硫酸ナトリウム3.64重量%を含有する水溶液に対する阻止率が56.1%である濾過膜(G-10:(株)サンコーより入手)を装着した全濾過型濾過装置を用いて、膜分離すべき溶液の液量を維持するためにイオン交換水を混合しながら、室温(約25℃)、3MPaの加圧下、平均透過流束 37.97L/m2/hrで透過倍率5倍まで膜分離した。液量を維持するために用いたイオン交換水の量は750重量部であった。
再び、塩化リチウム15.5重量部を加えて、前記と同様な条件で膜分離し、濃度が6重量%であるC.I.Acid Yellow23のリチウム塩の水溶液210重量部を得た。液量を維持するために用いたイオン交換水の量は750重量部であった。
得られた水溶液のリチウムイオン濃度は2600ppmであり、塩素イオン及び硫酸イオンは検出されなかった。
なお、C.I.Acid Yellow23の遊離酸として100重量部に対して比較例1で用いた全てのリチウム塩の量はリチウム原子として206.7重量部であった。
本発明の方法により得られたイオン性化合物水溶液は、例えば、色素、染料、農薬、医薬、洗剤、食品添加物等に用いることができる。中でも、本発明の方法により得られたイオン性化合物水溶液を微小な吐出オリフィスから記録材料に飛翔させるインキとして印刷機に用いると、吐出オリフィス内で固化することなく、長時間に渡って安定して吐出し、結果として、インキ受理性などの印刷特性に優れた電子写真、デジタル写真などの情報記録材料等の記録材料を得ることができる。

Claims (11)

  1. 下記(a)、(b)及び(c)工程を含むイオン性化合物水溶液の製造法。
    (a)工程:
    −SONa基、−SOK基、−SONH基、−COONa基、−COOK基、−PONa基、−POK基、−PONH基及び−COONH基からなる群から選ばれる少なくとも一種の水溶性基を有するイオン性化合物を含む水溶液に、疎水性アミン及び疎水性有機溶媒を混合し、水相部のpHを0.01〜2に調整して分液した後、イオン性化合物から生じるアニオンと疎水性アミンから生じるイオンとの塩を含む有機相を得る工程。
    (b)工程:
    (a)工程で得られた有機相に、カチオンを含む化合物を水溶液として混合させたのち分液して、前記イオン性化合物から生じるアニオンと前記カチオンとの塩を含む水相を得る工程。
    (c)工程:
    (b)工程で得られた水相から濾過膜分離装置で無機塩を除去し、対イオンが前記カチオンであるイオン性化合物から生じるアニオンを含む水溶液を得る工程。
  2. 鉱酸を加えて水相部のpHを0.01〜2に調整する請求項1に記載の製造法。
  3. イオン性化合物が、酸性染料、食添用染料、直接染料及び反応染料からなる群から選ばれる少なくとも1種の水溶性色素である請求項1または2記載の製造法。
  4. 疎水性アミンが、炭素数12以上のアミンである請求項1〜3のいずれかに記載の製造法。
  5. 疎水性有機溶媒が、トルエン、キシレン及びモノクロロベンゼンからなる群から選ばれる少なくとも1種の疎水性有機溶媒である請求項1〜4のいずれかに記載の製造法。
  6. カチオンを含む化合物が、炭酸リチウム、炭酸水素リチウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、水酸化アンモニウム、及びアンモニアガスからなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物である請求項1〜5のいずれかに記載の製造法。
  7. 濾過膜分離装置の濾過膜が、3.64重量%硫酸ナトリウム水溶液を用いて膜分離した時、下記式(1)
    R=[1−(Cp/3.64)]×100 (1)
    (式中、Rは濾過膜の阻止率[%]を表し、Cpは、濾過膜で膜分離されて得られる透過液中の硫酸ナトリウムの濃度[重量%]を表す。)
    で算出される阻止率Rが90%以下の濾過膜である請求項1〜6のいずれかに記載の製造法。
  8. 阻止率Rが40〜60%の濾過膜である請求項7に記載の製造法。
  9. 濾過膜分離装置の濾過膜が、限外濾過膜又は逆浸透膜である請求項1〜8のいずれかに記載の製造法。
  10. 濾過膜分離装置が、全濾過型濾過形またはクロスフロー型濾過形の膜分離装置である請求項1〜9のいずれかに記載の製造法。
  11. (b)工程で疎水性アミン及び疎水性有機溶媒を含む有機相を回収し、回収した有機層を(a)工程の疎水性アミン及び疎水性有機溶媒の一部として用いる請求項1〜10のいずれかに記載の製造法。
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