JP2008094769A - 飛翔害虫駆除用エアゾール殺虫剤 - Google Patents

飛翔害虫駆除用エアゾール殺虫剤 Download PDF

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純郎 勝田
Koji Nakayama
幸治 中山
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Abstract

【課題】 殺虫活性に優れ温血動物に対する安全性の高い2,2−ジメチル−3−(3−メトキシ−3−オキソ−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸エステル類から選抜された有用な化合物を有効成分として含有する飛翔害虫駆除用エアゾール殺虫剤の提供。
【課題の解決手段】害虫ノックダウン剤として、(1,3,4,5,6,7−ヘキサヒドロ−1,3−ジオキソ−2−イソインドリル)メチル 2,2−ジメチル−3−(3−メトキシ−3−オキソ−1−プロペニル)シクロプロパンカルボキシレートを含有する飛翔害虫駆除用エアゾール殺虫剤。
【選択図】 なし。

Description

本発明は、エアゾール殺虫剤の改良に関するものである。
現在、ハエ・蚊等対象の飛翔害虫駆除用エアゾール殺虫剤の有効成分としては、ノックダウン剤としてのd−T80−フタルスリン、及びキル剤としてのd−T80−レスメトリンの併用が主流である。d−T80−フタルスリンは、種々ピレスロイド化合物のなかでも飛翔害虫に対するノックダウン効果が抜群で、今日までこれに勝る有用なノックダウン剤は存在しなかった。一般に、害虫は速効的なノックダウン剤に接触すると仮死状態に陥り、時間経過後蘇生する可能性があるため、害虫キル剤の併用が好ましいことが知られている。そこで、d−T80−フタルスリンよりも更に速効性に優れ、かつ致死作用にも寄与しうるノックダウン剤の探索が求められている。
ところで、2,2−ジメチル−3−(3−メトキシ−3−オキソ−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸エステル類は既に公知であり、例えば、(1,3,4,5,6,7−ヘキサヒドロ−1,3−ジオキソ−2−イソインドリル)メチル 2,2−ジメチル−3−(3−メトキシ−3−オキソ−1−プロペニル)シクロプロパンカルボキシレートは特公昭62−48660号公報(特許文献1)に開示されている。しかしながら、この化合物は、幾多の化合物群の一例として該公報に例示されているのみで、そのエアゾール殺虫剤への適用については全く触れられていない。
特公昭62−48660号公報
本発明は、殺虫活性に優れ温血動物に対する安全性の高い2,2−ジメチル−3−(3−メトキシ−3−オキソ−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸エステル類に注目し、特に有用な化合物を選抜するとともに、これを害虫ノックダウン剤として含有する飛翔害虫駆除用エアゾール殺虫剤を開発する目的でなされたものである。
上記課題を解決するため、本発明者らは鋭意研究を重ね、種々試験の結果本発明を完成するに至った。即ち、本発明は以下の構成を採用する。
(1)害虫ノックダウン剤として、(1,3,4,5,6,7−ヘキサヒドロ−1,3−ジオキソ−2−イソインドリル)メチル 2,2−ジメチル−3−(3−メトキシ−3−オキソ−1−プロペニル)シクロプロパンカルボキシレートを含有する飛翔害虫駆除用エアゾール殺虫剤。
(2)(1,3,4,5,6,7−ヘキサヒドロ−1,3−ジオキソ−2−イソインドリル)メチル 2,2−ジメチル−3−(3−メトキシ−3−オキソ−1−プロペニル)シクロプロパンカルボキシレートのシクロプロパンカルボン酸部分が、1R、シス構造であり、二重結合がZ配置を有する(1)記載の飛翔害虫駆除用エアゾール殺虫剤。
(3)前記害虫ノックダウン剤に加え、更に害虫キル剤を含有する(1)又は(2)記載の飛翔害虫駆除用エアゾール殺虫剤。
本発明の飛翔害虫駆除用エアゾール殺虫剤は、殺虫活性に優れ温血動物に対する安全性の高いピレスロイド化合物を害虫ノックダウン剤として含有するので、現行のエアゾール製品に比べてより一層優れた速効性と致死効果を奏する。また、コスト的にも有利であり極めて実用性が高い。
本発明の飛翔害虫駆除用エアゾール殺虫剤は、下記の化合物を害虫ノックダウン剤として選抜したことに特徴を有する。
(1)(1,3,4,5,6,7−ヘキサヒドロ−1,3−ジオキソ−2−イソインドリル)メチル 2,2−ジメチル−3−(3−メトキシ−3−オキソ−1−プロペニル)シクロプロパンカルボキシレート[以降、化合物Aと称する]。
すなわち、化合物Aは、微量滴下法による評価が比較的低かったものの、エアゾールやスプレーの噴霧法では飛躍的に殺虫効力が増強することを認め、本発明に至ったものである。なお、化合物Aは、シクロプロパンカルボン酸の立体構造に基づく光学異性体、あるいは幾何異性体が存在し、これらの単独、ならびに任意の混合物も全て本発明に含まれるが、シクロプロパンカルボン酸部分が、1R、シス構造であり、二重結合がZ配置を有する異性体がより好ましい。
本発明の飛翔害虫駆除用エアゾール殺虫剤は、化合物Aに溶剤や、必要ならば共力剤、他の有効成分、補助成分等を配合してエアゾール原液を調製し、これをエアゾール容器に充填後、噴射剤を加圧充填して製する。
化合物Aのエアゾール殺虫剤中における配合量は、0.02〜1.0重量%程度が適当であり、油性又は水性エアゾール原液のいずれも調製可能である。
本発明の飛翔害虫駆除用エアゾール殺虫剤では、有効成分として化合物Aを単独で使用してもよいが、致死効力を補強するため害虫キル剤を併用するのが好ましい。このような害虫キル剤としては、d−T80−レスメトリン、フェノトリン、シフェノトリンなどがあげられるが、これらに限定されない。化合物Aは、従来の害虫ノックダウン剤であるd−T80−フタルスリンと較べると格段のキル作用を兼備するので、害虫キル剤の配合量は、化合物Aに対して0.01〜0.2倍量程度で十分である。
油性溶剤としてはケロシンが使いやすいが、化合物Aがケロシンに溶けにくい場合、エステル系溶剤(ミリスチン酸イソプロピル等)、グリコールエーテル系溶剤、ケトン系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤等を併用してもよい。また、水性エアゾール原液を調製するにあたっては、水とともに、界面活性剤(ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、グリセリン脂肪酸エステル類等)、分散剤、補助溶剤などを適宜配合すればよい。その他、必要に応じて、安定剤(BHT、BHA等)、防錆剤(安息香酸ナトリウム、クエン酸アンモニウム等)、香料などの補助成分が添加される。
エアゾール原液には、N−オクチルビシクロヘプテンカルボキシイミド(商品名MGK−264)、N−オクチルビシクロヘプテンジカルボキシイミドとアリールスルホン酸塩との混合物(商品名MGK−5026)、サイネピリン500、オクタクロロジプロピルエーテル、ピペロニルブトキサイドなどの共力剤を加えてもよい。
更に、他の殺虫、防虫成分、例えば、ピレトリン、アレスリン、プラレトリン、フラメトリン、イミプロトリン、トランスフルトリン、メトフルトリン等の従来のピレスロイド系殺虫剤、フェニトロチオン、DDVP、ダイアジノン等の有機リン剤、NAC、MTMC、メトキサジアゾン、プロポクスル等のカーバメート剤、シラフルオフェン等の有機ケイ素系化合物、ヒノキチオールやイソプロピルメチルフェノール等の抗菌・防黴成分、5−クロロ−2−トリフルオロメタンスルホンアミド安息香酸メチル等の殺ダニ成分、ジエチルトルアミドなどの忌避成分、消臭剤、芳香剤等を配合することによって効力のすぐれた多目的組成物が得られ、薬剤間の相乗効果も十分期待しえるものである。
噴射剤としては、液化石油ガス、ジメチルエーテル、圧縮ガス(窒素、炭酸ガス等)があげられる。
エアゾール原液と噴射剤の充填比率は特に制限されないが、20/80〜65/35(容量)程度が適当である。
本発明の飛翔害虫駆除用エアゾール殺虫剤を噴射させるためのエアゾール噴射装置は、エアゾール殺虫剤を充填したエアゾール容器、バルブ、該バルブのステム部分に装着されるアクチュエーターなどから構成され、アクチュエーターには、噴口を含む噴射ボタンなどが装填される。エアゾール容器は、容量として180mL缶、300mL缶、450mL缶が一般的で、エアゾール殺虫剤を充填するに際しては、噴霧粒子の拡散性を考慮して容器内圧を0.3〜0.6MPa程度に設定するのが好ましい。
本発明の飛翔害虫駆除用エアゾール殺虫剤の用途として、蚊、ハエ、コバエ、チョウバエ、ユスリカ、ブユ等の飛翔害虫があげられるが、ゴキブリ、アリ等の匍匐害虫、屋内塵性ダニ類、イガ、コイガ、カツオブシムシ等の衣料害虫、コクゾウ等の貯穀害虫をはじめ、アブラムシ、ウンカ、カメムシ、ムカデ等の種々害虫にも高い殺虫効果を示す。
次に、実施例、試験例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
化合物A0.4gとd−T80−レスメトリン0.05gにケロシンを加えて油性エアゾール原液(120mL)を調製し、エアゾール容器に充填した。バルブ部分を取り付けた後、該バルブ部分を通じて噴射剤(液化石油ガス、ジメチルエーテルの混合ガス)180mLを加圧充填して飛翔害虫駆除用エアゾール殺虫剤を得た。
このエアゾール殺虫剤を、居間に出現したイエバエめがけて2秒間噴射したところ、イエバエは直ちにノックダウンした。
化合物A0.3gとフェノトリン0.03gに界面活性剤8.0g、水30mL、ケロシンを加えて水性エアゾール原液(120mL)を調製し、エアゾール容器に充填した。バルブ部分を取り付けた後、該バルブ部分を通じて噴射剤(液化石油ガス)180mLを加圧充填してハエ・蚊対象の飛翔害虫駆除用エアゾール殺虫剤を得た。
このエアゾール殺虫剤は、ハエ・蚊等の飛翔害虫に対して高いノックダウン効果と致死効果を示した。
各供試化合物につき、以下の試験を行った。
(1)微量滴下法:各供試化合物をアセトンに溶解し、イエバエ♀成虫に対するノックダウン効果を調べた。dl,d−T80−アレスリンを1.00とした場合の相対有効比で、その結果を表1に示す。
(2)ガラスチャンバー法:60cm立方(0.216m3)のガラスチャンバーにイエバエ(1群約25匹の雄雌成虫)を放った後、実施例2に準じ調製した供試エアゾール殺虫剤を1秒間噴霧した。10分間暴露して時間の経過に伴う仰転虫数を記録し、KT50値を求めた。d−T80−フタルスリンとd−T80−レスメトリンを含む現行エアゾール殺虫剤のノックダウン効果を1.00とした場合の相対有効比で、その結果を表2に示す。
Figure 2008094769
Figure 2008094769
試験の結果、本発明で用いる化合物Aは、(1)微量滴下法による評価はそれほど高くないものの、(2)ガラスチャンバー法では顕著なノックダウン効果を示し、エアゾール殺虫剤に適用した場合に極めて実用的であることが認められた。なお、化合物Aと害虫キル剤との併用はより一層有用であった。
これに対し、対照化合物A〔トランスフルトリン:2,3,5,6−テトラフルオロベンジル 2,2−ジメチル−3−(2,2−ジクロロビニル)シクロプロパンカルボキシレート〕や対照化合物B〔特公平7−29989号公報開示化合物:2,3,5,6−テトラフルオロベンジル 2,2−ジメチル−3−(3−メトキシ−3−オキソ−1−プロペニル)シクロプロパンカルボキシレート〕の場合、(2)ガラスチャンバー法では、(1)微量滴下法の結果に相応するほどの高いノックダウン効果が得られず、本発明で用いる化合物Aとは異なる傾向を示した。
このように、化学構造上、類似した化合物であっても、(1)微量滴下法だけではエアゾール殺虫剤に適した化合物であるかどうかは評価できず、本発明は実際に製剤試験を実施してはじめて化合物Aの有用性を知見したものである。
本発明は、屋内、屋外における広範な害虫駆除を目的として利用することが可能である。

Claims (3)

  1. 害虫ノックダウン剤として、(1,3,4,5,6,7−ヘキサヒドロ−1,3−ジオキソ−2−イソインドリル)メチル 2,2−ジメチル−3−(3−メトキシ−3−オキソ−1−プロペニル)シクロプロパンカルボキシレートを含有することを特徴とする飛翔害虫駆除用エアゾール殺虫剤。
  2. (1,3,4,5,6,7−ヘキサヒドロ−1,3−ジオキソ−2−イソインドリル)メチル 2,2−ジメチル−3−(3−メトキシ−3−オキソ−1−プロペニル)シクロプロパンカルボキシレートのシクロプロパンカルボン酸部分が、1R、シス構造であり、二重結合がZ配置を有することを特徴とする請求項1記載の飛翔害虫駆除用エアゾール殺虫剤。
  3. 前記害虫ノックダウン剤に加え、更に害虫キル剤を含有することを特徴とする請求項1又は2記載の飛翔害虫駆除用エアゾール殺虫剤。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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