JP2005288275A - 模様付け塗装具 - Google Patents

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俊朗 山口
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敏一 大山
Mitsuhiro Abe
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NIPPON HIGH PILE MANUFACTURE L
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Abstract

【課題】 美麗な模様を被塗装面に施すことができ、耐久性、塗工作業性に優れる模様付け塗装具及びその製法の提供。
【解決手段】 地組織の片面の少なくとも一部に湿熱接着性繊維を50質量%以上含む繊維よりなる立毛繊維層を有し、該立毛繊維層で繊維同士が外方に向かって開放した多数の不揃いなセル状空孔を形成すると共に立毛繊維層の表面に多数の不揃いな凹凸模様を形成した状態で互いに網状に接着している海綿状の立毛繊維層を有する立毛布帛を塗工表面とする模様付け塗装具、及びその製法。
【選択図】 図1

Description

本発明は、被塗装面に模様などの意匠を施すための模様付け塗装具、およびその製造方法に関する。より詳細には、本発明は、天然の海綿状の多孔質構造を有する立毛繊維層を有する立毛布帛を塗工表面とする、美麗な模様を被塗装面に施すことができ、しかも耐久性および塗工作業性に優れる模様付け塗装具、およびその製造方法に関する。
塗装に当っては、被塗装面に塗料を均一に塗って仕上げる塗工方法以外に、適当な凹凸模様やその他の意匠を施すことによって審美性を高める塗工方法が従来から広く採用されている。
被塗装面に凹凸模様、その他の意匠を施すための塗装具としては、例えば、表面に凹凸模様を刻んだデザインローラー、有機重合体スポンジを適当に切断または集合接着した成形体よりなる塗装具、表面に凹凸模様を刻設した有機重合体スポンジよりなるローラー型塗装具、天然の海綿、表面に紐を巻き付けて凹凸模様を形成したローラー塗装具などが従来から知られている。
具体的には、模様付け用の塗装具および該塗装具を用いる塗装方法としては、(1)グラインダーなどによる研磨により表面に凹凸を刻設した弾性重合体スポンジ製の模様付け塗装ローラー(特許文献1参照)、(2)廃スポンジチップを外面に凹凸模様が形成されるようにして円柱状に接着成形し、それを芯パイプに接着した模様付けローラー(特許文献2参照)、(3)熱可塑性重合体製の多数本のフィラメントをコイル状に捲回してその下面を横倒し向きに重合密集層状に形成すると共にループの交差部分を溶着して上面を不規則状態に起立開放させたマット状の塗料含浸体を芯管の外周面に捲着接合した立体的な曲線模様を発現させるための塗装用ローラーブラシ(特許文献3参照)、(4)孔径5〜20mmの孔を多数形成した模様塗膜形成用の多孔性ローラーブラシを使用して、チクソトロピー性を有する粘度1〜50Pa・sの塗料を被塗装面に塗装して模様塗膜を形成する方法(特許文献4参照)などが知られている。
上記した従来技術のうち、特許文献1に記載されているような凹凸を刻設した弾性重合体スポンジ製の模様付け塗装ローラーは、溶剤系塗料の塗工に用いると、ローラーを形成しているポリウレタンスポンジなどの弾性重合体スポンジが溶剤によって膨潤・軟化して、ローラーの強度低下、刻設した凹凸模様の変形などが生じ易く、それに伴って目的とする美麗な模様を被塗装面に形成できなくなり、耐久性に欠ける。しかも、スポンジローラー表面の凹凸はグラインダーによる研磨によって形成されているために、スポンジローラーの表面に破壊寸前の部分が多く発生し、塗装作業中や洗浄中にその部分が脱落したり、被塗装面に付着するなどの問題が発生し易い。
また、特許文献2に記載されている模様付けローラーは、塗装作業や洗浄中などに、廃スポンジチップ片を接着成形して製造したローラーから、廃スポンジチップ片が剥がれたり、分離するなどのトラブルが生じ易く、耐久性に乏しい。
特許文献3に記載されている塗装用ローラーブラシは、芯管の外周面に捲着接合したコイル状の熱可塑性重合体フィラメントの基部が芯管表面から剥がれ易く、耐久性に劣っている。しかも、コイル状の熱可塑性重合体フィラメントから形成したマット状物を芯管に巻き付ける際に巻き目が生じ易く、塗装時に被塗装面に曲線模様以外に巻き目まで描かれてしまうという欠点がある。
さらに、孔径5〜20mmの多孔性ローラーブラシを用いて塗装する特許文献4に記載されている方法による場合は、使用できる塗料の種類がチクソトロピーを有する粘度1〜50Pa・sのものに限られており、種々の塗料に対して適用できないことから、その活用範囲が制限される。
一方、天然の海綿を塗装具として用いると、被塗装面にきれいな凹凸模様などを形成できることが知られており、かかる点から、海綿は模様塗装だけでなく、絵画製作などにおいても使用されてきた。しかしながら、海綿はその採取量が近年激減していて高価であるため、海綿と類似した多孔質構造や物性を有する代替物が求められている。
米国特許第6,289,548号明細書 特開2003−103213号公報 実開平7−9461号公報 特開2002−136916号公報
本発明の目的は、天然の海綿のような多孔質構造を有していて被塗装面に美麗な模様を形成することのできる模様付け塗装具を提供することである。
さらに、本発明の目的は、溶剤型塗料を用いて塗装した際にも、塗装具の塗工表面が膨潤、軟化、変形しにくく、耐久性に優れ、さらに塗装作業中や洗浄作業中などに模様を発現させる塗工表面が脱落、分離するというようなトラブルを生じない模様付け塗装具を提供することである。
また、本発明の目的は、粘度や成分などの異なる種々の塗料に対して共通して使用することのできる、汎用性のある模様付け塗装具を提供することである。
そして、本発明の目的は、上記した優れた特性を兼ね備える模様付け塗装具の製造方法を提供することである。
上記の目的を達成すべく本発明者らは検討を重ねてきた。そして、地組織の片面に湿熱接着性繊維を50質量%以上の割合で含む繊維からなる立毛繊維層を有する立毛布帛を製造し、この立毛布帛を水中に浸漬し、水中で気泡を発生させ、発生した気泡を立毛布帛の立毛繊維層中を通過させながら立毛繊維層を形成している湿熱接着性繊維が接着性を示す温度に加熱して立毛繊維層を形成している繊維同士を接着させたところ、立毛繊維層中の気泡の通過部分に不揃いの多数のセル状空孔が形成されると共にそのセル状空孔を包囲するようにして立毛繊維層を形成する繊維同士が網状壁の形態を採りながら接着して、立毛布帛の立毛繊維層が海綿状の多孔質構造を有する立毛繊維層に変わることを見出した。
それにより得られた熱処理後の立毛布帛では、立毛繊維層内に形成された前記多数の不揃いなセル状空孔は立毛繊維層の表面で外方に向かって開放しており、それによって立毛繊維層の表面にはクレーター状の多数の不揃いな凹部(凹凸)が形成され、それに伴って立毛繊維層の表面に凹凸模様が付与されていた。
そこで、上記の知見を塗装具に応用して、海綿状の立毛繊維層を有する前記立毛布帛を塗工表面とするローラー型塗装具、ミット型塗装具、コテ刷毛型塗装具、パッド型塗装具などの塗装具を作製して、これらの塗装具の性能を調べたところ、いずれの塗装具も、塗工表面材として用いた立毛布帛の前記した海綿状の立毛繊維層の表面に形成された不揃いの凹凸模様によって、被塗装面に美麗な模様を形成することが判明した。しかも、塗装具の塗工表面をなす海綿状の立毛繊維層を有する前記立毛布帛は、溶剤型塗料を用いて塗装を行った際にも、膨潤、軟化、変形などが生じにくく耐久性に優れていること、塗装作業中や洗浄作業中などに塗工表面からの繊維の脱落がなく、脱落した繊維が塗装表面に付着するトラブルや表面材の品質低下が生じにくいこと、更には粘度や成分などの異なる種々の塗料に対して共通して使用できることが判明した。
また、湿熱接着性繊維を50質量%以上の割合で含む繊維から形成した立毛繊維層を有する部分と共に、立毛繊維層を持たない部分および/または熱接着性を示さない繊維よりなる立毛繊維層を有する部分を有する立毛布帛を使用して、上記と同様に水中で加熱処理したところ、地組織上に外側に向かって開放した不揃いなセル状空孔を有し且つ表面に不揃いな凹凸模様が形成された海綿状の立毛繊維層からなる部分と共に、立毛繊維層を持たない部分および/または繊維同士が接着していない非海綿状の立毛繊維層からなる部分を有する立毛布帛を製造することができた。そして、この立毛布帛を塗工表面とするローラー型塗装具、コテ型塗装具、ミット型塗装具、パッド型塗装具などを作製し、これらの塗装具を使用して塗装を行ったところ、美麗な模様を有する塗装部分と模様のない均一な塗装部分とを一つの被塗装面に同時に形成することができ、それらの種々の知見に基づいて本発明を完成した。
すなわち、本発明は、
(1) 立毛布帛よりなる塗工表面を有する模様付け塗装具であって、塗工表面が、地組織の片面に湿熱接着性繊維を50質量%以上の割合で含む繊維から形成した立毛繊維層を有し、前記立毛繊維層を形成する繊維同士が立毛繊維層表面から外方に向かって開放した多数の不揃いなセル状空孔を立毛繊維層内に形成すると共にそれによって該立毛繊維層の表面に多数の不揃いな凹凸模様を形成した状態で前記湿熱接着性繊維の接着作用により立毛繊維層部分で互いに網状に接着している海綿状の立毛繊維層を有する立毛布帛から形成されていることを特徴とする模様付け塗装具である。
そして、本発明は、
(2) 立毛布帛よりなる塗工表面を有する模様付け塗装具であって、塗工表面が、地組織の片面に、湿熱接着性繊維を50質量%以上の割合で含む繊維から形成した立毛繊維層からなり且つ該立毛繊維層を構成する繊維同士が立毛繊維層の表面から外方に向かって開放した多数の不揃いなセル状空孔を立毛繊維層内に形成すると共にそれによって該立毛繊維層の表面に多数の不揃いな凹凸模様を形成した状態で立毛繊維層において前記湿熱接着性繊維の接着作用により互いに網状に接着している海綿状の立毛繊維層からなる部分と共に、立毛繊維層のない部分および/または熱接着性を示さない繊維から形成された非海綿状の立毛繊維層からなる部分を有する立毛布帛から形成されていることを特徴とする模様付け塗装具である。
さらに、本発明は、
(3) 立毛布帛における立毛繊維層を形成する前記湿熱接着性繊維が熱捲縮性の湿熱接着性繊維であり、該立毛繊維層を形成する繊維同士が、捲縮を発現した状態で立毛繊維層表面から外方に向かって開放した多数の不揃いなセル状空孔を立毛繊維層内に形成すると共に該立毛繊維層の表面に多数の不揃いな凹凸模様を形成した形態で立毛繊維層において湿熱接着性繊維の接着作用により互いに網状に接着している前記(1)または(2)の模様付け塗装具;および、
(4) 立毛布帛の前記立毛繊維層表面における多数の不揃いな凹凸模様の凹部の長径が1〜30mmである前記(1)〜(3)のいずれかの模様付け塗装具;
である。
そして、本発明は、
(5) 立毛布帛の立毛繊維層を形成する前記湿熱接着性繊維が、繊維表面の少なくとも一部がエチレン−ビニルアルコール系共重合体成分からなる、エチレン−ビニルアルコール系共重合体成分と他の重合体とからなる複合紡糸繊維である前記(1)〜(4)のいずれかの模様付け塗装具;
(6) 塗工表面を形成する海綿状の立毛繊維層を有する立毛布帛が、ハイパイル地、ダブルラッセル地またはベロア地から形成されたものである前記(1)〜(5)のいずれかの模様付け塗装具;および、
(7) 模様付け塗装具が、前記立毛布帛を塗工表面とするローラー型塗装具、ミット型塗装具、コテ刷毛型塗装具またはパッド型塗装具である前記(1)〜(6)のいずれかの模様付け塗布具;
である。
さらに、本発明は、
(8) 地組織の片面の少なくとも一部に湿熱接着性繊維を50質量%以上の割合で含む繊維から形成した立毛繊維層を有する立毛布帛を使用し、前記立毛布帛を立毛繊維層が外側に向くようにしてミット状体またはパッド状体に形成するか、或いは前記立毛布帛を立毛繊維層が外側に向くようにして塗装具の塗工部をなす部材の表面に取り付けた後、前記ミット状体またはパッド状体、或いは立毛布帛を取り付けた塗工部をなす部材を水中に浸漬し、水中で気泡を発生させ、該発生した気泡を立毛布帛の立毛繊維層内を通過させながら立毛繊維層を構成する湿熱接着性繊維が熱接着性を示す温度に加熱して立毛繊維層を構成する繊維同士を網状に接着させて、地組織の片面の少なくとも一部に立毛繊維層表面から外方に向かって開放した多数の不揃いなセル状空孔を立毛繊維層内に有すると共に立毛繊維層の表面に多数の不揃いな凹凸模様を有する海綿状の立毛繊維層を有する立毛布帛からなる塗工表面を有する模様付け塗装具を製造する方法である。
さらに、本発明は、
(9) 前記ミット状体または立毛布帛を取り付けた塗工部をなす部材を水中に浸漬した状態で、高周電磁波により加熱を行う前記(8)の方法である。
本発明の模様付け塗装具では塗装具の塗工表面をなす立毛布帛が表面に凹凸模様を有する海綿状の立毛繊維層を地組織の少なくとも一部に有しているため、被塗装面に美麗な模様を形成することができる。
本発明の模様付け塗装具は、有機溶剤に対する耐性が高く、溶剤型塗料を用いて塗装した際にも、塗装具の塗工表面が膨潤、軟化、変形しにくく、耐久性に優れ、しかも塗装作業中や洗浄作業中などに模様を発現させるための塗工表面から繊維が脱落、分離して被塗装面を汚すなどのトラブルを生じない。
また、本発明の模様付け塗装具は、粘度や成分などの異なる種々の塗料に対して共通して使用することができる。
本発明の製造方法による場合は、前記した優れた特性を有する模様付け塗装具を円滑に製造することができる。
以下に本発明について詳細に説明する。
本発明の模様付け塗装具では、被塗装面に塗料を塗るための塗工表面が、
(A) 地組織の片面に、湿熱接着性繊維を50質量%以上の割合で含む繊維から形成した立毛繊維層を有する立毛布帛であって且つ前記立毛繊維層を形成する繊維同士が、該立毛繊維層表面から外方に向かって開放した多数の不揃いなセル状空孔を立毛繊維層内に形成すると共にそれによって該立毛繊維層の表面に多数の不揃いな凹凸模様を形成した状態で前記湿熱接着性繊維の接着作用により立毛繊維層部分で互いに網状に接着している海綿に類似した多孔質構造を有する立毛繊維層(以下「海綿状立毛繊維層」という)を有する立毛布帛[以下これを「海綿状立毛布帛(A)」ということがある]から形成されているか;または、
(B) 地組織の片面に、湿熱接着性繊維を50質量%以上の割合で含む繊維から形成した立毛繊維層であって且つ該立毛繊維層を構成する繊維同士が立毛繊維層の表面から外方に向かって開放した多数の不揃いなセル状空孔を立毛繊維層内に形成すると共にそれによって該立毛繊維層の表面に多数の不揃いな凹凸模様を形成した状態で立毛繊維層において前記湿熱接着性繊維の接着作用により互いに網状に接着している海綿状立毛繊維層からなる部分と共に、立毛繊維層のない部分(以下「非立毛部分」ということがある)および/または熱接着性を示さない繊維から形成された非海綿状の立毛繊維層(以下「非海綿状立毛繊維層」という)からなる部分を有する立毛布帛[以下これを「海綿状立毛布帛(B)」ということがある)から形成されている。
塗工表面を形成する海綿状立毛布帛(A)および海綿状立毛布帛(B)(以下これらを総称して単に「海綿状立毛布帛」ということがある)における海綿状立毛繊維層は、海綿状立毛繊維層を形成する繊維の全質量に基づいて湿熱接着性繊維を50質量%以上の割合で含む繊維を用いて形成されていることが必要である。海綿状立毛繊維層を形成する繊維における湿熱接着性繊維の含有量が50質量%未満であると、海綿状立毛繊維層において湿熱接着性繊維同士間の接着点の数および湿熱接着性繊維と他の繊維との間の接着点の数が少なくなって強固な網状接着を形成しにくくなり、それに伴って海綿状立毛繊維層の硬さが不足し、海綿状立毛繊維層の表面部分および内部に存在する多数のセル状空孔が潰れ易くなり、塗装の際に模様の発現機能が低下する。海綿状立毛繊維層における湿熱接着性繊維同士間の接着点および湿熱接着性繊維と他の繊維との間の接着点の数が多くなって、海綿状立毛繊維層の硬さが高くなり、海綿状立毛繊維層内に有する多数の不揃いなセル状空孔および海綿状立毛繊維層表面の凹凸模様を潰れなどを防止しながら良好に維持できる点から、海綿状立毛繊維層を形成する繊維中での湿熱接着性繊維の含有割合は70質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましい。
立毛布帛における海綿状立毛繊維層を形成する湿熱接着性繊維としては、湿熱下に軟化または部分溶融して接着性を示す重合体のみからなる繊維を用いることができるが、湿熱下に低温で軟化または溶融して接着性を示す低融点重合体と高融点重合体からなり繊維表面の少なくとも一部に低融点重合体が露出している複合紡糸繊維が、繊維強度、腰の強さ、繊維製造の容易性、捲縮付与性などの点から好ましく用いられる。前記複合紡糸繊維を形成する低融点重合体としては、90〜100℃、特に95〜100℃の熱水により軟化または溶融して湿熱接着性繊維同士の熱接着(融着)および湿熱接着性繊維と他の繊維との熱接着(融着)をもたらすものが好ましく採用される。
前記複合紡糸繊維の複合形態としては、高融点重合体を芯成分とし、湿熱接着性を有する低融点重合体を鞘成分とする芯鞘型複合紡糸繊維、高融点重合体を島成分とし、湿熱接着性を有する低融点重合体を海成分とする海島型複合紡糸繊維、高融点重合体と湿熱接着性を有する低融点重合体とが貼合わせ構造をなすサイドバイサイド型複合紡糸繊維などを挙げることができる。そのうちでも、芯鞘型または海島型複合紡糸繊維であることが好ましい。
複合紡糸繊維における、湿熱接着性を有する低融点重合体:高融点重合体の複合割合は、両重合体の種類などに応じて調整し得るが、複合紡糸繊維の熱接着性、複合紡糸繊維の製造の容易性、複合紡糸繊維の腰、潜在捲縮付与性などの点から、一般的には、質量比で30:70〜60:40、特に40:60〜50:50であることが好ましい。
海綿状立毛繊維層を形成する湿熱接着性繊維として好ましく用いられる前記した複合紡糸繊維を構成する湿熱接着性を有する低融点重合体としては、例えば、エチレン−ビニルアルコール系共重合体、脂肪族ポリエステル系重合体、湿熱接着性のポリアミド系重合体などを挙げることができ、そのうちでもエチレン−ビニルアルコール系共重合体が耐薬品性や耐有機溶剤性に優れ、親水性が高いことから好ましい。エチレン−ビニルアルコール系共重合体としては、エチレンの共重合割合が10〜60モル%、特に30〜50モル%であって、ビニルアルコール単位のケン化度が90モル%以上、特に95モル%以上のものが、高い湿熱接着性を有する一方で、熱水に溶解せず、しかも耐溶剤性を有する点で好ましい。
また、前記した複合紡糸繊維を構成する高融点重合体としては、例えば、ポリエステル、ポリアミド、ポリプロピレンなどを挙げることができ、そのうちでもポリエステルが湿熱接着性繊維に捲縮性を良好に付与できることから好ましい。ポリエステルとしてポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、脂肪族系ポリエステルなどを挙げることができ、そのうちでもポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートが耐熱性の点から好ましい。
海綿状立毛繊維層を形成する繊維は、湿熱接着性繊維50質量%以上と共に、湿熱接着性繊維以外の他の繊維を0〜50質量%の割合で含有することができる。他の繊維の種類は特に制限されず、例えば、ポリエステル、非湿熱接着性のポリアミド、ポリプロピレン、アクリル系重合体、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニリデンなどの1種または2種以上からなる非湿熱接着性の合成繊維、ビスコース、レーヨンなどの半合成繊維、綿、羊毛、絹などを挙げることができ、それらの1種または2種以上を用いることができる。海綿状立毛繊維層を上記した湿熱接着性繊維と共に他の繊維を用いて形成する場合は、上記した繊維のうちで、ポリエステル繊維が捲縮の堅牢性、塗料溶剤に対する耐膨潤性、耐摩耗性などの点から好ましく用いられる。海綿状立毛繊維層を湿熱接着性繊維およびその他の繊維を併用して形成する場合は、両者が十分に混合分散していることが好ましい。
海綿状立毛繊維層を形成する湿熱接着性繊維、または湿熱接着性繊維と他の繊維は、繊維間の接着点の数が多くなってより強固な網状接着が形成される点から、湿熱接着性繊維が熱接着性を示す加熱温度において捲縮を発現する捲縮性繊維であることが好ましい。その際の、湿熱接着性繊維および他の繊維の捲縮率は、90℃の熱水中に10分間浸漬した後、熱水から取り出して乾燥して、無緊張状態における捲縮率をJIS L1015に準じた方法で測定したときに、5〜30%であることが好ましい。
海綿状立毛繊維層を形成する繊維(立毛;パイル)(海綿状にする前のパイル)は、海綿状立毛繊維層の表面および内部におけるセル状空孔(海綿状構造)の形成の容易性、海綿状立毛繊維層表面での凹凸模様の形成性、塗工性、塗膜の仕上がり、洗浄性などの点から、カットパイル状であることが好ましい。また、その立毛長(パイル長)は、5〜30mm、特に10〜20mmであることが好ましい。
海綿状立毛繊維層を形成する湿熱接着性繊維および他の繊維の単繊維繊度(繊維同士が網状接着して海綿状になる前の単繊維繊度)は、海綿状立毛繊維層におけるセル状空孔(海綿構造)の形成性、形成されたセル状空孔の形状維持性、海綿状立毛繊維層の表面に形成されている凹凸模様の潰れ防止性や変形防止性、海綿状立毛繊維層における塗料の含み易さ、塗膜の仕上がり、洗浄性などの点から、2〜15dtexであることが好ましく、3〜9dtexであることがより好ましい。
また、海綿状立毛繊維層における立毛密度(繊維同士が網状接着して海綿状になる前の立毛密度)は、立毛繊維層の内部および表面部分でのセル状空孔(海綿構造)の形成の容易性、形成されたセル状空孔の形状維持性、海綿状立毛繊維層の表面に形成されている凹凸模様の潰れ防止性や変形防止性、塗料の吸収性能、流出性能(吐き出し性能)、凹凸模様の仕上がり、洗浄性などの点から、1cm2当り約1,000〜30,000本、特に約3,000〜20,000本であることが好ましい。
海綿状立毛繊維層の厚さ(高さ)(地組織の表面と海綿状立毛繊維層表面における凹凸模様の凸部の最上面との距離)は、5〜25mm、特に10〜20mmであることが、海綿状立毛繊維層の内部および表面部分でのセル状空孔(海綿構造)の形成性および形状維持性、被塗装面における凹凸模様の発現性などの点から好ましい。
模様付け塗装具の塗工表面を形成する海綿状立毛布帛(A)および海綿状立毛布帛(B)の海綿状立毛繊維層の表面部分に形成された凹凸模様の凹凸のサイズ(凹部の寸法、隣接する凹部間の距離、凹部の深さ、凸部の高さなど)は、海綿状立毛繊維層を形成する湿熱接着性繊維の太さ、立毛密度、立毛布帛を製造する際の製造条件、立毛繊維層を構成する繊維の配合比率などにより調整し得るが、海綿状立毛繊維層の表面における多数の不揃いな凹凸模様は、その凹部(海綿状立毛繊維層の表面部分における穴)の長径が1〜30mmであることが、被塗装面に美麗な模様を形成することができ、塗装作業や洗浄時などに海綿状立毛繊維層の表面の凹凸模様が潰れにくく、しかも洗浄時における塗料などの液切れ性が良好である点から好ましい。そのうちでも、塗工表面材をなす立毛布帛の海綿状立毛繊維層の表面における凹凸模様の凹部の長径は、ローラー型塗装具では1〜30mmであることが好ましく、1〜25mmであることがより好ましく、3〜20mmであることが更に好ましい。また、ミット型塗装具、コテ刷毛型塗装具またはパッド型塗装具では1〜30mmであることが好ましく、1〜25mmであることがより好ましく、2〜18mmであることが更に好ましい。
なお、本明細書でいう「凹凸模様の凹部の長径」とは、海綿状立毛繊維層の表面に存在する凹凸模様の凹部(穴)での最長の径をいう。
また、海綿状立毛繊維層表面に有する凹凸模様の凹部(穴)の短径は、該凹部の長径以下の寸法であればいずれでもよいが、被塗装面に美麗な模様を形成することができ、塗装作業や洗浄時などに海綿状立毛繊維層表面の凹凸模様が潰れにくく、しかも洗浄時における塗料などの液切れ性が良好である点から、一般的には凹部の長径の10分の1から凹部の長径と同じ寸法の範囲内であることが好ましく、凹部の長径の5分の1から凹部の長径と同じ寸法の範囲内であることがより好ましい。
海綿状立毛繊維層表面における凹凸模様の数、すなわち凹部(穴)の数は、被塗装面に美麗な模様を形成できることから、海綿状立毛繊維層1cm2当り2〜30個であることが好ましく、5〜25個であることがより好ましく、8〜20個であることが更に好ましい。
また、海綿状立毛繊維層表面での凹部(穴)の占める面積(凹部の合計面積)は、海綿状立毛繊維層の表面積の20〜80%、特に30〜70%であることが、被塗装面に美麗な模様を形成できることから好ましい。
海綿状立毛繊維層表面における凹凸模様の凹部(穴)の深さは、被塗装面に美麗な模様を形成でき、しか使用時に圧縮変形することから、海綿状立毛繊維層の厚さの10分の1以上であることが好ましく、5分の1以上であることがより好ましく、3分の1以上であることが更に好ましい。海綿状立毛繊維層の表面に形成された凹凸模様の凹部(穴)の深さは、海綿状立毛繊維層の厚さと同じである、すなわち該凹部(穴)が海綿状立毛布帛の地組織の表面から海綿状立毛繊維層の表面まで達していても何ら構わない。
海綿状立毛繊維層の表面における凹凸模様の形状[凹部(穴)の形状]は、不揃な不定形の形状をなしており、例えば、略円形、略楕円形、略紡錘形、略三角形、略菱形、略方形、偏平形、略三日月形などの種々の形状の2つ又はそれ以上が不揃な状態で混在しており、それによって被塗装面に美麗で深みのある塗装模様を形成することができる。
また、海綿状立毛繊維層の内側部分に存在する不揃いなセル状空孔の形状、寸法、セル状空孔の占める容積割合などは特に制限されず、海綿状立毛繊維層の表面で外方に開放していて、海綿状立毛繊維層の表面に上記した不揃いな凹凸模様を形成することができ、しかも塗装時に塗装具にかかる圧力によって海綿状立毛繊維層の大きな潰れが生じないようなセル状空孔の形状、寸法、容積割合などであればよい。
海綿状立毛布帛(A)は、地組織の片面の全表面上に、上記した海綿状立毛繊維層を有している。そのため、海綿状立毛布帛(A)を塗工表面材とする模様付け塗装具を使用して塗装を行うことにより、海綿状立毛布帛(A)における海綿状立毛繊維層の表面の凹凸模様に基づく塗装模様が被塗装面に形成される。
一方、海綿状立毛布帛(B)は、地組織の片面の表面上に、上記した海綿状立毛繊維層からなる部分と共に、非立毛部分および/または非海綿状立毛繊維層からなる部分を有する。そのため、海綿状立毛布帛(B)を塗工表面材とする模様付け塗装具を使用して塗装を行った場合は、海綿状立毛繊維層の表面の凹凸模様に基づく塗装模様と共に、塗料の塗られていない部分および/または模様のない均一塗装部が被塗装面に同時に形成される。
海綿状立毛布帛(B)では、地組織の片面上での海綿状立毛繊維層からなる部分と、非立毛部分および/または非海綿状立毛繊維層からなる部分の存在形態(混在状態)は特に制限されない。海綿状立毛繊維層からなる部分と、非立毛部分および/または非海綿状立毛繊維層からなる部分とは、海綿状立毛布帛(B)の片面上に、例えば、互いに直線状で並列配置してもよいし、互いに曲線状で並列配置してもよいし、市松模様やその他の規則的な入り組み形態で配置してもよいし、ランダムな形態で配置してもよい。塗工表面をなす海綿状立毛布帛(B)における海綿状立毛繊維層からなる部分と非立毛部分および/または非海綿状立毛繊維層からなる部分の配置形態に対応した模様が被塗装面に形成される。
海綿状立毛布帛(B)における前記した非海綿状立毛繊維層からなる部分は、湿熱接着性を示さない繊維、例えば、ポリエステル、非湿熱接着性のポリアミド、ポリプロピレン、アクリル系重合体、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニリデンなどの1種または2種以上からなる非湿熱接着性の合成繊維、ビスコース、レーヨンなどの半合成繊維、綿、羊毛、絹などから形成することができる。
海綿状立毛布帛(A)および海綿状立毛布帛(B)における地組織は、海綿状立毛繊維層、または海綿状立毛繊維層と非海綿状立毛繊維層を固定保持する役割を果たす。それと共に、ローラー型塗装具、刷毛コテ型塗装具などでは、地組織は、海綿状立毛布帛(A)または海綿状立毛布帛(B)からなる塗工表面材を塗装具本体に取り付ける(固定する)ための部分として機能する。また、ミット型塗装具およびパッド型塗装具では、海綿状立毛布帛(A)または海綿状立毛布帛(B)をミット形状またはパッド形状に縫製する際の基材(基布)としても機能する。
海綿状立毛布帛(A)および海綿状立毛布帛(B)における地組織の種類は特に制限されず、織地、編地、ニードルパングや流体処理などにより絡合された不織布、およびそれらの2つ以上の組み合わせたもののいずれであってもよい。そのうちでも、地組織は、織地または編地、特に編地であることが、海綿状立毛繊維層の元となる立毛繊維層を地組織上に簡単に且つ強固に形成できることから好ましい。また、地組織を形成する繊維や糸の種類も特に制限されず、例えばポリエステル繊維、ポリアミド繊維、ポリプロピレン繊維、アクリル繊維、ポリビニルアルコール繊維などの合成繊維、ビスコース、レーヨンなどの半合成繊維、綿、羊毛、麻、絹などの天然繊維のいずれから形成されていてもよい。そのうちでも、地組織は、ポリエステル繊維、ポリプロピレン繊維から形成されていることが耐溶剤性の点から好ましい。
本発明の模様付け塗装具の種類は特に制限されず、海綿状立毛布帛(A)または海綿状立毛布帛(B)からなる塗工表面を有する塗装具であればいずれでもよく、例えば、海綿状立毛布帛(A)または海綿状立毛布帛(B)を塗工表面とするローラー型塗装具、コテ刷毛型塗装具、海綿状立毛布帛(A)または海綿状立毛布帛(B)をその海綿状立毛繊維層が外側になるようにして縫製などによってミット状またはパッド状に形成したミット型塗装具、パッド型塗装具などを挙げることができる。
その際のローラー型塗装具、コテ刷毛型塗装具、ミット型塗装具、パッド型塗装具の具体的な形状、寸法などは、従来のものと同様にすることができ、何ら制限されない。
本発明の模様付け塗装具を製造するに当たっては、
(i)地組織の片面の少なくとも一部に湿熱接着性繊維を50質量%以上の割合で含む繊維から形成した立毛繊維層を有する立毛布帛[すなわち海綿状立毛布帛(A)の前駆体または海綿状立毛布帛(B)の前駆体をなす立毛布帛](以下これらの立毛布帛を「前駆体立毛布帛」ということがある)を使用し、該前駆体立毛布帛を立毛繊維層が外側に向くようにしてミット形状、パッド形状などの塗装具の形態に形成するか、または該前駆体立毛布帛を立毛繊維層が外側に向くようにして塗装具における塗工部をなす部材(例えばローラー型塗装具における円筒状芯材など)(以下「塗工部材」ということがある)の表面に取り付けた後に、それを水中に浸漬し、水中で気泡を発生させ、前駆体立毛布帛の立毛繊維層中に気泡を通過させながら立毛繊維層を形成している湿熱接着性繊維が接着性を示す温度に加熱して、立毛繊維層を構成する湿熱接着性繊維同士および湿熱接着性繊維と他の繊維を、前記気泡を包囲しながら互いに網状に接着させて、立毛繊維層を表面に不揃いな凹凸模様を有する海綿状立毛繊維層に変える方法;および、
(ii)前記前駆体立毛布帛をそのまま直接水中に浸漬し、水中で気泡を発生させ、前駆体立毛布帛の立毛繊維層中に気泡を通過させながら立毛繊維層を形成している湿熱接着性繊維が接着性を示す温度に加熱して、立毛繊維層を構成する湿熱接着性繊維同士および湿熱接着性繊維と他の繊維を、該気泡を包囲するようにして互いに網状に接着させて、表面に不揃いな凹凸模様を有する海綿状立毛繊維層を有する海綿状立毛布帛(A)または海綿状立毛布帛(B)をつくり、その海綿状立毛布帛(A)または海綿状立毛布帛(B)を塗工表面材として用いてミット型塗装具、パッド型塗装具、ローラー型塗装具、コテ刷毛型塗装具などを作製する方法;
などを採用することができる。
そのうちでも、前記(i)の方法が、塗工表面に立毛布帛の継ぎ目などのない、海綿状立毛繊維層からなる塗工表面を有する模様付け塗装具を円滑に製造できる点から好ましく採用される。
上記(i)の方法を採用して本発明のローラー型塗装具を製造する場合について、図1を参照して具体的に説明する。
図1において、(a)は前駆体立毛布帛(水中で加熱処理する前の立毛布帛)1を巻き付けた円筒体(ローラー芯材)2を示す模式図であり、(b)は(a)をX−Xで切断したときの横断面を示す模式図である。また、(c)は、ローラー芯材2の表面に海綿状立毛繊維層を有する海綿状立毛布帛からなる塗工表面を有する本発明のローラー型塗装具のローラー部分を示す模式図であり、(d)は(c)をY−Yで切断したときの横断面を示す模式図である。
まず、ハイパイル地やその他の立毛(パイル)3を有する立毛布帛(前駆体立毛布帛)1を短冊状に切断する。次いで、短冊状に切断した前駆体立毛布帛1を、図1の(a)に示すように、塗工部材となる円筒体(ローラー芯材)2の表面に螺旋状に巻き付けて固定した後、それを水中(好ましくは熱湯中)に入れて、水中で気泡を発生させ、その気泡を前駆体立毛布帛1の立毛繊維層中を通過させながら、前駆体立毛布帛1の立毛繊維層を形成している湿熱接着性繊維の熱接着温度以上に加熱して立毛繊維層を構成する立毛(繊維)3同士(湿熱接着性繊維同士および湿熱接着性繊維と他の繊維)を気泡の周囲で網状の壁状形態で互いに接着させて、ローラー芯材2の表面(塗工表面)に、毛繊維層表面から外方に向かって開放した多数の不揃いなセル状空孔4を立毛繊維層内に形成すると共にそれによって該立毛繊維層の表面に多数の不揃いな凹凸模様を形成させる。次に、周囲の水を冷水に置換して冷却した後、水から取り出して脱水・乾燥して、図1の(c)および(d)に示す、表面に不揃いな凹凸模様を有する海綿状立毛繊維層を有する立毛布帛からなる塗工表面を有するローラー芯材を製造する。該ローラー芯材に図示されていない取手やその他の部品を取り付けて、本発明のローラー型塗装具とする。なお、図1において、5は立毛布帛における地組織を示す。
かかる方法を採用した場合には、前駆体立毛布帛の巻き付け端部(接合端部)に接合筋のないローラー型塗装具を製造することができる。
なお、図1の(a)には、前駆体立毛布帛1を短冊状に切断してローラー芯材2に螺旋状に巻き付けた場合について示したが、それに限定されるものではなく、前駆体立毛布帛1を長方形に切断してローラー芯材2を包囲するようにして縦長に巻き付けて固定してもよい。
次に、上記(i)の方法を採用して本発明のミット型塗装具を製造する場合について、図2を参照して具体的に説明する。
前駆体立毛布帛1を2枚のミット形状片に裁断し、該2枚のミット形状片を前駆体立毛布帛1の立毛繊維層が外側に向くようにして、縫製などによって、図2の(a)に示すミット形状をなす袋状物の形態にする。次いで、その袋状物を水中(好ましくは熱湯中)に入れて、水中で気泡を発生させ、その気泡を前駆体立毛布帛1の立毛繊維層中を通過させながら、前駆体立毛布帛1の立毛繊維層を形成している湿熱接着性繊維の熱接着温度以上に加熱して立毛繊維層を構成する立毛(繊維)3同士(湿熱接着性繊維同士および湿熱接着性繊維と他の繊維)を気泡の周囲で網状の壁状形態で互いに接着させて、立毛繊維層表面から外方に向かって開放した多数の不揃いなセル状空孔4を立毛繊維層内に形成すると共にそれによって該立毛繊維層の表面に多数の不揃いな凹凸模様を形成させて、図2の(b)に示す本発明のミット型塗装具を製造する。
図2に示すようなミット型塗装具の製造に当たっては、上記したようにミット型塗装具の両方の面を前駆体立毛布帛1から形成してミット型塗装具の両方の面に不揃いな凹凸模様を有する海綿状立毛繊維層を形成させてもよいし、または片方の面のみを前駆体立毛布帛1から形成してミット型塗装具の片方の面にのみ不揃いな凹凸模様を有する海綿状立毛繊維層を形成させてもよい。
また、本発明の模様付け塗装具がパッド型塗装具である場合も、上記したミット型塗装具の場合と同様にして製造することができる。
また、本発明の模様付け塗装具が、コテ刷毛型塗装具である場合は、上記(i)の方法に従って、コテ刷毛型塗装具における塗工部材の表面に前駆体立毛布帛を固着してから、上記と同じように水中で加熱処理して前駆体立毛布帛における立毛繊維層を海綿状立毛繊維層に変えてコテ刷毛型塗装具を製造してもよいし、または上記(ii)の方法に従って、前駆体立毛布帛をコテ型塗装具の塗工部材に固着する前に、前駆体立毛布帛を単独でそのまま水中に浸漬して、上記と同じように水中で加熱処理して前駆体立毛布帛の立毛繊維層を海綿状立毛繊維層に変えて海綿状立毛布帛(A)または海綿状立毛布帛(B)をつくり、それを適当な大きさに切断して、コテ刷毛型塗装具の塗工部材に固着してコテ刷毛型塗装具を製造してもよい。
本発明の模様付け塗装具の製造に使用する前駆体立毛布帛としては、地組織の片面に、湿熱接着性繊維を50質量%以上の割合で含む繊維から形成した立毛繊維層を有する立毛布帛のいずれも使用でき、該前駆体立毛布帛は例えばハイパイル地、ダブルラッセル地またはベロア地のいずれであってもよい。そのうちでも、ハイパイル地が、立毛繊維層における立毛密度が高くて、上記した水中での加熱処理によって立毛繊維層を、立毛繊維層の表面に外方に開放した多数の不揃いな凹凸模様を有する海綿状立毛繊維層に円滑に変え得ることから好ましく用いられる。
前駆体立毛布帛における立毛繊維層を形成するのに適した湿熱接着性繊維の種類、立毛繊維層を形成する繊維の好ましい捲縮度合、立毛繊維層を形成する繊維中での湿熱接着性繊維の好ましい割合、湿熱接着性繊維と併用可能な他の繊維の種類やその好ましい割合、立毛繊維層を形成する繊維の単繊維繊度、立毛繊維層における立毛密度、立毛長、地組織の種類や地組織を形成する繊維の種類などは、海綿状立毛布帛について上記で説明したのと同じである。
上記(i)または(ii)の製造方法において、前駆体立毛布帛から形成したミット形状体、パッド形状体、前駆体立毛布帛を塗工表面に取り付けた塗装具の塗工部材(ローラー芯材など)または前駆体立毛布帛自体を水中に浸漬した状態で加熱して、前駆体立毛布帛の立毛繊維層を海綿状立毛繊維層に変える際の加熱温度は、立毛繊維層を形成する湿熱接着性繊維の接着(融着)温度〜該接着(融着)温度+10℃の範囲であって、且つ水中に浸漬した前駆体立毛布帛の少なくとも立毛繊維層部分で気泡が発生する温度であることが好ましい。
立毛繊維層を形成する湿熱接着性繊維が、例えば、エチレン−ビニルアルコール系共重合体を鞘成分または海成分としそれよりも融点の高い重合体を芯成分または島成分とする芯鞘型複合紡糸繊維または海島型複合紡糸繊維からなり、大気圧下で上記した水中での加熱処理を行う場合は、通常水温を90〜100℃、特に95〜100℃にして加熱処理すると、前駆体立毛布帛内に多数の気泡が発生し、その気泡が立毛繊維層内を通過しながら立毛繊維層を形成する繊維同士の網状接着が良好に行われて、立毛繊維層を、外方に向って開放した多数の不揃いなセル状空孔を有する海綿状立毛繊維層に円滑に変えることができる。
前記の加熱処理に当たっては、前駆体立毛布帛から形成したミット形状体、パッド形状体や、前駆体立毛布帛を塗工表面に取り付けた塗装具の塗工部材(ローラー芯材など)または前駆体立毛布帛自体を85〜95℃の熱湯中に浸漬した状態で高周電磁波(通常0.3〜30GHzの高周電磁波;マイクロ波)を照射して加熱を行うと、水温が90〜100℃に上昇すると共に、多数の気泡を立毛繊維層の内部に良好に発生させながら、立毛繊維層を形成する繊維同士の上記した網状接着を円滑に行うことができる。
また、前記の加熱処理に当たって、高周電磁波の照射を行う代りに、または高周電磁波との併用下に、水中に多数の気泡を発生させるための他の方法(例えば沸騰石を利用する方法など)を利用してもよい。沸騰石を利用した場合は、立毛布帛内部からの気泡発生ではなく、立毛布帛外に発生した気泡が立毛布帛内に侵入し、その状態で立毛繊維層を形成する繊維同士の網状接着が行われるため、加熱処理により生成した海綿状立毛繊維層におけるセル状空孔は一般に高周電磁波を利用した場合に比べて小さくなる傾向がある。
海綿状立毛繊維層におけるセル状空孔のサイズおよび分布状態は、加熱処理に用いる水の粘度によっても影響を受ける。一般に、水の粘度が高いと海綿状立毛繊維層におけるセル状空孔のサイズは大きく且つセル状空孔の数は少なくなり、一方水の粘度が低いと海綿状立毛繊維層におけるセル状空孔のサイズは小さく且つセル状空孔の数は多くなる傾向になる。水の粘度は界面活性剤などを添加することによって調整することができ、かかる点から水に界面活性剤を添加することによって、海綿状立毛繊維層におけるセル状空孔のサイズ、数などを調整することができる。
また、本発明の模様付け塗装具の塗工表面の硬さ、すなわち塗工表面をなす海綿状立毛繊維層の硬さは、立毛繊維層における湿熱接着性繊維の配合比率を変えることにより調整することができる。一般に、湿熱接着性繊維の配合比率が高くなるほど前述のように立毛繊維層における繊維同士の網状接着が密になるため、塗工表面(海綿状立毛繊維層)は硬くなり、湿熱接着性繊維の配合比率が50質量%未満であると海綿状立毛繊維層が柔らかくなり過ぎて耐久性に欠けるようになる。
本発明の模様付け塗装具を用いて塗装を行った場合は、模様付け塗装具の塗工表面をなす海綿状立毛繊維層表面での凹凸模様の形態や、使用する塗料の物性、色調などに応じて、被塗装面に種々の凹凸模様、色模様、かすり模様などを形成することができる。
以下に実施例などにより本発明について具体的に説明するが、本発明は以下の例により何ら限定されるものではない。
《実施例1》[ローラー型塗装具の製造]
(1) エチレン−ビニルアルコール系共重合体を鞘成分としてポリエチレンテレフタレートを芯成分とする芯鞘型複合繊維(鞘成分:芯成分の質量比=50:50)からなる湿熱接着性繊維[株式会社クラレ製「ソフィスタ」、単繊維繊度=3.6dtex、捲縮性能(捲縮率)=22%]を繊維長51mmの短繊維にカットし、該湿熱接着性短繊維と、繊維長51mmのレギュラーポリエステル短繊維(株式会社クラレ製「P809」、単繊維繊度=6.6dtex)を60:40の質量比で混綿してゲレンが18g/mのスライバーを製造した。
(2) 上記(1)で得られたスライバーをパイル糸として用い、また地糸としてレギュラーポリエステル製仮撚糸(330dtex/96フィラメント)を用いて、14ゲージのハイパイル編機を使用して製編を行って立毛布帛を製造し、シャーリングを行って立毛長を20mmに揃え、次いで140℃で熱セットして前駆体立毛布帛(幅=150cm、目付=0.746kg/m2、立毛密度=約4,000本/cm2)を製造した。
(3) 上記(2)で得られた前駆体立毛布帛を縦方向に50mm幅に切断し、それを外形23mm、長さ200mmのポリプロピレン製円筒体(ローラー芯材)の表面に螺旋状に巻き付けて固着し、それを円筒型容器(深さ=300mm、底面の内径=100mm)に投入した後、90℃の熱水を注入してローラー芯材の全体を熱湯中に完全に埋没させ、その状態で高周電磁波(2450MHz)を照射し、前駆体立毛布帛から気泡が発生し始めてから1分間処理した後、熱湯を冷水で置換して冷却して、次いで円筒型容器から取り出して乾燥した。
(4) その結果、ポリプロピレン製ローラー芯材の表面に巻き付けた立毛布帛の立毛繊維層は、立毛繊維層を形成する繊維同士が、発生した気泡を包囲して網状に接着し、図1の(c)および(d)に示すような、海綿状立毛繊維層に変化して、海綿状立毛繊維層の表面に長径が1〜19mmの範囲にある不揃いな穴(凹部)が多数(約16個/cm2)形成されていた。
(5) 上記(3)で得られた表面に多数の不揃いな凹凸模様を有する海綿状立毛繊維層を塗工表面とするローラーに、常法により取手などを取り付けてローラー型塗装具を作製した。
《実施例2》[ミット型塗装具の製造]
(1) エチレン−ビニルアルコール系共重合体を鞘成分としてポリエチレンテレフタレートを芯成分とする芯鞘型複合繊維(鞘成分:芯成分の質量比=50:50)からなる湿熱接着性繊維[株式会社クラレ製「ソフィスタ」、単繊維繊度=6.6dtex、捲縮性能(捲縮率)=22%]を繊維長51mmの短繊維にカットし、該湿熱接着性短繊維と、繊維長51mmのレギュラーポリエステル短繊維(株式会社クラレ製「P809」、単繊維繊度=5.5dtex)を80:20の質量比で混綿してゲレンが16g/mのスライバーを製造した。
(2) 上記(1)で得られたスライバーをパイル糸として用い、また地糸としてレギュラーポリエステル製仮撚糸(330dtex/96フィラメント)を用いて、14ゲージのハイパイル編機を使用して製編を行って立毛布帛を製造し、シャーリングを行って立毛長を20mmに揃え、次いで140℃で熱セットして前駆体立毛布帛(幅=150cm、目付=0.710kg/m2、立毛密度=約3,000本/cm2)を製造した。
(3) 上記(2)で得られた前駆体立毛布帛をミット形状片に切断し、その2枚のミット形状片を立毛繊維層が外側になるように重ねて縫製して、図2の(a)に示すミットをつくり、それを容器に投入し、90℃の熱水を注入してミットの全体を熱湯中に完全に埋没させ、その状態で高周電磁波(2450MHz)を照射し、前駆体立毛布帛から気泡が発生し始めてから1分間処理した後、熱湯を冷水で置換して冷却し、次いで容器から取り出して乾燥して、ミット型塗装具を得た。
(4) その結果、立毛布帛の立毛繊維層は、立毛繊維層を形成する繊維同士が発生した気泡を包囲して網状に接着し、図2の(b)に示すような、海綿状立毛繊維層に変化して、海綿状立毛繊維層表面に長径が1〜14mmの範囲にある不揃いな穴(凹部)が多数(約14個/cm2)形成されていた。
《実施例3》[コテ刷毛型塗装具の製造]
(1) 実施例2の(2)で得られた前駆体立毛布帛を、120mm×60mmの長方形に裁断し、それを120mm×60mmのポリプロピレン製基台に貼着し、それを容器(深さ=30mm、底面=130mm×70mm)に投入した後、90℃の熱水を注入して前駆体立毛布帛を貼着した基台の全体を熱湯中に完全に埋没させ、その状態で高周電磁波(2450MHz)を照射し、前駆体立毛布帛から気泡が発生し始めてから1分間処理した後、熱湯を冷水で置換して冷却し、次いで取り出して乾燥した。
(2) その結果、ポリプロピレン製基台の表面に貼着した立毛布帛の立毛繊維層は、立毛繊維層を形成する繊維同士が発生した気泡を包囲して網状に接着して海綿状立毛繊維層に変化して、海綿状立毛繊維層の表面に長径が1〜17mmの範囲にある不揃いな穴(凹部)が多数(約20個/cm2)形成されていた。
(3) 上記(2)で得られた表面に多数の不揃いな凹凸模様を有する海綿状立毛繊維層を塗工表面とするポリプロピレン製基台に常法により取手を取り付けてコテ刷毛型塗装具を作製した。
《実施例4》[パッド型塗装具の製造]
(1) 実施例1の(2)で得られた前駆体立毛布帛を、直径120mmの円形に裁断し、その2枚の円形片を立毛繊維層が外側になるように重ねると共に間に中綿としてポリエステル不織布(目付60g/m2)の挟んで周囲を縫製し、それを容器に投入し、90℃の熱水を注入して全体を熱湯中に完全に埋没させ、その状態で高周電磁波(2450MHz)を照射し、前駆体立毛布帛から気泡が発生し始めてから1分間処理した後、熱湯を冷水で置換して冷却して容器から取り出して乾燥して、円盤状のパッド型塗装具塗装具を得た。
(2) その結果、立毛布帛の立毛繊維層は、立毛繊維層を形成する繊維同士が発生した気泡を包囲して網状に接着して海綿状立毛繊維層に変化して、海綿状立毛繊維層の表面に長径が1〜30mmの範囲にある不揃いな穴(凹部)が多数(約20個/cm2)形成されていた。
《比較例1》[ローラー型塗装具の製造]
実施例1の(1)でパイル用のスライバーを製造するに当たって、湿熱接着性繊維:レギュラーポリエステル繊維の割合を40:60の質量比に変えた以外は実施例1と同様にしてローラー型塗装具を製造した。これにより得られたローラー型塗装具では、塗工表面をなす立毛繊維層は不揃いな多数のセル状空孔を有する海綿状立毛繊維層に一応変化していた。
《試験例1》(塗装試験)
(1) 室内塗装用塗料(日本ペイント株式会社製「Hiビニレックス60」;白色)を用いて、表面平滑なローラー型塗装具(大塚刷毛製造株式会社製「ウーローラー6SB」)を使用して、コート紙(サイズ:550mm×800mm)上に下塗りを行い、塗装面を十分に乾燥させた。
(2) 室内塗装用塗料(日本ペイント株式会社製「Hiビニレックス60」)に、樹脂顔料(横浜化成株式会社製「ユニラント3314」;紺色)を添加して、紺色の塗料を調合し、この塗料を用いて、実施例1〜4および比較例1で製造したそれぞれの塗装具を使用して、上記(1)の乾燥後の下塗り塗装面の上に塗装を施した。
なお、塗装に際しては、実施例1および比較例1のローラー型塗装具による場合はローラーを被塗装面上で転がして塗装を行い、実施例2のミット型塗装具による場合はミット内に手を挿入して上から叩くようにして塗装し、実施例3のコテ刷毛型塗装具による場合は取手を持って叩くようにして塗装し、実施例4のパッド型塗装具による場合は、パッド型塗装具を直接手で持って上から叩くようにして塗装を行った。
また、塗装作業後にそれぞれの塗装具を水道水で洗浄した後、乾燥して乾燥後の表面状態を目視により観察した。
(3) 上記試験の結果、実施例1のローラー型塗装具を用いた場合は、図3に示すように、被塗装面に美麗な模様を形成することができた。しかも、ローラー型塗装具を洗浄して乾燥した後も、塗装具の塗工表面に変化はなく、初期と同様の凹凸模様を保っていた。
(4) また、実施例2のミット型塗装具を用いた場合も、図4に示すように、被塗装面に美麗な模様を形成することができた。また、ミット型塗装具を洗浄し乾燥した後も、塗装具の塗工表面に変化はなく、初期と同様の凹凸模様を保っていた。
(5) 実施例3のコテ刷毛型塗装具および実施例4のパッド型塗装具を用いた場合も、被塗装面に美麗な模様を形成することができた。しかも、塗装具を洗浄し乾燥した後も塗装具の塗工表面に変化はなく、初期と同様の凹凸模様を保っていた。
(6) 一方、比較例1のローラー型塗装具による場合は、塗装作業の終了した塗装具を洗浄し、乾燥した後に、塗工表面の凹凸模様が潰れて変形しており、しかも毛羽立ちが多かった。
本発明の模様付け塗装具は、有機溶剤に対する耐性が高く、溶剤型塗料を用いて塗装した際にも、塗装具の塗工表面が膨潤、軟化、変形しにくく、耐久性に優れ、しかも塗装作業中や洗浄作業中などに模様を発現させるための塗工表面から繊維が脱落、分離して被塗装面を汚すなどのトラブルを生じず、その上粘度や成分などの異なる種々の塗料に対して共通して使用することができるので、被塗装面に模様を施すための塗装具として有効に使用することができる。
本発明の模様付け塗装具の一種であるローラー型塗装具を製造するのに用いる前駆体およびそれを用いて得られるローラー型塗装具の内容の一例を示す模式図である。 本発明の模様付け塗装具の一種であるミット型塗装具を製造するのに用いる前駆体およびそれを用いて得られるミット型塗装具の内容の一例を示す模式図である。 実施例1で得られたローラー型模様付け塗装具を用いて塗装を行って形成された塗装模様を撮影した写真である。 実施例2で得られたミット型模様付け塗装具を用いて塗装を行って形成された塗装模様を撮影した写真である。
符号の説明
1 前駆体立毛布帛
2 ローラー芯材
3 立毛(パイル)
4 セル状空孔
5 地組織

Claims (9)

  1. 立毛布帛よりなる塗工表面を有する模様付け塗装具であって、塗工表面が、地組織の片面に湿熱接着性繊維を50質量%以上の割合で含む繊維から形成した立毛繊維層を有し、前記立毛繊維層を形成する繊維同士が立毛繊維層表面から外方に向かって開放した多数の不揃いなセル状空孔を立毛繊維層内に形成すると共にそれによって該立毛繊維層の表面に多数の不揃いな凹凸模様を形成した状態で前記湿熱接着性繊維の接着作用により立毛繊維層部分で互いに網状に接着している海綿状の立毛繊維層を有する立毛布帛から形成されていることを特徴とする模様付け塗装具。
  2. 立毛布帛よりなる塗工表面を有する模様付け塗装具であって、塗工表面が、地組織の片面に、湿熱接着性繊維を50質量%以上の割合で含む繊維から形成した立毛繊維層からなり且つ該立毛繊維層を構成する繊維同士が立毛繊維層の表面から外方に向かって開放した多数の不揃いなセル状空孔を立毛繊維層内に形成すると共にそれによって該立毛繊維層の表面に多数の不揃いな凹凸模様を形成した状態で立毛繊維層において前記湿熱接着性繊維の接着作用により互いに網状に接着している海綿状の立毛繊維層からなる部分と共に、立毛繊維層のない部分および/または熱接着性を示さない繊維から形成された非海綿状の立毛繊維層からなる部分を有する立毛布帛から形成されていることを特徴とする模様付け塗装具。
  3. 立毛布帛における立毛繊維層を形成する前記湿熱接着性繊維が熱捲縮性の湿熱接着性繊維であり、該立毛繊維層を形成する繊維同士が、捲縮を発現した状態で立毛繊維層表面から外方に向かって開放した多数の不揃いなセル状空孔を立毛繊維層内に形成すると共に該立毛繊維層の表面に多数の不揃いな凹凸模様を形成した形態で立毛繊維層において湿熱接着性繊維の接着作用により互いに網状に接着している請求項1または2に記載の模様付け塗装具。
  4. 立毛布帛の前記立毛繊維層表面における多数の不揃いな凹凸模様の凹部の長径が1〜30mmである請求項1〜3のいずれか1項に記載の模様付け塗装具。
  5. 立毛布帛の立毛繊維層を形成する前記湿熱接着性繊維が、繊維表面の少なくとも一部がエチレン−ビニルアルコール系共重合体成分からなる、エチレン−ビニルアルコール系共重合体成分と他の重合体とからなる複合紡糸繊維である請求項1〜4のいずれか1項に記載の模様付け塗装具。
  6. 塗工表面を形成する海綿状の立毛繊維層を有する立毛布帛が、ハイパイル地、ダブルラッセル地またはベロア地から形成されたものである請求項1〜5のいずれか1項に記載の模様付け塗装具。
  7. 模様付け塗装具が、前記立毛布帛を塗工表面とするローラー型塗装具、ミット型塗装具コテ刷毛塗装具またはパッド型塗装具である請求項1〜6のいずれか1項に記載の模様付け塗布具。
  8. 地組織の片面の少なくとも一部に湿熱接着性繊維を50質量%以上の割合で含む繊維から形成した立毛繊維層を有する立毛布帛を使用し、前記立毛布帛を立毛繊維層が外側に向くようにしてミット状体またはパッド状体に形成するか、或いは前記立毛布帛を立毛繊維層が外側に向くようにして塗装具の塗工部をなす部材の表面に取り付けた後、前記ミット状体またはパッド状体、或いは立毛布帛を取り付けた塗工部をなす部材を水中に浸漬し、水中で気泡を発生させ、該発生した気泡を立毛布帛の立毛繊維層内を通過させながら立毛繊維層を構成する湿熱接着性繊維が熱接着性を示す温度に加熱して立毛繊維層を構成する繊維同士を網状に接着させて、地組織の片面の少なくとも一部に立毛繊維層表面から外方に向かって開放した多数の不揃いなセル状空孔を立毛繊維層内に有すると共に立毛繊維層の表面に多数の不揃いな凹凸模様を有する海綿状の立毛繊維層を有する立毛布帛からなる塗工表面を有する模様付け塗装具を製造する方法。
  9. 前記ミット状体または立毛布帛を取り付けた塗工部をなす部材を水中に浸漬した状態で、高周電磁波により加熱を行う請求項8に記載の方法。
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