JP2005293904A - 誘導加熱ローラ装置および画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】
複数の高周波電源回路のハイサイドとローサイドの駆動信号の間やハイサイドの駆動信号同士またはローサイドの駆動信号同士の間で大きさにばらつきが生じにくい誘導加熱ローラ装置およびこれを備えた画像形成装置を提供する。
【解決手段】
誘導加熱ローラ装置は、ハイサイドおよびローサイドの能動素子Q1、Q2を備えこれら素子の交互動作により高周波を発生する並列接続された複数の高周波電源回路EA、ハイサイドの各能動素子Q1に駆動信号を供給する第1の駆動回路要素DC1、ローサイドの各能動素子に駆動信号を供給する第2のド駆動回路要素DC2を含んで一括駆動する駆動回路GDC、複数の高周波電源回路の高周波出力を合成する合成回路GATを備えた高周波電源HFSと;高周波電源の合成された高周波出力により付勢される誘導コイルICと;誘導コイルに磁気結合して発生した誘導電流により発熱する加熱ローラHRと;を具備している。
【選択図】
図2
複数の高周波電源回路のハイサイドとローサイドの駆動信号の間やハイサイドの駆動信号同士またはローサイドの駆動信号同士の間で大きさにばらつきが生じにくい誘導加熱ローラ装置およびこれを備えた画像形成装置を提供する。
【解決手段】
誘導加熱ローラ装置は、ハイサイドおよびローサイドの能動素子Q1、Q2を備えこれら素子の交互動作により高周波を発生する並列接続された複数の高周波電源回路EA、ハイサイドの各能動素子Q1に駆動信号を供給する第1の駆動回路要素DC1、ローサイドの各能動素子に駆動信号を供給する第2のド駆動回路要素DC2を含んで一括駆動する駆動回路GDC、複数の高周波電源回路の高周波出力を合成する合成回路GATを備えた高周波電源HFSと;高周波電源の合成された高周波出力により付勢される誘導コイルICと;誘導コイルに磁気結合して発生した誘導電流により発熱する加熱ローラHRと;を具備している。
【選択図】
図2
Description
本発明は、誘導加熱ローラ装置およびこれを備えた画像形成装置に関する。
トナー画像を熱定着するために、従来からハロゲン電球を熱源として用いた加熱ローラが用いられてきたが、ウオームアップ時間が長くなったり、熱容量が不足したりするという問題がある。そこで、誘導加熱方式を導入してこの問題を解決しようと開発が行われている。
加熱ローラを誘導加熱する方式としては、鉄などの金属に高周波磁界を作用させた際に、金属中に生じる渦電流損により発熱する渦電流損方式と、誘導コイルとトランス結合する2次回路の抵抗中を2次電流が流れることにより発熱するトランス方式とがある。
渦電流損方式は、IHジャーなどにおいて実用化されているのと同様な動作原理である。この種の加熱方式において用いられている高周波の周波数は、20〜100kHz程度である。この方式の場合、例えばSCRのスイッチングを用いて高周波を発生している(特許文献1参照。)。また、IGBTを用いてスイッチングを行わせているものも知られている(特許文献2参照。)。さらに、MOSFETを用いてスイッチングを行わせているものもある(例えば、特許文献2参照。)。
一方、トランス方式は、渦電流損を利用する加熱方式より磁気的結合が強いために、かなり高い定常効率を得ることができるという特徴があり、加えて動作周波数を100kHz以上、好適には1MHz以上の高周波にすることによって、誘導コイルのQを大きくして電力伝達効率を高くすることができる。このため、加熱の総合効率が高くなり、省電力を図ることができる。また、渦電流損方式に比較して定着装置の構造が簡単になるという利点もある。さらに、渦電流損方式の加熱ローラより熱容量をかなり小さくすることができる。したがって、トランス方式は、熱定着の高速化に甚だ好適である。
さらに、トランス方式の改良形として、誘導コイルに空芯トランス結合する回転可能に支持される中空構造からなる加熱ローラの2次側抵抗値を2次リアクタンスにほぼ等しい閉回路に形成することにより、誘導コイルから加熱ローラへの電力伝達効率が高くなり、加熱ローラを効率よく加熱できるという著しい効果が得られる空芯トランス結合方式が本発明者によりなされ、本件出願人により特許出願されている(特許文献4参照。)。この発明により加熱ローラの誘導加熱の省電力を図るとともに、熱定着を高速化することが容易になった。
一方、トランス方式用として好適な高周波電源として、複数の高周波電源回路の高周波出力を合成回路により合成して誘導コイルに供給するように構成した誘導加熱ローラ装置などが本発明者によりなされ、本件出願人により特許出願されている(特許文献5参照。)。この誘導加熱ローラ装置によれば、小容量の高周波電源回路なら例えば高周波特性に優れたMOSFETを用いて構成することができ、高効率の誘導加熱ローラ装置などを得ることができる。
特開平10−091018号公報
特開2001−043964号公報
特開平08−044227号公報
特開2002−222688号広報
特開2002−334773号広報
ところが、特許文献5において、複数の高周波電源回路の高周波変換回路としてハーフブリッジ形インバータなどのように直列接続されるとともに交互に動作する一対の能動素子を備えた回路構成を採用するとともに、複数の高周波電源回路を一括駆動する駆動回路を一般的な回路手段にしたがって図10に示すように構成した場合には、問題のあることが分かった。
すなわち、図10は本発明によらない誘導加熱ローラ装置用の高周波電源を示す回路図である。この高周波電源は、駆動信号源101、分配回路102、複数の駆動トランス103、複数の高周波電源回路104、合成回路105および直流電源106を具備して構成されている。分配回路102は、共通の駆動信号源101から供給される駆動信号を複数の高周波電源回路104のそれぞれに分配する。複数の絶縁トランス103は、一つの高周波電源回路104当てに分配された駆動信号を、そのハイサイドの能動素子およびローサイドの能動素子用に対して互いに極性を反対にしてから供給する。これにより、複数の高周波電源回路104が同期して並列動作を行って直流電源106から供給される直流電圧を高周波電圧に変換する。合成回路105は、複数の高周波電源回路104の高周波出力を合成して、いずれも図示を省略している負荷の加熱ローラに対して誘導コイルを経由して供給する。
ところが、図10に示す構成においては、複数の高周波電源回路101のハイサイドとローサイドの駆動信号の間やハイサイドの駆動信号同士またはローサイドの駆動信号同士の間で駆動信号の大きさにばらつきが生じやすいことが分かった。これは主として絶縁トランスのばらつきのばらつきに由来するものである。このような状態になると、能動素子の破壊耐力に差が生じる。能動素子の破壊耐力に差があると、最も弱い能動素子に合わせて高周波電源の製品実力が低下してしまう。
本発明は、電流定格の小さな能動素子を用いて大きな所望電力の高周波電力を発生することができるとともに、複数の高周波電源回路のハイサイドとローサイドの駆動信号の間やハイサイドの駆動信号同士またはローサイドの駆動信号同士の間で大きさにばらつきが生じにくい誘導加熱ローラ装置およびこれを備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
また、本発明は、電流定格の小さな能動素子を用いて大きな所望電力の高周波電力を発生することができるとともに、複数の高周波電源回路の一括駆動を行う駆動回路の構成を簡単にした誘導加熱ローラ装置およびこれを備えた画像形成装置を提供することを他の目的とする。
請求項1の発明の誘導加熱ローラ装置は、それぞれハイサイドおよびローサイドの能動素子を備えこれら能動素子の交互動作により高周波を発生するとともに、並列接続された複数の高周波電源回路、複数の高周波電源回路におけるハイサイドの各能動素子に対して駆動信号を供給する共通の第1の駆動回路要素および同じくローサイドの各能動素子に対して駆動信号を供給する共通の第2のド駆動回路要素を含んで一括駆動する駆動回路、ならびに複数の高周波電源回路の高周波出力を合成する合成回路を備えた高周波電源と;高周波電源の合成された高周波出力により付勢される誘導コイルと;誘導コイルに磁気結合して発生した誘導電流により発熱する加熱ローラと;を具備していることを特徴としている。
本発明および以下の各発明において、特に指定しない限り用語の定義および技術的意味は次による。
<高周波電源について> 高周波電源は、上記のように少なくとも複数の高周波電源回路、駆動回路および合成回路を備えて構成されている。
(複数の高周波電源回路について) 複数の高周波電源回路は、所望周波数の高周波電力を発生し、さらに合成してから負荷に対して供給する電源回路である。なお、「所望周波数の高周波」とは、10kHz以上をいい、渦電流損方式の加熱を行う場合には、20〜100kHz程度が好適であり、またトランス方式の場合には、一般的には20kHz以上の高周波を出力するように構成される。しかし、好適には1MHz以上である。なぜなら、1MHz以上の高周波にすることにより、導誘コイルのQを大きくして電力伝達効率をより一層高くすることが可能になるからである。電力伝達効率が高くなると、加熱の総合効率が高くなり、省電力を図ることができる。しかし、実際には15MHz以下、好ましくは4MHz以下の周波数にすることにより、放射ノイズの問題をなるべく回避しやすくすることができる。なお、適合する能動素子(例えば、後述するようにMOSFETを用いることができる。)の経済性および高周波ノイズ抑制の容易性などの観点からは、好適には1〜4MHzである。
また、高周波電源回路は、直流または低周波交流を直接に、または間接的に能動素子を用いて高周波に変換するのが実際的である。低周波交流から高周波電力を得るには、整流手段を用いていったん低周波交流を直流に変換するのがよい。直流は、平滑回路を用いて形成した平滑化直流でもよいし、非平滑直流であってもよい。
直流を高周波に変換するには、増幅器またはインバータなどの回路要素を用いることができる。増幅器としては、例えば電力変換効率の高いE級増幅器などを用いることができる。また、インバータとしては、ハーフブリッジ形インバータなどを用いることができる。さらに、能動素子としては、バイポーラトランジスタ、MOSFET、IGBT、SCRなどを用いることができる。しかし、100kHz以上の高周波の場合には、MOSFETが好適である。さらに、能動素子は、高周波電源回路ごとにその一対が直列的に接続されてハイサイドとローサイドに分かれている。ここで、ハイサイドの能動素子は、相対的に高圧側となる。また、ローサイドの能動素子は、相対的に低圧側となる。なお、ハイサイドの能動素子とローサイドの能動素子とは、直流電源間に直接直列接続しているだけでなく、他の回路素子を介して直列接続してもよい。
高周波電源回路の数は、複数であればよく、単一の高周波電源回路の供給可能な電力と所望電力との相関において決定すればよい。
さらに、高周波電源を可制御に構成することにより、加熱ローラに伝達される電力を変化させることが可能になる。このため、例えば起動時の投入電力を通常運転時のそれより大きくして、急速加熱を行うこともできる。
(駆動回路について) 駆動回路は、複数の高周波電源回路に対して共通に配設されて複数の高周波電源回路を協調して一括駆動する。そして、第1および第2の駆動回路要素を含んで構成されている。第1の駆動回路要素は、複数の高周波電源回路におけるハイサイドの各能動素子に対して一括して駆動信号を供給するように構成されている。また、第2の駆動回路要素は、複数の高周波電源回路におけるローサイドの各能動素子に対して一括して駆動信号を供給するように構成されている。第1および第2の駆動回路要素に対して共通の駆動信号源を配設することができる。しかし、所望により第1および第2の駆動回路要素のそれぞれに対して互いに同期した駆動信号源を個別に配設することも許容される。
また、駆動回路は、駆動信号を複数の高周波電源回路におけるハイサイドの能動素子と、ローサイドの各能動素子とに極性を逆にして分配し、かつ、一括して供給するために、駆動回路の第1および第2の駆動回路要素のそれぞれを、複数の絶縁トランスまたは複数の絶縁トランスおよび平衡トランスを用いて構成することができる。前者の場合、ハイサイド用の絶縁トランスとローサイド用の絶縁トランスを配設する。これらの絶縁トランスは、一つの1次巻線と、高周波電源回路の数と同数からなる複数の2次巻線とを備えている。そして、絶縁トランスの1次巻線を駆動信号源に接続する。ハイサイド用の絶縁トランスにおいては、各2次巻線をそれぞれ各高周波電源回路のハイサイドの能動素子に接続する。ローサイドの絶縁トランスも上記と同様に各2次巻線をそれぞれ各高周波電源回路のローサイドの能動素子に接続する。なお、各絶縁トランスの1次巻線は、共通の駆動信号源に対して直列または並列に接続することができる。
後者の場合、ハイサイド用の絶縁トランスおよび平衡トランスとローサイド用の絶縁トランスおよび平衡トランスをそれぞれ配設する。絶縁トランスは、それぞれ一つの1次巻線および2次巻線を有する。そして、その1次巻線を上記と同様に駆動信号源に接続する。また、2次巻線は、その一端が平衡トランスの入力端に接続する。平衡トランスは、その巻線が複数に等分されていて、かつ、コアが共有されていることにより、複数の巻線の外端に形成された複数の出力端からそれぞれ等しい電圧が出力されるように構成されているので、上記絶縁トランスの2次巻線の他端と、平衡トランスの各出力端との間に等電圧の駆動信号が得ることができる。なお、平衡トランスの出力端の数は、高周波電源回路の数に対応して2つ以上の複数配設することができる。
以上の説明から理解できるように、駆動回路が上述のように構成されていることにより、駆動信号源が共通している場合であっても、第1および第2の駆動回路が分配回路を兼ねるので、駆動回路と別に分配回路を配設する必要がなくなる。
(合成回路について) 合成回路は、複数の高周波電源回路で発生した高周波出力を合成する回路手段であるが、本発明においてはその具体的な回路構成は限定されるものではなく、既知の合成回路を用いることができる。また、合成回路は、少なくとも複数の入力ポートと単一の出力ポートとを備え、複数の入力ポートにそれぞれ高周波電源回路の出力端を接続し、単一の出力ポートに誘導コイルを接続する。そして、それぞれの高周波電源回路の高周波出力が他の入力ポートを経由して他の高周波電源回路へ回り込む干渉が生じにくいように構成される。そのために、複数の入力ポート間にわたって互いに磁気結合した平衡トランスを配設するのが一般的である。また、一部の高周波電源回路の高周波出力が異常になった際にも出力ポートに出力が現れるように、平衡抵抗器を複数の入力端間にわたって接続することができる。
しかし、一般に使用されている合成回路は、複数の電源出力を得る構成であるために、一つの電源回路が故障したり、異常出力を生じたりしても、残余の負荷にその影響が波及しないように設計する。そのため、合成回路の消費電力に対する配慮が重視されていなかった。これに対して、本発明においては、負荷が共通の誘導コイルであり、一つの高周波電源回路が出力停止した状態では、加熱ローラを所要温度まで加熱できなくても差し支えないものとすることができる。また、複数の高周波電源回路間で実用的な範囲でのばらつきがあったとしても、これを許容するとともに、一つ以上の高周波電源回路が出力停止した場合には、高周波電源の動作を停止して、保護動作を行うように構成するのがよい。これによって、小さな電気定格の部品を用いて合成回路を製作することができる。
また、合成回路は、リング状のコアに同軸ケーブルを1ターンまたは2ターン程度巻装することによって製作することができる。
<誘導コイルについて> 誘導コイルは、高周波電源によって付勢すなわち励磁されるとともに、後述する加熱ローラに高周波磁界を作用させて、加熱ローラに高周波電力を伝達するための手段である。
誘導加熱が渦電流損方式による場合、誘導コイルは、例えば特開2000−215974号公報に記載されているように、被加熱体すなわち加熱ローラに近接して配設され、被加熱体に誘導電流を生じさせる励磁コイルであって、コイル線材を平面的に巻いたものを被加熱体の曲面に沿わせて変形してある構成を採用することができる。なお、励磁コイルの長手方向両端部の被加熱体とは反対側に励磁コイルの曲面に沿うように磁性体コアを配設する。また、特開2000−215971号公報に記載されているように、電磁誘導発熱性の加熱ローラの内側に誘導コイルを配置し、さらに磁性体からなるギャップ付のコアを付設して、コアのギャップに生じた集中磁界を加熱ローラに作用させるように構成することもできる。
次に、トランス方式の場合、誘導コイルを中空の加熱ローラの内部に挿入して、トランスの1次コイルとして機能させて、加熱ローラの2次コイルとの間で空芯トランス結合を行うように構成することができる。なお、誘導コイルは、回転する加熱コイルに対して静止していてもよいし、加熱ローラと一緒に、または別に回転してもよい。なお、回転する場合には、交流電源と誘導コイルとの間に回転集電機構を介在すればよい。また、「空芯トランス結合」とは、完全な空芯のトランス結合だけでなく、実質的に空芯とみなせるトランス結合の場合を含む意味である。
また、誘導コイルは、これを所定の形状に維持するために、誘電体損失のなるべく少ない材料を用いて製作したコイルボビンを備えていることができる。コイルボビンには、整列巻のための巻溝や給電リード線を収納する軸方向の溝を形成することができる。しかし、コイルボビンに代えて合成樹脂やガラス質材により誘導コイルを直接成形ないし接着したり、薄い絶縁シートに接着したりすることによって、所定形状に維持するように構成することもできる。さらにまた、誘導コイルは、それ自身が単一または複数であることを許容する。単一の場合には、加熱ローラの加熱領域に対向するように配設することができる。複数の1次コイルを用いる場合には、それらを加熱コイルの軸方向に分散して配設することができる。そして、各1次コイルを交流電源に対して給電リード線を介して並列接続したり、選択的に付勢できるように誘導コイル選択手段を介して高周波電源に接続したりすることができる。
さらに、誘導コイルに対して高周波電源から高周波を給電するための給電リード線は、誘導コイルの内面または外面に接近した位置に配置するのがよい。給電リード線を誘導コイルの内部に通線する場合、給電リード線が誘導コイルの中心軸に近いと、給電リード線と鎖交する磁束が多くなるために、内部に渦流損が生じて電力伝達効率が低下するので、好ましくない。これに対して、上記のように構成することにより、給電リード線と鎖交する磁束が少なくなるので、電力伝達効率の低下が相対的に抑制される。
<加熱ローラについて> 加熱ローラは、渦電流損方式の場合、鉄などの渦流損を生じやすい磁性体製の発熱層を備えた加熱ローラを用いることができる。これに対して、トランス方式の場合、閉回路を形成した2次コイルからなる発熱層を備えていて、この2次コイルが1次コイルと空芯トランス結合する。そして、閉回路の2次側抵抗値は、2次コイルの2次リアクタンスとほぼ等しい値を有しているのが好ましい。なお、2次側抵抗値と2次リアクタンスとが「ほぼ等しい」とは、2次側抵抗値をRaとし、2次リアクタンスをXaとし、かつ、α=Ra/Xaとしたとき、数式1を満足する範囲とすることができる。なお、2次側抵抗値は、測定により求めることが可能である。2次リアクタンスは、計算により求めることが可能である。
〔数1〕
0.25<α<4
また、加熱ローラは、2次コイルを単一または複数配設することができる。複数の2次コイルを配設する場合、それらを加熱ローラの軸方向に分散して配設することが望ましい。2次コイルを支持するために、絶縁性物質からなるローラ基体を用いることができる。そして、ローラ基体の外面、内面またはローラ基体の内部に2次コイルを配設することができる。
0.25<α<4
また、加熱ローラは、2次コイルを単一または複数配設することができる。複数の2次コイルを配設する場合、それらを加熱ローラの軸方向に分散して配設することが望ましい。2次コイルを支持するために、絶縁性物質からなるローラ基体を用いることができる。そして、ローラ基体の外面、内面またはローラ基体の内部に2次コイルを配設することができる。
さらに、加熱ローラは、その利用上被加熱体のサイズに応じて軸方向に沿って複数の加熱領域に区分される。例えば、画像を形成した記録媒体の定着など被加熱体を加熱する目的で加熱ローラを使用する場合、被加熱体の幅サイズに応じて適切な加熱領域を選択できるように構成されている。これらの加熱領域は、見かけ上識別できなくてもよいが、後述する誘導コイルとの協働によって加熱が区分される。画像定着の場合を例として加熱領域を説明する。例えば、画像が形成されたA4サイズの定着用紙からなる被定着体を定着する場合、被定着体を縦置きにして定着させるのと、横置きにするのとでは、必要な加熱領域の長さが異なる。また、例えばA4サイズの被定着体を定着する場合と、B4サイズの被定着体を定着する場合とでも必要な加熱領域幅が異なる。一方、定着に必要な加熱領域以外の領域まで一様に発熱させるのでは電力の無駄であるとともに、前述したように加熱ローラの軸方向の温度分布が不均一になるので、回避しなければならない。他方、必要な加熱領域内においては、なるべく均一な発熱が必要になる。また、2つの異なる加熱領域であっても、いずれの領域に対しても共通に寄与する共通加熱部位と、それぞれの加熱領域に対してのみ寄与する単独加熱部位とがあり得る。さらに、共通加熱部位と単独加熱部位との配置の態様は、共通加熱部位を左右いずれか一方に片寄せして、単独加熱部位をいずれか他方に寄せて配置する態様と、共通加熱部位を中央に配置して、その左右に単独加熱部位を配置する態様とがあるが、本発明においては、以上のいずれか一または全部に対応可能になっていることを許容する。
さらにまた、トランス方式の場合、発熱層を導体層、導電線および導電板などの導体により形成することができる。導体層は、所望の2次側抵抗値を得るために、以下の材料および製造方法を採用することができる。厚膜形成法(塗布+焼成)により形成する場合には、Ag、Ag+Pd、Au、Pt、RuO2およびCからなるグループから選択した材料を用いるのがよい。塗布方法としては、スクリーン印刷法、ロールコーター法およびスプレー法などを用いることができる。これに対して、めっき、蒸着またはスパッタリング法により形成する場合には、Au、Ag、NiおよびCu+(Au、Ag)のグループから選択した材料を用いるのがよい。導電線および導電板は、Cu、Alなどを用いることができる。なお、Cu、Alの場合は、酸化を防止するために、防錆被膜を表面に形成するのが好ましい。また、ローラ基体をFeやSUS(ステンレス鋼)で構成する場合、ローラ基体の表面層が高周波の表皮効果によって2次コイルすなわち発熱層として作用する。したがって、上記のような格別の発熱層を配設しなくてもよい。しかし、この場合であっても、要すればローラ基体とは別に発熱層を配設することができる。なお、FeやSUSからなるローラ基体においても、表面に亜鉛被膜などの防錆皮膜を形成することができる。
一方、渦電流損方式の場合、発熱層を例えばFe、SUS、Ni、Cuなどの金属により構成することができる。
次に、より一層実際的な加熱ローラを得るために、必要に応じて以下の構成を付加することが許容される。
1.(ローラ基体について) 発熱層を支持するために、絶縁性物質からなるローラ基体を用いることができる。この場合、発熱層は、ローラ基体の外面、内面または内部に配設することができる。絶縁性のローラ基体は、セラミックスまたはガラスを用いて形成することができる。そして、ローラ基体の耐熱性、強い衝撃性および機械的強度などを考慮して、例えば以下の材料を用いることができる。セラミックスとしては、例えばアルミナ、ムライト、窒化アルミニウムおよび窒化ケイ素などである。ガラスとしては、例えば結晶化ガラス、石英ガラスおよびパイレックス(登録商標)などである。
2.(熱拡散層について) 熱拡散層は、加熱ローラの軸方向における温度の均整度を向上するための手段として、必要に応じて発熱層の上側に配設することができる。このために、熱拡散層は、加熱ローラの軸方向への熱伝導が良好な物質を用いるのがよい。熱伝導率の高い物質は、Cu、Al、Au、AgおよびPtなど導電率の高い金属に多く見られる。しかし、熱拡散層は、導体層の材料に対して同等以上の熱伝導率を有していればよい。したがって、熱拡散層は、発熱層と同一材料であってもよい。
また、熱拡散層が導電性物質からなる場合、発熱層と導電的に接触していてもよいが、絶縁膜を介して配設することにより、放射ノイズの輻射を遮断する作用をも奏する。なお、高周波磁界は、熱拡散層まで作用しないので、熱拡散層には発熱に寄与するほどの2次電流は誘起されない。
3.(保護層について) 保護層は、加熱ローラの機械的保護および電気絶縁、あるいは弾性接触性またはトナー離れ性向上のために、必要に応じて配設することができる。前者のための保護層の構成材料としては、ガラスを、また後者のための保護層の構成材料としては合成樹脂を、それぞれ用いることができる。ガラスとしては、ホウケイ酸亜鉛系ガラス、ホウケイ酸鉛系ガラス、ホウケイ酸系ガラスおよびアルミノシリケート系ガラスからなるグループの中から選択して用いることができる。また、後者としては、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、ポリイミド樹脂+フッ素樹脂およびポリアミド+フッ素樹脂からなるグループの中から選択して用いることができる。なお、ポリイミド樹脂+フッ素樹脂およびポリアミド+フッ素樹脂の場合、フッ素樹脂が外側に配設される。
4.(加熱ローラの形状について) 所望により加熱ローラにクラウンを形成することができる。クラウンとしては、鼓形および樽形のいずれであってもよい。
5.(加熱ローラの回転機構について) 加熱ローラを回転するための機構は、既知の構成を適宜選択して採用することができる。なお、トナー画像を熱定着する場合には、加熱ローラと正対して加圧ローラを配設して、両ローラの間をトナー画像が形成された記録媒体が通過する際に加熱されてトナーが記録媒体に融着するように構成することができる。
<本発明の作用について> 本発明においては、高周波電源の複数の高周波電源回路におけるそれぞれハイサイドの能動素子を第1の駆動回路要素により一括して駆動し、またそれぞれローサイドの能動素子を第2の駆動回路要素により一括して駆動することにより、複数の高周波電源回路の能動素子に供給される駆動信号の振幅が一定に揃う。このため、能動素子の破壊耐力に差が生じて高周波電源の製品実力が不所望に低下するようなことがなくなる。
また、第1および第2の駆動回路要素を用いることで分配回路を別設する必要がなくなるので、回路構成が簡単になる。
さらに、複数の高周波電源回路から出力される高周波電力を合成回路で合成して負荷の加熱ローラに誘導コイルを経由して供給するので、単一の高周波電源回路が誘導コイルに必要な電力を供給できるほどの大きな容量がなくても、複数の高周波電源回路の出力を合成回路で合成して誘導コイルに供給するので、小容量の高周波電源回路を用いることができる。このため、所望の周波数を出力するのに最適な能動素子を用いて所望電力の高周波出力で加熱ローラを迅速に加熱することができる。
さらにまた、高周波電源回路の数を負荷の要求する高周波電力に応じて増減することにより、所要の高周波電力を供給する高周波電源が得られるので、多様な電力容量の仕様に対して部品の標準化を行って、部品在庫を低減することなどができる。
請求項2の発明の画像形成装置は、記録媒体に画像を形成する画像形成手段を備えた画像形成装置本体と;請求項1記載の誘導加熱ローラ装置を含み、画像形成装置本体に配設されて記録媒体の画像を定着する定着装置と;を具備していることを特徴としている。
本発明において、「画像形成装置本体」とは、画像形成装置から定着装置を除いた残余の部分をいう。また、画像形成手段は、記録媒体に間接方式または直接方式により画像情報を形成する画像を形成する手段である。なお、「間接方式」とは、転写によって画像を形成する方式をいう。
画像形成装置としては、例えば電子写真複写機、プリンタ、ファクシミリなどが該当する。
記録媒体としては、たとえば転写材シート、印刷紙、エレクトロファックスシート、静電記録シートなどが該当する。
定着装置は、加圧ローラを備えた定着装置本体と、定着装置本体の加圧ローラに加熱ローラを圧接関係に対設して、両ローラ間に画像、例えばトナー画像が形成された記録媒体を挟んで搬送しながら画像を定着するように配設された請求項1記載の誘導加熱ローラ装置とを備えている。ここで、「定着装置本体」とは、定着装置から誘導加熱ローラ装置を除いた残余の部分をいう。加圧ローラと加熱ローラとは、直接圧接してもよいが、要すれば搬送シートなどを介して間接的に圧接してもよい。なお、搬送シートは、無端またはロール状であってもよい。本発明において、記録媒体は、請求項1の発明における被加熱体に相当する。
誘導コイルが加熱ローラに対して、加熱ローラの特定部位により接近しているために、当該特定部位をより多く加熱するように配設されている場合、上記の最接近部を加圧ローラに正対させるか、加熱ローラの回転方向のやや前方に正対させれば、最接近部に発生する高熱を利用して被加熱体を効果的に加熱することができる。なお、上記の前方の位置とは、高い温度が得られる効果的な範囲であり、具体的には加熱ローラの周面における回転速度などの設計条件にもよるが、一般的には0°超〜90°の範囲内であればよい。しかし、好適には5〜60°の範囲内である。
そうして、本発明においては、画像形成装置が請求項1におけるの同様な作用を奏する。
請求項1の発明によれば、高周波電源の複数の高周波電源回路におけるそれぞれハイサイドの能動素子を第1の駆動回路要素により一括して駆動し、かつ、それぞれローサイドの能動素子を第2の駆動回路要素により一括して駆動することにより、複数の高周波電源回路の能動素子に供給される駆動信号の振幅が一定に揃うため、能動素子の破壊耐力に差が生じて高周波電源の製品実力が不所望に低下するようなことのない誘導加熱ローラ装置を提供することができる。
請求項2の発明によれば、請求項1の効果を有する画像形成装置を提供することができる。
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態を説明する。
図1ないし図6は、本発明の誘導加熱ローラ装置を実施するための第1の形態を示し、図1は全体を示す回路ブロック図、図2は高周波電源回路の回路図、図3は駆動回路の主要部を示す回路図、図4は合成回路の回路図、図5は加熱ローラおよび誘導コイルの中央断面正面図、図6は同じく横断面図である。本形態において、誘導加熱ローラ装置は、高周波電源HFS、誘導コイルICおよび加熱ローラHRを具備していて、空芯トランス結合を行うトランス方式の誘導加熱を行うように構成されている。なお、ASは低周波交流電源である。以下、構成要素ごとに構成を説明する。
<高周波電源HFS> 高周波電源HFSは、図1に示すように、整流化直流電源RDCおよび高周波発生回路HFG、負荷回路LCおよび整合回路MCから構成され、入力端が低周波電源ASに接続している。
(整流化直流電源RDC) 整流化直流電源RDCは、全波整流回路からなる。そして、その交流入力端が低周波交流電源ASに接続し、低周波交流電圧を非平滑直流電圧に変換して、その直流出力端から整流化直流電圧を出力する。なお、低周波交流電源ASは、例えば100V商用交流電源からなる。
(高周波発生回路HFG) 高周波発生回路HFGは、図2に示すように、並列接続した2つの高周波電源回路EA、駆動回路GDCおよび合成回路GATを含んで構成されている。並列接続した2つの高周波電源回路EAは、それぞれハイサイドの能動素子としてのMOSFETQ1およびローサイドの能動素子としてのMOSFETQ2が直列接続したハーフブリッジ形のE級増幅器からなり、入力端が直流電源RDCの出力端間に接続されている。駆動回路GDCは、駆動信号源DSGおよび第1および第2の駆動回路要素DC1、DC2からなる。駆動信号源DSGは、駆動信号を発生する。第1の駆動回路要素DC1は、2つの高周波電源回路EAにおけるそれぞれハイサイドの能動素子であるMOSFETQ1に駆動信号を供給する。第2の駆動回路要素DC2は、2つの高周波電源回路EAにおけるそれぞれローサイドの能動素子であるMOSFETQ2に駆動信号を供給する。
第1および第2の駆動回路要素DC1、DC2をさらに詳述すれば、図3に示すように、それぞれ一つの1次巻線wp1、wp2および一対の2次巻線ws11、ws12、ws21、ws22を備えた第1および第2の絶縁トランスT1、T2からなり、端子t1〜t10を有している。第1および第2絶縁トランスT1、T2の1次巻線wp1、wp2は、同一極性に直列接続して端子t1、t2が駆動信号源DSGの両端に接続している。
第1の駆動回路要素DC1は、その第1の絶縁トランスT1における一方の2次巻線ws11が端子t3、t4から高周波電源回路EAにおけるハイサイドの能動素子としてのMOSFETQ1のゲート・ソース間に接続し、他方の2次巻線ws12が端子t7、t8から他方の高周波電源回路EAにおけるハイサイドの能動素子としてのMOSFETQ1のゲート・ソース間に接続する。
第2の駆動回路要素DC2は、その第2の絶縁トランスT2における一方の2次巻線ws21が端子t5、t6から一方の高周波電源回路EAにおけるローサイドの能動素子としてのMOSFETQ2のゲート・ソース間に接続し、他方の2次巻線ws22が端子t9、t10から他方の高周波電源回路EAにおけるローサイドの能動素子としてのMOSFETQ2のゲート・ソース間に接続する。
合成回路GATは、図4に示すように、2個の入力ポートP1、P2および単一の出力ポートP3を備え、第1および第2の平衡トランスBT1、BT2および2個の平衡抵抗器R1、R2を所定に接続して備えている。さらに詳述すると、2個の入力ポートP1、P2は、第1および第2の平衡トランスBT1、BT2の第1の巻線w11、w21の一端に接続している。単一の出力ポートP3は、第1および第2の平衡トランスBT1、BT2における第2の巻線w12、w22の一端に接続している。また、上記第1の巻線w11、w21の他端は、互いに第2および第1の平衡トランスBT2、BT1の第2の巻線w22、w12の他端に接続している。一方、平衡抵抗器R1、R2は、直列接続回路を形成し、その一端が巻線11およびW22の接続点に接続し、他端が巻線w12およびw21の接続点に接続している。そうして、合成回路GATは、2個の入力ポートP1、P2が2つの高周波電源回路EAの高周波出力端に接続し、単一の出力ポートP3に合成された高周波電力が得られる。
(負荷回路LC) 負荷回路LCは、負荷回路LC直流カットコンデンサ、インダクタおよび後述する整合回路MCなどの直列回路からなり、インピーダンス変換して整合回路MCから高周波出力を得る。
(整合回路MC) 整合回路MCは、一対のコンデンサなどからなる。そして、一方のコンデンサは、負荷回路LCと給電リード線との間に直列接続する。また、他方のコンデンサは、負荷回路LCに直列接続する。なお、給電リード線は、高周波電力を誘導コイルに供給する伝送路を構成する。
そうして、高周波電源HFSにおいて発生した高周波出力は、負荷回路LCおよび整合回路MCを介して誘導コイルICに供給される。
<誘導コイルICについて> 誘導コイルICは、図5および図6に示すように、加熱ローラHRの内部にわずかな隙間を残して同軸関係に、かつ、静止状態で配設されている。そして、加熱ローラHRの発熱層wsに空芯トランス結合している。また、誘導コイルICは、図2および図3に示すように、コイルボビン8に巻装されて、加熱ローラHRの軸方向に分散して配置されている。さらに、誘導コイルICは、給電リード線9a、9b間に接続されている。給電リード線9a、9bは、後述する高周波電源HFSの出力端に接続する。
コイルボビン8は、例えばフッ素樹脂製の円柱体からなり、凹部8a、支持部8bおよび通線溝8cを有している。凹部8aは、コイルボビン8の先端中央に形成されていて、回転機構RMに相対的に回転自在に係止している。支持部8bは、コイルボビン8の基端に形成されていて、図示しない固定部に固定される。通線溝8cは、コイルボビン8の外面の一部に軸方向に沿って樋状に形成されていて、内部に給電リード線9a、9bを収納する。なお、給電リード線9a、9bは、図3に示すように、通線溝8c内に収納されて、コイルボビン8の基端側から外部へ導出されている。
そうして、誘導コイルICは、静止状態で使用され、給電リード線9a、9bは通線溝8c内に収納されて誘導コイルICに接近しているので、磁束の鎖交が殆どないため、給電リード線9a、9b内には殆ど渦電流損が発生しない。
一方、誘導コイルICは、第2の端部部材3Bのリング部3dから加熱ローラHRの内部に挿入されていて、コイルボビン8の先端に形成された凹部8aが第1の端板3Aの尖端部3cに係合し、かつ、前述したように基端に形成した支持部8bが固定部に固定されることによって、加熱ローラHRと同軸関係に支持されるとともに、加熱ローラHRが回転しても静止状態を維持する。
<加熱ローラHRについて> 加熱ローラHRは、ローラ基体1、2次コイルすなわち発熱層wsおよび保護層2を備えて構成されているとともに、回転機構RMにより回転駆動される。ローラ基体1は、アルミナセラミックス製の円筒体からなり、例えば長さ300mm、厚み3mmである。発熱層wsは、Cuの蒸着膜からなるフィルム状をなした円筒状の1ターンコイルからなり、ローラ基体1の外面において、軸方向の有効長のほぼ全体にわたって配設されている。そして、発熱層wsの厚みは、加熱ローラHRにおける周回方向の2次側抵抗Rの値が2次リアクタンスとほぼ同じ値の1Ωになるように設定されている。保護層2は、フッ素樹脂からなり、2次コイルwsの外面を被覆して形成されている。
回転機構RMは、加熱ローラHRを回転させるための機構であって、以下のように構成されている。すなわち、図2に示すように、第1の端部部材3A、第2の端部部材3B、一対の軸受4、4、ベベルギア5、スプラインギア6およびモータ7を備えて構成されている。第1の端部部材3Aは、キャップ部3a、駆動軸3bおよび尖端部3cからなる。キャップ部3aは、加熱ローラHRの図2において左端に外側から嵌合するとともに、図示を省略している押しねじを用いて加熱ローラHRに固定することによって、加熱ローラHRの左端を支持している。駆動軸3bは、キャップ部3aの外面の中央部から外方へ突出している。尖端部3cは、キャップ部3aの内面の中央部からキャップ部3aの内方へ突出している。第2の端部部材3Bは、リング部3dからなる。リング部3dは、加熱ローラHRの図2において右端に外側から嵌合するとともに、図示を省略している押しねじを用いて加熱ローラHRに固定することによって、加熱ローラHRの右端を支持している。一対の軸受4、4の一方は、第1の端部部材3Aにおけるキャップ部3aの外面を回転自在に支持する。また、他方は、第2の端部部材3Bの外面を回転自在に支持する。したがって、加熱ローラHRは、その両端に固定した第1および第2の端部部材3A、3Bと、一対の軸受4、4とにより回転自在に支持されている。ベベルギア5は、第1の端板3Aの駆動軸3bに装着されている。スプラインギア6は、ベベルギア5に噛合している。モータ7は、そのロータ軸がスプラインギア5に直結している。
図7は、本発明の誘導加熱ローラ装置を実施するための第2の形態における駆動回路の主要部を示す回路図である。図において、図3と同一部分については同一符号を付して説明は省略する。本形態は、第1および第2の駆動回路DC1、DC2が2つの絶縁トランスT1、T2および2つの平衡トランスBT1、BT2により構成され、端子t1〜t10を有している。
すなわち、2つの絶縁トランスT1、T2の1次巻線wp1、wp2は、直列接続して、端子t1、t2が図3におけるのと同様に接続するが、2次巻線ws1、ws2が1つである。一方の絶縁トランスT1の2次巻線ws1の一端は、2つの高周波電源回路EAのハイサイドの能動素子であるMOSFETQ1のゲートに端子t3、t7からそれぞれ接続し、他端が一方の平衡トランスBT1の入力端に接続している。平衡トランスBT1の一対の出力端のうち、一方は、端子t4から一方の高周波電源回路EAのハイサイドのMOSFETQ1のソースに接続する。また、他方は、端子t8から他方の高周波電源回路EAのハイサイドのMOSFETQ1のソースに接続する。
これに対して、他方の絶縁トランスT2の2次巻線ws2の一端は、他方の平衡トランスBT2の入力端に接続している。他方の平衡トランスBT2における一対の出力端のうち一方は、端子t6から一方の高周波電源回路EAのローサイドの能動素子であるMOSFETQ2のソースに接続する。他方の出力端は、端子t10から他方の高周波電源回路EAのローサイドのMOSFETQ2のソースに接続する。他方の絶縁トランスBT2の2次巻線ws2の他端は、端子t5、t9から2つの高周波電源回路EAのローサイドのMOSFETQ2のゲートにそれぞれ接続する。
図8および図9は、本発明の画像形成装置を実施するための一形態としての複写機を示し、図8は全体の概念的断面図、図9は定着装置の断面図である。各図において、31は読取装置、32は画像形成手段、33は定着装置、34は画像形成装置ケースである。
読取装置31は、原紙を光学的に読み取って画像信号を形成する。
画像形成手段32は、画像信号に基づいて感光ドラム32a上に静電潜像を形成し、この静電潜像にトナーを付着させて反転画像を形成し、これを紙などの記録媒体に転写して画像を形成する。
定着装置33は、図9に示すように、記録媒体に付着したトナーを加熱溶融して熱定着する。また、定着装置33は、誘導加熱ローラ装置21、加圧ローラ22および架台25を備えている。なお、図中符号23は記録媒体、24はトナーである。加圧ローラ22は、誘導加熱ローラ装置21の加熱ローラHRと圧接関係を有して配設されており、両者の間に記録媒体23を狭圧しながら搬送する。記録媒体23は、その表面にトナー24が付着することにより、画像が形成される。なお、記録媒体23は、トナー画像が形成されていて、被加熱体に相当している。架台25は、以上の各構成要素(記録媒体23を除く。)を所定の位置関係に装架している。
そうして、定着装置33は、トナー24が付着して画像を形成している記録媒体23が誘導加熱ローラ装置21の加熱ローラHRと加圧ローラ22との間に挿入されて搬送されるとともに、加熱ローラHRの熱を受けてトナー24が加熱されて溶融し、熱定着が行われる。
画像形成装置ケース34は、以上の各装置および手段31ないし33を収納するとともに、搬送装置、電源装置および制御装置などを備えている。
DC1…第1の駆動回路要素、DC2…第2の駆動回路要素、DSG…駆動信号源、EA…高周波電源回路、GAT…合成回路、GDC…駆動回路、HFG…高周波発生回路、HFS…高周波電源、Q1…ハイサイドの能動素子、Q2…ローサイドの能動素子、RDC…整流化直流電源
Claims (2)
- それぞれハイサイドおよびローサイドの能動素子を備えこれら能動素子の交互動作により高周波を発生するとともに、並列接続された複数の高周波電源回路、複数の高周波電源回路におけるハイサイドの各能動素子に対して駆動信号を供給する共通の第1の駆動回路要素および同じくローサイドの各能動素子に対して駆動信号を供給する共通の第2の駆動回路要素を含んで一括駆動する駆動回路、ならびに複数の高周波電源回路の高周波出力を合成する合成回路を備えた高周波電源と;
高周波電源の合成された高周波出力により付勢される誘導コイルと;
誘導コイルに磁気結合して発生した誘導電流により発熱する加熱ローラと;
を具備していることを特徴とする誘導加熱ローラ装置。 - 記録媒体に画像を形成する画像形成手段を備えた画像形成装置本体と;
加圧ローラを備えた定着装置本体および定着装置本体の加圧ローラに加熱ローラを圧接関係に対設して、両ローラ間に画像が形成された記録媒体を挟んで搬送しながら画像を定着するように配設された請求項1記載の誘導加熱ローラ装置とを備えた定着装置と;
を具備していることを特徴とする画像形成装置。
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CN104604328A (zh) * | 2012-10-24 | 2015-05-06 | 松下知识产权经营株式会社 | 感应加热装置 |
-
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- 2004-03-31 JP JP2004104017A patent/JP2005293904A/ja active Pending
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