先に説明したように、表示装置の製造時には発見され難く、表示装置の実動作中に、ゲート電極13と電子放出部15との間、あるいは又、ゲート電極13とカソード電極11との間に発生した放電に起因した、ゲート電極13と電子放出部15との間の短絡、あるいは、ゲート電極13とカソード電極11との間の短絡が、屡々、発生する場合がある。ところが、これらの特許公開公報に開示された技術は、既に存在する短絡箇所の検出や、既に存在する短絡箇所の一種の補修に関するものである。そして、将来における短絡の発生を予め予期し、即ち、放電が生じる確率の高い箇所を予想し、係る放電に起因した短絡に事前に対処する技術、言い換えれば、潜在的な欠陥部分や欠陥箇所を予め発見し、係る潜在的な欠陥部分や欠陥箇所を予め補修しておく技術について、これらの特許公開公報には何ら言及がなされていない。
従って、本発明の目的は、ゲート電極と電子放出部との間、あるいは又、ゲート電極とカソード電極との間に生じた放電に起因して発生するであろうゲート電極と電子放出部との間、あるいは、ゲート電極とカソード電極との間の短絡発生箇所を、冷陰極電界電子放出表示装置の実際の動作以前に予め予期し、事前に、係る放電に起因した短絡に対処することを可能とする冷陰極電界電子放出表示装置用のカソードパネルの検査方法、及び、冷陰極電界電子放出表示装置の製造方法、並びに、係る冷陰極電界電子放出表示装置の製造方法に基づき得られた冷陰極電界電子放出表示装置を提供することにある。
上記の目的を達成するための本発明の冷陰極電界電子放出表示装置用のカソードパネルの検査方法(以下、本発明のカソードパネルの検査方法と略称する場合がある)は、
(A)支持体上に形成され、第1の方向に延びるカソード電極、
(B)支持体及びカソード電極を覆う絶縁層、
(C)絶縁層上に形成され、第1の方向とは異なる第2の方向に延びるゲート電極、
(D)カソード電極とゲート電極との重複領域に位置するゲート電極の部分及び絶縁層の部分に設けられた複数の開口部、並びに、
(E)複数の開口部のそれぞれの底部に露出した電子放出部、
から成る電子放出領域が2次元マトリクス状に配列されたカソードパネルを真空雰囲気中に配置した後、カソード電極及びゲート電極に電圧を印加することで、電子放出領域における易放電箇所に放電を生じさせることを特徴とする。
上記の目的を達成するための本発明の冷陰極電界電子放出表示装置の製造方法は、
(A)支持体上に形成され、第1の方向に延びるカソード電極、
(B)支持体及びカソード電極を覆う絶縁層、
(C)絶縁層上に形成され、第1の方向とは異なる第2の方向に延びるゲート電極、
(D)カソード電極とゲート電極との重複領域に位置するゲート電極の部分及び絶縁層の部分に設けられた複数の開口部、並びに、
(E)複数の開口部のそれぞれの底部に露出した電子放出部、
から成る電子放出領域が2次元マトリクス状に配列されたカソードパネルであって、真空雰囲気中に配置した後、カソード電極及びゲート電極に電圧を印加することで、電子放出領域における易放電箇所に放電を生じさせて放電箇所を検出し、ゲート電極における検出された放電箇所の部分を他のゲート電極の部分から分離することによって得られたカソードパネルと、基板上に形成された蛍光体領域及びアノード電極から成るアノードパネルとを、それらの周縁部で接合することを特徴とする。
上記の目的を達成するための本発明の冷陰極電界電子放出表示装置は、
(A)支持体上に形成され、第1の方向に延びるカソード電極、
(B)支持体及びカソード電極を覆う絶縁層、
(C)絶縁層上に形成され、第1の方向とは異なる第2の方向に延びるゲート電極、
(D)カソード電極とゲート電極との重複領域に位置するゲート電極の部分及び絶縁層の部分に設けられた複数の開口部、並びに、
(E)複数の開口部のそれぞれの底部に露出した電子放出部、
から成る電子放出領域が2次元マトリクス状に配列されたカソードパネルであって、真空雰囲気中に配置した後、カソード電極及びゲート電極に電圧を印加することで、電子放出領域における易放電箇所に放電を生じさせて放電箇所を検出し、ゲート電極における検出された放電箇所の部分を他のゲート電極の部分から分離することによって得られたカソードパネルと、基板上に形成された蛍光体領域及びアノード電極から成るアノードパネルとが、それらの周縁部で接合されて成ることを特徴とする。
本発明のカソードパネルの検査方法、本発明の冷陰極電界電子放出表示装置の製造方法、本発明の冷陰極電界電子放出表示装置(以下、これらを総称して、単に本発明と呼ぶ場合がある)にあっては、カソード電極とゲート電極との間に印加する電圧の差をΔVTEST、冷陰極電界電子放出表示装置の実動作時にカソード電極とゲート電極との間に印加される電圧の差の最大値をΔVACTとしたとき、
ΔVTEST>ΔVACT
好ましくは、
ΔVTEST≧1.05ΔVACT
を満足することが、電子放出領域における易放電箇所に確実に放電を生じさせるといった観点から、望ましい。
また、本発明にあっては、カソード電極及びゲート電極に印加する電圧を、正弦波や、パルス状の直流電圧とすることが好ましく、後者の場合、パルス占有率(デューティ・ファクター)を10%乃至90%とすることが、電子放出領域における易放電箇所に短い印加時間で放電を生じさせるといった観点から好ましい。尚、カソード電極及びゲート電極に電圧を印加する時間(電圧印加時間)は、限定するものではないが、1時間乃至2時間とすることが好ましい。
本発明のカソードパネルの検査方法においては、電子放出領域における易放電箇所に放電を生じさせた後、放電箇所を検出することが好ましく、更には、ゲート電極における検出された放電箇所の部分を、他のゲート電極の部分から分離することが好ましい。
通常、電子放出領域における易放電箇所での放電は、ゲート電極と電子放出部との間、あるいは、ゲート電極とカソード電極との間で生じる。そして、このような放電が生じた場合、ゲート電極の損傷に起因して、ゲート電極と電子放出部との間、あるいは、ゲート電極とカソード電極との間に、屡々、短絡が発生する。
本発明における放電箇所の検出方法として、特表2001−512239に開示された方法や、画像検査装置を用いる方法、電子放出部の電気抵抗値や異常発熱を測定して短絡の有無を検査する配線短絡試験を例示することができ、これらの検出方法は大気中(室内等)にて行うことができる。あるいは又、本発明における放電箇所の検出方法を、カソードパネルから実際に電子を放出させる画像表示試験とすることもできる。
本発明において、ゲート電極における検出された放電箇所の部分を他のゲート電極の部分から分離する方法として、外部からの物理的あるいは化学的な作用に基づきゲート電極の部分を除去する方法を挙げることができ、より具体的な方法として、ゲート電極の部分を、レーザを用いて溶断する方法や、リソグラフィ技術及びエッチング技術に基づき切断する方法を挙げることができる。
本発明においては、例えば、ストライプ状のゲート電極の形成時、第2の方向と平行に延びる1又は複数の溝部(切欠部)を重複領域におけるゲート電極の部分に併せて形成しておき、溝部の端部に位置するゲート電極の領域を溶断、切断することで、ゲート電極における検出された放電箇所の部分を他のゲート電極の部分から分離することができる。あるいは又、レーザビームを走査することによって、ゲート電極における検出された放電箇所の部分を他のゲート電極の部分から分離してもよいし、場合によっては、ゲート電極における検出された放電箇所の部分を消滅させてもよい。
本発明においては、検査用対向電極を有する検査用基板と電子放出領域とが対向するように、カソードパネルを真空雰囲気中に配置することが好ましい。尚、検査用基板には、蛍光体領域が形成されていてもよく、これによって画像表示試験を行うことができる。検査用対向電極に印加する電圧は、カソードパネルの検査時、カソード電極及びゲート電極に電圧V’C,V’Gを印加することによって生じた電界によって電子放出部の先端部から量子トンネル効果に基づき放出された電子が検査用対向電極に引き付けられ、電子の衝突によってカソードパネルの不所望の部位が帯電することを確実に防止することができる電圧であればよく、例えば、1キロボルト程度、あるいは、それ以下とすることができる。検査用対向電極に印加する電圧が高すぎると、検査用対向電極とゲート電極や電子放出部との間で放電が生じる虞がある。
具体的には、冷陰極電界電子放出表示装置用のカソードパネルを真空雰囲気中に配置するためには、カソードパネル検査装置を使用することが好ましい。このカソードパネル検査装置は、例えば、
上部が開口したハウジング、
ハウジング内に配置され、カソードパネルを載置するための検査台、
ハウジング内を真空にするための真空手段、
カソード電極及びゲート電極の端部に接触し得る構造の検査電圧印加部、
ハウジングの開口した上部に取り付けられ、検査用対向電極を有する検査用基板、並びに、
検査用対向電極、カソード電極及びゲート電極に電圧を印加するための電圧制御手段、
から構成することができる。
本発明において、カソード電極とゲート電極との重複領域に位置する1つの電子放出領域は、複数の冷陰極電界電子放出素子(以下、電界放出素子と略称する)から構成されている。ここで、1つの電界放出素子は、
(a)支持体上に形成され、第1の方向に延びるカソード電極、
(b)支持体及びカソード電極を覆う絶縁層、
(c)絶縁層上に形成され、第1の方向とは異なる第2の方向に延びるゲート電極、
(d)カソード電極とゲート電極との重複領域に位置するゲート電極の部分及び絶縁層の部分に設けられた開口部、並びに、
(e)開口部の底部に露出した電子放出部、
から構成されている。
電界放出素子の型式は、特に限定されず、スピント型電界放出素子、エッジ型電界放出素子、平面型電界放出素子、扁平型電界放出素子、クラウン型電界放出素子のいずれであってもよい。尚、カソード電極及びゲート電極はストライプ形状を有し、カソード電極の射影像とゲート電極の射影像とは直交することが、即ち、第1の方向と第2の方向とは直交することが、冷陰極電界電子放出表示装置の構造の簡素化といった観点から好ましい。
更には、電界放出素子には収束電極が備えられていてもよい。即ち、ゲート電極及び絶縁層上には更に層間絶縁層が設けられ、層間絶縁層上に収束電極が設けられている電界放出素子、あるいは又、ゲート電極の上方に収束電極が設けられている電界放出素子とすることもできる。ここで、収束電極とは、開口部から放出され、アノード電極へ向かう放出電子の軌道を収束させ、以て、輝度の向上や隣接画素間の光学的クロストークの防止を可能とするための電極である。アノード電極とカソード電極との間の電位差が数キロボルトのオーダーであって、アノード電極とカソード電極との間の距離が比較的長い、所謂高電圧タイプの冷陰極電界電子放出表示装置において、収束電極は特に有効である。収束電極には、収束電極制御回路から相対的な負電圧が印加される。収束電極は、必ずしも各電界放出素子毎に設けられている必要はなく、例えば、電界放出素子の所定の配列方向に沿って延在させることにより、複数の電界放出素子に共通の収束効果を及ぼすこともできる。
カソード電極、ゲート電極、収束電極の構成材料として、アルミニウム(Al)、タングステン(W)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)、クロム(Cr)、銅(Cu)、金(Au)、銀(Ag)、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、ジルコニウム(Zr)、鉄(Fe)、白金(Pt)、亜鉛(Zn)等の金属;これらの金属元素を含む合金あるいは化合物(例えばTiN等の窒化物や、WSi2、MoSi2、TiSi2、TaSi2等のシリサイド);シリコン(Si)等の半導体;ダイヤモンド等の炭素薄膜;ITO(酸化インジウム−錫)、酸化インジウム、酸化亜鉛等の導電性金属酸化物を例示することができる。また、これらの電極の形成方法として、例えば、電子ビーム蒸着法や熱フィラメント蒸着法といった蒸着法、スパッタリング法、CVD法やイオンプレーティング法とエッチング法との組合せ;スクリーン印刷法;メッキ法(電気メッキ法や無電解メッキ法);リフトオフ法;レーザアブレーション法;ゾル−ゲル法等を挙げることができる。スクリーン印刷法やメッキ法によれば、直接、例えばストライプ状のこれらの電極を形成することが可能である。
電界放出素子を構成する絶縁層や層間絶縁層の構成材料として、SiO2、BPSG、PSG、BSG、AsSG、PbSG、SiON、SOG(スピンオングラス)、低融点ガラス、ガラスペーストといったSiO2系材料;SiN系材料;ポリイミド等の絶縁性樹脂を、単独あるいは適宜組み合わせて使用することができる。絶縁層や層間絶縁層の形成には、CVD法、塗布法、スパッタリング法、スクリーン印刷法等の公知のプロセスが利用できる。
カソード電極と電子放出部との間に高抵抗膜を設けてもよい。高抵抗膜を設けることによって、電界放出素子の動作安定化、電子放出特性の均一化を図ることができる。高抵抗膜を構成する材料として、シリコンカーバイド(SiC)やSiCNといったカーボン系材料;SiN系材料;アモルファスシリコン等の半導体材料;酸化ルテニウム(RuO2)、酸化タンタル、窒化タンタル等の高融点金属酸化物を例示することができる。高抵抗膜の形成方法として、スパッタリング法や、CVD法やスクリーン印刷法を例示することができる。1つの電子放出部あたりの電気抵抗値は、概ね1×106〜1×1011Ω、好ましくは数十ギガΩとすればよい。
ゲート電極や絶縁層に設けられた開口部の平面形状(支持体表面と平行な仮想平面で開口部を切断したときの形状)は、円形、楕円形、矩形、多角形、丸みを帯びた矩形、丸みを帯びた多角形等、任意の形状とすることができる。開口部の形成は、例えば、等方性エッチング、異方性エッチングと等方性エッチングの組合せによって行うことができ、あるいは又、ゲート電極の形成方法に依っては、ゲート電極に開口部を直接形成することもできる。絶縁層や層間絶縁層における開口部の形成も、例えば、等方性エッチング、異方性エッチングと等方性エッチングの組合せによって行うことができる。
支持体や基板として、ガラス基板、表面に絶縁膜が形成されたガラス基板、石英基板、表面に絶縁膜が形成された石英基板、表面に絶縁膜が形成された半導体基板を挙げることができるが、製造コスト低減の観点からは、ガラス基板、あるいは、表面に絶縁膜が形成されたガラス基板を用いることが好ましい。ガラス基板として、高歪点ガラス、ソーダガラス(Na2O・CaO・SiO2)、硼珪酸ガラス(Na2O・B2O3・SiO2)、フォルステライト(2MgO・SiO2)、鉛ガラス(Na2O・PbO・SiO2)を例示することができる。
本発明において、アノード電極は、全体として1つのアノード電極から構成されていてもよいし、複数のアノード電極ユニットから構成されていてもよい。後者の場合、アノード電極ユニットとアノード電極ユニットとは抵抗体層によって電気的に接続されている必要がある。抵抗体層を構成する材料として、シリコンカーバイド(SiC)やSiCNといったカーボン系材料;SiN系材料;酸化ルテニウム(RuO2)、酸化タンタル、窒化タンタル、酸化クロム、酸化チタン等の高融点金属酸化物;アモルファスシリコン等の半導体材料を挙げることができる。抵抗体層のシート抵抗値として、1×10-1Ω/□乃至1×1010Ω/□、好ましくは1×103Ω/□乃至1×108Ω/□を例示することができる。アノード電極ユニットの数(N)は2以上であればよく、例えば、直線状に配列された蛍光体領域の列の総数をn列としたとき、N=nとし、あるいは、n=α・N(αは2以上の整数であり、好ましくは10≦α≦100、一層好ましくは20≦α≦50)としてもよいし、一定の間隔をもって配設されるスペーサ(後述する)の数に1を加えた数とすることができるし、ピクセルの数あるいはサブピクセルの数と一致した数、あるいは、ピクセルの数あるいはサブピクセルの数の整数分の一とすることもできる。また、各アノード電極ユニットの大きさは、アノード電極ユニットの位置に拘わらず同じとしてもよいし、アノード電極ユニットの位置に依存して異ならせてもよい。
冷陰極電界電子放出表示装置がカラー表示の場合、直線状に配列された蛍光体領域の1列は、全てが赤色発光蛍光体領域で占められた列、緑色発光蛍光体領域で占められた列、及び、青色発光蛍光体領域で占められた列から構成されていてもよいし、赤色発光蛍光体領域、緑色発光蛍光体領域、及び、青色発光蛍光体領域が順に配置された列から構成されていてもよい。ここで、蛍光体領域とは、アノードパネル上において1つの輝点を生成する蛍光体領域であると定義する。また、1画素(1ピクセル)は、1つの赤色発光蛍光体領域、1つの緑色発光蛍光体領域、及び、1つの青色発光蛍光体領域の集合から構成され、1サブピクセルは、1つの蛍光体領域(1つの赤色発光蛍光体領域、あるいは、1つの緑色発光蛍光体領域、あるいは、1つの青色発光蛍光体領域)から構成される。更には、アノード電極ユニットにおける1サブピクセルに相当する大きさとは、1つの蛍光体領域を囲むアノード電極ユニットの大きさを意味する。
アノード電極(アノード電極ユニットを包含する)は、導電材料層を用いて形成すればよい。導電材料層の形成方法として、例えば、電子ビーム蒸着法や熱フィラメント蒸着法といった蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、レーザアブレーション法といった各種のPVD法;各種のCVD法;スクリーン印刷法;リフトオフ法;ゾル−ゲル法等を挙げることができる。即ち、導電材料から成る導電材料層を形成し、リソグラフィ技術及びエッチング技術に基づき、この導電材料層をパターニングしてアノード電極を形成することができる。あるいは又、アノード電極のパターンを有するマスクやスクリーンを介して導電材料をPVD法やスクリーン印刷法に基づき形成することによって、アノード電極を得ることもできる。尚、抵抗体層も同様の方法で形成することができる。即ち、抵抗体材料から抵抗体層を形成し、リソグラフィ技術及びエッチング技術に基づきこの抵抗体層をパターニングしてもよいし、あるいは、抵抗体層のパターンを有するマスクやスクリーンを介して抵抗体材料のPVD法やスクリーン印刷法に基づく形成により、抵抗体層を得ることができる。基板上(あるいは基板上方)におけるアノード電極の平均厚さ(後述するように隔壁を設ける場合、隔壁の頂面上におけるアノード電極の平均厚さ)として、3×10-8m(30nm)乃至1.5×10-7m(150nm)、好ましくは5×10-8m(50nm)乃至1×10-7m(100nm)を例示することができる。
アノード電極の構成材料は、冷陰極電界電子放出表示装置の構成によって適宜選択すればよい。即ち、冷陰極電界電子放出表示装置が透過型(アノードパネルが表示面に相当する)であって、且つ、基板上にアノード電極と蛍光体領域がこの順に積層されている場合には、基板は元より、アノード電極自身も透明である必要があり、ITO(インジウム錫酸化物)等の透明導電材料を用いる。一方、冷陰極電界電子放出表示装置が反射型(カソードパネルが表示面に相当する)である場合、及び、透過型であっても基板上に蛍光体領域とアノード電極とがこの順に積層されている場合には、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、クロム(Cr)、タングステン(W)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、金(Au)、銀(Ag)、チタン(Ti)、コバルト(Co)、ジルコニウム(Zr)、鉄(Fe)、白金(Pt)、亜鉛(Zn)等の金属;これらの金属元素を含む合金あるいは化合物(例えばTiN等の窒化物や、WSi2、MoSi2、TiSi2、TaSi2等のシリサイド);シリコン(Si)等の半導体;ダイヤモンド等の炭素薄膜;ITO(酸化インジウム−錫)、酸化インジウム、酸化亜鉛等の導電性金属酸化物を例示することができる。尚、抵抗体層を形成する場合、抵抗体層の抵抗値を変化させない導電材料からアノード電極を構成することが好ましく、例えば、抵抗体層をシリコンカーバイド(SiC)から構成した場合、アノード電極をモリブデン(Mo)から構成することが好ましい。
アノード電極と蛍光体領域の構成例として、(1)基板上に、アノード電極を形成し、アノード電極の上に蛍光体領域を形成する構成、(2)基板上に、蛍光体領域を形成し、蛍光体領域上にアノード電極を形成する構成、を挙げることができる。尚、(1)の構成において、蛍光体領域の上に、アノード電極と導通した所謂メタルバック膜を形成してもよい。また、(2)の構成において、アノード電極の上にメタルバック膜を形成してもよい。
アノードパネルには、蛍光体領域から反跳した電子、あるいは、蛍光体領域から放出された二次電子が他の蛍光体領域に入射し、所謂光学的クロストーク(色濁り)が発生することを防止するための隔壁が、複数、設けられている構成とすることもできる。
隔壁の平面形状として、格子形状(井桁形状)、即ち、1サブピクセルに相当する、例えば平面形状が略矩形(ドット状)の蛍光体領域の四方を取り囲む形状を挙げることができ、あるいは、略矩形あるいはストライプ状の蛍光体領域の対向する二辺と平行に延びる帯状形状あるいはストライプ形状を挙げることができる。隔壁を格子形状とする場合、1つの蛍光体領域の領域の四方を連続的に取り囲む形状としてもよいし、不連続に取り囲む形状としてもよい。隔壁を帯状形状あるいはストライプ形状とする場合、連続した形状としてもよいし、不連続な形状としてもよい。隔壁を形成した後、隔壁を研磨し、隔壁の頂面の平坦化を図ってもよい。
隔壁の形成方法として、スクリーン印刷法、ドライフィルム法、感光法、サンドブラスト形成法を例示することができる。ここで、スクリーン印刷法とは、隔壁を形成すべき部分に対応するスクリーンの部分に開口が形成されており、スクリーン上の隔壁形成用材料をスキージを用いて開口を通過させ、基板上に隔壁形成用材料層を形成した後、かかる隔壁形成用材料層を焼成する方法である。ドライフィルム法とは、基板上に感光性フィルムをラミネートし、露光及び現像によって隔壁形成予定部位の感光性フィルムを除去し、除去によって生じた開口に隔壁形成用の材料を埋め込み、焼成する方法である。感光性フィルムは焼成によって燃焼、除去され、開口に埋め込まれた隔壁形成用の材料が残り、隔壁となる。感光法とは、基板上に感光性を有する隔壁形成用材料層を形成し、露光及び現像によってこの隔壁形成用材料層をパターニングした後、焼成を行う方法である。サンドブラスト形成法とは、例えば、スクリーン印刷やロールコーター、ドクターブレード、ノズル吐出式コーター等を用いて隔壁形成用材料層を基板上に形成し、乾燥させた後、隔壁を形成すべき隔壁形成用材料層の部分をマスク層で被覆し、次いで、露出した隔壁形成用材料層の部分をサンドブラスト法によって除去する方法である。
蛍光体領域は、単色の蛍光体粒子から構成されていても、3原色の蛍光体粒子から構成されていてもよい。また、蛍光体領域の配列様式は、ドット状であっても、ストライプ状であってもよい。尚、ドット状やストライプ状の配列様式においては、隣り合う蛍光体領域の間の隙間がコントラスト向上を目的とした光吸収層(ブラックマトリックス)で埋め込まれていてもよい。
蛍光体領域は、発光性結晶粒子(例えば、粒径5〜10nm程度の蛍光体粒子)から調製された発光性結晶粒子組成物を使用し、例えば、赤色の感光性の発光性結晶粒子組成物(赤色蛍光体スラリー)を全面に塗布し、露光、現像して、赤色発光蛍光体領域を形成し、次いで、緑色の感光性の発光性結晶粒子組成物(緑色蛍光体スラリー)を全面に塗布し、露光、現像して、緑色発光蛍光体領域を形成し、更に、青色の感光性の発光性結晶粒子組成物(青色蛍光体スラリー)を全面に塗布し、露光、現像して、青色発光蛍光体領域を形成する方法にて形成することができる。基板上における蛍光体領域の平均厚さは、限定するものではないが、3μm乃至20μm、好ましくは5μm乃至10μmであることが望ましい。
発光性結晶粒子を構成する蛍光体材料としては、従来公知の蛍光体材料の中から適宜選択して用いることができる。カラー表示の場合、色純度がNTSCで規定される3原色に近く、3原色を混合した際の白バランスがとれ、残光時間が短く、3原色の残光時間がほぼ等しくなる蛍光体材料を組み合わせることが好ましい。赤色発光蛍光体領域を構成する蛍光体材料として、(Y2O3:Eu)、(Y2O2S:Eu)、(Y3Al5O12:Eu)、(Y2SiO5:Eu)、(Zn3(PO4)2:Mn)を例示することができるが、中でも、(Y2O3:Eu)、(Y2O2S:Eu)を用いることが好ましい。また、緑色発光蛍光体領域を構成する蛍光体材料として、(ZnSiO2:Mn)、(Sr4Si3O8Cl4:Eu)、(ZnS:Cu,Al)、(ZnS:Cu,Au,Al)、[(Zn,Cd)S:Cu,Al]、(Y3Al5O12:Tb)、(Y2SiO5:Tb)、[Y3(Al,Ga)5O12:Tb]、(ZnBaO4:Mn)、(GbBO3:Tb)、(Sr6SiO3Cl3:Eu)、(BaMgAl14O23:Mn)、(ScBO3:Tb)、(Zn2SiO4:Mn)、(ZnO:Zn)、(Gd2O2S:Tb)、(ZnGa2O4:Mn)を例示することができるが、中でも、(ZnS:Cu,Al)、(ZnS:Cu,Au,Al)、[(Zn,Cd)S:Cu,Al]、(Y3Al5O12:Tb)、[Y3(Al,Ga)5O12:Tb]、(Y2SiO5:Tb)を用いることが好ましい。更には、青色発光蛍光体領域を構成する蛍光体材料として、(Y2SiO5:Ce)、(CaWO4:Pb)、CaWO4、YP0.85V0.15O4、(BaMgAl14O23:Eu)、(Sr2P2O7:Eu)、(Sr2P2O7:Sn)、(ZnS:Ag,Al)、(ZnS:Ag)、ZnMgO、ZnGaO4を例示することができるが、中でも、(ZnS:Ag)、(ZnS:Ag,Al)を用いることが好ましい。
蛍光体領域からの光を吸収する光吸収層が隔壁と基板との間に形成されていることが、表示画像のコントラスト向上といった観点から好ましい。ここで、光吸収層は、所謂ブラックマトリックスとして機能する。光吸収層を構成する材料として、蛍光体領域からの光を99%以上吸収する材料を選択することが好ましい。このような材料として、カーボン、金属薄膜(例えば、クロム、ニッケル、アルミニウム、モリブデン等、あるいは、これらの合金)、金属酸化物(例えば、酸化クロム)、金属窒化物(例えば、窒化クロム)、耐熱性有機樹脂、ガラスペースト、黒色顔料や銀等の導電性粒子を含有するガラスペースト等の材料を挙げることができ、具体的には、感光性ポリイミド樹脂、酸化クロムや、酸化クロム/クロム積層膜を例示することができる。尚、酸化クロム/クロム積層膜においては、クロム膜が基板と接する。光吸収層は、例えば、真空蒸着法やスパッタリング法とエッチング法との組合せ、真空蒸着法やスパッタリング法、スピンコーティング法とリフトオフ法との組合せに、スクリーン印刷法、リソグラフィ技術等、使用する材料に依存して適宜選択された方法にて形成することができる。
冷陰極電界電子放出表示装置にあっては、カソード電極及びゲート電極に印加された電圧によって生じた強電界が電子放出部に加わる結果、量子トンネル効果により電子放出部から電子が放出される。そして、この電子は、アノードパネルに設けられたアノード電極によってアノードパネルへと引き付けられ、蛍光体領域に衝突する。そして、蛍光体領域への電子の衝突の結果、蛍光体領域が発光し、画像として認識することができる。
冷陰極電界電子放出表示装置にあっては、アノードパネルとカソードパネルとによって挟まれた空間が真空状態となっているが故に、アノードパネルとカソードパネルとの間にスペーサを配しておかないと、大気圧によって冷陰極電界電子放出表示装置が損傷を受けてしまう虞がある。係るスペーサは、例えばセラミックスから構成することができる。スペーサをセラミックスから構成する場合、セラミックスとして、ムライトやアルミナ、チタン酸バリウム、チタン酸ジルコン酸鉛、ジルコニア、コーディオライト、硼珪酸塩バリウム、珪酸鉄、ガラスセラミックス材料、これらに、酸化チタンや酸化クロム、酸化鉄、酸化バナジウム、酸化ニッケルを添加したもの等を例示することができる。この場合、所謂グリーンシートを成形して、グリーンシートを焼成し、かかるグリーンシート焼成品を切断することによってスペーサを製造することができる。また、スペーサの表面に、金属や合金から成る導電材料層を形成し、あるいは又、高抵抗層を形成し、あるいは又、二次電子放出係数の低い材料から成る薄層を形成してもよい。スペーサは、例えば、隔壁と隔壁との間に挟み込んで固定すればよく、あるいは又、例えば、アノードパネルにスペーサ保持部を形成し、スペーサ保持部とスペーサ保持部との間に挟み込んで固定すればよい。
カソードパネルとアノードパネルとを周縁部において接合するが、接合は接着層を用いて行ってもよいし、あるいは、ガラスやセラミックス等の絶縁剛性材料から成る枠体と接着層とを併用して行ってもよい。枠体と接着層とを併用する場合には、枠体の高さを適宜選択することにより、接着層のみを使用する場合に比べ、カソードパネルとアノードパネルとの間の対向距離をより長く設定することが可能である。尚、接着層の構成材料としては、フリットガラスが一般的であるが、融点が120〜400゜C程度の所謂低融点金属材料を用いてもよい。かかる低融点金属材料としては、In(インジウム:融点157゜C);インジウム−金系の低融点合金;Sn80Ag20(融点220〜370゜C)、Sn95Cu5(融点227〜370゜C)等の錫(Sn)系高温はんだ;Pb97.5Ag2.5(融点304゜C)、Pb94.5Ag5.5(融点304〜365゜C)、Pb97.5Ag1.5Sn1.0(融点309゜C)等の鉛(Pb)系高温はんだ;Zn95Al5(融点380゜C)等の亜鉛(Zn)系高温はんだ;Sn5Pb95(融点300〜314゜C)、Sn2Pb98(融点316〜322゜C)等の錫−鉛系標準はんだ;Au88Ga12(融点381゜C)等のろう材(以上の添字は全て原子%を表す)を例示することができる。
基板と支持体と枠体の三者を接合する場合、三者同時接合を行ってもよいし、あるいは、第1段階で基板又は支持体のいずれか一方と枠体とを先に接合し、第2段階で基板又は支持体の他方と枠体とを接合してもよい。三者同時接合や第2段階における接合を高真空雰囲気中で行えば、基板と支持体と枠体と接着層とにより囲まれた空間は、接合と同時に真空となる。あるいは、三者の接合終了後、基板と支持体と枠体と接着層とによって囲まれた空間を排気し、真空とすることもできる。接合後に排気を行う場合、接合時の雰囲気の圧力は常圧/減圧のいずれであってもよく、また、雰囲気を構成する気体は、大気であっても、あるいは窒素ガスや周期律表0族に属するガス(例えばArガス)を含む不活性ガスであってもよい。
接合後に排気を行う場合、排気は、基板及び/又は支持体に予め接続されたチップ管を通じて行うことができる。チップ管は、典型的にはガラス管を用いて構成され、基板及び/又は支持体の無効領域(即ち、表示部分として機能する有効領域以外の領域)に設けられた貫通孔の周囲に、フリットガラス又は上述の低融点金属材料を用いて接合され、空間が所定の真空度に達した後、熱融着によって封じ切られる。尚、封じ切りを行う前に、冷陰極電界電子放出表示装置全体を一旦加熱してから降温させると、空間に残留ガスを放出させることができ、この残留ガスを排気により空間外へ除去することができるので好適である。
冷陰極電界電子放出表示装置において、カソード電極はカソード電極制御回路に接続され、ゲート電極はゲート電極制御回路に接続され、アノード電極はアノード電極制御回路に接続されている。尚、これらの制御回路は周知の回路から構成することができる。アノード電極制御回路の出力電圧VAは、通常、一定であり、例えば、5キロボルト〜10キロボルトとすることができる。あるいは又、アノードパネルとカソードパネルとの間の距離をd(但し、0.5mm≦d≦10mm)としたとき、VA/d(単位:キロボルト/mm)の値は、0.5以上20以下、好ましくは1以上10以下、一層好ましくは5以上10以下を満足することが望ましい。
冷陰極電界電子放出表示装置の実動作時、カソード電極に印加する電圧VC及びゲート電極に印加する電圧VGに関しては、階調制御方式として電圧変調方式を採用した場合、
(1)カソード電極に印加する電圧VCを一定とし、ゲート電極に印加する電圧VGを変化させる方式
(2)カソード電極に印加する電圧VCを変化させ、ゲート電極に印加する電圧VGを一定とする方式
(3)カソード電極に印加する電圧VCを変化させ、且つ、ゲート電極に印加する電圧VGも変化させる方式がある。
本発明の冷陰極電界電子放出表示装置用のカソードパネルの検査方法にあっては、カソード電極及びゲート電極に電圧を印加することで電子放出領域における易放電箇所に放電を生じさせる。即ち、冷陰極電界電子放出表示装置として組み立てる前に、耐圧の弱い箇所のスクリーニングを行うことができる。従って、係るカソードパネルとアノードパネルとを組み立てることによって冷陰極電界電子放出表示装置を製造した後、冷陰極電界電子放出表示装置を実際の表示動作に供したとき、ゲート電極と電子放出部との間、あるいは、ゲート電極とカソード電極との間での放電が発生し難くなる結果、高い信頼性を有する冷陰極電界電子放出表示装置を提供することが可能となる。
本発明の冷陰極電界電子放出表示装置あるいはその製造方法にあっては、カソード電極及びゲート電極に電圧を印加することで、電子放出領域における易放電箇所に放電を生じさせて放電箇所を検出し、ゲート電極における検出された放電箇所の部分を他のゲート電極の部分から分離することによってカソードパネルを得る。即ち、冷陰極電界電子放出表示装置として組み立てる前に、耐圧の弱い箇所のスクリーニングを行うことができる。従って、係るカソードパネルとアノードパネルとを組み立てることによって冷陰極電界電子放出表示装置を製造した後、冷陰極電界電子放出表示装置を実際の表示動作に供したとき、ゲート電極と電子放出部との間、あるいは、ゲート電極とカソード電極との間での放電が発生し難くなる結果、高い信頼性を有する冷陰極電界電子放出表示装置を提供することが可能となる。しかも、ゲート電極における検出された放電箇所の部分を他のゲート電極の部分から分離するので、放電箇所は冷陰極電界電子放出表示装置の表示動作に何ら影響を及ぼすことがなくなり、冷陰極電界電子放出表示装置の信頼性を著しく向上させることができるし、冷陰極電界電子放出表示装置の製造歩留の向上を図ることができる。
実施例1は、本発明の冷陰極電界電子放出表示装置用のカソードパネル(以下、カソードパネルと略称する)の検査方法、冷陰極電界電子放出表示装置の製造方法(以下、単に、表示装置の製造方法と呼ぶ)、並びに、冷陰極電界電子放出表示装置(以下、単に、表示装置と呼ぶ)に関する。
実施例1の表示装置の模式的な一部端面図を図1に示し、カソードパネルの一部分の模式的な斜視図を図2の(A)及び(B)に示す。更には、蛍光体領域等の配列を、模式的な部分的平面図として、図3〜図8に例示する。尚、図1に示すアノードパネルAPの模式的な一部端面図における蛍光体領域等の配列を、図4あるいは図6に示す構成としている。また、図3〜図8においてはアノード電極の図示を省略している。
ここで、実施例1の表示装置は、カソードパネルCPとアノードパネルAPとがそれらの周縁部で接合されて成り、カソードパネルCPとアノードパネルAPとによって挟まれた空間は真空状態とされている。そして、カソードパネルCPは、支持体10、及び、この支持体10上に2次元マトリクス状に配置、配列された電子放出領域EAから構成されている。一方、アノードパネルAPは、基板20、並びに、この基板20上に形成された蛍光体領域22(カラー表示の場合、赤色発光蛍光体領域22R、緑色発光蛍光体領域22G、青色発光蛍光体領域22B)、及び、蛍光体領域22を覆うアノード電極24から構成されている。
具体的には、実施例1の表示装置におけるカソードパネルCPにおいては、
(A)支持体10上に形成され、第1の方向(図1の紙面と平行な方向)に延びるカソード電極11、
(B)支持体10及びカソード電極11を覆う絶縁層12、
(C)絶縁層12上に形成され、第1の方向とは異なる第2の方向(図1の紙面と垂直な方向)に延びるゲート電極13、
(D)カソード電極11とゲート電極13との重複領域に位置するゲート電極13の部分及び絶縁層12の部分に設けられた複数の開口部14(ゲート電極13に設けられた第1開口部14Aと、絶縁層12に設けられた第2開口部14B)、並びに、
(E)複数の開口部14のそれぞれの底部に露出した電子放出部15、
から成る電子放出領域EAが2次元マトリクス状に配列されている。ここで、1つの電子放出領域EAが、1つのサブピクセルに相当する。
また、カソード電極11とゲート電極13との重複領域に位置する1つの電子放出領域EAは、複数の冷陰極電界電子放出素子(以下、電界放出素子と略称する)から構成されている。ここで、1つの電界放出素子は、
(a)支持体10上に形成され、第1の方向に延びるカソード電極11、
(b)支持体10及びカソード電極11を覆う絶縁層12、
(c)絶縁層12上に形成され、第1の方向とは異なる第2の方向に延びるゲート電極13、
(d)カソード電極11とゲート電極13との重複領域に位置するゲート電極13の部分及び絶縁層12の部分に設けられた開口部14(ゲート電極13に設けられた第1開口部14Aと、絶縁層12に設けられた第2開口部14B)、並びに、
(e)開口部14の底部に露出した電子放出部15、
から構成されている。
実施例1における電子放出部15は円錐形の電子放出部から構成されており、実施例1における電界放出素子はスピント型電界放出素子である。
カソード電極11は第1の方向(図1の紙面と平行な方向)に延びるストライプ状であり、ゲート電極13は第1の方向とは異なる第2の方向(図1の紙面と垂直な方向)に延びるストライプ状である(図2も参照)。ここで、カソード電極11の射影像とゲート電極13の射影像とは直交している。即ち、第1の方向と第2の方向とは直交している。ストライプ状のカソード電極11とストライプ状のゲート電極13とが重複する重複領域が電子放出領域EAに相当する。1サブピクセルは、カソードパネル側の電子放出領域EAと、この電子放出領域EAに対面したアノードパネル側の蛍光体領域22とによって構成されている。有効領域には、かかる画素が、例えば数十万〜数百万個ものオーダーにて配列されている。
アノードパネルAPは、より具体的には、基板20、基板20上に形成された隔壁21と隔壁21との間の基板20上に形成され、多数の蛍光体粒子から成る蛍光体領域22(赤色発光蛍光体領域22R、緑色発光蛍光体領域22G、青色発光蛍光体領域22B)、及び、蛍光体領域22上に形成されたアノード電極24を備えている。アノード電極24は、有効領域を覆う薄い1枚のシート状であり、アノード電極制御回路32に接続されている。アノード電極24は、厚さ約70nmのアルミニウムから成り、隔壁21及び蛍光体領域22を覆う状態で設けられている。蛍光体領域22と蛍光体領域22との間であって、隔壁21と基板20との間には、表示画像の色濁り、光学的クロストークの発生を防止するために、光吸収層(ブラックマトリックス)23が形成されている。
隔壁21とスペーサ25と蛍光体領域22の配置状態の一例を模式的に図3〜図8に示す。隔壁21の平面形状としては、格子形状(井桁形状)、即ち、1サブピクセルに相当する、例えば平面形状が略矩形の蛍光体領域22の四方を取り囲む形状(図3、図4、図5、図6参照)、あるいは、略矩形の(あるいはストライプ状の)蛍光体領域22の対向する二辺と平行に延びる帯状形状(ストライプ形状)を挙げることができる(図7及び図8参照)。尚、図7に示す蛍光体領域22にあっては、蛍光体領域22R,22G,22Bを、図7の上下方向に延びるストライプ状とすることもできる。隔壁21の一部は、スペーサ25を保持するためのスペーサ保持部26としても機能する。
実施例1の表示装置において、図1に示すように、カソード電極11はカソード電極制御回路30に接続され、ゲート電極13はゲート電極制御回路31に接続され、アノード電極24はアノード電極制御回路32に接続されている。これらの制御回路は周知の回路から構成することができる。アノード電極制御回路の出力電圧VAは、通常、一定であり、例えば、5キロボルト〜10キロボルトとすることができる。一方、表示装置の実動作時、カソード電極11に印加する電圧VC及びゲート電極13に印加する電圧VGに関しては、
(1)カソード電極11に印加する電圧VCを一定とし、ゲート電極13に印加する電圧VGを変化させる方式
(2)カソード電極11に印加する電圧VCを変化させ、ゲート電極13に印加する電圧VGを一定とする方式
(3)カソード電極11に印加する電圧VCを変化させ、且つ、ゲート電極13に印加する電圧VGも変化させる方式
のいずれを採用してもよい。
カソード電極11には相対的に負電圧がカソード電極制御回路30から印加され、ゲート電極13には相対的に正電圧がゲート電極制御回路31から印加され、アノード電極24にはゲート電極13よりも更に高い正電圧がアノード電極制御回路32から印加される。かかる表示装置において表示を行う場合、例えば、カソード電極11にカソード電極制御回路30から走査信号を入力し、ゲート電極13にゲート電極制御回路31からビデオ信号を入力する。尚、カソード電極11にカソード電極制御回路30からビデオ信号を入力し、ゲート電極13にゲート電極制御回路31から走査信号を入力してもよい。カソード電極11とゲート電極13との間に電圧を印加した際に生ずる電界により、量子トンネル効果に基づき電子放出部15から電子が放出され、この電子がアノード電極24に引き付けられ、アノード電極24を通過して蛍光体領域22に衝突する。その結果、蛍光体領域22が励起されて発光し、所望の画像を得ることができる。つまり、この表示装置の動作は、基本的に、ゲート電極13に印加される電圧、及びカソード電極11を通じて電子放出部15に印加される電圧によって制御される。表示装置の実動作時、カソード電極11に印加される電圧VCとゲート電極13に印加される電圧VGとの間の差の最大値をΔVACTとしたとき、ΔVACTの値は数十ボルト(例えば、約32〜33ボルト)である。
以下、実施例1のカソードパネルの検査方法及び表示装置の製造方法を説明する。
[工程−100]
先ず、多数の電子放出領域EA、電界放出素子が形成されたカソードパネルCPを準備する。電界放出素子の形成方法については、後述する。
[工程−110]
そして、このカソードパネルCPを真空雰囲気中に配置する。具体的には、図9に概念図を示すカソードパネル検査装置100を使用する。尚、カソードパネルCPを真空雰囲気中に配置しない場合、即ち、大気中にてカソード電極11とゲート電極13に電圧を印加したのでは、カソード電極11とゲート電極13との間の耐圧が低すぎ、検査を行うことができない。
このカソードパネル検査装置100は、
上部が開口したハウジング101、
ハウジング101内に配置され、カソードパネルを載置するための検査台102、
ハウジング101内を真空にするための真空手段、
カソード電極11及びゲート電極13の端部に接触し得る構造の検査電圧印加部108、
ハウジング101の開口した上部に取り付けられ、検査用対向電極111を有する検査用基板110、並びに、
検査用対向電極111、カソード電極11及びゲート電極13に電圧を印加するための電圧制御手段112、
から構成されている。
具体的には、このカソードパネル検査装置100は、上部が開口したハウジング101を具備する。アルミニウム製又はステンレススチール製のハウジング101内には、検査台102が配設されており、検査台102の下には検査台昇降シリンダー103が取り付けられている。検査台昇降シリンダー103は、図示しない移動台座に乗せられており、検査台102ごと図9の紙面垂直方向に移動可能である。検査台102の下には、更に、ピン昇降シリンダー104が取り付けられており、ピン昇降シリンダー104の作動によって検査台102を貫通した孔内をピン105が上下する。ハウジング101は、バルブ107を介して、ターボ分子ポンプ及びドライポンプ等から構成された真空手段(図示せず)に繋がれており、ハウジング101の雰囲気を高真空にすることができる。ハウジング101内には、更に、カソード電極11及びゲート電極13の端部に接触し得る構造の検査電圧印加部108が配置されている。
全てのカソード電極11をそれらの端部において短絡させておけば、カソード電極11の端部に接触し得る構造の検査電圧印加部108は1本でよい。また、全てのゲート電極13をそれらの端部において短絡させておけば、ゲート電極13の端部に接触し得る構造の検査電圧印加部108は1本でよい。一方、全てのカソード電極11をP個のブロックに分け、各ブロックに属するカソード電極11をそれらの端部において短絡させておけば、カソード電極11の端部に接触し得る構造の検査電圧印加部108はP本でよい。また、全てのゲート電極13をQ個のブロックに分け、各ブロックに属するゲート電極13をそれらの端部において短絡させておけば、ゲート電極13の端部に接触し得る構造の検査電圧印加部108はQ本でよい。表示装置の組立前に、短絡されたカソード電極11の端部をカソード電極11と切り離し、短絡されたゲート電極13の端部をゲート電極13と切り離せば、表示装置の実動作時、それぞれのカソード電極11、ゲート電極13への電圧の印加を独立して行うことができる。
ハウジング101の開口した上部には、検査用対向電極111を有する検査用基板110が取り付けられている。また、電圧制御手段112が、検査電圧印加部108及び検査用対向電極111に接続されている。
カソードパネルCPの検査に際しては、上昇位置にあるピン105上にカソードパネルCPを乗せ、ピン昇降シリンダー104を動作させることによってピン105を下降させて、カソードパネルCPを検査台102に載置する。そして、ハウジング101に設けられた扉(図示せず)を介して、検査台102に載置されたカソードパネルCPをハウジング101内に搬入した後、ハウジング101内を真空手段によって高真空雰囲気(例えば、1×10-4Paあるいはそれ以下)とする。ハウジング101内の圧力はイオンゲージ等の圧力計106によって測定することができる。
ハウジング101内が所望の雰囲気となったならば、検査台昇降シリンダー103を作動させて、検査台102を上昇させ、カソードパネルCPと検査用基板110との間の距離を、例えば5mmとする。併せて、カソード電極11及びゲート電極13の端部に検査電圧印加部108を接触させる。
[工程−120]
そして、電圧制御手段112から検査電圧印加部108を介して全てのカソード電極11に例えばV’C=0ボルトを印加し、電圧制御手段112から検査電圧印加部108を介して全てのゲート電極13に例えばV’G=35ボルトを印加する。更には、電圧制御手段112から検査用対向電極111に例えば0.8キロボルトを印加する。即ち、カソード電極11とゲート電極13との間に印加する電圧の差をΔVTEST(=V’G−V’C)、カソードパネルの実動作時にカソード電極11とゲート電極13との間に印加される電圧の差の最大値をΔVACTとしたとき、
ΔVTEST>ΔVACT
を満足しており、具体的には、ΔVTEST/ΔVACTの値は、1.06乃至1.09である。
実施例1においては、ΔVTESTは、パルス状の直流電圧であり、パルス占有率(デューティ・ファクター)を50%とし、電圧印加時間(T)を2時間とする。
このようにカソード電極11及びゲート電極13に電圧V’C,V’Gを印加することによって生じた電界に基づき、電子放出部15の先端部から量子トンネル効果に基づき電子が放出される。そして、電子は、検査用基板110に設けられた検査用対向電極111に引き付けられる。従って、電子の衝突によってカソードパネルCPの不所望の部位が帯電することを確実に防止することができる。
そして、以上の操作により、電子放出領域EAにおける易放電箇所(図2の(A)に模式的に示す)に放電を生じさせることができる。一般に、電子放出領域EAにおける易放電箇所での放電は、ゲート電極13と電子放出部15との間、あるいは、ゲート電極13とカソード電極11との間で生じる。そして、このような放電が生じた場合、ゲート電極13の損傷に起因して、ゲート電極13と電子放出部15との間、あるいは、ゲート電極13とカソード電極11との間に短絡が発生する。
検査完了後、ハウジング101内の雰囲気を大気雰囲気とし、検査台昇降シリンダー103を作動させて、検査台102を下降させ、カソードパネルCPが載置された検査台102をハウジング101から搬出する。
[工程−130]
そして、大気雰囲気中で、放電箇所を検出する。具体的には、特表2001−512239に開示された方法や、画像検査装置を用いる方法、電子放出部の電気抵抗値や異常発熱を測定して短絡の有無を検査する配線短絡試験を採用すればよい。そして、ゲート電極13における検出された放電箇所の部分を、他のゲート電極13の部分から分離する。具体的には、レーザを用いてゲート電極の部分を溶断する。実施例1においては、ゲート電極13の形成時、第2の方向と平行に延びる1本の溝部(切欠部)13Aを重複領域におけるゲート電極13の部分に併せて形成しておく(図2の(A)参照)。そして、溝部13Aの端部に位置するゲート電極13の領域を、図2の(B)に模式的に示すように、レーザ切断処理装置を用いて切断することで、ゲート電極13における検出された放電箇所の部分を他のゲート電極の部分から分離することができる。図1には、他のゲート電極の部分から分離させたゲート電極13における検出された放電箇所の部分を分離部として表す。
[工程−140]
一方、蛍光体領域22、アノード電極24等が形成されたアノードパネルAPを準備する。そして、表示装置の組み立てを行う。具体的には、例えば、アノードパネルAPの有効領域に設けられたスペーサ保持部26にスペーサ25を取り付け、蛍光体領域22と電子放出領域EAとが対向するようにアノードパネルAPとカソードパネルCPとを配置し、アノードパネルAPとカソードパネルCP(より具体的には、基板20と支持体10)とを、セラミックスやガラスから作製された枠体(図示せず)を介して、周縁部において接合する。接合に際しては、枠体とアノードパネルAPとの接合部位、及び、枠体とカソードパネルCPとの接合部位にフリットガラスを塗布し、アノードパネルAPとカソードパネルCPと枠体とを貼り合わせ、予備焼成にてフリットガラスを乾燥した後、約450゜Cで10〜30分の本焼成を行う。その後、アノードパネルAPとカソードパネルCPと枠体とフリットガラス(図示せず)とによって囲まれた空間を貫通孔(図示せず)及びチップ管(図示せず)を通じて排気し、空間の圧力が10-4Pa程度に達した時点でチップ管を加熱溶融により封じ切る。このようにして、アノードパネルAPとカソードパネルCPと枠体とに囲まれた空間を真空にすることができる。あるいは又、例えば、枠体とアノードパネルAPとカソードパネルCPとの貼り合わせを高真空雰囲気中で行ってもよい。あるいは又、表示装置の構造に依っては、枠体無しで、接着層のみによってアノードパネルAPとカソードパネルCPとを貼り合わせてもよい。その後、必要な外部回路との配線接続を行い、表示装置を完成させる。
1枚のカソードパネルの上半分には本発明のカソードパネルの検査方法を適用せず、一方、下半分には実施例1のカソードパネルの検査方法を適用した。即ち、1枚のカソードパネルの上半分にあっては、カソード電極11及びゲート電極13に何ら電圧を印加せず、1枚のカソードパネルの下半分にあっては、カソード電極11及びゲート電極13に、それぞれ、0ボルト、35ボルトの電圧(パルス占有率が50%のパルス状の直流電圧)を2時間、印加した。そして、係るカソードパネルを用いて表示装置を組み立て、表示装置を動作させて、電子放出部15とアノード電極24との間に流れる電流を測定した。その結果を図10に示す。尚、図10の横軸は、ゲート電極13に印加した電圧(単位:ボルト)であり、カソード電極11には0ボルトが印加されている。また、図10の縦軸は、電子放出部15とアノード電極24との間に流れる電流値である。図10から明らかなように、有意な差は認められなかった。よって、電圧印加時間(T)が2時間以内ならば、カソードパネルの検査方法の実施の有無によって、表示装置における電子放出状態が変わることはないと判断することができる。
また、実施例1のカソードパネルの検査方法及び表示装置の製造方法を適用して製造した表示装置、並びに、本発明のカソードパネルの検査方法及び表示装置の製造方法を適用せずに製造した表示装置の実動作試験を行ったところ、実施例1のカソードパネルの検査方法及び表示装置の製造方法を適用して製造した表示装置にあっては、ゲート電極13と電子放出部15との間、及び、ゲート電極13とカソード電極11との間に放電が生じることはなかった。一方、本発明のカソードパネルの検査方法及び表示装置の製造方法を適用せずに製造した表示装置にあっては、ゲート電極13と電子放出部15との間、あるいは、ゲート電極13とカソード電極11との間に放電が生じた部分が認められる。
以下、スピント型電界放出素子の製造方法を、カソードパネルを構成する支持体10等の模式的な一部端面図である図11の(A)、(B)及び図12の(A)、(B)を参照して説明する。
このスピント型電界放出素子は、基本的には、円錐形の電子放出部15を金属材料の垂直蒸着により形成する方法によって得ることができる。即ち、ゲート電極13に設けられた第1開口部14Aに対して蒸着粒子は垂直に入射するが、第1開口部14Aの開口端付近に形成されるオーバーハング状の堆積物による遮蔽効果を利用して、第2開口部14Bの底部に到達する蒸着粒子の量を漸減させ、円錐形の堆積物である電子放出部15を自己整合的に形成する。ここでは、不要なオーバーハング状の堆積物の除去を容易とするために、ゲート電極13及び絶縁層12上に剥離層16を予め形成しておく方法について説明する。尚、電界放出素子の製造方法を説明するための図面においては、1つの電子放出部のみを図示した。
[工程−A0]
先ず、例えばガラス基板から成る支持体10の上に、例えばポリシリコンから成るカソード電極用導電材料層をプラズマCVD法にて成膜した後、リソグラフィ技術及びドライエッチング技術に基づきカソード電極用導電材料層をパターニングして、ストライプ状のカソード電極11を形成する。その後、全面にSiO2から成る絶縁層12をCVD法にて形成する。
[工程−A1]
次に、絶縁層12上に、ゲート電極用導電材料層(例えば、Al層)をスパッタリング法にて成膜し、次いで、ゲート電極用導電材料層をリソグラフィ技術及びドライエッチング技術にてパターニングすることによって、ストライプ状のゲート電極13を得ることができる。尚、ゲート電極13の形成時、第2の方向と平行に延びる1本の溝部(切欠部)13A(図11〜図12には図示せず)を重複領域におけるゲート電極13の部分に併せて形成しておく。ストライプ状のカソード電極11は、図面の紙面左右方向に延び、ストライプ状のゲート電極13は、図面の紙面垂直方向に延びている。
ゲート電極13を、真空蒸着法等のPVD法、CVD法、電気メッキ法や無電解メッキ法といったメッキ法、スクリーン印刷法、レーザアブレーション法、ゾル−ゲル法、リフトオフ法等の公知の薄膜形成と、必要に応じてエッチング技術との組合せによって形成してもよい。スクリーン印刷法やメッキ法によれば、直接、例えばストライプ状のゲート電極を形成することが可能である。
[工程−A2]
その後、再びレジスト層を形成し、エッチングによってゲート電極13に第1開口部14Aを形成し、更に、絶縁層に第2開口部14Bを形成し、第2開口部14Bの底部にカソード電極11を露出させた後、レジスト層を除去する。こうして、図11の(A)に示す構造を得ることができる。
[工程−A3]
次に、支持体10を回転させながらゲート電極13上を含む絶縁層12上にニッケル(Ni)を斜め真空蒸着することにより、剥離層16を形成する(図11の(B)参照)。このとき、支持体10の法線に対する蒸着粒子の入射角を十分に大きく選択することにより(例えば、入射角65度〜85度)、第2開口部14Bの底部にニッケルを殆ど堆積させることなく、ゲート電極13及び絶縁層12の上に剥離層16を形成することができる。剥離層16は、第1開口部14Aの開口端から庇状に張り出しており、これによって第1開口部14Aが実質的に縮径される。
[工程−A4]
次に、全面に例えば導電材料としてモリブデン(Mo)を垂直蒸着する(入射角3度〜10度)。このとき、図12の(A)に示すように、剥離層16上でオーバーハング形状を有する導電材料層17が成長するに伴い、第1開口部14Aの実質的な直径が次第に縮小されるので、第2開口部14Bの底部において堆積に寄与する蒸着粒子は、次第に第1開口部14Aの中央付近を通過するものに限られるようになる。その結果、第2開口部14Bの底部には円錐形の堆積物が形成され、この円錐形の堆積物が電子放出部15となる。
[工程−A5]
その後、図12の(B)に示すように、リフトオフ法にて剥離層16をゲート電極13及び絶縁層12の表面から剥離し、ゲート電極13及び絶縁層12の上方の導電材料層17を選択的に除去する。次いで、絶縁層12に設けられた第2開口部14Bの側壁面を等方的なエッチングによって後退させることが、ゲート電極13の開口端部を露出させるといった観点から、好ましい。尚、等方的なエッチングは、ケミカルドライエッチングのようにラジカルを主エッチング種として利用するドライエッチング、あるいはエッチング液を利用するウェットエッチングにより行うことができる。エッチング液としては、例えば49%フッ酸水溶液と純水の1:100(容積比)混合液を用いることができる。こうして、複数のスピント型電界放出素子が形成されたカソードパネルを得ることができる。
以上、本発明を、好ましい実施例に基づき説明したが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。実施例にて説明したカソードパネルやアノードパネル、冷陰極電界電子放出表示装置や冷陰極電界電子放出素子の構成、構造は例示であり、適宜変更することができるし、アノードパネルやカソードパネル、冷陰極電界電子放出表示装置や冷陰極電界電子放出素子の製造方法も例示であり、適宜変更することができる。更には、アノードパネルやカソードパネルの製造において使用した各種材料も例示であり、適宜変更することができる。表示装置においては、専らカラー表示を例にとり説明したが、単色表示とすることもできる。
本発明における放電箇所の検出方法として、カソードパネルから実際に電子を放出させる画像表示試験とすることもできる。画像表示試験に基づくカソードパネルの検査方法の実施に適したカソードパネル検査装置120の概要を図13に示す。このカソードパネル検査装置120にあっては、ハウジング101の開口した上部に、検査用対向電極131及び蛍光体領域132を有する検査用基板130が取り付けられている。そして、検査用基板130の上方にはCCDを有する受像装置140が配設されている。ここで、受像装置140は、画像検査ユニット141に接続されている。尚、カソードパネル検査装置120のその他の構成、構造は、カソードパネル検査装置100の構成、構造と同様とすればよいので、詳細な説明は省略する。
そして、実施例1の[工程−120]と同様の工程において、電圧制御手段112から検査電圧印加部108を介して全てのカソード電極11に例えばV’C=0ボルトを印加し、電圧制御手段112から検査電圧印加部108を介して全てのゲート電極13に例えばV’G=35ボルトを印加し、更には、電圧制御手段112から検査用対向電極111に例えば0.8キロボルトを印加する。これによって、電子放出部15から電子が放出され、検査用基板130に設けられた検査用対向電極131に引き付けられ、蛍光体領域132に衝突する。その結果、蛍光体領域132が励起されて発光し、所望の画像を得ることができる。
かかる画像を受像装置140にて受像し、受像装置140からの信号を画像検査ユニット141にて処理する。電子放出領域EAにおける易放電箇所に放電が生じた場合、ゲート電極13と電子放出部15との間、あるいは、ゲート電極13とカソード電極11との間に短絡が発生する結果、画像には暗点や輝点、輝度ムラ等が発生する。このような画像異常を生じさせた電子放出領域EAの位置を画像検査ユニット141にて解析し、図示しないディスプレイに表示する。あるいは、係る電子放出領域EAの位置データをレーザ切断処理装置に送る。
あるいは又、以下に説明する方法に基づき、ゲート電極13における検出された放電箇所の部分を他のゲート電極13の部分から分離してもよい。即ち、カソードパネルCPの全面にレジスト層を塗布し、光ビームを用いてレジスト層を露光し、レジスト層を現像することによって、分離すべきゲート電極13の部分を露出させる。そして、ドライエッチング法に基づき露出したゲート電極13の部分をエッチングすることによって切断した後、レジスト層を除去する。
場合によっては、ゲート電極における検出された放電箇所の部分を、他のゲート電極の部分から分離する代わりに、カソード電極における検出された放電箇所の部分を、他のカソード電極の部分から分離してもよく、これによっても、放電箇所は冷陰極電界電子放出表示装置の表示動作に何ら影響を及ぼすことがなくなる。
電界放出素子においては、専ら1つの開口部に1つの電子放出部が対応する形態を説明したが、電界放出素子の構造に依っては、1つの開口部に複数の電子放出部が対応した形態、あるいは、複数の開口部に1つの電子放出部が対応する形態とすることもできる。あるいは又、ゲート電極に複数の第1開口部を設け、絶縁層にかかる複数の第1開口部に連通した複数の第2開口部を設け、1又は複数の電子放出部を設ける形態とすることもできる。
電界放出素子において、ゲート電極13及び絶縁層12の上に更に層間絶縁層42を設け、層間絶縁層42上に収束電極43を設けてもよい。このような構造を有する電界放出素子の模式的な一部端面図を図14に示す。層間絶縁層42には、第1開口部14Aに連通した第3開口部44が設けられている。収束電極43の形成は、例えば、[工程−A2]において、絶縁層12上にストライプ状のゲート電極13を形成した後、層間絶縁層42を形成し、次いで、層間絶縁層42上にパターニングされた収束電極43を形成した後、収束電極43、層間絶縁層42に第3開口部44を設け、更に、ゲート電極13に第1開口部14Aを設ければよい。尚、収束電極のパターニングに依存して、1又は複数の電子放出部、あるいは、1又は複数の画素に対応する収束電極ユニットが集合した形式の収束電極とすることもでき、あるいは又、有効領域を1枚のシート状の導電材料で被覆した形式の収束電極とすることもできる。尚、図14においては、スピント型電界放出素子を図示したが、その他の電界放出素子とすることもできることは云うまでもない。
ゲート電極を、有効領域を1枚のシート状の導電材料(開口部を有する)で被覆した形式のゲート電極とすることもできる。この場合には、かかるゲート電極に正の電圧を印加する。そして、各画素を構成するカソード電極とカソード電極制御回路との間に、例えば、TFTから成るスイッチング素子を設け、かかるスイッチング素子の作動によって、各画素を構成する電子放出部への印加状態を制御し、画素の発光状態を制御する。
あるいは又、カソード電極を、有効領域を1枚のシート状の導電材料で被覆した形式のカソード電極とすることもできる。この場合には、かかるカソード電極に電圧を印加する。そして、各画素を構成する電子放出部とゲート電極制御回路との間に、例えば、TFTから成るスイッチング素子を設け、かかるスイッチング素子の作動によって、各画素を構成するゲート電極への印加状態を制御し、画素の発光状態を制御する。
本発明における冷陰極電界電子放出表示装置において、電界放出素子は如何なる形態の電界放出素子とすることもでき、例えば、実施例にて説明したように、電界放出素子を、
(1)円錐形の電子放出部が開口部の底部に位置するカソード電極上に設けられたスピント型電界放出素子
とするだけでなく、電界放出素子を、
(2)略平面状の電子放出部が開口部の底部に位置するカソード電極上に設けられた扁平型電界放出素子
(3)王冠状の電子放出部が開口部の底部に位置するカソード電極上に設けられ、電子放出部の王冠状の部分から電子を放出するクラウン型電界放出素子
(4)平坦なカソード電極の表面から電子を放出する平面型電界放出素子
(5)凹凸が形成されたカソード電極の表面の多数の凸部から電子を放出するクレータ型電界放出素子
(6)カソード電極のエッジ部から電子を放出するエッジ型電界放出素子
とすることもできる。
スピント型電界放出素子にあっては、電子放出部を構成する材料として、実施例にて説明したモリブデン以外にも、タングステン、タングステン合金、モリブデン合金、チタン、チタン合金、ニオブ、ニオブ合金、タンタル、タンタル合金、クロム、クロム合金、及び、不純物を含有するシリコン(ポリシリコンやアモルファスシリコン)から成る群から選択された少なくとも1種類の材料を挙げることができる。スピント型電界放出素子の電子放出部は、真空蒸着法の他、例えばスパッタリング法やCVD法によっても形成することができる。
扁平型電界放出素子にあっては、電子放出部を構成する材料として、カソード電極を構成する材料よりも仕事関数Φの小さい材料から構成することが好ましく、どのような材料を選択するかは、カソード電極を構成する材料の仕事関数、ゲート電極とカソード電極との間の電位差、要求される放出電子電流密度の大きさ等に基づいて決定すればよい。電界放出素子におけるカソード電極を構成する代表的な材料として、タングステン(Φ=4.55eV)、ニオブ(Φ=4.02〜4.87eV)、モリブデン(Φ=4.53〜4.95eV)、アルミニウム(Φ=4.28eV)、銅(Φ=4.6eV)、タンタル(Φ=4.3eV)、クロム(Φ=4.5eV)、シリコン(Φ=4.9eV)を例示することができる。電子放出部は、これらの材料よりも小さな仕事関数Φを有していることが好ましく、その値は概ね3eV以下であることが好ましい。かかる材料として、炭素(Φ<1eV)、セシウム(Φ=2.14eV)、LaB6(Φ=2.66〜2.76eV)、BaO(Φ=1.6〜2.7eV)、SrO(Φ=1.25〜1.6eV)、Y2O3(Φ=2.0eV)、CaO(Φ=1.6〜1.86eV)、BaS(Φ=2.05eV)、TiN(Φ=2.92eV)、ZrN(Φ=2.92eV)を例示することができる。仕事関数Φが2eV以下である材料から電子放出部を構成することが、一層好ましい。尚、電子放出部を構成する材料は、必ずしも導電性を備えている必要はない。
あるいは又、扁平型電界放出素子において、電子放出部を構成する材料として、かかる材料の2次電子利得δがカソード電極を構成する導電性材料の2次電子利得δよりも大きくなるような材料から適宜選択してもよい。即ち、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、金(Au)、コバルト(Co)、銅(Cu)、モリブデン(Mo)、ニオブ(Nb)、ニッケル(Ni)、白金(Pt)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、ジルコニウム(Zr)等の金属;シリコン(Si)、ゲルマニウム(Ge)等の半導体;炭素やダイヤモンド等の無機単体;及び酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化バリウム(BaO)、酸化ベリリウム(BeO)、酸化カルシウム(CaO)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化錫(SnO2)、フッ化バリウム(BaF2)、フッ化カルシウム(CaF2)等の化合物の中から、適宜選択することができる。尚、電子放出部を構成する材料は、必ずしも導電性を備えている必要はない。
扁平型電界放出素子にあっては、特に好ましい電子放出部の構成材料として、炭素、より具体的にはアモルファスダイヤモンドやグラファイト、カーボン・ナノチューブ構造体、ZnOウィスカー、MgOウィスカー、SnO2ウィスカー、MnOウィスカー、Y2O3ウィスカー、NiOウィスカー、ITOウィスカー、In2O3ウィスカー、Al2O3ウィスカーを挙げることができる。電子放出部をこれらから構成する場合、5×107V/m以下の電界強度にて、冷陰極電界電子放出表示装置に必要な放出電子電流密度を得ることができる。また、アモルファスダイヤモンドは電気抵抗体であるため、各電子放出部から得られる放出電子電流を均一化することができ、よって、冷陰極電界電子放出表示装置に組み込まれた場合の輝度ばらつきの抑制が可能となる。更に、これらの材料は、冷陰極電界電子放出表示装置内の残留ガスのイオンによるスパッタ作用に対して極めて高い耐性を有するので、電界放出素子の長寿命化を図ることができる。
カーボン・ナノチューブ構造体として、具体的には、カーボン・ナノチューブ及び/又はグラファイト・ナノファイバーを挙げることができる。より具体的には、カーボン・ナノチューブから電子放出部を構成してもよいし、グラファイト・ナノファイバーから電子放出部を構成してもよいし、カーボン・ナノチューブとグラファイト・ナノファイバーの混合物から電子放出部を構成してもよい。カーボン・ナノチューブやグラファイト・ナノファイバーは、巨視的には、粉末状であってもよいし、薄膜状であってもよいし、場合によっては、カーボン・ナノチューブ構造体は円錐状の形状を有していてもよい。カーボン・ナノチューブやグラファイト・ナノファイバーは、周知のアーク放電法やレーザアブレーション法といったPVD法、プラズマCVD法やレーザCVD法、熱CVD法、気相合成法、気相成長法といった各種のCVD法によって製造、形成することができる。
扁平型電界放出素子を、カーボン・ナノチューブ構造体や上記の各種ウィスカー(以下、これらを総称して、カーボン・ナノチューブ構造体等と呼ぶ)をバインダー材料に分散させたものをカソード電極の所望の領域に例えば塗布した後、バインダー材料の焼成あるいは硬化を行う方法(より具体的には、エポキシ系樹脂やアクリル系樹脂等の有機系バインダー材料や水ガラス等の無機系バインダー材料にカーボン・ナノチューブ構造体等を分散したものを、カソード電極の所望の領域に例えば塗布した後、溶媒の除去、バインダー材料の焼成・硬化を行う方法)によって製造することもできる。尚、このような方法を、カーボン・ナノチューブ構造体等の第1の形成方法と呼ぶ。塗布方法として、スクリーン印刷法を例示することができる。
あるいは又、扁平型電界放出素子を、カーボン・ナノチューブ構造体等が分散された金属化合物溶液をカソード電極上に塗布した後、金属化合物を焼成する方法によって製造することもでき、これによって、金属化合物を構成する金属原子を含むマトリックスにてカーボン・ナノチューブ構造体等がカソード電極表面に固定される。尚、このような方法を、カーボン・ナノチューブ構造体等の第2の形成方法と呼ぶ。マトリックスは、導電性を有する金属酸化物から成ることが好ましく、より具体的には、酸化錫、酸化インジウム、酸化インジウム−錫、酸化亜鉛、酸化アンチモン、又は、酸化アンチモン−錫から構成することが好ましい。焼成後、各カーボン・ナノチューブ構造体等の一部分がマトリックスに埋め込まれている状態を得ることもできるし、各カーボン・ナノチューブ構造体等の全体がマトリックスに埋め込まれている状態を得ることもできる。マトリックスの体積抵抗率は、1×10-9Ω・m乃至5×10-6Ω・mであることが望ましい。
金属化合物溶液を構成する金属化合物として、例えば、有機金属化合物、有機酸金属化合物、又は、金属塩(例えば、塩化物、硝酸塩、酢酸塩)を挙げることができる。有機酸金属化合物から構成された金属化合物溶液として、具体的には、有機錫化合物、有機インジウム化合物、有機亜鉛化合物、有機アンチモン化合物を酸(例えば、塩酸、硝酸、あるいは硫酸)に溶解し、これを有機溶媒(例えば、トルエン、酢酸ブチル、イソプロピルアルコール)で希釈したものを挙げることができる。また、有機金属化合物から構成された金属化合物溶液として、具体的には、有機錫化合物、有機インジウム化合物、有機亜鉛化合物、有機アンチモン化合物を有機溶媒(例えば、トルエン、酢酸ブチル、イソプロピルアルコール)に溶解したものを例示することができる。金属化合物溶液を100重量部としたとき、カーボン・ナノチューブ構造体等が0.001〜20重量部、金属化合物が0.1〜10重量部、含まれた組成とすることが好ましい。金属化合物溶液には、分散剤や界面活性剤が含まれていてもよい。また、マトリックスの厚さを増加させるといった観点から、金属化合物溶液に、例えばカーボンブラック等の添加物を添加してもよい。また、場合によっては、有機溶媒の代わりに水を溶媒として用いることもできる。
カーボン・ナノチューブ構造体等が分散された金属化合物溶液をカソード電極上に塗布する方法として、スプレー法、スピンコーティング法、ディッピング法、ダイクォーター法、スクリーン印刷法を例示することができるが、中でもスプレー法を採用することが塗布の容易性といった観点から好ましい。
カーボン・ナノチューブ構造体等が分散された金属化合物溶液をカソード電極上に塗布した後、金属化合物溶液を乾燥させて金属化合物層を形成し、次いで、カソード電極上の金属化合物層の不要部分を除去した後、金属化合物を焼成してもよいし、金属化合物を焼成した後、カソード電極上の不要部分を除去してもよいし、カソード電極の所望の領域上にのみ金属化合物溶液を塗布してもよい。
金属化合物の焼成温度は、例えば、金属塩が酸化されて導電性を有する金属酸化物となるような温度、あるいは又、有機金属化合物や有機酸金属化合物が分解して、有機金属化合物や有機酸金属化合物を構成する金属原子を含むマトリックス(例えば、導電性を有する金属酸化物)が形成できる温度であればよく、例えば、300゜C以上とすることが好ましい。焼成温度の上限は、電界放出素子あるいはカソードパネルの構成要素に熱的な損傷等が発生しない温度とすればよい。
カーボン・ナノチューブ構造体等の第1の形成方法あるいは第2の形成方法にあっては、電子放出部の形成後、電子放出部の表面の一種の活性化処理(洗浄処理)を行うことが、電子放出部からの電子の放出効率の一層の向上といった観点から好ましい。このような処理として、水素ガス、アンモニアガス、ヘリウムガス、アルゴンガス、ネオンガス、メタンガス、エチレンガス、アセチレンガス、窒素ガス等のガス雰囲気中でのプラズマ処理を挙げることができる。
カーボン・ナノチューブ構造体等の第1の形成方法あるいは第2の形成方法にあっては、電子放出部は、開口部の底部に位置するカソード電極の部分の表面に形成されていればよく、開口部の底部に位置するカソード電極の部分から開口部の底部以外のカソード電極の部分の表面に延在するように形成されていてもよい。また、電子放出部は、開口部の底部に位置するカソード電極の部分の表面の全面に形成されていても、部分的に形成されていてもよい。
CP・・・カソードパネル、AP・・・アノードパネル、10・・・支持体、11・・・カソード電極、12・・・絶縁層、13・・・ゲート電極、14,14A,14B,44・・・開口部、15・・・電子放出部、16・・・剥離層、17・・・導電材料層、20・・・基板、21・・・隔壁、22,22R,22G,22B・・・蛍光体領域、23・・・ブラックマトリックス、24・・・アノード電極、25・・・スペーサ、26・・・スペーサ保持部、30・・・カソード電極制御回路、31・・・ゲート電極制御回路、32・・・アノード電極制御回路、42・・・層間絶縁層、43・・・収束電極、100,120・・・カソードパネル検査装置、101・・・ハウジング、102・・・検査台、103・・・検査台昇降シリンダー、104・・・ピン昇降シリンダー、105・・・孔、106・・・圧力計、107・・・バルブ、108・・・検査電圧印加部、110,130・・・検査用基板、111,131・・・検査用対向電極、112・・・電圧制御手段、132・・・蛍光体領域、140・・・受像装置、141・・・画像検査ユニット