JP6002076B2 - 害虫防除剤 - Google Patents
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Description
(1)1,1,2,2−テトラフルオロエチル−2,2,2−トリフルオロエチルエーテルを有効成分としたことを特徴とする害虫防除剤。
(2)ジメチルエーテルおよび液化石油ガスからなる群の中から選ばれる少なくとも1種を含むことを特徴とする上記(1)に記載の害虫防除剤。
(3)エアゾール剤であることを特徴とする上記(1)または(2)に記載の害虫防除剤。
尚、1,1,2,2−テトラフルオロエチル−2,2,2−トリフルオロエチルエーテルが、害虫の動きを瞬時に止め、殺虫することができることは新たな知見であり、従来は、精密機械部品に付着した油脂、プリント基板のフラックス等の汚れを除去する溶剤等として検討されていたに過ぎない(例えば、特開2004−75910号公報等参照)。
また合成殺虫剤に対して抵抗性をもつ害虫も殺虫することができる。さらに本発明の害虫防除剤は、爆発や引火の恐れやオゾン層の破壊もなく、安全に使用することができる。
本発明の害虫防除剤は、1,1,2,2−テトラフルオロエチル−2,2,2−トリフルオロエチルエーテル(CF3CH2OCF2CF2H)(以下、「本発明の成分」とも言う)を有効成分としたものである。そして本発明の成分としては、例えば、アサヒクリンAE−3000(商品名、旭硝子株式会社製)等を用いることができる。
行動が俊敏なゴキブリ等の害虫やムカデ等の刺咬により人体に害を及ぼす害虫を対象とする場合には、有効成分が素早く、広範囲に処理できるエアゾール剤とするのがよい。
殺虫剤、忌避剤としては、例えば、天然ピレトリン、アレスリン、レスメトリン、フラメトリン、プラレトリン、テラレスリン、フタルスリン、フェノトリン、ペルメトリン、シフェノトリン、トランスフルスリン、メトフルトリン、プロフルトリン、エンペントリン、イミプロトリン、エトフェンプロックス等のピレスロイド系化合物;プロポクサー、カルバリル等のカーバメイト系化合物;フェニトロチオン、DDVP等の有機リン系化合物;メトキサジアゾン等のオキサジアゾール系化合物;ジノテフラン、イミダクロプリド、アセタミプリド等のネオニコチノイド系化合物;メトプレン、ハイドロプレン、ピリプロキシフェン等の昆虫成長制御剤;フィプロニル、ピリプロール等のフェニルピラゾール系化合物;クロルフェナピル等のピロール系化合物;アミドフルメト等のスルホンアミド系化合物;メトキサジアゾン等のオキサジアゾール系化合物;フィットンチッド、ハッカ油、オレンジ油、桂皮油、丁子油等の殺虫性、忌避性の精油類が挙げられる。
1,1,2,2−テトラフルオロエチル−2,2,2−トリフルオロエチルエーテル(アサヒクリンAE−3000(商品名、旭硝子株式会社製))にエタノールをそれぞれ20、30、35、40質量%となるように混合した溶液を調製し、タグ密閉法引火点試験器(JIS K2265−1)を用いて引火点の測定を行った。
その結果、測定時に引火がなく、いずれも引火点なしという結果となり、消防法でいう「非危険物(不燃物)」に該当するものであった。
(1)試験方法
容量860mlの上部が開放したプラスチックカップを用意し、その内側上部にバターを塗布した。次に供試虫としてクロゴキブリ雌1頭を、前記プラスチックカップの底部に腹を上にして静かに置いた。
供試虫が仰向けになっているのを確認し、表1に示した供試薬剤0.5mLをピペットで胸から腹部にかけて滴下し、動きが完全に停止するまでの時間(秒)を測定した。
その後、供試虫を別のプラスチックカップに移して、室温20℃、湿度26%の部屋に放置し、24時間後の致死数を調べた。試験は5回行い、その平均から致死率(%)を算出した。試験の結果は表2に示した。
表2に示したとおり、実施例1は、比較例1及び2と比べて、供試虫の動きが停止するまでの時間が著しく短かった。この結果から、本発明の成分は供試虫の動きを瞬時に止めることができる速効性に優れることがわかった。さらに、24時間後の致死率も2倍以上優れたものであった。
(1)試験検体
表3に示す処方に従い、原液としての有効成分および噴射剤としてのジメチルエーテルを、噴射装置(ステム孔径0.6mm、アンダータップ孔径2.2mm、噴口径0.8mm)を備えたエアゾール用耐圧缶(容量300ml)に充填して、エアゾール剤の形態の試験検体を得た。各エアゾール剤は約2g/秒の噴射量とした。
図1に示すように、供試虫3(クロゴキブリ雌1頭)を入れたプラスチックカップ1(容量860mlの上部が開放したプラスチックカップであり、その内側上部にバターを塗布したもの)を用意し、傾斜角45°の台5に、前記プラスチックカップ1をエアゾール剤(試験検体)7の噴霧線上となるように取り付けた。前記プラスチックカップ1の底部中央からの噴霧距離Lが約70cmとなる位置から、前記プラスチックカップ1の中心に向けてエアゾール剤7を2秒間噴霧した。
噴霧直後に供試虫3を別のプラスチックカップに移し、ノックダウンするまでの時間(秒)を測定した。その後、供試虫を室温20℃、湿度26%の部屋に放置し、24時間経過後の致死数を調べた。試験は3回行い、その平均から致死率(%)を算出した。なお、5分以上ノックダウンしない場合は、「ノックダウンせず」と判断した。試験の結果は表4に示した。
表4に示したとおり、実施例2は1秒未満でノックダウンしており、非常に高い速効性を有することがわかった。また致死率も80%であり致死効果が十分にあることがわかった。一方、比較例3及び4は、ノックダウン及び24時間後の致死はみられなかった。このことから、本発明の成分は、ジメチルエーテルを含有するエアゾール剤として用いた場合に、優れたノックダウン効果を有し、また致死効果も発揮するものであることがわかった。
効力試験2で作製した実施例2のエアゾール剤を試験検体として用い、各種害虫に対する効力試験を行った。
供試虫として、ツヤアオカメムシ、トコジラミ、アミメアリおよびセアカゴケグモの成虫を用い、効力試験2と同様の方法で試験を行った。セアカゴケグモは雌成虫を、ツヤアオカメムシ、トコジラミ、アミメアリは雌雄を区別せずに用いた。
図1に示すように、プラスチックカップ1(容量860mlの上部が開放したプラスチックカップであり、その内側上部にバターを塗布したもの)に供試虫3を1頭ずつ入れ、傾斜角45°の角度に設置した台5に、エアゾール剤(試験検体)7の噴霧線上となるように取り付けた。前記プラスチックカップ1の底部中央からの噴霧距離Lが約50cmとなる位置から、前記プラスチックカップ1の中心に向けてエアゾール剤7を2秒間または5秒間噴霧した。
噴霧直後に供試虫3を別のプラスチックカップに移し、ノックダウンするまでの時間(秒)を測定した。その後、供試虫を室温20℃、湿度26%の部屋に放置し、24時間経過後の致死状況を確認した。試験は供試虫ごとに3回ずつ行った。なお、噴射後1秒未満でノックダウンしたものを「○」、ノックダウンしなかったものを「×」と判断した。また、24時間後に致死していたものを「○」、致死しなかったものを「×」と判断した。試験の結果は表5に示した。
表5の結果より、効力試験2で用いたクロゴキブリより防除が難しいとされるツヤアオカメムシ、トコジラミ、アミメアリおよびセアカゴケグモが全て噴霧後1秒未満にノックダウンしており、非常に高いノックダウン効果を有することが分かった。また、24時間後には全て致死しており、致死効果も十分に得られることが分かった。
効力試験2で作製した実施例2のエアゾール剤を試験検体として用い、トビズムカデの成虫に対する効力試験を行った。トビズムカデは雌雄を区別せずに用いた。
効力試験2と同様の方法で試験を行った。即ち、図1に示すように、プラスチックカップ1(容量860mlの上部が開放したプラスチックカップであり、その内側上部にバターを塗布したもの)に供試虫3(トビズムカデ)を1頭入れ、傾斜角45°の角度に設置した台5に、エアゾール剤(試験検体)7の噴霧線上となるように取り付けた。前記プラスチックカップ1の底部中央からの噴霧距離Lが約50cmとなる位置から、前記プラスチックカップ1の中心に向けてエアゾール剤7を5秒間噴霧した。
噴霧直後に供試虫3を別のプラスチックカップに移し、ノックダウンするまでの時間(秒)を測定した。噴射後1秒未満にノックダウンしたものを「○」、ノックダウンしなかったものを「×」と判断した。試験は3回行った。試験の結果は表6に示した。
表6の結果より、実施例2のエアゾール剤は、体長の大きいトビズムカデに対しても噴霧後1秒未満にノックダウンさせることができ、非常に高い速効性を有することが分かった。
(1)試験検体
表7に示す処方に従い、原液(有効成分、溶剤)および噴射剤(ジメチルエーテル)を、噴射装置(ステム孔径0.6mm、アンダータップ孔径2.2mm、噴口径0.8mm)を備えたエアゾール用耐圧缶(容量300ml)に充填して、エアゾール剤の形態の試験検体を得た。
供試虫(クロゴキブリ雌1頭)を試験室(約8畳空間、室温26℃、湿度56%)に放ち、約70cmの距離から供試虫に向けて試験検体をノックダウンするまで噴霧した。
そして供試虫がノックダウンするまでの時間を測定し、同時に、試験検体を処理した試験室の床面の濡れの有無を確認した。なお、ノックダウンの評価は、5秒以内にノックダウンしたものを「○」、10秒以内にノックダウンしたものを「△」で評価した。濡れ評価は、噴霧箇所での試験検体による濡れがほとんど見られない場合を「○」、濡れがわずかに見られる場合を「△」で評価した。
試験は3回繰り返して行い、その平均からノックダウン時間を算出し、床面の濡れは3回の評価の平均より評価した。結果を表8に示す。
表8に示したとおり、本発明のエアゾール剤である実施例3〜6はいずれも10秒以内にノックダウンしており、速効性が高いことがわかった。特に、実施例3〜5は5秒以内にノックダウンしており、速効性が非常に高く、中でも実施例3、4は約1秒でノックダウンさせることができた。また、床面の濡れは、濡れがわずかに見られるかほとんど濡れがなく、使用感にも優れていると評価できた。
3 供試虫
5 台
7 エアゾール剤
L 噴霧距離
Claims (3)
- 1,1,2,2−テトラフルオロエチル−2,2,2−トリフルオロエチルエーテルを有効成分としたことを特徴とする害虫防除剤。
- ジメチルエーテルおよび液化石油ガスからなる群の中から選ばれる少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項1に記載の害虫防除剤。
- エアゾール剤であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の害虫防除剤。
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