以下、図面に基づいて、本発明にかかる空気調和システムの実施形態について説明する。
(1)空気調和システムの構成
図1は、本発明にかかる一実施形態の空気調和システム1の概略の冷媒回路図である。空気調和システム1は、蒸気圧縮式の冷凍サイクル運転を行うことによって、ビル等の屋内の潜熱負荷及び顕熱負荷を処理する空気調和システムである。空気調和システム1は、いわゆる、セパレート型のマルチ空気調和システムであり、主として、互いが並列に接続される複数台(本実施形態では、2台)の潜熱系統利用ユニット2、3と、互いが並列に接続される複数台(本実施形態では、2台)の顕熱系統利用ユニット4、5と、熱源ユニット6と、潜熱系統利用ユニット2、3及び顕熱系統利用ユニット4、5と熱源ユニット6とを接続する連絡配管7、8、9とを備えている。本実施形態において、熱源ユニット6は、潜熱系統利用ユニット2、3及び顕熱系統利用ユニット4、5に共通の熱源として機能する。また、本実施形態において、熱源ユニット6は、1台だけであるが、潜熱系統利用ユニット2、3や顕熱系統利用ユニット4、5の台数が多い場合等においては複数台を並列に接続していてもよい。
<潜熱系統利用ユニット>
潜熱系統利用ユニット2、3は、ビル等の屋内の天井に埋め込みや吊り下げ等により、壁掛け等により、又は、天井裏の空間に設置されている。潜熱系統利用ユニット2、3は、連絡配管8、9を介して熱源ユニット6に接続されており、熱源ユニット6との間で冷媒回路10を構成している。潜熱系統利用ユニット2、3は、この冷媒回路10内において冷媒を循環させて蒸気圧縮式の冷凍サイクル運転を行うことによって、主として屋内の潜熱負荷を処理する潜熱負荷処理システム(以下の説明においても、潜熱負荷処理システムという文言を使用する場合には、潜熱系統利用ユニット2、3と熱源ユニット6との組み合わせを指すものとする)として機能する。
次に、潜熱系統利用ユニット2、3の構成について説明する。尚、潜熱系統利用ユニット2と潜熱系統利用ユニット3とは同様の構成であるため、ここでは、潜熱系統利用ユニット2の構成のみ説明し、潜熱系統利用ユニット3の構成については、潜熱系統利用ユニット2の各部を示す20番台の符号の代わりに30番台の符号を付して、各部の説明を省略する。
潜熱系統利用ユニット2は、主として、冷媒回路10の一部を構成しており、空気を除湿又は加湿することが可能な潜熱系統利用側冷媒回路10aを備えている。この潜熱系統利用側冷媒回路10aは、主として、潜熱系統利用側四路切換弁21と、第1吸着熱交換器22と、第2吸着熱交換器23と、潜熱系統利用側膨張弁24とを備えている。
潜熱系統利用側四路切換弁21は、潜熱系統利用側冷媒回路10aに流入する冷媒の流路を切り換えるための弁であり、その第1ポート21aは吐出ガス連絡配管8を介して熱源ユニット6の圧縮機構61(後述)の吐出側に接続されており、その第2ポート21bは吸入ガス連絡配管9を介して熱源ユニット6の圧縮機構61の吸入側に接続されており、その第3ポート21cは第1吸着熱交換器22のガス側端部に接続されており、第4ポート21dは第2吸着熱交換器23のガス側端部に接続されている。そして、潜熱系統利用側四路切換弁21は、第1ポート21aと第3ポート21cとを接続するとともに第2ポート21bと第4ポート21dとを接続(第1状態、図1の潜熱系統利用側四路切換弁21の実線を参照)したり、第1ポート21aと第4ポート21dとを接続するとともに第2ポート21bと第3ポート21cとを接続(第2状態、図1の潜熱系統利用側四路切換弁21の破線を参照)する切り換えを行うことが可能である。
第1吸着熱交換器22及び第2吸着熱交換器23は、伝熱管と多数のフィンとにより構成されたクロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器である。具体的に、第1吸着熱交換器22及び第2吸着熱交換器23は、長方形板状に形成されたアルミニウム製の多数のフィンと、このフィンを貫通する銅製の伝熱管とを有している。尚、第1吸着熱交換器22及び第2吸着熱交換器23は、クロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器に限らず、他の形式の熱交換器、例えば、コルゲートフィン式の熱交換器等であってもよい。
第1吸着熱交換器22及び第2吸着熱交換器23は、そのフィンの表面に吸着剤がディップ成形(浸漬成形)により担持されている。尚、フィン及び伝熱管の表面に吸着剤を担持させる方法としては、ディップ成形に限らず、吸着剤としての性能を損なわない限り、どのような方法でその表面に吸着剤を担持してもよい。この吸着剤としては、ゼオライト、シリカゲル、活性炭、親水性又は吸水性を有する有機高分子ポリマー系材料、カルボン酸基又はスルホン酸基を有するイオン交換樹脂系材料、感温性高分子等の機能性高分子材料などを用いることが可能である。
第1吸着熱交換器22及び第2吸着熱交換器23は、その外側に空気を通過させながら冷媒の蒸発器として機能させることで、その表面に担持された吸着剤に空気中の水分が吸着させることができる。また、第1吸着熱交換器22及び第2吸着熱交換器23は、その外側に空気を通過させながら冷媒の凝縮器として機能させることで、その表面に担持された吸着剤に吸着された水分を脱離させることができる。
潜熱系統利用側膨張弁24は、第1吸着熱交換器22の液側端部と第2吸着熱交換器23の液側端部との間に接続された電動膨張弁であり、凝縮器として機能する第1吸着熱交換器22及び第2吸着熱交換器23の一方から蒸発器として機能する第1吸着熱交換器22及び第2吸着熱交換器23の他方に送られる冷媒を減圧することができる。
また、潜熱系統利用ユニット2は、詳細は図示しないが、屋外の空気(以下、屋外空気OAとする)をユニット内に吸入するための外気吸入口と、ユニット内から屋外に空気を排出するための排気口と、屋内の空気(以下、屋内空気RAとする)をユニット内に吸入するための内気吸入口と、ユニット内から屋内に吹き出される空気(以下、供給空気SAとする)を供給するための給気口と、排気口に連通するようにユニット内に配置された排気ファンと、給気口に連通するようにユニット内に配置された給気ファンと、空気流路を切り換えるためのダンパー等からなる切換機構とを備えている。これにより、潜熱系統利用ユニット2は、屋外空気OAを外気吸入口からユニット内に吸入して第1又は第2吸着熱交換器22、23を通過させた後に給気口から屋内に供給空気SAとして供給したり、屋外空気OAを外気吸入口からユニット内に吸入して第1又は第2吸着熱交換器22、23を通過させた後に排気口から屋外に排出空気EAとして排出したり、屋内空気RAを内気吸入口からユニット内に吸入して第1又は第2吸着熱交換器22、23を通過させた後に給気口から屋内に供給空気SAとして供給したり、屋内空気RAを内気吸入口からユニット内に吸入して第1又は第2吸着熱交換器22、23を通過させた後に排気口から屋外に排出空気EAとして排出することができるようになっている。
さらに、潜熱系統利用ユニット2は、ユニット内に吸入される屋内空気RAの温度及び相対湿度を検出するRA吸入温度・湿度センサ25と、ユニット内に吸入される屋外空気OAの温度及び相対湿度を検出するOA吸入温度・湿度センサ26と、ユニット内から屋内に供給される供給空気SAの温度を検出するSA供給温度センサ27と、潜熱系統利用ユニット2を構成する各部の動作を制御する潜熱系統利用側制御部28とを備えている。そして、潜熱系統利用側制御部28は、潜熱系統利用ユニット2の制御を行うために設けられたマイクロコンピュータやメモリを有しており、リモコン11及び後述の熱源ユニット6の熱源側制御部65を通じて、屋内の空気の目標温度及び目標湿度の入力信号等のやりとりを行ったり、熱源ユニット6との間で制御信号等のやりとりを行うこともできるようになっている。
<顕熱系統利用ユニット>
顕熱系統利用ユニット4、5は、ビル等の屋内の天井に埋め込みや吊り下げ等により、壁掛け等により、又は、天井裏の空間に設置されている。顕熱系統利用ユニット4、5は、連絡配管7、8、9及び接続ユニット14、15を介して熱源ユニット6に接続されており、熱源ユニット6との間で冷媒回路10を構成している。顕熱系統利用ユニット4、5は、この冷媒回路10内において冷媒を循環させて蒸気圧縮式の冷凍サイクル運転を行うことによって、主として屋内の顕熱負荷を処理する顕熱負荷処理システムとして機能する(以下の説明においても、潜熱負荷処理システムという文言を使用する場合には、潜熱系統利用ユニット2、3と熱源ユニット6との組み合わせを指すものとする)。そして、顕熱系統利用ユニット4は潜熱系統利用ユニット2と同じ空調空間に設置されており、顕熱系統利用ユニット5は潜熱系統利用ユニット3と同じ空調空間に設置されている。すなわち、潜熱系統利用ユニット2と顕熱系統利用ユニット4とがペアになって、ある空調空間の潜熱負荷及び顕熱負荷を処理しており、潜熱系統利用ユニット3と顕熱系統利用ユニット5とがペアになって、別の空調空間の潜熱負荷及び顕熱負荷を処理している。
次に、顕熱系統利用ユニット4、5の構成について説明する。尚、顕熱系統利用ユニット4と顕熱系統利用ユニット5とは同様の構成であるため、ここでは、顕熱系統利用ユニット4の構成のみ説明し、顕熱系統利用ユニット5の構成については、顕熱系統利用ユニット4の各部を示す40番台の符号の代わりに50番台の符号を付して、各部の説明を省略する。
顕熱系統利用ユニット4は、主として、冷媒回路10の一部を構成しており、空気を除湿又は加湿することが可能な顕熱系統利用側冷媒回路10c(顕熱系統利用ユニット5では、顕熱系統利用側冷媒回路10d)を備えている。この顕熱系統利用側冷媒回路10cは、主として、顕熱系統利用側膨張弁41と、空気熱交換器42とを備えている。本実施形態において、顕熱系統利用側膨張弁41は、冷媒流量の調節等を行うために、空気熱交換器42の液側に接続された電動膨張弁である。本実施形態において、空気熱交換器42は、伝熱管と多数のフィンとにより構成されたクロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器であり、冷媒と屋内空気RAとの熱交換を行うための機器である。本実施形態において、顕熱系統利用ユニット4は、ユニット内に屋内空気RAを吸入して、熱交換した後に、供給空気SAとして屋内に供給するための送風ファン(図示せず)を備えており、屋内空気RAと空気熱交換器322を流れる冷媒とを熱交換させることが可能である。
また、顕熱系統利用ユニット4には、各種のセンサが設けられている。空気熱交換器42の液側には液冷媒の温度を検出する液側温度センサ43が設けられており、空気熱交換器42のガス側にはガス冷媒の温度を検出するガス側温度センサ44が設けられている。さらに、顕熱系統利用ユニット4には、ユニット内に吸入される屋内空気RAの温度を検出するRA吸入温度センサ45が設けられている。また、顕熱系統利用ユニット4は、顕熱系統利用ユニット4を構成する各部の動作を制御する顕熱系統利用側制御部48を備えている。そして、顕熱系統利用側制御部48は、顕熱系統利用ユニット4の制御を行うために設けられたマイクロコンピュータやメモリを有しており、リモコン11を通じて、屋内の空気の目標温度及び目標湿度の入力信号等のやりとりを行ったり、熱源ユニット6との間で制御信号等のやりとりを行うこともできるようになっている。
<熱源ユニット>
熱源ユニット6は、ビル等の屋上等に設置されており、連絡配管7、8、9を介して潜熱系統利用ユニット2、3及び顕熱系統利用ユニット4、5に接続されており、潜熱系統利用ユニット2、3及び顕熱系統利用ユニット4、5の間で冷媒回路10を構成している。
次に、熱源ユニット6の構成について説明する。熱源ユニット6は、主として、冷媒回路10の一部を構成しており、熱源側冷媒回路10eを備えている。この熱源側冷媒回路10eは、主として、圧縮機構61と、3方切換弁62と、熱源側熱交換器63と、熱源側膨張弁64と、レシーバ68とを備えている。
圧縮機構61は、本実施形態において、インバータ制御により運転容量を可変することが可能な容積式圧縮機である。本実施形態において、圧縮機構61は、1台の圧縮機であるが、これに限定されず、利用ユニットの接続台数等に応じて、2台以上の圧縮機が並列に接続されたものであってもよい。
3方切換弁62は、熱源側熱交換器63を凝縮器として機能させる際(以下、凝縮運転状態とする)には圧縮機構61の吐出側と熱源側熱交換器63のガス側とを接続し、熱源側熱交換器63を蒸発器として機能させる際(以下、蒸発運転状態とする)には圧縮機構61の吸入側と熱源側熱交換器63のガス側とを接続するように、熱源側冷媒回路10e内における冷媒の流路を切り換えるための弁であり、その第1ポート62aは圧縮機構61の吐出側に接続されており、その第2ポート62bは圧縮機構61の吸入側に接続されており、その第3ポート62cは熱源側熱交換器63のガス側端部に接続されている。そして、3方切換弁62は、上述のように、第1ポート62aと第3ポート62cとを接続(凝縮運転状態に対応、図1の3方切換弁62の実線を参照)したり、第2ポート62bと第3ポート62cとを接続(蒸発運転状態に対応、図1の3方切換弁62の破線を参照)する切り換えを行うことが可能である。また、圧縮機構61の吐出側と3方切換弁62との間には、吐出ガス連絡配管8が接続されている。これにより、圧縮機構61において圧縮・吐出された高圧のガス冷媒を3方切換弁62の切り換え動作に関係なく、潜熱系統利用ユニット2、3や顕熱系統利用ユニット4、5に供給できるようになっている。また、圧縮機構61の吸入側には、潜熱系統利用ユニット2、3や顕熱系統利用ユニット4、5から戻る低圧のガス冷媒が流れる吸入ガス連絡配管9が接続されている。
熱源側熱交換器63は、本実施形態において、伝熱管と多数のフィンとにより構成されたクロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器であり、空気を熱源として冷媒と熱交換するための機器である。本実施形態において、熱源ユニット6は、ユニット内に屋外の空気を取り込み、送り出すための室外ファン(図示せず)を備えており、屋外の空気と熱源側熱交換器63を流れる冷媒とを熱交換させることが可能である。
熱源側膨張弁64は、本実施形態において、液連絡配管7を介して熱源側熱交換器63と空気熱交換器42、52との間を流れる冷媒の流量の調節等を行うことが可能な電動膨張弁である。熱源側膨張弁64は、熱源側熱交換器63が凝縮運転状態の場合にはほぼ全開状態で使用され、蒸発運転状態の場合には開度調節されて空気熱交換器42、52から液連絡配管7を介して熱源側熱交換器63に流入する冷媒を減圧するのに使用される。
レシーバ68は、熱源側熱交換器63と空気熱交換器42、52との間を流れる冷媒を一時的に溜めるための容器である。本実施形態において、レシーバ68は、熱源側膨張弁64と液連絡配管7との間に接続されている。
また、熱源ユニット6には、各種のセンサが設けられている。具体的には、熱源ユニット6は、圧縮機構61の吸入圧力を検出する吸入圧力センサ66と、圧縮機構61の吐出圧力を検出する吐出圧力センサ67と、熱源ユニット6を構成する各部の動作を制御する熱源側制御部65とを備えている。そして、熱源側制御部65は、熱源ユニット6の制御を行うために設けられたマイクロコンピュータやメモリを有しており、潜熱系統利用ユニット2、3の潜熱系統利用側制御部28、38や顕熱系統利用ユニット4、5の顕熱系統利用側制御部48、58との間で制御信号を伝送できるようになっている。また、熱源側制御部65は、熱源側制御部65との間でも制御信号等のやりとりを行うことができるようになっている。
本実施形態の空気調和システム1では、熱源ユニット6の圧縮機構61で圧縮・吐出された高圧のガス冷媒を吐出ガス連絡配管8を介して潜熱系統利用ユニット2、3の吸着熱交換器22、23、32、33に供給し、潜熱系統利用ユニット2、3の吸着熱交換器22、23、32、33から吸入ガス連絡配管9を介して熱源ユニット6の圧縮機構61の吸入側に戻すことができるようになっている。このため、顕熱系統利用ユニット4、5の動作とは無関係に、屋内の除湿又は加湿を行うことができるようになっている。
また、顕熱系統利用ユニット4、5は、空気熱交換器42、52のガス側が接続ユニット14、15を介して吐出ガス連絡配管8及び吸入ガス連絡配管9に切り換え可能に接続されている。接続ユニット14、15は、主として、冷暖切換弁71、81と、接続ユニット14、15を構成する各部の動作を制御する接続ユニット制御部72、82とを備えている。冷暖切換弁71、81は、顕熱系統利用ユニット4、5が冷房運転を行う場合には顕熱系統利用ユニット4、5の空気熱交換器42、52のガス側と吸入ガス連絡配管9とを接続する状態(以下、冷房運転状態とする)と、顕熱系統利用ユニット4、5が暖房運転を行う場合には顕熱系統利用ユニット4、5の空気熱交換器42、52のガス側と吐出ガス連絡配管8とを接続する状態(以下、暖房運転状態とする)との切り換えを行う切換機構として機能する弁であり、その第1ポート71a、81aは空気熱交換器42、52のガス側に接続されており、その第2ポート71b、81bは吸入ガス連絡配管9に接続されており、その第3ポート71c、81cは吐出ガス連絡配管8に接続されている。そして、冷暖切換弁71、81は、上述のように、第1ポート71a、81aと第2ポート71b、81bとを接続(冷房運転状態に対応、図1の冷暖切換弁71、81の実線を参照)したり、第1ポート71a、81aと第3ポート71c、81cとを接続(暖房運転状態に対応、図1の冷暖切換弁71、81の破線を参照)する切り換えを行うことが可能である。接続ユニット制御部72、82は、接続ユニット14、15の制御を行うために設けられたマイクロコンピュータやメモリを有しており、顕熱系統利用ユニット4、5の顕熱系統利用側制御部48、58との間で制御信号を伝送できるようになっている。これにより、顕熱系統利用ユニット4、5は、例えば、顕熱系統利用ユニット4を冷房運転しつつ、顕熱系統利用ユニット5を暖房運転する等の、いわゆる、冷暖同時運転を行うことが可能になっている。
(2)空気調和システムの動作
次に、本実施形態の空気調和システム1の動作について説明する。空気調和システム1は、屋内の潜熱負荷を潜熱負荷処理システムで処理し、屋内の顕熱負荷を主として顕熱負荷処理システムで処理することができる。各種の運転動作について説明するのに先だって、まず、空気調和システム1の潜熱負荷処理システムの単独運転時(すなわち、顕熱系統利用ユニット4、5を運転しない場合)の動作について説明する。
空気調和システム1は、潜熱負荷処理システムのみの単独運転により、以下のような各種の除湿運転や加湿運転を行うことができる。
<全換気モード>
まず、全換気モードにおける除湿運転及び加湿運転について説明する。全換気モードにおいては、潜熱系統利用ユニット2、3の給気ファン及び排気ファンを運転すると、屋外空気OAが外気吸入口を通じてユニット内に吸入されて給気口を通じて供給空気SAとして屋内に供給され、屋内空気RAが内気吸入口を通じてユニット内に吸入されて排気口を通じて排出空気EAとして屋外に排出される運転が行われる。
全換気モードの除湿運転中の動作について、図2、図3及び図4を用いて説明する。ここで、図2及び図3は、空気調和システム1の潜熱負荷処理システムのみを運転した場合おける全換気モードの除湿運転時の動作を示す概略の冷媒回路図である。図4は、空気調和システム1の潜熱負荷処理システムのみを運転した場合における制御フロー図である。
除湿運転中には、図2及び図3に示されるように、例えば、潜熱系統利用ユニット2においては、第1吸着熱交換器22が凝縮器となって第2吸着熱交換器23が蒸発器となる第1動作と、第2吸着熱交換器23が凝縮器となって第1吸着熱交換器22が蒸発器となる第2動作とが交互に繰り返される。潜熱系統利用ユニット3においても同様に、第1吸着熱交換器32が凝縮器となって第2吸着熱交換器33が蒸発器となる第1動作と、第2吸着熱交換器33が凝縮器となって第1吸着熱交換器32が蒸発器となる第2動作とが交互に繰り返される。
以下の説明では、2つの潜熱系統利用ユニット2、3の動作をまとめて記載する。
第1動作では、第1吸着熱交換器22、32についての再生動作と、第2吸着熱交換器23、33についての吸着動作とが並行して行われる。第1動作中は、図2に示されるように、潜熱系統利用側四路切換弁21、31が第1状態(図2の潜熱系統利用側四路切換弁21、31の実線を参照)に設定される。この状態で、圧縮機構61から吐出された高圧のガス冷媒は、吐出ガス連絡配管8、潜熱系統利用側四路切換弁21、31を通じて第1吸着熱交換器22、32に流入し、第1吸着熱交換器22、32を通過する間に凝縮する。そして、凝縮された冷媒は、潜熱系統利用側膨張弁24、34で減圧されて、その後、第2吸着熱交換器23、33を通過する間に蒸発し、潜熱系統利用側四路切換弁21、31、吸入ガス連絡配管9を通じて圧縮機構61に再び吸入される(図2の冷媒回路10に付された矢印を参照)。この際、顕熱系統利用ユニット4、5の顕熱系統利用側膨張弁41、51は閉止されているため、顕熱系統利用ユニット4、5には、冷媒が流れないようになっている。
第1動作中において、第1吸着熱交換器22、32では、冷媒の凝縮により加熱された吸着剤から水分が脱離し、この脱離した水分が内気吸入口から吸入された屋内空気RAに付与される。第1吸着熱交換器22、32から脱離した水分は、屋内空気RAに同伴して排気口を通じて排出空気EAとして屋外へ排出される。第2吸着熱交換器23、33では、屋外空気OA中の水分が吸着剤に吸着されて屋外空気OAが除湿され、その際に生じた吸着熱が冷媒に吸熱されて冷媒が蒸発する。そして、第2吸着熱交換器23、33で除湿された屋外空気OAは、給気口を通って供給空気SAとして屋内へ供給される(図2の吸着熱交換器22、23、32、33の両側に付された矢印を参照)。
第2動作では、第1吸着熱交換器22、32についての吸着動作と、第2吸着熱交換器23、33についての再生動作とが並行して行われる。第2動作中は、図3に示されるように、潜熱系統利用側四路切換弁21、31が第2状態(図3の潜熱系統利用側四路切換弁21、31の破線を参照)に設定される。この状態で、圧縮機構61から吐出された高圧のガス冷媒は、吐出ガス連絡配管8、潜熱系統利用側四路切換弁21、31を通じて第2吸着熱交換器23、33に流入し、第2吸着熱交換器23、33を通過する間に凝縮する。そして、凝縮された冷媒は、潜熱系統利用側膨張弁24、34で減圧されて、その後、第1吸着熱交換器22、32を通過する間に蒸発し、潜熱系統利用側四路切換弁21、31、吸入ガス連絡配管9を通じて圧縮機構61に再び吸入される(図3の冷媒回路10に付された矢印を参照)。
第2動作中において、第2吸着熱交換器23、33では、冷媒の凝縮により加熱された吸着剤から水分が脱離し、この脱離した水分が内気吸入口から吸入された屋内空気RAに付与される。第2吸着熱交換器23、33から脱離した水分は、屋内空気RAに同伴して排気口を通じて排出空気EAとして屋外へ排出される。第1吸着熱交換器22、32では、屋外空気OA中の水分が吸着剤に吸着されて屋外空気OAが除湿され、その際に生じた吸着熱が冷媒に吸熱されて冷媒が蒸発する。そして、第1吸着熱交換器22、32で除湿された屋外空気OAは、給気口を通って供給空気SAとして屋内へ供給される(図3の吸着熱交換器22、23、32、33の両側に付された矢印を参照)。
ここで、空気調和システム1の潜熱負荷処理システムのみの単独運転時において行われているシステム制御について説明する。
まず、リモコン11、12によって屋内の空気の目標温度及び目標相対湿度が設定されると、潜熱系統利用ユニット2、3の潜熱系統利用側制御部28、38には、これらの目標温度値及び目標相対湿度値とともに、RA吸入温度・湿度センサ25、35によって検出されたユニット内に吸入される屋内の空気の温度値及び相対湿度値と、OA吸入温度・湿度センサ26、36によって検出されたユニット内に吸入される屋外の空気の温度値及び相対湿度値とが入力される。
すると、ステップS1において、潜熱系統利用側制御部28、38は、屋内の空気の目標温度値及び目標相対湿度値からエンタルピの目標値又は絶対湿度の目標値を演算し、そして、RA吸入温度・湿度センサ25、35によって検出された温度値及び相対湿度値から屋内からユニット内に吸入される空気のエンタルピの現在値又は絶対湿度の現在値を演算し、両値の差(以下、必要潜熱能力値Δhとする)を演算する。ここで、必要潜熱能力値Δhは、上述のように屋内の空気のエンタルピの目標値又は絶対湿度の目標値と現在の屋内の空気のエンタルピ値又は絶対湿度値との差であるため、空気調和システム1において処理しなければならない潜熱負荷に相当するものである。そして、この必要潜熱能力値Δhの値を、潜熱系統利用ユニット2、3の処理能力を上げる必要があるかどうかを熱源側制御部65に知らせるための能力UP信号K1に変換する。例えば、Δhの絶対値が所定値よりも小さい場合(すなわち、屋内の空気の湿度値が目標湿度値に近い値であり、処理能力を増減する必要がない場合)には能力UP信号K1を「0」とし、Δhの絶対値が所定値よりも処理能力を上げなければならない方向に大きい場合(すなわち、除湿運転においては屋内の空気の湿度値が目標湿度値よりも高く、処理能力を上げる必要がある場合)には能力UP信号K1を「A」とし、Δhの絶対値が所定値よりも処理能力を下げなければならない方向に大きい場合(すなわち、除湿運転においては屋内の空気の湿度値が目標湿度値よりも低く、処理能力を下げる必要がある場合)には能力UP信号K1を「B」とする。
次に、ステップS2において、熱源側制御部65は、潜熱系統利用側制御部28、38から伝送された潜熱系統利用ユニット2、3の能力UP信号K1を用いて、目標凝縮温度値TcS1及び目標蒸発温度値TeS1を演算する。例えば、目標凝縮温度値TcS1は、現在の目標凝縮温度値に潜熱系統利用ユニット2、3の能力UP信号K1を加算することによって演算される。また、目標蒸発温度値TeS1は、現在の目標蒸発温度値に潜熱系統利用ユニット2、3の能力UP信号K1を減算することによって演算される。これにより、能力UP信号K1の値が「A」の場合には、目標凝縮温度値TcS1は高くなり、目標蒸発温度値TeS1は低くなる。
次に、ステップS3において、空気調和システム1全体の凝縮温度及び蒸発温度の実測値に相当する値であるシステム凝縮温度値Tc1及びシステム蒸発温度値Te1を演算する。例えば、システム凝縮温度値Tc1及びシステム蒸発温度値Te1は、吸入圧力センサ66によって検出された圧縮機構61の吸入圧力値及び吐出圧力センサ67によって検出された圧縮機構61の吐出圧力値を、これらの圧力値における冷媒の飽和温度に換算することによって演算される。そして、システム凝縮温度値Tc1に対する目標凝縮温度値TcS1の温度差ΔTc1及びシステム蒸発温度値Te1に対する目標蒸発温度値TeS1の温度差ΔTe1を演算し、これらの温度差を除算することによって圧縮機構61の運転容量の増減の要否及び増減幅を決定する。
このようにして決定された圧縮機構61の運転容量を用いて、圧縮機構61の運転容量を制御することで、屋内の空気の目標温度及び目標相対湿度に近づけるシステム制御を行っている。例えば、温度差ΔTc1から温度差ΔTe1を差し引いた値が正値の場合には圧縮機構61の運転容量を増加させ、逆に、温度差ΔTc1から温度差ΔTe1を差し引いた値が負値の場合には圧縮機構61の運転容量を減少させるように制御する。
ここで、第1吸着熱交換器22、32及び第2吸着熱交換器23、33は、これらの吸着動作及び再生動作によって、空気中の水分を吸着したりや吸着された水分を空気中に脱離させる処理(以下、潜熱処理とする)だけでなく、通過する空気を冷却や加熱して温度を変化させる処理(以下、顕熱処理とする)も行っている。吸着熱交換器において得られる潜熱処理能力及び顕熱処理能力を第1動作及び第2動作、すなわち、吸着動作及び再生動作の切換時間間隔を横軸として表示したグラフを図5に示す。これによると、切換時間間隔を短くした場合(図5の時間C、潜熱優先モードとする)には潜熱処理、すなわち、空気中の水分を吸着したりや脱離させる処理が優先して行われるが、切換時間間隔を長くした場合(図5の時間D、顕熱優先モードとする)には顕熱処理、すなわち、空気を冷却や加熱して温度を変化させる処理が優先して行われることがわかる。例えば、蒸発器として機能する第1吸着熱交換器22、32及び第2吸着熱交換器23、33に空気を接触させると、最初は主として表面に設けられた吸着剤によって水分を吸着するため、この際に発生する吸着熱を処理することになるが、吸着剤の水分吸着容量近くまで水分を吸着してしまうと、その後は、主として空気を冷却することになるからである。また、凝縮器として機能する第1吸着熱交換器22、32及び第2吸着熱交換器23、33に空気を接触させると、最初は、主として表面に設けられた吸着剤の加熱処理により吸着剤に吸着された水分が空気中に脱離されることになるが、吸着剤に吸着された水分がほぼ脱離されてしまうと、その後は、主として空気を加熱することになるからである。そして、この切換時間間隔を潜熱系統利用側制御部28、38からの指令により変更することによって、潜熱処理能力に対する顕熱処理能力の割合(以下、顕熱処理能力比とする)を変更することができるようになっている。尚、後述のように、空気調和システム1の潜熱負荷処理システムは、顕熱負荷処理システムとともに運転する場合(すなわち、顕熱系統利用ユニット4、5を運転する場合、以下、通常運転とする)には、主として潜熱処理を行うため、切換時間間隔を時間C、すなわち、潜熱優先モードに設定されている。
このように、この空気調和システム1では、潜熱負荷処理システムのみの全換気モードの除湿運転において、屋外の空気を除湿するとともに、切換時間間隔に応じて得られる顕熱処理能力によって冷却を行って屋内に供給する冷房運転を行うことができる。
全換気モードの加湿運転中の動作について、図6及び図7を用いて説明する。ここで、図6及び図7は、空気調和システム1の潜熱負荷処理システムのみにおける全換気モードの加湿運転時の動作を示す概略の冷媒回路図である。尚、空気調和システム1において行われているシステム制御については、上述の全換気モードの除湿運転と同様であるため、説明を省略する。
加湿運転中には、図6及び図7に示されるように、例えば、潜熱系統利用ユニット2においては、第1吸着熱交換器22が凝縮器となって第2吸着熱交換器23が蒸発器となる第1動作と、第2吸着熱交換器23が凝縮器となって第1吸着熱交換器22が蒸発器となる第2動作とが交互に繰り返される。潜熱系統利用ユニット3においても同様に、第1吸着熱交換器32が凝縮器となって第2吸着熱交換器33が蒸発器となる第1動作と、第2吸着熱交換器33が凝縮器となって第1吸着熱交換器32が蒸発器となる第2動作とが交互に繰り返される。以下、第1動作及び第2動作中における冷媒回路10内の冷媒の流れについては、上述の全換気モードの除湿運転と同様であるため、説明を省略し、第1動作及び第2動作中における空気の流れについてのみ説明する。
第1動作中において、第1吸着熱交換器22、32では、冷媒の凝縮により加熱された吸着剤から水分が脱離し、この脱離した水分が外気吸入口から吸入された屋外空気OAに付与される。第1吸着熱交換器22、32から脱離した水分は、屋外空気OAに同伴して給気口を通じて供給空気SAとして屋内へ供給される。第2吸着熱交換器23、33では、屋内空気RA中の水分が吸着剤に吸着されて屋内空気RAが除湿され、その際に生じた吸着熱が冷媒に吸熱されて冷媒が蒸発する。そして、第2吸着熱交換器23、33で除湿された屋内空気RAは、排気口を通って排出空気EAとして屋外へ排出される(図6の吸着熱交換器22、23、32、33の両側に付された矢印を参照)。
第2動作中において、第2吸着熱交換器23、33では、冷媒の凝縮により加熱された吸着剤から水分が脱離し、この脱離した水分が外気吸入口から吸入された屋外空気OAに付与される。第2吸着熱交換器23、33から脱離した水分は、屋外空気OAに同伴して給気口を通じて供給空気SAとして屋内へ供給される。第1吸着熱交換器22、32では、屋内空気RA中の水分が吸着剤に吸着されて屋内空気RAが除湿され、その際に生じた吸着熱が冷媒に吸熱されて冷媒が蒸発する。そして、第1吸着熱交換器22、32で除湿された屋内空気RAは、排気口を通って排出空気EAとして屋外へ排出される(図7の吸着熱交換器22、23、32、33の両側に付された矢印を参照)。
ここで、第1吸着熱交換器22、32及び第2吸着熱交換器23、33は、上述の全換気モードの除湿運転と同様に、潜熱処理だけでなく、顕熱処理も行っている。
このように、この空気調和システム1では、潜熱負荷処理システムのみの全換気モードの加湿運転において、屋外の空気を加湿するとともに、切換時間間隔に応じて得られる顕熱処理能力によって加熱を行って屋内に供給する加湿運転を行うことができる。
<循環モード>
次に、循環モードにおける除湿運転及び加湿運転について説明する。循環モードにおいては、潜熱系統利用ユニット2、3の給気ファン及び排気ファンを運転すると、屋内空気RAが内気吸入口を通じてユニット内に吸入されて給気口を通じて供給空気SAとして屋内に供給され、屋外空気OAが外気吸入口を通じてユニット内に吸入されて排気口を通じて排出空気EAとして屋外に排出される運転が行われる。
循環モードの除湿運転中の動作について、図8及び図9を用いて説明する。ここで、図8及び図9は、空気調和システム1の潜熱負荷処理システムのみにおける循環モードの除湿運転時の動作を示す概略の冷媒回路図である。尚、空気調和システム1において行われているシステム制御については、上述の全換気モードの除湿運転と同様であるため、説明を省略する。
除湿運転中には、図8及び図9に示されるように、例えば、潜熱系統利用ユニット2においては、第1吸着熱交換器22が凝縮器となって第2吸着熱交換器23が蒸発器となる第1動作と、第2吸着熱交換器23が凝縮器となって第1吸着熱交換器22が蒸発器となる第2動作とが交互に繰り返される。潜熱系統利用ユニット3においても同様に、第1吸着熱交換器32が凝縮器となって第2吸着熱交換器33が蒸発器となる第1動作と、第2吸着熱交換器33が凝縮器となって第1吸着熱交換器32が蒸発器となる第2動作とが交互に繰り返される。以下、第1動作及び第2動作中における冷媒回路10内の冷媒の流れについては、上述の全換気モードの除湿運転と同様であるため、説明を省略し、第1動作及び第2動作中における空気の流れについてのみ説明する。
第1動作中において、第1吸着熱交換器22、32では、冷媒の凝縮により加熱された吸着剤から水分が脱離し、この脱離した水分が外気吸入口から吸入された屋外空気OAに付与される。第1吸着熱交換器22、32から脱離した水分は、屋外空気OAに同伴して排気口を通じて排出空気EAとして屋外へ排出される。第2吸着熱交換器23、33では、屋内空気RA中の水分が吸着剤に吸着されて屋内空気RAが除湿され、その際に生じた吸着熱が冷媒に吸熱されて冷媒が蒸発する。そして、第2吸着熱交換器23、33で除湿された屋内空気RAは、給気口を通って供給空気SAとして屋内へ供給される(図8の吸着熱交換器22、23、32、33の両側に付された矢印を参照)。
第2動作中において、第2吸着熱交換器23、33では、冷媒の凝縮により加熱された吸着剤から水分が脱離し、この脱離した水分が外気吸入口から吸入された屋外空気OAに付与される。第2吸着熱交換器23、33から脱離した水分は、屋外空気OAに同伴して排気口を通じて排出空気EAとして屋外へ排出される。第1吸着熱交換器22、32では、屋内空気RA中の水分が吸着剤に吸着されて屋内の空気が除湿され、その際に生じた吸着熱が冷媒に吸熱されて冷媒が蒸発する。そして、第1吸着熱交換器22、32で除湿された屋内空気RAは、給気口を通って供給空気SAとして屋内へ供給される(図9の吸着熱交換器22、23、32、33の両側に付された矢印を参照)。
ここで、第1吸着熱交換器22、32及び第2吸着熱交換器23、33は、潜熱処理だけでなく、顕熱処理も行っている。
このように、この空気調和システム1では、潜熱負荷処理システムのみの循環モードの除湿運転において、屋内の空気を除湿するとともに、切換時間間隔に応じて得られる顕熱処理能力によって冷却を行って屋内に供給する除湿運転を行うことができる。
循環モードの加湿運転中の動作について、図10及び図11を用いて説明する。ここで、図10及び図11は、空気調和システム1の潜熱負荷処理システムのみにおける循環モードの除湿運転時の動作を示す概略の冷媒回路図である。尚、空気調和システム1において行われているシステム制御については、上述の全換気モードの除湿運転と同様であるため、説明を省略する。
加湿運転中には、図10及び図11に示されるように、例えば、潜熱系統利用ユニット2においては、第1吸着熱交換器22が凝縮器となって第2吸着熱交換器23が蒸発器となる第1動作と、第2吸着熱交換器23が凝縮器となって第1吸着熱交換器22が蒸発器となる第2動作とが交互に繰り返される。潜熱系統利用ユニット3においても同様に、第1吸着熱交換器32が凝縮器となって第2吸着熱交換器33が蒸発器となる第1動作と、第2吸着熱交換器33が凝縮器となって第1吸着熱交換器32が蒸発器となる第2動作とが交互に繰り返される。以下、第1動作及び第2動作中における冷媒回路10内の冷媒の流れについては、上述の全換気モードの除湿運転と同様であるため、説明を省略し、第1動作及び第2動作中における空気の流れについてのみ説明する。
第1動作中において、第1吸着熱交換器22、32では、冷媒の凝縮により加熱された吸着剤から水分が脱離し、この脱離した水分が内気吸入口から吸入された屋内空気RAに付与される。第1吸着熱交換器22、32から脱離した水分は、屋内空気RAに同伴して給気口を通じて供給空気SAとして屋内へ供給される。第2吸着熱交換器23、33では、屋外空気OA中の水分が吸着剤に吸着されて屋外空気OAが除湿され、その際に生じた吸着熱が冷媒に吸熱されて冷媒が蒸発する。そして、第2吸着熱交換器23、33で除湿された屋外空気OAは、排気口を通って排出空気EAとして屋外へ排出される(図10の吸着熱交換器22、23、32、33の両側に付された矢印を参照)。
第2動作中において、第2吸着熱交換器23、33では、冷媒の凝縮により加熱された吸着剤から水分が脱離し、この脱離した水分が内気吸入口から吸入された屋内空気RAに付与される。第2吸着熱交換器23、33から脱離した水分は、屋内空気RAに同伴して給気口を通じて供給空気SAとして屋内へ供給される。第1吸着熱交換器22、32では、屋外空気OA中の水分が吸着剤に吸着されて屋外空気OAが除湿され、その際に生じた吸着熱が冷媒に吸熱されて冷媒が蒸発する。そして、第1吸着熱交換器22、32で除湿された屋外空気OAは、排気口を通って排出空気EAとして屋外へ排出される(図11の吸着熱交換器22、23、32、33の両側に付された矢印を参照)。
ここで、第1吸着熱交換器22、32及び第2吸着熱交換器23、33は、上述の全換気モードの除湿運転と同様に、潜熱処理だけでなく、顕熱処理も行っている。
このように、この空気調和システム1では、潜熱負荷処理システムのみの循環モードの加湿運転において、屋内の空気を加湿するとともに、切換時間間隔に応じて得られる顕熱処理能力によって加熱を行って屋内に供給する加湿暖房運転を行うことができる。
<給気モード>
次に、給気モードにおける除湿運転及び加湿運転について説明する。給気モードにおいては、潜熱系統利用ユニット2、3の給気ファン及び排気ファンを運転すると、屋外空気OAが外気吸入口を通じてユニット内に吸入されて給気口を通じて供給空気SAとして屋内に供給され、屋外空気OAが外気吸入口を通じてユニット内に吸入されて排気口を通じて排出空気EAとして屋外に排出される運転が行われる。
給気モードの除湿運転中の動作について、図12及び図13を用いて説明する。ここで、図12及び図13は、空気調和システム1の潜熱負荷処理システムのみにおける給気モードの除湿運転時の動作を示す概略の冷媒回路図である。尚、空気調和システム1において行われているシステム制御については、上述の全換気モードの除湿運転と同様であるため、説明を省略する。
除湿運転中には、図12及び図13に示されるように、例えば、潜熱系統利用ユニット2においては、第1吸着熱交換器22が凝縮器となって第2吸着熱交換器23が蒸発器となる第1動作と、第2吸着熱交換器23が凝縮器となって第1吸着熱交換器22が蒸発器となる第2動作とが交互に繰り返される。潜熱系統利用ユニット3においても同様に、第1吸着熱交換器32が凝縮器となって第2吸着熱交換器33が蒸発器となる第1動作と、第2吸着熱交換器33が凝縮器となって第1吸着熱交換器32が蒸発器となる第2動作とが交互に繰り返される。以下、第1動作及び第2動作中における冷媒回路10内の冷媒の流れについては、上述の全換気モードの除湿運転と同様であるため、説明を省略し、第1動作及び第2動作中における空気の流れについてのみ説明する。
第1動作中において、第1吸着熱交換器22、32では、冷媒の凝縮により加熱された吸着剤から水分が脱離し、この脱離した水分が外気吸入口から吸入された屋外空気OAに付与される。第1吸着熱交換器22、32から脱離した水分は、屋外空気OAに同伴して排気口を通じて排出空気EAとして屋外へ排出される。第2吸着熱交換器23、33では、屋外空気OA中の水分が吸着剤に吸着されて屋外空気OAが除湿され、その際に生じた吸着熱が冷媒に吸熱されて冷媒が蒸発する。そして、第2吸着熱交換器23、33で除湿された屋外空気OAは、給気口を通って供給空気SAとして屋内へ供給される(図12の吸着熱交換器22、23、32、33の両側に付された矢印を参照)。
第2動作中において、第2吸着熱交換器23、33では、冷媒の凝縮により加熱された吸着剤から水分が脱離し、この脱離した水分が外気吸入口から吸入された屋外空気OAに付与される。第2吸着熱交換器23、33から脱離した水分は、屋外空気OAに同伴して排気口を通じて排出空気EAとして屋外に排出される。第1吸着熱交換器22、32では、屋外空気OA中の水分が吸着剤に吸着されて屋外空気OAが除湿され、その際に生じた吸着熱が冷媒に吸熱されて冷媒が蒸発する。そして、第1吸着熱交換器22、32で除湿された屋外空気OAは、給気口を通って供給空気SAとして屋内へ供給される(図13の吸着熱交換器22、23、32、33の両側に付された矢印を参照)。
ここで、第1吸着熱交換器22、32及び第2吸着熱交換器23、33は、潜熱処理だけでなく、顕熱処理も行っている。
このように、この空気調和システム1では、潜熱負荷処理システムのみの給気モードの除湿運転において、屋外の空気を除湿するとともに、切換時間間隔に応じて得られる顕熱処理能力によって冷却を行って屋内に供給する除湿運転を行うことができる。
給気モードの加湿運転中の動作について、図14及び図15を用いて説明する。ここで、図14及び図15は、空気調和システム1の潜熱負荷処理システムのみにおける給気モードの加湿運転時の動作を示す概略の冷媒回路図である。尚、空気調和システム1において行われているシステム制御については、上述の全換気モードの除湿運転と同様であるため、説明を省略する。
加湿運転中には、図14及び図15に示されるように、例えば、潜熱系統利用ユニット2においては、第1吸着熱交換器22が凝縮器となって第2吸着熱交換器23が蒸発器となる第1動作と、第2吸着熱交換器23が凝縮器となって第1吸着熱交換器22が蒸発器となる第2動作とが交互に繰り返される。潜熱系統利用ユニット3においても同様に、第1吸着熱交換器32が凝縮器となって第2吸着熱交換器33が蒸発器となる第1動作と、第2吸着熱交換器33が凝縮器となって第1吸着熱交換器32が蒸発器となる第2動作とが交互に繰り返される。以下、第1動作及び第2動作中における冷媒回路10内の冷媒の流れについては、上述の全換気モードの除湿運転と同様であるため、説明を省略し、第1動作及び第2動作中における空気の流れについてのみ説明する。
第1動作中において、第1吸着熱交換器22、32では、冷媒の凝縮により加熱された吸着剤から水分が脱離し、この脱離した水分が外気吸入口から吸入された屋外空気OAに付与される。第1吸着熱交換器22、32から脱離した水分は、屋外空気OAに同伴して給気口を通じて供給空気SAとして屋内へ供給される。第2吸着熱交換器23、33では、屋外空気OA中の水分が吸着剤に吸着されて屋外の空気が除湿され、その際に生じた吸着熱が冷媒に吸熱されて冷媒が蒸発する。そして、第2吸着熱交換器23、33で除湿された屋外空気OAは、排気口を通って排出空気EAとして屋外へ排出される(図14の吸着熱交換器22、23、32、33の両側に付された矢印を参照)。
第2動作中において、第2吸着熱交換器23、33では、冷媒の凝縮により加熱された吸着剤から水分が脱離し、この脱離した水分が外気吸入口から吸入された屋外空気OAに付与される。第2吸着熱交換器23、33から脱離した水分は、屋外空気OAに同伴して給気口を通じて供給空気SAとして屋内へ供給される。第1吸着熱交換器22、32では、屋外空気OA中の水分が吸着剤に吸着されて屋外空気OAが除湿され、その際に生じた吸着熱が冷媒に吸熱されて冷媒が蒸発する。そして、第1吸着熱交換器22、32で除湿された屋外空気OAは、排気口を通って排出空気EAとして屋外へ排出される(図15の吸着熱交換器22、23、32、33の両側に付された矢印を参照)。
ここで、第1吸着熱交換器22、32及び第2吸着熱交換器23、33は、潜熱処理だけでなく、顕熱処理も行っている。
このように、この空気調和システム1では、潜熱負荷処理システムのみの給気モードの加湿運転において、屋外の空気を加湿するとともに、切換時間間隔に応じて得られる顕熱処理能力によって加熱を行って屋内に供給する加湿運転を行うことができる。
<排気モード>
次に、排気モードにおける除湿運転及び加湿運転について説明する。排気モードにおいては、潜熱系統利用ユニット2、3の給気ファン及び排気ファンを運転すると、屋内空気RAが内気吸入口を通じてユニット内に吸入されて給気口を通じて供給空気SAとして屋内に供給され、屋内空気RAが内気吸入口を通じてユニット内に吸入されて排気口を通じて排出空気EAとして屋外に排出される運転が行われる。
排気モードの除湿運転中の動作について、図16及び図17を用いて説明する。ここで、図16及び図17は、空気調和システム1の潜熱負荷処理システムのみにおける排気モードの除湿運転時の動作を示す概略の冷媒回路図である。尚、空気調和システム1において行われているシステム制御については、上述の全換気モードの除湿運転と同様であるため、説明を省略する。
除湿運転中には、図16及び図17に示されるように、例えば、潜熱系統利用ユニット2においては、第1吸着熱交換器22が凝縮器となって第2吸着熱交換器23が蒸発器となる第1動作と、第2吸着熱交換器23が凝縮器となって第1吸着熱交換器22が蒸発器となる第2動作とが交互に繰り返される。潜熱系統利用ユニット3においても同様に、第1吸着熱交換器32が凝縮器となって第2吸着熱交換器33が蒸発器となる第1動作と、第2吸着熱交換器33が凝縮器となって第1吸着熱交換器32が蒸発器となる第2動作とが交互に繰り返される。以下、第1動作及び第2動作中における冷媒回路10内の冷媒の流れについては、上述の全換気モードの除湿運転と同様であるため、説明を省略し、第1動作及び第2動作中における空気の流れについてのみ説明する。
第1動作中において、第1吸着熱交換器22、32では、冷媒の凝縮により加熱された吸着剤から水分が脱離し、この脱離した水分が内気吸入口から吸入された屋内空気RAに付与される。第1吸着熱交換器22、32から脱離した水分は、屋内空気RAに同伴して排気口を通じて排出空気EAとして屋外へ排出される。第2吸着熱交換器23、33では、屋内空気RA中の水分が吸着剤に吸着されて屋内空気RAが除湿され、その際に生じた吸着熱が冷媒に吸熱されて冷媒が蒸発する。そして、第2吸着熱交換器23、33で除湿された屋内空気RAは、給気口を通って供給空気SAとして屋内へ供給される(図16の吸着熱交換器22、23、32、33の両側に付された矢印を参照)。
第2動作中において、第2吸着熱交換器23、33では、冷媒の凝縮により加熱された吸着剤から水分が脱離し、この脱離した水分が内気吸入口から吸入された屋内空気RAに付与される。第2吸着熱交換器23、33から脱離した水分は、屋内空気RAに同伴して排気口を通じて排出空気EAとして屋外に排気される。第1吸着熱交換器22、32では、屋内空気RA中の水分が吸着剤に吸着されて屋内空気RAが除湿され、その際に生じた吸着熱が冷媒に吸熱されて冷媒が蒸発する。そして、第1吸着熱交換器22、32で除湿された屋内空気RAは、給気口を通って供給空気SAとして屋内へ供給される(図17の吸着熱交換器22、23、32、33の両側に付された矢印を参照)。
ここで、第1吸着熱交換器22、32及び第2吸着熱交換器23、33は、潜熱処理だけでなく、顕熱処理も行っている。
このように、この空気調和システム1では、潜熱負荷処理システムのみの排気モードの除湿運転において、屋内の空気を除湿するとともに、切換時間間隔に応じて得られる顕熱処理能力によって冷却を行って屋内に供給する除湿運転を行うことができる。
排気モードの加湿運転中の動作について、図18及び図19を用いて説明する。ここで、図18及び図19は、空気調和システム1の潜熱負荷処理システムのみにおける排気モードの加湿運転時の動作を示す概略の冷媒回路図である。尚、空気調和システム1において行われているシステム制御については、上述の全換気モードの除湿運転と同様であるため、説明を省略する。
加湿運転中には、図18及び図19に示されるように、例えば、潜熱系統利用ユニット2においては、第1吸着熱交換器22が凝縮器となって第2吸着熱交換器23が蒸発器となる第1動作と、第2吸着熱交換器23が凝縮器となって第1吸着熱交換器22が蒸発器となる第2動作とが交互に繰り返される。潜熱系統利用ユニット3においても同様に、第1吸着熱交換器32が凝縮器となって第2吸着熱交換器33が蒸発器となる第1動作と、第2吸着熱交換器33が凝縮器となって第1吸着熱交換器32が蒸発器となる第2動作とが交互に繰り返される。以下、第1動作及び第2動作中における冷媒回路10内の冷媒の流れについては、上述の全換気モードの除湿運転と同様であるため、説明を省略し、第1動作及び第2動作中における空気の流れについてのみ説明する。
第1動作中において、第1吸着熱交換器22、32では、冷媒の凝縮により加熱された吸着剤から水分が脱離し、この脱離した水分が内気吸入口から吸入された屋内空気RAに付与される。第1吸着熱交換器22、32から脱離した水分は、屋内空気RAに同伴して給気口を通じて供給空気SAとして屋内へ供給される。第2吸着熱交換器23、33では、屋内空気RA中の水分が吸着剤に吸着されて屋内空気RAが除湿され、その際に生じた吸着熱が冷媒に吸熱されて冷媒が蒸発する。そして、第2吸着熱交換器23、33で除湿された屋内空気RAは、排気口を通って排出空気EAとして屋外へ排出される(図18の吸着熱交換器22、23、32、33の両側に付された矢印を参照)。
第2動作中において、第2吸着熱交換器23、33では、冷媒の凝縮により加熱された吸着剤から水分が脱離し、この脱離した水分が内気吸入口から吸入された屋内空気RAに付与される。第2吸着熱交換器23、33から脱離した水分は、屋内空気SAに同伴して給気口を通じて供給空気SAとして屋内へ供給される。第1吸着熱交換器22、32では、屋内空気RA中の水分が吸着剤に吸着されて屋内空気RAが除湿され、その際に生じた吸着熱が冷媒に吸熱されて冷媒が蒸発する。そして、第1吸着熱交換器22、32で除湿された屋内空気RAは、排気口を通って排出空気EAとして屋外へ排出される(図19の吸着熱交換器22、23、32、33の両側に付された矢印を参照)。
ここで、第1吸着熱交換器22、32及び第2吸着熱交換器23、33は、潜熱処理だけでなく、顕熱処理も行っている。
このように、この空気調和システム1では、潜熱負荷処理システムのみの排気モードの加湿運転において、屋内の空気を加湿するとともに、切換時間間隔に応じて得られる顕熱処理能力によって加熱を行って屋内に供給する加湿運転を行うことができる。
次に、顕熱系統利用ユニット4、5を含めた空気調和システム1全体を運転する場合における空気調和システム1の動作について説明する。空気調和システム1は、屋内の潜熱負荷を主として潜熱負荷処理システム(すなわち、潜熱系統利用ユニット2、3)で処理し、屋内の顕熱負荷を主として顕熱負荷処理システム(すなわち、顕熱系統利用ユニット4、5)で処理することができる。以下に、各種の運転動作について説明する。
<除湿冷房運転>
まず、空気調和システム1の潜熱負荷処理システムを全換気モードで除湿運転を行いつつ、空気調和システム1の顕熱負荷処理システムで冷房運転を行う冷房除湿運転における動作について、図20、図21、図22及び図23を用いて説明する。ここで、図20及び図21は、空気調和システム1における全換気モードの除湿冷房運転時の動作を示す概略の冷媒回路図である。図22は、空気調和システム1における通常運転時の制御フロー図である。図23は、空気調和システム1における通常運転時の制御フロー図である(吸着熱交換器22、23、32、33の切換時間間隔の変更を行う場合)。尚、図22及び図23においては、潜熱系統利用ユニット2及び顕熱系統利用ユニット4のペアと潜熱系統利用ユニット3及び顕熱系統利用ユニット5のペアとは同様の制御フローであるため、潜熱系統利用ユニット3及び顕熱系統利用ユニット5のペアの制御フローの図示を省略している。
まず、空気調和システム1の潜熱負荷処理システムの動作について説明する。
潜熱負荷処理システムの潜熱系統利用ユニット2においては、上述の潜熱負荷処理システムの単独運転時の場合と同様に、第1吸着熱交換器22が凝縮器となって第2吸着熱交換器23が蒸発器となる第1動作と、第2吸着熱交換器23が凝縮器となって第1吸着熱交換器22が蒸発器となる第2動作とが交互に繰り返される。潜熱系統利用ユニット3においても同様に、第1吸着熱交換器32が凝縮器となって第2吸着熱交換器33が蒸発器となる第1動作と、第2吸着熱交換器33が凝縮器となって第1吸着熱交換器32が蒸発器となる第2動作とが交互に繰り返される。
以下の説明では、2つの潜熱系統利用ユニット2、3の動作をまとめて記載する。
第1動作では、第1吸着熱交換器22、32についての再生動作と、第2吸着熱交換器23、33についての吸着動作とが並行して行われる。第1動作中は、図20に示されるように、潜熱系統利用側四路切換弁21、31が第1状態(図20の潜熱系統利用側四路切換弁21、31の実線を参照)に設定される。この状態で、圧縮機構61から吐出された高圧のガス冷媒は、吐出ガス連絡配管8、潜熱系統利用側四路切換弁21、31を通じて第1吸着熱交換器22、32に流入し、第1吸着熱交換器22、32を通過する間に凝縮する。そして、凝縮された冷媒は、潜熱系統利用側膨張弁24、34で減圧されて、その後、第2吸着熱交換器23、33を通過する間に蒸発し、潜熱系統利用側四路切換弁21、31、吸入ガス連絡配管9を通じて圧縮機構61に再び吸入される(図20の冷媒回路10に付された矢印を参照)。ここで、顕熱系統利用ユニット4、5の顕熱系統利用側膨張弁41、51は、上述の潜熱負荷処理システムのみの運転の場合と異なり、冷房運転を行うために、空気熱交換器42、52に冷媒を流すために開けられて開度調節された状態になっているため、圧縮機構61において圧縮され吐出された高圧のガス冷媒の一部が潜熱系統利用ユニット2、3を流れていることになる。
第1動作中において、第1吸着熱交換器22、32では、冷媒の凝縮により加熱された吸着剤から水分が脱離し、この脱離した水分が内気吸入口から吸入された屋内空気RAに付与される。第1吸着熱交換器22、32から脱離した水分は、屋内空気RAに同伴して排気口を通じて排出空気EAとして屋外へ排出される。第2吸着熱交換器23、33では、屋外空気OA中の水分が吸着剤に吸着されて屋外空気OAが除湿され、その際に生じた吸着熱が冷媒に吸熱されて冷媒が蒸発する。そして、第2吸着熱交換器23、33で除湿された屋外空気OAは、給気口を通って供給空気SAとして屋内へ供給される(図20の吸着熱交換器22、23、32、33の両側に付された矢印を参照)。
第2動作では、第1吸着熱交換器22、32についての吸着動作と、第2吸着熱交換器23、33についての再生動作とが並行して行われる。第2動作中は、図21に示されるように、潜熱系統利用側四路切換弁21、31が第2状態(図21の潜熱系統利用側四路切換弁21、31の破線を参照)に設定される。この状態で、圧縮機構61から吐出された高圧のガス冷媒は、吐出ガス連絡配管8、潜熱系統利用側四路切換弁21、31を通じて第2吸着熱交換器23、33に流入し、第2吸着熱交換器23、33を通過する間に凝縮する。そして、凝縮された冷媒は、潜熱系統利用側膨張弁24、34で減圧されて、その後、第1吸着熱交換器22、32を通過する間に蒸発し、潜熱系統利用側四路切換弁21、31、吸入ガス連絡配管9を通じて圧縮機構61に再び吸入される(図21の冷媒回路10に付された矢印を参照)。
第2動作中において、第2吸着熱交換器23、33では、冷媒の凝縮により加熱された吸着剤から水分が脱離し、この脱離した水分が内気吸入口から吸入された屋内空気RAに付与される。第2吸着熱交換器23、33から脱離した水分は、屋内空気RAに同伴して排気口を通じて排出空気EAとして屋外へ排出される。第1吸着熱交換器22、32では、屋外空気OA中の水分が吸着剤に吸着されて屋外空気OAが除湿され、その際に生じた吸着熱が冷媒に吸熱されて冷媒が蒸発する。そして、第1吸着熱交換器22、32で除湿された屋外空気OAは、給気口を通って供給空気SAとして屋内へ供給される(図21の吸着熱交換器22、23、32、33の両側に付された矢印を参照)。
ここで、空気調和システム1において行われているシステム制御について、潜熱負荷処理システムに着目して説明する。
まず、リモコン11、12によって目標温度及び目標相対湿度が設定されると、潜熱系統利用ユニット2、3の潜熱系統利用側制御部28、38には、これらの目標温度値及び目標相対湿度値とともに、RA吸入温度・湿度センサ225、235によって検出されたユニット内に吸入される屋内の空気の温度値及び相対湿度値と、OA吸入温度・湿度センサ26、36によって検出されたユニット内に吸入される屋外の空気の温度値及び相対湿度値とが入力される。
すると、ステップS11において、潜熱系統利用側制御部28、38は、屋内の空気の目標温度値及び目標相対湿度値からエンタルピの目標値又は絶対湿度の目標値を演算し、そして、RA吸入温度・湿度センサ25、35によって検出された温度値及び相対湿度値から屋内からユニット内に吸入される空気のエンタルピの現在値又は絶対湿度の現在値を演算し、両値の差である必要潜熱能力値Δhを演算する。そして、このΔhの値を、潜熱系統利用ユニット2、3の処理能力を上げる必要があるかどうかを熱源側制御部65に知らせるための能力UP信号K1に変換する。例えば、Δhの絶対値が所定値よりも小さい場合(すなわち、屋内の空気の湿度値が目標湿度値に近い値であり、処理能力を増減する必要がない場合)には能力UP信号K1を「0」とし、Δhの絶対値が所定値よりも処理能力を上げなければならない方向に大きい場合(すなわち、除湿運転においては屋内の空気の湿度値が目標湿度値よりも高く、処理能力を上げる必要がある場合)には能力UP信号K1を「A」とし、Δhの絶対値が所定値よりも処理能力を下げなければならない方向に大きい場合(すなわち、除湿運転においては屋内の空気の湿度値が目標湿度値よりも低く、処理能力を下げる必要がある場合)には能力UP信号K1を「B」とする。そして、この能力UP信号K1は、潜熱系統利用側制御部28、38から熱源側制御部65に伝送されて、ステップS12において、目標凝縮温度値TcS及び目標蒸発温度値TeSの演算に使用されるが、この点については後述する。
次に、空気調和システム1の顕熱負荷処理システムの動作について説明する。
顕熱系統利用ユニット4、5の冷房運転を行う場合、熱源ユニット6の3方切換弁62は、凝縮運転状態(第1ポート62aと第3ポート62cとが接続された状態)になっている。また、接続ユニット14、15の冷暖切換弁71、81は、冷房運転状態(第1ポート71a、81aと第2ポート71b、81bとが接続された状態)になっている。また、顕熱系統利用ユニット4、5の顕熱系統利用側膨張弁41、51は、冷媒を減圧するように開度調節されている。熱源側膨張弁64は開けられた状態になっている。
このような冷媒回路10の状態においては、圧縮機構61から吐出された高圧のガス冷媒は、3方切換弁62を通過して熱源側熱交換器63に流入し凝縮されて液冷媒となる。この液冷媒は、熱源側膨張弁64、レシーバ68及び液連絡配管7を通じて、顕熱系統利用ユニット4、5に送られる。そして、顕熱系統利用ユニット4、5に送られた液冷媒は、顕熱系統利用側膨張弁41、51で減圧された後、空気熱交換器42、52において、ユニット内に吸入された屋内空気RAとの熱交換によって蒸発して低圧のガス冷媒となる。このガス冷媒は、接続ユニット14、15の冷暖切換弁71、81及び吸入ガス連絡配管9を通じて、熱源ユニット6の圧縮機構61に再び吸入される。一方、空気熱交換器42、52において冷媒との熱交換により冷却された屋内空気RAは、供給空気SAとして屋内に供給される。尚、顕熱系統利用側膨張弁41、51は、後述のように、空気熱交換器42、52における過熱度SH、すなわち、液側温度センサ43、53によって検出された空気熱交換器42、52の液側の冷媒温度値と、ガス側温度センサ54、55によって検出された空気熱交換器42、52のガス側の冷媒温度値との温度差が目標過熱度SHSになるように開度制御がなされている。
ここで、空気調和システム1において行われているシステム制御について、顕熱負荷処理システムに着目して説明する。
まず、リモコン11、12によって目標温度が設定されると、顕熱系統利用ユニット4、5の顕熱系統利用側制御部48、58には、これらの目標温度値とともに、RA吸入温度センサ45、55によって検出されたユニット内に吸入される屋内の空気の温度値が入力される。
すると、ステップS14において、顕熱系統利用側制御部48、58は、屋内の空気の目標温度値とRA吸入温度センサ45、55によって検出された温度値との温度差(以下、必要顕熱能力値ΔTとする)を演算する。ここで、必要顕熱能力値ΔTは、上述のように屋内の空気の目標温度値と現在の屋内の空気の温度値との差であるため、空気調和システム1において処理しなければならない顕熱負荷に相当するものである。そして、この必要顕熱能力値ΔTの値を、顕熱系統利用ユニット4、5の処理能力を上げる必要があるかどうかを熱源側制御部65に知らせるための能力UP信号K2に変換する。例えば、ΔTの絶対値が所定値よりも小さい場合(すなわち、屋内の空気の温度値が目標温度値に近い値であり、処理能力を増減する必要がない場合)には能力UP信号K2を「0」とし、ΔTの絶対値が所定値よりも処理能力を上げなければならない方向に大きい場合(すなわち、冷房運転においては屋内の空気の温度値が目標温度値よりも高く、処理能力を上げる必要がある場合)には能力UP信号K2を「a」とし、ΔTの絶対値が所定値よりも処理能力を下げなければならない方向に大きい場合(すなわち、冷房運転においては屋内の空気の温度値が目標温度値よりも低く、処理能力を下げる必要がある場合)には能力UP信号K2を「b」とする。
次に、ステップS15において、顕熱系統利用側制御部48、58は、必要顕熱能力値ΔTの値に応じて、目標過熱度SHSの値を変更する。例えば、顕熱系統利用ユニット4、5の処理能力を下げる必要がある場合(能力UP信号K2が「b」の場合)には、目標過熱度SHSを大きくして、空気熱交換器42、52における冷媒と空気との交換熱量を小さくするように顕熱系統利用側膨張弁41、51の開度を制御する。
次に、ステップS12において、熱源側制御部65は、潜熱系統利用側制御部28、38から熱源側制御部65へ伝送された潜熱系統利用ユニット2、3の能力UP信号K1と、顕熱系統利用側制御部48、58から熱源側制御部65へ伝送された顕熱系統利用ユニット4、5の能力UP信号K2とを用いて、目標凝縮温度値TcS及び目標蒸発温度値TeSを演算する。例えば、目標凝縮温度値TcSは、現在の目標凝縮温度値に、潜熱系統利用ユニット2、3の能力UP信号K1及び顕熱系統利用ユニット4、5の能力UP信号K2を加算することによって演算される。また、目標蒸発温度値TeSは、現在の目標蒸発温度値に潜熱系統利用ユニット2、3の能力UP信号K1及び顕熱系統利用ユニット4、5の能力UP信号K2を減算することによって演算される。これにより、能力UP信号K1の値が「A」の場合や能力UP信号K2の値が「a」の場合には、目標凝縮温度値TcSは高くなり、目標蒸発温度値TeSは低くなる。
次に、ステップS13において、空気調和システム1全体の凝縮温度及び蒸発温度の実測値に相当する値であるシステム凝縮温度値Tc及びシステム蒸発温度値Teを演算する。例えば、システム凝縮温度値Tc及びシステム蒸発温度値Teは、吸入圧力センサ66によって検出された圧縮機構61の吸入圧力値及び吐出圧力センサ67によって検出された圧縮機構61の吐出圧力値を、これらの圧力値における冷媒の飽和温度に換算することによって演算される。そして、システム凝縮温度値Tcに対する目標凝縮温度値TcSの温度差ΔTc及びシステム蒸発温度値Teに対する目標蒸発温度値TeSの温度差ΔTeを演算し、これらの温度差を除算することによって圧縮機構61の運転容量の増減の要否及び増減幅を決定する。
このようにして決定された圧縮機構61の運転容量を用いて、圧縮機構61の運転容量を制御することで、屋内の空気の目標相対湿度に近づけるシステム制御を行っている。例えば、温度差ΔTcから温度差ΔTeを差し引いた値が正値の場合には圧縮機構61の運転容量を増加させ、逆に、温度差ΔTcから温度差ΔTeを差し引いた値が負値の場合には圧縮機構61の運転容量を減少させるように制御する。
このように、この空気調和システム1では、空気調和システム1全体として処理しなければならない潜熱負荷(必要潜熱処理能力、Δhに相当)と、空気調和システム1全体として処理しなければならない顕熱負荷(必要顕熱処理能力、ΔTに相当)とが、潜熱負荷処理システム(具体的には、潜熱系統利用ユニット2、3)及び顕熱負荷処理システム(具体的には、顕熱系統利用ユニット4、5)を用いて処理されている。ここで、潜熱負荷処理システムの処理能力の増減と顕熱負荷処理システムの処理能力の増減とは、必要潜熱処理能力値Δh及び必要顕熱処理能力値ΔTを演算し、これらの値に基づいて、圧縮機構61の運転容量を制御しているため、吸着熱交換器22、23、32、33を有する潜熱負荷処理システムにおける潜熱負荷の処理と、空気熱交換器42、52を有する顕熱負荷処理システムにおける顕熱負荷の処理とを両立させて行うことができる。これにより、本実施形態の空気調和システム1のように、潜熱負荷処理システム及び顕熱負荷処理システムの熱源を共通化した場合でも、熱源を構成する圧縮機構の運転容量の制御を良好に行うことができる。
ところで、上述の空気調和システム1のシステム制御では、必要顕熱処理能力値ΔTが大きくなり(すなわち、能力UP信号K2が「a」になる)、かつ、必要潜熱処理能力値Δhが小さくなる(すなわち、能力UP信号K1が「B」になる)場合において、基本的に、圧縮機構61の運転容量を増加させる制御がなされる。また、必要潜熱処理能力値Δhが大きくなる(すなわち、能力UP信号K1が「A」になる)場合にも、基本的に、圧縮機構61の運転容量を増加させる制御がなされる。
一方、潜熱負荷処理システムによる潜熱負荷の処理においては、上述のように、吸着熱交換器22、23、32、33の吸着動作又は再生動作によって、潜熱処理とともに顕熱処理が行われる。この際の潜熱処理能力に対する顕熱処理能力の比は、図5に示されるように、切換時間間隔の変更によって変化するものである。このため、空気調和システム1において、必要潜熱処理能力値Δhは小さく、かつ、必要顕熱処理能力値ΔTが大きい場合には、切換時間間隔を長くすることによって顕熱処理能力比を大きくして、顕熱負荷の増加に対応することができる。ここで、切換時間間隔を長くすることによって、空気調和システム1の潜熱負荷処理システムにおける顕熱処理能力を高める動作は、圧縮機構61の運転容量を増加させる動作でないため、空気調和システム1全体に無駄がなくなり、効率のよい運転を行うことができるようになる。また、必要潜熱処理能力値Δhが大きくなる(すなわち、能力UP信号K1が「A」)場合には、切換時間間隔を短くすることによって顕熱処理能力比を小さくして、潜熱負荷の増加に対応することができる。
本実施形態の空気調和システム1では、図23に示される制御フローにしたがって、上述のシステム制御を行っている。以下、図23に示される空気調和システム1のシステム制御について説明する。尚、図23のステップS16〜S19を除くステップS11〜S15については、図22に示されるステップS11〜S15と同じであるため、ここでは説明を省略する。
ステップS16において、潜熱系統利用側制御部28、38は、吸着熱交換器22、23、32、33の切換時間間隔が顕熱優先モード(すなわち、時間D)であるかどうかと、能力UP信号K1が「A」(すなわち、潜熱処理能力を上げる方向)であるかどうかとが判断される。そして、この2つの条件の両方を満たす場合には、ステップS18において、切換時間間隔を潜熱優先モード(すなわち、時間C)に変更する。逆に、この2つの条件のいずれか1つでも満たさない場合には、ステップS17の処理に移行する。
ステップS17において、潜熱系統利用側制御部28、38は、吸着熱交換器22、23、32、33の切換時間間隔が潜熱優先モード(すなわち、時間C)であるかどうかと、能力UP信号K1が「B」(すなわち、潜熱処理能力を下げる方向)であるかどうかと、顕熱系統利用側制御部48、58から熱源側制御部65を通じて伝送された能力UP信号K2が「a」(すなわち、顕熱処理能力を上げる方向)であるかどうかとが判断される。そして、この3つの条件のすべてを満たす場合には、ステップS19において、切換時間間隔を顕熱優先モード(すなわち、時間D)に変更する。逆に、この2つの条件のいずれか1つでも満たさない場合には、ステップS12の処理に移行する。
このようなシステム制御によって、上述のように、必要潜熱処理能力値Δhは小さく、かつ、必要顕熱処理能力値ΔTが大きい場合には、切換時間間隔を長くすること(具体的には、通常運転時の時間Cから時間Dに変更、図5参照)によって顕熱処理能力比を大きくして、顕熱負荷の増加に対応することができる。しかも、このシステム制御では、ステップS16のように、潜熱負荷が大きくなる場合には、潜熱優先モードに戻すことができるようになっているため、屋内の潜熱負荷の処理を確実に行いつつ、顕熱負荷の増加に対応することができる。 尚、ここでは、除湿冷房運転の例として、空気調和システム1の潜熱負荷処理システムを全換気モードの除湿運転を行いながら顕熱負荷処理システムの冷房運転を行う場合について説明したが、潜熱負荷処理システムを循環モードや給気モード等の他のモードで除湿運転を行う場合であっても適用可能である。
<加湿暖房運転>
次に、空気調和システム1の潜熱負荷処理システムを全換気モードで加湿運転を行いつつ、空気調和システム1の顕熱負荷処理システムで暖房運転を行う加湿暖房運転における動作について、図22、図23、図24及び図25を用いて説明する。ここで、図24及び図25は、空気調和システム1における全換気モードの加湿暖房運転時の動作を示す概略の冷媒回路図である。
まず、空気調和システム1の潜熱負荷処理システムの動作について説明する。
潜熱負荷処理システムの潜熱系統利用ユニット2においては、上述の潜熱負荷処理システムの単独運転時の場合と同様に、第1吸着熱交換器22が凝縮器となって第2吸着熱交換器23が蒸発器となる第1動作と、第2吸着熱交換器23が凝縮器となって第1吸着熱交換器22が蒸発器となる第2動作とが交互に繰り返される。潜熱系統利用ユニット3においても同様に、第1吸着熱交換器32が凝縮器となって第2吸着熱交換器33が蒸発器となる第1動作と、第2吸着熱交換器33が凝縮器となって第1吸着熱交換器32が蒸発器となる第2動作とが交互に繰り返される。
以下の説明では、2つの潜熱系統利用ユニット2、3の動作をまとめて記載する。
第1動作では、第1吸着熱交換器22、32についての再生動作と、第2吸着熱交換器23、33についての吸着動作とが並行して行われる。第1動作中は、図24に示されるように、潜熱系統利用側四路切換弁21、31が第1状態(図24の潜熱系統利用側四路切換弁21、31の実線を参照)に設定される。この状態で、圧縮機構61から吐出された高圧のガス冷媒は、吐出ガス連絡配管8、潜熱系統利用側四路切換弁21、31を通じて第1吸着熱交換器22、32に流入し、第1吸着熱交換器22、32を通過する間に凝縮する。そして、凝縮された冷媒は、潜熱系統利用側膨張弁24、34で減圧されて、その後、第2吸着熱交換器23、33を通過する間に蒸発し、潜熱系統利用側四路切換弁21、31、吸入ガス連絡配管9を通じて圧縮機構61に再び吸入される(図24の冷媒回路10に付された矢印を参照)。ここで、顕熱系統利用ユニット4、5の顕熱系統利用側膨張弁41、51は、上述の潜熱負荷処理システムのみの運転の場合と異なり、暖房運転を行うために、空気熱交換器42、52に冷媒を流すために開けられて開度調節された状態になっているため、圧縮機構61において圧縮され吐出された高圧のガス冷媒の一部が潜熱系統利用ユニット2、3を流れていることになる。
第1動作中において、第1吸着熱交換器22、32では、冷媒の凝縮により加熱された吸着剤から水分が脱離し、この脱離した水分が外気吸入口から吸入された屋外空気OAに付与される。第1吸着熱交換器22、32から脱離した水分は、屋外空気OAに同伴して給気口を通じて供給空気SAとして屋内へ供給される。第2吸着熱交換器23、33では、屋内空気RA中の水分が吸着剤に吸着されて屋内空気RAが除湿され、その際に生じた吸着熱が冷媒に吸熱されて冷媒が蒸発する。そして、第2吸着熱交換器23、33で除湿された屋内空気RAは、排気口を通って排出空気EAとして屋外へ排出される(図24の吸着熱交換器22、23、32、33の両側に付された矢印を参照)。
第2動作では、第1吸着熱交換器22、32についての吸着動作と、第2吸着熱交換器23、33についての再生動作とが並行して行われる。第2動作中は、図25に示されるように、潜熱系統利用側四路切換弁21、31が第2状態(図25の潜熱系統利用側四路切換弁21、31の破線を参照)に設定される。この状態で、圧縮機構61から吐出された高圧のガス冷媒は、吐出ガス連絡配管8、潜熱系統利用側四路切換弁21、31を通じて第2吸着熱交換器23、33に流入し、第2吸着熱交換器23、33を通過する間に凝縮する。そして、凝縮された冷媒は、潜熱系統利用側膨張弁24、34で減圧されて、その後、第1吸着熱交換器22、32を通過する間に蒸発し、潜熱系統利用側四路切換弁21、31、吸入ガス連絡配管9を通じて圧縮機構61に再び吸入される(図25の冷媒回路10に付された矢印を参照)。
第2動作中において、第2吸着熱交換器23、33では、冷媒の凝縮により加熱された吸着剤から水分が脱離し、この脱離した水分が外気吸入口から吸入された屋外空気OAに付与される。第2吸着熱交換器23、33から脱離した水分は、屋外空気OAに同伴して給気口を通じて供給空気SAとして屋内へ供給される。第1吸着熱交換器22、32では、屋内空気RA中の水分が吸着剤に吸着されて屋内空気RAが除湿され、その際に生じた吸着熱が冷媒に吸熱されて冷媒が蒸発する。そして、第1吸着熱交換器22、32で除湿された屋内空気RAは、排気口を通って排出空気EAとして屋外へ排出される(図25の吸着熱交換器22、23、32、33の両側に付された矢印を参照)。
ここで、空気調和システム1において行われているシステム制御について、潜熱負荷処理システムに着目して説明する。
まず、リモコン11、12によって目標温度及び目標相対湿度が設定されると、潜熱系統利用ユニット2、3の潜熱系統利用側制御部28、38には、これらの目標温度値及び目標相対湿度値とともに、RA吸入温度・湿度センサ25、35によって検出されたユニット内に吸入される屋内の空気の温度値及び相対湿度値と、OA吸入温度・湿度センサ26、36によって検出されたユニット内に吸入される屋外の空気の温度値及び相対湿度値とが入力される。
すると、ステップS11において、潜熱系統利用側制御部28、38は、屋内の空気の目標温度値及び目標相対湿度値からエンタルピの目標値又は絶対湿度の目標値を演算し、そして、RA吸入温度・湿度センサ25、35によって検出された温度値及び相対湿度値から屋内からユニット内に吸入される空気のエンタルピの現在値又は絶対湿度の現在値を演算し、両値の差である必要潜熱能力値Δhを演算する。そして、このΔhの値を、潜熱系統利用ユニット2、3の処理能力を上げる必要があるかどうかを熱源側制御部65に知らせるための能力UP信号K1に変換する。例えば、Δhの絶対値が所定値よりも小さい場合(すなわち、屋内の空気の湿度値が目標湿度値に近い値であり、処理能力を増減する必要がない場合)には能力UP信号K1を「0」とし、Δhの絶対値が所定値よりも処理能力を上げなければならない方向に大きい場合(すなわち、加湿運転においては屋内の空気の湿度値が目標湿度値よりも低く、処理能力を上げる必要がある場合)には能力UP信号K1を「A」とし、Δhの絶対値が所定値よりも処理能力を下げなければならない方向に大きい場合(すなわち、加湿運転においては屋内の空気の湿度値が目標湿度値よりも高く、処理能力を下げる必要がある場合)には能力UP信号K1を「B」とする。そして、この能力UP信号K1は、潜熱系統利用側制御部28、38から熱源側制御部65に伝送されて、ステップS12において、目標凝縮温度値TcS及び目標蒸発温度値TeSの演算に使用されるが、この点については後述する。
次に、空気調和システム1の顕熱負荷処理システムの動作について説明する。
顕熱系統利用ユニット4、5の暖房運転を行う場合、熱源ユニット6の3方切換弁62は、蒸発運転状態(第2ポート62bと第3ポート62cとが接続された状態)になっている。また、接続ユニット14、15の冷暖切換弁71、81は、暖房運転状態(第1ポート71a、81aと第3ポート71c、81cとが接続された状態)になっている。また、顕熱系統利用ユニット4、5の顕熱系統利用側膨張弁41、51は、冷媒を減圧するように開度調節されている。熱源側膨張弁64は減圧するように開度調節されている。
このような冷媒回路10の状態において、圧縮機構61から吐出された高圧のガス冷媒は、圧縮機構61の吐出側と3方切換弁62との間から吐出ガス連絡配管8及び接続ユニット14、15を通じて、顕熱系統利用ユニット4、5に送られる。そして、顕熱系統利用ユニット4、5に送られた高圧のガス冷媒は、空気熱交換器42、52において、ユニット内に吸入された屋内空気RAとの熱交換によって凝縮されて液冷媒となり、顕熱系統利用側膨張弁41、51及び液連絡配管7を通じて、熱源ユニット6に送られる。一方、空気熱交換器42、52において冷媒との熱交換により加熱された屋内空気RAは、供給空気SAとして屋内に供給される。そして、熱源ユニット6に送られた液冷媒は、レシーバ68を通過し、熱源側膨張弁64で減圧された後に、熱源側熱交換器63で蒸発されて低圧のガス冷媒となり、3方切換弁62を通じて圧縮機構61に再び吸入される。尚、顕熱系統利用側膨張弁41、51は、後述のように、空気熱交換器42、52の過冷却度SC、すなわち、液側温度センサ43、53によって検出された空気熱交換器42、52の液側の冷媒温度値と、ガス側温度センサ44、54によって検出された空気熱交換器42、52のガス側の冷媒温度値との温度差が目標過冷却度SCSになるように開度制御がなされている。
ここで、空気調和システム1において行われているシステム制御について、顕熱負荷処理システムに着目して説明する。
まず、リモコン11、12によって目標温度が設定されると、顕熱系統利用ユニット4、5の顕熱系統利用側制御部48、58には、これらの目標温度値とともに、RA吸入温度センサ45、55によって検出されたユニット内に吸入される屋内の空気の温度値が入力される。
すると、ステップS14において、顕熱系統利用側制御部48、58は、屋内の空気の目標温度値とRA吸入温度センサ45、55によって検出された温度値との温度差(以下、必要顕熱能力値ΔTとする)を演算する。ここで、必要顕熱能力値ΔTは、上述のように屋内の空気の目標温度値と現在の屋内の空気の温度値との差であるため、空気調和システム1において処理しなければならない顕熱負荷に相当するものである。そして、この必要顕熱能力値ΔTの値を、顕熱系統利用ユニット4、5の処理能力を上げる必要があるかどうかを熱源側制御部65に知らせるための能力UP信号K2に変換する。例えば、ΔTの絶対値が所定値よりも小さい場合(すなわち、屋内の空気の温度値が目標温度値に近い値であり、処理能力を増減する必要がない場合)には能力UP信号K2を「0」とし、ΔTの絶対値が所定値よりも処理能力を上げなければならない方向に大きい場合(すなわち、暖房運転においては屋内の空気の温度値が目標温度値よりも低く、処理能力を上げる必要がある場合)には能力UP信号K2を「a」とし、ΔTの絶対値が所定値よりも処理能力を下げなければならない方向に大きい場合(すなわち、暖房運転においては屋内の空気の温度値が目標温度値よりも高く、処理能力を下げる必要がある場合)には能力UP信号K2を「b」とする。
次に、ステップS15において、顕熱系統利用側制御部48、58は、必要顕熱能力値ΔTの値に応じて、目標過冷却度SCSの値を変更する。例えば、顕熱系統利用ユニット4、5の処理能力を下げる必要がある場合(能力UP信号K2が「b」の場合)には、目標過冷却度SHSを大きくして、空気熱交換器42、52における冷媒と空気との交換熱量を小さくするように顕熱系統利用側膨張弁41、51の開度を制御する。
次に、ステップS12において、熱源側制御部65は、潜熱系統利用側制御部28、38から熱源側制御部65へ伝送された潜熱系統利用ユニット2、3の能力UP信号K1と、顕熱系統利用側制御部48、58から熱源側制御部65へ伝送された顕熱系統利用ユニット4、5の能力UP信号K2とを用いて、目標凝縮温度値TcS及び目標蒸発温度値TeSを演算する。例えば、目標凝縮温度値TcSは、現在の目標凝縮温度値に、潜熱系統利用ユニット2、3の能力UP信号K1及び顕熱系統利用ユニット4、5の能力UP信号K2を加算することによって演算される。また、目標蒸発温度値TeSは、現在の目標蒸発温度値に潜熱系統利用ユニット2、3の能力UP信号K1及び顕熱系統利用ユニット4、5の能力UP信号K2を減算することによって演算される。これにより、能力UP信号K1の値が「A」の場合や能力UP信号K2の値が「a」の場合には、目標凝縮温度値TcSは高くなり、目標蒸発温度値TeSは低くなる。
次に、ステップS13において、空気調和システム1全体の凝縮温度及び蒸発温度の実測値に相当する値であるシステム凝縮温度値Tc及びシステム蒸発温度値Teを演算する。例えば、システム凝縮温度値Tc及びシステム蒸発温度値Teは、吸入圧力センサ66によって検出された圧縮機構61の吸入圧力値及び吐出圧力センサ67によって検出された圧縮機構61の吐出圧力値を、これらの圧力値における冷媒の飽和温度に換算することによって演算される。そして、システム凝縮温度値Tcに対する目標凝縮温度値TcSの温度差ΔTc及びシステム蒸発温度値Teに対する目標蒸発温度値TeSの温度差ΔTeを演算し、これらの温度差を除算することによって圧縮機構61の運転容量の増減の要否及び増減幅を決定する。
このようにして決定された圧縮機構61の運転容量を用いて、圧縮機構61の運転容量を制御することで、屋内の空気の目標相対湿度に近づけるシステム制御を行っている。例えば、温度差ΔTcから温度差ΔTeを差し引いた値が正値の場合には圧縮機構61の運転容量を増加させ、逆に、温度差ΔTcから温度差ΔTeを差し引いた値が負値の場合には圧縮機構61の運転容量を減少させるように制御する。
このように、この空気調和システム1では、加湿暖房運転時においても、除湿冷房運転時と同様のシステム制御を行うことができる。
また、加湿暖房運転時においても、除湿暖房運転時と同様、上述の空気調和システム1のシステム制御においては、必要顕熱処理能力値ΔTが大きくなり(すなわち、能力UP信号K2が「a」)、かつ、必要潜熱処理能力値Δhが小さくなる(すなわち、能力UP信号K1が「B」)場合において、圧縮機構61の運転容量を増加させるように制御がなされる。また、必要潜熱処理能力値Δhが大きくなる(すなわち、能力UP信号K1が「A」)場合にも、基本的に、圧縮機構61の運転容量を増加させるように制御がなされる。このため、本実施形態の空気調和システム1では、加湿暖房運転時においても、図23に示される制御フローにしたがって、吸着熱交換器22、23、32、33の切換時間間隔の変更を伴うシステム制御を行うことができる。すなわち、除湿冷房運転時と同様に、必要潜熱処理能力値Δhは小さく、かつ、必要顕熱処理能力値ΔTが大きい場合には、切換時間間隔を長くすること(具体的には、通常運転時の時間Cから時間Dに変更、図5参照)によって顕熱処理能力比を大きくして、顕熱負荷の増加に対応することができる。しかも、このシステム制御では、ステップS16のように、潜熱負荷が大きくなる場合には、潜熱優先モードに戻すことができるようになっているため、屋内の潜熱負荷の処理を行いつつ、顕熱負荷の増加に対応することができる。 尚、ここでは、加湿暖房運転の例として、空気調和システム1の潜熱負荷処理システムを全換気モードの加湿運転を行いながら顕熱負荷処理システムの暖房運転を行う場合について説明したが、潜熱負荷処理システムを循環モードや給気モード等の他のモードで除湿運転を行う場合であっても適用可能である。
<除湿冷房及び加湿暖房の同時運転>
次に、空気調和システム1の潜熱負荷処理システムを全換気モードで除湿及び加湿の同時運転を行いつつ、空気調和システム1の顕熱負荷処理システムで冷房及び暖房の同時運転を行う除湿冷房及び加湿暖房の同時運転における動作について、図26及び図27を用いて説明する。ここで、図26及び図27は、空気調和システム1における全換気モードの除湿冷房及び加湿暖房の同時運転時の動作を示す概略の冷媒回路図である。尚、ここでは、潜熱系統利用ユニット2及び顕熱系統利用ユニット4のペアは除湿冷房運転を行い、潜熱系統利用ユニット3及び顕熱系統利用ユニット5のペアは加湿暖房運転を行うものとし、熱源ユニット6全体としては、3方切換弁62が凝縮運転状態であり、システム全体としては、冷房負荷が大きい場合について説明する。尚、空気調和システム1のシステム制御については、上述の除湿冷房運転及び加湿暖房運転の場合と同様であるため、説明を省略する。
まず、空気調和システム1の潜熱負荷処理システムの動作について説明する。
潜熱系統利用ユニット2においては、上述の除湿冷房運転時における全換気モードの除湿運転と同様な運転が行われる。一方、潜熱系統利用ユニット3においては、上述の加湿暖房運転時における全換気モードの加湿運転と同様な運転が行われる。
次に、空気調和システム1の顕熱負荷処理システムの動作について説明する。潜熱系統利用ユニット2とペアで運転される顕熱系統利用ユニット4においては、上述の除湿冷房運転時における冷房運転と同様な運転が行われる。一方、潜熱系統利用ユニット3とペアで運転される顕熱系統利用ユニット5においては、上述の加湿暖房運転時における暖房運転と同様な運転が行われる。ここで、熱源ユニット6では、3方切換弁62が凝縮運転状態となっているため、熱源側冷媒回路10e内における冷媒の流れは、冷房運転時と同様になっている。
このように、本実施形態の空気調和システム1では、除湿冷房及び加湿暖房の同時運転を行うことも可能である。
(3)空気調和システムの特徴
本実施形態の空気調和システム1には、以下のような特徴がある。
(A)
本実施形態の空気調和システム1では、吸着熱交換器22、23、32、33を有する潜熱系統利用側冷媒回路10a、10bと空気熱交換器42、52を有する顕熱系統利用側冷媒回路10c、10dが、共通の熱源側冷媒回路10eに接続されることによって、主として屋内の潜熱負荷を処理する潜熱負荷処理システムと主として屋内の顕熱負荷を処理する顕熱負荷処理システムとが構成されている。つまり、この空気調和システム1では、空気調和システム全体として処理しなければならない潜熱負荷(すなわち、必要潜熱処理能力)と、空気調和システム1全体として処理しなければならない顕熱負荷(すなわち、必要顕熱処理能力)とが、潜熱系統利用側冷媒回路10a、10b、顕熱系統利用側冷媒回路10c、10d及び熱源側冷媒回路10eからなる潜熱負荷処理システム及び顕熱負荷処理システムを用いて処理されている。つまり、潜熱系統利用側冷媒回路10a、10b及び顕熱系統利用側冷媒回路10c、10dのすべてを1つの熱源にまとめるようにしている。これにより、吸着熱交換器を用いた空気調和装置を複数台設置する際に生じるコストアップやメンテナンス箇所の増加を抑えることができる。
(B)
また、本実施形態の空気調和システム1では、潜熱系統利用側冷媒回路10a、10bが熱源側冷媒回路10eの圧縮機構61の吐出側及び吸入側に吐出ガス連絡配管8及び吸入ガス連絡配管9を介して接続されて蒸気圧縮式の冷媒回路(すなわち、潜熱負荷処理システム)を構成しているため、吸着熱交換器22、23、32、33を蒸発器として機能させたり凝縮器として機能させることで、屋内のある空調空間では除湿を行いつつ、他の空調空間では加湿を行う等のように、屋内の各空調空間のニーズに応じて、除湿又は加湿を行うことが可能である。
(C)
しかも、本実施形態の空気調和システム1では、顕熱系統利用側冷媒回路10c、10dが熱源側冷媒回路10eの熱源側熱交換器63の液側に液連絡配管7を介して接続されるとともに、圧縮機構61の吐出側及び吸入側に吐出ガス連絡配管8及び吸入ガス連絡配管9を介して接続されて蒸気圧縮式の冷媒回路(すなわち、顕熱負荷処理システム)を構成しており、しかも、圧縮機構61の吐出側及び吸入側との接続状態が切換機構としての接続ユニット14、15の冷暖切換弁71、81によって切り換え可能になっているため、吐出ガス連絡配管8を介して接続されるように冷暖切換弁71、81を切り換えることで、空気熱交換器42、52を凝縮器として機能させて屋内の暖房を行ったり、吸入ガス連絡配管9を介して接続されるように冷暖切換弁71、81を切り換えることで、空気熱交換器42、52を蒸発器として機能させて屋内の冷房を行うことが可能である。しかも、複数の顕熱系統利用側冷媒回路10c、10dのそれぞれを、空気熱交換器42、52を蒸発器として機能させたり凝縮器として機能させることで、屋内のある空調空間では冷房を行いつつ、他の空調空間では暖房を行う等のように、屋内の各空調空間のニーズに応じて、冷房又は暖房を同時に行う、いわゆる、冷暖同時運転が可能な空気調和システムを構成することが可能である。
(D)
本実施形態の空気調和システム1では、潜熱負荷処理システムの処理能力の増減及び顕熱負荷処理システムの処理能力の増減は、主として共通の圧縮機構61の運転容量の制御によって行われている。そして、この空気調和システム1では、必要潜熱処理能力値Δh及び必要顕熱処理能力値ΔTを演算し、これらの値に基づいて、圧縮機構61の運転容量を制御しているため、吸着熱交換器22、23、32、33を有する潜熱負荷処理システムにおける潜熱負荷の処理と、空気熱交換器42、52を有する顕熱負荷処理システムにおける顕熱負荷の処理とを両立させて行うことができる。これにより、潜熱負荷処理システム及び顕熱負荷処理システムの熱源を共通化した場合でも、熱源を構成する圧縮機構の運転容量の制御を良好に行うことができる。
また、空気調和システム1では、必要潜熱処理能力値Δh及び必要顕熱処理能力値ΔTに基づいて、システム全体の目標蒸発温度値と目標凝縮温度値とを演算するとともに、圧縮機構61の吸入圧力値からシステム全体の蒸発温度に相当する値としての蒸発温度値及び圧縮機構の吐出圧力値からシステム全体の凝縮温度に相当する値としての凝縮温度値を演算しており、さらに、これらの値と目標蒸発温度及び目標凝縮温度との温度差を演算して、これらの温度差に基づいて、熱源を構成する圧縮機構の運転容量の制御を行っている。
(E)
本実施形態の空気調和システム1では、例えば、必要顕熱処理能力値ΔTが大きくなり顕熱系統利用側冷媒回路10c、10dにおける顕熱処理能力を大きくする必要があり、かつ、必要潜熱処理能力値Δhが小さくなり潜熱系統利用側冷媒回路10a、10bにおける潜熱処理能力を小さくする必要がある場合に、吸着熱交換器22、23、32、33の吸着動作及び再生動作の切換時間間隔を長くすることによって、吸着熱交換器22、23、32、33の顕熱処理能力比を大きくして潜熱負荷処理システムにおける顕熱処理能力を大きくすることができるようになっている。
また、この空気調和システム1では、必要潜熱処理能力値Δhが大きくなり潜熱系統利用側冷媒回路10a、10bにおける潜熱処理能力を大きくする必要がある場合に、吸着熱交換器22、23、32、33の吸着動作及び再生動作の切換時間間隔を短くすることによって、吸着熱交換器22、23、32、33の顕熱処理能力比を小さくして潜熱負荷処理システムにおける潜熱処理能力を大きくすることができるようになっている。
このように、本実施形態の空気調和システム1では、吸着熱交換器22、23、32、33の吸着動作及び再生動作の切換時間間隔を変更することにより、圧縮機構の運転容量を大きくすることなく、吸着熱交換器22、23、32、33の顕熱処理能力比を変化させることができるため、空気調和システム1全体に無駄がなくなり、効率のよい運転を行うことができるようになる。
(4)他の実施形態
以上、本発明の実施形態について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態に限られるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
例えば、上述の実施形態においては、顕熱負荷処理システムとして、冷房及び暖房の同時運転が可能なマルチ空気調和システムを適用しているが、これに限定されず、冷房専用のマルチ空気調和システムや冷房及び暖房の切替運転が可能なマルチ空気調和システムを適用してもよい。