JP2005292340A - 耐候性レンズ又はプリズム - Google Patents

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Abstract

【課題】 低光反射率、高光透過率などの光学特性を向上させ、同時に撥水性及び防汚効果を発現する耐候性レンズ又はプリズムを提供する。
【解決手段】 不活性ガス雰囲気中において脂環構造含有重合体樹脂からなるレンズ又はプリズム基材を加熱し、フッ素ガスを含有する雰囲気中に該レンズ又はプリズム基材を放置することによってレンズ又はプリズム基材表面にフッ素ガスを接触させ、次いで不活性ガス雰囲気中において該レンズ又はプリズム基材を再加熱して、脂環構造含有重合体樹脂からなるレンズ又はプリズム表層部に該レンズ又はプリズム内層部よりもフッ素原子含有量が多い脂環構造含有重合体樹脂の相がある耐候性レンズ又はプリズムを得る。
【選択図】 なし。

Description

本発明は、耐候性に優れた樹脂製レンズ又はプリズムに関する。さらに詳しくは、本発明は、表面部にフッ素原子を多く含む、耐候性に優れ、光反射が防止された樹脂製のレンズ又はプリズムに関する。
脂環構造含有重合体樹脂または脂環構造含有重合体樹脂組成物をレンズ又はプリズム形状に成形することによって、透明性、水蒸気低透過性、低複屈折などの諸特性に優れたレンズ又はプリズムが得られることが知られている。この脂環構造含有重合体樹脂製のレンズ又はプリズムの諸特性をさらに向上させることを目的として種々の試みがなされている。
例えば、ノルボルネン系重合体からなるレンズ又はプリズム基材の表面にSiOやZrOからなる無機膜を積層させることによってレンズ又はプリズムの反射防止性能を向上させることが知られている。しかしながら、この反射防止層は無機膜を何層にも積み重ねる必要があり、製造工程が複雑である。また、レンズまたはプリズム基材と無機膜との密着性や多層無機膜の層間密着性が低くなる場合、若しくは反射防止層を積層したことによってレンズまたはプリズムの透明性が低くなる場合があった。
特許文献1には、ポリイミド、ポリメタクリル酸メチル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルサルフォン、ポリカーボネート、ポリスチレン等の光学高分子材料が、レンズ、プリズムなどの光学製品に用いられること、そして、ポリイミド、ポリメタクリル酸メチル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルサルフォン等の高分子材料を窒素ガス等で希釈したフッ素ガスと接触させ、表層部のみをフッ素化することが記載されている。この方法によると、表面が親水化され、他の物質との密着性が高くなると述べている。しかし、レンズ又はプリズム表面と親水化すると、ごみなどの異物が付着し傷を生じやすくなることがあり、液晶表示装置などに適用した場合には輝点とよばれる光漏れが生じるおそれがあり、画像の鮮明性が低下するおそれがある。
特許文献2には、その表面にフッ化物膜を形成させたガラス製レンズやプリズムなどをフッ素ガス雰囲気中に放置することによってフッ化物膜の欠損を補い、光線透過率及び耐久性に優れた光学部材が得られることが記載されている。しかしながら、ガラスの表面に形成された、欠損を補われたフッ化物膜は、界面での密着性が乏しく、高温になるとマイクロクラックが発生しやすい。
特許文献3には、アクリル酸エステル系重合体、メタクリル酸エステル系重合体、ポリビニルピロリドン系重合体、フマル酸系重合体、フッ素系重合体又はケイ素含有系重合体からなる基材表面をフッ素ガスで処理したコンタクトレンズや眼内レンズのごとき眼科用医療用具が開示されている。しかしながら、特許文献3で示されている眼科用医療用具は、レーザー光などの高強度の光に対する耐久性が不十分であり、また高温度になる場所で使用されるレンズ、例えば、自動車ヘッドランプレンズ、携帯電話用カメラレンズなどへの適用が困難であった。
特開2000−95862号公報 特開2001−264512号公報 特開2003−225311号公報
本発明者は、高温下での使用によっても光線透過率が低下しない樹脂製の耐候性レンズ又はプリズムを開発すべく、レンズまたはプリズムの表面処理方法について検討した。
その結果、本発明者は、樹脂製のレンズ又はプリズム表層部に該レンズ又はプリズム内層部よりもフッ素原子含有量が多い樹脂の相を設けることによって、フッ化物などの無機物質の積層に伴う密着性不良、透明性低下などを起こさずに、高温下若しくは高強度光照射下においても低光反射率、高光透過率などの優れた光学特性を示し、同時に撥水性及び防汚効果を発現するレンズまたはプリズムが得られることを見出した。またこのレンズ又はプリズムは、フッ素ガスを含有する雰囲気にレンズ又はプリズム基材表面を接触させることによって、得られることを見出した。本発明はこれらの知見に基づいて完成するに至ったものである。
本発明の耐候性レンズ又はプリズムは、樹脂製のレンズ又はプリズムの表層部に該内層部よりもフッ素原子含有量が多い樹脂の相があることを特徴とする。本発明の耐候性レンズ又はプリズムの好適な態様は、樹脂が脂環構造含有重合体樹脂である。樹脂が酸化防止剤及び/又は光安定剤を配合したものである。
本発明の耐候性レンズ又はプリズムの製法は、樹脂製のレンズ又はプリズム基材表面を、フッ素ガスを含有する雰囲気に接触させることを含む。
本発明の別の耐候性レンズ又はプリズムの製法は、(1)不活性ガス雰囲気中又は減圧下に樹脂製のレンズ又はプリズム基材を放置し、(2)フッ素ガスを含有する雰囲気に該レンズ又はプリズム基材表面を接触させ、(3)次いで不活性ガス雰囲気中又は減圧下に該レンズ又はプリズム基材を再放置することを含む。
本発明製法の好適な態様は、樹脂が脂環構造含有重合体樹脂である。
フッ素ガスを含有する雰囲気に接触させる直前のレンズ又はプリズム基材中の酸素及び水分量が共に1重量%以下である。
フッ素ガスを含有する雰囲気中の酸素及び水分濃度が共に100重量ppm以下である。
フッ素ガスを含有する雰囲気が、不活性ガスで希釈されたフッ素ガス濃度0.1〜30重量%のフッ素ガスである。
レンズ又はプリズム基材表面をフッ素ガスを含有する雰囲気に接触させるときの温度が−50〜150℃である。
不活性ガス雰囲気中又は減圧下にレンズ又はプリズム基材を放置又は再放置する際に、レンズ又はプリズム基材を加熱する。
不活性ガス雰囲気中に放置又は再放置する際の加熱温度が60〜180℃である。
減圧下に放置又は再放置する際の圧力が1〜500mmHgである。
本発明の耐候性レンズ又はプリズムは、表層部にフッ素原子含有量の多い樹脂の相がある。この表層部にある相の屈折率は、内層部の相(すなわち、フッ素原子含有量ゼロまたは少ない樹脂の相)に比べて低くなる。そして、本発明の耐候性レンズ又はプリズムは光反射率が小さいという効果を奏する。また、本発明の耐候性レンズ又はプリズム全体は、一様な樹脂(若しくは樹脂組成物)から構成されているので、積層体のような異種物質間の界面が存在しないので、マイクロクラックなどが発生せず、機械的強度に優れている。さらに本発明の耐候性レンズまたはプリズムは撥水性が高く、防汚効果に優れている。
さらに、フッ素原子含有量を、表層部から内層部に向けて傾斜させることによって、屈折率分布型のレンズ又はプリズムを得ることができる。
このような効果を奏する本発明の耐候性レンズ又はプリズムは、ロッドレンズ、ピックアップレンズ、不均質レンズ(若しくは屈折率分布型レンズ);カメラや複写機、プリンターに使用される3次元複雑形状プリズム、光ディスク読み取り用ピックアップレンズ、CCD用超小型レンズ、プリンター等に使用される非球面レンズ,シリンドリカルレンズ,トロイダルレンズ,フレネルレンズ、ロッドレンズ、マイクロレンズアレイ、などの光学部材に好適に用いられる。また、これらの光学部材を使用したカメラ、眼鏡、複写機、プリンター、携帯電話、液晶ディスプレイ、光ディスクプレーヤー、光学分析機器、医療用分析機器、光ファイバー,光導波路,光分岐器,光合波器,光分波器,光減衰器,光スイッチ,光アイソレーター,光送信モジュール,光受信モジュール,カプラー,偏向子,光集積回路、液晶ディスプレイ、液晶プロジェクター、プロジェクションテレビ等の電子機器、光学機器、医療用機器など耐候性を要する用途に本発明が適用できる。
また、本発明の製法によって、本発明の耐候性レンズまたはプリズムを容易に製造することができる。
本発明の耐候性レンズ又はプリズムは、樹脂製のレンズ又はプリズムの表層部に該レンズ又はプリズムの内層部よりもフッ素原子含有量が多い樹脂の相があるものである。
本発明の耐候性レンズ又はプリズムを構成する樹脂は、所望の波長に対して透明な樹脂である。透明樹脂としては、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂などが挙げられるが、本発明においては、脂環構造含有重合体樹脂が好ましい。本発明に用いる脂環構造含有重合体樹脂は、主鎖及び/または側鎖に脂環構造を有する重合体である。機械的強度や耐熱性などの観点から、主鎖に脂環構造を含有する樹脂が好適である。脂環構造としては、シクロアルカン構造やシクロアルケン構造などが挙げられるが、機械的強度、耐熱性などの観点から、シクロアルカン構造が好ましい。また、脂環構造としては、単環、多環、縮合多環、橋架け環などが挙げられる。脂環構造を構成する炭素原子数は、格別な制限はないが、通常4〜30個、好ましくは5〜20個、より好ましくは5〜15個の範囲であるときに、機械的強度、耐熱性、及び成形性の諸特性が高度にバランスされ好適である。また、本発明で使用される脂環構造含有重合体樹脂は、通常、熱可塑性のものである。
脂環構造含有重合体樹脂は、通常、脂環構造を有するオレフィン(以下、脂環式オレフィンということがある。)由来の繰り返し単位を含有する。脂環構造含有重合体樹脂中における脂環式オレフィン由来の繰り返し単位の割合は、使用目的に応じて適宜選択されるが、通常30〜100重量%、好ましくは50〜100重量%、より好ましくは70〜100重量%である。脂環式オレフィン由来の繰り返し単位の割合が過度に少ないと、耐熱性に劣り好ましくない。脂環式オレフィン由来の繰り返し単位以外の繰り返し単位としては、格別な限定はなく、使用目的に応じて適宜選択される。
また、脂環構造含有重合体樹脂は、極性基を有するものであってもよい。極性基としては、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アルコキシル基、エポキシ基、グリシジル基、オキシカルボニル基、カルボニル基、アミノ基、エステル基、カルボン酸無水物残基、アミド基、イミド基などが挙げられ、特に、エステル基、カルボキシル基又はカルボン酸無水物残基が好適である。
脂環構造含有重合体樹脂は、通常、脂環式オレフィンを付加重合又は開環重合し、そして必要に応じて不飽和結合部分を水素化することによって、或いは芳香族オレフィンを付加重合し、そして該重合体の芳香環部分を水素化することによって得られる。また、極性基を有する脂環構造含有重合体樹脂は、例えば、前記脂環構造含有重合体樹脂に極性基を有する化合物を変性反応により導入することによって、あるいは極性基を含有する単量体を共重合成分として共重合することによって得られる。
脂環構造含有重合体樹脂を得るために使用される脂環式オレフィンとしては、ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、テトラシクロドデセン、エチルテトラシクロドデセン、エチリデンテトラシクロドデセン、テトラシクロ〔7.4.0.110、13.02、7〕トリデカ−2,4,6,11−テトラエン、1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロフルオレンのごときノルボルネン系単量体などの多環構造の不飽和炭化水素及びその誘導体;シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、3,4−ジメチルシクロペンテン、3−メチルシクロヘキセン、2−(2−メチルブチル)−1−シクロヘキセン、シクロオクテン、シクロヘプテン、シクロペンタジエン、シクロヘキサジエンなどの単環構造の不飽和炭化水素及びその誘導体等が挙げられる。これら環状オレフィンには置換基として極性基を有していてもよい。
芳香族オレフィンとしては、スチレン、α−メチルスチレン、ジビニルベンゼンなどが挙げられる。
脂環式オレフィン及び/又は芳香族オレフィンは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
脂環式オレフィン又は芳香族オレフィンと共重合可能な単量体を必要に応じて付加共重合させることができる。その具体例として、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、3−エチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、4−エチル−1−ヘキセン、3−エチル−1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセンなどの炭素数2〜20のエチレンまたはα−オレフィン;1,4−ヘキサジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、1,7−オクタジエンなどの非共役ジエン;1,3−ブタジエン、イソプレンなどの共役ジエン等が挙げられる。これらの単量体は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
脂環式オレフィン又は/及び芳香族オレフィンの重合は公知の方法に従って行うことができる。
重合温度、圧力等は特に限定されないが、通常−50℃〜100℃の重合温度、0〜50kgf/cmの重合圧力で重合させる。水素化反応は、公知の水素化触媒の存在下で、水素を吹き込んで行う。
脂環構造含有重合体樹脂の具体例としては、ノルボルネン系単量体の開環重合体及びその水素化物、ノルボルネン系単量体の付加重合体、ノルボルネン系単量体とビニル化合物(=エチレンや、α−オレフィンなど)との付加重合体、単環シクロアルケンの重合体、脂環式共役ジエン系単量体の重合体及びその水素化物、ビニル脂環式炭化水素系単量体の重合体及びその水素化物、芳香族オレフィン重合体の芳香環水素化物などが挙げられる。これらの中でも、ノルボルネン系単量体の開環重合体及びその水素化物、ノルボルネン系単量体の付加重合体、ノルボルネン系単量体とビニル化合物との付加重合体、芳香族オレフィン重合体の芳香環水素化物が好ましく、特にノルボルネン系単量体の開環重合体の水素化物が好ましい。
前記の脂環構造含有重合体樹脂は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明に用いる樹脂は、その分子量によって特に制限されない。樹脂の分子量は、シクロヘキサン(シクロヘキサンに溶解しないときはトルエン)を溶媒とするゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定されるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)で、通常1,000〜1,000,000、好ましくは5,000〜500,000、より好ましくは10,000〜250,000の範囲である。樹脂の重量平均分子量(Mw)がこの範囲にあるときには、耐候性、接着性、表面平滑性などがバランスされ好適である。
樹脂の分子量分布は、シクロヘキサン(シクロヘキサンに溶解しないときはトルエン)を溶媒とするGPCで測定される重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)で、通常5以下、好ましくは4以下、より好ましくは3以下である。
樹脂のガラス転移温度は、使用目的に応じて適宜選択されればよいが、好ましくは70℃以上、より好ましくは95℃以上、最も好ましくは120℃以上である。
本発明に用いる樹脂は、顔料や染料のごとき着色剤、蛍光増白剤、分散剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、近赤外線吸収剤、帯電防止剤、酸化防止剤、滑剤、溶剤、可塑剤、離型剤などを適宜配合したものであってもよい。
本発明に用いる好ましい樹脂としては、酸化防止剤及び/又は光安定剤を配合したものである。
酸化防止剤としては、フェノ−ル系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤などが挙げられ、これらの中でもフェノ−ル系酸化防止剤、特にアルキル置換フェノ−ル系酸化防止剤が好ましい。
フェノ−ル系酸化防止剤としては、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネ−ト、2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノ−ル)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキスメチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニルプロピオネ−ト)メタン[すなわち、ペンタエリスリチル−テトラキス3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオネ−ト)]などのアルキル置換フェノ−ル系化合物;2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレ−ト、2,4−ジ−t−アミル−6−{1−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)エチル}フェニルアクリレ−トなどのアクリレ−ト系化合物;6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−2,4−ビスオクチルチオ−1,3,5−トリアジン、4−ビスオクチルチオ−1,3,5−トリアジンなどのトリアジン基含有フェノ−ル系化合物などが挙げられる。
リン系酸化防止剤としては、トリフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(ジノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイトなどのモノホスファイト系化合物;4,4’−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニル−ジ−トリデシルホスファイト)などのジホスファイト系化合物などが挙げられる。
イオウ系酸化防止剤としては、ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネ−ト、ジミリスチル3,3’−チオジプロピピオネ−ト、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネ−ト、ラウリルステアリル−3,3’−チオジプロピオネ−トなどが挙げられる。
これらの酸化防止剤は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いても良い。
また、酸化防止剤の量は、樹脂100重量部に対し、通常0.01〜2重量部、好ましくは0.02〜1重量部、より好ましくは0.05〜0.5重量部の範囲である。
光安定剤としては、ヒンダ−ドアミン系光安定剤(HALS)、ベンゾエ−ト系光安定剤などが挙げられ、これらの中でもヒンダ−ドアミン系光安定剤が好ましい。
HALSの具体例としては、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケ−ト、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケ−ト、1−〔2−{3−(3,5−ジ−第3ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ}エチル〕−4−{3−(3,5−ジ−第3ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ}−2,2,6,6,−テトラメチルピペリジン、8−ベンジル−7,7,9,9,−テトラメチル−3−オクチル−1,2,3−トリアザスピロ〔4,5〕ウンデカン−2,4−ジオン、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6,−テトラメチルピペリジン、コハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン−2,4−ビス[N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4ピペリジル)アミノ]−6−クロロ−1,3,5−トリアジン縮合物、
テトラキス(2,2,6,6,−テトラメチル−4−ピペリジル)1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレ−ト、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6,−テトラメチル−4−ピペリジノ−ルとトリデシルアルコ−ルとの縮合物、
N,N’,N’’,N’’’−テトラキス−(4,6−ビス−(ブチル−(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アミノ)−トリアジン−2−イル)−4,7−ジアザデカン−1,10−ジアミン、ジブチルアミンと1,3,5−トリアジンとN,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミンとの重縮合物、ポリ〔{(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}〕、1,6−ヘキサンジアミン−N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)とモルフォリン−2,4,6−トリクロロ−1,3,5−トリアジンとの重縮合物、ポリ〔(6−モルフォリノ−s−トリアジン−2,4−ジイル)〔(2,2,6,6,−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ〕−ヘキサメチレン〔(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ〕〕コハク酸ジメチルと4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノ−ルとの重合物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノ−ルと3,9−ビス(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンとの混合エステル化物などが挙げられる。
これらの中でも、ジブチルアミンと1,3,5−トリアジンとN,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミンとの重縮合物、ポリ〔{(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}〕、コハク酸ジメチルと4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノ−ルとの重合物などの数平均分子量が2,000〜5,000のものが好ましい。
これらの光安定剤は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いても良い。
また、光安定剤の量は、樹脂100重量部に対し、通常0.0001〜5重量部、好ましくは0.001〜1重量部、より好ましくは0.01〜0.5重量部の範囲である。
本発明の耐候性レンズ又はプリズムは、その形状によって特に制限されず、公知のレンズ形状又はプリズム形状をなしている。
本発明の耐候性レンズ又はプリズムは、その表層部に該レンズ又はプリズムの内層部よりもフッ素原子含有量が多い樹脂の相があるものである。
レンズ又はプリズムの表層部とは、レンズ又はプリズム最表面から数nm〜数μm程度の深さまでの部分である。内層部及び表層部はともに同種樹脂から構成されており、積層界面が無く、表層部は内層部よりもフッ素原子含有量が多くなっている。フッ素原子含有量はX線電子分光法(ESCA)などの分析装置によって、確認することができる。フッ素原子含有量の分布は、表層部から内層部に向かって徐々に減少していくような分布をなしてもいてもよいし、表層部から内層部に向って階段的に減少する分布をなしていてもよい。
本発明のレンズ又はプリズムの製法は、樹脂製のレンズ又はプリズム基材表面をフッ素ガスを含有する雰囲気に接触させることを含むものである。
本発明の製法を図面を参照しながら具体的に説明をする。
図1は本発明製法に使用する反応装置の一例を示すものである。この反応装置はチャンバー1と、チャンバーの温度を制御するための加熱装置5を備え、チャンバーには、フッ素ガス及び不活性ガスを導入するための、フッ素ガス供給ライン2と不活性ガス供給ライン3が繋がっている。そして、不要なガスを抜き出す排気ライン4がチャンバーの別の位置に繋がっている。チャンバーには前記のレンズ又はプリズム基材を置くことができる空間があり、そこに種々形状のレンズ又はプリズム基材6を置くことができる。排気ライン4から抜き出されたガスは、そのままあるいは分離精製して、各ガス供給ラインに戻し、循環再利用することができる。
レンズ又はプリズム基材は、前記用途に適した形状に、樹脂を成形することによって得られる。本発明においてレンズまたはプリズム基材にフッ素ガスを含有する雰囲気を接触させ、フッ素原子を該基材に導入すると大きさがわずかに変化するので、その変化量を勘案してレンズ又はプリズム基材を所望のレンズ又はプリズムが得られる大きさや形状に成形することが好ましい。成形方法としては、押出成形法、射出成形法、インフレーション成形法、キャスト成形法、ブロー成形法、真空成形法など公知の成形法を挙げることができる。得られたレンズ又はプリズム基材を次の工程によって表面処理し、本発明の耐候性レンズ又はプリズムを好適に製造することができる。
(1)不活性ガス雰囲気中又は減圧下に樹脂製レンズ又はプリズム基材を放置する工程。
この工程(1)は必ず行わなければならない工程ではないが、この工程を経ることによって、レンズ又はプリズム表層部に、フッ素原子含有量が多い樹脂の相を面内分布なく存在させることができるようになるので、工程(1)を経ることが好ましい。
工程(1)では、まず、チャンバーにレンズ又はプリズム基材を置き、チャンバーを閉じて、不活性ガス供給ライン3の弁を開いて不活性ガスをチャンバーに流入させる。不活性ガスとしては、アルゴン、窒素、ヘリウム、ネオン、クリプトン、キセノンなどが挙げられる。本発明においてはアルゴンが好適に用いられる。使用するチャンバーは、ステンレス製もしくはアルミニウム製のものが好ましい。
チャンバーを不活性ガス雰囲気にして、加熱装置によって、チャンバー内のレンズ又はプリズム基材を加熱することが好ましい。この加熱によってレンズ又はプリズム基材中に含まれていた水分、酸素、揮発成分を効率的に除去することができる。加熱温度はレンズ又はプリズム基材表面温度で、通常60〜180℃、好ましくは80〜130℃である。加熱時間は通常1〜360分、好ましくは2〜200分である。
不活性ガス雰囲気中に放置する代りに、減圧下にレンズ又はプリズム基材を放置してもよい。減圧下に放置する場合は圧力を通常500mmHg以下、好ましくは100mmHg以下にする。圧力の下限は1mmHgである。極端に減圧すると排気系から油や水分等の汚染物が逆拡散するおそれがある。減圧下に放置した際にも加熱することが好ましい。加熱温度は通常15〜100℃である。また、減圧と同時に、高純度不活性ガスを注入することは、酸素及び水の量を効率的に除去することができるので好ましい。減圧時間は通常1〜360分、好ましくは2〜200分である。
次の工程(2)においてレンズ又はプリズム基材中に酸素や水分が存在すると、レンズ又はプリズムの表面が親水化されやすいので、工程(1)において酸素や水分の量を減らすことが好ましい。好ましいレンズ又はプリズム基材中の酸素及び水の量は、共に、通常1重量%以下、好ましくは100重量ppm以下、より好ましくは10重量ppm以下である。
(2)フッ素ガスを含有する雰囲気中に該レンズ又はプリズム基材表面にフッ素ガスを含有する雰囲気を接触させる工程。
工程(1)の後、不活性ガス供給ラインの弁を閉じ、必要に応じてチャンバーを冷却し、次いでフッ素ガス供給ライン2の弁と必要に応じて不活性ガス供給ライン3の弁を開き、フッ素ガスをチャンバーに流入させ、チャンバー内をフッ素ガスを含有する雰囲気にする。
フッ素ガスを含有する雰囲気は、フッ素ガスだけで構成される雰囲気でもよいが、反応を緩やかにするために、不活性ガスで希釈したフッ素ガスで構成することが好ましい。フッ素ガスを含有する雰囲気中には酸素及び水が無いほうが好ましい。具体的には酸素及び水の量が共に100重量ppm以下であることが好ましく、10重量ppm以下であることが更に好ましく、1重量ppm以下であることが特に好ましい。
レンズ又はプリズム基材表面にフッ素ガスを含有する雰囲気を接触させることによって、フッ素ガスがレンズ又はプリズム基材の表面から表層部さらには内層部に向かって拡散し、樹脂内へフッ素原子の導入が起こり、レンズ又はプリズム基材を構成する樹脂中のフッ素原子含有量が増加していく。レンズ又はプリズム基材表面からのフッ素原子の浸透深さ、フッ素原子の含有量は、フッ素ガスの濃度、温度、時間に依存して変化する。
不活性ガスで希釈したフッ素ガスの濃度は、通常0.1〜50重量%、好ましくは0.1〜30重量%、より好ましくは0.1〜20重量%である。フッ素ガスを含有する雰囲気を接触させるときのレンズ又はプリズム基材表面温度は、特に制限されないが、通常−50〜150℃、好ましくは−20〜80℃、特に好ましくは0〜50℃である。接触させる時間は、通常0.1秒〜600分、好ましくは0.5秒〜300分、より好ましくは1秒〜200分である。フッ素ガス濃度が高い場合、温度が高い場合、若しくは接触時間が長い場合には、フッ素原子の浸透深さが深くなり、フッ素原子含有量も多くなる。フッ素原子含有量の増加に伴って、フッ素原子が導入された部分(主に表層部)の屈折率は低下するので、フッ素ガス濃度、温度、時間を適宜選択することによって、所望の屈折率に制御することができる。光反射率を低減するためには、表層部(最表面:フッ素原子含有量最大の部分)の屈折率と内層部(フッ素原子含有量ゼロの部分)の屈折率との差を0.001以上、好ましくは0.01以上となるようにすることが好ましい。フッ素ガス濃度が極端に高い場合、若しくは極端に高温度長時間の場合は、レンズ又はプリズム基材を構成する樹脂が劣化するので、上記に示した濃度、温度及び時間の範囲でフッ素ガスを接触させることが好ましい。
(3)フッ素ガスを接触させた後、不活性ガス雰囲気中または減圧下に、工程(2)を経たレンズ又はプリズム基材を再放置する工程。
フッ素ガスを接触させ、所定時間経過した後、不活性ガス供給ライン3を開き、フッ素ガス供給ライン2の弁を閉じて、チャンバーを不活性ガス雰囲気にする。不活性ガスは前記工程(1)で説明したものと同じものが挙げられる。そして、加熱装置によってレンズ又はプリズム基材を加熱することが好ましい。この加熱によってレンズ又はプリズム基材中に導入しきれなかった余剰のフッ素ガスを除去することができる。加熱温度はレンズ又はプリズム基材表面温度で、通常60〜180℃、好ましくは80〜130℃である。加熱時間は通常1〜360分、好ましくは2〜200分である。
不活性ガス雰囲気中に放置する代りに、減圧下にレンズ又はプリズム基材を放置してもよい。減圧下に放置する場合は圧力を通常500mmHg以下、好ましくは100mmHg以下にする。圧力の下限は1mmHgである。極端に減圧すると排気系から油や水分等の汚染物が逆拡散するおそれがある。減圧下に放置した際にも加熱することが好ましい。加熱温度は通常15〜100℃である。また、減圧と同時に、高純度不活性ガスを注入することは、フッ素ガスを効率的に除去することができるので好ましい。減圧時間は通常1〜360分、好ましくは2〜200分である。
この工程(3)は必ず行わなければならない工程ではないが、この工程を経ることによって、レンズ又はプリズム表層部に、フッ素原子含有量が多い樹脂の相を面内分布なく存在させることができるようになるので、工程(3)を経ることが好ましい。
工程(3)を終了後、レンズ又はプリズムをチャンバーから取り出し、それぞれの用途に応じて用いることができる。
次に、本発明を実施例及び比較例に基づいて更に具体的に説明するが、この実施例によって本発明を限定するものでない。
比較例1
環状オレフィン重合体樹脂(ゼオネックス480R:日本ゼオン社製)を射出成形して、波長780nmにおいてNA0.43、焦点距離2.4mmの樹脂製CDピックアップレンズを得た。
実施例1
環状オレフィン重合体樹脂(ゼオネックス480R:日本ゼオン社製、ヒンダードアミン系光安定剤及びアルキル置換フェノール系酸化防止剤をそれぞれ0.05重量%含有)を射出成形して、波長780nmにおいてNA0.43、焦点距離2.4mmの樹脂製CDピックアップレンズを得た。
このピックアップレンズをSUS316L製チャンバーに入れ、酸素及び水分含有量1重量ppb以下の高純度アルゴン気流下、120℃で3時間加熱し酸素及び水を10重量ppm未満になるまで除去した。室温まで冷却し、外気からの酸素や水分の混入がないよう気をつけながらバルブを切り替えて、アルゴンガスで希釈された1重量%フッ素ガス(酸素及び水の含有量1重量ppm未満)を30℃で導入した。10分間経過後、バルブを切り替えて酸素及び水分含有量1重量ppb以下の高純度アルゴンを導入し、120℃で1時間加熱し余剰のフッ素ガスを除去した。
フッ素ガスで処理された上記ピックアップレンズを、ESCAによる測定し、その表層部にフッ素原子が多く存在していることを確認した。さらに、このピックアップレンズを、超純水中に24時間浸漬した後、ESCAを測定したところ、浸漬前と同様に、フッ素原子が表層部に多く存在していた。また、FTIR−ATR法で膜表面を測定したところ、1400〜1000cm−1にC−F伸縮振動に由来するブロードなピークが観測された。レンズ表面は、フッ素ガスによる処理前に比べ水の接触角が大きくなり、撥水性が増加していた。
比較例2
環状オレフィン重合体樹脂(ゼオネックス480R:日本ゼオン社製)を射出成形して、波長780nmにおいてNA0.43、焦点距離2.4mmの樹脂製CDピックアップレンズを得た。このピックアップレンズ表面に、真空蒸着法によって、SiO、ZrO、SiO膜の順に各50nm、50nm、150nmの厚さに、三層積層した。
実施例1及び比較例1〜2で得られたピックアップレンズを80℃又は95℃の高温槽内に放置し、100時間経過後、肉眼による外観検査でマイクロクラックの有無を判断し、さらに波長780nmでの光線透過率を測定した。また高温槽内に放置する前後における、波長780nmでの透過波面収差を縞解析装置付きレーザー干渉計で測定した。その結果を表1に示す。
表1から本発明によれば高温下にさらした後でも反射防止率が高くならず、光線透過率が高い。また波面収差が全く生じないことがわかる。一方、無機膜などを積層した場合は、高温下にさらすとマイクロクラックが発生して透明性が低下し、波面収差が大きくなることがわかる。
比較例3
環状オレフィン重合体樹脂(ゼオネックス480R:日本ゼオン社製)を射出成形して、1/4インチのCCDセンサー用のFNo.2.8、焦点距離3.45mm携帯電話カメラ用二枚レンズ組みのレンズを得た。
実施例2
環状オレフィン重合体樹脂(ゼオネックス480R:日本ゼオン社製)を射出成形して、1/4インチのCCDセンサー用のFNo.2.8、焦点距離3.45mm携帯電話カメラ用二枚レンズ組みのレンズを得た。
このレンズをSUS316L製チャンバーに入れ、酸素及び水分含有量1重量ppb以下の高純度アルゴン気流下、120℃で3時間加熱し酸素及び水を除去した。室温まで冷却し、外気からの酸素や水分の混入がないよう気をつけながらバルブを切り替えて、アルゴンガスで希釈された1重量%フッ素ガスを30℃で導入した。10分間経過後、バルブを切り替えて高純度アルゴンを導入し、120℃で1時間加熱しフッ素ガスを除去した。
比較例4
環状オレフィン重合体樹脂(ゼオネックス480R:日本ゼオン社製)を射出成形して、1/4インチのCCDセンサー用のFNo.2.8、焦点距離3.45mm携帯電話カメラ用二枚レンズ組みのレンズを得た。
このレンズ表面に、真空蒸着法によって、ZrO、SiO2、ZrO、SiO膜の順で各25nm、15nm、90nm、85nmの厚さに四層積層した。
実施例2及び比較例3〜4で得られたレンズを80℃又は95℃の高温槽内に放置し、100時間経過後、肉眼による外観検査でマイクロクラックの有無を判断し、さらに波長588nmでの光線透過率を測定した。また、レンズを携帯電話カメラ用二枚組みレンズに組み込み、中心解像力を逆投影検査器で測定した。さらに屋外の直射日光下で人物映像を目視観察し、ゴースト又はフレアの発生有無を判断した。その結果を表2に示す。
表2から、本発明は、高温下にさらした後においても、光線透過率が低下せず、ゴースト、フレアなどが生じない。一方、無機膜からなる反射防止層を積層させたレンズは高温下に放置後、光線透過率が低下して、ゴーストやフレアが発生することがわかる。
本発明の方法に用いる、反応装置の一例を示す図。
符号の説明
1・・チャンバー
2・・フッ素ガス供給ライン
3・・不活性ガス供給ライン
4・・排気ライン
5・・加熱装置
6・・レンズ又はプリズム基材

Claims (13)

  1. 樹脂製のレンズ又はプリズムの表層部に該内層部よりもフッ素原子含有量が多い樹脂の相がある耐候性レンズ又はプリズム。
  2. 樹脂が脂環構造含有重合体樹脂である請求項1記載の耐候性レンズ又はプリズム。
  3. 樹脂が酸化防止剤及び/又は光安定剤を配合したものである請求項1記載の耐候性レンズ又はプリズム。
  4. 樹脂製のレンズ又はプリズム基材表面をフッ素ガスを含有する雰囲気に接触させることを含む耐候性レンズ又はプリズムの製法。
  5. (1)不活性ガス雰囲気中又は減圧下に樹脂製のレンズ又はプリズム基材を放置し、(2)該レンズ又はプリズム基材表面をフッ素ガスを含有する雰囲気に接触させ、(3)次いで不活性ガス雰囲気中又は減圧下に該レンズ又はプリズム基材を再放置することを含む、耐候性レンズ又はプリズムの製法。
  6. 樹脂が脂環構造含有重合体樹脂である請求項4または5記載の耐候性レンズ又はプリズムの製法。
  7. フッ素ガスを含有する雰囲気に接触させる直前のレンズ又はプリズム基材中の酸素及び水分量が共に1重量%以下である請求項4または5記載の耐候性レンズ又はプリズムの製法。
  8. フッ素ガスを含有する雰囲気中の酸素及び水分濃度が共に100重量ppm以下である請求項4または5記載の耐候性レンズ又はプリズムの製法。
  9. フッ素ガスを含有する雰囲気が、不活性ガスで希釈されたフッ素ガス濃度0.1〜50重量%のフッ素ガスである請求項4または5記載の耐候性レンズ又はプリズムの製法。
  10. レンズ又はプリズム基材表面にフッ素ガスを含有する雰囲気に接触させるときの温度が−50〜150℃である請求項4または5記載の耐候性レンズ又はプリズムの製法。
  11. 不活性ガス雰囲気中又は減圧下にレンズ又はプリズム基材を放置又は再放置する際に、レンズ又はプリズム基材を加熱する請求項5記載の耐候性レンズ又はプリズムの製法。
  12. 不活性ガス雰囲気中に放置又は再放置する際の加熱温度が60〜180℃である請求項11記載の耐候性レンズ又はプリズムの製法。
  13. 減圧下に放置又は再放置する際の圧力が1〜500mmHgである請求項5記載の耐候性レンズ又はプリズムの製法。
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