JP2005287346A - 農産物・園芸産物の冷蔵用鮮度保持剤及び冷蔵用鮮度保持方法 - Google Patents

農産物・園芸産物の冷蔵用鮮度保持剤及び冷蔵用鮮度保持方法 Download PDF

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義彦 飯島
Kozaburo Hayashi
孝三郎 林
Tadamitsu Nakamura
忠光 中村
Takuji Kihara
卓治 木原
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Abstract

【課題】 農園芸産物の冷蔵時に炭酸ガスを少量づつ持続的に発生させ、農園芸産物周辺の炭酸ガス濃度を持続的に高濃度に保ちながら、農園芸産物の鮮度保持を実現する、安全で使い勝手の良い鮮度保持剤及び鮮度保持方法を提供すること。
【解決手段】 炭酸塩と芳香族有機酸とからなり、炭酸ガスを発生することを特徴とする農園芸産物の鮮度保持剤。
【選択図】 なし

Description

本発明は、農産物・園芸産物(以下単に「農園芸産物」という)の冷蔵用鮮度保持剤(以下単に「鮮度保持剤」という)及び農園芸産物の冷蔵用鮮度保持方法に関する。更に詳しくは、冷蔵車、冷蔵庫、冷蔵倉庫等の冷蔵設備を用いた冷蔵輸送又は冷蔵貯蔵中に起こる、各種農園芸産物の変色や柔軟化等の自動劣化を効果的且つ持続的に遅延させ、農園芸産物の保存性を高めるのに有効な、安全性の高い農園芸産物の鮮度保持剤に関する。
従来から、野菜、果実等の農産物や花卉等の園芸産物(農園芸産物)の鮮度保持技術が、これらの市場への供給効率を高める必要性から種々検討され、ガス濃度の調製と冷蔵を組み合わせて貯蔵するCA(Controlled Atmosphere)貯蔵、フィルムによる包装貯蔵等が開発されてきた。
しかしながら、前者は貯蔵のための経費が嵩むという理由から導入が困難な場合が多く、いまだ実用的な方法とは言い難い。又、上記のフィルムによる包装貯蔵は、MA(Modified Atmosphere)包装とも呼ばれ、簡易なCA効果を狙ったものであるが、本格的なCA貯蔵とは異なり、被鮮度保持物である農園芸産物の貯蔵雰囲気のガス濃度調節は、農園芸産物自体から呼吸により生ずる炭酸ガスとフィルム自体のガス透過性のみに頼る方法であり、積極的にガス濃度をコントロールする効率的な方法とは言い難く、過大の期待はできない。
炭酸ガスは被鮮度保持物雰囲気の酸素ガスを置換したり、鮮度劣化の原因物質であるエチレンの作用を抑えたりする効果が知られている。又、炭酸ガスと酸素ガスとが共存する場合は、炭酸ガスの方が酸素ガスより重いので、容器やチャンバーの底に置かれた被鮮度保持物周辺に炭酸ガスの層を形成し、被鮮度保持物と酸素ガスとの接触を妨げ、酸素による鮮度劣化を防ぐブランケット効果も知られている。炭酸ガスのこれらの作用を利用し、野菜や果実を輸送したり保管する際に、輸送車や貯蔵庫の空間部分を炭酸ガスで充満させ、鮮度劣化を鈍化させる試みが行なわれてきた。
前記のMA包装もこれらの炭酸ガスの効果を利用した鮮度保持を狙ったものであるが、炭酸ガス発生を被鮮度保持物の呼吸のみに頼る方法であることから、迅速なガス濃度変化が起こりにくく、鮮度劣化防止に最適なガス濃度環境を構築しにくいという欠点があった。そこで、炭酸ガスを発生する鮮度保持剤の利用が考えられたが、従来の炭酸ガス発生剤は、原理としては炭酸塩又は炭酸水素塩と酸とを混合し炭酸ガスを発生させるものであるが、炭酸ガス発生性の入浴剤のメカニズムを応用しているため、固体酸としてフマル酸をはじめとする水溶性の有機酸が用いられ、それ故、炭酸ガスの発生が急激に起こり、直ちに終了してしまうので、鮮度保持効果が長続きしなかった。
一方、冷蔵保存の場合は、冷蔵自体が鮮度保持のためのものであり、冷蔵により比較的長期間保持された農産物の鮮度を更に維持するためには、効果の長続きする炭酸ガス発生剤が必須になる。従って、従来の炭酸ガス発生剤を鮮度保持効果の持続的発現が求められる冷蔵用の鮮度保持剤として用いることはできなかった。特に、冷蔵条件下での農産物のシェルフライフを伸ばすために、野菜や果実の冷蔵包装用、冷蔵梱包用素材(ポリ袋やダンボール箱等)に付随して用いられ、又は冷蔵庫の野菜室等に設置され、炭酸ガスを徐々に発生させて鮮度劣化を持続的に防ぐ使い勝手の良い鮮度保持剤の成功例は見られなかった。
従って本発明の目的は上記の問題点を克服し、農園芸産物の冷蔵時に炭酸ガスを少量づつ持続的に発生させ、農園芸産物周辺の炭酸ガス濃度を持続的に高濃度に保ちながら、農園芸産物の鮮度保持を実現する、安全で使い勝手の良い鮮度保持剤及び鮮度保持方法を提供することである。
本発明は、上記の目的を達成すべく鋭意研究の結果、炭酸塩と芳香族有機酸との混合物を農園芸産物の鮮度保持剤として用い、更にはこれをタブレットに成形することにより上記の如き従来技術の問題が解決されることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、炭酸塩と芳香族有機酸とからなり、炭酸ガスを発生することを特徴とする農園芸産物の鮮度保持剤を提供する。
上記本発明の鮮度保持剤においては、上記炭酸塩が、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウムおよび炭酸カルシウムから選ばれる少なくとも1種であること;上記芳香族有機酸が、桂皮酸、コーヒー酸、p−クマル酸、安息香酸、バニリン酸およびシリンガ酸から選ばれる少なくとも1種であること;および前記鮮度保持剤がタブレット形状であることが好ましい。
又、本発明は、前記本発明の鮮度保持剤を、冷蔵下、農園芸産物と同一雰囲気中に共存させることを特徴とする農園芸産物の冷蔵用鮮度保持方法を提供する。
本発明の鮮度保持剤は、後述するように、冷蔵条件下、優れた炭酸ガス濃度上昇能を発現しつつ、農園芸産物の鮮度を保持し、同時に安全性をも具備するものである。
次に発明を実施するための最良の形態を挙げて、本発明を更に詳細に説明する。
農園芸産物の鮮度保持のための有効手段として、農園芸産物の周辺における高炭酸ガス濃度の維持が挙げられる。農園芸産物の鮮度劣化は、酸素や農園芸産物自身の呼吸、農園芸産物自身が発生するエチレン等に起因すると考えられる。従って、農園芸産物の鮮度劣化を遅延させるためには、何らかの方法により農園芸産物の周辺の酸素ガスやエチレンガス濃度を低く抑え、呼吸を沈静化させることが必要である。又、農園芸産物の鮮度劣化に付随して起こる汚染菌の発生やクロロフィル劣化を原因とする緑色度の低下は、農園芸産物の商品価値を著しく下落させる。
本発明者は、上記の観点から種々の化合物について検討した結果、芳香族有機酸が、農園芸産物から発生する水分の存在下、炭酸水素塩と徐々に反応し、炭酸ガスを少しずつ、長期間放出することを見出した。この持続的な炭酸ガスの発生が、冷蔵下における農園芸産物の周辺雰囲気の酸素ガス濃度を低下させ、エチレンの発生を防ぎ、呼吸を抑え、クロロフィルの劣化を防ぎ、更には芳香族有機酸自身の持つ抗菌・防黴作用により、農園芸産物の鮮度保持を実現する。
炭酸ガスは、一般に、農園芸産物に対して鮮度を維持する作用を示すことが知られている。これは、炭酸ガスが農園芸産物の呼吸を抑制することや、鮮度劣化を引き起こすエチレンの作用を阻害すること等が原因と考えられる。炭酸ガスは空気中の他の成分である、酸素や窒素よりも重いので、炭酸ガスを持続的に発生させるとその雰囲気の酸素や窒素が炭酸ガスに置換され、酸化による鮮度劣化が起きにくい環境を構築できると同時に、該雰囲気中の農園芸産物自体の呼吸率が低くなるので、呼吸による鮮度劣化も抑えられる。又、エチレンと炭酸ガスは化学構造上類似していることから、炭酸ガスがエチレンのアナログとして働き、植物の老化ホルモンとしてのエチレン作用を拮抗的に阻害することもできる。いずれにしても炭酸ガスが雰囲気の酸素を置換したり、植物周辺に鮮度保持層を形成するブランケット効果をもたらしたり、エチレンの働きを抑制できることから、農園芸産物を高濃度の炭酸ガス雰囲気中に貯蔵すると、冷蔵下の貯蔵期間を延長することができる。
従って、本発明の農園芸産物の鮮度保持剤の鮮度保持性は以下の機構により発現されるものと推測する。即ち、本発明の鮮度保持剤に農園芸産物より発散した水分が加わることにより炭酸ガスが徐々に持続的に発生し、この炭酸ガスが酸素を置換することにより高炭酸ガス濃度を形成し、ブランケット効果をもたらし、農園芸産物の酸化及び呼吸を抑え、エチレン合成酵素の活性を阻害することによりエチレンの発生を抑制し、総じて冷蔵条件下に置かれた農園芸産物の鮮度保持効果、例えば、クロロフィル含量保持効果等を発揮する。
本発明において好ましい芳香族有機酸としては、桂皮酸(フェニルプロペン酸)、安息香酸又はそれらの誘導体であるコーヒー酸、p−クマル酸、バニリン酸、シリンガ酸等が挙げられるが、桂皮酸が特に好ましい。桂皮酸はそのものの蒸気も、エチレン合成酵素の活性を阻害し、エチレンの発生を抑制する。従って、本発明の鮮度保持剤が存在する雰囲気では、この桂皮酸の効果と徐々に発生する炭酸ガスの効果により、酸素濃度及びエチレン濃度が効果的に減少すると考えられる。又、桂皮酸又はその誘導体は抗菌効果を有するので、黴や細菌の汚染による農園芸産物の品質劣化を阻止できる。この高炭酸ガス濃度・低酸素濃度・低エチレン濃度の効果と抗菌効果が相俟って冷蔵条件下での持続的で顕著な鮮度保持効果が発揮されると考えられる。
本発明でいう芳香族有機酸とは、分子中にベンゼン環とカルボキシル基とをそれぞれ1つ以上有する有機化合物のことをいい、具体的には桂皮酸とその誘導体、安息香酸、バニリン酸、シリンガ酸等をいう。桂皮酸とその誘導体とは、プロペン酸(又はアクリル酸)の3位の炭素の水素が置換基を有していてもよいフェニル基によって置換された構造を持つ下記の式(1)で表される化合物の総称である。式中のX及びYは、水素原子、水酸基、メトキシル基等の置換基であり、XとYは同一でも異なるものでもよい。
Figure 2005287346
本発明で使用される桂皮酸又はその誘導体は、それ自身抗菌・防黴効果並びにエチレン濃度低減効果を有するものが好ましいが、具体例としては、桂皮酸、フェルラ酸、コーヒー酸、シナピル酸、p−クマル酸等が挙げられる。これらは単独又は2種以上組み合わせて使用される。特に食品添加物である桂皮酸は抗菌効果が強く好ましい。桂皮酸は、特開平5−117125号公報や特開平9−154482号公報等に開示されている如く、黴や細菌に対する抑制効果を有しているのに加えて、特開平9−154482号公報や特開平10−117680号公報に示されているとおり、エチレン濃度低減効果を有している。更に、特開平10−117680号公報や特開平10−273401号公報等に示されている如く、農園芸産物のクロロフィルの劣化を抑制し、瑞々しい緑色を長く保持する効果をも有している。従って、桂皮酸を本発明における芳香族有機酸として用いれば最大の鮮度保持効果が発揮される。
本発明において別の好ましい芳香族有機酸としては、安息香酸又はその誘導体が挙げられる。安息香酸の誘導体としては、それ自身抗菌・防黴効果が強いものが好ましいが、具体的にはバニリン酸およびシリンガ酸等が挙げられる。又、本発明で用いられる安息香酸は、抗菌効果が強い上に食品添加物であるので、効果と安全性の両面で好ましい。
本発明で用いられる炭酸塩としては、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸カリウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸カルシウム等が挙げられる。上記の炭酸塩は、それぞれ単独でも2種以上組み合わせても使用することができる。又、食品添加物である炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸カルシウム等は安全性の面からも好ましい。
本発明の鮮度保持剤及び鮮度保持方法によって鮮度が保持される農園芸産物の範疇には、基本的にはどんな農園芸産物も入るが、最適炭酸ガス濃度が比較的高いブロッコリー、キャベツ、ピーマン、ししとう、アスパラガス、ネギ、ブルーベリー、さくらんぼ、枝豆、グリンピース、パセリ、ミディトマト等が比較的好適に鮮度保持される。
本発明で用いられる鮮度保持剤及び鮮度保持方法の冷蔵とは、外気温より低い温度の貯蔵温度で、貯蔵庫若しくは貯蔵容器、貯蔵施設内等に農園芸産物を貯蔵又は保存することをいい、貯蔵温度は−1.7℃〜15℃の場合をいう。特に本発明で用いられる鮮度保持剤及び鮮度保持方法は、冷蔵庫の野菜室の標準温度である8℃±5℃の場合に好適に用いられる。
(タブレット化)
タブレット化された鮮度保持剤は粉末状態の鮮度保持剤に比べて、取扱が容易であり、輸送しやすい。又、よりコンパクトであるので、スペース効率が高く、冷蔵庫等に置いても場所をとらない。これらの利点から、鮮度保持剤タブレットは実用性の高い形状として冷蔵庫用、容器用、鮮度保持袋用等、広範囲の用途に用いられる。
本発明で用いられるタブレットに成形した鮮度保持剤は、2種以上の鮮度保持剤成分粉末を混合し、圧縮成形することにより調製される。タブレット化に用いる機械は特に限定されず、粉末成分の一定量を圧縮成形することにより成形できる機能があればどのような機械も用いることができる。タブレット化時の圧縮成形圧は、タブレットの強度と関係があり、輸送中や取り扱い中にタブレットが崩れたりしないように、適切な圧縮成形圧でタブレット化する必要がある。本発明の鮮度保持剤をタブレット化する際に好適な圧縮成形圧は2〜1,000kgf/cm2であり、更に好ましくは10〜600kgf/cm2の圧縮成形圧が用いられる。
タブレットは、1個当たり1〜150gのものが用いられるが、好ましくは2〜50gのものが、用途や使用状況に応じて用いられる。タブレットの使用量は任意であるが、使用空間の大小に応じて適宜用いられる。例えば、冷蔵庫の野菜室で用いる場合は、0.05〜20g/l量のタブレットが好適に用いられ、特に好ましくは0.1〜5g/l量のタブレットが用いられる。タブレットの形状は特に限定されない。
本発明の鮮度保持剤の使用形態は上記のタブレットの他、特に限定されないが、上記の炭酸塩と芳香族有機酸、例えば、桂皮酸とを必要に応じて種々の添加剤とともに粉体又は顆粒状とし、そのまま或いは成形して、又は適当な担体に担持して使用される。又、芳香族有機酸を複数の芳香族有機酸、例えば、桂皮酸、桂皮酸の誘導体、安息香酸、バニリン酸及びシリンガ酸等から選ばれる複数の物質の混合物でもよい。
本発明の鮮度保持剤の使用量は発生させる炭酸ガスの量に合わせて使用されるが、目安としては、農園芸産物の種類によって差異はあるが、農園芸産物100質量部に対して0.1〜100質量部程度の割合である。炭酸塩と芳香族有機酸、例えば、桂皮酸との混合比は任意に決定できるが、炭酸塩:芳香族有機酸、例えば、桂皮酸の当量比が1:0.1〜1:10の範囲の時に好ましい鮮度保持効果が発現され、特に1:0.5〜1:5の範囲の時には顕著な鮮度保持効果が発現される。
冷蔵下の農園芸産物の鮮度を保つためには、被鮮度保持物と本発明の鮮度保持剤とを同一雰囲気中に共存させることが必要である。被鮮度保持物と鮮度保持剤との共存の態様は特に制限されず、例えば、ポリ袋に両者を入れる、ダンボール箱に直接入れられた野菜類と鮮度保持剤とをコンテナ中で共存させる、或いは冷蔵庫の野菜室で野菜類と鮮度保持剤とを共存させる等の態様が挙げられる。いずれの共存の態様においても、本発明の鮮度保持剤の使用量は特に限定されない。
このようにして、本発明の鮮度保持剤を冷蔵下の野菜・果実・花卉等の農園芸産物に作用させると、雰囲気の炭酸ガス濃度が持続的に高まり、又は持続的なブランケット効果により、冷蔵条件下における農園芸産物の鮮度劣化の遅延が実現される。又、芳香族有機酸の持つ抗菌、防黴性も有効に作用し、汚染菌や悪臭の発生も抑制される。更に、芳香族有機酸として桂皮酸を用いれば、農園芸産物のクロロフィル劣化も抑制され、農園芸産物の瑞々しい緑色が保持される。本発明の鮮度保持剤には本発明の効果を損しない範囲で添加剤、抗菌剤、防黴剤等を加えることができる。
以下に、実施例及び比較例を挙げて本発明を具体的に説明する。尚、文中「部」又は「%」とあるのは特に断りのない限り質量基準である。
実施例1:5℃での鮮度保持剤(粉末)のブロッコリーに対するクロロフィル保持効果
ブロッコリー1株(約60g)を2分割又は3分割し、その各々を別々に表1に示す市販の鮮度保持袋(M又はG)に入れた。このうち、1つの鮮度保持袋は対照とし、残りの鮮度保持袋には鮮度保持剤を入れ、ブロッコリーの雰囲気に共存させた。鮮度保持剤は次のようにして鮮度保持袋に入れた。鮮度保持剤の粉末20g又は30gを麦茶パック(トキワ製:ポリエステル製、110×105mm)に入れ、更にこの麦茶パックをブロッコリーが入っている鮮度保持袋に入れた。対照の袋には、麦茶パックのみを入れた。このようにして、調整したブロッコリー入り鮮度保持袋を5℃で69日間保存し、各ブロッコリーのクロロフィル含量を測定した。これらの結果を表1に示した。表1の結果より、供試した鮮度保持剤は対照と比較すると、冷蔵条件下において、明らかにブロッコリーのクロロフィル劣化を防止し、鮮度保持効果を有することが分かった。
Figure 2005287346
実施例2:10℃での鮮度保持剤(タブレット)のブロッコリーに対するクロロフィル保持効果
小型プレス機(蛍光X線測定用タブレット作成用)のシリンダー部に、桂皮酸と重曹を2:1(質量比)に混合した鮮度保持剤(K21)2.5gを入れ、215kgf/cm2の圧力で圧縮成型し、直径32mm、厚さ2mmのタブレットを作成した。このタブレット1個をティーパック((株)西友製「お茶パック」、ポリエチレン・ポリプロピレン・ポリエステル複合繊維、95×70mm)に入れ、ポリエチレン製のカップ(上径7.0cm、下径5.0cm、高さ8.5cm)の底に置き、その上に10gのブロッコリーを置いてカップの蓋をして密閉した。このカップを10℃で11日間放置し、カップの中のブロッコリーのクロロフィル含量を測定した。比較のため、タブレットを入れず、上記ティーパックのみを入れたカップを用意し、この中に入れたブロッコリーのクロロフィル含量も対照として同様に測定した。これらの結果を表2に示す。表2の結果より、供試した鮮度保持剤タブレットは対照と比較すると、10℃保存下において、明らかにブロッコリーのクロロフィル劣化を防止し、鮮度保持効果を有することが分かった。
Figure 2005287346
実施例3:10℃での鮮度保持剤(タブレット)のブロッコリー存在雰囲気の炭酸ガス濃度上昇効果
小型プレス機(蛍光X線測定用タブレット作成用)のシリンダー部に、桂皮酸と重曹を2:1(質量比)に混合した鮮度保持剤(K21)2.5gを入れ、215kgf/cm2の圧力で圧縮成型し、直径32mm、厚さ2mmのタブレットを作成した。このタブレット1個をティーパック((株)西友製「お茶パック」、ポリエチレン・ポリプロピレン・ポリエステル複合繊維、95×70mm)に入れ、ポリエチレン製のカップ(上径7.0cm、下径5.0cm、高さ8.5cm)の底に置き、その上に15gのブロッコリーを置いてカップの蓋をして密閉した。このカップを10℃で14日間放置し、カップの中の炭酸ガス濃度をガス検知管を用いて測定した。比較のため、タブレットを入れず上記ティーパックのみを入れたカップを用意し、この中の炭酸ガス濃度も対照として同様に測定した。これらの結果を表3に示す。表3の結果より、供試した鮮度保持剤タブレットは対照と比較すると、10℃保存下において、明らかにブロッコリー共存雰囲気の炭酸ガス濃度を上昇させ、鮮度保持に有効であることが分かった。
Figure 2005287346
実施例4:11℃での鮮度保持剤(タブレット)の各種野菜存在雰囲気の炭酸ガス濃度上昇効果
小型プレス機(蛍光X線測定用タブレット作成用)のシリンダー部に、桂皮酸と重曹を2:1(質量比)に混合した鮮度保持剤(K21)2.5gを入れ、215kgf/cm2の圧力で圧縮成型し、直径32mm、厚さ2mmのタブレットを作成した。このタブレット1個をキムワイプ(十條キンバリー社製実験用ペーパー)に包み、150ml容ねじ口瓶の底に置き、その上に表4に示す野菜を置いて瓶の口をパラフィルムで密閉した。これらの瓶を11℃で8日間放置し、瓶の中の炭酸ガス濃度をガス検知管を用いて測定した。比較のため、タブレットを入れず上記キムワイプのみを入れた瓶を用意し、この中の炭酸ガス濃度も対照として同様に測定した。これらの結果を表4に示す。表4の結果より、供試した鮮度保持剤タブレットは対照と比較すると、11℃保存下において、明らかに野菜共存雰囲気の炭酸ガス濃度を上昇させ、鮮度保持に有効であることが分かった。
Figure 2005287346
本発明の鮮度保持剤は上述のように、冷蔵条件下、優れた炭酸ガス濃度上昇能を発現しつつ、農園芸産物の鮮度を保持し、同時に安全性をも具備するものである。

Claims (5)

  1. 炭酸塩と芳香族有機酸とからなり、炭酸ガスを発生することを特徴とする農産物・園芸産物の冷蔵用鮮度保持剤。
  2. 炭酸塩が、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウムおよび炭酸カルシウムから選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載の農産物・園芸産物の冷蔵用鮮度保持剤。
  3. 芳香族有機酸が、桂皮酸、コーヒー酸、p−クマル酸、安息香酸、バニリン酸およびシリンガ酸から選ばれる少なくとも1種である請求項1又は2に記載の農産物・園芸産物の冷蔵用鮮度保持剤。
  4. タブレット形状である請求項1〜3のいずれか1項に記載の農産物・園芸産物の冷蔵用鮮度保持剤。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の冷蔵用鮮度保持剤を、冷蔵下、農産物・園芸産物と同一雰囲気中に共存させることを特徴とする農産物・園芸産物の冷蔵用鮮度保持方法。
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