JP2005287538A - 車両用シート - Google Patents

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Abstract

【課題】安定した空気噴出を行なうことを可能とした空調機能を有する車両用シートを提供する。
【解決手段】本発明の車両用シートは、シートパッドの表面を表皮材で覆うことで構成されるシートクッション及びシートバックと、前記シートパッドを貫通して前記表皮材の表面にまで至る複数の通気孔と、前記ダクト表面から突出し前記通気孔に連結する複数のエア排出口と、前記ダクト及び前記エア排出口を介して前記通気孔へ車室内の空気を圧送する送風装置とを備える。そして、連続する2つの前記エア排出口の間の前記ダクトに二箇所以上の蛇腹構造を備える。
【選択図】図3

Description

本発明は、空調機能を有する車両用シートに関する。
近年、車両用シートのシートクッション及びシートバックの表皮に複数の噴出孔を設け、送風ユニットからの空気を噴出孔から噴出させる空調機能を有する車両用シートが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
特許文献1に開示された車両用シートは、シートクッション及びシートバックを構成する表皮、カバーパッド及びパッドを貫通するように複数の通気孔を設け、シートクッション下面に送風機、中間ダクト及びシートクッション排気ダクトを配置し、シートバック裏面にシートバック排気ダクトを配置して概略構成されている。
シートクッション排気ダクト及びシートバック排気ダクトには、表面から僅かに突出することで上記通気孔内部に嵌合する複数のエア排出孔が形成されており、送風機からの空気を中間ダクトを介してシートクッション排気ダクト及びシートバック排気ダクトに送り込み、エア排出孔に接続する通気孔からシート表面に空気を噴出するようになっている。
特開平10−297274号公報
ところが、特許文献1に開示された車両用シートは、エア排出孔の外径を通気孔の内径とほぼ一致させることで、エア排出孔を通気孔内部に嵌合させる構造となっているため、例えば、着座時に乗員の体重を受けてシートクッション及びシートバックが変形した際に、エア排出孔が通気孔内を摺動することになるため、シートクッション等の変形量が大きい場合には、エア排出孔が通気孔から外れてしまうおそれがあった。
本発明の課題は、上述の問題を考慮したものであり、安定した空気噴出を行なうことを可能とした空調機能を有する車両用シートを提供することである。
以上の課題を解決するために、請求項1記載の発明は、シートパッドの表面を表皮材で覆うことで構成されるシートクッション及びシートバックと、前記シートパッドを貫通して前記表皮材の表面にまで至る複数の通気孔と、前記ダクト表面から突出し前記通気孔に連結する複数のエア排出口と、前記ダクト及び前記エア排出口を介して前記通気孔へ車室内の空気を圧送する送風装置とを備える車両用シートにおいて、連続する2つの前記エア排出口の間の前記ダクトに二箇所以上の蛇腹構造を設けることを特徴とする。
例えば、着座時に乗員の体重を受けてシートバックが変形した場合、ダクトに連続して設けられている2つのエア排出口の相対位置も変化することになり、この位置変化により、各エア排出孔に対して当該エア排出孔を通気孔から外すような外力が作用することになる。
請求項1に記載の発明のように、連続する2つのエア排出口の間に蛇腹構造を2つ以上設ける場合、シートバックの変形に伴う2つのエア排出口の相対位置の変化に対応して、ダクトの2つの蛇腹構造に挟まれた部分は傾斜・回転するが、エア排出口と蛇腹構造に挟まれた部分は傾斜・回転を行なわない。このように、2つのエア排出口の相対位置変化がダクトの2つの蛇腹構造に挟まれた部分で吸収されることになり、エア排出口に対して、当該エア排出口を通気孔から外すような外力の作用を弱めることができるので、エア排出口と通気孔との接合強度を高めることができる。
請求項2記載の発明は、請求項1に記載の車両用シートにおいて、前記エア排出口の突端に、当該エア排出口の径方向に突出する係止部を設けることを特徴とする。
請求項2に記載の発明によれば、エア排出口の突端に、当該エア排出口の径方向に突出する係止部を設けるので、例えば、エア排出口を通気孔内に挿入した状態で、係止部を通気孔の内周面に食い込ませることにより、エア排出口がシートクッション及びシートバック対して固定され、例えば、着座時に乗員の体重を受けてシートクッション及びシートバックが変形した際でも、エア排出口が通気孔から外れることがなく、安定した空気噴出を行なうことが可能となる。
請求項3記載の発明は、請求項2に記載の車両用シートにおいて、前記通気孔の内部に埋設した筒状のインサート部材を備え、前記エア排出口を前記インサート部材内に挿通し、前記インサート部材に嵌合させることを特徴とする。
請求項3に記載の発明によれば、インサート部材を用いることで、エア排出口をシートクッション及びシートバック対してより強固に固定することが可能となる。
請求項4記載の発明は、請求項3に記載の車両用シートにおいて、前記インサート部材が、前記シートパッドと一体に成形されることを特徴とする。
請求項4に記載の発明によれば、インサート部材をシートパッドと一体に成形することにより、シートパッドの成形が終了した後、通気孔の内部にインサート部材を埋設させる作業が不要となり、車両用シートの製造工程を簡略化でき、また、シートパッドに対してインサート部材をより強固に固定することが可能となる。
本発明によれば、安定した空気噴出を行なうことを可能とした空調機能を有する車両用シートを得られる。
以下、図を参照して本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
図1に示すように、車両用シート10はシートクッション20、シートバック30、シートバック30の上部に設けたヘッドレスト40等から概略構成されており、図2に示すように、シートバック30は、シート形状を保持し、且つ、クッション材として機能するパッド31の表面を、通気性を有するカバーパッド32で覆い、更にカバーパッド32の表面を表皮材33で覆うことで構成されている。なお、図2はシートバック30を示すものであるが、シートクッション20も同様に、パッド31の表面をカバーパッド32と表皮材33で覆う構成となっている。以下の説明においては、パッド31とカバーパッド32を合わせて「シートパッド34」と表記する。
図1に示すように、表皮材33の表面には複数の通気孔33aが形成されており、図3に示すように、通気孔33aの内部には筒状のインサート部材35が埋設されている。
インサート部材35は、シートパッド成形用金型内の所定位置に予め配置した状態で、シートパッド34を発泡成形することにより、通気孔33aの内部に固定されることになる。
図4は車両用シート10のシートクッション20側の骨格構造を示す斜視図であり、図5はこれを下面側から見た斜視図である。
シートクッション20側の骨格構造は、左右一対のシートレール21、このシートレール21に取付けた左右一対のシートフレーム22、シートスプリング23、シートフレーム22の前部に架け渡されるパンフレーム24等から概略構成されている。
図5に示すように、シートクッション20用の送風装置50は、パンフレーム24下面の前方と中央に1つずつ取り付けられている。
前方の送風装置50の送風口に接続するダクト60は、パンフレーム24に設けた開口を通って、図4に示すように、パンフレーム24上面に至り、左右2方向に枝分かれした状態でパンフレーム24上面を後方に伸びている。
また、後方の送風装置50の送風口に接続するダクト60は、図5及び図6に示すように、パンフレーム24の下面側を後方に伸び、左右2方向に枝分かれしている。
図3に示すように、各ダクト60の上面であって、複数の通気孔33aに対応する位置には、筒状のエア排出口61が上方に突出して複数設けられており、各エア排出口61の突端には径方向に突出する爪型の係止部62が形成されている。
図6はシートバック30の背面図であり、シートバック30は、中央に開口31aを有するサブシートフレーム31と、このサブシートフレーム31に取付けたシートスプリング(図示略)等から概略構成されている。
シートパック用の送風装置50は、サブシートフレーム31背面の左右いずれか一方の下方に取り付けられている。
送風装置50の送風口に接続するダクト60は、サブシートフレーム31の開口31a内の左右二箇所から上方に伸びている。なお、以下の説明において、左右二箇所から上方に伸びるダクト60を、それぞれ「左側ダクト60a」、「右側ダクト60b」と表記し、これら左側ダクト60aと右側ダクト60bとの間で左右方向に伸びるダクト60を「中央ダクト60c」と表記する。
左側ダクト60aと右側ダクト60bにはそれぞれ、上下方向に連続して複数(図6では3つ)の筒状のエア排出口61(第1エア排出口61a〜第3エア排出口61c)が形成されており、第1エア排出口61aと第2エア排出口61bとの間には、蛇腹構造70が二箇所設けられている。また、左右2つの第3エア排出口61cの間にも蛇腹構造70が二箇所設けられている。
以下、蛇腹構造70の動作について、中央ダクト60cに設けた二つの蛇腹構造70を参照して説明する。
図7は中央ダクト60cの正面図であり、図8(a)及び(b)は中央ダクト60cの下面図である。
例えば、着座時に乗員の体重を受けてシートバック30が変形した場合、図8(b)に示すように、中央ダクト60cの左右方向に連続して設けられている2つの第3エア排出口61cの前後方向に関する相対位置が変化し、これに対応して、左右の蛇腹構造70はそれぞれ屈曲しながら伸張する。これにより、中央ダクト60cの2つの蛇腹構造70に挟まれた部分60c´のみが傾斜し、エア排出口61と蛇腹構造70に挟まれた部分60c´´は傾斜せず、2つの第3エア排出口61の相対位置が変化する前の状態と同様の状態を維持する。このように、2つの第3エア排出口61cの相対位置変化が中央ダクト60cの2つの蛇腹構造70に挟まれた部分60c´で吸収されることになり、第3エア排出口61cに対して、当該第3エア排出口61cを通気孔33aから外すような外力の作用を弱めることができるので、エア排出口61と通気孔33aとの接合強度を高める効果を得られる。
これと同様の効果は、2つの第3エア排出口61cの上下方向に関する相対位置が変化した場合でも得ることができ、また、左側ダクト60a及び右側ダクト60bでも、各ダクトに設けた二つの蛇腹構造70が屈曲・伸張することにより得ることができる。
図3に示すように、各エア排出口61の突端には径方向に突出する係止部62が形成されている。シートクッション20側とシートバック30側のエア排出口61は共に、その軸方向の長さがインサート部材35の軸方向の長さよりも若干長くなるように設計されており、インサート部材35内に挿通したエア排出口61の係止部62が、インサート部材35の突端部に係止することで、エア排出口61がインサート部材35に固定され、ひいてはシートクッション20及びシートバック30に固定されるようになっている。
以上のように、本実施の形態に係る車両用シート10によれば、例えば、着座時に乗員の体重を受けてシートクッション20及びシートバック30が変形した際でも、連続する2つのエア排出口61の間に設けた2つの蛇腹構造70が屈曲・伸張することで、上述のように、エア排出口61と通気孔33aとの接合強度を高める効果を得られ、更に、ダクト60から突出するエア排出口61が係止部62を介して通気孔33aの内部に埋設されたインサート部材35に係止するので、エア排出口61が通気孔33aから外れることがなく、エア排出口61と通気孔33aとの接合強度をより高める効果を得られ、安定した空気噴出を行なうことが可能となる。
なお、本実施の形態においては、通気孔33aの内部にインサート部材35を埋設し、このインサート部材35にエア排出口61の係止部62を係止させるものとしたが、これに限らず、通気孔33aの内部にインサート部材35を設けず、エア排出口61を通気孔33a内に挿入した状態で、爪型の係止部62を通気孔33aの内周面に食い込ませることにより、エア排出口61をシートクッション20及びシートバック30対して固定させる構成としてもよい。
車両用シートの外形を示す斜視図である。 シートバックの構造を示す要部縦断面図である。 通気孔とエア排出口との接合構造を示す要部横断面図である。 車両用シートのシートクッション側の骨格構造を示す斜視図である。 車両用シートのシートクッション側の骨格構造を示す斜視図である。 車両用シートのシートバック側の骨格構造を示す斜視図である。 中央ダクトの構造を示す正面図である。 中央ダクトの構造を示す下面図(a)及び(b)である。
符号の説明
10 車両用シート
20 シートクッション
30 シートバック
31 パッド
32 カバーパッド
33 表皮材
33a 通気孔
34 シートパッド
35 インサート部材
40 ヘッドレスト
50 送風装置
60 ダクト
61 エア排出口
62 係止部
70 蛇腹構造

Claims (4)

  1. シートパッドの表面を表皮材で覆うことで構成されるシートクッション及びシートバックと、前記シートパッドを貫通して前記表皮材の表面にまで至る複数の通気孔と、前記ダクト表面から突出し前記通気孔に連結する複数のエア排出口と、前記ダクト及び前記エア排出口を介して前記通気孔へ車室内の空気を圧送する送風装置とを備える車両用シートにおいて、
    連続する2つの前記エア排出口の間の前記ダクトに二箇所以上の蛇腹構造を設けることを特徴とする車両用シート。
  2. 前記エア排出口の突端に、当該エア排出口の径方向に突出する係止部を設けることを特徴とする請求項1に記載の車両用シート。
  3. 前記通気孔の内部に埋設した筒状のインサート部材を備え、
    前記エア排出口を前記インサート部材内に挿通し、前記インサート部材に嵌合させることを特徴とする請求項2に記載の車両用シート。
  4. 前記インサート部材が、前記シートパッドと一体に成形されることを特徴とする請求項3に記載の車両用シート。
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