JP2005288883A - インクジェットプリントシステム - Google Patents

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Abstract

【課題】インクジェット記録画像の安定性向上と画質向上が図れるインクジェットプリントシステムの提供にある。
【解決手段】巻取ロール状のインクジェット用紙を、駆動装置により連続的に搬送し、順次、インクジェット記録装置でインクジェット印字し、続いて加熱装置により印字面を加熱処理し、直ちに冷却装置で急冷するインクジェットプリントシステムであって、該インクジェット用紙が、最上層に熱可塑性微粒子を有し、加熱装置により該インクジェット記録用紙表面の温度を熱可塑性微粒子の最低造膜温度以上に制御して加熱処理するインクジェットプリントシステム。冷却装置が、冷却ロールと金属表面を有するシームレスベルトと、その反対面の弾性を有するシームレスベルト側から加圧しながら冷却すると好ましい。冷却装置が、10秒以内に加熱温度よりも80℃以上急冷すると好ましい。金属表面の中心面平均粗さSRaが0.4μm以下であると好ましい。インクジェット用紙最上層の熱可塑性微粒子の粒径が1〜10μmであると好ましい。
【選択図】 図1

Description

本発明は、インクジェット記録装置、加熱装置、冷却装置を有するインクジェットプリントシステムに関するものであり、更に詳しくは、水溶性バインダーと熱可塑性微粒子を含有する塗層を設けたインクジェット記録用紙であり、インクジェット印字後、加熱・加圧して被膜を形成することにより、直ちに冷却装置で急冷するインクジェットプリントシステムである。特に、インク濃度向上、表面光沢及び耐候性の優れた記録物を得るためのインクジェットプリントシステムに関するものである。
インクジェット記録方式は、種々の作動原理によりインクの微小液滴を飛翔させて紙等の記録用紙に付着させ、画像、文字等の記録を行なうものであるが、高速、低騒音、多色化が容易、記録パターンの融通性が大きい、現像−定着が不要等の特徴があり、漢字を含め各種図形及びカラー画像等の記録装置として種々の用途において急速に普及している。又、多色インクジェット方式により形成される画像は、製版方式による多色印刷やカラー写真方式による印画に比較して、遜色のない記録を得ることが可能であるし、更に、作成部数が少なくて済む用途においては、写真技術によるよりも安価であることから、フルカラー画像記録分野にまで広く応用されつつある。
インクジェット記録方式で使用される記録用紙としては、通常の印刷や筆記に使われる上質紙やコーテッド紙を使うべく、装置やインク組成の面から努力がなされてきた。しかし、装置の高速化・高精細化或はフルカラー化等インクジェットプリントシステムの性能の向上や用途の拡大に伴い、記録用紙に対してもより高度な特性が要求されるようになった。即ち、当該記録用紙としては、印字の濃度が高く、色調が明るく鮮やかであること、インクの吸収が早くて印字ドットが重なった場合においてもインクが流れ出したり滲んだりしないこと、印字ドットの横方向への拡散が均一で必要以上に大きくなく、且つ周辺が滑らかでぼやけないこと、経時や環境で画質の変化がないこと例えば、耐光性、耐水性、耐オゾン性に優れていること等が要求される。
また、近年の技術進歩により、染料インクによるインクジェット印字物は銀塩写真に迫る高画質化や装置の低価格化が、その普及を加速させている。染料は溶媒に可溶であり、色素分子は分子状態もしくはクラスター状態で着色している。従って、各分子の環境が似通っているために、その吸収スペクトルはシャープであり高純度で鮮明は発色を示す。更に粒子性がなく、散乱光、反射光が発生しないので、透明性高く、色相も鮮明である。
しかし、その一方光化学反応などにより分子が破壊された場合には、分子数の減少がそのまま着色濃度に反映するために耐光性が悪い。染料インクを用いたインクジェット記録画像は高画質だが、経時保存による画像品質低下が大きく、画像保存性の観点で銀塩写真を凌駕する技術が未だ現れていないのが現状である。
染料インクに対して、光による退色に強い画像を必要とする用途向けのインクとして、耐光性が良好である顔料を着色剤として用いる顔料インクが使用されている。顔料は溶媒に不溶であり、色素分子は粒子を形成して溶媒に分散した状態で着色に寄与している。表面の分子が光化学反応等により破壊されたとしても粒子全体が損傷しているわけではなく見かけ上の濃度低下が小さく、画像保存性に優れるものの、粒状性に起因する散乱光、反射光の影響により光沢性において非印字部との光沢差が現れ易く、違和感の有る画像になったり、見る角度が少し変わることで色相が変化するブロンジング現象が発生したりして画質の劣化が見られ、写真画質に比較し劣る品質であった。
上記課題を解決するために、インクジェット受像層中に熱により溶融フィルム化する樹脂を含有させ、インクジェット記録後にそれらを加熱溶融することが行われている。熱可塑性樹脂をインクジェット受像層の最外層に設け加熱及び加圧して表面をフィルム化して光沢性や耐擦過性を上げる方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。熱可塑性樹脂を加熱加圧処理する際に、剥離性を改善するため、剥離性のあるシリコン樹脂やテフロン(R)樹脂加工したロールやベルトを用いることが多く、金属ロールやベルトの高度に研磨した鏡面を写し取ることと異なり平滑な面を転写することは難しい。それ故の光沢面が完全ではなくヘイズがかった印象になることがあった。
特開2003−53945号(2頁、10頁)
鏡面を写し取ることで印字されたインクジェット用紙の印字面の熱可塑性微粒子が平坦化することが可能であるが、当該微粒子と鏡面とを剥離しやすいように剥離剤を用いることが通常であった。この方法を使用すると剥離には十分な効果をもたらすが、剥離剤を使用することで、高度の鏡面が得られ難くなり、印字されたインクジェット用紙を加熱圧着しても得られる画像はヘイズが掛かった物となり、コントラストの良い画像が得られない問題を改善して、高光沢で、濃度の高いコントラストの良い画像を得ることができるインクジェットプリントシステムを提案することにある。
本発明は、巻取ロール状のインクジェット用紙を、駆動装置により連続的に搬送し、順次、インクジェット記録装置でインクジェット印字し、続いて加熱装置により印字面を加熱処理し、直ちに冷却装置で急冷するインクジェットプリントシステムであって、インクジェット用紙が、最上層に熱可塑性微粒子を有し、加熱装置により該インクジェット記録用紙表面の温度を熱可塑性微粒子の最低造膜温度以上に制御して加熱処理するインクジェットプリントシステムである。
冷却装置が、冷却ロールと金属表面を有するシームレスベルトと、その反対面の弾性を有するシームレスベルト側から加圧しながら冷却すると好ましい。
冷却装置が、10秒以内に加熱温度よりも80℃以上急冷することが好ましい。
金属表面の中心面平均粗さSRaが0.4μm以下であると好ましい。
インクジェット用紙最上層の熱可塑性微粒子の粒径が1〜10μmであると好ましい。
本発明のインクジェットプリントシステムでは、熱可塑性微粒子を最外層に保有するインクジェット用紙にインクジェット記録装置で印字し、その表面を加熱装置で加熱し、表面を軟化し、急激に鏡面を有するニップに挿入し急冷することで鏡面を写し取、容易に剥離することが可能となる。それにより高光沢の濃度が高いコントラストの良い画像が得られる。
以下、本発明に係るインクジェットプリントシステムの好ましい一実施形態について、図面を参照しながら説明する。図1は、本実施形態におけるインクジェットプリントシステムの全体構成を示す図である。図2並びに図3は、図1に示すインクジェットプリントシステムの平滑化冷却装置の構成を示す図である。
まず、本発明に係るインクジェットプリントシステムについて説明する前に、当該インクジェットプリントシステムにおいて好ましく用いられる用紙及び顔料インクについて説明する。
本発明のインクジェット用紙に用いられる吸水性の紙支持体(以降、単に紙支持体と称す)は、特に限定されず、通常の紙や塗工紙が用いられる。インクジェット印字後に、印字画像の表面を溶融被膜化するので、支持体の平面性は高い方が好ましい。従って、本発明に用いられる紙支持体は、カレンダー処理などを施し平滑性を上げておくのが好ましい。
紙支持体としては、特に制限はなく、一般に用いられている紙が使用できる。紙を構成するパルプとしては、天然パルプ、再生パルプ、合成パルプ等を1種もしくは2種以上混合して用いられる。天然パルプとしては、通常製紙用に使用されるパルプ、即ち、針葉樹クラフトパルプ、広葉樹クラフトパルプ、針葉樹サルファイトパルプ、広葉樹サルファイトパルプ等の晒ケミカルパルプ等が、いずれも使用可能である。また、白色度が高いメカニカルパルプであってもよい。更に、藁、エスパルト、バガス、ケナフ等の草類繊維、麻、楮、雁皮、三椏等の靱皮繊維、綿等より製造した非木材パルプでもよい。これらの中では通常工業的に最も多用される針葉樹クラフトパルプ、広葉樹クラフトパルプ、針葉樹サルファイトパルプ、広葉樹サルファイトパルプ等の晒ケミカルパルプが特に好ましい。また、故紙パルプ、ECFパルプ、TCFパルプ、FSC認証パルプ等を用いることもできる。
パルプは抄紙適性、ならびに、強度、平滑性、地合の均一性等、紙の諸特性等を向上させるため、ダブルディスクリファイナー等の叩解機により叩解されるのが通常である。叩解の程度は、カナディアン スタンダード フリーネス(csf)で通常250ml〜450mlの範囲で目的に応じて選択することが出来る。
叩解されたパルプスラリーは、長網抄紙機、ツインワイヤー抄紙機、または、丸網抄紙機等の抄紙機により抄紙されるが、この際、本発明では、通常抄紙に際して用いられるパルプスラリーの分散助剤、乾燥紙力増強剤、湿潤紙力増強剤、填料、サイズ剤、定着剤等の諸添加物は全て必要に応じて添加することが可能である。更に、必要であれはpH調節剤、染料、有色顔料、及び蛍光増白剤等も添加することが可能である。
分散助剤としては例えばポリエチレンオキサイド、ポリアクリルアミド、とろろあおい等が、紙力増強剤としては例えば植物性ガム、澱粉、カルボキシ変性ポリビニルアルコール等のアニオン性紙力増強剤、カチオン化澱粉、カチオン性ポリアクリルアミド、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン樹脂等のカチオン性紙力増強剤が、填料としては例えばクレー、カオリン、タルク、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等が、サイズ剤としては例えば高級脂肪酸塩、ロジン、マレイン化ロジン等のロジン誘導体、ジアルキルケテンダイマー、アルケニル或いはアルキルコハク酸塩、エポキシ化脂肪酸アミド、多糖類エステル等が、定着剤としては例えば硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム等の多価金属塩、カチオン化澱粉、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン樹脂等のカチオン性ポリマー等が、pH調節剤としては塩酸、苛性ソーダ、炭酸ソーダ等が用いられる。
また、本発明に用いられる紙支持体は、水溶性高分子添加剤をはじめとする各種の添加剤を含有する液で、タブサイズ、もしくはサイズプレスすることも可能である。
上記水溶性高分子添加剤としては、例えば澱粉、カチオン化澱粉、酸化澱粉、エーテル化澱粉、リン酸エステル化澱粉等の澱粉誘導体、ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール等のポリビニルアルコール誘導体、カルボキシメチルセルローズ、ヒドロキシメチルセルローズ、ヒドロキシエチルセルローズ、セルロースサルフェート等のセルロース誘導体、ゼラチン、カゼイン、大豆蛋白等の水溶性天然高分子、ポリアクリル酸ナトリウム、スチレン−無水マレイン酸共重合体ナトリウム塩、ポリスチレンスルフォン酸ナトリウム等、無水マレイン酸樹脂等の水溶性高分子、メラミン樹脂、尿素樹脂等の熱硬化性合成樹脂等の水性高分子接着剤等が用いられ、さらにこの他、サイズ剤として石油樹脂エマルション、スチレン−無水マレイン酸共重合体アルキルエステルのアンモニウム塩、アルキルケテンダイマー乳化物、スチレン−ブタジエン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリエチレン、ポリ塩化ビニリデン等のディスパーションが挙げられる。その他の添加剤としては、帯電防止剤として、無機電解質である塩化ナトリウム、塩化カルシウム、ボウ硝等が、吸湿性物質としてグリセリン、ポリエチレングリコール等が、顔料としてクレー、カオリン、タルク、硫酸バリウム、酸化チタン等が、pH調節剤として塩酸、苛性ソーダ、炭酸ソーダ等が用いられ、その他染料、蛍光増白剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等の添加剤を組み合わせて使用することも可能である。
本発明に用いられる紙支持体のインク吸収層を塗設する面は、平滑であるのが好ましく、ベック平滑度は100秒以上が好ましい。これらのベック平滑度は、パルプの種類や繊維長、内填剤の種類や量、あるいは原紙密度を調整することによって、あるいはカレンダー処理することによって得られる。紙支持体のインク吸収層の平滑性を上げることによって、熱可塑性微粒子を含有するインク吸収層の加熱溶融化が均一に行われ、その結果、光沢性(写像性)が向上する。
上記したベック平滑度は、JIS−P8119「紙及び板紙のベック試験器による平滑度試験方法」により求めた、10mlの空気が通過するのに要する時間である。この時間が大きいほど平滑性は高くなる。
また本発明における紙支持体としては、紙の上に白色顔料を含有する塗工層を設けたアート紙、コート紙、キャストコート紙、バライタ紙等の塗工紙も用いることができる。これらの塗工紙を紙支持体として用いる場合も、上記と同様に紙自体(塗工層を設ける前の紙)のベック平滑度は100秒以上が好ましい。
塗工紙の塗工層に用いられる白色顔料としては、従来公知の各種顔料を用いることができる。例えば、シリカ、アルミナ或はアルミナ水和物、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、カオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイト、ケイソウ土、珪酸カルシウム、水酸化アルミニウム、リトポン、ゼオライト、加水ハロイサイト、水酸化マグネシウム、などの無機顔料、更にスチレン系プラスチックピグメント、アクリル系プラスチックピグメント、ポリエチレン、マイクロカプセル、尿素樹脂、メラミン樹脂等の有機顔料等を挙げることができる。中でも、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛は高い不透明度と均一な粒子径によって均一な塗工層が形成出来るので好ましい。
本発明に用いられる紙支持体の坪量は30〜300g/m2程度のものが好ましく、特に80〜250g/m2が好ましい。
本発明に用いられるインクジェット記録媒体は、上述した紙支持体上に熱可塑性微粒子を主体に含有するインク吸収層を有する。ここで、熱可塑性微粒子を主体に含有するとは、インク吸収層を構成する全固形分に対して熱可塑性微粒子を50質量%以上含有することであり、好ましくは60質量%以上含有することであり、更に好ましくは70質量%以上含有することである。
本発明における熱可塑性微粒子は、熱可塑性樹脂の微粒子である。かかる熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリエチレンワックス、酸化ポリエチレン、ポリ四フッ化エチレン、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アルキルアクリレート共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体などのオレフィン単独あるいは共重合体またはこれらの誘導体であるポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン、ポリメチルスチレン、ポリメトキシスチレン、ポリクロルスチレン等のポリスチレン及びその誘導体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のポリハロオレフィン類、ポリメタクリレート、ポリクロルアクリレート、ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂が挙げられる。これらの中でも、ポリオレフィン系樹脂及びアクリル樹脂が好ましく、特に密度が0.94g/cm3以下の低密度のポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂が好ましい。
本発明に用いられる熱可塑性微粒子の最低成膜温度(MFT)は60℃から200℃の範囲にあることが好ましい。さらに、皮膜形成の容易さ、皮膜の均一性、皮膜の強度を最適にするために本発明における熱可塑性微粒子の最低成膜温度(MFT)は80℃から150℃の範囲にあることがより好ましい。
本発明に用いられる熱可塑性微粒子の平均粒径は、高いインク吸収性及び高い光沢性(写像性)を付与するという意味から、0.5μm以上が好ましく、1μm以上がより好ましく、特に1.5μm以上が好ましい。熱可塑性微粒子の平均粒径の上限は、20μm程度であり、好ましくは15μmであり、より好ましくは10μmである。
本発明において、熱可塑性微粒子を主体に含有するインク吸収層の最上層の塗工量は、熱可塑性微粒子の固形分塗工量として、5g/m2以上が好ましく、特に8g/m2以上が好ましく、更に12g/m2以上が好ましい。熱可塑性微粒子の塗工量の上限は40g/m2程度であり、好ましくは30g/m2である。このような熱可塑性微粒子の塗工量とすることによって、加熱溶融して成形された被膜が連続した均一な被膜となり、高い光沢性(写像性)が得られ、かつ耐水性及び耐候性が確実となる。しかし、その反面、熱可塑性微粒の塗工量の増大は、加熱溶融の負荷が増え、均一性に欠けることが出てくる。
従って、本発明の好ましい態様は、上述したような比較的大きな粒径の熱可塑性微粒子を上記した塗工量で紙支持体上に設けたインクジェット記録媒体を、水溶性有機溶剤の含有比率が25質量%未満の水性インクで印字した後、熱可塑性微粒子を加熱溶融し、平滑化冷却装置にて、ヘイズの発生がなく、高い光沢性と、耐水性と耐候性が改良される。
本発明において、熱可塑性微粒子を主体に含有するインク吸収層の最上層には、バインダーを含有するのが好ましい。かかるバインダーとしては、例えば、ポリビニルアルコール、無水マレイン酸重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、でんぷん、ポリビニルピリジン、ゼラチン、カゼイン、アイオノマー、アラビアゴム、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、プルラン、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等の水溶性バインダーが挙げられる。
上記したバインダーの含有比率は、熱可塑性微粒子に対して3〜30質量%の範囲が好ましく、特に5〜20質量%の範囲が好ましい。
熱可塑性微粒子を主体に含有するインク吸収層には、更に平均二次粒子径が500nm以下の無機超微粒子を含有することができる。かかる無機超微粒子としては、気相法シリカ、コロイダルシリカ、平均二次粒子径が1μm以上の湿式シリカを湿式粉砕した微粒子、アルミナ水和物等が挙げられる。該インク吸収層には、更にその他の添加剤として、顔料分散剤、増粘剤、流動性改良剤、消泡剤、抑泡剤、離型剤、発泡剤、浸透剤、着色染料、着色顔料、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、防バイ剤、染料定着剤(カチオン性高分子)、湿潤紙力増強剤、乾燥紙力増強剤等を適宜配合することもできる。
本発明のインクジェット記録用紙において、紙支持体と熱可塑性微粒子を主体に含有するインク吸収層の最上層との間に、無機微粒子を主体に含有するインク吸収層を設けるのが好ましい。ここで無機微粒子を主体に含有するとは、該インク吸収層の全固形分に対して無機微粒子を50質量%以上含有することであり、好ましくは60〜90質量%含有することである。
上記無機微粒子として好ましいものは、平均一次粒子径が100nm以下の無機微粒子で、それらが凝集あるいは連結して二次粒子を形成している場合はその平均二次粒子径が20μm以下のものであり、特に平均二次粒子径が10μm以下のものが好ましい。
上記無機微粒子としては、例えば、シリカ、炭酸カルシウム、タルク、クレー、カオリン、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、アルミナあるいはアルミナ水和物等が挙げられる。これらの中でも、シリカ、アルミナ水和物が好ましく用いられる。特に、合成シリカである湿式法シリカあるいは気相法シリカが好ましく、更に平均二次粒子径が1〜10μmの湿式法シリカが好ましい。
無機微粒子を主体に含有するインク吸収層には、バインダーとして水溶性あるいは非水溶性の高分子化合物を含有するのが好ましい。かかるバインダーとしては、例えば、ポリビニルアルコール、アクリル樹脂、スチレン−アクリル共重合体、無水マレイン酸重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、でんぷん、ポリビニルブチラール、ゼラチン、カゼイン、アイオノマー、アラビアゴム、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、プルラン、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等である。好ましくは、ポリビニルアルコールである。
これらのバインダーは単独あるいは複数を併用してもよく、無機微粒子に対して5〜50質量%の範囲で含有するのが好ましい。より好ましくは、10〜40質量%の範囲である。
本発明において、無機微粒子を主体に含有するインク吸収層の塗工量は、無機微粒子の固形分塗工量として3〜30g/m2の範囲が好ましく、特に5〜20g/m2の範囲が好ましい。
無機微粒子を主体に含有するインク吸収層は、更に、カチオン性染料定着剤(カチオン性樹脂)を含有するのが好ましい。該インク吸収層は、界面活性剤、着色染料、着色顔料、紫外線吸収剤、酸化防止剤、顔料の分散剤、消泡剤、レベリング剤、防腐剤、蛍光増白剤、粘度安定剤、pH調整剤、硬膜剤等の公知の各種添加剤を添加することができる。
上述したインク吸収層を塗工する方法としては、各種ブレードコータ、ロールコータ、エアーナイフコータ、バーコータ、ロッドコータ、ゲートロールコータ、カーテンコータ、ショートドウェルコータ、グラビアコータ、フレキソグラビアコータ、サイズプレス、フィルムトランスファーロールコータ、スライドホッパー方式等の各種装置をオンマシン或はオフマシンで用いることができる。
又、無機微粒子を主体に含有するインク吸収層を塗工、乾燥後には、マシンカレンダー、熱カレンダー、スーパーカレンダー、ソフトカレンダー等のカレンダー処理を施すことができる。
本発明において、紙支持体に対して熱可塑性微粒子を主体に含有するインク吸収層を設ける反対側の面には、帯電防止性、搬送性、カール防止性、筆記性、糊付け性等のために、各種のバックコート層を塗設することができる。バックコート層には、無機帯電防止剤、有機帯電防止剤、親水性バインダー、ラテックス、硬化剤、顔料、滑剤、マット化剤、界面活性剤等を適宜組み合わせて添加せしめることが出来る。
次に、本発明に用いることができる水性インクについて説明する。本発明の水性インクの色材には、水溶性染料(以降、単に染料と称す)あるいは顔料が用いられる。染料及び顔料について以下に例示する。
ブラック用の染料としては、カラーインデックス(COLOR INDEX)に記載されている水溶性の酸性染料、直接染料、反応性染料であれば特に限定はない。例えば、C.I.アシッドブラック1、3、7、24、26、31、48、50、58、60、C.I.ダイレクトブラック17、19、22、32、51、62、108、112、154、C.I.リアクティブブラック1、5、8、13、14、31、34、39、C.I.フードブラック1、2等が例示可能である。
シアン染料としては、カラーインデックスに記載されている水溶性の酸性染料、直接染料、反応性染料であれば特に限定はない。例えば、C.I.アシッドブルー1、7、9、23、103、132、142、230、239、258、280、C.I.ダイレクトブルー78、86、189、199、225、273、C.I.リアクティブブルー2、14、18、21、25、38、41、63、72、140、207、227、231等が例示可能である。
イエロー染料についてもシアン染料同様、具体的にはC.I.ダイレクトイエロー86、142、144、C.I.アシッドイエロー11、17、23、25、38、44、49、61、72、110、127、158、176等が例示可能である。
またマゼンタ染料についても同様で、具体的には、C.I.アシッドレッド6、8、35、37、52、92、133、289等のカラーインデックスに記載されている水溶性の酸性染料、直接染料、反応性染料等が例示可能である。
ブラック用の無機顔料としては、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、若しくはチャネルブラック等のカーボンブラック(C.l.ピグメントブラック7)類を挙げることができる。
イエローインク用の顔料としては、C.l.ピグメントイエロー1(ハンザイエローG),2,3(ハンザイエロー10G),4,5(ハンザイエロー5G),6,7,10,11,12(ジスアゾイエローAAA),13,14,16,17,24(フラバントロンイエロー),55(ジスアゾイエローAAPT),61,61:1,65,73,74(ファストイエロー5GX),75,81,83(ジスアゾイエローHR),93(縮合アゾイエロー3G),94(縮合アゾイエロー6G),95(縮合アゾイエローGR),97(ファストイエローFGL),98,99(アントラキノン),100,108(アントラピリミジンイエロー),109(イソインドリノンイエロー2GLT),110(イソインドリノンイエロー3RLT),113,117,120(ベンズイミダゾロンイエローH2G),123(アントラキノンイエロー),124,128(縮合アゾイエロー8G),129,133,138(キノフタロンイエロー),139(イソインドリノンイエロー),147,151(ベンズイミダゾロンイエローH4G),153(ニッケルニトロソイエロー),154(ベンズイミダゾロンイエローH3G),155,156(ベンズイミダゾロンイエローHLR),167,168,172,173(イソインドリノンイエロー6GL),180(ベンズイミダゾロンイエロー)などを挙げることができる。
マゼンタインク用の顔料としては、C.l.ピグメントレッド1(パラレッド),2,3(トルイジンレッド),4,5(lTR Red),6,7,8,9,10,11,12,14,15,16,17,18,19,21,22,23,30,31,32,37,38(ピラゾロンレッドB),40,41,42,88(チオインジゴボルドー),112(ナフトールレッドFGR),114(ブリリアントカーミンBS),122(ジメチルキナクリドン),123(ペリレンバーミリオン),144,146,149(ペリレンスカーレッド),150,166,168(アントアントロンオレンジ),170(ナフトールレッドF3RK),171(ベンズイミダゾロンマルーンHFM),175(ベンズイミダゾロンレッドHFT),176(ベンズイミダゾロンカーミンHF3C),177,178(ペリレンレッド),179(ペリレンマルーン),185(ベンズイミダゾロンカーミンHF4C),187,188,189(ペリレンレッド),190(ペリレンレッド),194(ペリノンレッド),202(キナクリドンマゼンタ),209(ジクロロキナクリドンレッド),214(縮合アゾレッド),216,219,220(縮合アゾ),224(ペリレンレッド),242(縮合アゾスカーレット),245(ナフトールレッド),又は、C.I.ピグメントバイオレット19(キナクリドン),23(ジオキサジンバイオレット),31,32,33,36,38,43,50などを挙げることができる。
シアンインク用の顔料としては、C.l.ピグメントブルー15,15:1,15:2,15:3,15:4,15:6(以上いずれもフタロシアニンブルー),16(無金属フタロシアニンブルー),17:1,18(アルカリブルートナー),19,21,22,25,56,60(スレンブルー),64(ジクロロインダントロンブルー),65(ビオラントロン),66(インジゴ)等を挙げることができる。
また、ブラック用の有機顔料としては、アニリンブラック(C.l.ピグメントブラック1)等の黒色有機顔料を用いることができる。更にまた、イエロー、シアン、又はマゼンタインク以外のカラーインクに用いる有機顔料として、C.I.ピグメントオレンジ1,2,5,7,13,14,15,16(バルカンオレンジ),24,31(縮合アゾオレンジ4R),34,36(ベンズイミダゾロンオレンジHL),38,40(ピラントロンオレンジ),42(イソインドリノンオレンジRLT),43,51,60(ベンズイミダゾロン系不溶性モノアゾ顔料),62(ベンズイミダゾロン系不溶性モノアゾ顔料),63;C.I.ピグメントグリーン7(フタロシアニングリーン),10(グリーンゴールド),36(塩臭素化フタロシアニングリーン),37,47(ビオラントロングリーン);あるいはC.I.ピグメントブラウン1,2,3,5,23(縮合アゾブラウン5R),25(ベンズイミダゾロンブラウンHFR),26(ペリレンボルドー),32(ベンズイミダゾロンブラウンHFL)等を挙げることができる。
水性インクにおける上記染料あるいは顔料の含有量については、特に限定されるものではないが、一般的にはインク全体の0.1〜15質量%、好ましくは0.5〜10質量%、より好ましくは0.5〜6質量%がよい。
本発明の水性インクは、上記した染料あるいは顔料の溶媒として用いられる水溶性有機溶剤の含有量を減じたことを特徴とする。即ち、水と混合して用いられる水溶性有機溶剤の水性インク中における含有比率(濃度)を25質量%未満にする。水溶性有機溶剤の含有比率は、好ましくは23質量%未満であり、より好ましくは20質量%未満であり、更に好ましくは18質量%未満である。
本発明のインクジェット印字物の作製方法は、上記した水性インクを用いて印字するが、水性インク中の水溶性有機溶剤の濃度は、印字するときに用いられる水性インクの平均値を意味する。即ち、単色で印字する場合は、その1種類の水性インク中の濃度であり、カラー画像のように多色印字の場合は、用いられる全ての水性インクの平均値である。好ましくは、印字に用いられる全ての水性インクがそれぞれ、上記した水溶性有機溶剤の濃度にあることである。具体的には、本発明はカラー画像のプリントに好適であり、カラー画像は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(BK)の少なくとも4種の水性インクが通常用いられるが、カラー画像を印字する際に用いられる前記少なくとも4種を含む全インクの水溶性有機溶剤濃度の平均値が25質量%未満でなければならず、好ましくは、全インクがそれぞれ25質量%未満にあることである。
本発明の水性インクにおいて、水と混合して使用し得る水溶性有機溶剤としては、多価アルコール及びその誘導体、モノアルコール、ピロリドン類、アミン類、その他の有機溶剤が挙げられる。
多価アルコール及びその誘導体(例えばアルキルエーテル類)としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ヘキシレングリコール、グリセリン、1,2,4−ブタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、グリセリンモノアリルエーテル、ブチレングリコール、ポリエチレングリコール300、チオジグリコール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ネオペンチルグリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノアリルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノイソブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、グリセリンモノアセテート、グリセリンジアセテート、グリセリントリアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、1,2−シクロヘキサンジオール、1−ブタノール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、3−ヘキセン−2,5−ジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、2,5−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、ペンタエリスリトール等が挙げられる。
モノアルコールとしては、エタノール、n−プロパノール、2−プロパノール、1−メトキシ−2−プロパノール、シクロヘキサノール、フルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール等が挙げられる。
ピロリドン類としては、N−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン等、アミン類としては、モノエタノールアミン、トリエタノールアミン等が挙げられる。
その他の水溶性有機溶剤として、β−ジヒドロキシエチルウレア、ウレア、アセトニルアセトン、γ−ブチロラクトン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、スルフォラン、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。
また、本発明のインクセットを構成する水性インクには、以上の成分の他、必要に応じて界面活性剤、pH調整剤、防腐剤等を添加することが可能である。例えば、界面活性剤をインク中に添加すれば、バブルジェット(R)方式のインクジェットプリントシステムにおける発熱ヒーター、吐出ノズル表面への濡れ性の調節等に有益である。この際に使用する材料としては、既存の市販品から適宜に選択することができる。
本発明は、水性染料インクを用いた場合であっても水性顔料インクを用いた場合であっても、ともに高い効果が得られる。水性染料インクは、本来印字濃度と色彩性に優れるので、熱可塑性微粒子の加熱溶融時にヘイズの発生を防止することによって本来の高い印字濃度と色彩性が得られ、かつ水性染料インクの課題である耐水性及び耐候性を大幅に改良することが可能となる。一方、顔料インクは、本来耐水性及び耐候性に優れるので、熱可塑性微粒子を被膜化することによって耐水性と耐候性を一段と向上させることができる。その反面、水性顔料インクは、印字濃度が水性染料インクに比べて劣り、熱可塑性微粒子の加熱溶融化のときに起こるヘイズによって更に低下するので、ヘイズを防止することは極めて重要である。また、水性顔料インクを用いて印字した画像は、その表面に顔料が局在しやすく、画像が金属光沢を発する、いわゆるブロンジングの問題がある。この課題は、前述したように、熱可塑性微粒子を含有するインク吸収層に用いられる熱可塑性微粒子の平均粒径を大きくして、かつ塗工量を増大させることによって改良される。
本発明のインクジェットプリントシステムにおける印字物の作製方法は、上述したインクジェット記録媒体に上述した水性インクで印字した後、速やかにインクジェット記録媒体の熱可塑性微粒子を主体に含有するインク吸収層を加熱溶融する。加熱溶融する手段としては、熱風を当てる方法、赤外線ヒーター等の輻射熱を利用するとよい。熱エネルギーを低減するためにはオンデマンド適性を持たせ誘電加熱方法を用いると良い。溶融した熱可塑性微粒子を次の工程である平滑化冷却装置に搬送し冷却装置の鏡面ロール乃至は鏡面ベルトに転写して平滑面を得る。加熱温度は、熱可塑性微粒子の最低成膜温度以上とするが、好ましくは80〜200℃である。
以上に挙げたインクジェット用紙及びインクジェットインクが、本発明に係るインクジェットプリントシステムに好ましく用いられるものである。
図1に、本発明に係るインクジェットプリントシステムの一実施形態を示す。同図に示すように、本実施形態におけるインクジェットプリントシステムは、主に、インクジェット用紙1を搬送する手段であるインクジェット用紙搬送ロール2と、インクジェット用紙1の記録面上に所定の画像を記録する為のインクジェット印字装置3と、インクジェット用紙1を所定の大きさに裁断する手段である裁断装置4と、画像が記録形成された後のインクジェット用紙1に対して平滑化処理を施す為の平滑化装置5とにより構成されている。
前記インクジェット用紙1は、インクジェット用紙搬送ロール(以下、単に搬送ロールと称す。)2によって図に示す矢印方向へ搬送され、搬送ロール2の下流側に配置されたインクジェット印字装置3によってその記録面上に所定の画像が記録される。そして、インクジェット記録後のインクジェット用紙1は、インクジェット印字装置3の下流側に配置された裁断装置4へ搬送され、所定の大きさに裁断される。さらに、裁断後のインクジェット用紙1は、平滑化装置5へ搬送され、その記録面上に記録された画像の平滑化処理を施された後、該インクジェットプリントシステムの外部へと排出される。
尚、前記インクジェット用紙1は、図示例ではロール状に巻かれた長尺状のロールペーパーを用いた例を示しているが、これに限らず、適宜サイズに裁断されたシート状のインクジェット用紙であっても良い。
前記搬送ロール2は、図示省略の駆動手段により回転駆動される2本のロール間に挟んで前方に送り出し、インクジェット用紙1を所定量搬送する。次いでインクジェット印字装置3において図示省略の画像データ転送装置からのデータを印字する。指示された一定量の長さを検出して裁断装置にて裁断する。
前記裁断装置4は、例えば、インクジェット用紙1の幅方向に亘り該インクジェット用紙1の搬送方向と略直交するように架設された走査ガイド(図示省略)に沿って主走査移動可能に構成された往復走査型のカッターである。該裁断装置4は、図示省略の制御手段によって、インクジェット用紙1を所定の大きさに裁断する。
前記平滑化装置5は、記録ヘッド3によって画像が記録形成された後のインクジェット用紙1の印字面を上にして加熱装置51によりインクジェット用紙1を非接触にて加温して直ちに図2の冷却部位に挿入される。
冷却部位は図2に示されるとおり、冷却ロール52に接触搬送される鏡面のベルト53と加圧できるように対をなすロール54とからなる。表面を加熱されたインクジェット用紙1の印字面に鏡面の冷却されたベルト53面に接触するようにニップ部を通過させると共に急冷することができる。冷却ロール及び加圧ロールには冷却水が導入されており(図示省略)、冷却装置から供給され一定の温度に保たれる。その他、前記加熱装置は図示省略の温度センサが付属され温度制御される。また、平滑化装置は図3の様な形態をとっても良く、加熱された表面を加圧急冷して表面の鏡面を写し取れるようにしてあればどの様な方式でも構わない。
但し、本発明に係るインクジェットプリントシステムにおいては、当該冷却装置に用いられている鏡面ベルト乃至鏡面ロールの表面粗さSRaは、0.4μm以下にすることが好ましい。このように、鏡面ベルト乃至鏡面ロールの表面粗さを適切な範囲内に限定することで、これに押圧されるインクジェット用紙1のインク受理層を適切に平滑化することができ、印字されたインクジェット用紙1表面に高度な光沢を得ることができる。
また、鏡面ベルト乃至鏡面ロールの表面粗さを小さくすることで、以下に述べる付随的効果を得ることができる。一般に、同一の素材においては、その表面粗さを小さくするほど、その耐磨耗性が向上し、耐久性が向上することが知られている。また、その表面粗さを小さくするほど、帯電防止性及びオフセットの防止に優れた効果を得ることができることが知られている。従って、当該加熱ベルトにおいても、同様の効果を得ることができる。また、ベルト表面の表面粗さを小さくすることで、加熱ベルトとインクジェット記録用紙1の密着度が高まり、その加熱効率が向上する。従って、インクジェット記録用紙1のインク受理層の透明化もより促進されることになる。
当該鏡面ベルト53は、図3に示すように、主に、ステンレス、スチール等熱伝導性の良い素材にニッケル、クロムなどでメッキし表面を高度に研磨して鏡面を得る。同様に鏡面冷却ロールも同様な素材を用いることができメッキ面を研磨して鏡面を得ることが可能である。なお、冷却ロールは内部を中空にし水をパイプ等で循環して冷却することが可能なものにしてある。
次に、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが本発明はこれらに限定されるものではない。尚、本実施例及び比較例における評価方法は、次に示す方法により測定した。
<インクジェット用紙支持体の作製>
ダブルディスクリファイナーで320ml、csfまで叩解した広葉樹漂白クラフトパルプを75部、及びダブルディスクリファイナーで430ml、csfまで叩解した針葉樹漂白クラフトパルプを25部から成る混合パルプに対し、カチオン化澱粉1.0部、アルキルケテンダイマーサイズ剤0.1部、及び重質炭酸カルシウム填料を7部添加して紙料スラリーを調製した。その紙料スラリーから、長網抄紙機で紙匹を形成しプレスで搾水後、多筒式ドライヤー乾燥工程で乾燥し、乾燥の途中で酸化澱粉の5質量%溶液をサイズプレスし、次いでマシンカレンダー処理して、坪量120g/m2の紙支持体を製造した。得られた紙支持体のベック平滑度は120秒/10mlであった。
この紙支持体に、熱可塑性微粒子(低密度ポリエチレン樹脂微粒子、平均粒径2.5μm;三井化学(株)製のケミパールW500)25部、ポリビニルアルコール(PVA117:クラレ製)3部、水を加えて合計100部からなる熱可塑性微粒子を主体に含有するインク吸収層の塗工液を調製し、カーテンコーター塗布方式により熱可塑性微粒子の固形分塗工量が17g/m2になるように塗布、乾燥した。
上記のようにして作製したインクジェット用紙を本発明のインクジェットプリントシステムにて印字し、印字物1を得た。その際の加熱温度は140℃であり、冷却ロールの温度は40℃に制御し、10秒以内に冷却され、インクジェット用紙表面での実測温度は41℃であった。なお、印字に用いた染料インクは下記に示される内容の組成で調整した。なお、冷却装置に使用した金属表面の中心面平均粗さは0.3μmであった。
≪染料インクセットの調製≫
以下に記載の内容に従って、染料インクセットを調製した。調製された各インク溶液はろ過器を用いて使用前にろ過した。
<イエローインク>
C.I.アシッドイエロー23 3%
ジエチレングリコール 24%
ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム 0.01%
イオン交換水 72.99%
<マゼンタインク>
C.I.ダイレクトレッド227 3%
ジエチレングリコール 24%
ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム 0.01%
イオン交換水 72.99%
<シアンインク>
C.I.ダイレクトブルー199 3%
ジエチレングリコール 24%
ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム 0.01%
イオン交換水 72.99%
<ブラックインク>
C.I.フードブラック2 3%
ジエチレングリコール 24%
ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム 0.01%
イオン交換水 72.99%
インクジェットプリントシステムの冷却温度を30℃から50℃に変更した以外は実施例1と同様にして印字物2を得た。この時の表面での実測温度は52℃であった。
(比較例1)
インクジェットプリントシステムの冷却温度を40℃から70℃に変更した以外は実施例1と同様にして比較印字物1を得た。この時の表面での実測温度は70℃であった。この場合は鏡面ベルトに張り付きが見られ、連続作業性に問題となる。
実施例1で使用した紙支持体に、熱可塑性微粒子(低密度ポリエチレン樹脂微粒子、平均粒径6μm;三井化学(株)製のケミパールW200)25部、ポリビニルアルコール(PVA117:クラレ製)3部、水を加えて合計100部からなる熱可塑性微粒子を主体に含有するインク吸収層の塗工液を調製し、カーテンコーター塗布方式により熱可塑性微粒子の固形分塗工量が17g/m2になるように塗布、乾燥した。
上記のようにして作製したインクジェット用紙を実施例1と同一条件に設定したインクジェットプリントシステムにて印字し、印字物1を得た。その際の加熱温度は140℃であり、冷却ロールの温度は40℃に設定されていた。表面での実測温度は41℃であった。
<光沢性(写像性)の評価>
それぞれのインクジェット印字物について、写像性測定器ICM−1DP(スガ試験機械社製)で反射60度、光学くし2mmでの写像性(光沢値C値%)を測定し、以下の基準で評価した。尚、4及び3が実用上好ましいランクである。
4:C値%が60以上
3:C値%が50〜60未満
2:C値%が40〜50未満
1:C値%が40未満
<ヘイズの評価>
それぞれのインクジェット印字物について、画像にかかったヘイズの状態を目視で観察し、以下の基準で評価した。
○;ヘイズが全くなく、濃度が高くコントラストが良好である。
△;僅かにヘイズがかかり、濃度及びコントラストの低下は小さい。
×;ヘイズがかかり、濃度が低く、本来の色調が得られない。
<連続加工性>
10枚のインクジェット用紙を各条件でプリントを行ったときの、通過枚数を確認する。鏡面に張り付いたりしないで通過することが必要である。
○;全数通過、問題なし。
×;不通過が1枚以上発生。
Figure 2005288883
上記結果から明らかなように、本発明の方法によれば、ヘイズがなく高い印字濃度と高い光沢性が得られる。
カラー写真並の光沢並びに保存性を確保できるので商業的に利用が可能である。例えば銀塩写真でスタンドアロンで稼働するミニラボ機相当の機器を設け、利用することが可能である。インクジェット媒体として印字後加圧加熱をするには一般の家庭では実施しにくい。
本実施携帯におけるインクジェットプリントシステムの全体構成を示す図である。 図1に示すインクジェットプリントシステムの平滑化冷却装置の構成を示す図である。 図1に示すインクジェットプリントシステムの平滑化冷却装置の図2とは異なる構成を示す図である。
符号の説明
1 インクジェット記録用紙
2 搬送ロール
3 インクジェット印字装置
4 裁断装置
5 加熱装置
51 発熱体
52 印字、裁断されたインクジェット用紙
53 搬送ベルト
54 搬送ベルト駆動ロール
55 搬送ベルト張力調整ロール
56 搬送ベルト従動ロール
6 冷却装置
61 冷却ロール
62 鏡面ベルト
63 鏡面ベルト張力調整ロール
64 冷却水使用弾性加圧ロール
65 搬送ベルト
66 搬送ベルト張力調整ロール
7 インクジェット用紙排出ガイド板

Claims (5)

  1. 巻取ロール状のインクジェット用紙を、駆動装置により連続的に搬送し、順次、インクジェット記録装置でインクジェット印字し、続いて加熱装置により印字面を加熱処理し、直ちに冷却装置で急冷するインクジェットプリントシステムであって、該インクジェット用紙が、最上層に熱可塑性微粒子を有し、加熱装置により該インクジェット記録用紙表面の温度を熱可塑性微粒子の最低造膜温度以上に制御して加熱処理することを特徴とするインクジェットプリントシステム。
  2. 該冷却装置が、冷却ロールと金属表面を有するシームレスベルトと、その反対面の弾性を有するシームレスベルト側から加圧しながら冷却することを特徴とする請求項1記載のインクジェットプリントシステム。
  3. 該冷却装置が、10秒以内に加熱温度よりも80℃以上急冷することを特徴とする請求項1または2記載のインクジェットプリントシステム。
  4. 金属表面の中心面平均粗さSRaが0.4μm以下であることを特徴とする請求項1〜3いずれか1項記載のインクジェットプリントシステム。
  5. 該インクジェット用紙最上層の熱可塑性微粒子の粒径が1〜10μmであることを特徴とする請求1〜4いずれか1項記載のインクジェットプリントシステム。
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