JP2005296939A - 活性酸素除去水の製造方法および製造装置 - Google Patents

活性酸素除去水の製造方法および製造装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 処理水中に副生成物が残留せず、かつ効果的に被処理水中の活性酸素を除去する方法および除去装置を提供すること。
【解決手段】 水素分子を溶存させた被処理水と触媒の接触作用により生成する水素原子を用い、被処理水中に含まれる活性酸素を除去する活性酸素除去水の製造方法および製造装置。
【選択図】 なし

Description

本発明は、飲用水、洗浄水、食品用水、医薬品用水として供与可能な活性酸素を除去した水の製造方法および製造装置に関する。
活性酸素とは大気中に通常存在する酸素分子(:三重項酸素)に物理的または化学的エネルギーが加えられて反応性の高い化合物に変化したものの総称であり、一般的には一重項酸素()、スーパーオキシド(O )、過酸化水素(H)、ヒドロキシルラジカル(HO・)の4種類がある。これら活性酸素には酸化力(物質を酸化する能力)が強いという共通の特徴があり、特にヒドロキシルラジカルはほぼ全ての有機物を酸化することが可能な極めて強い酸化力を有する。
近年、活性酸素がタンパク質の変性、脂質の過酸化、DNA分解、酵素失活等を引き起こし細胞にダメージを与えることによって、様々な病気を引き起こすことが明らかとなってきた。また、半導体洗浄水中に含まれる活性酸素が半導体表面に損傷を与えることや、各種洗浄水中に含まれる活性酸素が金属、プラスチック等材料の表面腐食、色素の分解等を引き起こすことも知られている。このように、活性酸素が様々な場面でダメージを与えていることが明らかとなるにつれ、飲用水、洗浄水、食品用水及び医薬用水に含まれる活性酸素を除去する試みが為されるようになった。
例えば特開平5−146797号公報には、オゾン処理を行った後の処理水にアスコルビン酸またはグルタチオンを添加しオゾンが加水分解した際に生成する活性酸素を消去する方法が開示されている。アスコルビン酸は活性酸素と反応して活性酸素を消去する作用を有し、またその反応速度定数は例えばヒドロキシルラジカルとの場合は約1×1010−1−1と極めて大きく、効果的に活性酸素を消去することができる。
また、特開平11−216470号公報には、水を電気分解して陽極水と陰極水とを生成する電解水の生成方法において、電解原水に0.03%〜1%のエタノールか0.005%〜1%の有機酸の少なくとも一方を加えて電気分解することにより、活性酸素を低減した陰極水を得る方法が開示されている。また、特開2001−79549号公報には、没食子酸またはその塩を添加した原水を電気分解することにより、スーパーオキシド消去能に優れた処理水を得る方法が開示されている。また一般に電解還元水または電解水素水と呼ばれる水が、活性酸素消去能を有することが知られている(例えば特開2003−175390号公報)。
特開平5−146797号公報(請求項1、2) 特開平11−216470号公報(請求項1) 特開2001−79549号公報(請求項1、段落番号0112) 特開2003−175390号公報(請求項1、段落番号0043) 特開2002−350420号公報
しかしながら、特開平5−146797号公報記載のアスコルビン酸またはグルタチオンを添加する方法では、被処理水中にアスコルビン酸またはグルタチオンと活性酸素の反応生成物が残留するという問題がある。また、アスコルビン酸またはグルタチオンを添加する工程が必要となり、薬品代がかさむといった問題がある。また特開平11−216470号公報記載のエタノールまたは有機酸を加えて電気分解する方法や特開2001−79549号公報記載の没食子酸またはその塩を添加して電気分解する方法も同様の問題がある。
また電解還元水または電解水素水と呼ばれる水の活性酸素消去能は、活性酸素を十分に消去するには至らずその効果は低い。またその効果は陰極水にのみあると言われており、陽極水は廃棄されることから水資源が無駄に消費されるという問題がある。
従って、本発明の目的は、上記課題を解決するものであって、処理水中に副生成物が残留せず、かつ効果的に被処理水中の活性酸素を除去する方法および除去装置を提供することにある。
かかる実情において、本発明者らは鋭意検討を行った結果、水素分子を溶存させた被処理水と触媒の接触作用により生成する水素原子を用いれば、処理水中に副生成物が残留せず、かつ効果的に被処理水中の活性酸素を除去することができること等を見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明(1)は、水素分子を溶存させた被処理水と触媒の接触作用により生成する水素原子を用い、被処理水中に含まれる活性酸素を除去する活性酸素除去水の製造方法を提供するものである。
また、本発明(2)は、被処理水に水素分子を溶存させる手段と、前記水素分子溶存水と触媒を接触させる手段を備える活性酸素除去水の製造装置を提供するものである。
本発明において、触媒との接触作用により生成する水素原子の寿命は極めて短いため、被処理水は予め水素分子を溶解した上で触媒と接触させる。すなわち被処理水、水素分子および触媒を同時に接触させて水素原子を生成させ、該水素原子を直ちに活性酸素と反応させることにより活性酸素除去水を得ることができ、また処理水中に副生成物を残留させることがない。また、水素原子の生成速度が1.0nM/分以上であれば、より確実に活性酸素を除去することができる。
本発明の活性酸素除去水の製造方法において、被処理水としては、活性酸素による影響が大きいとされる用水であれば特に制限されず、例えば半導体、電子機器等の洗浄水、飲用水、食品用水、医薬品用水等が挙げられる。活性酸素は溶存酸素あるいは酸化性物質などの活性酸素前駆体から逐次的に生成しており、被処理水中には通常活性酸素が含まれている。被処理水が洗浄水であれば、活性酸素除去洗浄水は半導体表面の損傷や金属材料等の表面腐食、色素の分解を防止することができる。また飲用水、食品用水及び医薬品用水であれば、活性酸素除去飲用水、食品用水及び医薬品用水はタンパク質の変性等を抑制することができる。食品用水は、食品の洗浄処理、煮沸等の加熱処理、液状食品の製造における希釈処理、有用成分を取り出す抽出処理、食品鮮度を保持するための保存処理等にそれぞれ使用される水を言う。
被処理水中に水素分子を溶解させる方法としては、水素分子を膜を通して被処理水中に溶解させる法(膜溶解法)、水素分子を曝気等により被処理水中に直接溶解させる方法および被処理水を電気分解し、陰極側で生成した水素ガスをそのまま溶解させる方法等が挙げられる。このうち、膜溶解法が、排ガスの取り扱いが容易である点で好ましい。また、水素分子の溶解量、すなわち、触媒との接触時における被処理水の溶存水素濃度が25℃、1気圧で0.1mg/L以上、特に0.15mg/L以上、1.5mg/L以下が好ましい。溶存水素濃度が前記下限値以下では効果的に活性酸素を除去することができない。また、被処理水の溶存水素は活性酸素を除去するに必要な量で足り、水素量が多すぎても無駄となる。また、最適な水素分子の溶解量を被処理水の酸化還元電位により制御することも可能である。その場合、被処理水の示す酸化還元電位が−100mV以下、好ましくは−400mV以下、さらに好ましくは−500mV以下になるよう調節することが好ましい。
本発明で用いる触媒としては、被処理水中に溶存した水素分子と接触することにより水素原子を発生させるものであれば特に制限されず、例えばニッケル、銅、亜鉛、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、レニウムおよび白金から選ばれる少なくとも1つの金属元素を含むものが挙げられる。このうち、担体表面に白金黒を担持させた触媒が好ましい。白金黒担持触媒は大きな水素原子生成速度を得ることができ、活性酸素の除去に好適である。これら金属元素を含む触媒の形状としては、特に制限されないが、粒状あるいは網状に成形したものが扱い易く好ましい。特に網状に成型したステンレス等金属の表面に、白金黒を電解メッキせしめた触媒が好適に用いられる。
水素分子を溶存させた被処理水と触媒の接触方法としては、水素分子と被処理水と触媒の三者が同時に接触する方法であれば特に制限されず、例えば触媒を充填した触媒塔に水素分子を溶存させた被処理水を通水する方法(通液法)及び微粉末状触媒を被処理水に懸濁させて水素分子と接触させる方法(懸濁法)が挙げられる。このうち、通液法は、接触条件の設定が行い易く、また処理水を連続して得ることができる点で好ましい。また、懸濁法は、触媒の有効表面積が大きく取れ水素原子生成速度を高める点で好ましい。また、懸濁法の場合、処理水中から触媒を回収する手段を備えることが好ましい。回収手段としては公知の手段を用いることができるが、膜ろ過法、特に中空糸を用いた膜ろ過法が大気との接触を避けることができる点で好適である。触媒との接触作用により生成する水素原子の寿命は約1分以下であり極めて短いものの、当該接触方法によれば生成する水素原子は直ちに被処理水と接触することになり、活性酸素を確実に除去することができる。
本発明において、水素原子とは、次式(1)で示される5,5−ジメチル−1−ピロリン−1−オキシド(DMPO)と反応して、図4に示す反応生成物を与える化学種のことをいう。
Figure 2005296939
接触により生成する水素原子の生成速度は1.0nM/分以上、特に1.1nM/分以上であることが好ましい。1.0nM/分未満であれば効果的に活性酸素を除去することが困難となる。
水素原子の測定および定量分析方法としては、スピントラップ−電子スピン共鳴法及び特開2002−350420号公報に開示される吸光光度法が挙げられる。スピントラップ−電子スピン共鳴法はヒドロシキルラジカルの測定も可能である点で好適な測定方法である。スピントラップ−電子スピン共鳴法による水素原子の測定および定量は、水素分子を溶存させた被処理水と触媒が接触する際、あるいは接触前にスピントラップ剤を予め添加して測定を行えばよい。
本発明の活性酸素除去水の製造方法においては、被処理水へ水素分子を溶解させる直前に、被処理水中に含まれる酸素分子を予め除去しておくことが、活性酸素を効果的に除去することができる点で好ましい。酸素分子の除去方法としては、特に制限されず、膜脱気法、触媒法等、公知の方法を用いることができる。被処理水中の溶存酸素濃度は予め2.0mg/L以下、好ましくは1.0mg/L以下に低減せしめておけば活性酸素を特に効果的に除去することができる。
本発明により除去される活性酸素は前述の通り、一重項酸素、スーパーオキシド、過酸化水素、ヒドロキシルラジカルであるが、特に極めて酸化力の高いヒドロキシルラジカルに対して効果的に作用する。本発明の方法により得られる活性酸素除去水は、例えば洗浄水として用いれば半導体表面の損傷や金属材料等の表面腐食、色素の分解を防止することができる。また飲用水や医薬品用水として用いればタンパク質の変性等を抑制することができる。なお、活性酸素除去水は消費されるまでは、酸素分子を溶解させないため窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下で取り扱うか、密閉容器あるいは真空容器内に入れておくことが好ましい。
また、本発明の活性酸素除去水の製造装置としては、被処理水に水素分子を溶存させる手段と、前記水素分子溶存水と触媒を接触させる手段を備えるものが挙げられる。被処理水に水素分子を溶存させる手段としては、特に制限されず、膜溶解装置、水素分子曝気装置および水の電気分解装置等公知の手段を用いることができる。水素分子溶存水と触媒を接触させる手段としては、水素分子溶存水流入配管を上流側に備え、処理水流出配管を下流側に備える触媒充填塔、あるいは被処理水と触媒を懸濁する懸濁槽と懸濁槽中の液の水素分子を溶解させる水素分子曝気装置を備えたもの等が挙げられる。本発明の活性酸素除去水の製造装置は、被処理水中に含まれる酸素分子を予め除去する手段を更に有することが好ましい。
本発明において、活性酸素、特にヒドロキシルラジカルを測定する方法としては、スピントラップ−電子スピン共鳴法が挙げられる。電子スピン共鳴法(Electron Spin Resonance(ESR))は電子常磁性共鳴法とも呼ばれ、物質中に存在する不対電子を観測する分析法である。その測定原理については、例えば大矢博昭・山内淳著「電子スピン共鳴 素材のミクロキャラクタリゼーション」p.15−33(講談社・1989)に詳しい。吸収スペクトルや蛍光スペクトルのような光学的手法では不対電子を有する物質の存在を間接的にしか示すことができないが、電子スピン共鳴法では対象となる物質が不対電子を持つことの決定的な証明となる。ヒドロキシルラジカルは不対電子を持つことから、電子スピン共鳴法により測定可能である。
しかしながらヒドロキシルラジカルはその寿命が短い為、そのままの状態では電子スピン共鳴法による測定が困難である。そこで一旦まずスピントラップ剤に結合させ安定なラジカルとして間接的に測定する方法が用いられる。
スピントラップ剤としては、式(1)で示される5,5−ジメチル−1−ピロリン−1−オキシド(DMPO)、N−tert−ブチル−α−フェニルニトロン(PBN)、α−(4−ピリジル−1−オキシド)−N−tert−ブチルニトロン(4−POBN)等の物質が挙げられる。スピントラップ−電子スピン共鳴法については、例えば大矢博昭・山内淳著「電子スピン共鳴 素材のミクロキャラクタリゼーション」p.131−136(講談社・1989)に詳しい。以下、本明細書ではスピントラップ−電子スピン共鳴法による測定をESR測定と表記する。
ESR測定装置は、電子スピン共鳴装置(例えば「JES-TE100」(日本電子社製))、試料セル(例えば「高感度水溶液セルRST-LC09」(ラジカルリサーチ社製))およびMnマーカ(例えば「デジタルマーカES-DM1」(日本電子社製))を備える。Mnマーカは磁場および感度の補正を必要とする場合に使用される。以下に、ヒドロキシルラジカルと水素原子の定量分析方法について説明する。
(ヒドロキシルラジカルおよび水素原子の定量分析方法)
<ESR測定の測定条件>
測定温度;室温、マイクロ波周波数;9.4GHz、マイクロ波出力;2.0mW、掃引磁場;334.5mT±5mT、磁場変調;100kHz、変調幅;63μT、時定数;1.0秒、掃引時間;8分、測定チャンネル数;4096チャンネル、ゲイン;1250もしくは2500、スピントラップ剤;DMPO(ラボテック社製)、標準物質(定量分析用);次式(2)で示される4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(TEMPOL;和光純薬社製)
Figure 2005296939
<ESR測定手順>
試験水1mlを試験管に採取し、1分後にDMPO25μlを加えて攪拌し、次いでESR測定用セルに封入し、採取から3分後にESR測定を開始する(以下、「測定手順1」と言う。)。なお、水素原子の測定に際しては、水素原子生成時または生成前に試験水中にDMPOを予め存在させておく。試験水の採取からESR測定用セルへの封入までは全て、窒素ガス等の不活性ガスを満たしたグローブボックス内で操作する。
<ヒドロキシルラジカルの測定例>
ヒドロキシルラジカルを測定して得たESRスペクトルの一例を図1に示す。ヒドロキシルラジカルとDMPOの結合体(図2)は○印で示すようにピーク強度比が1:2:2:1となるスペクトルが現れる。なお、両端の×印で示す2本のピークはMnマーカによるものである。
<水素原子の測定例>
水素原子を測定して得たESRスペクトルの一例を図3に示す。水素原子とDMPOの結合体(図4)は□印で示すように強度比が1:1:2:1:2:1:2:1:1となる特徴的な9本のピークを持つスペクトルが現れる。なお、水素原子の測定では最も高磁場側(最右端)のピークがMnマーカによるピークと重なるため、水素原子の定量を行う測定ではMnマーカを使用しない場合もある。
<定量方法>
ヒドロキシルラジカルおよび水素原子の定量は次の手順で行う。
(1)TEMPOL濃度2.7×10−7Mの溶液を準備し、そのESR測定を行う。この時、電子スピン共鳴装置の設定はゲインを除いてヒドロキシルラジカルや水素原子の定量時の条件と同じとする。得られたスペクトルを図5に示す。TEMPOLに特有の1:1:1の信号強度比を持つ3本のピーク(△印)が現れる。
(2)図5で得られた3本のピークについて二重積分を行いピーク面積を求め、面積と濃度の換算係数を算出する。
(3)ヒドロキシルラジカルあるいは水素原子の測定結果より、得られたピークを二重積分し(ヒドロキシルラジカルの場合は4本、水素原子の場合は9本)、(2)で得られた換算係数により各々の化学種の濃度を算出する。
なお、本測定法における測定下限は例えばヒドロキシルラジカルで10nM、水素原子で20nMである。
次に実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、これは単に例示であって、本発明を制限するものではない。
戸田市水20mLに粒子状の白金黒触媒(和光純薬社製)5mgを添加し、水素分子を400mL/分(常温常圧換算)の速度で30分間曝気させた後、試験水を採取して、以後は測定手順1でESR測定を行った。すなわち、実施例1は触媒との接触時にスピントラップ剤は存在せず、接触後1分後にスピントラップ剤を存在させる条件である。なお試験水の採取時には孔径0.45μmのフィルターを用い、白金黒触媒と試験水の分離が完全に行われるよう配慮した。そのESR測定結果を表1に示す。なお、DMPOはラボテック社より入手したものをそのまま用いた。
比較例1
戸田市水20mLに粒子状の白金黒触媒5mgを添加し、30分間撹拌させた後、試験水を採取し、以後は測定手順1でESR測定を行った。なお試験水の採取時には孔径0.45μmのフィルターを用い、白金黒触媒と試験水の分離が完全に行われるよう配慮した。そのESR測定結果を表1に示す。
比較例2
戸田市水20mLに水素分子を400mL/分(常温常圧換算)の速度で30分間曝気させた後、試験水を採取して、以後は測定手順1でESR測定を行った。そのESR測定結果を表1に示す。
比較例3
戸田市水20mLを試験水として採取し、以後は測定手順1でESR測定を行った。そのESR測定結果を表1に示す。
Figure 2005296939
表1中、○印は「有」、×印は「無」、「ND」は検出されないことをそれぞれ示す。水素分子溶解、白金黒添加のそれぞれ単独でもヒドロキシルラジカル除去が認められるが、除去効果は低い。一方、水素分子溶解および白金黒が添加された実施例1は、ヒドロキシルラジカルの除去効果が顕著である。なお、本実施例および比較例では水素原子は検出されなかった。
戸田市水20mLにDMPOを25μL加え、白金黒触媒5mgを添加し、水素分子を400mL/分(常温常圧換算)の速度で30分間曝気させた後、試験水を採取してESR測定用セルに封入し、採取から3分後にESR測定を開始した。すなわち、実施例2はスピントラップ剤を触媒との接触時に存在させたものである。そのESR測定結果を表2に示す。
比較例4
戸田市水20mLにDMPOを25μL加え、白金黒触媒5mgを添加し30分間撹拌させた後、試験水を採取してESR測定用セルに封入し、採取から3分後にESR測定を開始した。そのESR測定結果を表2に示す。
比較例5
戸田市水20mLにDMPOを25μL加え、水素分子を400mL/分(常温常圧換算)の速度で30分間曝気させた後、試験水を採取してESR測定用セルに封入し、採取から3分後にESR測定を開始した。そのESR測定結果を表2に示す。
比較例6
戸田市水20mLにDMPOを25μL加えこれを試験水としてESR測定用セルに封入し、採取から3分後にESR測定を開始した。そのESR測定結果を表2に示す。
Figure 2005296939
表2に示すように、実施例2では水素原子の存在が確認された。すなわち、戸田市水と白金黒触媒と水素分子が接触して水素原子を生成し、該水素原子が直ちにスピントラップ剤DMPOと反応したものである。このように、ヒドロキシルラジカルの除去に水素原子が関与していることが判る。また実施例1との相違点(DMPOを添加する時期)から、水素原子が1分以上被処理水に残留することはないことが明らかである。
(実験例1)
実施例1と同じ手順で水素分子の曝気速度を変えながら試験を行った。すなわち、戸田市水20mLに白金黒触媒5mgを添加し、水素分子を10〜400mL/分(常温常圧換算)の速度で30分間曝気させた後、試験水を採取して測定手順1の手順に従いESR測定を行った。その結果を表3に示す。
Figure 2005296939
(実験例2)
実施例2と同じ手順で水素分子の曝気速度を変えながら試験を行った。すなわち、戸田市水20mLにDMPOを25μL加え、白金黒触媒5mgを添加し、水素分子を表4に示す曝気速度(常温常圧換算)で30分間曝気させた後、試験水を採取してESR測定を行った。その結果を表4に示す。
Figure 2005296939
表4中、測定された水素原子の生成量は水素分子を曝気した時間内における積算量である。従って水素原子の生成速度は測定された生成量を曝気時間で割った値となる。表3および表4に示すように、水素原子生成速度とヒドロキシルラジカルの低減量に明確な相関が認められることから、水素原子がヒドロキシルラジカルの除去に関与していることは明らかである。また、水素原子生成速度が1.0nM/分未満ではヒドロキシルラジカルの除去がほとんど行われないことが明らかである。
水素原子の挙動と活性酸素除去の関係をより明らかとするため、図6に示す流通試験装置を用い実験を行った。流通試験装置10は内径φ4mmのガラス管5と、ガラス管5内において両端をガラスウール7で固定された粒状の白金黒触媒(充填量500mg)6と、ポンプ4と、試料水Aを入れた容器1と、試料水Bを入れた容器2と、2つの容器とポンプを連結する配管の途中にある切替弁3とからなる。まず予め容器1内の水素分子を0.5mg/L溶存させた純水(試料水A)を流速5mL/分(ガラス管内の線流速40cm/分)で通水させ、取水口から得られた処理水を試験水とし測定手順1に従ってESR測定を行った。その結果を表5に示す。
比較例7
次に切換弁3を操作して容器2内の戸田市水(試料水B)を通水させ、系内を戸田市水が通過するのに必要な時間待った後に取水口8より試験水を採取し測定手順1に従ってESR測定に供した。またさらに通水を続け1時間後および2時間後に採取した試験水についても測定を行った。
Figure 2005296939
比較例7では直前まで水素分子を溶存させた水を通水させていたにもかかわらず、通水直後から2時間後までヒドロキシルラジカルの生成量が同じ処理水が得られた。すなわち、水素原子は白金黒触媒にも残留していないことは明らかである。また表5の結果、実施例2および比較例1〜3の結果から、水素原子の寿命は短く、活性酸素の除去には、被処理水、触媒、水素分子が同時に存在している必要があることが明らかである。
実験例3
溶存水素濃度および酸化還元電位と活性酸素除去の関係をより明らかとするため、図6に示す流通試験装置と同様の装置を用いて実験を行った。但し、試料水を入れる容器は1つであり切替弁は不要であった。水素分子を表6に示す溶存水素濃度で溶存させた戸田市水を用意し、流速5mL/分(ガラス管内の線流速は40cm/分)で通水させ、取水口から得られた処理水を試験水とし測定手順1に従って測定を行った。溶存水素濃度の測定には溶存水素計「DHDI−1」(東亜ディーケーケー社製)を、酸化還元電位の測定にはORP電極「PST−2729C」(東亜ディーケーケー社製)をメーター「IM−22P」(東亜ディーケーケー社製)に接続したものを用いた。その結果を表6に示す。表6の結果から、溶存水素濃度は0.1mg/L以上必要であることが明らかである。また被処理水の酸化還元電位は−100mV以下が好ましいことは明らかである。
Figure 2005296939
実験例4
予め真空脱気モジュール「リキセル・ミニモジュール」(セルガード社製)を用い溶存酸素を表7に示す濃度まで低減した戸田市水20mLに粒子状の白金黒触媒5mgを添加し、水素分子を400mL/分(常温常圧換算)の速度で5分間曝気させた後、試験水を採取して測定手順1に従ってESR測定を行った。溶存酸素濃度の測定にはポータブル溶存酸素計「DO−21P」(東亜ディーケーケー社製)を用いた。その結果を表7に示す。なお試験水の採取時には孔径0.45μmのフィルターを用い、白金黒触媒と試験水の分離が完全に行われるよう配慮した。表7の結果から、溶存酸素濃度2.0mg/L以下では十分にヒドロキシルラジカルが除去されることが明らかである。
Figure 2005296939
本発明による活性酸素除去水の製造方法および製造装置によれば、被処理水を汚染すること無く、且つ効率良く活性酸素を除去した水を得ることが可能である。このため、当該方法で得られた活性酸素除去水はヒドロキシルラジカルの生成速度を著しく低減せしめた水として、洗浄用水、飲用水、食品用水あるいは医薬品用水として有用である。
ヒドロキシルラジカルを測定して得たESRスペクトルの一例を示す。 ヒドロキシルラジカルとDMPOの結合体を示す。 水素原子を測定して得たESRスペクトルの一例を示す。 水素原子とDMPOの結合体を示す。 TEMPOLを測定して得たESRスペクトルの一例を示す。 実施例3で用いる流通試験装置の概略図である。

Claims (11)

  1. 水素分子を溶存させた被処理水と触媒の接触作用により生成する水素原子を用い、被処理水中に含まれる活性酸素を除去することを特徴とする活性酸素除去水の製造方法。
  2. 前記触媒がニッケル、銅、亜鉛、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、レニウムおよび白金から選ばれる少なくとも1つの金属元素を含むことを特徴とする請求項1記載の活性酸素除去水の製造方法。
  3. 前記触媒との接触時における被処理水の溶存水素濃度が0.1mg/L以上であることを特徴とする請求項1又は2記載の活性酸素除去水の製造方法。
  4. 前記触媒との接触時における被処理水の酸化還元電位が−100mV以下であることを特徴とする請求項1又は2記載の活性酸素除去水の製造方法。
  5. 前記被処理水中に含まれる酸素分子を予め除去することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の活性酸素除去水の製造方法。
  6. 前記被処理水から除去される活性酸素がヒドロキシルラジカルであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載の活性酸素除去水の製造方法。
  7. 前記被処理水が洗浄水、飲用水、食品用水又は医薬品用水であることを特徴とする請求項1〜6記載のいずれか1項記載の活性酸素除去水の製造方法。
  8. 前記水素原子の生成速度が1.0nM/分以上であることを特徴とする請求項1〜7記載のいずれか1項記載の活性酸素除去水の製造方法。
  9. 被処理水に水素分子を溶存させる手段と、前記水素分子溶存水と触媒を接触させる手段を備えることを特徴とする活性酸素除去水の製造装置。
  10. 前記触媒がニッケル、銅、亜鉛、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、レニウム及び白金から選ばれる少なくとも1つの金属元素を含むことを特徴とする請求項9記載の活性酸素除去水の製造装置。
  11. 被処理水中に含まれる酸素分子を予め除去する手段を有することを特徴とする請求項9又は10記載の活性酸素除去水の製造装置。
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