JP2005298420A - 水性エアゾール剤 - Google Patents
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Abstract
【課題の解決手段】(a)殺虫成分、(b)非イオン系界面活性剤、(c)脂肪族炭化水素、及び(d)水を含むエアゾール原液と、噴射剤とからなる水性エアゾール剤において、(d)水のエアゾール原液全体量に対する配合量を60重量%以上となし、かつ(a)殺虫成分の効力増強剤として(e)脂肪族又は芳香族アミド系化合物から選ばれた1種又は2種以上を配合した水性エアゾール剤。
この水性エアゾール剤の5秒間あたりのエアゾール噴射量が5mL以上で、かつ高圧ガス保安法に定めるエアゾール剤の噴射引火性試験に基づき試験を行なう時その火炎長は45cm未満である。
【選択図】なし。
Description
かかる現状を背景として、火災に対する安全性と環境問題への配慮から、水を配合した水性エアゾール剤への要望が高まっている。これまで、水性エアゾール剤に関する提案は数多くなされてきたが、課題の一つとして、水を含まない油性エアゾール剤に比べ、対象害虫の種類によっては殺虫効力が劣る傾向を示すことがあげられる。その理由は殺虫成分の害虫皮膚表面からの浸透性が低下するものと考えられる。
また、従来の水性エアゾール剤の大部分は、エアゾール容器内で乳化液の相と噴射剤の相が分離しており、このため使用する前に容器を振とうして内容液を均一に分散させなければならないという不便さを有していた。これを改善する方法として、例えば特公昭61−45601号公報や特公平7−121848号公報では、噴射剤にジメチルエーテルを使用する均一タイプの水ベース殺虫剤が提案されているが、効力面で満足のいくものではなかった。
炭素数が8〜16個の脂肪族炭化水素、及び(d) 水を含有するエアゾール原液と、(e) 噴射剤としてのLPG(液化石油ガス)からなるマイクロエマルジョンエアゾール組成物を開示した。この発明は、(c)炭素数が8〜16個の脂肪族炭化水素を(d)水より多く含み、実用的な殺虫効力を保持するものの、隙間やクラック等に浸透させるために噴射力をアップすると、エアゾール剤の噴射引火性試験において火炎長の伸長は免れ得なかった。
更に、本発明者らは、特開2004−99606号において、上記(e)噴射剤としてのLPG(液化石油ガス)を圧縮ガスに替えたエアゾール剤を開示したが、この発明においても、(c)炭素数が8〜16個の脂肪族炭化水素の配合量は(d)水より多く、噴射引火性の点で問題を残している。
(1)(a)殺虫成分、(b)非イオン系界面活性剤、(c)脂肪族炭化水素、及び(d)水を含むエアゾール原液と、噴射剤とからなる水性エアゾール剤において、(d)水のエアゾール原液全体量に対する配合量を60重量%以上となし、かつ(a)殺虫成分の効力増強剤として(e)脂肪族又は芳香族アミド系化合物から選ばれた1種又は2種以上を配合した水性エアゾール剤。
(2)5秒間あたりのエアゾール噴射量が5mL以上で、かつ高圧ガス保安法に定めるエアゾール剤の噴射引火性試験に基づき試験を行なう時その火炎長が45cm未満である(1)に記載の水性エアゾール剤。
(3)(e)脂肪族又は芳香族アミド系化合物がN,N−ジエチル−m−トルアミドで、そのエアゾール原液全体量に対する配合量が1.0〜10重量%である(1)又は(2)に記載の水性エアゾール剤。
(4)(c)脂肪族炭化水素のエアゾール原液全体量に対する配合量が5〜20重量%である(1)ないし(3)のいずれかに記載の水性エアゾール剤。
例えば、ゴキブリ用殺虫剤には、ノックダウン効果の高いイミプロトリンと、残効性に優れたフェノトリン、ぺルメトリン、シフェノトリン、シペルメトリン等を組み合わせる処方が好適である。なお、前記殺虫成分の化学構造中に不斉炭素あるいは二重結合等を含みこれに基づく光学異性体や幾何異性体等が存在する場合は、これらの各々または任意の混合物も本発明に含まれることはもちろんである。
また、本発明では、上記(a)殺虫成分に加え、殺ダニ剤、カビ類、菌類等を対象とした防カビ剤、抗菌剤や殺菌剤、あるいは、安定剤、香料、賦形剤等を、可溶化安定性に支障を来たさない限りにおいて適宜配合してもよい。殺ダニ剤としては、5−クロロ−2−トリフルオロメタンスルホンアミド安息香酸メチル、サリチル酸フェニル、3−ヨード−2−プロピニルブチルカーバメート等があり、一方、防カビ剤、抗菌剤や殺菌剤としては、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−(4−チアゾリル)ベンツイミダゾール、トリホリン、3−メチル−4−イソプロピルフェノール、オルト−フェニルフェノール等を例示できる。
なお、(b)非イオン系界面活性剤の配合量は、エアゾール原液全体量に対して1.0〜15重量%が適当である。配合量が1.0重量%未満では十分な可溶化性能が得られず、一方15重量%を超えると使用時のベタツキを生じるなど、使用性の面で好ましくない。
(e)脂肪族又は芳香族アミド系化合物は、(a)殺虫成分に対して優れた溶解性を示し、水性エアゾール剤として害虫皮膚表面に施用したとき殺虫成分の浸透性を助長する。
例えば、イミプロトリンは、害虫、特にゴキブリに対して卓越したノックダウン効果を示し、ゴキブリ用エアゾール剤の殺虫成分として広く使用されているが、ケロシンに溶けにくいため、油性エアゾール剤では、ケロシンと共に補助溶剤としてミリスチン酸イソプロピルのような高級脂肪酸エステル系溶剤が併用されることが多い。この高級脂肪酸エステル系溶剤は、油性エアゾール剤には有効であるが、水性エアゾールに適用した場合、殺虫効力の低下を招く傾向を有するので、本発明が開示する効力増強剤の有用性は極めて高いものである。
なお、エアゾール内容液の可溶化安定性と噴射引火性を阻害しない範囲で、他の溶剤を配合することは何ら差し支えなく、例えば、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール等のグリコール系、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル系溶剤、N−メチルピロリドン、γ−ブチロラクトン、シクロヘキサノン、アルキルベンゼン、フェニルキシリルエタン等を例示できる。
また、噴射剤として圧縮ガスを採用すれば、不燃性の水性エアゾール剤を提供することが可能となり、火気に対する安全性の点で更に好ましい。なお、圧縮ガスの中では、環境面や組成物に対する影響を考慮すると窒素ガスが特に好ましく、圧縮ガスの充填量は、エアゾール原液に対して0.2〜5重量%程度が適当である。
本発明では、耐圧容器内にエアゾール内容液と噴射剤が混在しているタイプのほかに、二重構造容器の内容器内に内容液が、内容器と外容器との空間内に圧縮ガスが封入されるタイプにも使用できる。
例えば、耐圧容器を二重構造容器とし、内容器内にエアゾール内容液を充填するとともに、外容器内には圧縮ガスとこの圧縮ガスを吸着する吸着剤を充填して使用経過に伴う噴射圧の低下を低減させることができる。このような吸着剤は、圧縮ガス、好ましくは窒素ガスや炭酸ガスを脱着させうる活性炭、ゼオライト、木炭などが適当であり、その物性としては、細孔半径分布において、1〜100Åのものが80%以上を占め、かつBET法による比表面積が1000〜3000m2/gの範囲のものが好ましい。
本水性エアゾールの5秒間当たりの噴射量は7mLで、高圧ガス保安法に定めるエアゾール剤の噴射引火性試験に基づき試験を行なったところ、火炎長は25cmとなり旧高圧ガス取締法の燃性区分でいえば弱燃性に該当した。
(1)殺虫効力試験
側面にバターを塗ったガラス容器の中に、ワモンゴキブリ雄成虫1匹を放ち、20cmの距離から2秒間供試エアゾール剤を噴射した。ゴキブリが仰転するまでの時間を記録し、油性エアゾール剤の効力を1.0としてその相対効力を表2に示した。
(2)エアゾール剤の噴射引火性試験
高圧ガス保安法に定める試験方法に基づいてエアゾール剤の噴射引火性を調べた。火炎長が認められず「不燃性」に該当するものを(◎)、火炎長が認められるも、旧高圧ガス取締法に基づく燃性区分が弱燃性又はそれより低いものを(○)、弱燃性を超えるものを
(×)で示した。
これに対し、比較例2のように、水の配合量が60重量%より少ないと火気に対する危険性が改善されなかった。また、比較例3や比較例4の如く、ミリスチン酸イソプロピルやジエチレングリコールモノブチルエーテルを補助溶剤に用いて水性エアゾール剤を調製すると、殺虫効力の低下が避けられず、これらの試験結果から、脂肪族又は芳香族アミド系化合物、特にN,N−ジエチル−m−トルアミドを殺虫成分の効力増強剤として用いることによる本発明の顕著な有用性が確認された。
Claims (4)
- (a)殺虫成分、(b)非イオン系界面活性剤、(c)脂肪族炭化水素、及び(d)水を含むエアゾール原液と、噴射剤とからなる水性エアゾール剤において、(d)水のエアゾール原液全体量に対する配合量を60重量%以上となし、かつ(a)殺虫成分の効力増強剤として(e)脂肪族又は芳香族アミド系化合物から選ばれた1種又は2種以上を配合したことを特徴とする水性エアゾール剤。
- 5秒間あたりのエアゾール噴射量が5mL以上で、かつ高圧ガス保安法に定めるエアゾール剤の噴射引火性試験に基づき試験を行なう時その火炎長が45cm未満である請求項1に記載の水性エアゾール剤。
- (e)脂肪族又は芳香族アミド系化合物がN,N−ジエチル−m−トルアミドで、そのエアゾール原液全体量に対する配合量が1.0〜10重量%である請求項1又は2に記載の水性エアゾール剤。
- (c)脂肪族炭化水素のエアゾール原液全体量に対する配合量が5〜20重量%である請求項1ないし3のいずれかに記載の水性エアゾール剤。
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JP2020002037A (ja) * | 2018-06-27 | 2020-01-09 | フマキラー株式会社 | 害虫防除組成物、エアゾール剤及びエアゾール製品 |
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