JP2005290185A - 既架橋高分子エマルジョンの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 加水分解性シリル基含有ビニル単量体を用い、乳化重合法によって珪素含有高分子エマルジョンとした後、加水分解性シリル基の加水分解縮合を進行させることによる珪素含有、アセトン抽出によるゲル分率が40重量%以上の既架橋高分子エマルジョンを得るにあたり、乳化重合を一分子中に加水分解性シリル基およびメルカプト基を含有する化合物の存在下で行うことを特徴とする製造方法による。
【選択図】 なし
Description
本発明で使用する加水分解性シリル基含有ビニル単量体(A)としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、アリルトリエトキシシラン、トリメトキシシリルプロピルアリルアミン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルジメチルメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルジメチルエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、N−ビニルベンジル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、2−スチリルエチルトリメトキシシラン、3−(N−スチリルメチル−2−アミノエチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、(メタ)アクリロキシエチルジメチル(3−トリメトキシシリルプロピル)アンモニウムクロライド、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリクロルシラン等を挙げることができ、これらの群から選ばれる1種または2種以上の混合物を使用することができる。(A)の使用量は、単量体混合物の合計100重量%中、0.5〜50重量%が好ましい。(A)が0.5重量%未満ではシロキサン架橋による塗膜物性の改良効果が不十分となり、50重量%を超える場合では成膜性の悪化、塗膜耐久性が低下し、好ましくない。
(A)と共重合可能な単量体
本発明で使用する(A)と共重合可能な単量体(B)としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、2―エチルヘキシル(メタ)アクリレート等の炭素数1〜20のアルキル(メタ)アクリレート;n−ブチルアクリレート、2―エチルヘキシルアクリレート等の炭素数1〜20のアルキルアクリレート;シクロヘキシル(メタ)アクリレート等の炭素数4〜20のシクロアルキル(メタ)アクリレート;炭素数4〜20のシクロアルキルアクリレート;アリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等の炭素数3〜20のアラルキル(メタ)アクリレート;グリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有ビニル系単量体;N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノ基含有ビニル系単量体;4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシスチレン、アロニクス5700(東亜合成化学(株)製)、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートへのε−カプロラクトン付加物であるPlaccelFA−1、PlaccelFA−4、PlaccelFM−1、PlaccelFM−4(以上ダイセル化学(株)製)等の水酸基含有ビニル系単量体;イソシアネート基含有化合物とヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの反応物等であるウレタン結合を含むウレタンアクリレート化合物;(メタ)アクリレート基含有オルガノポリシロキサン等の(メタ)アクリル基含有シリコーンマクロマー;スチレン、α−メチルスチレン、クロロスチレン、ビニルトルエン等の芳香族炭化水素系ビニル単量体;(メタ)アクリロニトリル等のニトリル基含有ビニル系単量体;不飽和カルボン酸等の酸性基含有ビニル単量体;アミド基含有ビニル単量体;ビニルメチルエーテル等のビニルエーテル化合物;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル;ジアリルフタレート等のアリル化合物;塩化ビニル、塩化ビニリデン、クロロプレン、プロピレン、ブタジエン等を挙げることができ、これらの群から選ばれる1種または2種以上の混合物を使用することができる。また、上記に加えて、例えば、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリアリルシアヌレートなどの重合性の不飽和結合を2つ以上持った単量体も(A)による架橋の効果を阻害しない範囲で使用可能である。
加水分解性シリル基およびメルカプト基を含有する化合物
本発明で使用する一分子中に加水分解性シリル基およびメルカプト基を含有する化合物(C)としては、例えば、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリ−i−プロポキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン;一分子中に加水分解性シリル基およびエポキシ基を含有する化合物と一分子中にメルカプト基を2個以上有する化合物の付加反応物等を挙げることができ、これらの群から選ばれる1種または2種以上を使用することができる。(C)の使用量は、単量体100重量部に対して、0.001〜20重量部、更に好ましくは、0.01〜2重量部がよい。0.001重量部未満では架橋度調整効果が不十分となり、20重量部を超えて使用する場合では、重合の進行が阻害される傾向がある。
乳化重合法
本発明で実施する乳化重合法は、特に限定なく、バッチ重合、モノマー滴下重合、乳化モノマー滴下重合等の通常知られている乳化重合の手段を適宜選択することができる。特にモノマー滴下重合、乳化モノマー滴下重合は、製造時の安定性を確保する上で適している。
架橋形成
本発明において、(A)および(C)によりエマルジョン中に導入した加水分解性シリル基の加水分解縮合反応による架橋形成は、単量体混合物中の(B)または(D)にアニオン基含有ビニル単量体を使用するか、重合開始剤に過硫酸塩を使用する等により、重合中の混合液のpHを5以下とするか、塩基性化合物を添加することで可能である。塩基性化合物としては、例えば、アンモニア;トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、プロピルアミン、トリプロピルアミン、ジブチルアミン、アミルアミン、1−アミノオクタン、2−アミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、エチルアミノエタノール、2−ジエチルアミノエタノール、1−アミノ−2−プロパノール、2−アミノ−1−プロパノール、3−アミノ−1−プロパノール、1−ジメチルアミノ−2−プロパノール、3−ジメチルアミノ−1−プロパノール、2−プロピルアミノエタノール、ジエタノールアミン、エトキシプロピルアミン、アミノベンジルアルコール、モルホリン、N−メチルモルホリン、DBU等の有機アミン類;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の金属水酸化物等のが挙げられる。
多層エマルジョン
特開平12−63406公報に示されるが如く、珪素含有高分子エマルジョンを多層エマルジョンとすることは、造膜性、耐クラック性、耐水性の点で好ましい。本発明では、この多層エマルジョンを形成する場合において、重合の安定化および(C)による架橋度調整の効果の発現のため、加水分解性シリル基含有ビニル単量体(A)と(A)と共重合可能な単量体(B)を含有する単量体混合物(I)を、一分子中に加水分解性シリル基およびメルカプト基を含有する化合物(C)の存在下に乳化重合法によって珪素含有高分子エマルジョンとし、さらに(A)を含有しないあるいは単量体の総量100重量部中の(A)が1重量部以下である単量体混合物(II)を添加、重合した後に加水分解性シリル基の加水分解縮合を進行させるか、または単量体混合物(I)を、(C)の存在下に乳化重合法によって珪素含有高分子エマルジョンとし、この加水分解性シリル基の加水分解縮合を進行させた後、(A)を含有しないあるいは単量体の総量100重量部中の(A)が1重量部以下である単量体混合物(II)を添加、重合することが好ましい。また、この単量体混合物(II)には、(C)を用いることができるが、この部分の重合体の分子量が低下し、得られる塗膜の耐水性が低下する場合があり、(C)は(II)100重量部に対し、1重量部以下が好ましい。
pH安定剤
本発明では、加水分解性シリル基含有ビニル単量体(A)を含有する単量体混合物(I)の乳化重合の際、単量体組成如何によっては、重合中系の増粘、凝集が生じ、その結果、転化率の低下による単量体の残留、粗大粒子発生と粒子径の不均一化による塗膜外観の低下が問題となる場合がある。この現象は、加水分解性シリル基の加水分解縮合のが急速に発生するためと推定されるが、この抑制のため、pH安定剤存在下にてpHを4〜9の範囲とすることが好ましい。pH安定剤としては、一般的に緩衝剤として使用されているものであれば特に限定されるものではないが、フタル酸水素カリウム、フタル酸水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸二水素ナトリウム、ホウ砂、クエン酸二水素カリウム、クエン酸二水素ナトリウム、クエン酸カリウム、クエン酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、酢酸アンモニウム、酢酸ナトリウム、塩化カリウム、塩化アンモニウム、コハク酸ナトリウム、酒石酸ナトリウム、乳酸ナトリウム等があげられ、特には、炭酸ナトリウム、酢酸アンモニウム、リン酸二水素ナトリウムが好ましい。
親水性基含有単量体
本発明では、加水分解性シリル基含有ビニル単量体(A)と(A)と共重合可能な単量体(B)を含有する単量体混合物(I)を、一分子中に加水分解性シリル基およびメルカプト基を含有する化合物(C)の存在下に乳化重合法によって珪素含有高分子エマルジョンとし、さらに(A)を含有しないあるいは単量体の総量100重量部中の(A)が1重量部以下である単量体混合物(II)を添加、重合した後に加水分解性シリル基の加水分解縮合を進行させるか、または加水分解性シリル基の加水分解縮合を進行させた後、(A)を含有しないあるいは単量体の総量100重量部中の(A)が1重量部以下である単量体混合物(II)を添加、重合することによる製造方法において、(II)に親水性基含有単量体(D)を用いることにより、得られるエマルジョンの安定性(例えば、機械的安定性)が向上し、好ましい。親水性基含有単量体(D)としては、(B)において、特に該単量体より得られる重合体が水溶性を示すものであり、含有する親水性基がアニオン性または非イオン性を有するものが特に好ましい。アニオン性基を有するものとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、クロトン酸、フマル酸、シトラコン酸等のα,β−エチレン性不飽和カルボン酸または不飽和カルボン酸無水物;(メタ)アクリロキシエチルホスフェート、(メタ)アクリロキシエチルスルホン酸等の酸性基含有(メタ)アクリレート;無水マレイン酸などの不飽和カルボン酸無水物と炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルコールとのハーフエステル;スチレンスルホン酸等のスルホン酸基含有芳香族炭化水素系ビニル化合物;ビニルスルホン酸等のスルホン酸基含有ビニル化合物;あるいは、上記酸性基含有単量体の塩(アルカリ金属塩、アンモニウム塩、アミン塩など)等が挙げられる。また、ノニオン性基を有するものとしては、例えば、(メタ)アクリルアミド、α−エチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、アクリロイルモルホリン、N−ビニルピロリドン、N−メチロール(メタ)アクリルアミド等のアミド基含有ビニル単量体;ブレンマーPEシリーズ、ブレンマーPEPシリーズ(以上日本油脂(株)製)、MA−30、MA−50、MA−100、MA−150、RA−1120、RA−2614、RMA−564、RMA−568、RMA−1114、MPG130−MA(以上、日本乳化剤(株)製)等の(メタ)アクリロキシポリオキシアルキレン等のポリオキシアルキレン鎖含有ビニル単量体水酸基含有アクリル系単量体;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の水酸基含有ビニル単量体等を挙げることができ、これらの群から選ばれる1種または2種以上を使用することができる。(D)の使用量は、単量体混合物の合計100重量%中、0.01〜30重量%が好ましい。(D)が0.01%未満ではエマルジョンの安定性(例えば、機械的安定性等)が不十分となり、30重量%を超える場合では塗膜の耐水性が低下し、好ましくない。
アセトン抽出によるゲル分率
本発明の既架橋高分子エマルジョンは、アセトン抽出によるゲル分率が40重量%以上であることが好ましい。アセトン抽出によるゲル分率が40重量%未満の場合、耐水性、耐候性等のシロキサン架橋による塗膜物性の改良効果が不十分となる。アセトン抽出によるゲル分率とは、詳しくは、エマルジョンより厚みが10〜500μmの連続塗膜を形成し、得られた塗膜を室温下アセトンに1日以上浸漬して可溶分を抽出、50℃以上の温度で乾燥した後の重量より下記計算式(1)より算出した値である。
ゲル分率(%)=アセトン浸漬、乾燥後の塗膜重量/初期塗膜重量×100 ・・ (計算式1)
エマルジョンからの連続塗膜の形成は、例えば、塗膜形成時の温度をエマルジョンの最低造膜温度(MFT)以上の温度とするか、エマルジョンに溶剤を添加し、MFTを室温以下とした後、室温で塗膜形成することによる。
最低造膜温度(MFT)
最低造膜温度は、ヨシミツ精機(株)製 MFT1を用い、塗布厚み200μmにて測定。
平均粒子径
動的光散乱法による平均粒子径であって、Pacific Scientific社製NICONP Model 370により測定。
ゲル分率
エマルジョンの固形分に対し、CS−12を20重量部添加したものをテフロン製のフィルム上にwetで約250μmでコーティングし、23℃で14日乾燥させて連続塗膜を作製し、これを室温下、アセトンに1日浸漬して可溶分を抽出後、80℃で3時間以上乾燥することで初期塗膜重量およびアセトン浸漬、乾燥後の塗膜重量を求め、計算式(1)よりゲル分率を算出。
(エマルジョンA−1の製造)
還流冷却器、攪拌機、滴下ロートを付けた1lセパラブルフラスコに、水252g、エマール2F(花王(株)製)1g、酢酸アンモニウム1.4g、ロンガリット0.14g、硫酸鉄(II)七水和物0.0224g、エチレンジアミン4酢酸2ナトリウム(EDTA・2Na)0.0056gを計り取り、窒素気流下で50℃まで昇温した。別途、BA(ブチルアクリレート)22g、MMA(メチルメタクリレート)54g、BMA(ブチルメタクリレート)120g、TSMA(γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン)4g、A−189(γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、日本ユニカー(株)製)3g、HS−1025(アクアロンHS−1025、アニオン性反応性乳化剤、第一工業製薬(株)製、固形分25%)12.3g、RN−2025(アクアロンRN−2025、ノニオン性反応性乳化剤、第一工業製薬(株)製、固形分25%)5.6g、水57gを混合した単量体混合液(I)および化合物(C)の乳化物277.9gを作製した。(I)の乳化物26gとカヤブチルH70(t−ブチルハイドロパーオキサイド70%水溶液、日本化薬(株)製)0.2gをセパラブルフラスコに投入し、30分にわたって攪拌した。ロンガリット10重量%水溶液2.8gを投入した後、(I)および(C)の乳化物の残分251.9g、カヤブチルH70の10%希釈液4gを2時間で滴下した。そのまま、約1時間攪拌した。これに、ロンガリット10重量%水溶液2.8gを投入した後、BA22g、MMA54g、BMA120g、MAA(メタクリル酸)4g、HS−1025 12.3g、RN−2025 5.6g、水57gを混合した単量体混合液(II)の乳化物274.9g、カヤブチルH70の10%希釈液4gを2時間で滴下した。そのまま、後重合として1.5時間攪拌した。室温まで冷却後、25重量%アンモニア水溶液でpHを8.5に調整し、有効成分量20%のジ−(2―エチルヘキシル)フォスフェート・アンモニア塩水溶液4gを添加混合することにより珪素含有既架橋高分子エマルジョンA−1を得た。得られたエマルジョンは、固形分50%、理論固形分平均粒子径115nm、最低造膜温度40℃、アセトン抽出によるゲル分率55重量%であった。
(エマルジョンA−2の製造)
実施例1で、(I)および(C)の乳化物、開始剤を滴下完了、1時間攪拌した後、有効成分量10%のノニオン乳化剤によるジブチルスズジラウレート乳化液3.5gを添加、さらに1時間攪拌した後、(II)の乳化物、開始剤を滴下すること以外は同様の操作で珪素含有既架橋高分子エマルジョンA−2を得た。得られたエマルジョンは、固形分50%、平均粒子径120nm、最低造膜温度38℃、アセトン抽出によるゲル分率53重量%であった。
(エマルジョンA−3〜A−6の製造)
表1に示す初期仕込み水及びエマール2F量、単量体混合液の組成にて実施例1と同様の装置、手順により、珪素含有既架橋高分子エマルジョンA−3〜A−6を得た。得られたエマルジョンの評価値は、表2に示す通りであった。
(エマルジョンB−1の製造)
実施例1より、(C)であるA−189を使用しない以外は同様の組成、装置、手順により珪素含有既架橋高分子エマルジョンB−1を得た。得られたエマルジョンは、固形分50%、平均粒子径110nm、最低造膜温度41℃、アセトン抽出によるゲル分率63重量%であった。
(エマルジョンB−2の製造)
実施例1より、(C)であるA−189を等モル量のKBM22(信越化学工業(株)製、ジメチルジメトキシシラン)に置き換えた以外は同様の組成、装置、手順により珪素含有既架橋高分子エマルジョンB−2を得た。得られたエマルジョンは、固形分50%、平均粒子径120nm、最低造膜温度40℃、アセトン抽出によるゲル分率38重量%であった。
実施例1より、(A)であるTSMAを用いなかった以外は同様の組成、装置、手順により珪素含有既架橋高分子エマルジョンB−2を得た。得られたエマルジョンは、固形分49%、平均粒子径120nm、最低造膜温度39℃、アセトン抽出によるゲル分率0重量%であった。
(エマルジョンC−1の製造)
実施例1より、(A)であるTSMA、(C)であるA−189を添加せず、縮合触媒を用いなかった以外は同様の組成、装置、手順により、珪素不含エマルジョンC−1を得た。得られたエマルジョンは、固形分50%、平均粒子径110nm、最低造膜温度40℃、アセトン抽出によるゲル分率0重量%であった。
(エマルジョンC−1の製造)
実施例1より、(A)であるTSMA、(C)であるA−189を添加せず、縮合触媒を用いなかった以外は同様の組成、装置、手順により、珪素不含エマルジョンC−1を得た。得られたエマルジョンは、固形分50%、平均粒子径110nm、最低造膜温度40℃、アセトン抽出によるゲル分率0重量%であった。
得られたエマルジョンを表4、表5に示す配合で白色エナメル配合物とし、以下の物性を測定した。
白色エナメル配合物をテフロン製のフィルム上に厚み250μで塗布し、23℃、50〜60%RHで14日乾燥してフィルムを作製後、幅5mm、長さ60mmに切り出し、室温で7日間脱イオン水に浸漬し、さらに室温で7日間乾燥した。これを引張試験機(島津製作所(株)製AGS−100A)を用い23℃、50〜60%RH、チャック間40mm、引張速度10mm/minにて破断時強度(TB)、破断時伸び(EB)を測定した。測定は、白色エナメル配合物を作製した直後(初期)、白色エナメル配合物を50℃で28日貯蔵後(貯蔵後)について行った。
4mm厚のフレキシブルスレート板上に水性アクリルシリコンディスパージョン系プライマーをローラー塗装し、室温で1日乾燥した後、水性1液微弾性サーフェーサーを多孔質ローラーでさざなみ状に塗装し、室温で1日乾燥した。これに白色エナメル配合物をエアースプレーで2回塗装し、23℃、50〜60%RHで14日間養生した。この塗装板の背面及び側面を溶剤系塗料でシールした後、JIS A6909温冷繰返し試験に準じた20℃水中浸漬18hr、−20℃冷却3hr、50℃加温3hrの24hrサイクルを20サイクル行い、割れ、脹れの発生するサイクル数を測定した。このサイクル数の高いものほど、耐クラック性に優れる。測定は、白色エナメル配合物を作製した直後(初期)、白色エナメル配合物を50℃で28日貯蔵後(貯蔵後)について行った。
4mm厚のフレキシブルスレート板上に水性アクリルシリコンディスパージョン系プライマーをローラー塗装し、室温で1日乾燥した後、白色エナメル配合物をエアースプレーで2回塗装し、23℃、50〜60%RHで14日間養生した。この背面及び側面を溶剤系塗料でシールし、試験用塗装板をえた。この塗膜面の60°光沢をミノルタ(株)製GM268にて測定した。光沢値の高いものほど、外観に優れる。
(3)で得た塗装板を40℃にて脱イオン水に14日浸漬することで耐水性試験を行った。同様に塗装板を23℃にて飽和水酸化カルシウム溶液に14日浸漬することで耐アルカリ性を行った。試験を完了した塗装板を室温で1日乾燥後、60°光沢をミノルタ(株)製GM268にて測定し(3)での養生完了時の光沢値に対する比(光沢保持率)を求めた。また、試験完了直後の脹れ(ブリスター)の発生を目視にて観察し、JIS K5600−8−2の評価方法に準拠した膨れの密度及び大きさを求めた。各々の光沢保持率の高いもの、膨れの膨れの密度および大きさの低いもの程、耐久性に優れる。
(3)で得た塗装板をアトラス エレクトリック デバイス製UVCONにて促進耐候性試験を行った。一定時間毎にミノルタ(株)製GM268にて60°光沢を測定し、養生完了時の光沢値に対する比(光沢保持率)が80%以下となる試験時間を測定した。
Claims (7)
- 加水分解性シリル基含有ビニル単量体(A)と(A)と共重合可能な単量体(B)を含有する単量体混合物を水性媒体中、乳化重合法によって珪素含有高分子エマルジョンとした後、加水分解性シリル基の加水分解縮合を進行させることによる珪素含有、既架橋高分子エマルジョンの製造において、乳化重合を一分子中に加水分解性シリル基およびメルカプト基を含有する化合物(C)の存在下で行うことを特徴とするアセトン抽出によるゲル分率が40重量%以上である既架橋高分子エマルジョンの製造方法。
- 加水分解性シリル基含有ビニル単量体(A)と(A)と共重合可能な単量体(B)を含有する単量体混合物(I)の乳化重合を、一分子中に加水分解性シリル基およびメルカプト基を含有する化合物(C)の存在下に行うことよって珪素含有高分子エマルジョンとし、さらに(A)を含有しないあるいは単量体の総量100重量部中の(A)が1重量部以下である単量体混合物(II)を添加、重合した後に加水分解性シリル基の加水分解縮合を進行させるか、または加水分解性シリル基の加水分解縮合を進行させた後、(A)を含有しないあるいは単量体の総量100重量部中の(A)が1重量部以下である単量体混合物(II)を添加、重合することを特徴とする請求項1記載の既架橋高分子エマルジョンの製造方法。
- 珪素含有高分子エマルジョン中の加水分解性シリル基の加水分解縮合を促進するために、縮合触媒を添加することを特徴とする請求項1および2記載の既架橋高分子エマルジョンの製造方法。
- 縮合触媒が酸性リン酸エステル類、酸性リン酸エステル類と有機アミン類との混合物または反応物であることを特徴とする請求項1および3記載の既架橋高分子エマルジョンの製造方法。
- 加水分解性シリル基含有ビニル単量体(A)と(A)と共重合可能な単量体(B)を含有する単量体混合物の水性媒体中、乳化重合をpH安定剤存在下に行う請求項1〜4記載の既架橋高分子エマルジョンの製造方法。
- (II)が(A)と共重合可能な単量体(B)として親水性基含有単量体(D)を含有する単量体混合物である請求項2〜5記載の既架橋高分子エマルジョンの製造方法。
- (I)が親水性基含有単量体(D)を含有しない単量体混合物である請求項2〜6記載の既架橋高分子エマルジョンの製造方法。
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