JP2005291587A - 空気調和システム - Google Patents

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Abstract

【課題】 吸着熱交換器を有し主として屋内の潜熱負荷を処理する潜熱負荷処理システムと、空気熱交換器を有し空気中の水分が結露しないように運転して屋内の顕熱負荷のみを処理する顕熱負荷処理システムとを備えた空気調和システムにおいて、必要顕熱処理能力が大きくなる場合でも、顕熱処理能力の変動に追従できるようにする。
【解決手段】 空気調和システム1は、表面に吸着剤が設けられた吸着熱交換器22、23、32、33を有する潜熱系統利用側冷媒回路10a、10bと、空気熱交換器42、52を有し空気熱交換器42、52において空気中の水分が結露しないように冷媒と空気との熱交換を行うことが可能な顕熱系統利用側冷媒回路10c、10dとを備える。空気調和システム1は、吸着熱交換器22、23、32、33の吸着動作と再生動作との切換時間間隔を変更することが可能である。
【選択図】 図1

Description

本発明は、空気調和システム、特に、蒸気圧縮式の冷凍サイクル運転を行うことによって、屋内の潜熱負荷及び顕熱負荷を処理する空気調和システムに関する。
従来より、屋内の冷房と除湿を行う空気調和装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。このような空気調和装置は、熱源側熱交換器としての室外熱交換器と空気熱交換器としての室内熱交換器とを有する蒸気圧縮式の冷媒回路を備えており、この冷媒回路内に冷媒を循環させて冷凍サイクル運転を行う。そして、この空気調和装置は、室内熱交換器における冷媒の蒸発温度を室内空気の露点温度よりも低く設定し、屋内の空気中の水分を凝縮させることで屋内の除湿を行っている。
一方、表面に吸着剤が設けられた熱交換器を備えた除湿装置も知られている(例えば、特許文献2参照。)。このような除湿装置は、吸着剤が設けられた2つの熱交換器を備えており、2つの熱交換器の一方において空気中の水分を吸着して除湿する吸着動作を行い、2つの熱交換器の他方において吸着された水分を脱離させる再生動作を行う。その際、水分を吸着する方の熱交換器には冷却塔で冷却された水が供給され、再生される熱交換器には温排水が供給される。そして、この除湿装置は、吸着動作及び再生動作によって除湿された空気を屋内へ供給するようになっている。
また、屋内の潜熱負荷を処理する潜熱負荷処理システムと、屋内の顕熱負荷のみを処理する顕熱負荷処理システムとを備えた空気調和システムも提案されている(例えば、特許文献3参照。)。このような空気調和システムは、顕熱負荷処理システムを構成する空気熱交換器における冷媒の蒸発温度を屋内の空気の露点温度以上になるように制御している。
国際公開第03/029728号パンフレット 特開平7−265649号公報 特開平6−101894号公報
上記前者の空気調和装置では、室内熱交換器における冷媒の蒸発温度を屋内の空気の露点温度よりも低く設定し、空気中の水分を凝縮させることで屋内の潜熱負荷を処理している。つまり、室内熱交換器における冷媒の蒸発温度が屋内の空気の露点温度よりも高くても顕熱負荷の処理は可能であるが、潜熱負荷を処理するためには、室内熱交換器における冷媒の蒸発温度を低い値に設定しなければならなくなっている。このため、蒸気圧縮式の冷凍サイクルの高低圧差が大きくなり、圧縮機における消費動力が大きくなり、低いCOP(成績係数)しか得られないという問題があった。
また、上記後者の除湿装置では、冷却塔で冷却された冷却水、すなわち、屋内の温度に比べてそれほど温度の低くない冷却水を熱交換器へ供給している。したがって、この除湿装置では、屋内の潜熱負荷は処理できても顕熱負荷を処理できないという問題があった。
これに対して、本願発明者は、熱源側熱交換器と利用側熱交換器としての吸着熱交換器とを有する蒸気圧縮式の冷媒回路を備えた空気調和装置を発明している(例えば、特願2003−351268号参照。)。この空気調和装置は、表面に吸着剤が設けられた吸着熱交換器に空気中の水分を吸着させる吸着動作と吸着熱交換器から水分を脱離させる再生動作とを交互に行い、吸着熱交換器を通過した空気を屋内へ供給して屋内の顕熱負荷及び潜熱負荷を処理することができるものである。つまり、上記前者の空気調和装置のように空気中の水分を凝縮させて空気の除湿を行うのではなく、空気中の水分を吸着剤に吸着させて空気を除湿しているため、冷媒の蒸発温度を空気の露点温度よりも低く設定する必要がなく、冷媒の蒸発温度を空気の露点温度以上に設定しても空気の除湿が可能となる。このため、この空気調和装置によれば、空気を除湿する場合も冷媒の蒸発温度を従来よりも高い温度に設定することができ、冷凍サイクルの高低圧差を縮小することができる。この結果、圧縮機における消費動力を減らすことが可能となり、COPを向上させることができる。また、空気の除湿を行う場合に、吸着熱交換器において必要な冷媒の蒸発温度よりも低い温度に設定することによって、その屋内の顕熱負荷も併せて処理することができる。
そして、本願発明者は、上記の吸着熱交換器を用いた空気調和装置を主として屋内の潜熱負荷を処理する潜熱負荷処理システムとして使用するとともに、空気熱交換器を有しており主として屋内の顕熱負荷を処理する顕熱負荷処理システムとを組み合わせた空気調和システムを構成しようとしている。
しかし、単純に組み合わせただけでは、前記従来の空気調和システムのように、顕熱負荷処理システムにおける空気熱交換器の蒸発温度が屋内の空気の露点温度で決定されることに変わりがないため、顕熱負荷が増加した場合に、空気熱交換器の冷媒の蒸発温度を低くして対応することができないという問題がある。
本発明の課題は、吸着熱交換器を有し主として屋内の潜熱負荷を処理する潜熱負荷処理システムと、空気熱交換器を有し空気中の水分が結露しないように運転して屋内の顕熱負荷のみを処理する顕熱負荷処理システムとを備えた空気調和システムにおいて、必要顕熱処理能力が大きくなる場合でも、顕熱負荷処理システムにおいて空気中の水分が結露しないように運転して屋内の顕熱負荷のみを処理しつつ、顕熱処理能力の変動に追従できるようにすることにある。
第1の発明にかかる空気調和システムは、蒸気圧縮式の冷凍サイクル運転を行うことによって、屋内の潜熱負荷及び顕熱負荷を処理する空気調和システムであって、第1利用側冷媒回路と、第2利用側冷媒回路とを備えている。第1利用側冷媒回路は、表面に吸着剤が設けられた吸着熱交換器を有しており、冷媒の蒸発器として機能させて空気中の水分を吸着剤に吸着させる吸着動作と、冷媒の凝縮器として機能させて空気中の水分を吸着剤から水分を脱離させる再生動作とを交互に切り換えて行うことで空気を除湿又は加湿することが可能である。第2利用側冷媒回路は、空気熱交換器を有しており、空気熱交換器において空気中の水分が結露しないように、冷媒と空気との熱交換を行うことが可能である。空気調和システムは、吸着熱交換器を通過した空気を屋内に供給することが可能であり、空気熱交換器を通過した空気を屋内に供給することが可能である。空気調和システムは、吸着熱交換器の吸着動作と再生動作との切換時間間隔を変更することが可能である。
この空気調和システムは、吸着熱交換器において空気中の水分を吸着又は脱離させることによって屋外に排出することが可能な第1利用側冷媒回路を含むシステム(以下、潜熱負荷処理システムとする)と、空気熱交換器において空気中の水分が結露しないように冷媒と空気との熱交換を行うことが可能な第2利用側冷媒回路を含むシステム(以下、顕熱負荷処理システムとする)とから構成されている。つまり、この空気調和システムは、主として屋内の潜熱負荷を処理する潜熱負荷処理システムと、屋内の顕熱負荷をのみを処理する顕熱負荷処理システムとから構成されている。このため、この空気調和システムは、第1利用側冷媒回路を有するユニットや第2利用側冷媒回路を有するユニット内にドレン配管を必要としないドレンレスシステムになっている。このため、空気調和システム全体として処理しなければならない潜熱負荷(以下、必要潜熱処理能力とする)は、第1利用側冷媒回路を用いて処理されており、空気調和システム全体として処理しなければならない顕熱負荷(以下、必要顕熱処理能力とする)は、主として第2利用側冷媒回路を用いて処理されている。そして、冷房運転時において、第2利用側冷媒回路は、必要顕熱処理能力が大きくなり第2利用側冷媒回路における顕熱処理能力を大きくする必要がある場合であっても、空気熱交換器の蒸発温度が屋内の空気の露点温度によって制約されてしまうため、顕熱処理能力を大きくすることができない。
この空気調和システムでは、吸着熱交換器の吸着動作及び再生動作の切換時間間隔を変更することによって、吸着熱交換器において処理される潜熱処理能力に対する顕熱処理能力の割合(以下、顕熱処理能力比とする)を変化させることができるため、必要顕熱処理能力が大きくなり第2利用側冷媒回路における顕熱処理能力を大きくする必要がある場合には、吸着熱交換器の吸着動作及び再生動作の切換時間間隔を通常運転時よりも長くすることによって、第1利用側冷媒回路における顕熱処理能力比を大きくすることができるようになっている。
これにより、吸着熱交換器を有し主として屋内の潜熱負荷を処理する潜熱負荷処理システムと、空気熱交換器を有し空気中の水分が結露しないように運転して屋内の顕熱負荷のみを処理する顕熱負荷処理システムとを備えた空気調和システムにおいて、必要顕熱処理能力が大きくなる場合でも、第2利用側冷媒回路において空気中の水分が結露しないように運転して屋内の顕熱負荷のみを処理しつつ、顕熱処理能力の変動に追従させることができる。
第2の発明にかかる空気調和システムは、第1の発明にかかる空気調和システムにおいて、空気熱交換器のガス側に接続され、空気熱交換器を蒸発器として機能させる際の空気熱交換器における冷媒の蒸発圧力を制御する圧力調節機構を備えている。空気調和システムは、屋内の露点温度に基づいて、圧力調節機構によって、空気熱交換器を蒸発器として機能させる際の冷媒の蒸発圧力を制御する。
この空気調和システムでは、屋内の空気の露点温度に基づいて、例えば、空気熱交換器における冷媒の蒸発温度が屋内の空気の露点温度以下にならないように、圧力調節機構を制御することによって、空気熱交換器の表面において空気中の水分が結露しないようにするとともに、必要顕熱処理能力が大きくなる場合でも、吸着熱交換器の切替時間間隔の変更によって、顕熱負荷処理システムにおいて空気中の水分が結露しないように運転して屋内の顕熱負荷のみを処理しつつ、顕熱処理能力の変動に追従させることができる。
第3の発明にかかる空気調和システムは、第2の発明にかかる空気調和システムにおいて、空気熱交換器における冷媒圧力を検出する圧力検出機構を備えている。空気調和システムは、屋内の空気の露点温度から目標蒸発圧力値を演算し、圧力調節機構によって、圧力検出機構によって検出された冷媒の蒸発圧力が目標蒸発圧力値以上となるように制御する。
この空気調和システムでは、圧力調節機構による空気熱交換器における冷媒の蒸発圧力の制御値として、露点温度ではなく圧力検出機構によって実測される空気熱交換器の冷媒の蒸発圧力を用いているため、露点温度を用いて冷媒の蒸発圧力を調節する場合に比べて制御応答性を向上させることができる。
以上の説明に述べたように、本発明によれば、以下の効果が得られる。
第1の発明では、吸着熱交換器の吸着動作及び再生動作の切換時間間隔を変更することによって、吸着熱交換器の顕熱処理能力比を変化させることができるため、必要顕熱処理能力が大きくなり第2利用側冷媒回路における顕熱処理能力を大きくする必要がある場合には、吸着熱交換器の吸着動作及び再生動作の切換時間間隔を通常運転時よりも長くすることによって、第1利用側冷媒回路における顕熱処理能力比を大きくすることができるようになり、第2利用側冷媒回路において空気中の水分が結露しないように運転して屋内の顕熱負荷のみを処理しつつ、顕熱処理能力の変動に追従させることができる。
第2の発明では、屋内の空気の露点温度に基づいて、例えば、空気熱交換器における冷媒の蒸発温度が屋内の空気の露点温度以下にならないように、圧力調節機構を制御することによって、空気熱交換器の表面において空気中の水分が結露しないようにするとともに、必要顕熱処理能力が大きくなる場合でも、吸着熱交換器の切替時間間隔の変更によって、顕熱負荷処理システムにおいて空気中の水分が結露しないように運転して屋内の顕熱負荷のみを処理しつつ、顕熱処理能力の変動に追従させることができる。
第3の発明では、圧力調節機構による空気熱交換器における冷媒の蒸発圧力の制御値として、露点温度ではなく圧力検出機構によって実測される空気熱交換器の冷媒の蒸発圧力を用いているため、露点温度を用いて冷媒の蒸発圧力を調節する場合に比べて制御応答性を向上させることができる。
以下、図面に基づいて、本発明にかかる空気調和システムの実施形態について説明する。
[第1実施形態]
(1)空気調和システムの構成
図1は、本発明にかかる第1実施形態の空気調和システム1の概略の冷媒回路図である。空気調和システム1は、蒸気圧縮式の冷凍サイクル運転を行うことによって、ビル等の屋内の潜熱負荷及び顕熱負荷を処理する空気調和システムである。空気調和システム1は、いわゆる、セパレート型のマルチ空気調和システムであり、主として、互いが並列に接続される複数台(本実施形態では、2台)の潜熱系統利用ユニット2、3と、互いが並列に接続される複数台(本実施形態では、2台)の顕熱系統利用ユニット4、5と、熱源ユニット6と、潜熱系統利用ユニット2、3及び顕熱系統利用ユニット4、5と熱源ユニット6とを接続する連絡配管7、8、9とを備えている。本実施形態において、熱源ユニット6は、潜熱系統利用ユニット2、3及び顕熱系統利用ユニット4、5に共通の熱源として機能する。また、本実施形態において、熱源ユニット6は、1台だけであるが、潜熱系統利用ユニット2、3や顕熱系統利用ユニット4、5の台数が多い場合等においては複数台を並列に接続していてもよい。
<潜熱系統利用ユニット>
潜熱系統利用ユニット2、3は、ビル等の屋内の天井に埋め込みや吊り下げ等により、壁掛け等により、又は、天井裏の空間に設置されている。潜熱系統利用ユニット2、3は、連絡配管8、9を介して熱源ユニット6に接続されており、熱源ユニット6との間で冷媒回路10を構成している。潜熱系統利用ユニット2、3は、この冷媒回路10内において冷媒を循環させて蒸気圧縮式の冷凍サイクル運転を行うことによって、主として屋内の潜熱負荷を処理する潜熱負荷処理システム(以下の説明においても、潜熱負荷処理システムという文言を使用する場合には、潜熱系統利用ユニット2、3と熱源ユニット6との組み合わせを指すものとする)として機能する。
次に、潜熱系統利用ユニット2、3の構成について説明する。尚、潜熱系統利用ユニット2と潜熱系統利用ユニット3とは同様の構成であるため、ここでは、潜熱系統利用ユニット2の構成のみ説明し、潜熱系統利用ユニット3の構成については、潜熱系統利用ユニット2の各部を示す20番台の符号の代わりに30番台の符号を付して、各部の説明を省略する。
潜熱系統利用ユニット2は、主として、冷媒回路10の一部を構成しており、空気を除湿又は加湿することが可能な潜熱系統利用側冷媒回路10aを備えている。この潜熱系統利用側冷媒回路10aは、主として、潜熱系統利用側四路切換弁21と、第1吸着熱交換器22と、第2吸着熱交換器23と、潜熱系統利用側膨張弁24とを備えている。
潜熱系統利用側四路切換弁21は、潜熱系統利用側冷媒回路10aに流入する冷媒の流路を切り換えるための弁であり、その第1ポート21aは吐出ガス連絡配管8を介して熱源ユニット6の圧縮機構61(後述)の吐出側に接続されており、その第2ポート21bは吸入ガス連絡配管9を介して熱源ユニット6の圧縮機構61の吸入側に接続されており、その第3ポート21cは第1吸着熱交換器22のガス側端部に接続されており、第4ポート21dは第2吸着熱交換器23のガス側端部に接続されている。そして、潜熱系統利用側四路切換弁21は、第1ポート21aと第3ポート21cとを接続するとともに第2ポート21bと第4ポート21dとを接続(第1状態、図1の潜熱系統利用側四路切換弁21の実線を参照)したり、第1ポート21aと第4ポート21dとを接続するとともに第2ポート21bと第3ポート21cとを接続(第2状態、図1の潜熱系統利用側四路切換弁21の破線を参照)する切り換えを行うことが可能である。
第1吸着熱交換器22及び第2吸着熱交換器23は、伝熱管と多数のフィンとにより構成されたクロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器である。具体的に、第1吸着熱交換器22及び第2吸着熱交換器23は、長方形板状に形成されたアルミニウム製の多数のフィンと、このフィンを貫通する銅製の伝熱管とを有している。尚、第1吸着熱交換器22及び第2吸着熱交換器23は、クロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器に限らず、他の形式の熱交換器、例えば、コルゲートフィン式の熱交換器等であってもよい。
第1吸着熱交換器22及び第2吸着熱交換器23は、そのフィンの表面に吸着剤がディップ成形(浸漬成形)により担持されている。尚、フィン及び伝熱管の表面に吸着剤を担持させる方法としては、ディップ成形に限らず、吸着剤としての性能を損なわない限り、どのような方法でその表面に吸着剤を担持してもよい。この吸着剤としては、ゼオライト、シリカゲル、活性炭、親水性又は吸水性を有する有機高分子ポリマー系材料、カルボン酸基又はスルホン酸基を有するイオン交換樹脂系材料、感温性高分子等の機能性高分子材料などを用いることが可能である。
第1吸着熱交換器22及び第2吸着熱交換器23は、その外側に空気を通過させながら冷媒の蒸発器として機能させることで、その表面に担持された吸着剤に空気中の水分が吸着させることができる。また、第1吸着熱交換器22及び第2吸着熱交換器23は、その外側に空気を通過させながら冷媒の凝縮器として機能させることで、その表面に担持された吸着剤に吸着された水分を脱離させることができる。
潜熱系統利用側膨張弁24は、第1吸着熱交換器22の液側端部と第2吸着熱交換器23の液側端部との間に接続された電動膨張弁であり、凝縮器として機能する第1吸着熱交換器22及び第2吸着熱交換器23の一方から蒸発器として機能する第1吸着熱交換器22及び第2吸着熱交換器23の他方に送られる冷媒を減圧することができる。
また、潜熱系統利用ユニット2は、詳細は図示しないが、屋外の空気(以下、屋外空気OAとする)をユニット内に吸入するための外気吸入口と、ユニット内から屋外に空気を排出するための排気口と、屋内の空気(以下、屋内空気RAとする)をユニット内に吸入するための内気吸入口と、ユニット内から屋内に吹き出される空気(以下、供給空気SAとする)を供給するための給気口と、排気口に連通するようにユニット内に配置された排気ファンと、給気口に連通するようにユニット内に配置された給気ファンと、空気流路を切り換えるためのダンパー等からなる切換機構とを備えている。これにより、潜熱系統利用ユニット2は、屋外空気OAを外気吸入口からユニット内に吸入して第1又は第2吸着熱交換器22、23を通過させた後に給気口から屋内に供給空気SAとして供給したり、屋外空気OAを外気吸入口からユニット内に吸入して第1又は第2吸着熱交換器22、23を通過させた後に排気口から屋外に排出空気EAとして排出したり、屋内空気RAを内気吸入口からユニット内に吸入して第1又は第2吸着熱交換器22、23を通過させた後に給気口から屋内に供給空気SAとして供給したり、屋内空気RAを内気吸入口からユニット内に吸入して第1又は第2吸着熱交換器22、23を通過させた後に排気口から屋外に排出空気EAとして排出することができるようになっている。
さらに、潜熱系統利用ユニット2は、ユニット内に吸入される屋内空気RAの温度及び相対湿度を検出するRA吸入温度・湿度センサ25と、ユニット内に吸入される屋外空気OAの温度及び相対湿度を検出するOA吸入温度・湿度センサ26と、ユニット内から屋内に供給される供給空気SAの温度を検出するSA供給温度センサ27と、潜熱系統利用ユニット2を構成する各部の動作を制御する潜熱系統利用側制御部28とを備えている。そして、潜熱系統利用側制御部28は、潜熱系統利用ユニット2の制御を行うために設けられたマイクロコンピュータやメモリを有しており、リモコン11及び後述の熱源ユニット6の熱源側制御部65を通じて、屋内の空気の目標温度及び目標湿度の入力信号等のやりとりを行ったり、熱源ユニット6との間で制御信号等のやりとりを行うこともできるようになっている。
<顕熱系統利用ユニット>
顕熱系統利用ユニット4、5は、ビル等の屋内の天井に埋め込みや吊り下げ等により、壁掛け等により、又は、天井裏の空間に設置されている。顕熱系統利用ユニット4、5は、連絡配管7、8、9及び接続ユニット14、15を介して熱源ユニット6に接続されており、熱源ユニット6との間で冷媒回路10を構成している。顕熱系統利用ユニット4、5は、この冷媒回路10内において冷媒を循環させて蒸気圧縮式の冷凍サイクル運転を行うことによって、主として屋内の顕熱負荷を処理する顕熱負荷処理システムとして機能する(以下の説明においても、潜熱負荷処理システムという文言を使用する場合には、潜熱系統利用ユニット2、3と熱源ユニット6との組み合わせを指すものとする)。そして、顕熱系統利用ユニット4は潜熱系統利用ユニット2と同じ空調空間に設置されており、顕熱系統利用ユニット5は潜熱系統利用ユニット3と同じ空調空間に設置されている。すなわち、潜熱系統利用ユニット2と顕熱系統利用ユニット4とがペアになって、ある空調空間の潜熱負荷及び顕熱負荷を処理しており、潜熱系統利用ユニット3と顕熱系統利用ユニット5とがペアになって、別の空調空間の潜熱負荷及び顕熱負荷を処理している。
次に、顕熱系統利用ユニット4、5の構成について説明する。尚、顕熱系統利用ユニット4と顕熱系統利用ユニット5とは同様の構成であるため、ここでは、顕熱系統利用ユニット4の構成のみ説明し、顕熱系統利用ユニット5の構成については、顕熱系統利用ユニット4の各部を示す40番台の符号の代わりに50番台の符号を付して、各部の説明を省略する。
顕熱系統利用ユニット4は、主として、冷媒回路10の一部を構成しており、空気を除湿又は加湿することが可能な顕熱系統利用側冷媒回路10c(顕熱系統利用ユニット5では、顕熱系統利用側冷媒回路10d)を備えている。この顕熱系統利用側冷媒回路10cは、主として、顕熱系統利用側膨張弁41と、空気熱交換器42とを備えている。本実施形態において、顕熱系統利用側膨張弁41は、冷媒流量の調節等を行うために、空気熱交換器42の液側に接続された電動膨張弁である。本実施形態において、空気熱交換器42は、伝熱管と多数のフィンとにより構成されたクロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器であり、冷媒と屋内空気RAとの熱交換を行うための機器である。本実施形態において、顕熱系統利用ユニット4は、ユニット内に屋内空気RAを吸入して、熱交換した後に、供給空気SAとして屋内に供給するための送風ファン(図示せず)を備えており、屋内空気RAと空気熱交換器322を流れる冷媒とを熱交換させることが可能である。
また、顕熱系統利用ユニット4には、各種のセンサが設けられている。空気熱交換器42の液側には液冷媒の温度を検出する液側温度センサ43が設けられており、空気熱交換器42のガス側にはガス冷媒の温度を検出するガス側温度センサ44が設けられている。さらに、顕熱系統利用ユニット4には、ユニット内に吸入される屋内空気RAの温度及び相対湿度を検出するRA吸入温度・湿度センサ45と、結露センサ46とが設けられている。結露センサ46は、空気熱交換器42における結露の有無を検出する結露検出機構として機能するように設けられている。尚、実施形態においては、結露センサ46を用いているが、これに限定されず、結露検出機構として機能すればよいため、結露センサの代わりにフロートスイッチを設けてもよい。また、顕熱系統利用ユニット4は、顕熱系統利用ユニット4を構成する各部の動作を制御する顕熱系統利用側制御部48を備えている。そして、顕熱系統利用側制御部48は、顕熱系統利用ユニット4の制御を行うために設けられたマイクロコンピュータやメモリを有しており、リモコン11を通じて、屋内の空気の目標温度及び目標湿度の入力信号等のやりとりを行ったり、熱源ユニット6との間で制御信号等のやりとりを行うこともできるようになっている。
<熱源ユニット>
熱源ユニット6は、ビル等の屋上等に設置されており、連絡配管7、8、9を介して潜熱系統利用ユニット2、3及び顕熱系統利用ユニット4、5に接続されており、潜熱系統利用ユニット2、3及び顕熱系統利用ユニット4、5の間で冷媒回路10を構成している。
次に、熱源ユニット6の構成について説明する。熱源ユニット6は、主として、冷媒回路10の一部を構成しており、熱源側冷媒回路10eを備えている。この熱源側冷媒回路10eは、主として、圧縮機構61と、3方切換弁62と、熱源側熱交換器63と、熱源側膨張弁64と、レシーバ68とを備えている。
圧縮機構61は、本実施形態において、インバータ制御により運転容量を可変することが可能な容積式圧縮機である。本実施形態において、圧縮機構61は、1台の圧縮機であるが、これに限定されず、利用ユニットの接続台数等に応じて、2台以上の圧縮機が並列に接続されたものであってもよい。
3方切換弁62は、熱源側熱交換器63を凝縮器として機能させる際(以下、凝縮運転状態とする)には圧縮機構61の吐出側と熱源側熱交換器63のガス側とを接続し、熱源側熱交換器63を蒸発器として機能させる際(以下、蒸発運転状態とする)には圧縮機構61の吸入側と熱源側熱交換器63のガス側とを接続するように、熱源側冷媒回路10e内における冷媒の流路を切り換えるための弁であり、その第1ポート62aは圧縮機構61の吐出側に接続されており、その第2ポート62bは圧縮機構61の吸入側に接続されており、その第3ポート62cは熱源側熱交換器63のガス側端部に接続されている。そして、3方切換弁62は、上述のように、第1ポート62aと第3ポート62cとを接続(凝縮運転状態に対応、図1の3方切換弁62の実線を参照)したり、第2ポート62bと第3ポート62cとを接続(蒸発運転状態に対応、図1の3方切換弁62の破線を参照)する切り換えを行うことが可能である。また、圧縮機構61の吐出側と3方切換弁62との間には、吐出ガス連絡配管8が接続されている。これにより、圧縮機構61において圧縮・吐出された高圧のガス冷媒を3方切換弁62の切り換え動作に関係なく、潜熱系統利用ユニット2、3や顕熱系統利用ユニット4、5に供給できるようになっている。また、圧縮機構61の吸入側には、潜熱系統利用ユニット2、3や顕熱系統利用ユニット4、5から戻る低圧のガス冷媒が流れる吸入ガス連絡配管9が接続されている。
熱源側熱交換器63は、本実施形態において、伝熱管と多数のフィンとにより構成されたクロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器であり、空気を熱源として冷媒と熱交換するための機器である。本実施形態において、熱源ユニット6は、ユニット内に屋外の空気を取り込み、送り出すための室外ファン(図示せず)を備えており、屋外の空気と熱源側熱交換器63を流れる冷媒とを熱交換させることが可能である。
熱源側膨張弁64は、本実施形態において、液連絡配管7を介して熱源側熱交換器63と空気熱交換器42、52との間を流れる冷媒の流量の調節等を行うことが可能な電動膨張弁である。熱源側膨張弁64は、熱源側熱交換器63が凝縮運転状態の場合にはほぼ全開状態で使用され、蒸発運転状態の場合には開度調節されて空気熱交換器42、52から液連絡配管7を介して熱源側熱交換器63に流入する冷媒を減圧するのに使用される。
レシーバ68は、熱源側熱交換器63と空気熱交換器42、52との間を流れる冷媒を一時的に溜めるための容器である。本実施形態において、レシーバ68は、熱源側膨張弁64と液連絡配管7との間に接続されている。
また、熱源ユニット6には、各種のセンサが設けられている。具体的には、熱源ユニット6は、圧縮機構61の吸入圧力を検出する吸入圧力センサ66と、圧縮機構61の吐出圧力を検出する吐出圧力センサ67と、熱源ユニット6を構成する各部の動作を制御する熱源側制御部65とを備えている。そして、熱源側制御部65は、熱源ユニット6の制御を行うために設けられたマイクロコンピュータやメモリを有しており、潜熱系統利用ユニット2、3の潜熱系統利用側制御部28、38や顕熱系統利用ユニット4、5の顕熱系統利用側制御部48、58との間で制御信号を伝送できるようになっている。また、熱源側制御部65は、熱源側制御部65との間でも制御信号等のやりとりを行うことができるようになっている。
本実施形態の空気調和システム1では、熱源ユニット6の圧縮機構61で圧縮・吐出された高圧のガス冷媒を吐出ガス連絡配管8を介して潜熱系統利用ユニット2、3の吸着熱交換器22、23、32、33に供給し、潜熱系統利用ユニット2、3の吸着熱交換器22、23、32、33から吸入ガス連絡配管9を介して熱源ユニット6の圧縮機構61の吸入側に戻すことができるようになっている。このため、顕熱系統利用ユニット4、5の動作とは無関係に、屋内の除湿又は加湿を行うことができるようになっている。
また、顕熱系統利用ユニット4、5は、空気熱交換器42、52のガス側が接続ユニット14、15を介して吐出ガス連絡配管8及び吸入ガス連絡配管9に切り換え可能に接続されている。接続ユニット14、15は、主として、冷暖切換弁71、81と、蒸発圧力調節弁73、83と、蒸発圧力センサ74、84と、接続ユニット14、15を構成する各部の動作を制御する接続ユニット制御部72、82とを備えている。冷暖切換弁71、81は、顕熱系統利用ユニット4、5が冷房運転を行う場合には顕熱系統利用ユニット4、5の空気熱交換器42、52のガス側と吸入ガス連絡配管9とを接続する状態(以下、冷房運転状態とする)と、顕熱系統利用ユニット4、5が暖房運転を行う場合には顕熱系統利用ユニット4、5の空気熱交換器42、52のガス側と吐出ガス連絡配管8とを接続する状態(以下、暖房運転状態とする)との切り換えを行う切換機構として機能する弁であり、その第1ポート71a、81aは空気熱交換器42、52のガス側に接続されており、その第2ポート71b、81bは吸入ガス連絡配管9に接続されており、その第3ポート71c、81cは吐出ガス連絡配管8に接続されている。そして、冷暖切換弁71、81は、上述のように、第1ポート71a、81aと第2ポート71b、81bとを接続(冷房運転状態に対応、図1の冷暖切換弁71、81の実線を参照)したり、第1ポート71a、81aと第3ポート71c、81cとを接続(暖房運転状態に対応、図1の冷暖切換弁71、81の破線を参照)する切り換えを行うことが可能である。蒸発圧力調節弁73、83は、顕熱系統利用ユニット4、5の空気熱交換器42、52を冷媒の蒸発器として機能させる際の空気熱交換器42、52における冷媒の蒸発圧力を制御する圧力調節機構として機能するように設けられた電動膨張弁である。蒸発圧力センサ74、84は、空気熱交換器42、52における冷媒の圧力を検出する圧力検出機構として機能するように設けられた圧力センサである。接続ユニット制御部72、82は、接続ユニット14、15の制御を行うために設けられたマイクロコンピュータやメモリを有しており、顕熱系統利用ユニット4、5の顕熱系統利用側制御部48、58との間で制御信号を伝送できるようになっている。これにより、顕熱系統利用ユニット4、5は、例えば、顕熱系統利用ユニット4を冷房運転しつつ、顕熱系統利用ユニット5を暖房運転する等の、いわゆる、冷暖同時運転を行うことが可能になっている。
また、本実施形態の顕熱系統利用ユニット4、5は、後述のように、除湿冷房運転をする際に空気熱交換器42、52において結露が生じないように冷房運転する、いわゆる、顕熱冷房運転を行うように制御されている。このため、顕熱系統利用ユニット4、5には、ドレン配管が接続されていない。
しかも、上述のとおり、空気調和システム101の潜熱負荷処理システムに使用されている潜熱系統利用ユニット2、3は、吸着熱交換器22、23、32、33の吸着動作及び再生動作によって潜熱処理できるようになっているため、顕熱系統利用ユニット4、5と同様、ドレン配管が接続されていない。つまり、本実施形態の空気調和システム101全体として、ドレンレスシステムが実現されている。
(2)空気調和システムの動作
次に、本実施形態の空気調和システム1の動作について説明する。空気調和システム1は、屋内の潜熱負荷を潜熱負荷処理システムで処理し、屋内の顕熱負荷を主として顕熱負荷処理システムで処理することができる。各種の運転動作について説明するのに先だって、まず、空気調和システム1の潜熱負荷処理システムの単独運転時(すなわち、顕熱系統利用ユニット4、5を運転しない場合)の動作について説明する。
空気調和システム1は、潜熱負荷処理システムのみの単独運転により、以下のような各種の除湿運転や加湿運転を行うことができる。
<全換気モード>
まず、全換気モードにおける除湿運転及び加湿運転について説明する。全換気モードにおいては、潜熱系統利用ユニット2、3の給気ファン及び排気ファンを運転すると、屋外空気OAが外気吸入口を通じてユニット内に吸入されて給気口を通じて供給空気SAとして屋内に供給され、屋内空気RAが内気吸入口を通じてユニット内に吸入されて排気口を通じて排出空気EAとして屋外に排出される運転が行われる。
全換気モードの除湿運転中の動作について、図2、図3及び図4を用いて説明する。ここで、図2及び図3は、空気調和システム1の潜熱負荷処理システムのみを運転した場合おける全換気モードの除湿運転時の動作を示す概略の冷媒回路図である。図4は、空気調和システム1の潜熱負荷処理システムのみを運転した場合における制御フロー図である。
除湿運転中には、図2及び図3に示されるように、例えば、潜熱系統利用ユニット2においては、第1吸着熱交換器22が凝縮器となって第2吸着熱交換器23が蒸発器となる第1動作と、第2吸着熱交換器23が凝縮器となって第1吸着熱交換器22が蒸発器となる第2動作とが交互に繰り返される。潜熱系統利用ユニット3においても同様に、第1吸着熱交換器32が凝縮器となって第2吸着熱交換器33が蒸発器となる第1動作と、第2吸着熱交換器33が凝縮器となって第1吸着熱交換器32が蒸発器となる第2動作とが交互に繰り返される。
以下の説明では、2つの潜熱系統利用ユニット2、3の動作をまとめて記載する。
第1動作では、第1吸着熱交換器22、32についての再生動作と、第2吸着熱交換器23、33についての吸着動作とが並行して行われる。第1動作中は、図2に示されるように、潜熱系統利用側四路切換弁21、31が第1状態(図2の潜熱系統利用側四路切換弁21、31の実線を参照)に設定される。この状態で、圧縮機構61から吐出された高圧のガス冷媒は、吐出ガス連絡配管8、潜熱系統利用側四路切換弁21、31を通じて第1吸着熱交換器22、32に流入し、第1吸着熱交換器22、32を通過する間に凝縮する。そして、凝縮された冷媒は、潜熱系統利用側膨張弁24、34で減圧されて、その後、第2吸着熱交換器23、33を通過する間に蒸発し、潜熱系統利用側四路切換弁21、31、吸入ガス連絡配管9を通じて圧縮機構61に再び吸入される(図2の冷媒回路10に付された矢印を参照)。この際、顕熱系統利用ユニット4、5の顕熱系統利用側膨張弁41、51は閉止されているため、顕熱系統利用ユニット4、5には、冷媒が流れないようになっている。
第1動作中において、第1吸着熱交換器22、32では、冷媒の凝縮により加熱された吸着剤から水分が脱離し、この脱離した水分が内気吸入口から吸入された屋内空気RAに付与される。第1吸着熱交換器22、32から脱離した水分は、屋内空気RAに同伴して排気口を通じて排出空気EAとして屋外へ排出される。第2吸着熱交換器23、33では、屋外空気OA中の水分が吸着剤に吸着されて屋外空気OAが除湿され、その際に生じた吸着熱が冷媒に吸熱されて冷媒が蒸発する。そして、第2吸着熱交換器23、33で除湿された屋外空気OAは、給気口を通って供給空気SAとして屋内へ供給される(図2の吸着熱交換器22、23、32、33の両側に付された矢印を参照)。
第2動作では、第1吸着熱交換器22、32についての吸着動作と、第2吸着熱交換器23、33についての再生動作とが並行して行われる。第2動作中は、図3に示されるように、潜熱系統利用側四路切換弁21、31が第2状態(図3の潜熱系統利用側四路切換弁21、31の破線を参照)に設定される。この状態で、圧縮機構61から吐出された高圧のガス冷媒は、吐出ガス連絡配管8、潜熱系統利用側四路切換弁21、31を通じて第2吸着熱交換器23、33に流入し、第2吸着熱交換器23、33を通過する間に凝縮する。そして、凝縮された冷媒は、潜熱系統利用側膨張弁24、34で減圧されて、その後、第1吸着熱交換器22、32を通過する間に蒸発し、潜熱系統利用側四路切換弁21、31、吸入ガス連絡配管9を通じて圧縮機構61に再び吸入される(図3の冷媒回路10に付された矢印を参照)。
第2動作中において、第2吸着熱交換器23、33では、冷媒の凝縮により加熱された吸着剤から水分が脱離し、この脱離した水分が内気吸入口から吸入された屋内空気RAに付与される。第2吸着熱交換器23、33から脱離した水分は、屋内空気RAに同伴して排気口を通じて排出空気EAとして屋外へ排出される。第1吸着熱交換器22、32では、屋外空気OA中の水分が吸着剤に吸着されて屋外空気OAが除湿され、その際に生じた吸着熱が冷媒に吸熱されて冷媒が蒸発する。そして、第1吸着熱交換器22、32で除湿された屋外空気OAは、給気口を通って供給空気SAとして屋内へ供給される(図3の吸着熱交換器22、23、32、33の両側に付された矢印を参照)。
ここで、空気調和システム1の潜熱負荷処理システムのみの単独運転時において行われているシステム制御について説明する。
まず、リモコン11、12によって屋内の空気の目標温度及び目標相対湿度が設定されると、潜熱系統利用ユニット2、3の潜熱系統利用側制御部28、38には、これらの目標温度値及び目標相対湿度値とともに、RA吸入温度・湿度センサ25、35によって検出されたユニット内に吸入される屋内の空気の温度値及び相対湿度値と、OA吸入温度・湿度センサ26、36によって検出されたユニット内に吸入される屋外の空気の温度値及び相対湿度値とが入力される。
すると、ステップS1において、潜熱系統利用側制御部28、38は、屋内の空気の目標温度値及び目標相対湿度値からエンタルピの目標値又は絶対湿度の目標値を演算し、そして、RA吸入温度・湿度センサ25、35によって検出された温度値及び相対湿度値から屋内からユニット内に吸入される空気のエンタルピの現在値又は絶対湿度の現在値を演算し、両値の差(以下、必要潜熱能力値Δhとする)を演算する。ここで、必要潜熱能力値Δhは、上述のように屋内の空気のエンタルピの目標値又は絶対湿度の目標値と現在の屋内の空気のエンタルピ値又は絶対湿度値との差であるため、空気調和システム1において処理しなければならない潜熱負荷に相当するものである。そして、この必要潜熱能力値Δhの値を、潜熱系統利用ユニット2、3の処理能力を上げる必要があるかどうかを熱源側制御部65に知らせるための能力UP信号K1に変換する。例えば、Δhの絶対値が所定値よりも小さい場合(すなわち、屋内の空気の湿度値が目標湿度値に近い値であり、処理能力を増減する必要がない場合)には能力UP信号K1を「0」とし、Δhの絶対値が所定値よりも処理能力を上げなければならない方向に大きい場合(すなわち、除湿運転においては屋内の空気の湿度値が目標湿度値よりも高く、処理能力を上げる必要がある場合)には能力UP信号K1を「A」とし、Δhの絶対値が所定値よりも処理能力を下げなければならない方向に大きい場合(すなわち、除湿運転においては屋内の空気の湿度値が目標湿度値よりも低く、処理能力を下げる必要がある場合)には能力UP信号K1を「B」とする。
次に、ステップS2において、熱源側制御部65は、潜熱系統利用側制御部28、38から伝送された潜熱系統利用ユニット2、3の能力UP信号K1を用いて、目標凝縮温度値TcS1及び目標蒸発温度値TeS1を演算する。例えば、目標凝縮温度値TcS1は、現在の目標凝縮温度値に潜熱系統利用ユニット2、3の能力UP信号K1を加算することによって演算される。また、目標蒸発温度値TeS1は、現在の目標蒸発温度値に潜熱系統利用ユニット2、3の能力UP信号K1を減算することによって演算される。これにより、能力UP信号K1の値が「A」の場合には、目標凝縮温度値TcS1は高くなり、目標蒸発温度値TeS1は低くなる。
次に、ステップS3において、空気調和システム1全体の凝縮温度及び蒸発温度の実測値に相当する値であるシステム凝縮温度値Tc1及びシステム蒸発温度値Te1を演算する。例えば、システム凝縮温度値Tc1及びシステム蒸発温度値Te1は、吸入圧力センサ66によって検出された圧縮機構61の吸入圧力値及び吐出圧力センサ67によって検出された圧縮機構61の吐出圧力値を、これらの圧力値における冷媒の飽和温度に換算することによって演算される。そして、システム凝縮温度値Tc1に対する目標凝縮温度値TcS1の温度差ΔTc1及びシステム蒸発温度値Te1に対する目標蒸発温度値TeS1の温度差ΔTe1を演算し、これらの温度差を除算することによって圧縮機構61の運転容量の増減の要否及び増減幅を決定する。
このようにして決定された圧縮機構61の運転容量を用いて、圧縮機構61の運転容量を制御することで、屋内の空気の目標温度及び目標相対湿度に近づけるシステム制御を行っている。例えば、温度差ΔTc1から温度差ΔTe1を差し引いた値が正値の場合には圧縮機構61の運転容量を増加させ、逆に、温度差ΔTc1から温度差ΔTe1を差し引いた値が負値の場合には圧縮機構61の運転容量を減少させるように制御する。
ここで、第1吸着熱交換器22、32及び第2吸着熱交換器23、33は、これらの吸着動作及び再生動作によって、空気中の水分を吸着したりや吸着された水分を空気中に脱離させる処理(以下、潜熱処理とする)だけでなく、通過する空気を冷却や加熱して温度を変化させる処理(以下、顕熱処理とする)も行っている。吸着熱交換器において得られる潜熱処理能力及び顕熱処理能力を第1動作及び第2動作、すなわち、吸着動作及び再生動作の切換時間間隔を横軸として表示したグラフを図5に示す。これによると、切換時間間隔を短くした場合(図5の時間C、潜熱優先モードとする)には潜熱処理、すなわち、空気中の水分を吸着したりや脱離させる処理が優先して行われるが、切換時間間隔を長くした場合(図5の時間D、顕熱優先モードとする)には顕熱処理、すなわち、空気を冷却や加熱して温度を変化させる処理が優先して行われることがわかる。例えば、蒸発器として機能する第1吸着熱交換器22、32及び第2吸着熱交換器23、33に空気を接触させると、最初は主として表面に設けられた吸着剤によって水分を吸着するため、この際に発生する吸着熱を処理することになるが、吸着剤の水分吸着容量近くまで水分を吸着してしまうと、その後は、主として空気を冷却することになるからである。また、凝縮器として機能する第1吸着熱交換器22、32及び第2吸着熱交換器23、33に空気を接触させると、最初は、主として表面に設けられた吸着剤の加熱処理により吸着剤に吸着された水分が空気中に脱離されることになるが、吸着剤に吸着された水分がほぼ脱離されてしまうと、その後は、主として空気を加熱することになるからである。そして、この切換時間間隔を潜熱系統利用側制御部28、38からの指令により変更することによって、潜熱処理能力に対する顕熱処理能力の割合(以下、顕熱処理能力比とする)を変更することができるようになっている。尚、後述のように、空気調和システム1の潜熱負荷処理システムは、顕熱負荷処理システムとともに運転する場合(すなわち、顕熱系統利用ユニット4、5を運転する場合、以下、通常運転とする)には、主として潜熱処理を行うため、切換時間間隔を時間C、すなわち、潜熱優先モードに設定されている。
このように、この空気調和システム1では、潜熱負荷処理システムのみの全換気モードの除湿運転において、屋外の空気を除湿するとともに、切換時間間隔に応じて得られる顕熱処理能力によって冷却を行って屋内に供給する冷房運転を行うことができる。
全換気モードの加湿運転中の動作について、図6及び図7を用いて説明する。ここで、図6及び図7は、空気調和システム1の潜熱負荷処理システムのみにおける全換気モードの加湿運転時の動作を示す概略の冷媒回路図である。尚、空気調和システム1において行われているシステム制御については、上述の全換気モードの除湿運転と同様であるため、説明を省略する。
加湿運転中には、図6及び図7に示されるように、例えば、潜熱系統利用ユニット2においては、第1吸着熱交換器22が凝縮器となって第2吸着熱交換器23が蒸発器となる第1動作と、第2吸着熱交換器23が凝縮器となって第1吸着熱交換器22が蒸発器となる第2動作とが交互に繰り返される。潜熱系統利用ユニット3においても同様に、第1吸着熱交換器32が凝縮器となって第2吸着熱交換器33が蒸発器となる第1動作と、第2吸着熱交換器33が凝縮器となって第1吸着熱交換器32が蒸発器となる第2動作とが交互に繰り返される。以下、第1動作及び第2動作中における冷媒回路10内の冷媒の流れについては、上述の全換気モードの除湿運転と同様であるため、説明を省略し、第1動作及び第2動作中における空気の流れについてのみ説明する。
第1動作中において、第1吸着熱交換器22、32では、冷媒の凝縮により加熱された吸着剤から水分が脱離し、この脱離した水分が外気吸入口から吸入された屋外空気OAに付与される。第1吸着熱交換器22、32から脱離した水分は、屋外空気OAに同伴して給気口を通じて供給空気SAとして屋内へ供給される。第2吸着熱交換器23、33では、屋内空気RA中の水分が吸着剤に吸着されて屋内空気RAが除湿され、その際に生じた吸着熱が冷媒に吸熱されて冷媒が蒸発する。そして、第2吸着熱交換器23、33で除湿された屋内空気RAは、排気口を通って排出空気EAとして屋外へ排出される(図6の吸着熱交換器22、23、32、33の両側に付された矢印を参照)。
第2動作中において、第2吸着熱交換器23、33では、冷媒の凝縮により加熱された吸着剤から水分が脱離し、この脱離した水分が外気吸入口から吸入された屋外空気OAに付与される。第2吸着熱交換器23、33から脱離した水分は、屋外空気OAに同伴して給気口を通じて供給空気SAとして屋内へ供給される。第1吸着熱交換器22、32では、屋内空気RA中の水分が吸着剤に吸着されて屋内空気RAが除湿され、その際に生じた吸着熱が冷媒に吸熱されて冷媒が蒸発する。そして、第1吸着熱交換器22、32で除湿された屋内空気RAは、排気口を通って排出空気EAとして屋外へ排出される(図7の吸着熱交換器22、23、32、33の両側に付された矢印を参照)。
ここで、第1吸着熱交換器22、32及び第2吸着熱交換器23、33は、上述の全換気モードの除湿運転と同様に、潜熱処理だけでなく、顕熱処理も行っている。
このように、この空気調和システム1では、潜熱負荷処理システムのみの全換気モードの加湿運転において、屋外の空気を加湿するとともに、切換時間間隔に応じて得られる顕熱処理能力によって加熱を行って屋内に供給する加湿運転を行うことができる。
<循環モード>
次に、循環モードにおける除湿運転及び加湿運転について説明する。循環モードにおいては、潜熱系統利用ユニット2、3の給気ファン及び排気ファンを運転すると、屋内空気RAが内気吸入口を通じてユニット内に吸入されて給気口を通じて供給空気SAとして屋内に供給され、屋外空気OAが外気吸入口を通じてユニット内に吸入されて排気口を通じて排出空気EAとして屋外に排出される運転が行われる。
循環モードの除湿運転中の動作について、図8及び図9を用いて説明する。ここで、図8及び図9は、空気調和システム1の潜熱負荷処理システムのみにおける循環モードの除湿運転時の動作を示す概略の冷媒回路図である。尚、空気調和システム1において行われているシステム制御については、上述の全換気モードの除湿運転と同様であるため、説明を省略する。
除湿運転中には、図8及び図9に示されるように、例えば、潜熱系統利用ユニット2においては、第1吸着熱交換器22が凝縮器となって第2吸着熱交換器23が蒸発器となる第1動作と、第2吸着熱交換器23が凝縮器となって第1吸着熱交換器22が蒸発器となる第2動作とが交互に繰り返される。潜熱系統利用ユニット3においても同様に、第1吸着熱交換器32が凝縮器となって第2吸着熱交換器33が蒸発器となる第1動作と、第2吸着熱交換器33が凝縮器となって第1吸着熱交換器32が蒸発器となる第2動作とが交互に繰り返される。以下、第1動作及び第2動作中における冷媒回路10内の冷媒の流れについては、上述の全換気モードの除湿運転と同様であるため、説明を省略し、第1動作及び第2動作中における空気の流れについてのみ説明する。
第1動作中において、第1吸着熱交換器22、32では、冷媒の凝縮により加熱された吸着剤から水分が脱離し、この脱離した水分が外気吸入口から吸入された屋外空気OAに付与される。第1吸着熱交換器22、32から脱離した水分は、屋外空気OAに同伴して排気口を通じて排出空気EAとして屋外へ排出される。第2吸着熱交換器23、33では、屋内空気RA中の水分が吸着剤に吸着されて屋内空気RAが除湿され、その際に生じた吸着熱が冷媒に吸熱されて冷媒が蒸発する。そして、第2吸着熱交換器23、33で除湿された屋内空気RAは、給気口を通って供給空気SAとして屋内へ供給される(図8の吸着熱交換器22、23、32、33の両側に付された矢印を参照)。
第2動作中において、第2吸着熱交換器23、33では、冷媒の凝縮により加熱された吸着剤から水分が脱離し、この脱離した水分が外気吸入口から吸入された屋外空気OAに付与される。第2吸着熱交換器23、33から脱離した水分は、屋外空気OAに同伴して排気口を通じて排出空気EAとして屋外へ排出される。第1吸着熱交換器22、32では、屋内空気RA中の水分が吸着剤に吸着されて屋内の空気が除湿され、その際に生じた吸着熱が冷媒に吸熱されて冷媒が蒸発する。そして、第1吸着熱交換器22、32で除湿された屋内空気RAは、給気口を通って供給空気SAとして屋内へ供給される(図9の吸着熱交換器22、23、32、33の両側に付された矢印を参照)。
ここで、第1吸着熱交換器22、32及び第2吸着熱交換器23、33は、潜熱処理だけでなく、顕熱処理も行っている。
このように、この空気調和システム1では、潜熱負荷処理システムのみの循環モードの除湿運転において、屋内の空気を除湿するとともに、切換時間間隔に応じて得られる顕熱処理能力によって冷却を行って屋内に供給する除湿運転を行うことができる。
循環モードの加湿運転中の動作について、図10及び図11を用いて説明する。ここで、図10及び図11は、空気調和システム1の潜熱負荷処理システムのみにおける循環モードの除湿運転時の動作を示す概略の冷媒回路図である。尚、空気調和システム1において行われているシステム制御については、上述の全換気モードの除湿運転と同様であるため、説明を省略する。
加湿運転中には、図10及び図11に示されるように、例えば、潜熱系統利用ユニット2においては、第1吸着熱交換器22が凝縮器となって第2吸着熱交換器23が蒸発器となる第1動作と、第2吸着熱交換器23が凝縮器となって第1吸着熱交換器22が蒸発器となる第2動作とが交互に繰り返される。潜熱系統利用ユニット3においても同様に、第1吸着熱交換器32が凝縮器となって第2吸着熱交換器33が蒸発器となる第1動作と、第2吸着熱交換器33が凝縮器となって第1吸着熱交換器32が蒸発器となる第2動作とが交互に繰り返される。以下、第1動作及び第2動作中における冷媒回路10内の冷媒の流れについては、上述の全換気モードの除湿運転と同様であるため、説明を省略し、第1動作及び第2動作中における空気の流れについてのみ説明する。
第1動作中において、第1吸着熱交換器22、32では、冷媒の凝縮により加熱された吸着剤から水分が脱離し、この脱離した水分が内気吸入口から吸入された屋内空気RAに付与される。第1吸着熱交換器22、32から脱離した水分は、屋内空気RAに同伴して給気口を通じて供給空気SAとして屋内へ供給される。第2吸着熱交換器23、33では、屋外空気OA中の水分が吸着剤に吸着されて屋外空気OAが除湿され、その際に生じた吸着熱が冷媒に吸熱されて冷媒が蒸発する。そして、第2吸着熱交換器23、33で除湿された屋外空気OAは、排気口を通って排出空気EAとして屋外へ排出される(図10の吸着熱交換器22、23、32、33の両側に付された矢印を参照)。
第2動作中において、第2吸着熱交換器23、33では、冷媒の凝縮により加熱された吸着剤から水分が脱離し、この脱離した水分が内気吸入口から吸入された屋内空気RAに付与される。第2吸着熱交換器23、33から脱離した水分は、屋内空気RAに同伴して給気口を通じて供給空気SAとして屋内へ供給される。第1吸着熱交換器22、32では、屋外空気OA中の水分が吸着剤に吸着されて屋外空気OAが除湿され、その際に生じた吸着熱が冷媒に吸熱されて冷媒が蒸発する。そして、第1吸着熱交換器22、32で除湿された屋外空気OAは、排気口を通って排出空気EAとして屋外へ排出される(図11の吸着熱交換器22、23、32、33の両側に付された矢印を参照)。
ここで、第1吸着熱交換器22、32及び第2吸着熱交換器23、33は、上述の全換気モードの除湿運転と同様に、潜熱処理だけでなく、顕熱処理も行っている。
このように、この空気調和システム1では、潜熱負荷処理システムのみの循環モードの加湿運転において、屋内の空気を加湿するとともに、切換時間間隔に応じて得られる顕熱処理能力によって加熱を行って屋内に供給する加湿暖房運転を行うことができる。
<給気モード>
次に、給気モードにおける除湿運転及び加湿運転について説明する。給気モードにおいては、潜熱系統利用ユニット2、3の給気ファン及び排気ファンを運転すると、屋外空気OAが外気吸入口を通じてユニット内に吸入されて給気口を通じて供給空気SAとして屋内に供給され、屋外空気OAが外気吸入口を通じてユニット内に吸入されて排気口を通じて排出空気EAとして屋外に排出される運転が行われる。
給気モードの除湿運転中の動作について、図12及び図13を用いて説明する。ここで、図12及び図13は、空気調和システム1の潜熱負荷処理システムのみにおける給気モードの除湿運転時の動作を示す概略の冷媒回路図である。尚、空気調和システム1において行われているシステム制御については、上述の全換気モードの除湿運転と同様であるため、説明を省略する。
除湿運転中には、図12及び図13に示されるように、例えば、潜熱系統利用ユニット2においては、第1吸着熱交換器22が凝縮器となって第2吸着熱交換器23が蒸発器となる第1動作と、第2吸着熱交換器23が凝縮器となって第1吸着熱交換器22が蒸発器となる第2動作とが交互に繰り返される。潜熱系統利用ユニット3においても同様に、第1吸着熱交換器32が凝縮器となって第2吸着熱交換器33が蒸発器となる第1動作と、第2吸着熱交換器33が凝縮器となって第1吸着熱交換器32が蒸発器となる第2動作とが交互に繰り返される。以下、第1動作及び第2動作中における冷媒回路10内の冷媒の流れについては、上述の全換気モードの除湿運転と同様であるため、説明を省略し、第1動作及び第2動作中における空気の流れについてのみ説明する。
第1動作中において、第1吸着熱交換器22、32では、冷媒の凝縮により加熱された吸着剤から水分が脱離し、この脱離した水分が外気吸入口から吸入された屋外空気OAに付与される。第1吸着熱交換器22、32から脱離した水分は、屋外空気OAに同伴して排気口を通じて排出空気EAとして屋外へ排出される。第2吸着熱交換器23、33では、屋外空気OA中の水分が吸着剤に吸着されて屋外空気OAが除湿され、その際に生じた吸着熱が冷媒に吸熱されて冷媒が蒸発する。そして、第2吸着熱交換器23、33で除湿された屋外空気OAは、給気口を通って供給空気SAとして屋内へ供給される(図12の吸着熱交換器22、23、32、33の両側に付された矢印を参照)。
第2動作中において、第2吸着熱交換器23、33では、冷媒の凝縮により加熱された吸着剤から水分が脱離し、この脱離した水分が外気吸入口から吸入された屋外空気OAに付与される。第2吸着熱交換器23、33から脱離した水分は、屋外空気OAに同伴して排気口を通じて排出空気EAとして屋外に排出される。第1吸着熱交換器22、32では、屋外空気OA中の水分が吸着剤に吸着されて屋外空気OAが除湿され、その際に生じた吸着熱が冷媒に吸熱されて冷媒が蒸発する。そして、第1吸着熱交換器22、32で除湿された屋外空気OAは、給気口を通って供給空気SAとして屋内へ供給される(図13の吸着熱交換器22、23、32、33の両側に付された矢印を参照)。
ここで、第1吸着熱交換器22、32及び第2吸着熱交換器23、33は、潜熱処理だけでなく、顕熱処理も行っている。
このように、この空気調和システム1では、潜熱負荷処理システムのみの給気モードの除湿運転において、屋外の空気を除湿するとともに、切換時間間隔に応じて得られる顕熱処理能力によって冷却を行って屋内に供給する除湿運転を行うことができる。
給気モードの加湿運転中の動作について、図14及び図15を用いて説明する。ここで、図14及び図15は、空気調和システム1の潜熱負荷処理システムのみにおける給気モードの加湿運転時の動作を示す概略の冷媒回路図である。尚、空気調和システム1において行われているシステム制御については、上述の全換気モードの除湿運転と同様であるため、説明を省略する。
加湿運転中には、図14及び図15に示されるように、例えば、潜熱系統利用ユニット2においては、第1吸着熱交換器22が凝縮器となって第2吸着熱交換器23が蒸発器となる第1動作と、第2吸着熱交換器23が凝縮器となって第1吸着熱交換器22が蒸発器となる第2動作とが交互に繰り返される。潜熱系統利用ユニット3においても同様に、第1吸着熱交換器32が凝縮器となって第2吸着熱交換器33が蒸発器となる第1動作と、第2吸着熱交換器33が凝縮器となって第1吸着熱交換器32が蒸発器となる第2動作とが交互に繰り返される。以下、第1動作及び第2動作中における冷媒回路10内の冷媒の流れについては、上述の全換気モードの除湿運転と同様であるため、説明を省略し、第1動作及び第2動作中における空気の流れについてのみ説明する。
第1動作中において、第1吸着熱交換器22、32では、冷媒の凝縮により加熱された吸着剤から水分が脱離し、この脱離した水分が外気吸入口から吸入された屋外空気OAに付与される。第1吸着熱交換器22、32から脱離した水分は、屋外空気OAに同伴して給気口を通じて供給空気SAとして屋内へ供給される。第2吸着熱交換器23、33では、屋外空気OA中の水分が吸着剤に吸着されて屋外の空気が除湿され、その際に生じた吸着熱が冷媒に吸熱されて冷媒が蒸発する。そして、第2吸着熱交換器23、33で除湿された屋外空気OAは、排気口を通って排出空気EAとして屋外へ排出される(図14の吸着熱交換器22、23、32、33の両側に付された矢印を参照)。
第2動作中において、第2吸着熱交換器23、33では、冷媒の凝縮により加熱された吸着剤から水分が脱離し、この脱離した水分が外気吸入口から吸入された屋外空気OAに付与される。第2吸着熱交換器23、33から脱離した水分は、屋外空気OAに同伴して給気口を通じて供給空気SAとして屋内へ供給される。第1吸着熱交換器22、32では、屋外空気OA中の水分が吸着剤に吸着されて屋外空気OAが除湿され、その際に生じた吸着熱が冷媒に吸熱されて冷媒が蒸発する。そして、第1吸着熱交換器22、32で除湿された屋外空気OAは、排気口を通って排出空気EAとして屋外へ排出される(図15の吸着熱交換器22、23、32、33の両側に付された矢印を参照)。
ここで、第1吸着熱交換器22、32及び第2吸着熱交換器23、33は、潜熱処理だけでなく、顕熱処理も行っている。
このように、この空気調和システム1では、潜熱負荷処理システムのみの給気モードの加湿運転において、屋外の空気を加湿するとともに、切換時間間隔に応じて得られる顕熱処理能力によって加熱を行って屋内に供給する加湿運転を行うことができる。
<排気モード>
次に、排気モードにおける除湿運転及び加湿運転について説明する。排気モードにおいては、潜熱系統利用ユニット2、3の給気ファン及び排気ファンを運転すると、屋内空気RAが内気吸入口を通じてユニット内に吸入されて給気口を通じて供給空気SAとして屋内に供給され、屋内空気RAが内気吸入口を通じてユニット内に吸入されて排気口を通じて排出空気EAとして屋外に排出される運転が行われる。
排気モードの除湿運転中の動作について、図16及び図17を用いて説明する。ここで、図16及び図17は、空気調和システム1の潜熱負荷処理システムのみにおける排気モードの除湿運転時の動作を示す概略の冷媒回路図である。尚、空気調和システム1において行われているシステム制御については、上述の全換気モードの除湿運転と同様であるため、説明を省略する。
除湿運転中には、図16及び図17に示されるように、例えば、潜熱系統利用ユニット2においては、第1吸着熱交換器22が凝縮器となって第2吸着熱交換器23が蒸発器となる第1動作と、第2吸着熱交換器23が凝縮器となって第1吸着熱交換器22が蒸発器となる第2動作とが交互に繰り返される。潜熱系統利用ユニット3においても同様に、第1吸着熱交換器32が凝縮器となって第2吸着熱交換器33が蒸発器となる第1動作と、第2吸着熱交換器33が凝縮器となって第1吸着熱交換器32が蒸発器となる第2動作とが交互に繰り返される。以下、第1動作及び第2動作中における冷媒回路10内の冷媒の流れについては、上述の全換気モードの除湿運転と同様であるため、説明を省略し、第1動作及び第2動作中における空気の流れについてのみ説明する。
第1動作中において、第1吸着熱交換器22、32では、冷媒の凝縮により加熱された吸着剤から水分が脱離し、この脱離した水分が内気吸入口から吸入された屋内空気RAに付与される。第1吸着熱交換器22、32から脱離した水分は、屋内空気RAに同伴して排気口を通じて排出空気EAとして屋外へ排出される。第2吸着熱交換器23、33では、屋内空気RA中の水分が吸着剤に吸着されて屋内空気RAが除湿され、その際に生じた吸着熱が冷媒に吸熱されて冷媒が蒸発する。そして、第2吸着熱交換器23、33で除湿された屋内空気RAは、給気口を通って供給空気SAとして屋内へ供給される(図16の吸着熱交換器22、23、32、33の両側に付された矢印を参照)。
第2動作中において、第2吸着熱交換器23、33では、冷媒の凝縮により加熱された吸着剤から水分が脱離し、この脱離した水分が内気吸入口から吸入された屋内空気RAに付与される。第2吸着熱交換器23、33から脱離した水分は、屋内空気RAに同伴して排気口を通じて排出空気EAとして屋外に排気される。第1吸着熱交換器22、32では、屋内空気RA中の水分が吸着剤に吸着されて屋内空気RAが除湿され、その際に生じた吸着熱が冷媒に吸熱されて冷媒が蒸発する。そして、第1吸着熱交換器22、32で除湿された屋内空気RAは、給気口を通って供給空気SAとして屋内へ供給される(図17の吸着熱交換器22、23、32、33の両側に付された矢印を参照)。
ここで、第1吸着熱交換器22、32及び第2吸着熱交換器23、33は、潜熱処理だけでなく、顕熱処理も行っている。
このように、この空気調和システム1では、潜熱負荷処理システムのみの排気モードの除湿運転において、屋内の空気を除湿するとともに、切換時間間隔に応じて得られる顕熱処理能力によって冷却を行って屋内に供給する除湿運転を行うことができる。
排気モードの加湿運転中の動作について、図18及び図19を用いて説明する。ここで、図18及び図19は、空気調和システム1の潜熱負荷処理システムのみにおける排気モードの加湿運転時の動作を示す概略の冷媒回路図である。尚、空気調和システム1において行われているシステム制御については、上述の全換気モードの除湿運転と同様であるため、説明を省略する。
加湿運転中には、図18及び図19に示されるように、例えば、潜熱系統利用ユニット2においては、第1吸着熱交換器22が凝縮器となって第2吸着熱交換器23が蒸発器となる第1動作と、第2吸着熱交換器23が凝縮器となって第1吸着熱交換器22が蒸発器となる第2動作とが交互に繰り返される。潜熱系統利用ユニット3においても同様に、第1吸着熱交換器32が凝縮器となって第2吸着熱交換器33が蒸発器となる第1動作と、第2吸着熱交換器33が凝縮器となって第1吸着熱交換器32が蒸発器となる第2動作とが交互に繰り返される。以下、第1動作及び第2動作中における冷媒回路10内の冷媒の流れについては、上述の全換気モードの除湿運転と同様であるため、説明を省略し、第1動作及び第2動作中における空気の流れについてのみ説明する。
第1動作中において、第1吸着熱交換器22、32では、冷媒の凝縮により加熱された吸着剤から水分が脱離し、この脱離した水分が内気吸入口から吸入された屋内空気RAに付与される。第1吸着熱交換器22、32から脱離した水分は、屋内空気RAに同伴して給気口を通じて供給空気SAとして屋内へ供給される。第2吸着熱交換器23、33では、屋内空気RA中の水分が吸着剤に吸着されて屋内空気RAが除湿され、その際に生じた吸着熱が冷媒に吸熱されて冷媒が蒸発する。そして、第2吸着熱交換器23、33で除湿された屋内空気RAは、排気口を通って排出空気EAとして屋外へ排出される(図18の吸着熱交換器22、23、32、33の両側に付された矢印を参照)。
第2動作中において、第2吸着熱交換器23、33では、冷媒の凝縮により加熱された吸着剤から水分が脱離し、この脱離した水分が内気吸入口から吸入された屋内空気RAに付与される。第2吸着熱交換器23、33から脱離した水分は、屋内空気SAに同伴して給気口を通じて供給空気SAとして屋内へ供給される。第1吸着熱交換器22、32では、屋内空気RA中の水分が吸着剤に吸着されて屋内空気RAが除湿され、その際に生じた吸着熱が冷媒に吸熱されて冷媒が蒸発する。そして、第1吸着熱交換器22、32で除湿された屋内空気RAは、排気口を通って排出空気EAとして屋外へ排出される(図19の吸着熱交換器22、23、32、33の両側に付された矢印を参照)。
ここで、第1吸着熱交換器22、32及び第2吸着熱交換器23、33は、潜熱処理だけでなく、顕熱処理も行っている。
このように、この空気調和システム1では、潜熱負荷処理システムのみの排気モードの加湿運転において、屋内の空気を加湿するとともに、切換時間間隔に応じて得られる顕熱処理能力によって加熱を行って屋内に供給する加湿運転を行うことができる。
次に、顕熱系統利用ユニット4、5を含めた空気調和システム1全体を運転する場合における空気調和システム1の動作について説明する。空気調和システム1は、屋内の潜熱負荷を潜熱負荷処理システムで処理し、屋内の顕熱負荷のみを顕熱負荷処理システムで処理することができる。以下に、各種の運転動作について説明する。
<ドレンレス除湿冷房運転>
空気調和システム1の潜熱負荷処理システムを全換気モードで除湿運転を行いつつ、顕熱負荷処理システムで顕熱冷房運転を行うドレンレス冷房運転における動作について、図20、図21、図22及び図23を用いて説明する。ここで、図20及び図21は、空気調和システム1における全換気モードのドレンレス除湿冷房運転時の動作を示す概略の冷媒回路図である。図22は、空気調和システム1における第1のドレンレス除湿冷房運転時の制御フロー図である。また、図23は、空気調和システム1における第2のドレンレス冷房運転時の制御フロー図である。尚、図22及び図23においては、空気調和システム1の潜熱系統利用ユニット2及び顕熱系統利用ユニット4のペアと潜熱系統利用ユニット3及び顕熱系統利用ユニット5のペアとは同様の制御フローであるため、潜熱系統利用ユニット3及び顕熱系統利用ユニット5のペアの制御フローの図示を省略している。
空気調和システム1のドレンレス除湿冷房運転時の動作としては、以下に説明する2つの運転方法がある。第1のドレンレス除湿冷房運転の方法は、接続ユニット14、15の蒸発圧力調節弁73、83を利用して空気熱交換器42、52における冷媒の蒸発圧力を最低蒸発温度値Te3以上となるように制御する運転方法である。ここで、最低蒸発温度値Te3とは、空気熱交換器42、52において空気が結露しないように、すなわち、少なくとも、屋内の空気の露点温度以上になるように空気熱交換器42、52内を流れる冷媒の蒸発温度をいう。第2のドレン除湿冷房運転の方法は、第1のドレンレス除湿冷房運転の方法と同様に、接続ユニット14、15の蒸発圧力調節弁73、83を利用して空気熱交換器42、52における冷媒の蒸発圧力を最低蒸発温度値Te3以上となるように制御しつつ、潜熱負荷処理システムを構成する潜熱系統利用ユニット2、3の吸着熱交換器22、32、23、33の吸着動作及び再生動作の切換時間間隔を変更させる制御をする運転方法である。
まず、第1のドレンレス除湿冷房運転時の動作について、図20、図21及び図22を用いて説明する。
まず、空気調和システム1の潜熱負荷処理システムの動作について説明する。尚、ここでは、顕熱負荷処理システムの顕熱冷房運転を実現するために必要な動作については後述するものとし、潜熱負荷処理システムの基本的な動作について先に説明する。
潜熱負荷処理システムの潜熱系統利用ユニット2においては、第1吸着熱交換器22が凝縮器となって第2吸着熱交換器23が蒸発器となる第1動作と、第2吸着熱交換器23が凝縮器となって第1吸着熱交換器22が蒸発器となる第2動作とが交互に繰り返される。潜熱系統利用ユニット3においても同様に、第1吸着熱交換器32が凝縮器となって第2吸着熱交換器33が蒸発器となる第1動作と、第2吸着熱交換器33が凝縮器となって第1吸着熱交換器32が蒸発器となる第2動作とが交互に繰り返される。
以下の説明では、2つの潜熱系統利用ユニット2、3の動作をまとめて記載する。
第1動作では、第1吸着熱交換器22、32についての再生動作と、第2吸着熱交換器23、33についての吸着動作とが並行して行われる。第1動作中は、図20に示されるように、潜熱系統利用側四路切換弁21、31が第1状態(図20の潜熱系統利用側四路切換弁21、31の実線を参照)に設定される。この状態で、圧縮機構61から吐出された高圧のガス冷媒は、吐出ガス連絡配管8、潜熱系統利用側四路切換弁21、31を通じて第1吸着熱交換器22、32に流入し、第1吸着熱交換器22、32を通過する間に凝縮する。そして、凝縮された冷媒は、潜熱系統利用側膨張弁24、34で減圧されて、その後、第2吸着熱交換器23、33を通過する間に蒸発し、潜熱系統利用側四路切換弁21、31、吸入ガス連絡配管9を通じて、圧縮機構61に再び吸入される(図20の潜熱系統冷媒回路10に付された矢印を参照)。ここで、顕熱系統利用ユニット4、5の顕熱系統利用側膨張弁41、51は、上述の潜熱負荷処理システムのみの運転の場合と異なり、冷房運転を行うために、空気熱交換器42、52に冷媒を流すために開けられて開度調節された状態になっているため、圧縮機構61において圧縮され吐出された高圧のガス冷媒の一部が潜熱系統利用ユニット2、3を流れていることになる。
第1動作中において、第1吸着熱交換器22、32では、冷媒の凝縮により加熱された吸着剤から水分が脱離し、この脱離した水分が内気吸入口から吸入された屋内空気RAに付与される。第1吸着熱交換器22、32から脱離した水分は、屋内空気RAに同伴して排気口を通じて排出空気EAとして屋外へ排出される。第2吸着熱交換器23、33では、屋外空気OA中の水分が吸着剤に吸着されて屋外空気OAが除湿され、その際に生じた吸着熱が冷媒に吸熱されて冷媒が蒸発する。そして、第2吸着熱交換器23、33で除湿された屋外空気OAは、給気口を通って供給空気SAとして屋内へ供給される(図20の吸着熱交換器22、23、32、33の両側に付された矢印を参照)。
第2動作では、第1吸着熱交換器22、32についての吸着動作と、第2吸着熱交換器23、33についての再生動作とが並行して行われる。第2動作中は、図21に示されるように、潜熱系統利用側四路切換弁21、31が第2状態(図21の潜熱系統利用側四路切換弁21、31の破線を参照)に設定される。この状態で、圧縮機構61から吐出された高圧のガス冷媒は、吐出ガス連絡配管8、潜熱系統利用側四路切換弁21、31を通じて第2吸着熱交換器23、33に流入し、第2吸着熱交換器23、33を通過する間に凝縮する。そして、凝縮された冷媒は、潜熱系統利用側膨張弁24、34で減圧されて、その後、第1吸着熱交換器22、32を通過する間に蒸発し、潜熱系統利用側四路切換弁21、31、吸入ガス連絡配管9を通じて圧縮機構61に再び吸入される(図21の潜熱系統冷媒回路10に付された矢印を参照)。
第2動作中において、第2吸着熱交換器23、33では、冷媒の凝縮により加熱された吸着剤から水分が脱離し、この脱離した水分が内気吸入口から吸入された屋内空気RAに付与される。第2吸着熱交換器23、33から脱離した水分は、屋内空気RAに同伴して排気口を通じて排出空気EAとして屋外へ排出される。第1吸着熱交換器22、32では、屋外空気OA中の水分が吸着剤に吸着されて屋外空気OAが除湿され、その際に生じた吸着熱が冷媒に吸熱されて冷媒が蒸発する。そして、第1吸着熱交換器22、32で除湿された屋外空気OAは、給気口を通って供給空気SAとして屋内へ供給される(図21の吸着熱交換器22、23、32、33の両側に付された矢印を参照)。
ここで、空気調和システム1において行われているシステム制御について、潜熱負荷処理システムに着目して説明する。
まず、リモコン11、12によって目標温度及び目標相対湿度が設定されると、潜熱系統利用ユニット2、3の潜熱系統利用側制御部28、38には、これらの目標温度値及び目標相対湿度値とともに、RA吸入温度・湿度センサ25、35によって検出されたユニット内に吸入される屋内の空気の温度値及び相対湿度値と、OA吸入温度・湿度センサ26、36によって検出されたユニット内に吸入される屋外の空気の温度値及び相対湿度値とが入力される。
すると、ステップS11において、潜熱系統利用側制御部28、38は、屋内の空気の目標温度値及び目標相対湿度値からエンタルピの目標値又は絶対湿度の目標値を演算し、そして、RA吸入温度・湿度センサ25、35によって検出された温度値及び相対湿度値から屋内からユニット内に吸入される空気のエンタルピの現在値又は絶対湿度の現在値を演算し、両値の差である必要潜熱能力値Δhを演算する。そして、このΔhの値を、潜熱系統利用ユニット2、3の処理能力を上げる必要があるかどうかを熱源側制御部65に知らせるための能力UP信号K1に変換する。例えば、Δhの絶対値が所定値よりも小さい場合(すなわち、屋内の空気の湿度値が目標湿度値に近い値であり、処理能力を増減する必要がない場合)には能力UP信号K1を「0」とし、Δhの絶対値が所定値よりも処理能力を上げなければならない方向に大きい場合(すなわち、除湿運転においては屋内の空気の湿度値が目標湿度値よりも高く、処理能力を上げる必要がある場合)には能力UP信号K1を「A」とし、Δhの絶対値が所定値よりも処理能力を下げなければならない方向に大きい場合(すなわち、除湿運転においては屋内の空気の湿度値が目標湿度値よりも低く、処理能力を下げる必要がある場合)には能力UP信号K1を「B」とする。
次に、空気調和システム1の顕熱負荷処理システムの動作について説明する。
顕熱系統利用ユニット4、5の冷房運転を行う場合、熱源ユニット6の3方切換弁62は、凝縮運転状態(第1ポート62aと第3ポート62cとが接続された状態)になっている。また、接続ユニット14、15の冷暖切換弁71、81は、冷房運転状態(第1ポート71a、81aと第2ポート71b、81bとが接続された状態)になっている。また、顕熱系統利用ユニット4、5の顕熱系統利用側膨張弁41、51は、冷媒を減圧するように開度調節されている。熱源側膨張弁64は開けられた状態になっている。
このような冷媒回路10の状態においては、圧縮機構61から吐出された高圧のガス冷媒は、3方切換弁62を通過して熱源側熱交換器63に流入し凝縮されて液冷媒となる。この液冷媒は、熱源側膨張弁64、レシーバ68及び液連絡配管7を通じて、顕熱系統利用ユニット4、5に送られる。そして、顕熱系統利用ユニット4、5に送られた液冷媒は、顕熱系統利用側膨張弁41、51で減圧された後、空気熱交換器42、52において、ユニット内に吸入された屋内空気RAとの熱交換によって蒸発して低圧のガス冷媒となる。このガス冷媒は、接続ユニット14、15の冷暖切換弁71、81及び吸入ガス連絡配管9を通じて、熱源ユニット6の圧縮機構61に再び吸入される。一方、空気熱交換器42、52において冷媒との熱交換により冷却された屋内空気RAは、供給空気SAとして屋内に供給される。尚、顕熱系統利用側膨張弁41、51は、後述のように、空気熱交換器42、52における過熱度SH、すなわち、液側温度センサ43、53によって検出された空気熱交換器42、52の液側の冷媒温度値と、ガス側温度センサ54、55によって検出された空気熱交換器42、52のガス側の冷媒温度値との温度差が目標過熱度SHSになるように開度制御がなされている。
ここで、空気調和システム1において行われているシステム制御について、顕熱負荷処理システムに着目して説明する。尚、ここでは、顕熱負荷処理システムの顕熱冷房運転を実現するために必要な制御については後述するものとし、顕熱負荷処理システムの基本的な制御について説明する。
まず、リモコン11、12によって目標温度が設定されると、顕熱系統利用ユニット4、5の顕熱系統利用側制御部48、58には、これらの目標温度値とともに、RA吸入温度。湿度センサ45、55によって検出されたユニット内に吸入される屋内の空気の温度値が入力される。
すると、ステップS14において、顕熱系統利用側制御部48、58は、屋内の空気の目標温度値とRA吸入温度センサ45、55によって検出された温度値との温度差(以下、必要顕熱能力値ΔTとする)を演算する。ここで、必要顕熱能力値ΔTは、上述のように屋内の空気の目標温度値と現在の屋内の空気の温度値との差であるため、空気調和システム1において処理しなければならない顕熱負荷に相当するものである。そして、この必要顕熱能力値ΔTの値を、顕熱系統利用ユニット4、5の処理能力を上げる必要があるかどうかを熱源側制御部65に知らせるための能力UP信号K2に変換する。例えば、ΔTの絶対値が所定値よりも小さい場合(すなわち、屋内の空気の温度値が目標温度値に近い値であり、処理能力を増減する必要がない場合)には能力UP信号K2を「0」とし、ΔTの絶対値が所定値よりも処理能力を上げなければならない方向に大きい場合(すなわち、冷房運転においては屋内の空気の温度値が目標温度値よりも高く、処理能力を上げる必要がある場合)には能力UP信号K2を「a」とし、ΔTの絶対値が所定値よりも処理能力を下げなければならない方向に大きい場合(すなわち、冷房運転においては屋内の空気の温度値が目標温度値よりも低く、処理能力を下げる必要がある場合)には能力UP信号K2を「b」とする。
次に、ステップS15において、顕熱系統利用側制御部48、58は、必要顕熱能力値ΔTの値に応じて、目標過熱度SHSの値を変更する。例えば、顕熱系統利用ユニット4、5の処理能力を下げる必要がある場合(能力UP信号K2が「b」の場合)には、目標過熱度SHSを大きくして、空気熱交換器42、52における冷媒と空気との交換熱量を小さくするように顕熱系統利用側膨張弁41、51の開度を制御する。
次に、ステップS12において、熱源側制御部65は、潜熱系統利用側制御部28、38から熱源側制御部65へ伝送された潜熱系統利用ユニット2、3の能力UP信号K1と、顕熱系統利用側制御部48、58から熱源側制御部65へ伝送された顕熱系統利用ユニット4、5の能力UP信号K2とを用いて、目標凝縮温度値TcS及び目標蒸発温度値TeSを演算する。例えば、目標凝縮温度値TcSは、現在の目標凝縮温度値に、潜熱系統利用ユニット2、3の能力UP信号K1及び顕熱系統利用ユニット4、5の能力UP信号K2を加算することによって演算される。また、目標蒸発温度値TeSは、現在の目標蒸発温度値に潜熱系統利用ユニット2、3の能力UP信号K1及び顕熱系統利用ユニット4、5の能力UP信号K2を減算することによって演算される。これにより、能力UP信号K1の値が「A」の場合や能力UP信号K2の値が「a」の場合には、目標凝縮温度値TcSは高くなり、目標蒸発温度値TeSは低くなる。
次に、ステップS13において、空気調和システム1全体の凝縮温度及び蒸発温度の実測値に相当する値であるシステム凝縮温度値Tc及びシステム蒸発温度値Teを演算する。例えば、システム凝縮温度値Tc及びシステム蒸発温度値Teは、吸入圧力センサ66によって検出された圧縮機構61の吸入圧力値及び吐出圧力センサ67によって検出された圧縮機構61の吐出圧力値を、これらの圧力値における冷媒の飽和温度に換算することによって演算される。そして、システム凝縮温度値Tcに対する目標凝縮温度値TcSの温度差ΔTc及びシステム蒸発温度値Teに対する目標蒸発温度値TeSの温度差ΔTeを演算し、これらの温度差を除算することによって圧縮機構61の運転容量の増減の要否及び増減幅を決定する。
このようにして決定された圧縮機構61の運転容量を用いて、圧縮機構61の運転容量を制御することで、屋内の空気の目標相対湿度に近づけるシステム制御を行っている。例えば、温度差ΔTcから温度差ΔTeを差し引いた値が正値の場合には圧縮機構61の運転容量を増加させ、逆に、温度差ΔTcから温度差ΔTeを差し引いた値が負値の場合には圧縮機構61の運転容量を減少させるように制御する。
このように、この空気調和システム1では、空気調和システム1全体として処理しなければならない潜熱負荷(必要潜熱処理能力、Δhに相当)と、空気調和システム1全体として処理しなければならない顕熱負荷(必要顕熱処理能力、ΔTに相当)とが、潜熱負荷処理システム(具体的には、潜熱系統利用ユニット2、3)及び顕熱負荷処理システム(具体的には、顕熱系統利用ユニット4、5)を用いて処理されている。ここで、潜熱負荷処理システムの処理能力の増減と顕熱負荷処理システムの処理能力の増減とは、必要潜熱処理能力値Δh及び必要顕熱処理能力値ΔTを演算し、これらの値に基づいて、圧縮機構61の運転容量を制御しているため、吸着熱交換器22、23、32、33を有する潜熱負荷処理システムにおける潜熱負荷の処理と、空気熱交換器42、52を有する顕熱負荷処理システムにおける顕熱負荷の処理とを両立させて行うことができる。これにより、本実施形態の空気調和システム1のように、潜熱負荷処理システム及び顕熱負荷処理システムの熱源を共通化した場合でも、熱源を構成する圧縮機構の運転容量の制御を良好に行うことができる。
ところで、この空気調和システム1では、上述のように、主として屋内の潜熱負荷を処理する潜熱処理が潜熱負荷処理システム(すなわち、潜熱系統利用ユニット2、3)において行われており、顕熱負荷処理システム(すなわち、顕熱系統利用ユニット4、5)において屋内の顕熱負荷のみを処理する顕熱冷房運転が行われている。そして、この空気調和システム1では、接続ユニット14、15の蒸発圧力調節弁73、83を用いて、以下のようなシステム制御を行うことによって、顕熱負荷処理システムの顕熱冷房運転を実現している。
まず、ステップS16において、顕熱系統利用側制御部48、58は、RA吸入温度・湿度センサ45、55によって検出されたユニット内に吸入される屋内の空気の温度値及び相対湿度値から露点温度を演算し、空気熱交換器42、52において空気が結露しないように、すなわち、少なくともこの露点温度以上になるように空気熱交換器42、52内を流れる冷媒の最低蒸発温度値Te3を演算する。
次に、ステップS17において、顕熱系統利用側制御部48、58から接続ユニット制御部72、82に伝送された最低蒸発温度値Te3を、この温度値Te3に対応する飽和圧力である最低蒸発圧力値P3に換算する。そして、ステップS18において、この最低蒸発圧力値P3と、蒸発圧力センサ74、84において検出された空気熱交換器42、52における冷媒の圧力値とを比較し、蒸発圧力センサ74、84において検出された空気熱交換器42、52における冷媒の圧力値が最低蒸発圧力値P3以上になるように、蒸発圧力調節弁73、83の開度を調節している。
これにより、圧縮機構61の運転容量が、必要顕熱処理能力値に応じて変更される場合であっても、蒸発圧力センサ74、84において検出された空気熱交換器42、52における冷媒の圧力値が、屋内の空気の露点温度に対応する最低蒸発圧力値P3以上となるように、蒸発圧力調節弁73、83によって調節されているため、顕熱冷房運転が実現できるようになっている。
尚、上記のドレンレス除湿冷房運転中に、空気調和システム1の顕熱負荷処理システムの空気熱交換器42、52の蒸発温度が露点温度以下(すなわち、最低蒸発温度値Te3以下)になって結露センサ46、56において結露が検出された場合には、接続ユニット制御部14、15が、結露が検出された際の最低蒸発圧力値P3よりも高い圧力値になるように最低蒸発圧力値P3の値を補正したり、顕熱系統利用側制御部48、58が顕熱系統利用側膨張弁41、51を閉止させたり、顕熱系統利用側制御部48、58が熱源側制御部65に結露が検出されたことを知らせる信号を伝送して熱源側制御部65が圧縮機構61を停止させることによって、空気熱交換器42、52における結露を確実に防ぐことができる。
次に、第2のドレンレス除湿冷房運転時の動作について、図43、図44及び図46を用いて説明する。
上述の第1のドレンレス除湿冷房運転の方法では、屋内の潜熱負荷の処理が潜熱負荷処理システムにおいて行われており、顕熱負荷処理システムにおいて蒸発圧力調節弁73、83を用いて屋内の顕熱負荷のみを処理する顕熱冷房運転が行われている。つまり、潜熱負荷処理システム及び顕熱負荷処理システムで処理しなければならない潜熱処理能力(必要潜熱処理能力、Δhに相当)と、潜熱負荷処理システム及び顕熱負荷処理システムで処理しなければならない顕熱処理能力(必要顕熱処理能力、ΔTに相当)とは、潜熱負荷処理システム及び顕熱負荷処理システムを用いて処理されている。ここで、潜熱負荷処理システム及び顕熱負荷処理システムの処理能力の増減は、主として圧縮機構61の運転容量制御によって行われている。
そして、空気調和システム1の潜熱負荷処理システムによる潜熱負荷処理においては、図5に示されるように、潜熱負荷処理システムを構成する第1吸着熱交換器22、32及び第2吸着熱交換器23、33の吸着動作又は再生動作によって、潜熱処理だけでなく、顕熱処理も行っているため、結果的に潜熱処理とともに顕熱処理が行われる。ここで、潜熱負荷処理システムにおいて潜熱処理とともに行われる顕熱処理の処理能力を発生顕熱処理能力とすると、顕熱負荷処理システムによって処理しなければならない顕熱負荷は、必要潜熱処理能力から発生顕熱処理能力を差し引いた分になる。
このため、第2のドレンレス除湿冷房運転の方法では、空気調和システム1の潜熱負荷処理システムにおいて顕熱負荷の処理が行われる点を考慮して、以下のようなシステム制御を行っている。尚、この第2のドレンレス除湿冷房運転の方法は、この運転方法に特有のステップS19〜S22を除くステップ(すなわち、ステップS11〜S18)については第1の運転方法における制御フローと同様であるため、説明を省略する。
潜熱系統利用側制御部28、38においては、ステップS19において、吸着熱交換器22、23及び吸着熱交換器32、33における吸着動作及び再生動作の切換時間間隔が顕熱優先モード(例えば、図5の時間D)であり、かつ、能力UP信号K2が「b」である場合(顕熱系統利用側ユニット4、5における必要顕熱処理能力が小さくなった場合)には、ステップS21において、切換時間間隔を潜熱優先(例えば、図5の時間C)に変更する。逆に、その他の条件の場合には、ステップS20に移行する。
そして、ステップS20において、吸着熱交換器22、23及び吸着熱交換器32、33における吸着動作及び再生動作の切換時間間隔が潜熱優先(例えば、図5の時間C)であり、かつ、能力UP信号K2が「a」である場合(顕熱系統利用側ユニット4、5における必要顕熱処理能力が大きくなった場合)には、ステップS22において、切換時間間隔を顕熱優先(例えば、図5の時間D)に変更して、潜熱負荷処理システムにおける顕熱処理能力を大きくすることができる。
これにより、第2の運転方法では、必要顕熱処理能力値ΔTが大きくなり、空気調和システム1の顕熱負荷処理システムにおける顕熱処理能力を大きくする必要がある場合に、潜熱系統利用ユニット2、3の吸着熱交換器22、32、23、33の吸着動作及び再生動作の切換時間間隔を大きくすることによって、吸着熱交換器22、32、23、33において処理される潜熱処理能力を小さくするとともに顕熱処理能力を大きくして潜熱負荷処理システムにおける顕熱処理能力を大きくする、すわわち、顕熱処理能力比を高めることができるようになっているため、必要顕熱処理能力ΔTが大きくなる場合でも、顕熱負荷処理システムの空気熱交換器42、52において空気中の水分が結露しないように運転して屋内の顕熱負荷のみを処理しつつ、顕熱処理能力の変動に追従させることができる。
尚、第1の運転方法と同様に、上述のドレンレス除湿冷房運転中に、空気調和システム1の顕熱負荷処理システムの空気熱交換器42、52の蒸発温度が露点温度以下(すなわち、最低蒸発温度値Te3以下)になって結露センサ46、56において結露が検出された場合には、接続ユニット制御部72、82が、結露が検出された際の最低蒸発圧力値P3よりも高い圧力値になるように最低蒸発圧力値P3の値を補正したり、顕熱系統利用側制御部48、58が顕熱系統利用側膨張弁41、51を閉止させたり、顕熱系統利用側制御部48、58が熱源側制御部65に結露が検出されたことを知らせる信号を伝送して熱源側制御部65が圧縮機構61を停止させることによって、空気熱交換器42、52における結露を確実に防ぐことができる。
(3)空気調和システムの特徴
本実施形態の空気調和システム1には、以下のような特徴がある。
(A)
本実施形態の空気調和システム1は、吸着熱交換器22、23、32、33において空気中の水分を吸着又は脱離させることによって屋外に排出することが可能な潜熱系統利用側冷媒回路10a、10bを含み主として屋内の潜熱負荷を処理する潜熱負荷処理システムと、空気熱交換器42、52において空気中の水分が結露しないように冷媒と空気との熱交換を行うことが可能な顕熱系統利用側冷媒回路10c、10dを含み屋内の顕熱負荷をのみを処理する顕熱負荷処理システムとから構成されている。このため、この空気調和システム1は、潜熱系統利用側冷媒回路10a、10bを有する潜熱系統利用ユニット2、3や顕熱系統利用側冷媒回路10c、10dを有する顕熱系統利用ユニット4、5内にドレン配管を必要としないドレンレスシステムになっている。そして、冷房運転時において、顕熱負荷処理システムは、必要顕熱処理能力値ΔTが大きくなり顕熱負荷処理システムにおける顕熱処理能力を大きくする必要がある場合であっても、空気熱交換器42、52の蒸発温度が屋内の空気の露点温度によって制約されてしまうため、顕熱処理能力を大きくすることができない。
しかし、本実施形態の空気調和システム1では、必要顕熱処理能力値ΔTが大きくなり、顕熱負荷処理システムにおける顕熱処理能力を大きくする必要がある場合に、潜熱負荷処理システムを構成する吸着熱交換器22、23、32、33の吸着動作及び再生動作の切換時間間隔を大きくすることによって、吸着熱交換器22、23、32、33において処理される潜熱処理能力を小さくするとともに顕熱処理能力を大きくする、すなわち、潜熱負荷処理システムの顕熱処理能力比を大きくして、潜熱負荷処理システムにおける顕熱処理能力を大きくすることができるようになっている。
これにより、主として屋内の潜熱負荷を処理する潜熱負荷処理システムと、空気中の水分が結露しないように運転して屋内の顕熱負荷のみを処理する顕熱負荷処理システムとを備えた空気調和システム1において、必要顕熱処理能力が大きくなる場合でも、顕熱負荷処理システムにおいて空気中の水分が結露しないように運転して屋内の顕熱負荷のみを処理しつつ、顕熱処理能力の変動に追従させることができる。
(B)
本実施形態の空気調和システム1では、屋内の空気の露点温度に基づいて、例えば、空気熱交換器42、52における冷媒の蒸発温度が屋内の空気の露点温度以下にならないように、蒸発圧力調節弁73、83を制御することによって、空気熱交換器42、52の表面において空気中の水分が結露しないようにして、空気熱交換器42、52におけるドレン水の発生を抑えることができる。
また、空気調和システム1では、蒸発圧力調節弁73、83による空気熱交換器42、52における冷媒の蒸発圧力の制御値として、露点温度ではなく蒸発圧力センサ74、84によって実測される空気熱交換器42、52の冷媒の蒸発圧力を用いているため、露点温度を用いて冷媒の蒸発圧力を制御する場合に比べて制御応答性を向上させることができる。
(C)
本実施形態の空気調和システム1では、結露センサ46、56によって空気熱交換器42、52における結露を確実に検出するとともに、結露が検出された場合に、露点温度から演算される最低蒸発圧力値P3を変更することによって空気熱交換器42、52における冷媒の蒸発圧力を変更できるようにしたり、圧縮機構61を停止するようにしたり、顕熱系統利用ユニット4、5の顕熱系統利用側膨張弁41、51を閉止するようにしているため、空気熱交換器42、52における結露を確実に防ぐことができる。
[第2実施形態]
(1)空気調和システムの構成
図24は、本発明にかかる第2実施形態の空気調和システム401の概略の冷媒回路図である。空気調和システム401は、蒸気圧縮式の冷凍サイクル運転を行うことによって、ビル等の屋内の潜熱負荷及び顕熱負荷を処理する空気調和システムである。空気調和システム401は、いわゆる、セパレート型のマルチ空気調和システムであり、主として屋内の潜熱負荷を処理する潜熱負荷処理システム201と、主として屋内の顕熱負荷を処理する顕熱負荷処理システム501とを備えている。
潜熱負荷処理システム201は、いわゆる、セパレート型のマルチ空気調和システムであり、主として、複数台(本実施形態では、2台)の潜熱系統利用ユニット202、203と、潜熱系統熱源ユニット206と、潜熱系統利用ユニット202、203と潜熱系統熱源ユニット206とを接続する潜熱系統連絡配管207、208とを備えている。本実施形態において、潜熱系統熱源ユニット206は、潜熱系統利用ユニット202、203に共通の熱源として機能する。また、本実施形態において、潜熱系統熱源ユニット206は、1台だけであるが、潜熱系統利用ユニット202、203の台数が多い場合等においては複数台を並列に接続していてもよい。
<潜熱系統利用ユニット>
潜熱系統利用ユニット202、203は、ビル等の屋内の天井に埋め込みや吊り下げ等により、壁掛け等により、又は、天井裏の空間に設置されている。潜熱系統利用ユニット202、203は、潜熱系統連絡配管207、208を介して潜熱系統熱源ユニット206に接続されており、潜熱系統熱源ユニット206との間で潜熱系統冷媒回路210を構成している。潜熱系統利用ユニット202、203は、この潜熱系統冷媒回路210内において冷媒を循環させて蒸気圧縮式の冷凍サイクル運転を行うことによって、屋内の潜熱負荷及び顕熱負荷を処理することが可能である。
次に、潜熱系統利用ユニット202、203の構成について説明する。尚、潜熱系統利用ユニット202と潜熱系統利用ユニット203とは同様の構成であるため、ここでは、潜熱系統利用ユニット202の構成のみ説明し、潜熱系統利用ユニット203の構成については、潜熱系統利用ユニット202の各部を示す220番台の符号の代わりに230番台の符号を付して、各部の説明を省略する。
潜熱系統利用ユニット202は、主として、潜熱系統冷媒回路210の一部を構成しており、空気を除湿又は加湿することが可能な潜熱系統利用側冷媒回路210aを備えている。この潜熱系統利用側冷媒回路210aは、主として、潜熱系統利用側四路切換弁221と、第1吸着熱交換器222と、第2吸着熱交換器223と、潜熱系統利用側膨張弁224とを備えている。
潜熱系統利用側四路切換弁221は、潜熱系統利用側冷媒回路210aに流入する冷媒の流路を切り換えるための弁であり、その第1ポート221aは潜熱系統吐出ガス連絡配管207を介して潜熱系統熱源ユニット206の潜熱系統圧縮機構261(後述)の吐出側に接続されており、その第2ポート221bは潜熱系統吸入ガス連絡配管208を介して潜熱系統熱源ユニット206の潜熱系統圧縮機構261の吸入側に接続されており、その第3ポート221cは第1吸着熱交換器222のガス側端部に接続されており、第4ポート221dは第2吸着熱交換器223のガス側端部に接続されている。そして、潜熱系統利用側四路切換弁221は、第1ポート221aと第3ポート221cとを接続するとともに第2ポート221bと第4ポート221dとを接続(第1状態、図24の潜熱系統利用側四路切換弁221の実線を参照)したり、第1ポート221aと第4ポート221dとを接続するとともに第2ポート221bと第3ポート221cとを接続(第2状態、図24の潜熱系統利用側四路切換弁221の破線を参照)する切り換えを行うことが可能である。
第1吸着熱交換器222及び第2吸着熱交換器223は、伝熱管と多数のフィンとにより構成されたクロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器である。具体的に、第1吸着熱交換器222及び第2吸着熱交換器223は、長方形板状に形成されたアルミニウム製の多数のフィンと、このフィンを貫通する銅製の伝熱管とを有している。尚、第1吸着熱交換器222及び第2吸着熱交換器223は、クロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器に限らず、他の形式の熱交換器、例えば、コルゲートフィン式の熱交換器等であってもよい。
第1吸着熱交換器222及び第2吸着熱交換器223は、そのフィンの表面に吸着剤がディップ成形(浸漬成形)により担持されている。尚、フィン及び伝熱管の表面に吸着剤を担持させる方法としては、ディップ成形に限らず、吸着剤としての性能を損なわない限り、どのような方法でその表面に吸着剤を担持してもよい。この吸着剤としては、ゼオライト、シリカゲル、活性炭、親水性又は吸水性を有する有機高分子ポリマー系材料、カルボン酸基又はスルホン酸基を有するイオン交換樹脂系材料、感温性高分子等の機能性高分子材料などを用いることが可能である。
第1吸着熱交換器222及び第2吸着熱交換器223は、その外側に空気を通過させながら冷媒の蒸発器として機能させることで、その表面に担持された吸着剤に空気中の水分が吸着させることができる。また、第1吸着熱交換器222及び第2吸着熱交換器223は、その外側に空気を通過させながら冷媒の凝縮器として機能させることで、その表面に担持された吸着剤に吸着された水分を脱離させることができる。
潜熱系統利用側膨張弁224は、第1吸着熱交換器222の液側端部と第2吸着熱交換器223の液側端部との間に接続された電動膨張弁であり、凝縮器として機能する第1吸着熱交換器222及び第2吸着熱交換器223の一方から蒸発器として機能する第1吸着熱交換器222及び第2吸着熱交換器223の他方に送られる冷媒を減圧することができる。
また、潜熱系統利用ユニット202は、詳細は図示しないが、屋外の空気(以下、屋外空気OAとする)をユニット内に吸入するための外気吸入口と、ユニット内から屋外に空気を排出するための排気口と、屋内の空気(以下、屋内空気RAとする)をユニット内に吸入するための内気吸入口と、ユニット内から屋内に吹き出される空気(以下、供給空気SAとする)を供給するための給気口と、排気口に連通するようにユニット内に配置された排気ファンと、給気口に連通するようにユニット内に配置された給気ファンと、空気流路を切り換えるためのダンパー等からなる切換機構とを備えている。これにより、潜熱系統利用ユニット202は、屋外空気OAを外気吸入口からユニット内に吸入して第1又は第2吸着熱交換器222、223を通過させた後に給気口から屋内に供給空気SAとして供給したり、屋外空気OAを外気吸入口からユニット内に吸入して第1又は第2吸着熱交換器222、223を通過させた後に排気口から屋外に排出空気EAとして排出したり、屋内空気RAを内気吸入口からユニット内に吸入して第1又は第2吸着熱交換器222、223を通過させた後に給気口から屋内に供給空気SAとして供給したり、屋内空気RAを内気吸入口からユニット内に吸入して第1又は第2吸着熱交換器222、223を通過させた後に排気口から屋外に排出空気EAとして排出することができるようになっている。
さらに、潜熱系統利用ユニット202は、ユニット内に吸入される屋内空気RAの温度及び相対湿度を検出するRA吸入温度・湿度センサ225と、ユニット内に吸入される屋外空気OAの温度及び相対湿度を検出するOA吸入温度・湿度センサ226と、ユニット内から屋内に供給される供給空気SAの温度を検出するSA供給温度センサ227と、潜熱系統利用ユニット202を構成する各部の動作を制御する潜熱系統利用側制御部228とを備えている。そして、潜熱系統利用側制御部228は、潜熱系統利用ユニット202の制御を行うために設けられたマイクロコンピュータやメモリを有しており、リモコン111及び後述の潜熱系統熱源ユニット206の潜熱系統熱源側制御部265を通じて、屋内の空気の目標温度及び目標湿度の入力信号等のやりとりを行ったり、潜熱系統熱源ユニット206との間で制御信号等のやりとりを行うこともできるようになっている。
<潜熱系統熱源ユニット>
潜熱系統熱源ユニット206は、ビル等の屋上等に設置されており、潜熱系統連絡配管207、208を介して潜熱系統利用ユニット202、203に接続されており、潜熱系統利用ユニット202、203との間で潜熱系統冷媒回路210を構成している。
次に、潜熱系統熱源ユニット206の構成について説明する。潜熱系統熱源ユニット206は、主として、潜熱系統冷媒回路210の一部を構成しており、潜熱系統熱源側冷媒回路210cを備えている。この潜熱系統熱源側冷媒回路210cは、主として、潜熱系統圧縮機構261と、潜熱系統圧縮機構261の吸入側に接続される潜熱系統アキュムレータ262とを備えている。
潜熱系統圧縮機構261は、本実施形態において、インバータ制御により運転容量を可変することが可能な容積式圧縮機である。本実施形態において、潜熱系統圧縮機構261は、1台の圧縮機であるが、これに限定されず、利用ユニットの接続台数等に応じて、2台以上の圧縮機が並列に接続されたものであってもよい。
潜熱系統アキュムレータ262は、潜熱系統利用側冷媒回路210a、210bの運転負荷の変動に伴う冷媒循環量の増減により発生する余剰冷媒を溜める容器である。
また、潜熱系統熱源ユニット206は、潜熱系統圧縮機構211の吸入圧力を検出する潜熱系統吸入圧力センサ263と、潜熱系統圧縮機構211の吐出圧力を検出する潜熱系統吐出圧力センサ264と、潜熱系統熱源ユニット206を構成する各部の動作を制御する潜熱系統熱源側制御部265とを備えている。そして、潜熱系統熱源側制御部265は、潜熱系統利用ユニット202の制御を行うために設けられたマイクロコンピュータやメモリを有しており、上述の潜熱系統利用ユニット202、203の潜熱系統利用側制御部228、238及び潜熱系統熱源側制御部265を通じて、制御信号等のやりとりを行うことができるようになっている。
顕熱負荷処理システム501は、主として、複数台(本実施形態では、2台)の顕熱系統利用ユニット502、503と、顕熱系統熱源ユニット506と、顕熱系統利用ユニット502、503と顕熱系統熱源ユニット506とを接続する顕熱系統連絡配管507、508とを備えている。本実施形態において、顕熱系統熱源ユニット506は、顕熱系統利用ユニット502、503に共通の熱源として機能する。また、本実施形態において、顕熱系統熱源ユニット506は、1台だけであるが、顕熱系統利用ユニット502、503の台数が多い場合等においては複数台を並列に接続していてもよい。
<顕熱系統利用ユニット>
顕熱系統利用ユニット502、503は、ビル等の屋内の天井に埋め込みや吊り下げ等により、壁掛け等により、又は、天井裏の空間に設置されている。顕熱系統利用ユニット502、503は、顕熱系統連絡配管507、508を介して顕熱系統熱源ユニット506に接続されており、顕熱系統熱源ユニット506との間で顕熱系統冷媒回路510を構成している。顕熱系統利用ユニット502、503は、この顕熱系統冷媒回路510内において冷媒を循環させて蒸気圧縮式の冷凍サイクル運転を行うことによって、主として屋内の顕熱負荷を処理することが可能である。そして、顕熱系統利用ユニット502は潜熱系統利用ユニット202と同じ空調空間に設置されており、顕熱系統利用ユニット503は潜熱系統利用ユニット203と同じ空調空間に設置されている。すなわち、潜熱系統利用ユニット202と顕熱系統利用ユニット502とがペアになって、ある空調空間の潜熱負荷及び顕熱負荷を処理しており、潜熱系統利用ユニット203と顕熱系統利用ユニット503とがペアになって、別の空調空間の潜熱負荷及び顕熱負荷を処理している。
次に、顕熱系統利用ユニット502、503の構成について説明する。尚、顕熱系統利用ユニット502と顕熱系統利用ユニット503とは同様の構成であるため、ここでは、顕熱系統利用ユニット502の構成のみ説明し、顕熱系統利用ユニット503の構成については、顕熱系統利用ユニット502の各部を示す520番台の符号の代わりに530番台の符号を付して、各部の説明を省略する。
顕熱系統利用ユニット502は、主として、顕熱系統冷媒回路510の一部を構成しており、空気を冷却又は加熱することが可能な顕熱系統利用側冷媒回路510aを備えている。この顕熱系統利用側冷媒回路510aは、主として、顕熱系統利用側膨張弁521と、空気熱交換器522とを備えている。本実施形態において、顕熱系統利用側膨張弁521は、冷媒流量の調節等を行うために、空気熱交換器522の液側に接続された電動膨張弁である。本実施形態において、空気熱交換器522は、伝熱管と多数のフィンとにより構成されたクロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器であり、冷媒と屋内空気RAとの熱交換を行うための機器である。本実施形態において、顕熱系統利用ユニット502は、ユニット内に屋内空気RAを吸入して、熱交換した後に、供給空気SAとして屋内に供給するための送風ファン(図示せず)を備えており、屋内空気RAと空気熱交換器522を流れる冷媒とを熱交換させることが可能である。
また、顕熱系統利用ユニット502には、各種のセンサが設けられている。空気熱交換器522の液側には液冷媒の温度を検出する液側温度センサ523が設けられており、空気熱交換器522のガス側にはガス冷媒の温度を検出するガス側温度センサ524が設けられている。さらに、顕熱系統利用ユニット502には、RA吸入温度・湿度センサ525と、結露センサ526、536とが設けられている。
結露センサ526、536は、空気熱交換器522、532における結露の有無を検出する結露検出機構として機能するように設けられている。尚、実施形態においては、結露センサ526、536を用いているが、これに限定されず、結露検出機構として機能すればよいため、結露センサの代わりにフロートスイッチを設けてもよい。
RA吸入温度・湿度センサ525、535は、ユニット内に吸入される屋内空気RAの温度及び相対湿度を検出する温度・湿度センサである。
また、顕熱系統利用ユニット502は、顕熱系統利用ユニット502を構成する各部の動作を制御する顕熱系統利用側制御部528を備えている。そして、顕熱系統利用側制御部528は、顕熱系統利用ユニット502の制御を行うために設けられたマイクロコンピュータやメモリを有しており、リモコン411を通じて、屋内の空気の目標温度及び目標湿度の入力信号等のやりとりを行ったり、顕熱系統熱源ユニット506との間で制御信号等のやりとりを行うこともできるようになっている。
<顕熱系統熱源ユニット>
顕熱系統熱源ユニット506は、ビル等の屋上等に設置されており、顕熱系統連絡配管507、508を介して顕熱系統利用ユニット502、503に接続されており、顕熱系統利用ユニット502、503との間で顕熱系統冷媒回路510を構成している。
次に、顕熱系統熱源ユニット506の構成について説明する。顕熱系統熱源ユニット506は、主として、顕熱系統冷媒回路510の一部を構成しており、顕熱系統熱源側冷媒回路510cを備えている。この顕熱系統熱源側冷媒回路510cは、主として、顕熱系統圧縮機構561と、顕熱系統熱源側四路切換弁562と、顕熱系統熱源側熱交換器563と、顕熱系統熱源側膨張弁564と、顕熱系統レシーバ568とを備えている。
顕熱系統圧縮機構561は、本実施形態において、インバータ制御により運転容量を可変することが可能な容積式圧縮機である。本実施形態において、顕熱系統圧縮機構561は、1台の圧縮機であるが、これに限定されず、顕熱系統利用ユニットの接続台数等に応じて、2台以上の圧縮機が並列に接続されたものであってもよい。
顕熱系統熱源側四路切換弁562は、冷房運転と暖房運転との切り換え時に、顕熱系統熱源側冷媒回路510c内における冷媒の流路を切り換えるための弁であり、その第1ポート562aは顕熱系統圧縮機構361の吐出側に接続されており、その第2ポート562bは顕熱系統圧縮機構561の吸入側に接続されており、その第3ポート562cは顕熱系統熱源側熱交換器563のガス側端部に接続されており、その第4ポート562dは顕熱系統ガス連絡配管508に接続されている。そして、顕熱系統熱源側四路切換弁562は、第1ポート562aと第3ポート562cとを接続するとともに第2ポート562bと第4ポート562dとを接続(冷房運転状態、図24の顕熱系統熱源側四路切換弁562の実線を参照)したり、第1ポート562aと第4ポート562dとを接続するとともに第2ポート562bと第3ポート562cとを接続(暖房運転状態、図24の顕熱系統熱源側四路切換弁562の破線を参照)する切り換えを行うことが可能である。
顕熱系統熱源側熱交換器563は、本実施形態において、伝熱管と多数のフィンとにより構成されたクロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器であり、空気を熱源として冷媒と熱交換するための機器である。本実施形態において、顕熱系統熱源ユニット506は、ユニット内に屋外の空気を取り込み、送り出すための室外ファン(図示せず)を備えており、屋外の空気と顕熱系統熱源側熱交換器563を流れる冷媒とを熱交換させることが可能である。
顕熱系統熱源側膨張弁564は、本実施形態において、液連絡配管507を介して顕熱系統熱源側熱交換器563と空気熱交換器522、532との間を流れる冷媒の流量の調節等を行うことが可能な電動膨張弁である。顕熱系統熱源側膨張弁564は、冷房運転時にはほぼ全開状態で使用され、暖房運転時には開度調節されて空気熱交換器522、532から液連絡配管507を介して顕熱系統熱源側熱交換器563に流入する冷媒を減圧するのに使用される。
顕熱系統レシーバ568は、顕熱系統熱源側熱交換器563と空気熱交換器522、532との間を流れる冷媒を一時的に溜めるための容器である。本実施形態において、顕熱系統レシーバ568は、顕熱系統熱源側膨張弁564と液連絡配管507との間に接続されている。
また、顕熱系統熱源ユニット506には、各種のセンサが設けられている。具体的には、顕熱系統熱源ユニット506は、顕熱系統圧縮機構561の吸入圧力を検出する顕熱系統吸入圧力センサ566と、顕熱系統圧縮機構561の吐出圧力を検出する顕熱系統吐出圧力センサ567と、顕熱系統熱源ユニット506を構成する各部の動作を制御する顕熱系統熱源側制御部565とを備えている。そして、顕熱系統熱源側制御部565は、顕熱系統熱源ユニット506の制御を行うために設けられたマイクロコンピュータやメモリを有しており、顕熱系統利用ユニット502、503の顕熱系統利用側制御部528、538との間で制御信号を伝送できるようになっている。また、顕熱系統熱源側制御部565は、潜熱系統熱源側制御部265との間でも制御信号等のやりとりを行うことができるようになっている。さらに、顕熱系統熱源側制御部565は、潜熱系統熱源側制御部265を介して潜熱系統利用側制御部228、238との間でも制御信号のやりとりを行うことができるようになっている。
また、本実施形態の顕熱系統利用ユニット502、503は、後述のように、除湿冷房運転をする際に空気熱交換器522、532において結露が生じないように冷房運転する、いわゆる、顕熱冷房運転を行うように制御されている。このため、顕熱系統利用ユニット502、503には、ドレン配管が接続されていない。
しかも、上述のとおり、潜熱負荷処理システム201に使用されている潜熱系統利用ユニット202、203は、吸着熱交換器222、223、232、233の吸着動作及び再生動作によって潜熱処理できるようになっているため、顕熱系統利用ユニット502、503と同様、ドレン配管が接続されていない。つまり、本実施形態の空気調和システム401全体として、ドレンレスシステムが実現されている。
(2)空気調和システムの動作
次に、本実施形態の空気調和システム401の動作について説明する。空気調和システム401は、屋内の潜熱負荷を潜熱負荷処理システム201で処理し、屋内の顕熱負荷を主として顕熱負荷処理システム501で処理することができる。本実施形態の空気調和システム201においても、第1実施形態の空気調和システム1と同様に、潜熱負荷処理システム201の単独運転が可能である。尚、この動作については、第1実施形態の空気調和システム1においては、2つのシステムに共通の熱源ユニット6を用いて単独運転するのに対して、本実施形態の空気調和システム401においては、潜熱系統熱源ユニット206のみを用いて単独運転する点が異なるが、潜熱系統利用ユニット202、203の動作については、第1実施形態の潜熱系統利用ユニット2、3の動作と同様であるため、ここでの説明を省略する。
次に、潜熱負荷処理システム201と顕熱負荷処理システム501とを同時に運転する場合における空気調和システム401の動作について説明する。空気調和システム401は、屋内の潜熱負荷を主として潜熱負荷処理システム201で処理し、屋内の顕熱負荷を主として顕熱負荷処理システム501で処理することができる。以下に、各種の運転動作について説明する。
<ドレンレス除湿冷房運転>
潜熱負荷処理システム201を全換気モードで除湿運転を行いつつ、顕熱負荷処理システム501で顕熱冷房運転を行うドレンレス除湿冷房運転における動作について、図25、図26及び図27を用いて説明する。ここで、図25及び図26は、空気調和システム401における全換気モードのドレンレス除湿冷房運転時の動作を示す概略の冷媒回路図である。図27は、空気調和システム401における通常運転時の制御フロー図である。尚、図27においては、潜熱系統利用ユニット202及び顕熱系統利用ユニット502のペアと潜熱系統利用ユニット203及び顕熱系統利用ユニット503のペアとは同様の制御フローであるため、潜熱系統利用ユニット203及び顕熱系統利用ユニット503のペアの制御フローの図示を省略している。
まず、潜熱負荷処理システム201の動作について説明する。尚、ここでは、顕熱負荷処理システム501の顕熱冷房運転を実現するために必要な動作については後述するものとし、潜熱負荷処理システム201の基本的な動作について先に説明する。
潜熱負荷処理システム201の潜熱系統利用ユニット202においては、第2実施形態の空気調和システム101における除湿冷房運転時の場合と同様に、第1吸着熱交換器222が凝縮器となって第2吸着熱交換器223が蒸発器となる第1動作と、第2吸着熱交換器223が凝縮器となって第1吸着熱交換器222が蒸発器となる第2動作とが交互に繰り返される。潜熱系統利用ユニット203においても同様に、第1吸着熱交換器232が凝縮器となって第2吸着熱交換器233が蒸発器となる第1動作と、第2吸着熱交換器233が凝縮器となって第1吸着熱交換器232が蒸発器となる第2動作とが交互に繰り返される。
以下の説明では、2つの潜熱系統利用ユニット202、203の動作をまとめて記載する。
第1動作では、第1吸着熱交換器222、232についての再生動作と、第2吸着熱交換器223、233についての吸着動作とが並行して行われる。第1動作中は、図25に示されるように、潜熱系統利用側四路切換弁221、231が第1状態(図25の潜熱系統利用側四路切換弁221、231の実線を参照)に設定される。この状態で、潜熱系統圧縮機構261から吐出された高圧のガス冷媒は、潜熱系統吐出ガス連絡配管207、潜熱系統利用側四路切換弁221、231を通じて第1吸着熱交換器222、232に流入し、第1吸着熱交換器222、232を通過する間に凝縮する。そして、凝縮された冷媒は、潜熱系統利用側膨張弁224、234で減圧されて、その後、第2吸着熱交換器223、233を通過する間に蒸発し、潜熱系統利用側四路切換弁221、231、潜熱系統吸入ガス連絡配管208、潜熱系統アキュムレータ262を通じて潜熱系統圧縮機構261に再び吸入される(図25の潜熱系統冷媒回路210に付された矢印を参照)。
第1動作中において、第1吸着熱交換器222、232では、冷媒の凝縮により加熱された吸着剤から水分が脱離し、この脱離した水分が内気吸入口から吸入された屋内空気RAに付与される。第1吸着熱交換器222、232から脱離した水分は、屋内空気RAに同伴して排気口を通じて排出空気EAとして屋外へ排出される。第2吸着熱交換器223、233では、屋外空気OA中の水分が吸着剤に吸着されて屋外空気OAが除湿され、その際に生じた吸着熱が冷媒に吸熱されて冷媒が蒸発する。そして、第2吸着熱交換器223、233で除湿された屋外空気OAは、給気口を通って供給空気SAとして屋内へ供給される(図25の吸着熱交換器222、223、232、233の両側に付された矢印を参照)。
第2動作では、第1吸着熱交換器222、232についての吸着動作と、第2吸着熱交換器223、233についての再生動作とが並行して行われる。第2動作中は、図26に示されるように、潜熱系統利用側四路切換弁221、231が第2状態(図26の潜熱系統利用側四路切換弁221、231の破線を参照)に設定される。この状態で、潜熱系統圧縮機構261から吐出された高圧のガス冷媒は、潜熱系統吐出ガス連絡配管207、潜熱系統利用側四路切換弁221、231を通じて第2吸着熱交換器223、233に流入し、第2吸着熱交換器223、233を通過する間に凝縮する。そして、凝縮された冷媒は、潜熱系統利用側膨張弁224、234で減圧されて、その後、第1吸着熱交換器222、232を通過する間に蒸発し、潜熱系統利用側四路切換弁221、231、潜熱系統吸入ガス連絡配管208、潜熱系統アキュムレータ262を通じて潜熱系統圧縮機構261に再び吸入される(図26の潜熱系統冷媒回路210に付された矢印を参照)。
第2動作中において、第2吸着熱交換器223、233では、冷媒の凝縮により加熱された吸着剤から水分が脱離し、この脱離した水分が内気吸入口から吸入された屋内空気RAに付与される。第2吸着熱交換器23、33から脱離した水分は、屋内空気RAに同伴して排気口を通じて排出空気EAとして屋外へ排出される。第1吸着熱交換器222、232では、屋外空気OA中の水分が吸着剤に吸着されて屋外空気OAが除湿され、その際に生じた吸着熱が冷媒に吸熱されて冷媒が蒸発する。そして、第1吸着熱交換器222、232で除湿された屋外空気OAは、給気口を通って供給空気SAとして屋内へ供給される(図26の吸着熱交換器222、223、232、233の両側に付された矢印を参照)。
ここで、空気調和システム401において行われているシステム制御について、潜熱負荷処理システム201に着目して説明する。
まず、リモコン411、412によって目標温度及び目標相対湿度が設定されると、潜熱系統利用ユニット202、203の潜熱系統利用側制御部228、238には、これらの目標温度値及び目標相対湿度値とともに、RA吸入温度・湿度センサ225、235によって検出されたユニット内に吸入される屋内の空気の温度値及び相対湿度値と、OA吸入温度・湿度センサ226、236によって検出されたユニット内に吸入される屋外の空気の温度値及び相対湿度値とが入力される。
すると、ステップS41において、潜熱系統利用側制御部228、238は、屋内の空気の目標温度値及び目標相対湿度値からエンタルピの目標値又は絶対湿度の目標値を演算し、そして、RA吸入温度・湿度センサ225、235によって検出された温度値及び相対湿度値から屋内からユニット内に吸入される空気のエンタルピの現在値又は絶対湿度の現在値を演算し、両値の差である必要潜熱能力値Δhを演算する。そして、このΔhの値を、潜熱系統利用ユニット202、203の処理能力を上げる必要があるかどうかを潜熱系統熱源側制御部265に知らせるための能力UP信号K1に変換する。例えば、Δhの絶対値が所定値よりも小さい場合(すなわち、屋内の空気の湿度値が目標湿度値に近い値であり、処理能力を増減する必要がない場合)には能力UP信号K1を「0」とし、Δhの絶対値が所定値よりも処理能力を上げなければならない方向に大きい場合(すなわち、除湿運転においては屋内の空気の湿度値が目標湿度値よりも高く、処理能力を上げる必要がある場合)には能力UP信号K1を「A」とし、Δhの絶対値が所定値よりも処理能力を下げなければならない方向に大きい場合(すなわち、除湿運転においては屋内の空気の湿度値が目標湿度値よりも低く、処理能力を下げる必要がある場合)には能力UP信号K1を「B」とする。
次に、ステップS44において、潜熱系統熱源側制御部265は、ステップS42、S43(後述)を経て、潜熱系統利用側制御部228、238から潜熱系統熱源側制御部265へ伝送された潜熱系統利用ユニット202、203の能力UP信号K1を用いて、目標凝縮温度値TcS1及び目標蒸発温度値TeS1を演算する。例えば、目標凝縮温度値TcS1は、現在の目標凝縮温度値に潜熱系統利用ユニット202、203の能力UP信号K1を加算することによって演算される。また、目標蒸発温度値TeS1は、現在の目標蒸発温度値に潜熱系統利用ユニット202、203の能力UP信号K1を減算することによって演算される。これにより、能力UP信号K1の値が「A」の場合には、目標凝縮温度値TcS1は高くなり、目標蒸発温度値TeS1は低くなる。
次に、ステップS45において、潜熱負荷処理システム201全体の凝縮温度及び蒸発温度の実測値に相当する値であるシステム凝縮温度値Tc1及びシステム蒸発温度値Te1を演算する。例えば、システム凝縮温度値Tc1及びシステム蒸発温度値Te1は、潜熱系統吸入圧力センサ263によって検出された潜熱系統圧縮機構261の吸入圧力値及び潜熱系統吐出圧力センサ264によって検出された潜熱系統圧縮機構261の吐出圧力値を、これらの圧力値における冷媒の飽和温度に換算することによって演算される。そして、システム凝縮温度値Tc1に対する目標凝縮温度値TcS1の温度差ΔTc1及びシステム蒸発温度値Te1に対する目標蒸発温度値TeS1の温度差ΔTe1を演算し、これらの温度差を除算することによって潜熱系統圧縮機構261の運転容量の増減の要否及び増減幅を決定する。
このようにして決定された潜熱系統圧縮機構261の運転容量を用いて、潜熱系統圧縮機構261の運転容量を制御することで、屋内の空気の目標相対湿度に近づけるシステム制御を行っている。例えば、温度差ΔTc1から温度差ΔTe1を差し引いた値が正値の場合には潜熱系統圧縮機構261の運転容量を増加させ、逆に、温度差ΔTc1から温度差ΔTe1を差し引いた値が負値の場合には潜熱系統圧縮機構261の運転容量を減少させるように制御する。
次に、顕熱負荷処理システム501の動作について説明する。
顕熱負荷処理システム501の顕熱系統熱源ユニット506の顕熱系統熱源側四路切換弁562が冷房運転状態(第1ポート562aと第3ポート562cとが接続され、かつ、第2ポート562bと第4ポート562dとが接続された状態)になっている。また、顕熱系統利用ユニット502、503の顕熱系統利用側膨張弁521、531は、冷媒を減圧するように開度調節されている。顕熱系統熱源側膨張弁564は開けられた状態になっている。
このような顕熱系統冷媒回路510の状態において、顕熱系統熱源ユニット506の顕熱系統圧縮機構561を起動すると、顕熱系統圧縮機構561から吐出された高圧のガス冷媒は、顕熱系統熱源側四路切換弁562を通過して顕熱系統熱源側熱交換器563に流入し凝縮されて液冷媒となる。この液冷媒は、顕熱系統熱源側膨張弁564、顕熱系統レシーバ568及び顕熱系統液連絡配管507を通じて、顕熱系統利用ユニット502、503に送られる。そして、顕熱系統利用ユニット502、503に送られた液冷媒は、顕熱系統利用側膨張弁521、531で減圧された後、空気熱交換器522、532において、ユニット内に吸入された屋内空気RAとの熱交換によって蒸発して低圧のガス冷媒となる。このガス冷媒は、顕熱系統ガス連絡配管508を通じて顕熱系統熱源ユニット506の顕熱系統圧縮機構561に再び吸入される。一方、空気熱交換器522、532において冷媒との熱交換により冷却された屋内空気RAは、供給空気SAとして屋内に供給される。尚、顕熱系統利用側膨張弁521、531は、後述のように、空気熱交換器522、532における過熱度SH、すなわち、液側温度センサ523、533によって検出された空気熱交換器522、532の液側の冷媒温度値と、ガス側温度センサ524、534によって検出された空気熱交換器522、532のガス側の冷媒温度値との温度差が目標過熱度SHSになるように開度制御がなされている。
ここで、空気調和システム401において行われているシステム制御について、顕熱負荷処理システム501に着目して説明する。尚、ここでは、顕熱負荷処理システム501の顕熱冷房運転を実現するために必要な制御については後述するものとし、顕熱負荷処理システム501の基本的な制御について説明する。
まず、リモコン411、412によって目標温度が設定されると、顕熱系統利用ユニット502、503の顕熱系統利用側制御部528、538には、これらの目標温度値とともに、RA吸入温度・湿度センサ525、535によって検出されたユニット内に吸入される屋内の空気の温度値及び相対湿度値が入力される。
すると、ステップS46において、顕熱系統利用側制御部528、538は、屋内の空気の目標温度値とRA吸入温度・湿度センサ525、535によって検出された温度値との温度差(以下、必要顕熱能力値ΔTとする)を演算する。ここで、必要顕熱能力値ΔTは、上述のように屋内の空気の目標温度値と現在の屋内の空気の温度値との差であるため、空気調和システム401において処理しなければならない顕熱負荷に相当するものである。そして、この必要顕熱能力値ΔTの値を、顕熱系統利用ユニット502、503の処理能力を上げる必要があるかどうかを顕熱系統熱源側制御部565に知らせるための能力UP信号K2に変換する。例えば、ΔTの絶対値が所定値よりも小さい場合(すなわち、屋内の空気の温度値が目標温度値に近い値であり、処理能力を増減する必要がない場合)には能力UP信号K2を「0」とし、ΔTの絶対値が所定値よりも処理能力を上げなければならない方向に大きい場合(すなわち、冷房運転においては屋内の空気の温度値が目標温度値よりも高く、処理能力を上げる必要がある場合)には能力UP信号K2を「a」とし、ΔTの絶対値が所定値よりも処理能力を下げなければならない方向に大きい場合(すなわち、冷房運転においては屋内の空気の温度値が目標温度値よりも低く、処理能力を下げる必要がある場合)には能力UP信号K2を「b」とする。
次に、ステップS47において、顕熱系統利用側制御部528、538は、必要顕熱能力値ΔTの値に応じて、目標過熱度SHSの値を変更する。例えば、顕熱系統利用ユニット502、503の処理能力を下げる必要がある場合(能力UP信号K2が「b」の場合)には、目標過熱度SHSを大きくして、空気熱交換器522、532における冷媒と空気との交換熱量を小さくするように顕熱系統利用側膨張弁521、531の開度を制御する。
また、ステップS48において、顕熱系統熱源側制御部565は、顕熱系統利用側制御部528、538から顕熱系統熱源側制御部565へ伝送された顕熱系統利用ユニット502、503の能力UP信号K2を用いて、目標蒸発温度値TeS2を演算する。例えば、目標蒸発温度値TeS2は、現在の目標蒸発温度値に顕熱系統利用ユニット502、503の能力UP信号K2を減算することによって演算される。これにより、能力UP信号K2の値が「a」の場合には、目標蒸発温度値TeS2は低くなる。
次に、ステップS49、S50(後述)を経た後、ステップS51において、顕熱系統熱源側制御部565は、顕熱負荷処理システム501全体の凝縮温度及び蒸発温度の実測値に相当する値であるシステム蒸発温度値Te2を演算する。例えば、システム蒸発温度値Te2は、顕熱系統吸入圧力センサ566によって検出された顕熱系統圧縮機構561の吸入圧力値及び顕熱系統吐出圧力センサ567によって検出された顕熱系統圧縮機構561の吐出圧力値を、これらの圧力値における冷媒の飽和温度に換算することによって演算される。そして、システム蒸発温度値Te2に対する目標蒸発温度値TeS2の温度差ΔTe2を演算し、この温度差ΔTe2から顕熱系統圧縮機構561の運転容量の増減の要否及び増減幅を決定する。
このようにして決定された顕熱系統圧縮機構561の運転容量を用いて、顕熱系統圧縮機構561の運転容量を制御することで、顕熱系統利用ユニット502、503の目標温度に近づけるシステム制御を行っている。例えば、温度差ΔTe2が正値の場合には顕熱系統圧縮機構561の運転容量を減少させ、逆に、温度差ΔTe2が負値の場合には顕熱系統圧縮機構561の運転容量を増加させるように制御する。
ところで、この空気調和システム401では、上述のように、主として屋内の潜熱負荷を処理する潜熱処理が潜熱負荷処理システム201において行われており、顕熱負荷処理システム501において屋内の顕熱負荷のみを処理する顕熱冷房運転が行われている。さらに、潜熱負荷処理システム201による潜熱負荷処理においては、図5に示されるように、潜熱負荷処理システム201を構成する第1吸着熱交換器222、232及び第2吸着熱交換器223、233の吸着動作又は再生動作によって、潜熱処理だけでなく、顕熱処理も行っているため、結果的に潜熱処理とともに顕熱処理が行われている。
このため、この空気調和システム401では、上述の顕熱負荷処理システム501の顕熱冷房運転を実現しなければならない点と、潜熱負荷処理システム201において顕熱負荷の処理が行われる点とを考慮して、以下のようなシステム制御を行っている。
まず、ステップS52において、顕熱系統利用側制御部528、538は、RA吸入温度・湿度センサ525、535によって検出されたユニット内に吸入される屋内の空気の温度値及び相対湿度値から露点温度を演算し、空気熱交換器522、532において空気が結露しないように、すなわち、少なくともこの露点温度以上になるように空気熱交換器522、532内を流れる冷媒の最低蒸発温度値Te3を演算する。
次に、ステップS49において、顕熱系統熱源側制御部565は、顕熱系統利用側制御部528、538から顕熱系統熱源側制御部565に伝送された最低蒸発温度値Te3と、ステップS48において演算された目標蒸発温度値TeS2とを比較して、目標蒸発温度値TeS2が最低蒸発温度値Te3以上の値であれば、ステップS50において、ステップS48において演算された目標蒸発温度値TeS2をステップS51における顕熱系統圧縮機構561の運転容量の演算にそのまま使用する。一方、最低蒸発温度値Te3と、ステップS48において演算された目標蒸発温度値TeS2とを比較して、目標蒸発温度値TeS2が最低蒸発温度値Te3よりも小さい値であれば、ステップS53において、目標蒸発温度値TeS2を最低蒸発温度値Te3に置き換えて、ステップS51における顕熱系統圧縮機構561の運転容量の演算に使用する。
これにより、顕熱系統圧縮機構561の運転容量が、顕熱系統利用ユニット502、503の空気熱交換器522、532における空気中の水分が結露しないように決定されるため、顕熱冷房運転が実現できるようになっている。
一方、潜熱系統利用側制御部228、238においては、ステップS42において、吸着熱交換器222、223及び吸着熱交換器232、233における吸着動作及び再生動作の切換時間間隔が顕熱優先モード(例えば、図5の時間D)であり、かつ、能力UP信号K2が「b」である場合(顕熱系統利用側ユニット502、503における必要顕熱処理能力が小さくなった場合)には、ステップS54において、切換時間間隔を潜熱優先モード(例えば、図5の時間C)に変更する。逆に、その他の条件の場合には、ステップS43に移行する。
そして、ステップS43において、吸着熱交換器222、223及び吸着熱交換器232、233における吸着動作及び再生動作の切換時間間隔が潜熱優先モード(例えば、図5の時間C)であり、かつ、能力UP信号K2が「a」である場合(顕熱系統利用側ユニット502、503における必要顕熱処理能力が大きくなった場合)には、潜熱負荷処理システム201における顕熱処理能力を大きくすることができる。
これにより、空気調和システム401では、必要顕熱処理能力値ΔTが大きくなり、顕熱負荷処理システム501における顕熱処理能力を大きくする必要がある場合に、潜熱系統利用ユニット202、203の吸着熱交換器222、232、223、233の吸着動作及び再生動作の切換時間間隔を通常運転時(通常運転時は、潜熱優先モードの時間Cに設定されている)よりも長くすることによって、吸着熱交換器222、232、523、533において処理される潜熱処理能力を小さくするとともに顕熱処理能力を大きくする、すなわち、潜熱負荷処理システム201における顕熱処理能力比を高めることができるようになっているため、必要顕熱処理能力ΔTが大きくなる場合でも、顕熱負荷処理システム501の空気熱交換器522、532において空気中の水分が結露しないように運転して屋内の顕熱負荷のみを処理しつつ、必要顕熱処理能力の変動に追従させることができる。
尚、上述のドレンレス除湿冷房運転中に、顕熱負荷処理システム501の空気熱交換器522、532の蒸発温度が露点温度以下(すなわち、最低蒸発温度値Te3以下)になって結露センサ526、536において結露が検出された場合には、顕熱系統利用側制御部528、538が顕熱系統利用側膨張弁521、531を閉止させたり、顕熱系統利用側制御部528、538が顕熱系統熱源側制御部565に結露が検出されたことを知らせる信号を伝送して顕熱系統熱源側制御部565が顕熱系統圧縮機構561を停止させることによって、空気熱交換器522、532における結露を確実に防ぐことができる。
(3)空気調和システムの特徴
本実施形態の空気調和システム401は、潜熱負荷処理システム201及び顕熱負荷処理システム501のそれぞれが潜熱系統熱源ユニット206及び顕熱系統熱源ユニット506を有している点で、潜熱負荷処理システム及び顕熱負荷処理システムに共通の熱源ユニット6を有する第1実施形態の空気調和システム1と構成上の差異はあるが、必要顕熱処理能力が大きくなり、顕熱負荷処理システム501における顕熱処理能力を大きくする必要がある場合に、潜熱負荷処理システム201を構成する吸着熱交換器222、223、232、233の吸着動作及び再生動作の切換時間間隔を大きくすることによって、吸着熱交換器222、223、232、233において処理される潜熱処理能力を小さくするとともに顕熱処理能力を大きくする、すなわち、潜熱負荷処理システム201の顕熱処理能力比を大きくして、潜熱負荷処理システム201における顕熱処理能力を大きくすることができるようになっているという点で、同様の特徴を有している。
[第3実施形態]
(1)空気調和システムの構成
図28は、本発明にかかる第3実施形態の空気調和システム601の概略の冷媒回路図である。空気調和システム601は、蒸気圧縮式の冷凍サイクル運転を行うことによって、ビル等の屋内の潜熱負荷及び顕熱負荷を処理する空気調和システムである。空気調和システム701は、いわゆる、セパレート型のマルチ空気調和システムであり、主として屋内の潜熱負荷を処理する潜熱負荷処理システム201と、主として屋内の顕熱負荷を処理する顕熱負荷処理システム701とを備えている。
潜熱負荷処理システム201は、第2実施形態の潜熱負荷処理システム201と同様の構成であるため、ここでは、各部の説明を省略する。
顕熱負荷処理システム701は、顕熱系統利用ユニット702、703と顕熱系統ガス連絡配管708との間に接続された接続ユニット741、751を有する点のみが異なるが、他の構成については第2実施形態の空気調和システム401の顕熱負荷処理システム501と同様の構成であるため、第2実施形態の顕熱負荷処理システム501の各部を示す符号をすべて700番台の符号に変えるのみとし、ここでは、各部の説明を省略する。
接続ユニット741、751は、主として、蒸発圧力調節弁742、752と、蒸発圧力センサ743、753とを有している。蒸発圧力調節弁742、752は、顕熱系統利用ユニット702、703の空気熱交換器722、732を冷媒の蒸発器として機能させる際の空気熱交換器722、732における冷媒の蒸発圧力を制御する圧力調節機構として機能するように設けられた電動膨張弁である。蒸発圧力センサ743、753は、空気熱交換器722、732における冷媒の圧力を検出する圧力検出機構として機能するように設けられた圧力センサである。また、接続ユニット741、751は、蒸発圧力調節弁742、752の動作を制御するためのマイクロコンピュータやメモリを有する接続ユニット制御部744、754を備えている。そして、接続ユニット制御部744、754は、顕熱系統利用ユニット702、703の顕熱系統利用側制御部728、738との間で制御信号等を伝送できるようになっている。
(2)空気調和システムの動作
次に、本実施形態の空気調和システム601の動作について説明する。空気調和システム601は、屋内の潜熱負荷を潜熱負荷処理システム201で処理し、屋内の顕熱負荷のみを顕熱負荷処理システム701で処理することができる。以下に、各種の運転動作について説明する。
<ドレンレス除湿冷房運転>
次に、空気調和システム601の起動時の動作について、潜熱負荷処理システム201を全換気モードで除湿運転を行いつつ、顕熱負荷処理システム701で顕熱冷房運転を行うドレンレス冷房運転における動作について、図29、図30、図31及び図32を用いて説明する。ここで、図29及び図30は、空気調和システム601における全換気モードのドレンレス除湿冷房運転時の動作を示す概略の冷媒回路図である。図31は、空気調和システム601における第1のドレンレス除湿冷房運転時の制御フロー図である。また、図32は、空気調和システム601における第2のドレンレス冷房運転時の制御フロー図である。尚、図31及び図32においては、潜熱系統利用ユニット202及び顕熱系統利用ユニット702のペアと潜熱系統利用ユニット203及び顕熱系統利用ユニット703のペアとは同様の制御フローであるため、潜熱系統利用ユニット203及び顕熱系統利用ユニット703のペアの制御フローの図示を省略している。
空気調和システム601のドレンレス除湿冷房運転時の動作としては、以下に説明する2つの運転方法がある。第1のドレンレス除湿冷房運転の方法は、接続ユニット741、751の蒸発圧力調節弁742、743を利用して空気熱交換器722、732における冷媒の蒸発圧力を最低蒸発温度値Te3(第3実施形態における最低蒸発温度値Te3と同じ)以上となるように制御する運転方法である。第2のドレン除湿冷房運転の方法は、第1のドレンレス除湿冷房運転の方法と同様に、接続ユニット741、751の蒸発圧力調節弁742、743を利用して空気熱交換器722、732における冷媒の蒸発圧力を最低蒸発温度値Te3(第3実施形態における最低蒸発温度値Te3と同じ)以上となるように制御しつつ、潜熱負荷処理システム201を構成する潜熱系統利用ユニット202、203の吸着熱交換器222、232、223、233の吸着動作及び再生動作の切換時間間隔を変更させる制御をする運転方法である。
まず、第1のドレンレス除湿冷房運転時の動作について、図29、図30及び図31を用いて説明する。
まず、潜熱負荷処理システム201の動作について説明する。尚、ここでは、顕熱負荷処理システム701の顕熱冷房運転を実現するために必要な動作については後述するものとし、潜熱負荷処理システム201の基本的な動作について先に説明する。
潜熱負荷処理システム201の潜熱系統利用ユニット202においては、第2実施形態の空気調和システム101における除湿冷房運転時の場合と同様に、第1吸着熱交換器222が凝縮器となって第2吸着熱交換器223が蒸発器となる第1動作と、第2吸着熱交換器223が凝縮器となって第1吸着熱交換器222が蒸発器となる第2動作とが交互に繰り返される。潜熱系統利用ユニット203においても同様に、第1吸着熱交換器232が凝縮器となって第2吸着熱交換器233が蒸発器となる第1動作と、第2吸着熱交換器233が凝縮器となって第1吸着熱交換器232が蒸発器となる第2動作とが交互に繰り返される。
以下の説明では、2つの潜熱系統利用ユニット202、203の動作をまとめて記載する。
第1動作では、第1吸着熱交換器222、232についての再生動作と、第2吸着熱交換器223、233についての吸着動作とが並行して行われる。第1動作中は、図29に示されるように、潜熱系統利用側四路切換弁221、231が第1状態(図29の潜熱系統利用側四路切換弁221、231の実線を参照)に設定される。この状態で、潜熱系統圧縮機構261から吐出された高圧のガス冷媒は、潜熱系統吐出ガス連絡配管207、潜熱系統利用側四路切換弁221、231を通じて第1吸着熱交換器222、232に流入し、第1吸着熱交換器222、232を通過する間に凝縮する。そして、凝縮された冷媒は、潜熱系統利用側膨張弁224、234で減圧されて、その後、第2吸着熱交換器223、233を通過する間に蒸発し、潜熱系統利用側四路切換弁221、231、潜熱系統吸入ガス連絡配管208、潜熱系統アキュムレータ262を通じて潜熱系統圧縮機構261に再び吸入される(図29の潜熱系統冷媒回路210に付された矢印を参照)。
第1動作中において、第1吸着熱交換器222、232では、冷媒の凝縮により加熱された吸着剤から水分が脱離し、この脱離した水分が内気吸入口から吸入された屋内空気RAに付与される。第1吸着熱交換器222、232から脱離した水分は、屋内空気RAに同伴して排気口を通じて排出空気EAとして屋外へ排出される。第2吸着熱交換器223、233では、屋外空気OA中の水分が吸着剤に吸着されて屋外空気OAが除湿され、その際に生じた吸着熱が冷媒に吸熱されて冷媒が蒸発する。そして、第2吸着熱交換器223、233で除湿された屋外空気OAは、給気口を通って供給空気SAとして屋内へ供給される(図29の吸着熱交換器222、223、232、233の両側に付された矢印を参照)。
第2動作では、第1吸着熱交換器222、232についての吸着動作と、第2吸着熱交換器223、233についての再生動作とが並行して行われる。第2動作中は、図30に示されるように、潜熱系統利用側四路切換弁221、231が第2状態(図30の潜熱系統利用側四路切換弁221、231の破線を参照)に設定される。この状態で、潜熱系統圧縮機構261から吐出された高圧のガス冷媒は、潜熱系統吐出ガス連絡配管207、潜熱系統利用側四路切換弁221、231を通じて第2吸着熱交換器223、233に流入し、第2吸着熱交換器223、233を通過する間に凝縮する。そして、凝縮された冷媒は、潜熱系統利用側膨張弁224、234で減圧されて、その後、第1吸着熱交換器222、232を通過する間に蒸発し、潜熱系統利用側四路切換弁221、231、潜熱系統吸入ガス連絡配管208、潜熱系統アキュムレータ262を通じて潜熱系統圧縮機構261に再び吸入される(図30の潜熱系統冷媒回路210に付された矢印を参照)。
第2動作中において、第2吸着熱交換器223、233では、冷媒の凝縮により加熱された吸着剤から水分が脱離し、この脱離した水分が内気吸入口から吸入された屋内空気RAに付与される。第2吸着熱交換器23、33から脱離した水分は、屋内空気RAに同伴して排気口を通じて排出空気EAとして屋外へ排出される。第1吸着熱交換器222、232では、屋外空気OA中の水分が吸着剤に吸着されて屋外空気OAが除湿され、その際に生じた吸着熱が冷媒に吸熱されて冷媒が蒸発する。そして、第1吸着熱交換器222、232で除湿された屋外空気OAは、給気口を通って供給空気SAとして屋内へ供給される(図30の吸着熱交換器222、223、232、233の両側に付された矢印を参照)。
ここで、空気調和システム601において行われているシステム制御について、潜熱負荷処理システム201に着目して説明する。
まず、リモコン611、612によって目標温度及び目標相対湿度が設定されると、潜熱系統利用ユニット202、203の潜熱系統利用側制御部228、238には、これらの目標温度値及び目標相対湿度値とともに、RA吸入温度・湿度センサ225、235によって検出されたユニット内に吸入される屋内の空気の温度値及び相対湿度値と、OA吸入温度・湿度センサ226、236によって検出されたユニット内に吸入される屋外の空気の温度値及び相対湿度値とが入力される。
すると、ステップS71において、潜熱系統利用側制御部228、238は、屋内の空気の目標温度値及び目標相対湿度値からエンタルピの目標値又は絶対湿度の目標値を演算し、そして、RA吸入温度・湿度センサ225、235によって検出された温度値及び相対湿度値から屋内からユニット内に吸入される空気のエンタルピの現在値又は絶対湿度の現在値を演算し、両値の差である必要潜熱能力値Δhを演算する。そして、このΔhの値を、潜熱系統利用ユニット202、203の処理能力を上げる必要があるかどうかを潜熱系統熱源側制御部265に知らせるための能力UP信号K1に変換する。例えば、Δhの絶対値が所定値よりも小さい場合(すなわち、屋内の空気の湿度値が目標湿度値に近い値であり、処理能力を増減する必要がない場合)には能力UP信号K1を「0」とし、Δhの絶対値が所定値よりも処理能力を上げなければならない方向に大きい場合(すなわち、除湿運転においては屋内の空気の湿度値が目標湿度値よりも高く、処理能力を上げる必要がある場合)には能力UP信号K1を「A」とし、Δhの絶対値が所定値よりも処理能力を下げなければならない方向に大きい場合(すなわち、除湿運転においては屋内の空気の湿度値が目標湿度値よりも低く、処理能力を下げる必要がある場合)には能力UP信号K1を「B」とする。
次に、ステップS72において、潜熱系統熱源側制御部265は、ステップS81、S82(後述)を経て、潜熱系統利用側制御部228、238から潜熱系統熱源側制御部265へ伝送された潜熱系統利用ユニット202、203の能力UP信号K1を用いて、目標凝縮温度値TcS1及び目標蒸発温度値TeS1を演算する。例えば、目標凝縮温度値TcS1は、現在の目標凝縮温度値に潜熱系統利用ユニット202、203の能力UP信号K1を加算することによって演算される。また、目標蒸発温度値TeS1は、現在の目標蒸発温度値に潜熱系統利用ユニット202、203の能力UP信号K1を減算することによって演算される。これにより、能力UP信号K1の値が「A」の場合には、目標凝縮温度値TcS1は高くなり、目標蒸発温度値TeS1は低くなる。
次に、ステップS73において、潜熱負荷処理システム201全体の凝縮温度及び蒸発温度の実測値に相当する値であるシステム凝縮温度値Tc1及びシステム蒸発温度値Te1を演算する。例えば、システム凝縮温度値Tc1及びシステム蒸発温度値Te1は、潜熱系統吸入圧力センサ263によって検出された潜熱系統圧縮機構261の吸入圧力値及び潜熱系統吐出圧力センサ264によって検出された潜熱系統圧縮機構261の吐出圧力値を、これらの圧力値における冷媒の飽和温度に換算することによって演算される。そして、システム凝縮温度値Tc1に対する目標凝縮温度値TcS1の温度差ΔTc1及びシステム蒸発温度値Te1に対する目標蒸発温度値TeS1の温度差ΔTe1を演算し、これらの温度差を除算することによって潜熱系統圧縮機構261の運転容量の増減の要否及び増減幅を決定する。
このようにして決定された潜熱系統圧縮機構261の運転容量を用いて、潜熱系統圧縮機構261の運転容量を制御することで、屋内の空気の目標相対湿度に近づけるシステム制御を行っている。例えば、温度差ΔTc1から温度差ΔTe1を差し引いた値が正値の場合には潜熱系統圧縮機構261の運転容量を増加させ、逆に、温度差ΔTc1から温度差ΔTe1を差し引いた値が負値の場合には潜熱系統圧縮機構261の運転容量を減少させるように制御する。
次に、顕熱負荷処理システム701の動作について説明する。
顕熱負荷処理システム701の顕熱系統熱源ユニット706の顕熱系統熱源側四路切換弁762が冷房運転状態(第1ポート762aと第3ポート762cとが接続され、かつ、第2ポート762bと第4ポート762dとが接続された状態)になっている。また、顕熱系統利用ユニット702、703の顕熱系統利用側膨張弁721、731は、冷媒を減圧するように開度調節されている。顕熱系統熱源側膨張弁764は開けられた状態になっている。
このような顕熱系統冷媒回路710の状態において、顕熱系統熱源ユニット706の顕熱系統圧縮機構761を起動すると、顕熱系統圧縮機構761から吐出された高圧のガス冷媒は、顕熱系統熱源側四路切換弁762を通過して顕熱系統熱源側熱交換器763に流入し凝縮されて液冷媒となる。この液冷媒は、顕熱系統熱源側膨張弁764、顕熱系統レシーバ768及び顕熱系統液連絡配管707を通じて、顕熱系統利用ユニット702、703に送られる。そして、顕熱系統利用ユニット702、703に送られた液冷媒は、顕熱系統利用側膨張弁721、731で減圧された後、空気熱交換器722、732において、ユニット内に吸入された屋内空気RAとの熱交換によって蒸発して低圧のガス冷媒となる。このガス冷媒は、顕熱系統ガス連絡配管708を通じて顕熱系統熱源ユニット706の顕熱系統圧縮機構761に再び吸入される。一方、空気熱交換器722、732において冷媒との熱交換により冷却された屋内空気RAは、供給空気SAとして屋内に供給される。尚、顕熱系統利用側膨張弁721、731は、後述のように、空気熱交換器722、732における過熱度SH、すなわち、液側温度センサ723、733によって検出された空気熱交換器722、732の液側の冷媒温度値と、ガス側温度センサ724、734によって検出された空気熱交換器722、732のガス側の冷媒温度値との温度差が目標過熱度SHSになるように開度制御がなされている。
ここで、空気調和システム601において行われているシステム制御について、顕熱負荷処理システム701に着目して説明する。尚、ここでは、顕熱負荷処理システム701の顕熱冷房運転を実現するために必要な制御については後述するものとし、顕熱負荷処理システム701の基本的な制御について説明する。
まず、リモコン611、612によって目標温度が設定されると、顕熱系統利用ユニット702、703の顕熱系統利用側制御部728、738には、これらの目標温度値とともに、RA吸入温度・湿度センサ725、735によって検出されたユニット内に吸入される屋内の空気の温度値及び相対湿度値が入力される。
すると、ステップS46において、顕熱系統利用側制御部728、738は、屋内の空気の目標温度値とRA吸入温度・湿度センサ725、735によって検出された温度値との温度差(以下、必要顕熱能力値ΔTとする)を演算する。ここで、必要顕熱能力値ΔTは、上述のように屋内の空気の目標温度値と現在の屋内の空気の温度値との差であるため、空気調和システム601において処理しなければならない顕熱負荷に相当するものである。そして、この必要顕熱能力値ΔTの値を、顕熱系統利用ユニット702、703の処理能力を上げる必要があるかどうかを顕熱系統熱源側制御部765に知らせるための能力UP信号K2に変換する。例えば、ΔTの絶対値が所定値よりも小さい場合(すなわち、屋内の空気の温度値が目標温度値に近い値であり、処理能力を増減する必要がない場合)には能力UP信号K2を「0」とし、ΔTの絶対値が所定値よりも処理能力を上げなければならない方向に大きい場合(すなわち、冷房運転においては屋内の空気の温度値が目標温度値よりも高く、処理能力を上げる必要がある場合)には能力UP信号K2を「a」とし、ΔTの絶対値が所定値よりも処理能力を下げなければならない方向に大きい場合(すなわち、冷房運転においては屋内の空気の温度値が目標温度値よりも低く、処理能力を下げる必要がある場合)には能力UP信号K2を「b」とする。
次に、ステップS75において、顕熱系統利用側制御部728、738は、必要顕熱能力値ΔTの値に応じて、目標過熱度SHSの値を変更する。例えば、顕熱系統利用ユニット502、503の処理能力を下げる必要がある場合(能力UP信号K2が「b」の場合)には、目標過熱度SHSを大きくして、空気熱交換器722、732における冷媒と空気との交換熱量を小さくするように顕熱系統利用側膨張弁721、731の開度を制御する。
また、ステップS76において、顕熱系統熱源側制御部765は、顕熱系統利用側制御部728、738から顕熱系統熱源側制御部765へ伝送された顕熱系統利用ユニット702、703の能力UP信号K2を用いて、目標蒸発温度値TeS2を演算する。例えば、目標蒸発温度値TeS2は、現在の目標蒸発温度値に顕熱系統利用ユニット702、703の能力UP信号K2を減算することによって演算される。これにより、能力UP信号K2の値が「a」の場合には、目標蒸発温度値TeS2は低くなる。
次に、ステップS77において、顕熱系統熱源側制御部565は、顕熱負荷処理システム701全体の凝縮温度及び蒸発温度の実測値に相当する値であるシステム蒸発温度値Te2を演算する。例えば、システム蒸発温度値Te2は、顕熱系統吸入圧力センサ766によって検出された顕熱系統圧縮機構761の吸入圧力値及び顕熱系統吐出圧力センサ767によって検出された顕熱系統圧縮機構761の吐出圧力値を、これらの圧力値における冷媒の飽和温度に換算することによって演算される。そして、システム蒸発温度値Te2に対する目標蒸発温度値TeS2の温度差ΔTe2を演算し、この温度差ΔTe2から顕熱系統圧縮機構761の運転容量の増減の要否及び増減幅を決定する。
このようにして決定された顕熱系統圧縮機構761の運転容量を用いて、顕熱系統圧縮機構761の運転容量を制御することで、顕熱系統利用ユニット702、703の目標温度に近づけるシステム制御を行っている。例えば、温度差ΔTe2が正値の場合には顕熱系統圧縮機構761の運転容量を減少させ、逆に、温度差ΔTe2が負値の場合には顕熱系統圧縮機構761の運転容量を増加させるように制御する。
ところで、この空気調和システム601では、上述のように、主として屋内の潜熱負荷を処理する潜熱処理が潜熱負荷処理システム201において行われており、顕熱負荷処理システム701において屋内の顕熱負荷のみを処理する顕熱冷房運転が行われている。そして、この空気調和システム601では、接続ユニット741、751の蒸発圧力調節弁742、752を用いて、以下のようなシステム制御を行うことによって、顕熱負荷処理システム701の顕熱冷房運転を実現している。
まず、ステップS78において、顕熱系統利用側制御部728、738においては、RA吸入温度・湿度センサ725、735によって検出されたユニット内に吸入される屋内の空気の温度値及び相対湿度値から露点温度を演算し、空気熱交換器722、732において空気が結露しないように、すなわち、少なくともこの露点温度以上になるように空気熱交換器722、732内を流れる冷媒の最低蒸発温度値Te3を演算する。
次に、ステップS79において、顕熱系統利用側制御部728、738から接続ユニット制御部744、754に伝送された最低蒸発温度値Te3を、この温度値Te3に対応する飽和圧力である最低蒸発圧力値P3に換算する。そして、ステップS80において、この最低蒸発圧力値P3と、蒸発圧力センサ743、753において検出された空気熱交換器722、732における冷媒の圧力値とを比較し、蒸発圧力センサ743、753において検出された空気熱交換器722、732における冷媒の圧力値が最低蒸発圧力値P3以上になるように、蒸発圧力調節弁742、752の開度を調節している。
これにより、顕熱系統圧縮機構761の運転容量が、必要顕熱能力値に応じて変更される場合であっても、蒸発圧力センサ743、753において検出された空気熱交換器722、732における冷媒の圧力値が、屋内の空気の露点温度に対応する最低蒸発圧力値P3以上となるように、蒸発圧力調節弁742、752によって調節されているため、顕熱冷房運転が実現できるようになっている。
尚、上記のドレンレス除湿冷房運転中に、顕熱負荷処理システム701の空気熱交換器722、732の蒸発温度が露点温度以下(すなわち、最低蒸発温度値Te3以下)になって結露センサ726、736において結露が検出された場合には、接続ユニット制御部744、754が、結露が検出された際の最低蒸発圧力値P3よりも高い圧力値になるように最低蒸発圧力値P3の値を補正したり、顕熱系統利用側制御部728、738が顕熱系統利用側膨張弁721、731を閉止させたり、顕熱系統利用側制御部728、738が顕熱系統熱源側制御部765に結露が検出されたことを知らせる信号を伝送して顕熱系統熱源側制御部765が顕熱系統圧縮機構761を停止させることによって、空気熱交換器722、732における結露を確実に防ぐことができる。
次に、第2のドレンレス除湿冷房運転時の動作について、図29、図30及び図32を用いて説明する。
上述の第1のドレンレス除湿冷房運転の方法では、主として屋内の潜熱負荷の処理が潜熱負荷処理システム201において行われており、顕熱負荷処理システム701において蒸発圧力調節弁742、752を用いて屋内の顕熱負荷のみを処理する顕熱冷房運転が行われている。つまり、潜熱負荷処理システム201及び顕熱負荷処理システム701で処理しなければならない潜熱処理能力(必要潜熱処理能力、Δhに相当)と、潜熱負荷処理システム801及び顕熱負荷処理システム701で処理しなければならない顕熱処理能力(必要顕熱処理能力、ΔTに相当)とは、潜熱負荷処理システム201及び顕熱負荷処理システム701を用いて処理されている。ここで、潜熱負荷処理システム201の処理能力の増減は、主として潜熱系統圧縮機構261の運転容量制御によって行われている。また、顕熱負荷処理システム701の処理能力の増減は、主として顕熱系統圧縮機構761の運転容量制御によって行われている。
そして、潜熱負荷処理システム201による潜熱負荷処理においては、図5に示されるように、潜熱負荷処理システム201を構成する第1吸着熱交換器222、232及び第2吸着熱交換器223、233の吸着動作又は再生動作によって、潜熱処理だけでなく、顕熱処理も行っているため、結果的に潜熱処理とともに顕熱処理が行われる。ここで、潜熱負荷処理システム201において潜熱処理とともに行われる顕熱処理の処理能力を発生顕熱処理能力とすると、顕熱負荷処理システムによって処理しなければならない顕熱負荷は、必要潜熱処理能力から発生顕熱処理能力を差し引いた分になる。
このため、第2のドレンレス除湿冷房運転の方法では、潜熱負荷処理システム201において顕熱負荷の処理が行われる点を考慮して、以下のようなシステム制御を行っている。尚、この第2のドレンレス除湿冷房運転の方法は、この運転方法に特有のステップS81〜S84を除くステップ(すなわち、ステップS71〜S80)については第1の運転方法における制御フローと同様であるため、説明を省略する。
潜熱系統利用側制御部228、238においては、ステップS81において、吸着熱交換器222、823及び吸着熱交換器232、833における吸着動作及び再生動作の切換時間間隔が顕熱優先モード(例えば、図5の時間D)であり、かつ、能力UP信号K2が「b」である場合(顕熱系統利用側ユニット702、703における必要顕熱処理能力が小さくなった場合)には、ステップS83において、切換時間間隔を潜熱優先(例えば、図5の時間C)に変更する。逆に、その他の条件の場合には、ステップS82に移行する。
そして、ステップS82において、吸着熱交換器222、223及び吸着熱交換器232、233における吸着動作及び再生動作の切換時間間隔が潜熱優先(例えば、図5の時間C)であり、かつ、能力UP信号K2が「a」である場合(顕熱系統利用側ユニット702、703における必要顕熱処理能力が大きくなった場合)には、潜熱負荷処理システム201における顕熱処理能力を大きくすることができる。
これにより、第2の運転方法では、必要顕熱処理能力値ΔTが大きくなり、顕熱負荷処理システム701における顕熱処理能力を大きくする必要がある場合に、潜熱系統利用ユニット202、203の吸着熱交換器222、232、223、233の吸着動作及び再生動作の切換時間間隔を大きくすることによって、吸着熱交換器222、232、223、233において処理される潜熱処理能力を小さくするとともに顕熱処理能力を大きくして潜熱負荷処理システム201における顕熱処理能力を大きくする、すわわち、顕熱処理能力比を高めることができるようになっているため、必要顕熱処理能力ΔTが大きくなる場合でも、顕熱負荷処理システム701の空気熱交換器722、732において空気中の水分が結露しないように運転して屋内の顕熱負荷のみを処理しつつ、顕熱処理能力の変動に追従させることができる。
尚、第1の運転方法と同様に、上述のドレンレス除湿冷房運転中に、顕熱負荷処理システム701の空気熱交換器722、732の蒸発温度が露点温度以下(すなわち、最低蒸発温度値Te3以下)になって結露センサ726、736において結露が検出された場合には、接続ユニット制御部744、754が、結露が検出された際の最低蒸発圧力値P3よりも高い圧力値になるように最低蒸発圧力値P3の値を補正したり、顕熱系統利用側制御部728、738が顕熱系統利用側膨張弁721、731を閉止させたり、顕熱系統利用側制御部728、738が顕熱系統熱源側制御部765に結露が検出されたことを知らせる信号を伝送して顕熱系統熱源側制御部765が顕熱系統圧縮機構761を停止させることによって、空気熱交換器722、732における結露を確実に防ぐことができる。
また、この運転方法では、蒸発圧力調節弁742、752を併用しているため、顕熱系統圧縮機構761の運転容量が最小になり、顕熱系統圧縮機構761の吸入側のガス冷媒の温度が屋内の空気の露点温度以下になってしまう場合であっても、蒸発圧力調節弁742、752の開度を小さくすることによって、空気熱交換器722、732における結露を防ぎつつ、除湿冷房運転を継続することができる。
(3)空気調和システムの特徴
本実施形態の空気調和システム601には、以下のような特徴がある。
(A)
本実施形態の空気調和システム601においては、第2実施形態の空気調和システム401と同様、必要顕熱処理能力が大きくなり、顕熱負荷処理システム701における顕熱処理能力を大きくする必要がある場合に、潜熱負荷処理システム201を構成する吸着熱交換器222、223、232、233の吸着動作及び再生動作の切換時間間隔を長くすることによって、吸着熱交換器222、223、232、233において処理される潜熱処理能力を小さくするとともに顕熱処理能力を大きくする、すなわち、潜熱負荷処理システム201の顕熱処理能力比を大きくして、潜熱負荷処理システム201における顕熱処理能力を大きくすることができるため、顕熱負荷処理システム701において空気中の水分が結露しないように運転して屋内の顕熱負荷のみを処理しつつ、顕熱処理能力の変動に追従させることができる。
(B)
また、本実施形態の空気調和システム601では、屋内の空気の露点温度に基づいて、例えば、空気熱交換器742、752における冷媒の蒸発温度が屋内の空気の露点温度以下にならないように、蒸発圧力調節弁743、753を制御することによって、空気熱交換器732、733の表面において空気中の水分が結露しないようにして、空気熱交換器732、733におけるドレン水の発生を抑えることができる。
(C)
さらに、空気調和システム601では、蒸発圧力調節弁73、83による空気熱交換器42、52における冷媒の蒸発圧力の制御値として、露点温度ではなく蒸発圧力センサ74、84によって実測される空気熱交換器42、52の冷媒の蒸発圧力を用いているため、露点温度を用いて冷媒の蒸発圧力を制御する場合に比べて制御応答性を向上させることができる。
[他の実施形態]
以上、本発明の実施形態について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態に限られるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
(A)
上述の実施形態の空気調和システムにおいては、顕熱系統利用ユニットのRA吸入温度・湿度センサによって検出された屋内の空気の温度及び相対湿度から屋内の空気の露点温度を演算して、空気熱交換器における冷媒の最低蒸発温度値Te3を演算して、システム制御に使用しているが、顕熱系統利用ユニットに露点センサを設けて、この露点センサによって検出された露点温度をシステム制御に使用するようにしてもよい。
(B)
上述の第1及び第3実施形態の空気調和システムにおいては、顕熱負荷処理システムの蒸発圧力調節弁及び蒸発圧力センサが顕熱系統利用ユニットとは別の接続ユニットに内蔵されているが、蒸発圧力調節弁及び蒸発圧力センサが顕熱系統利用ユニットが内蔵されていてもよい。この場合、顕熱系統利用側制御部が接続ユニット制御部の機能も内蔵することになる。
(C)
上述の実施形態の空気調和システムにおいては、顕熱系統利用ユニットに結露センサを設けているが、顕熱負荷処理システムの顕熱冷房運転を確実に行うことができる場合には、必ずしも設けておく必要はない。
本発明を利用すれば、吸着熱交換器を有し主として屋内の潜熱負荷を処理する潜熱負荷処理システムと、空気熱交換器を有し空気中の水分が結露しないように運転して屋内の顕熱負荷のみを処理する顕熱負荷処理システムとを備えた空気調和システムにおいて、必要顕熱処理能力が大きくなる場合でも、顕熱負荷処理システムにおいて空気中の水分が結露しないように運転して屋内の顕熱負荷のみを処理しつつ、顕熱処理能力の変動に追従できる。
本発明にかかる第1実施形態の空気調和システムの概略の冷媒回路図である。 潜熱負荷処理システムのみを運転した場合における全換気モードの除湿運転時の動作を示す概略の冷媒回路図である。 潜熱負荷処理システムのみを運転した場合における全換気モードの除湿運転時の動作を示す概略の冷媒回路図である。 潜熱負荷処理システムのみを運転した場合における制御フロー図である。 吸着熱交換器における潜熱処理能力及び顕熱処理能力を吸着動作及び再生動作の切換時間間隔を横軸として表示したグラフである。 潜熱負荷処理システムのみを運転した場合における全換気モードの加湿運転時の動作を示す概略の冷媒回路図である。 潜熱負荷処理システムのみを運転した場合における全換気モードの加湿運転時の動作を示す概略の冷媒回路図である。 潜熱負荷処理システムのみを運転した場合における循環モードの除湿運転時の動作を示す概略の冷媒回路図である。 潜熱負荷処理システムのみを運転した場合における循環モードの除湿運転時の動作を示す概略の冷媒回路図である。 潜熱負荷処理システムのみを運転した場合における循環モードの加湿運転時の動作を示す概略の冷媒回路図である。 潜熱負荷処理システムのみを運転した場合における循環モードの加湿運転時の動作を示す概略の冷媒回路図である。 潜熱負荷処理システムのみを運転した場合における給気モードの除湿運転時の動作を示す概略の冷媒回路図である。 潜熱負荷処理システムのみを運転した場合における給気モードの除湿運転時の動作を示す概略の冷媒回路図である。 潜熱負荷処理システムのみを運転した場合における給気モードの加湿運転時の動作を示す概略の冷媒回路図である。 潜熱負荷処理システムのみを運転した場合における給気モードの加湿運転時の動作を示す概略の冷媒回路図である。 潜熱負荷処理システムのみを運転した場合における排気モードの除湿運転時の動作を示す概略の冷媒回路図である。 潜熱負荷処理システムのみを運転した場合における排気モードの除湿運転時の動作を示す概略の冷媒回路図である。 潜熱負荷処理システムのみを運転した場合における排気モードの加湿運転時の動作を示す概略の冷媒回路図である。 潜熱負荷処理システムのみを運転した場合における排気モードの加湿運転時の動作を示す概略の冷媒回路図である。 第1実施形態の空気調和システムにおける全換気モードのドレンレス除湿冷房運転時の動作を示す概略の冷媒回路図である。 第1実施形態の空気調和システムにおける全換気モードのドレンレス除湿冷房運転時の動作を示す概略の冷媒回路図である。 第1実施形態の空気調和システムにおけるドレンレス除湿冷房運転時の制御フロー図である。 第1実施形態の空気調和システムにおけるドレンレス除湿冷房運転時の制御フロー図である。 本発明にかかる第2実施形態の空気調和システムの概略の冷媒回路図である。 第2実施形態の空気調和システムにおける全換気モードのドレンレス除湿冷房運転時の動作を示す概略の冷媒回路図である。 第2実施形態の空気調和システムにおける全換気モードのドレンレス除湿冷房運転時の動作を示す概略の冷媒回路図である。 第2実施形態の空気調和システムにおけるドレンレス除湿冷房運転時の制御フロー図である。 本発明にかかる第3実施形態の空気調和システムの概略の冷媒回路図である。 第3実施形態の空気調和システムにおける全換気モードのドレンレス除湿冷房運転時の動作を示す概略の冷媒回路図である。 第3実施形態の空気調和システムにおける全換気モードのドレンレス除湿冷房運転時の動作を示す概略の冷媒回路図である。 第3実施形態の空気調和システムにおけるドレンレス除湿冷房運転時の制御フロー図である。 第3実施形態の空気調和システムにおけるドレンレス除湿冷房運転時の制御フロー図である。
符号の説明
1、401、601 空気調和システム
10a、10b、210a、210b 潜熱系統利用側冷媒回路(第1利用側冷媒回路)
10c、10d、510a、510b、710a、710b 潜熱系統利用側冷媒回路(第2利用側冷媒回路)
22、23、32、33、222、223、232、233 吸着熱交換器
42、52、522、532、722、732 空気熱交換器
73、83、742、752 蒸発圧力調節弁(圧力調節機構)
74、84、743、753 蒸発圧力センサ(圧力検出機構)
P3 最低蒸発圧力値(目標蒸発圧力値)

Claims (3)

  1. 蒸気圧縮式の冷凍サイクル運転を行うことによって、屋内の潜熱負荷及び顕熱負荷を処理する空気調和システムであって、
    表面に吸着剤が設けられた吸着熱交換器(22、23、32、33)(222、223、232、233)を有しており、冷媒の蒸発器として機能させて空気中の水分を前記吸着剤に吸着させる吸着動作と、冷媒の凝縮器として機能させて空気中の水分を前記吸着剤から水分を脱離させる再生動作とを交互に切り換えて行うことで空気を除湿又は加湿することが可能な第1利用側冷媒回路(10a、10b)(210a、210b)と、
    空気熱交換器(42、52)(522、532)(722、732)を有しており、前記空気熱交換器において空気中の水分が結露しないように、冷媒と空気との熱交換を行うことが可能な第2利用側冷媒回路(10c、10d)(510a、510b)(710a、710b)とを備え、
    前記吸着熱交換器を通過した空気を屋内に供給することが可能であり、
    前記空気熱交換器を通過した空気を屋内に供給することが可能であり、
    前記吸着熱交換器の吸着動作と再生動作との切換時間間隔を変更することが可能である、
    空気調和システム(1)(401)(601)。
  2. 前記空気熱交換器(42、52)(722、732)のガス側に接続され、前記空気熱交換器を蒸発器として機能させる際の前記空気熱交換器における冷媒の蒸発圧力を制御する圧力調節機構(73、83)(742、752)を備えており、
    屋内の露点温度に基づいて、前記圧力調節機構によって、前記空気熱交換器を蒸発器として機能させる際の冷媒の蒸発圧力を制御する、
    請求項1に記載の空気調和システム(1)(601)。
  3. 前記空気熱交換器(42、52)(722、732)における冷媒圧力を検出する圧力検出機構(74、84)(743、753)を備えており、
    屋内の空気の露点温度から目標蒸発圧力値(P3)を演算し、前記圧力調節機構(73、83)(742、752)によって、前記圧力検出機構によって検出された冷媒の蒸発圧力が前記目標蒸発圧力値以上となるように制御する、
    請求項2に記載の空気調和システム(1)(601)。
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