JP2005169663A - インクジェット記録媒体 - Google Patents

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Abstract

【課題】 従来オフセット印刷やグラビア印刷などに使用されてきた、表裏で面質感の異なる両面印刷用紙に類似した外観を有し、且つ、折り曲げても塗工層に亀裂が入ったり、剥がれ落ちたりすることのない良好な製本加工適性を有し、該両面印刷用紙の代替としてカタログや本などの冊子状印刷物の表紙などに好適に使用できる、両面記録が可能なインクジェット記録媒体を提供すること。
【解決手段】 原紙の一方の面に、キャスト法により光沢仕上げされたキャストコート層を設け、該原紙の他方の面に、アルカリ土類金属塩を含有する下塗り層と無機超微粒子を含有する上塗り層とを順次積層してなるインク受容層を設ける。
【選択図】 なし

Description

本発明は両面記録が可能なインクジェット記録媒体に関し、詳しくは、キャスト光沢仕上げされた高光沢面と、コート紙やアート紙などの印刷用紙に類似した被記録面とを有し、且つ、折り曲げても塗工層に亀裂が入ったり、剥がれ落ちたりすることのない良好な製本加工適性を有し、カタログや本などの冊子状印刷物の表紙などに好適に使用できるインクジェット記録媒体に関する。
インクジェット記録方式は、記録ヘッドからインクの液滴を吐出させ、紙等の記録媒体にインクを付着させて画像を記録する印刷方式である。インクジェット記録媒体としては、PPC用紙に代表される普通紙を用いることも可能であるが、高精細な印刷が求められる写真や高精細イラストレーション等のフルカラー用途等においては、より高度なインク吸収性を備えた記録媒体を用いる必要がある。このような記録媒体としては、塗工タイプなどと称される、基材上にシリカ等の顔料を主体とするインク受容層を塗設した構成のインクジェット記録媒体がある。このインクジェット記録媒体は、インク受容層中の隣接顔料間の空隙や顔料粒子自体が持つ細孔により高度なインク吸収性を発現し、インクの乾燥速度が速い、画像濃度が高い、にじみが少ないといった理想的なインクジェット特性を有している。基材の両面にこのようないわゆる多孔(空隙)タイプのインク受容層がそれぞれ塗設されており、両面記録が可能になしてあるインクジェット記録媒体も提案されている(例えば、特許文献1〜3参照)。
特開平9−286166号公報 特開2001−39011号公報 特開2002−103793号公報
PCやネットワークの普及、デジタル処理技術の進歩などを背景に、インクジェット記録方式の用途は急速に拡大しており、従来の印刷方式からインクジェット記録方式への移行が進んでいる。例えば、小ロット印刷やショートラン印刷市場等では、従来オフセット印刷方式やグラビア印刷方式で行われていた商品カタログや各種パンフレット等の小冊子の印刷を、インクジェット記録方式で行う試みがなされている。また、出版業界では、ユーザーからの注文に応じ、ニーズがあった時点で1冊から印刷・製本して、即座に発送するオンデマンド印刷サービスの提供が本格化しつつあり、これに適した印刷方式としてインクジェット記録方式が注目されている。
上記のように、カタログや本などの冊子状印刷物の印刷をインクジェット記録方式で代替する場合、インクジェット記録媒体には、記録品質の高さもさることながら、色調や光沢感などから総合的に把握されるインクジェット記録媒体の外観が、従来使われてきたコート紙やアート紙などの印刷用紙の外観と類似していることが求められる。特に最近では、商品カタログなどにおいて、表裏で面質感の異なる両面印刷対応の印刷用紙(両面印刷用紙)を表紙として使用し、背表紙側と見開き頁側とで質感を変調させたものが登場しており、このような両面印刷用紙に外観が類似したインクジェット記録媒体に対するニーズが高まっている。
しかしながら、特許文献1〜3に開示されているような従来の両面印刷対応のインクジェット記録媒体は、上記したような、表裏で面質感の異なる両面印刷用紙とは外観が大きく異なっており、該用紙の代替としては使用できないものであった。また、インクジェット記録媒体が冊子状印刷物に使用されるためには、印刷後、冊子状に製本されたときに、折り目部分でインク受容層に亀裂が入ったり、剥がれ落ちたりすることのない良好な製本加工適性(耐折性)を備えている必要があるが、従来のインクジェット記録媒体はこの点でも改善の余地があり、冊子状に製本する際に用いる用紙としては不十分であった。
従って、本発明の目的は、従来オフセット印刷やグラビア印刷などに使用されてきた、表裏で面質感の異なる両面印刷用紙に類似した外観を有し、且つ、折り曲げても塗工層に亀裂が入ったり、剥がれ落ちたりすることのない良好な製本加工適性を有し、該両面印刷用紙の代替としてカタログや本などの冊子状印刷物の表紙などに好適に使用できる、両面記録が可能なインクジェット記録媒体を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明のインクジェット記録媒体は、原紙の一方の面に、キャスト法により光沢仕上げされたキャストコート層を有し、該原紙の他方の面に、アルカリ土類金属塩を含有する下塗り層と無機超微粒子を含有する上塗り層とを順次積層してなるインク受容層を有することを特徴とする。
本発明のインクジェット記録媒体は、両面記録が可能で、且つ製本加工適性に優れているため、折り曲げても塗工層(キャストコート層及びインク受容層)に亀裂が入ったり、剥がれ落ちたりすることがなく、カタログ、パンフレット、本などの冊子状印刷物に用いる用紙として好適である。特に、このインクジェット記録媒体は表裏で面質感が異なっているので、例えば背表紙側と見開き頁側とで質感の異なる冊子状印刷物を作製する場合などに、その表紙として最適である。
以下、本発明のインクジェット記録媒体について詳細に説明する。本発明のインクジェット記録媒体は、いわゆる塗工タイプの両面記録が可能なインクジェット記録媒体であり、原紙と、該原紙の一方の面に塗設されたキャストコート層と、他方の面に塗設されたインク受容層とを有する。
原紙としては、セルロースパルプを主成分とする紙が好ましく用いられる。セルロースパルプの原料としては、通常は針葉樹や広葉樹といった木材原料が用いられるが、これら以外にも、藁、エスパルト、バガス、ケナフ等の草類繊維や、麻、楮、雁皮、三椏等の靱皮繊維や、綿などを用いることができる。本発明においては、これらのパルプ原料の1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、パルプ化の方法は特に限定されず、クラフトパルプ、亜硫酸パルプ、砕木パルプ、セミケミカルパルプ、ケミグランドパルプ、リファイナーグランドパルプ等の公知のパルプ化法を用いることができる。オフィス古紙、古新聞、古雑誌などを原料とした再生パルプ(脱墨パルプ)も本発明で好ましく用いられる。また、ガラス繊維等の無機繊維、あるいはポリエステル繊維やアラミド繊維等の合成繊維を必要に応じて適宜使用することも可能である。
原紙には、通常、紙を抄造する際に用いられる各種助剤を配合させることができる。例えば、紙の柔軟性、表面の平滑性、不透明性、印刷適性等を改善するための填料として、クレー、タルク、軽質炭酸カルシウム、焼成カオリン、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、酸化チタン等の無機填料を用いることができる。また、内添サイズ剤としてロジン系サイズ剤を使用することができ、この場合には定着剤として硫酸バンドを併用することができる。アルキルケテンダイマー、アルケニルコハク酸等の中性サイズ剤を使用する場合は、カチオン澱粉等のカチオン系定着助剤を併用することができる。さらに、必要に応じ、紙力増強剤として、ポリアクリルアミド系ポリマーや澱粉等を用いることができる。
また、必要に応じて、原紙の片面あるいは両面に、種々の顔料塗被組成物を予め予備塗工しておいてもよく、その場合の塗被量は片面当り乾燥重量で5〜30g/m2程度が望ましい。また、必要であれば、原紙に対して予めスーパーキャレンダー、ブラシ掛け、キャスト仕上げ等の平滑化処理を施しておくことも可能である。
キャストコート層は、キャスト法により光沢仕上げされた塗工層である。キャスト法は、上記原紙上に塗工組成物を塗工し、該塗工組成物が湿潤状態あるいは可塑性を有している状態で、該塗工組成物をキャストドラムの加熱された鏡面に圧接し、乾燥後、剥離することにより鏡面を写し取る光沢仕上げ方法である。キャスト法には直接法、再湿法、凝固法などがあり、本発明においてはいずれの方法でもよいが、特に、凝固法により光沢仕上げがされたキャストコート層が好ましい。尚、キャストドラムとは、通常、鏡面加工された円筒外面を有する金属製のドラムである。
上記いずれのキャスト法も、キャストドラム表面を写し取ることによって高光沢の塗工層表面を得ることでは共通しているが、原紙に塗工された塗工組成物がキャストドラムに圧接されるまでの過程において、それぞれ次の特徴がある。
直接法の場合:原紙に塗工された塗工組成物が全く乾燥していない状態でキャストドラムに圧接される。
再湿法の場合:原紙に塗工された塗工組成物が一旦乾燥した状態又は半乾燥状態にされ、この状態から再湿液による処理で可塑性を有した状態にされた後、キャストドラムに圧接される。
凝固法の場合:原紙に塗工された塗工組成物が凝固液による処理で流動性のないゲル状態にされた後、キャストドラムに圧接される。尚、凝固法には、赤外線を該組成物に照射して表面を凝固させる熱凝固法もある。
キャストコート層は、無機顔料及び接着剤を必須成分として含有する。無機顔料としては、例えば、シリカ、アルミナ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、カオリン、タルク、クレー、焼成クレー、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、珪藻土等が挙げられる。本発明においては、これらの1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
キャストコート層中に含有される無機顔料は、一次粒子径が100nm以下のものが好ましく、5〜50nmの範囲にあるものがさらに好ましい。無機顔料の一次粒子径が100nmを越える場合には、キャストコート層の透明性が低下するおそれがあり、その結果として十分な表面光沢が得難い。また、無機顔料の一次粒子径が5nm未満の場合には、キャストコート層中の細孔が小さくなり過ぎて、インク吸収速度が低下するおそれがある。
キャストコート層に特に好ましく用いられる無機顔料としては、非晶質シリカ、無定形シリカ、微粉シリカ等の合成シリカが挙げられる。合成シリカを用いることで、キャストコート層に良好なインク吸収性を付与することができる。合成シリカの中でも、特に、BET比表面積が200〜600m2/gの範囲にあるものが好ましい。合成シリカのBET比表面積が200m2/g未満では十分なインク吸収性が得られないおそれがあり、逆に600m2/gを超えると連続操業性が低下するおそれがある。キャストコート層中の全無機顔料に占める合成シリカの割合は40〜100重量%とすることが好ましい。
キャストコート層中の無機顔料の含有量は、インク吸収性と塗膜強度とのバランスの観点から、キャストコート層の全固形分に対して30〜80重量%の範囲にあることが好ましい。
キャストコート層には、表面光沢をさらに高める目的で、熱で変形する有機顔料(プラスチックピグメント)を含有させることができる。有機顔料としては、特に、ガラス転移温度が30〜150℃の範囲にあるものが好ましく、50〜130℃の範囲にあるものがさらに好ましい。ガラス転移温度が上記範囲にある有機顔料は、インクの吸収を阻害せず、光沢も得やすいという特長がある。このような有機顔料としては、例えば、アクリル系樹脂、ポリオレフィン樹脂、マイクロカプセル、尿素樹脂、メラミン樹脂等が挙げられ、中でも、アクリル系樹脂が好ましく、とりわけ、メタクリル酸エステルを構成単位として含むアクリル系樹脂は、光沢及びインク吸収性が高くなることから本発明で好ましく用いられる。また、有機顔料の一次粒子径は100nm以下であることが、表面光沢の点で好ましい。
キャストコート層中に有機顔料を含有させる場合、その含有量はキャストコート層の全固形分に対して50重量%以下とすることが好ましい。含有量が50重量%を越えると、インク吸収性が阻害されるおそれがある。
一方、キャストコート層に含有される接着剤としては、例えば、酸化澱粉、エステル化澱粉等の澱粉類、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体、ポリビニルアルコール及びその誘導体、ポリビニルピロリドン、カゼイン、ゼラチン、大豆タンパク、スチレン−アクリル樹脂及びその誘導体、スチレン−ブタジエンラテックス、アクリルエマルジョン、酢酸ビニルエマルジョン、塩化ビニルエマルジョン、ウレタンエマルジョン、尿素エマルジョン、アルキッドエマルジョン及びこれらの誘導体等が挙げられる。本発明においては、これらの1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
キャストコート層中の接着剤の含有量は、顔料(上記無機顔料及び上記有機顔料を合計したもの)100重量部に対して、10〜100重量部の範囲にあることが好ましい。接着剤の含有量が10重量部未満であると、顔料の結着が不十分となりキャストコート層から顔料が脱落し易くなる。一方、接着剤の含有量が100重量部を超えると、キャストコート層のインク吸収性が不十分になるおそれがある。
さらに、キャストコート層には、キャスト法による光沢仕上げの際におけるキャスト鏡面ドラムからの離型性を改良する目的で、離型剤を含有させることができる。この場合の離型剤としては、例えば、ステアリン酸、オレイン酸、パルミチン酸等の脂肪酸及びこれらのカルシウム、亜鉛、ナトリウム、アンモニウム等の塩類、ステアリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド及びメチレンビスステアリン酸アミド等のアミド類、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、ポリエチレンエマルジョン等の炭化水素類、セチルアルコール、ステアリルアルコール等の高級アルコール、ロート油やレシチン等の油脂類、含フッ素界面活性剤等の各種界面活性剤、四フッ化エチレンポリマーやエチレン−四フッ化エチレンポリマー等のフッ素系ポリマー等が挙げられる。これらの中でも、特にステアリン酸アミド誘導体が好ましく、その具体例としては、ステアリン酸アミド、メチロールステアリン酸アミド、及び、エチレンビスステアリン酸アミド等を挙げることができる。
キャストコート層中の離型剤の含有量は、良好な記録適性と高い連続操業性を両立させる観点から、キャストコート層の全固形分に対して0.1〜10重量%の範囲にあることが好ましく、0.5〜5重量%の範囲にあることがさらに好ましい。離型剤の含有量が0.1重量%未満であると離型性の向上効果に乏しく、逆に10重量%を超えるとインク吸収性インクが低下し、画質低下を招くおそれがある。
キャストコート層には、上記の顔料、接着剤、離型剤の他に、必要に応じ、染料定着剤、顔料分散剤、消泡剤、抑泡剤、離型剤、発泡剤、浸透剤、着色染料、着色顔料、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、防バイ剤、耐水化剤、湿潤紙力増強剤、乾燥紙力増強剤等を適宜含有させることができる。
上述したキャストコート層の各種成分は、通常、水系の塗工組成物として調製される。該塗工組成物は、ブレードコーター、エアナイフコーター、ロールコーター、ブラッシュコーター、キスコーター、スクイズコーター、カーテンコーター、バーコーター、グラビアコーター、コンマコーター等の公知の塗工機を用いて、上記原紙上に塗工される。塗工後は、上記した各種キャスト処理を経て、キャストコート層が形成される。
尚、再湿法によるキャスト処理を行う場合、再湿液には、例えば、アンモニウム塩、ポリアミド樹脂、ヘキサメタリン酸等のリン化合物、アミド化合物、フッ化物、硫酸亜鉛、蟻酸カルシウム等を添加することができる。
また、凝固法によるキャスト処理を行う場合、凝固液に添加することのできる凝固剤としては、例えば、蟻酸、酢酸、クエン酸、酒石酸、乳酸、塩酸、硫酸等の、カルシウム、亜鉛、バリウム、鉛、マグネシウム、カドミウム、アルミニウム等との各種の塩や、硫酸カリウム、クエン酸カリウム、硼砂、硼酸等が挙げられる。本発明においては、特に蟻酸塩を使用することが好ましい
次に、上記原紙を挟んで上記キャストコート層と反対側の面に塗設されるインク受容層について説明する。該インク受容層は、原紙側から順に、アルカリ土類金属塩を含有する下塗り層と、無機超微粒子を含有する上塗り層とからなる。
アルカリ土類金属は、ベリリウム、カルシウム、マグネシウム、ストロンチウム、バリウム、ラジウムの総称である。下塗り層に含有されるアルカリ土類金属塩としては、例えば、炭酸塩、珪酸塩、硼酸塩、塩酸塩、硫酸塩、有機酸塩等が挙げられるが、下塗り層の塗工液は水系の場合が多いため、溶解度の低い弱酸塩が好ましい。特に、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムは、本発明で好ましく用いられる。
アルカリ土類金属塩の含有量は、下塗り層の全固形分に対して50〜95重量%の範囲にあることが好ましい。アルカリ土類金属塩の含有量が対全固形分50重量%未満では、インク吸収性の低下を招くおそれがあり、95重量%超では、下塗り層の原紙に対する接着力が低下し、層間剥離を起こすおそれがある。
下塗り層には、アルカリ土類金属塩に対して質量比で0.05倍以上0.8倍以下の接着剤を含有することが好ましい。より好ましくは0.05倍以上0.4倍以下の範囲である。接着剤がアルカリ土類金属塩に対して質量比で0.05未満であると、接着力が不足し、原紙あるいは上塗り層との間で剥離を生ずる。また、接着剤がアルカリ土類金属塩に対して質量比で0.8倍を超えるとインク吸収性の低下を招き好ましくない。
下塗り層に含有される接着剤としては、例えば、メチルセルロース、メチルヒドロキシエチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、及びヒドロキシエチルセルロース等のセルロース系接着剤、澱粉及びその変性物、ゼラチン及びその変性物、カゼイン、プルラン、アラビアゴム、及びアルブミン等の天然高分子樹脂又はこれらの誘導体、ポリビニルアルコール及びその変性物、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−アクリル共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のラテックスやエマルジョン類、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン等のビニルポリマー、ポリエチレンイミン、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、及び無水マレイン酸又はその共重合体等が挙げられる。好ましくは共重合体系のエマルジョンである。
下塗り層には、アルカリ土類金属塩及び接着剤の他に、必要に応じ、カチオン系染料定着剤、顔料分散剤、増粘剤、流動性改良剤、粘度安定剤、pH調整剤、界面活性剤、消泡剤、抑泡剤、離型剤、発泡剤、浸透剤、着色染料、着色顔料、白色無機顔料、白色有機顔料、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、レベリング剤、防腐剤、防バイ剤、耐水化剤、湿潤紙力増強剤、乾燥紙力増強剤などを適宜含有させることができる。
一方、上記下塗り層の上に積層される上塗り層は、無機超微粒子を必須成分として含有する。無機超微粒子とは、一次粒子径が100nm以下で、且つ二次粒子径が400nm以下の無機微粒子を意味する。例えば、特開平1−97678号公報、同2−275510号公報、同3−281383号公報、同3−285814号公報、同3−285815号公報、同4−92183号公報、同4−267180号公報、同4−275917号公報などに開示されているアルミナ水和物である擬ベーマイトゾル、特開昭60−219083号公報、同61−19389号公報、同61−188183号公報、同63−178074号公報、特開平5−51470号公報などに記載されているようなコロイダルシリカ、特公平4−19037号公報、特開昭62−286787号公報に記載されているようなシリカ/アルミナハイブリッドゾル、特開平10−119423号公報、特開平10−217601号公報に記載されているような、気相法シリカを高速ホモジナイザーで分散したようなシリカゾル、その他にもヘクタイト、モンモリロナイトなどのスメクタイト粘土(特開平7−81210号公報)、ジルコニアゾル、クロミアゾル、イットリアゾル、セリアゾル、酸化鉄ゾル、ジルコンゾル、酸化アンチモンゾルなどを代表的なものとして挙げることができる。
これらの無機超微粒子の中でも、特に、気相法シリカ超微粒子、アルミナ化合物(アルミナ水和物、酸化アルミニウム超微粒子)は、上塗り層に好適に用いられる。
シリカ微粒子は、乾量基準でSiO293%以上、Al23約5%以下、Na2O約5%以下から構成される微粒子であり、いわゆるホワイトカーボン、シリカゲルや微粉末シリカなどの非晶質シリカがある。非晶質シリカ微粒子の製造方法としては、液相法、粉砕固相法、晶析固相法および気相法がある。液相法とは、いわゆる液中に存在する珪酸化合物等を化学変化または物理変化によって固体状態に析出させる微粒子製造方法である。粉砕固相法とはシリカ固体を機械的に粉砕する方法であり、晶析固相法とは溶融や固体の相転移などを利用した微粒子製造方法である。気相法とは、揮発性金属化合物の蒸気の熱分解や、原材料の加熱、蒸発、生成した気相種の冷却、凝縮による微粒子製造方法である。
上塗り層に好適に使用できるシリカ微粒子は、上記のうち、気相法により合成された非晶質シリカ微粒子である。中でも平均一次粒子径が3〜50nmの超微粒子状シリカが好ましい。特に好ましい一次粒子径は5〜30nmのものである。またこれらが連結した二次粒子径としては、10〜200nmにするのが好ましいが、塗工層の中でどのような形態をとるかは定かではなく、二次粒子の大きさはあまり問題ではない。この気相法により合成された非晶質シリカ微粒子として市販されている製品としては、アエロジル(テグサ社)が該当する。
本発明で使用する気相法シリカは、上記の一次粒子径のシリカ微粒子を水に添加し、高速ホモジナイザー等で分散して平均二次粒子径が200nm以下、好ましくは100nm以下にまで分散したものである。
また、本発明で使用するアルミナ水和物は、一般式Al23・nH2Oにより表すことができる。アルミナ水和物は組成や結晶形態の違いにより、ジプサイト、バイアライト、ノルストランダイト、ベーマイト、ベーマイトゲル(擬ベーマイト)、ジアスポア、無定形非晶質等に分類される。中でも、上記の式中、nの値が1である場合はベーマイト構造のアルミナ水和物を表し、nが1を越え3未満である場合は擬ベーマイト構造のアルミナ水和物を表し、nが3以上では非晶質構造のアルミナ水和物を表す。特に、本発明に好ましいアルミナ水和物は、少なくともnが1を越え3未満の擬ベーマイト構造のアルミナ水和物である。
アルミナ水和物の形状は、平板状、繊維状、針状、球状、棒状等のいずれでもよく、インク吸収性の観点から好ましい形状は平板状である。平板状のアルミナ水和物は、平均アスペクト比3〜8であり、好ましくは平均アスペクト比が3〜6である。アスペクト比は、粒子の「厚さ」に対する「直径」の比で表される。ここで粒子の直径とは、アルミナ水和物を電子顕微鏡で観察したときの粒子の投影面積に等しい円の直径を表す。アスペクト比が上記の範囲より小さい場合は、上塗り層の細孔径分布が狭くなり、インク吸収性が低下する。一方アスペクト比が上記の範囲を超える場合は、粒子を揃えてアルミナ水和物を製造することが困難となる。
本発明で使用するアルミナ水和物は、アルミニウムイソプロポキシド等のアルミニウムアルコキシドの加水分解、アルミニウム塩のアルカリによる中和、アルミン酸塩の加水分解等公知の方法によって製造することができる。また、アルミナ水和物の粒子径、細孔径、細孔容積、比表面積等の物性は、析出温度、熟成温度、熟成時間、液のpH、液の濃度、共存化合物等の条件によって制御することができる。
アルコキシドからアルミナ水和物を得る方法としては、特開昭57−88074号公報、同62−56321号公報、特開平4−275917号公報、同6−64918号公報、同7−10535号公報、同7−267633号公報、米国特許第2,656,321号明細書等にアルミニウムアルコキシドを加水分解する方法として開示されている。これらのアルミニウムアルコキシドとしてはイソプロポキシド、2−ブトキシド等が挙げられる。
また、特開昭54−116398号公報、同55−23034号公報、同55−27824号公報、同56−120508号公報には、アルミニウムの無機塩またはその水和物を原料として使用する方法が開示されている。原料としては、例えば塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、アンモニウムミョウバン、アルミン酸ナトリウム、アルミン酸カリウム、水酸化アルミニウム等の無機塩及びその水和物を挙げることができる。
更に別の方法として、特開昭56−120508号公報に記載されているpHを酸性側乃至塩基性側に交互に変動させ、アルミナ水和物の結晶を成長させる方法、特公平4−33728号公報に記載されているアルミニウムの無機塩から得られるアルミナ水和物と、バイヤー法で得られるアルミナとを混合し、アルミナを再水和する方法もある。
上塗り層には、市販のアルミナ水和物を用いることができる。以下にその一例を挙げるが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、アルミナ水和物としては、カタロイドAS−1、カタロイドAS−2、カタロイドAS−3(以上、触媒化学工業製)アルミナゾル100、アルミナゾル200、アルミナゾル520(以上、日産化学工業製)、M−200(以上、水澤化学工業製)、アルミゾル10、アルミゾル20、アルミゾル132、アルミゾル132S、アルミゾルSH5、アルミゾルCSA55、アルミゾルSV102、アルミゾルSB52(以上、川研ファインケミカル製)などを挙げることができる。
また、酸化アルミニウム超微粒子としては、γ型結晶であるγ型酸化アルミニウム微粒子が上塗り層に好適に使用できる。γ型結晶は結晶学的に分類すると、さらにγグループとδグループに分けることができる。δグループの結晶形態を有する微粒子の方が好ましい。
γ型結晶微粒子のアルミナは、一次粒子の平均粒子径を10nm程度にまで小さくすることが可能であるが、一般に、一次粒子は二次凝集形態(以下、二次粒子と記す)を形成して、数千から数万nmにまで粒子径が大きくなる。このような大粒子径のγ型アルミナ結晶微粒子を使用すると、印字性、吸収性は良好であるものの、透明性に欠け、塗膜欠陥が発生しやすくなる。一次粒子の平均粒子径は、80nm未満であることが好ましい。80nm以上の一次粒子からなる二次粒子を使用すると、脆弱性が増し、塗膜欠陥が非常に発生しやすくなる。
γ型アルミナ結晶微粒子ゾルを得るには、通常、数千から数万nmの二次粒子となっているγ型アルミナ結晶をビーズミルや超音波ホモジナイザー、高圧式ホモジナイザー等の粉砕手段によって、平均粒子径が200nm以下、好ましくは100nm以下の超微粒子になるまで粉砕する。平均粒子径が200nmを越えると、インク吸収性は増加するが、被膜が脆く、透明性が低下する。粉砕手段としては、超音波ホモジナイザーや高圧式ホモジナイザーを用いる方法が好ましく、ビーズミル等の他の粉砕方法では、γ型アルミナ結晶が硬い結晶であるために、粉砕容器から異物が混入しやすく、透明性の低下や欠陥の発生の原因となる。γ型アルミナ結晶微粒子は、インク吸収性に優れ、乾燥性、インク定着性等の印字品質もよく、超微粒子化することで、高比率で上塗り層に含有させても透明性に優れたインクジェット記録媒体を得ることができる。
γ型アルミナ結晶微粒子は、市販品として、δグループに属する酸化アルミニウムC(日本アエロジル(株)製)、γグループに属するAKP−G015(住友化学(株)製)などとして入手できる。
上塗り層に使用される無機超微粒子の含有量は、上塗り層の全固形分に対して40〜90重量%の範囲にあることが好ましい。無機超微粒子の含有量が40重量%未満では、インク吸収性が不十分で画質的に満足できるものが得られないおそれがあり、90重量%超では、塗膜強度不足で粉落ちなどの不都合を招くおそれがある。
上塗り層には、無機超微粒子の接着剤として、インクと親和性を有する水溶性あるいは非水溶性の高分子化合物を含有させることができる。水溶性高分子化合物としては、例えば、メチルセルロース、メチルヒドロキシエチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、及びヒドロキシエチルセルロース等のセルロース系接着剤、澱粉及びその変性物、ゼラチン及びその変性物、カゼイン、プルラン、アラビアゴム、及びアルブミン等の天然高分子樹脂またはこれらの誘導体、ポリビニルアルコール及びその変性物、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−アクリル共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のラテックスやエマルジョン類、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン等のビニルポリマー、ポリエチレンイミン、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、及び無水マレイン酸またはその共重合体等を挙げられる。好ましくは、ポリビニルアルコールである。
上記非水溶性高分子化合物としては、エタノール、2−プロパノール等のアルコール類やこれらのアルコール類と水との混合溶媒に溶解する非水溶性接着剤が、酸化アルミニウムの分散が安定化されるので特に好ましい。このような非水溶性接着剤としては、ビニルピロリドン/酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール等のアセタール樹脂を挙げることができ、特にアセタール化度が5モル%以上20モル%以下の範囲のアセタール樹脂は、水を多少含有させることができ、無機超微粒子の分散を容易にすることができるため、特に好ましい。
これらの高分子化合物は、単独乃至複数を併用してもよく、その含有量は、無機超微粒子に対して、好ましくは2〜50重量%、さらに好ましくは5〜30重量%である。高分子化合物の含有量が対無機超微粒子で2重量%未満では塗膜強度不足を招き、逆に50重量%超ではインク吸収性が低下するおそれがある。
上塗り層には、無機超微粒子及び高分子化合物(接着剤)の他に、必要に応じ、顔料分散剤、増粘剤、流動性改良剤、粘度安定剤、pH調整剤、界面活性剤、消泡剤、抑泡剤、離型剤、発泡剤、浸透剤、着色染料、着色顔料、白色無機顔料、白色有機顔料、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、レベリング剤、防腐剤、防バイ剤、耐水化剤、湿潤紙力増強剤、乾燥紙力増強剤などを適宜含有させることができる。
以上のような下塗り層及び上塗り層からなるインク受容層は、別途調製した下塗り層用塗工液を上記原紙上に塗工し、乾燥させて下塗り層を形成した後、この下塗り層上に、別途調製した上塗り層用塗工液を塗工し、乾燥させて上塗り層を形成することにより、形成することができる。塗工液の塗工は、エアーナイフコーター、カーテンコーター、スライドリップコーター、ダイコーター、ブレードコーター、ゲートロールコーター、バーコーター、コンマコーター、ロッドコーター、ロールコーター、ビルブレードコーター、ショートドエルブレードコーター、サイズプレスなどの各種塗工装置を用いて常法通り行うことができる。また、必要に応じ、下塗り層あるいは上塗り層(インク受容層全体)に対して、カレンダー処理を行って平滑性、光沢感を高めることもできる。その際のカレンダー処理装置としては、グロスカレンダー、スーパーカレンダー、ソフトカレンダーなどが挙げられる。特に、熱を加えながら平滑化処理する熱カレンダー処理は好ましく用いられる。
尚、上記上塗り層用塗工液は、酸性域にあることが好ましく、好ましくはpH5以下、さらに好ましくはpH4以下である。上塗り層用塗工液がアルカリ性域にあると、インク吸収性が充分に得られないおそれがあり、また、酸性域であっても塗工液のpHが5を超えると、インク吸収性が低下傾向にあるためである。このように、上塗り層用塗工液のpHを下げることによって、記録媒体のインク吸収性が高まる理由は定かではないが、原紙上に形成された下塗り層の上に、pHが酸性域にある上塗り層用塗工液を塗工すると、下塗り層中のアルカリ土類金属塩により上塗り層用塗工液がpHショックを起こしてゲル化し、その結果、上塗り層用塗工液中の無機超微粒子の下塗り層へのしみ込みが防止されることに起因するものと推察される。
本発明のインクジェット記録媒体は、原紙の一方の面に下塗り層及び上塗り層を順次積層することによりインク受容層を形成し、さらに、必要に応じて該インク受容層に対してカレンダー処理を行った後、該原紙の他方の面にキャストコート層を形成することにより、製造されることが好ましい。キャストコート層を先に形成すると、その後のインク受容層形成工程などでキャストコート層が傷付くおそれがあるからである。
各塗工層の厚みは、インク吸収性と製本加工適性(耐折性)とのバランスの観点から、キャストコート層及びインク受容層のいずれについても、10〜30μmの範囲にあることが好ましい。各塗工層の厚みが10μm未満では、インク吸収性が不十分で記録品質に不満の残る結果となるおそれがある。一方、各塗工層の厚みが30μmを超えると、印刷後、インクジェット記録媒体を冊子状に製本したときに、その折り目部分で塗工層にひび割れや傷が入ってしまうおそれがあり、ひどい場合には、塗工層に大きな亀裂が入ったり、塗工層の一部が剥がれ落ちたりすることもある。
また、各塗工層の厚みが上記範囲にあっても、原紙が厚いためにインクジェット記録媒体全体として厚みがある場合は折り曲げにくくなり、これを無理に折り曲げれば、折り目部分の塗工層を中心に深刻なダメージを与えるおそれがある。そこで、折り曲げたときの塗工層へのダメージを最小限に抑える観点から、インクジェット記録媒体全体の厚みとしては170μm以下が好ましく、150μm以下がさらに好ましい。冊子状印刷物の表紙などに使用する場合は、インクジェット記録媒体全体に厚みは70〜150μmの範囲にあるのが好ましい。
本発明のインクジェット記録媒体は、インクジェット記録に好適に使用することができ、その際に用いるインクとしては特に限定されない。一般に、水性顔料インクは色再現性に難があり、高画質が追究される用途には不向きともされているが、本発明のインクジェット記録媒体によれば、水性顔料インクによっても高画質のインクジェット画像が得られる。インクジェット記録用の顔料インクは、通常、水、各種有機溶剤及び界面活性剤等からなる水性媒体中に顔料系色材が含有されて調製されている。顔料系色材としては、酸化チタン及び酸化鉄、コンタクト法、ファーネス法、サーマル法等の公知の方法によって製造されたカーボンブラックなどの無機系顔料;アゾ顔料(アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料等を含む)、多環式顔料(例えば、フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフラロン顔料等)、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレート等)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラックなどの有機系顔料などが挙げられる。顔料系色材の含有量は、通常、インク全重量に対して0.5〜30重量%程度である。カラーインクジェット記録を行う場合は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)及びシアン(C)の減法混色の3原色のインク、あるいはこれにブラック(K)その他の色のインクを加えた4色以上のインクが用いられる。
以下に、本発明の実施例及び本発明の効果を示す試験例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明は、斯かる実施例により何等制限されるものではない。
〈原紙の抄造〉
広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP、白色度90%)と針葉樹晒サルファイトパルプ(NBSP、白色度90%)の1:1混合物をカナディアン スタンダード フリーネスで300mlになるまで叩解し、パルプスラリーを調製した。これにサイズ剤としてアルキルケテンダイマーを対パルプ0.5重量%、紙力増強剤としてポリアクリルアミドを対パルプ1.0重量%、カチオン化澱粉を対パルプ2.0重量%、ポリアミドエピクロロヒドリン樹脂を対パルプ0.5重量%添加し、水で希釈して1%スラリーとした。その後、紙料スラリーを長網抄紙機で紙匹を形成し、ウェットパートで3段のウェットプレスを行った後、スムージングロールで処理し、引き続く乾燥パートの途中で2段の緊度プレスを行った。その後、乾燥の途中でカルボキシ変性ポリビニルアルコール5重量%のサイズプレス液を10g/m2サイズプレスし、最終的に得られる原紙水分が絶乾水分で8重量%になるように乾燥し、マシンカレンダー処理して、坪量72g/m2(厚み80μm)になるように原紙を抄造した。
〈下塗り層用塗工液の調製〉
アルカリ土類金属塩として軽質炭酸カルシウム(タマパール222H:奥多摩工業社製)100重量部、及び接着剤としてスチレンーブタジエン共重合体ラテックス(ラックスターDS226、大日本インキ社製)を固形分で20重量部混合し、固形分濃度45%の下塗り層用塗工液を調製した。
〈上塗り層用塗工液の調製〉
イオン交換水1200g、イソプロピルアルコール900gを3Lの反応器に仕込み、75℃に加熱した。アルミニウムイソプロポキシド408gを加え、75gで24時間、続き95℃で10時間加水分解を行った。加水分解後、酢酸24g加えて95℃で48時間攪拌した。次に、固形分濃度が15重量%になるように濃縮し、白色の超微粒子状アルミナ水和物の分散液を得た。このゾルを室温で乾燥させ、X線回折を測定したところ、擬ベーマイト構造を示した。また、透過型電子顕微鏡で平均粒径を測定したところ、30nmであり、アスペクト比6.0の平板状の超微粒子状アルミナ水和物であった。また、窒素吸着脱離方法によって平均細孔半径、細孔容積およびBET比表面積を測定したところ、それぞれ7.1nm、0.65ml/gそして200m2/gであった。
上記の15重量%の超微粒子状アルミナ水和物の分散液を用いて、アルミナ水和物分散液100重量部に対し、10重量%のポリビニルアルコール(PVA105:クラレ社製)水溶液を15重量部混合した。混合後、ホモミキサーに1万rpmで10分間かけ、均一分散化した。分散液は、固形分濃度11%になるようにエバポレータにより濃縮化し、上塗り層用塗工液とした。この塗工液のpHは4.5であった。
〈キャストコート層用塗工液の調製〉
顔料としてBET比表面積320m2/gの合成シリカ(ミズカシルP−87、水澤化学工業社製)100重量部、接着剤としてスチレン−ブタジエンラテックス(JSR−0617、日本合成ゴム株式会社製)10重量部、カゼイン(ラクチックカゼイン、ニュージーランド産)60重量部、及び離型剤としてステアリン酸アミド(ハイドリンF−792、中京油脂株式会社製)1.5重量部をそれぞれ配合し、固形分濃度30%の水性キャストコート層用塗工液を調製した。
〔実施例1〕
上記原紙の一方の面に、上記下塗り層用塗工液を、バーコーターを用いて、乾燥後の厚みが15μmとなるように塗工、乾燥して下塗り層を塗設した。次いで、この下塗り層の上に、上記上塗り層用塗工液を、バーコーターを用いて、乾燥後の厚みが14μmとなるように塗工、乾燥して上塗り層を塗設した。このようにして形成したインク受容層に対して、熊谷理機工業製の卓上カレンダー装置を用いて、線圧3kg/cm、処理速度30cm/min.、加熱温度50℃の処理条件でカレンダー処理を行った。次いで、原紙の他方の面に、上記キャストコート層用塗工液を、コンマコーターを用いて、乾燥後の厚みが30μmとなるように塗工した後、これを凝固液で凝固処理し、この塗工層が湿潤状態にあるうちに、100℃に加熱した鏡面仕上げの金属面に圧着して乾燥することにより、キャストコート層を塗設した。尚、凝固液としては、調製凝固剤として蟻酸カルシウム5.0重量%、及び耐水化剤としてカチオン性高分子(ダイフィックスYK−50、大和化学株式会社製)1.0重量%を含有させたものを用いた。以上のようにして作製したインクジェット記録媒体を実施例1のサンプルとした。
〔実施例2〜7〕
実施例1において、下記〔表1〕に示すように各塗工層の厚みを適宜変更した以外は実施例1と同様にしてインクジェット記録媒体を作製し、これらをそれぞれ実施例2〜7のサンプルとした。
〔実施例8〕
実施例1において、上記〈原紙の抄造〉と同様の方法により抄造した坪量88g/m2(厚み95μm)の原紙を用いた以外は実施例1と同様にしてインクジェット記録媒体を作製し、これを実施例8のサンプルとした。
〔実施例9〕
実施例1において、上記〈原紙の抄造〉と同様の方法により抄造した坪量115g/m2(厚み120μm)の原紙を用いた以外は実施例1と同様にしてインクジェット記録媒体を作製し、これを実施例9のサンプルとした。
〔比較例1〕
実施例1において、原紙の両面それぞれに、上塗り層用塗工液を、乾燥後の厚みがいずれの面も28μmとなるように塗工、乾燥して塗工層を塗設した以外は実施例1と同様にしてインクジェット記録媒体(両面インクジェットコート紙)を作製し、これを比較例1のサンプルとした。
〔比較例2〕
実施例1において、原紙の両面それぞれに、キャストコート層用塗工液を、乾燥後の厚みがいずれの面も30μmとなるように塗工、乾燥してキャスト塗工層を塗設した以外は実施例1と同様にしてインクジェット記録媒体(両面キャストコート紙)を作製し、これを比較例2のサンプルとした。
〔試験例〕
上記各サンプル(インクジェット記録媒体)について、白地光沢、外観類似性、発色性、耐折性をそれぞれ下記の方法により評価した。これらの評価結果を下記〔表1〕に示す。
(白紙光沢の評価方法)
TAPPI T480om−90に準じて、上記各サンプルの塗工層(実施例1〜7についてはインク受容層、比較例1及び2についてはそれぞれ任意の側の塗工層)の表面の75度光沢度を測定し、この測定値が50%以上のものをA(アート紙、コート紙と同等以上の光沢度)、40%以上50%未満のものをB(実用限界)、40%未満のものをC(実用不可)とした。尚、上記ISO規格用紙タイプ1(アート紙)又はタイプ3(A2グロス白コート紙)の75度光沢度の測定値は60±10%程度である。
(外観類似性の評価方法)
グレタグマクベス社製のX-Rite938を用い、視野角2度、光源D50、Black Backingの条件で、上記各サンプルの塗工層(実施例1〜7についてはインク受容層、比較例1及び2についてはそれぞれ任意の側の塗工層)の表面のCIELAB値(L*/a*/b*)を測定し、これらの測定値と、「Japan Color色再現印刷2001」に用いるISO規格用紙タイプ1(アート紙)又はタイプ3(コート紙)のCIELAB値(91/0/−2)とから、JIS Z8730で規定される色差(ΔE*)を計算し、ΔE*が4.0以下をA(アート紙、コート紙と外観が類似している)、ΔE*が4.0超7.0未満をB(外観類似限界)、ΔE*が7.0以上をC(アート紙、コート紙と外観が類似していない)とした。
(発色性の評価方法)
セイコーエプソン製のインクジェットプリンタPM−4000PXに上記各サンプルをセットし、各サンプルの両面それぞれに対してシアン(C)、マゼンタ(M)、Y(イエロー)、K(ブラック)の水性顔料インク(PM−4000PXに標準搭載されているインク)をデューティー100%で吐出させて各色のカラーパッチを印刷した。これらのカラーパッチについて、グレタグマクベス社製のスペクトロリーノSPM−50を用い、視野角2度、光源D50、フィルター無しの条件で反射光学濃度(OD)を測定し、下記評価基準により評価した。
評価基準
A:CMYKの4色のODの合計が7.5を超える。画像濃度が高く発色性良好。
B:4色のODの合計が7.5〜6.0。実用上問題なし。
C:4色のODの合計が6.0未満(平均でOD1.5未満)。実用不可。
(耐折性の評価方法)
上記PM−4000PXに上記各サンプルをセットし、各サンプルの両面それぞれに対してC、M、Y、Kの水性顔料インク(PM−4000PXに標準搭載されているインク)をデューティー100%で吐出させて各色のカラーパッチを印刷した。このようにして、各サンプルにつき10枚の印刷物を作製した後、ホリゾン株式会社製の中綴じ製本システム(SPF−20/FC−20)を使って、折り曲げたときにキャストコート層が表になるように中綴じ製本を行い、10枚の印刷物からなる冊子状の印刷物を各サンプル毎に作製した。また、ブランクとして、上記各サンプルとほぼ同じ斤量の市販の印刷用紙(パールコート(A2グロス)、三菱製紙製、128g/m2)10枚を上記と同様に中綴じ製本したものを用意した。このようにして得られた各冊子状印刷物の背表紙における折り目部分を目視で観察し、塗工層にひび割れや傷がほとんど見られず、ブランクの折り目部分と比較しても遜色ないものをA(塗工層の耐折性良好。製本加工適性あり)、ブランクと比較すれば塗工層にひび割れや傷が若干目立つものの、あまり気にならない程度のものをB(実用上問題なし)、ブランクと比較して塗工層にひび割れや傷が目立つものをC(実用限界)、塗工層に原紙が露出するような大きなひび割れや傷が見られるものをD(実用不可)とした。
Figure 2005169663

Claims (5)

  1. 原紙の一方の面に、キャスト法により光沢仕上げされたキャストコート層を有し、該原紙の他方の面に、アルカリ土類金属塩を含有する下塗り層と無機超微粒子を含有する上塗り層とを順次積層してなるインク受容層を有することを特徴とするインクジェット記録媒体。
  2. 上記キャスト法が直接法、再湿法又は凝固法のいずれかであることを特徴とする請求項1記載のインクジェット記録媒体。
  3. 上記アルカリ土類金属塩として炭酸カルシウム及び/又は炭酸マグネシウムを用い、且つ上記無機超微粒子として気相法シリカ及び/又はアルミナ化合物を用いることを特徴とする請求項1又は2記載のインクジェット記録媒体。
  4. 上記キャストコート層及び上記インク受容層の厚みが、それぞれ10〜30μmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のインクジェット記録媒体。
  5. 上記インクジェット記録媒体全体の厚みが170μm以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のインクジェット記録媒体。

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012006264A (ja) * 2010-06-24 2012-01-12 Oji Paper Co Ltd 顔料インク用インクジェット記録シートの製造方法
JP2015013373A (ja) * 2013-07-03 2015-01-22 北越紀州製紙株式会社 インクジェット記録用紙
JP2015030955A (ja) * 2013-08-07 2015-02-16 王子ホールディングス株式会社 容器用原紙及びその容器用原紙の製造方法

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